(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る交差点用照明器具1を下方からみた斜視図である。
図2は交差点用照明器具1の構成を示す図であり、
図2(A)は平面図、
図2(B)は側面図、
図2(C)は底面図、
図2(D)は正面図、及び
図2(E)は背面図である。
この交差点用照明器具1は、
図1に示すように、ポール型(ストレート型とも呼ばれる)の支柱4、又は、アーム型の支柱5の先端部3に器具本体10を支持したものである。支柱4、5は交差点の路肩等の地面に立設された柱であり、ポール型の支柱4は、その先端部3が鉛直方向に真っ直ぐに延び、アーム型の支柱5は、柱の途中から曲がって先端部3が水平方向に水平、或いは所定角度傾いて延びている。この交差点用照明器具1の器具本体10は、支柱4、5の両方に取り付け可能に構成されている。
【0012】
器具本体10は、アルミダイカスト等で形成され、
図1、及び
図2に示すように、一端11Aから他端11Bにかけて長い平面視略矩形の箱型を成し、その一端11Aの近傍で上記支柱4、5の先端部3に支持され、他端11Bを交差点側に向けて設置される。器具本体10の底面10Aには、一端11Aの側に照射開口12が形成され、この照射開口12が平板状の透明なグローブガラス13(
図2(C))で覆われている。なお、
図1は、グローブガラス13から器具本体10の内部を透視して示したものである。
【0013】
器具本体10は、背面10B(すなわち一端11A近傍の外側面)にアーム用挿入孔15(
図2(E))が設けられ、また一端11A近傍の底面10Aにポール用挿入孔16が設けられている。ポール型の支柱4に器具本体10を支持する場合には、当該支柱4の先端部3が器具本体10の底面10Aからポール用挿入孔16に挿入され、またアーム型の支柱5に支持する場合には、当該支柱5の先端部3が器具本体10の背面10Bからアーム用挿入孔15に挿入される。これらアーム用挿入孔15、及びポール用挿入孔16のうち、先端部3が挿入されていない方は閉塞板17で閉塞される。
なお、本実施形態では、ポール型の支柱4に支持する交差点用照明器具1について主に説明する。
【0014】
図3は
図2(A)のI−I線における断面視図であり、
図4は
図1のII−II線における断面図である。
図5は器具本体10の分解斜視図である。
器具本体10は、ベースケース体20と、下カバー体21と、蓋体22とを備え、これらが器具本体10の略箱型のケース体を構成する。これらベースケース体20、下カバー体21、及び蓋体22は、屋外使用に十分に耐え得る耐食性があり、なおかつ、熱伝導性が高い材料(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を用いて形成されている。高熱伝導性の材料を用いることで、後述する光源ユニット25の発熱がケース体(本実施形態では、特にベースケース体20)から放熱され、光源ユニット25の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。
ベースケース体20は、器具本体10の六面の外側面のうち、天面10C、正面側、及び左右側の外側面10D、10E、10Fを構成し、下カバー体21は、器具本体10の底面10Aを構成する。また蓋体22は、器具本体10の天面10Cに開閉自在に設けられ、当該天面10Cの一部から背面10Bを構成する。
器具本体10には、蓋体22が開いて露出する箇所に後述するクランプユニット26が内設され、また交差点側を向く他端11Bの側に光源を構成する複数(本実施形態では6個)の光源ユニット25が内設されている。
【0015】
下カバー体21は、ベースケース体20の下面にネジ19(例えば
図4)でネジ止め固定され、当該ベースケース体20の下面を閉じる部材であり、上述した照射開口12、及び、ポール用挿入孔16が形成されている。また、下カバー体21は、
図4、及び
