(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の給電母線の表面の少なくとも一部及び前記第1の磁性体を覆い、前記第1の給電母線と前記第1の導電体との間に設けられ、かつ、樹脂により形成された第1の誘電体と、
前記第2の給電母線の表面の少なくとも一部及び前記第2の磁性体を覆い、前記第2の給電母線と前記第2の導電体との間に設けられ、かつ、樹脂により形成された第2の誘電体と、
をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は、本発明の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。
図2は
図1のII線に沿う断面図である。詳細な図示は省略するが、本例の電気自動車は、三相交流電力モータなどの電動機300を走行駆動源として走行する車両であり、電動機300は電気自動車の車軸に結合されている。以下、電気自動車を例に説明するが、本発明は、ハイブリッド自動車(HEV)にも適用することができ、また車両以外の装置に搭載される電力変換装置にも適用可能である。
【0011】
本例の電力変換装置を含む駆動システムは、電力変換装置100と、直流電源200と、電動機300と、シールド線7、8を備えている。直流電源200は、複数の電池により構成され、シールド線7により電力変換装置100に接続されている。直流電源200は、車両の動力源となり、電力変換装置100に直流電力を供給する。電力変換装置100は、直流電源200と電動機300との間に接続され、直流電源200から供給される直流電力を交流電力に変換し電動機300に供給する。シールド線7、8は、金属線を樹脂により被覆することで形成される電線である。シールド線7は、一対のシールド線で構成され、一方のシールド線7は直流電源200の正極端子と給電母線11とを接続し、他方のシールド線7は直流電源200の負極端子と給電母線21とを接続する。シールド線8は三本のシールド線により構成され、3本のシールド線8は、電動機300のU相、V相、W相と対応して、バスバ6と電動機300とを接続する。
【0012】
電力変換装置100は、給電母線11、21と、磁性体12、22と、導電体13、23と、接続回路30と、平滑コンデンサ4と、パワーモジュール5と、バスバ6とを備えている。給電母線11は、板状(平板)の導電体により形成され、直流電源200の正極側から出力される電力をパワーモジュール5に給電する電源線であって、電力変換装置100を構成するインバータ回路のうち、P側の電源線に相当する。給電母線21は、板状(平板)の導電体により形成され、直流電源200の負極側から出力される電力をパワーモジュール5に給電する電源線であって、電力変換装置100を構成するインバータ回路のうち、N側の電源線に相当する。給電母線11の側面のうち、磁性体12と対向しない、給電母線11の側面は、給電母線21の側面と対向している。同様に、給電母線21の側面のうち、磁性体22と対向しない、給電母線11の側面は、給電母線11の側面と対向している。給電母線11、21の一部、又は、給電母線11、21の先端部分が、電力変換装置100の端子(タブ)となって、シールド線7の先端に接続されている。
【0013】
磁性体12は、板状(平板)に形成され、給電母線11及び導電体13より透磁率の高い材料で、例えばフェライト等により形成されている。磁性体12の両側面は、給電母線11の主面(長手方向に沿う面の内、最も幅の広い面)及び導電体13の主面とそれぞれ対向して、給電母線11と導電体13との間に設けられ、給電母線11と導電体13との間に狭持されている。磁性体22は、板状(平板)に形成され、給電母線21及び導電体23より透磁率の高い材料で形成されている。磁性体22の両側面は、給電母線21の主面及び導電体23の主面とそれぞれ対向して、給電母線21と導電体23との間に設けられ、給電母線21と導電体23との間に狭持されている。
【0014】
導電体13は板状で、導電材料により形成され、例えば磁性体12に金属テープを貼り付けることで磁性体12の表面に取り付けられている。導電体13の底面は、磁性体12の上面と対向する位置に配置されている。導電体23は板状で、導電材料により形成され、例えば磁性体22に金属テープを貼り付けることで磁性体22の表面に取り付けられている。導電体23の上面は、磁性体22の下面と対向する位置に配置されている。