図5に示すように、照射開口12を覆うようにグローブガラス13が上側から嵌め込まれて当該グローブガラス13を担持する。このグローブガラス13の縁部には、シール部材としての環状のパッキン42が全周に亘って嵌め込まれており、当該パッキン42によって下カバー体21の照射開口12がシールされる。また、下カバー体21をベースケース体20に取り付けた際には、下カバー体21とベースケース体20との間でパッキン42が挟み込まれて、当該ベースケース体20の内部がシールされるが、その詳細については後述する。
【0016】
図6はベースケース体20の構成を示す図であり、
図6(A)は平面図、
図6(B)は側面図、
図6(C)は底面図、
図6(D)は正面図、
図6(E)は背面図である。
ベースケース体20は、その内部が器具本体10の一端11Aの側のクランプ取付室27Bと、他端11Bの側の光源室27Aとに仕切28で仕切られている。クランプ取付室27Bにはクランプユニット26が配設され、光源室27Aには光源ユニット25が配設されている。
クランプユニット26は、器具本体10のアーム用挿入孔15、又は、ポール用挿入孔16から挿入された支柱4、5の先端部3に挿入されて取り付けられる支柱取付具である。また光源ユニット25は、交差点用照明器具1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。
【0017】
クランプユニット26は、前掲
図5に示すように、支柱4、5の先端部3に挿入される筒部29と、この筒部29の外周面29Cに設けられた鍔部30とを備えている。この鍔部30がベースケース体20のクランプ取付室27Bの左右両側に設けられたクランプユニット固定部18にボルト31A、及びナット31Bで締結固定される。また筒部29の外周面29Cには周方向から、複数本の締め付け用のダブルナット32が挿入され、これらダブルナット32によって支柱4、5の先端部3に筒部29が締め付け固定される。また、ポール型の支柱4に取り付けられるクランプユニット26にあっては、筒部29の下側の一端29Aがポール用挿入孔16の近傍に配置され、上側の他端29Bがクランプ取付室27Bの奥に入り込み、この他端29Bに、支柱4の中を通じて先端部3から引き出された電気配線を保持するホルダ33が取り付けられる。
【0018】
光源ユニット25は、交差点用照明器具1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。具体的には、前掲
図5に示すように、光源ユニット25は、LED基板34に実装されたCOB型LED(発光素子モジュール)35と、絶縁シート36と、反射鏡38とを備え、これらの順に重ねるように組み付けて構成されている。
LED基板34は、COB型LED35の発熱を裏面に効率良く伝えるために、高熱伝導性を有する例えばセラミック等で形成されている。
COB型LED35は、多数のLEDをLED基板34の上に密集配置して平面視略円形(四角形も有り得る)の面状の発光部35Aを形成したチップオンボード(COB)構造の発光デバイスである。この面状の発光部35Aは、この面に略垂直な方向に光軸Fを有し、この光軸Fが器具本体10の底面10Aを指向する姿勢で器具本体10の中に配置される。COB型LED35は、多数のLEDが密集配置されていることから大光量で高輝度な灯具が得られる。
【0019】
絶縁シート36は、開口36Aが形成され、当該開口36Aから発光部35Aを露出させつつLED基板34の実装面を覆い、このLED基板34と反射鏡38との間を電気的に絶縁するシート材である。また絶縁シート36は、反射鏡38の組み付けベースとなる板材であり、LED基板34を上記ベースケース体20との間に挟むようにして当該ベースケース体20にネジ止め固定される。上記LED基板34は、絶縁シート36による挟み込みにより、その裏面がベースケース体20に密接した状態で固定される。
【0020】
反射鏡38は、COB型LED35の配光を制御する配光制御部材であり、これらの配光制御により、横長の配光が実現されている。具体的には、反射鏡38は、COB型LED35の発光部35Aの周囲を囲む反射面38Aを有し、発光部35Aから側方に出る光を反射して配光を制御する。
【0021】
図6に示すように、光源室27Aの天井を構成するベースケース体20の天井面20Aには、LED基板34の裏面と面接触して支持する台座面40が所定の間隔で略格子状に設けられている。各台座面40は、LED基板34の各々が同一水平面(照射開口12の開口面から一定の距離)に位置するように天井面20Aからの高さが設定されている。
台座面40は、ベースケース体20の天井面20Aに一体に形成されており、高熱伝導性を有するLED基板34を通じてCOB型LED35の発熱が伝えられる。台座面40の熱は、ベースケース体20の天井面20Aに伝へられ、当該ベースケース体20の天面10Cから外部に放熱され、これにより、COB型LED35の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。なお、COB型LED35に代えて、他の構造のLED、或いは有機EL等の他の発光素子を用いても良いことは勿論である。
【0022】
本実施形態では、ベースケース体20には、光源室27Aの側に各光源ユニット25を包囲する平面視矩形枠状の包囲壁41を設け、この包囲壁41の中を水密にすることで、光源室27Aを防水することとしている。すなわち、前掲
図4に示すように、包囲壁41の全周に亘り、その先端41Aが、下カバー体21に担持されたグローブガラス13のパッキン42に密着し、これにより包囲壁41の内部が水密にシールされる。
上記包囲壁41のうち、クランプ取付室27Bに面する箇所は上記仕切28によって構成されており、この仕切28には、電源線引込孔43が開口し、この電源線引込孔43を通じて電気配線がクランプ取付室27Bから光源室27Aに引き込まれる。このとき電源線引込孔43をシールするために、この電源線引込孔43にブッシング44を嵌合し、このブッシング44に電源線を通して配線される。
【0023】
また、光源室27Aの各光源ユニット25とクランプユニット26とは、
図3に示すように、側面視略水平に延びるベースケース体20に、クランプユニット26による支柱4、5への固定箇所Pと、器具本体10の重心位置Qとの高さ方向のズレを抑えて(理想的には、同一水平面上に)配置した。これにより、器具本体10の共振点が下がることから交差点用照明器具1の設置箇所の振動の影響が少なくなり、使用環境が拡大される。
【0024】
蓋体22は、前掲
図3に示すように、上記クランプ取付室27Bを覆い、上記ベースケース体20の天面10Cにヒンジ金具46で開閉自在に取り付けられている。
図7は蓋体22を開いた状態を示す交差点用照明器具1の側面図であり、
図8は同状態を示す交差点用照明器具1の上方斜視図である。
これらの図、及び前掲
図6に示すように、ベースケース体20の天面10C、及び背面側には、クランプ取付室27Bを露出する開口47が形成されている。具体的には、開口47は、クランプ取付室27Bの天井に対応する箇所の天面10Cから背面10Bに亘る範囲を露出するように形成されており、さらに、クランプ取付室27Bの左右の両側面の側も露出するように形成されている。
【0025】
これにより、
図8に示すように、クランプ取付室27Bの背面側がベースケース体20に覆われることなく開放されることとなり、クランプ取付室27Bでの作業が容易となる。特に、
図8に示すように、器具本体10がポール型の支柱4に取り付けられる場合、クランプユニット26の筒部29はクランプ取付室27Bの中で上下に延び外周面29Cが背面側に対面するように配設される。したがって、支柱4の先端部3を固定するダブルナット32が器具本体10の背面側に面するようにクランプユニット26が配置されることで、背面側から開口47を通じてダブルナット32を簡単に操作することができ、器具本体10の取付作業が容易となる。
【0026】
蓋体22は、クランプ取付室27Bの開口47を閉じるものであり、クランプ取付室27Bに対応する天面10Cと背面10Bとが一体に形成されている。蓋体22の背面10Bに対応する箇所には、アーム用挿入孔15が形成されており、このアーム用挿入孔15が不使用である場合には、閉塞板17が取り付けられて閉塞されている。
かかる蓋体22は、ベースケース体20の天面10Cの略中央(より正確にはクランプ取付室27Bと光源室27Aとの境界近傍)に設けたヒンジ金具46に、光源室27A側に突出したヒンジ側端部22A(