【0015】
給電母線11、磁性体12及び導電体13は、磁性材料と、当該磁性材料を狭持する、2枚の導電板で構成されているため、インダクタ結合(相互インダクタンス)として作用する。同様に、給電母線21、磁性体22及び導電体23は、磁性材料と、当該材料を狭持する、2枚の導電板で構成されているためインダクタ結合(相互インダクタンス)として作用する。すなわち、給電母線11と導電体13との間は誘導結合し、給電母線21と導電体23との間は誘導結合している。
【0016】
また、
図2に示すように、給電母線11と磁性体12との間には隙間が設けられており、給電母線21と磁性体22との間にも隙間が設けられている。そして、当該隙間により、給電母線11と導電体13との間、及び給電母線21と導電体23との間には、絶縁性が確保されるため、給電母線11及び導電体13はコンデンサとして作用し、給電母線21及び導電体23もコンデンサとして作用する。
【0017】
接続回路30は、抵抗31と、配線32、33とを備えている。接続回路30は、導電体13と導電体23との間を電気的に接続する回路である。抵抗31は、接続回路30に抵抗成分を持たせるために設けられた回路である。抵抗31の抵抗値は、少なくとも導電体13、23の抵抗値より高く設定され、配線32及び配線33の配線抵抗よりも高くなっている。配線32の一端は導電体13に接続され、他端は抵抗31に接続されている。配線33の一端は導電体23に接続され、他端は抵抗31に接続されている。すなわち、接続回路30は導電体13と導電体23との間を電気的に導通しつつ、導電体13と導電体23との間で短絡することを防ぐよう抵抗31を備えている。
【0018】
給電母線11、21はそれぞれ分岐して、平滑コンデンサ4の正極端子と負極端子にそれぞれ接続され、パワーモジュール5の正極端子と負極端子にそれぞれ接続されている。平滑コンデンサ4は、給電母線11及び給電母線21との間に接続されることで、直流電源200とパワーモジュール5との間に接続される。平滑コンデンサ4は、直流電源200に入出力される電力を整流するコンデンサである。
【0019】
パワーモジュール5は、給電母線11、21を介して、直流電源200とバスバ6との間に接続されている。パワーモジュール5は、IGBT又はMOSFET等のモジュール化された、複数の半導体スイッチング素子を基板上に複数有している。そして、図示しないコントローラからの制御信号に基づき、当該半導体スイッチング素子をオン及びオフさせることで直流電源からの電力を変換して、バスバ6を介して電動機300に電力を出力するインバータである。図示しないコントローラが、車両のアクセル開度と対応するトルク指令値から、当該半導体スイッチング素子のスイッチング信号を生成し、パワーモジュール5に出力することで、当該半導体スイッチング素子のオン及びオフが切り換えられて、電動機300において所望の出力トルクを得るための交流電力がパワーモジュール5から出力される。パワーモジュール5は電動機300の各相に対応させて、U相、V相及びW相の出力線で、三相の電動機300に電気的に接続されている。
【0020】
バスバ6は、導電材料により板状の、3本の導電板で形成されており、パワーモジュール5とシールド線8をと接続する。バスバ6の先端部分が、電力変換装置100の端子(タブ)となって、シールド線8の先端に接続されている。
【0021】
次に、本例における、給電母線11、21、磁性体12、22、導電体13、23、及び、接続回路30の作用について、
図3を用いて説明する。
図3は、
図1の駆動システムのうち、給電母線11、21、磁性体12、22、導電体13、23、及び、接続回路30を等価回路で示した概要図である。なお、
図3において、電力変換装置100の一部及びシールド線7、8は図示を省略している。
【0022】
上記のように、導電体13及び導電体23は、磁性体12及び磁性体22をそれぞれ介して、給電母線11及び給電母線21にそれぞれ誘導結合しているため、
図3に示すように、コイルでそれぞれ表される。そして給電母線11と給電母線21との間は、当該コイルと、抵抗31とを接続する等価回路で表される。
【0023】
ところで、パワーモジュール5に含まれるスイッチング素子がスイッチング動作すると、スイッチングノイズが発生する。スイッチングノイズは、スイッチング素子のスイッチングのタイミングに応じて様々な周波数のノイズとなり、さらに給電母線11、21において特定の周波数でピーク値をもつノイズ発生源となるため、電力変換装置100の外部へ漏洩する可能性がある。そして、電力変換装置100を備えた車両に搭載されている車載ラジオの周波数帯域と、ノイズの周波数とが干渉した場合には、ラジオの聴取を困難にしたり、ノイズがユーザにとって耳障りとなる雑音になったりする可能性もある。さらに、ノイズが、車両に搭載された他の電子機器へ悪影響を及ぼす可能性もある。
【0024】
本例では、導電体13及び導電体23が、給電母線11及び給電母線21にそれぞれ誘導結合されているため、パワーモジュール5でスイッチングノイズにより、給電母線11、21でノイズが発生した場合には、当該ノイズを、誘導結合させた部分(
図3で等価的に示すコイルに相当)で誘起させる。そして、誘導結合させた部分で誘起されたノイズ電流を、抵抗31で熱として消費させる。これにより、ノイズを抑制し、電力変換装置100から外部へノイズの漏洩を防ぐ。
【0025】
また、本例では、抵抗31の抵抗値と、給電母線11、21、磁性体12、22、及び、導電体13、23により形成される誘導結合を、スイッチングノイズ成分(周波数)に応じて設定し、スイッチングに基づくノイズを抑制する。すなわち、スイッチングノイズは、複数の周波数を持っており、給電母線11の形状等により、特定の周波数のノイズが、給電母線11で発生するため、当該特定の周波数のノイズのピーク値を抑制するよう、ノイズ成分に応じて抵抗31の抵抗値及び容量結合部分の相互インダクタを設定することで、ノイズのピークを抑制することができる。
【0026】
上記のように、本例は、パワーモジュール5に接続される給電母線11及び給電母線21と、給電母線11及び給電母線21にそれぞれ誘導結合された導電体13及び導電体23と、抵抗を含み、導電体12と導電体22との間を電気的に接続する接続回路30とを備えている。これにより、パワーモジュール5のスイッチングに基づき、給電母線11及び21で発生したノイズによるノイズ電流を、誘導結合された部分に導通させることで、ノイズ電流を抵抗31に流し、熱として消費させ、ノイズを抵抗31で吸収することができる。その結果として、ノイズを抑制し、電力変換装置100から外部へのノイズの漏洩を防ぐことができる。また、誘導結合させるための回路及び接続回路30に、複雑な回路を用いなくてもよいため、回路構成の簡素化を図りつつ、ノイズの抑制を実現することができ、コストを下げることができる。
【0027】
また本例は、給電母線11と導電体13との間に設けられる磁性体12と、給電母線21と導電体23との間に設けられる磁性体22とを備えている。これにより、給電母線11、21と導電体13、23との間の誘導結合が強くなるため、ノイズの抑制効果を高めることができる。また、本例は、導電体13、23は、磁性体12、22を介して、給電母線11、21の近傍に配置されているため、給電母線11、21と導電体13、23との間の誘導結合を強くすることができ、ノイズの抑制効果を高めることができる。
【0028】
また本例は、抵抗31の抵抗値を、導電体13又は導電体23の抵抗値より高くする。これにより、接続回路30により導電体13と導電体23との間を接続した場合に、導電体13、23間の短絡を防ぎ、ノイズを抑制することができる。
【0029】
また、導電体13、23は金属テープにより形成されている。これにより、導電体13、23を容易に形成することができる。
【0030】
本例は、パワーモジュール5のスイッチング動作により給電母線11、21で発生するノイズ成分に応じて、抵抗31の抵抗値、または、誘導結合部分の相互インダクタンスを設定する。これにより、スイッチング動作により発生するノイズのピークに合わせて、容量結合部分及び抵抗31においてノイズを吸収させることができ、ノイズを抑制することができる。
【0031】
なお、本例は、磁性体12、22を導電体12、23の表面上に設けたが、磁性体12、23との絶縁状態を確保しつつ、給電母線11、21の表面上に、別途、磁性体を設けてもよい。
【0032】
上記パワーモジュール5が本発明に係る「インバータ」に相当し、給電母線11が本発明の「第1の給電母線」に、給電母線21が本発明の「第2の給電母線」に、導電体13が本発明の「第1の導電体」に、導電体23が本発明の「第2の導電体」に、磁性体12が本発明の「第1の磁性体」に、磁性体22が本発明の「第2の磁性体」に相当する。