図5)を結合してベースケース体20に取り付けられる。したがって、蓋体22の開閉軸が天面10Cの上になることから、蓋体22を開いた場合に当該蓋体22が天面10Cの上に移動する。このため、器具本体10の背面10Bの側の近くに壁面等の構造物が有る場合でも、開蓋時に蓋体22が干渉することがなく、蓋体22を大きく開くことができる。
【0027】
器具本体10の天面10Cは、前掲
図4に示すように、左右の略中央部を頂点にして左右両側が低くなるように弧を描いて緩やかに屈曲した曲面形状を成し、天面10Cに降り注ぐ風雨、及び積雪が左右両側に促されるようになっている。
また、器具本体10の天面10Cは、前掲
図2(B)に示すように、正面側(すなわち光源室27Aの側)の他端11Bから背面側(すなわちクランプ取付室27B)の側にかけて流線20Lを描く形状とされている。これにより、
図7に示すように、器具本体10が水平面Hに対して所定角度αの傾斜角度で他端11Bを上を向けた姿勢で取り付けられた場合に、天面10Cに降り注ぐ雨水や積雪を背面側に移動させつつ、天面10Cの両側からスムーズに落下させるようになっている。
さらに、この器具本体10には、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10Cに、左右の両側に亘って横断し排水溝としての機能を有する横溝45が形成され、また、前掲
図2に示すように、他端11Bから背面側に向けて延び、上記横溝45に合流する複数本の誘導溝48が形成されている。これにより、光源室27Aの側の他端11Bから背面側への雨水等の移動を促進し横溝45からスムーズに落下させることができる。
本実施形態では、各誘導溝48が上述の台座面40の直上に対応した位置に設けられており、台座面40を通じて伝熱される光源の熱で積雪を溶かし、横溝45に効率良く案内されるようになっている。
【0028】
ここで、器具本体10の天面10Cを構成する上記ベースケース体20は、前掲
図3に示すように、天面10Cの板厚Tが光源室27Aの側の他端11Bからクランプ取付室27Bにかけて次第に厚くなっている。そして、上記横溝45は、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10C、すなわち板厚Tが十分に厚く剛性が高い位置に設けられており、横溝45を設けられても天面10Cの剛性が確保されているようになっている。
また蓋体22の結合側の縁部は横溝45に沿って配置され、横溝45が蓋体22の開閉に要するクリアランスも兼ねている。この横溝45の中には、蓋体22に結合される上記ヒンジ金具46が収められておりヒンジ金具46が露出しないようにすることで意匠が高められている。このとき、ヒンジ金具46は、横溝45の底面45Aから高い位置であり、かつ、蓋体22のヒンジ側端部22Aで覆われた位置に配設されている。これにより、ヒンジ金具46が風雨に曝され、また横溝45の雨水に浸水し難くなり、水による腐食が抑制される。
【0029】
器具本体10は、
図8に示すように、支柱4、5への設置時に蓋体22を開位置で支持するストッパー機構49を備えている。
ストッパー機構49は、蓋体22の裏面に設けたレール50と、ベースケース体20に一端51Aが結合され他端51Bがレール50に案内自在に係合し蓋体22を支持する支持棒51とを備えている。レール50には、蓋体22の開閉に伴って支持棒51の他端51Bが移動する直線状の孔である案内路50Aが設けられている。開蓋時には、蓋体22が90度以上(本実施形態では115度)の開き角度β(
図7)に開いた状態で支持棒51が案内路50Aの下端部50A1に引っ掛かって蓋体22を支持する。また案内路50Aには、下端部50A1を略L字状に上方(天面10Cの側)に延ばした支え用端部50A2が設けられている。この支え用端部50A2に支持棒51が引っ掛かることで、支持棒51が蓋体22の開き角度βが90度以下の状態で蓋体22を閉蓋不能に支持する。
【0030】
また、閉蓋時には、支持棒51の他端51Bが案内され当該案内路50Aの直線方向の端である上端部50A3に移動する。この上端部50A3に支持棒51が引っ掛かった状態においては、蓋体22が全閉しない状態で支持棒51が蓋体22を閉蓋不能に支持する。一方、案内路50Aには上端部50A3に至る途中に、閉蓋方向Dに分岐する分岐路50A4が設けられており、この分岐路50A4に支持棒51の他端51Bが入り込むことで、支持棒51による蓋体22の支持が解かれて蓋体22が全閉する。