【0033】
《第2実施形態》
図4は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。
図5は、
図4のV線に沿う断面図である。本例では上述した第1実施形態に対して、誘電体を設ける点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。
【0034】
誘電体14は、板状(平板)に形成され、給電母線11及び導電体13より誘電率の高い材料で、例えば樹脂等により形成されている。誘電体14の両側面は、給電母線11の主面及び磁性体12の主面とそれぞれ対向して、給電母線11と磁性体12との間に設けられ、給電母線11と導電体13との間に狭持されている。誘電体24は、板状(平板)に形成され、給電母線21及び導電体23より誘電率の高い材料で形成されている。誘電体24の両側面は、給電母線21の主面及び磁性体12の主面とそれぞれ対向して、給電母線21と導電体23との間に設けられ、給電母線21と導電体23との間に狭持されている。
【0035】
給電母線11及び導電体13は、誘電材料(絶縁材料)と磁性材料(フェライト)を狭持しているため、インダクタンスとして作用し、さらに、コンデンサとしても作用し給電母線11と導電体13との間は誘導結合しつつ、容量結合することになる。給電母線21及び導電体23についても、同様に、給電母線11と導電体13との間は誘導結合しつつ、容量結合している。
【0036】
これにより、本発明は、パワーモジュール5のスイッチングノイズによるノイズ電流を、誘導結合及び容量結合された部分に導通させることで、ノイズ電流を抵抗31に流し、熱として消費させ、ノイズを抵抗31で吸収することができる。その結果として、ノイズを抑制し、電力変換装置100から外部へのノイズの漏洩を防ぐことができる。
【0037】
《第3実施形態》
図6は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。
図7は、
図6のVII線に沿う断面図である。本例では上述した第2実施形態に対して、誘電体の構成が異なる。これ以外の構成は、上述した第2実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。
【0038】
図6及び
図7に示すように、誘電体14は給電母線11、21及び磁性体12、23の表面を樹脂で覆いつつ、給電母線11と導電体13との間、及び、給電母線21と導電体23との間に設けられ、導電体13及び導電体23に狭持されるよう構成されている。言い換えると、給電母線11の外周の一部は誘電体14に覆われ、給電母線21の外周の一部は誘電体14に覆われ、磁性体12、22の側面は誘電体14に覆われている。誘電体14は、給電母線11と給電母線21との間に狭持される。これにより、導電体13は磁性体12により給電母線11に誘導結合されつつ、誘電体14により給電母線11に容量結合される。また、導電体23も、同様に、磁性体22により給電母線21に誘導結合されつつ、誘電体24により給電母線21に容量結合される。
【0039】
ここで、本例における抵抗31の抵抗値の設定方法について、
図8〜
図10を用いて説明する。
図8は給電母線11、21の斜視図であり、
図9は抵抗31の抵抗値に対するノイズ特性を示すグラフであり、
図10はノイズ周波数に対する、給電母線11、21のインピーダンス特性を示すグラフである。なお、
図7において、給電母線11、21の長さをl、幅をw、高さHとし、給電母線11と給電母線21との間の距離をdとする。
【0040】
給電母線11と給電母線21との間の誘導成分をL
pn、容量成分をC
pnとすると、給電母線11、21の抵抗値(R
pn)は、下記の式(1)で示されるように、誘導成分(L
pn)の平方根に比例し、容量成分(C
pn)の平方根に反比例する値により近似される。
【数1】
【0041】
そして、給電母線11と給電母線21との間の自己インダクタンス(L
o)及び相互インダクタンス(M
o)は、以下の式(2)及び式(3)により表される。
【数2】
【数3】
【0042】
長さ(L)が、距離(d)に対して十分長い場合には、式(1)において、給電母線11と給電母線21との間の誘導成分(L
pn=2(L
o−M
o))と比較して、給電母線11と給電母線21との間の容量成分(C
pn)が支配的になる。
【0043】
給電母線11と給電母線21との間の比誘電率をε
rとし、真空誘電率をε
oとし、給電母線11及び給電母線21の相互に対向する面の面積をSとすると、容量成分(C
pn)は、下記の式(4)で近似される。
【数4】
【0044】
そして、式(4)を式(1)に代入することで、下記の式(5)が導き出される。
【数5】
【0045】
すなわち、給電母線11、21の抵抗値(R
pn)は、距離(d)の平方根に比例し、面積(S)の平方根に反比例する値で近似される。
【0046】
接続回路30において、ノイズ低減効果を発揮させるためには、抵抗31と給電母線11、21の抵抗との間でマッチングさせることが求められる。給電母線11、21の抵抗値(R
pn)を中心に、抵抗31の抵抗値を変化させ、ノイズ特性をとると、
図9に示すような特性を示す。なお、
図9において、縦軸はノイズ強度を表してしている。すなわち、給電母線11、21の抵抗に対して、抵抗31の抵抗値を抵抗値(R
pn)に設定した場合が最もノイズを低減させて、少なくとも、抵抗値(R
pn)を、抵抗値(R
pn/10)から抵抗値(10R
pn)の間に設定することで、ノイズを低減させることができる。
【0047】
次に、パワーモジュール5に含まれるスイッチング素子のスイッチング動作により生じるスイッチングノイズの周波数に対する、インピーダンス特性について説明する。ここで、給電母線11、21からみた、誘導結合部分及び接続回路30のインピーダンスをZ
oとし、抵抗31の抵抗値(R)を抵抗値(R
pn)とマッチングさせた場合(R≒R
pn)のインピーダンス特性を
図8のグラフaに示し、抵抗31の抵抗値を抵抗値(R
pn)に対して十分に大きい場合(R>>R
pn)、または、抵抗31の抵抗値を抵抗値(R
pn)に対して十分に小さい場合(R<<R
pn)のインピーダンス特性を
図8のグラフbで示す。
【0048】
グラフbに示すように、給電母線11、21の抵抗値(R
pn)に対して、抵抗31の抵抗値(R)が十分に大きい、または、十分に小さい場合には、鋭い共振を示し、共振点でのインピーダンスの変化量が大きくなっている。一方、グラフaに示すように、抵抗31の抵抗値(R)が給電母線11、21の抵抗値(R
pn)に近似している場合には、共振が緩くなり、共振点でのインピーダンスの変化量が小さくなるため、共振点に相当する周波数のノイズが抑制される。これにより、抵抗31の抵抗値(R)を、給電母線11、21の抵抗値(R
pn)に基づいて設定することで、ノイズを抑制することができる。また、共振点付近に、ラジオの周波数等、干渉させたくない周波数帯域(
図9に示す帯域A)がある場合でも、抵抗31の抵抗値(R)と給電母線11、21の抵抗値(R
pn)とをマッチングさせることで、共振周波数におけるインピーダンス(Z
o)の変化量を抑制し、その結果として、当該周波数帯域におけるノイズを抑制することができる。
【0049】
上記のように、本例は、給電母線11、21の表面の一部と磁性体12、22を覆い(樹脂によりモールドされ)、給電母線11と導電体13との間、及び、給電母線21と導電体23との間に設けられ、樹脂により形成される誘電体14を備えている。これにより、本例は、導電体13、23と給電母線11、21とを容量結合及び誘導結合させるように導電体13、23を位置決めする際に、導電体13、23を誘電体14の表面に配置すればよいため、容易に、給電母線11、21に対する導電体13、23の位置決めを容易にすることができ、その結果として、給電母線11、21で発生するノイズを抑制することができる。
【0050】
また本例において、抵抗31の抵抗値は、給電母線11と給電母線21との間の誘導成分の平方根に比例し、かつ、給電母線11と給電母線21との間の容量成分の平方根に反比例する値に設定されている。これにより、給電母線11、21で発生するノイズを抑制し、電力変換装置100から外部へノイズの漏洩を防ぐことができる。
【0051】
また本例において、抵抗31の抵抗値は、給電母線11と給電母線21との間の距離の平方根に比例し、かつ、給電母線21と対向する給電母線11の対向面の面積、または、給電母線11と対向する給電母線21の対向面の面積の平方根に反比例する値に設定されている。これにより、給電母線11、21で発生するノイズを抑制し、電力変換装置100から外部へノイズの漏洩を防ぐことができる。
【0052】