すなわち、開いた蓋体22が閉じるには、作業者が分岐路50A4に支持棒51の他端51Bを案内するように操作する必要がある。このような操作が成されずに、例えば風等の影響で蓋体22が閉じようとする場合には、支持棒51の他端51Bが案内路50Aを直線状に勢いよく移動し、ストレートに上端部50A3に到達して蓋体22が全閉する前に係止され、作業中に不意に蓋体22に挟まれるといった事を防止できる。
【0031】
ところで、本実施形態のように、ランプに比べて小型のCOB型LED35を光源とし、器具本体10を比較的薄く形成した場合には、器具本体10内のスペースが限られるため、反射鏡38を小型化する必要がある。反射鏡38を小型化しつつ、交差点の照度及び均斉度を高めるようにCOB型LED35の光を交差点に適切に配光しようとする場合には、反射鏡38を複数の別体の反射体で構成することが考えられるが、部品点数が増加し、製造工程が煩雑化する。
【0032】
そこで、本実施形態では、反射鏡38を、小型化しつつ、交差点の照度及び均斉度を高めることが可能な構成としている。この反射鏡38は、COB型LED35とともに、本実施形態の交差点用発光素子ユニット(発光素子ユニットに)7を構成しており、以下、交差点用発光素子ユニット7について詳細に説明する。
図9は交差点用照明器具1の設置状態を示す模式図であり、
図9(A)は交差点用照明器具1を示す側面図、
図9(B)は交差点用発光素子ユニット7を示す側面図である。
この図に示すように、以下の説明においては、ポール型の支柱4に器具本体10を、器具本体10を取り付け高さが約10m、傾斜角度αが水平面Hに対して10°で支持した交差点用照明器具1を示しているが、これに限定されるものではなく、ポール型の支柱5に器具本体10を支持してもよいし、器具本体の高さ及び傾斜角度αは適宜変更可能である。
【0033】
図10は、交差点用照明器具1の照射光の方向を示す説明図である。
図11は交差点用発光素子ユニット7を示す正面側から示す斜視図であり、
図12は交差点用発光素子ユニット7を示す背面側から示す斜視図である。
図13は交差点用発光素子ユニット7の構成を示す図であり、
図13(A)は正面図、
図13(B)は底面図、
図13(C)は平面図、
図13(D)は左側面図である。
図14は、交差点用照明器具1の配光を示す説明図である。
交差点用照明器具1は、
図10に示すように、例えば4つの道路Rが接続される交差点90における1つの隅部90Aに、隅部90Aに対向する隅部90Bに器具本体10を向けるように配置されている。本実施形態では、片側2車線であり、幅員が19mの道路Rを例に説明するが、道路の車線数や幅員はこれに限定されない。
【0034】
反射鏡38は、
図10−
図14に示すように、複数の固定部38Cを有し、これらの固定部38Cがベースケース体20(例えば、
図5参照)にねじ止めされることで固定される。本実施形態では、正面38A1に1つ、背面38A2に2つ、計3つの固定部38Cが設けられているが、固定部38Cの個数や配置位置はこれに限定されるものではない。反射鏡38は、光軸Fに直交して反射鏡38の左右に延びる線L1が、交差点の隅部90Aに隣接する隅部90C、90Dを結ぶ線L2と略平行となるように固定される。
【0035】
反射鏡38は、下面を開口した平面略矩形の箱状をなし、反射面38Aとして、正面38A1と、背面38A2と、底面38A3と、左側面38A4と、右側面38A5とを備えている。反射面38Aは、例えばアルミニウムから形成された反射鏡38の表面に増反射膜等を蒸着することで反射率が高められている。この反射鏡38は、底面38A3がCOB型LED35に対向するように配置され、底面38A3には、上記発光部35Aに対応する箇所に、当該発光部35Aを露出させる開口38Bが形成されている。反射鏡38は、光軸F方向において発光部35Aと所定距離Dだけ離間配置され、発光部35Aの熱を効率良く逃がすことができるようになっている。
【0036】
背面38A2の略中央には、交差点90の中央部91に向けて光KAを配光する中央反射面80Aが形成されている。この中央反射面80Aは、底面視で反射鏡38の内側に湾曲する湾曲面に形成され、底面38A3から下方に向けて反射鏡38の外側に広がるように延出している。中央反射面80Aからの光KAは、発光部35Aからの直射光が照射される直射光エリアA0の隅部90B側の周囲に位置する交差点中央エリアAAを照射する。
【0037】
また、背面38A2には、中央反射面80Aの左右に、交差点90の中央部91を挟んだ両側に向けて光KB、KHを配光する一対の第1側方反射面80B、80Hが形成されている。これらの側方反射面80B、80Hは、底面38A3から下方に向けて反射鏡38の外側に広がるように延出している。中央反射面80Aの左側に位置する第1左側方反射面80Bは、線L1に対し若干右側に向けた平坦面に形成され、隅部90Aの右側(
図10では、下側)の道路Rに向けて光KBを配光する。中央反射面80Aの右側に位置する第1右側方反射面80Hは、線L1に対し若干左側に向けた平坦面に形成され、隅部90Aの左側(
図10では、下側)の道路Rに向けて光KHを配光する。第1側方反射面80B、80Hからの光KB、KHは、交差点中央エリアAAを挟んだ両側の第1側方エリアAB、AHを照射する。
【0038】
反射鏡38の正面38A1には、交差点用照明器具1の背後92に向けて光KEを配光する背後反射面80Eが形成されている。背後反射面80Eは、底面38A3から下方に向けて反射鏡38の外側に広がるように延出する平坦面である。背後反射面80Eからの光KEは、直射光エリアA0の背後側の周囲に位置する背後エリアAEを照射する。これにより、交差点用照明器具1の背後92の照度が高まり、横断を待機する人の視認性を向上させることができる。
【0039】
底面38A3にも、交差点90の中央部91を挟んだ両側に向けて光KD、KFを配光する第2側方反射面80D、80Fが形成されている。第2左側方反射面80Dは、背面38A2の略中央部から反射鏡38の左側面38A4に向けて延出する曲面であり、左側の道路Rに向けて光KDを配光する。第2右側方反射面80Fは、背面38A2の略中央部から反射鏡38の右側面38A5に向けて延出する曲面であり、右側の道路Rに向けて光KFを配光する。第2側方反射面80D、80Fからの光KD、KFは、第1側方エリアAB、AHと背後エリアAEとの間の第2側方エリアAD、AFを照射する。
このように、背面38A2及び底面38ACのそれぞれに、交差点90の中央部91を挟んだ両側に向けて配光する一対の反射面80B、80H及び反射面80D、80Fを設けたため、反射鏡38の上下方向の高さを抑えつつ、広い照明エリアを照明できる。なお、本実施形態では、COB型LED35の発光部35Aが直径22mmに形成され、反射鏡38は縦70mm、横105mm、高さ20mmに形成されている。
【0040】
底面38A3の開口38Bは、COB型LED35少なくとも2つの隅部上を通るように斜めに延出しており、COB型LED35の少なくとも2つの隅部上の底面38A3には、COB型LED35を抑える抑え部38Dを有する。これにより、COB型LED35を抑える部材を別途設ける必要がなくなるので、部品点数を低減できる。また、光を効率良く出射させる程度に小さく開口38Bを形成することで、反射鏡38の強度を高めることができる。
開口38Bは、延出方向の一端38B1が第2左側方反射面80Dまで延出し、延出方向の他端38B2が中央反射面80A、及び第1右側方反射面80Hまで延出している。これにより、開口38Bを大きく取ることができるので、COB型LED35の直射光を多く出射できる。
【0041】
左側面38A4には、左右の道路Rの両方に向けて光KCを配光する左側補助反射面80Cが形成されている。左側補助反射面80Cは、光軸Fに沿って延出する平坦面に形成され、発光部35Aからの光を右側の道路Rに向けて配光し、反射面80Hからの光を左側の道路Rに向けて配光する。右側面38A5にも、左右の道路Rの両方に向けて光KGを配光する右側補助反射面80Gが形成されている。右側補助反射面80Gは、光軸Fに沿って延出する平坦面に形成され、発光部35Aからの光を左側の道路Rに向けて配光し、反射面80Bからの光を右側の道路Rに向けて配光する。補助反射面80C、80Gからの光KC、KGは、第1側方エリアAB、AHと第2側方エリアAD、AFとの間に位置する補助エリアAC、AGを照射する。
これにより、左右の道路Rは、主に反射面80B、80C、80D、80F、80G、80Hからの光KB、KC、KD、KF、KG、KHにより照明されることとなり、交差点90近傍の道路Rの照度を高めることができる。なお、補助反射面80C、80G形成を省略してもよい。
【0042】
上記のように反射鏡38を構成することで、
図14に示すように、直射光エリアA0の周囲略全体を取り囲むように配光し、鉛直角θv方向(
図13)及び水平角θh方向に広いエリアを照明できる。しかも、反射面80A−80Hを一体に形成したため、各反射面を別体に形成する場合に比べ、部品点数を削減し、製造工程を簡素化できる。
また、左側の道路Rに設けられた左側の横断歩道93は、直射光エリアA0、側方エリアAD、AHの範囲内にあり、直射光と、反射面80A、80D、80Hからの光KA、KD、KH(
図10)によって照明される。一方、右側の道路Rに設けられた右側の横断歩道93は、直射光エリアA0、側方エリアAB、AFの範囲内にあり、直射光と、反射面80A、80B、80Fからの光KA、KB、KF(
図10)によって照明される。これにより、横断歩道93の略全域を照明することができ、横断歩道93の視認性を向上できる。
【0043】
このように構成した反射鏡38を用いた交差点用照明器具1を1灯交差点90に配置したときには、
図15の照度分布となり、交差点90に4灯の交差点用照明器具1を配置したときには、
図16の照度分布となる。なお、
図15及び
図16において、曲線上の数値は維持照度(単位、Lx)を示す。
図16の例では、交差点90の平均水平面照度を20Lx(ルクス)以上、均斉度0.4以上にすることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0045】
すなわち、本実施形態によれば、交差点90内に向けて水平方向に広い角度で扇状に配光する、発光部側に湾曲して形成した中央反射面80Aと、この中央反射面80Aで配光する交差点中央エリアAAを挟んだ両側に向けてそれぞれ配光する少なくとも一対(本実施形態では、二対)の第1側方反射面80B、80H及び第2側方反射面80D、80Fとを一体に有する反射鏡38を備え、交差点用照明器具1が配置される隅部90Aと、当該隅部90Aに対面する隅部90Bとの間を照明する構成とした。この構成により、交差点90の中央部91及びこの中央部91を挟んだ両側の照度を高めることができ、ひいては交差点90の照度を向上させることができる。
【0046】
また本実施形態によれば、反射鏡38は、COB型LED35の発光部35Aとの間に光軸F方向に対して離間配置されるため、発光部35Aの熱を効率良く逃がすことができる。
また本実施形態によれば、反射鏡38は、発光部35Aからの直射光が照射される直射光エリアA0の周囲を取り囲むように配光する構成とした。この構成により、直射光エリアA0の周囲の照度を高めることができ、交差点90の照度を向上させることができる。
【0047】
また本実施形態によれば、反射鏡38は、交差点90に接続される道路Rに向けて配光する反射面80B、80C、80D、80F、80G、80Hを有する構成とした。この構成により、交差点90近傍の道路Rの照度を高めることができ、広いエリアを照明できる。
【0048】
また本実施形態によれば、反射鏡38は、交差点用照明器具1の背後92に向けて配光する背後反射面80Eを有する構成とした。この構成により、交差点用照明器具1の背後92の照度を高めることができ、横断を待機する人の視認性を向上させることができる。
【0049】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、本発明は、器具本体が支柱に限らず、例えば建物の壁等に支持される照明器具に適用可能である。
また、本発明の交差点用照明器具は、交差点四隅への4灯配置のほかに、例えば交通量の少ない交差点の対角二隅への2灯配置や、T字交差点への1−2灯配置、変則交差点や中央分離帯付の交差点への配置等、あらゆる配置にも対応できる。