なお、本例は、誘電体14を一体化させて、給電母線11及び給電母線21を覆う構成としたが、誘電体14を分離させて、分離した誘電体14が、給電母線11の一部及び給電母線21の一部をそれぞれ覆うように、構成してもよい。
【0053】
上記の誘電体14が本発明の「第1の誘電体」及び「第2の誘電体」に相当する。
【0054】
《第4実施形態》
図11は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、接続回路40を設ける点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、第1〜第7実施形態の記載を適宜、援用する。
【0055】
図11に示すように、接続回路40は、抵抗41と、配線42、43とを備えている。接続回路40は、接続回路30と同様に、導電体13と導電体23との間を接続する回路である。接続回路30が導電体13及び導電体23の先端に、接続回路40が導電体13及び導電体23の他端に接続される。抵抗41の抵抗値は、抵抗31と同様に、給電母線11、21で発生するノイズのノイズ成分に応じて設定され、また、給電配線11、21の抵抗とマッチングさせるよう設定される。
【0056】
上記のように、本例は、導電体13と導電体23との間に、抵抗31、41を有する接続回路30、40を接続する。これにより、導電体13と導電体23との間には、二つの抵抗31、41が接続されるため、誘導結合部分で誘起されたノイズによるノイズ電流を二つの抵抗で熱として消費させることができるため、ノイズを抑制する時間を短縮化することができる。また、ノイズのモードを分散させることができるため、ノイズの抑制効果を高めることができる。
【0057】
なお、本例は、
図12に示すように、抵抗51と、配線52、53とを有する接続回路50を、導電体13と導電体23との間に接続してよく、また、導電体13と導電体23との間には、抵抗31、41、51と同様の抵抗を含む接続回路をさらに接続してもよい。接続回路50は接続回路30、40と同様な回路である。
図12は、本発明の実施形態の変形例に係る電力変換装置100を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。
【0058】
なお、本例は、
図13に示すように、導電体13を、平板状の導電体13a及び導電体13bにより構成し、導電体23を、平板状の導電体23a及び導電体23bにより構成し、導電体13aと導電体13bとの間、及び、導電体23aと導電体23bとの間を接続回路40で接続してもよい。
図13は、本発明の実施形態の変形例に係る電力変換装置100を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。これにより、容量結合部分で誘起されたノイズを複数の抵抗で熱として消費させることができるため、ノイズを抑制する時間を短縮化することができる。また、ノイズのモードを分散させることができるため、ノイズの抑制効果を高めることができる。
【0059】
《第5実施形態》
図14は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。本例では上述した第1実施形態に対して、抵抗60を設ける点が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。
【0060】
抵抗60は、複数の抵抗60a〜60cを有し、抵抗60a〜60cは、板状に形成されている。また抵抗60a〜60cは、所定の間隔をあけて、導電体23の側面のうち、誘電体22と対向しない側の側面に設けられている。また抵抗60a〜60bの単位長さあたりの抵抗値は、導電体23の単位長さあたりの抵抗値より大きくなるよう、抵抗60a〜60cの材料が選択され、または、抵抗60a〜60cの形状が設計されている。
【0061】
導電体13の先端と導電体23の先端との間には、板状の導電体17が接続されており、導電体13と導電体23との間は、導電体17を介して、電気的に接続されている。
【0062】
抵抗60a〜60cの抵抗値は、導電体13、17、23の抵抗値より高くなっており、抵抗60a〜60cは、導電体23の抵抗を増大させるために設けられている。そして、給電母線11、21で発生したノイズによりノイズ電流が導電体13、17、23に流れると、ノイズ電流は、抵抗値の高い抵抗60a〜60cで熱として消費される。これにより、本例は、高周波のノイズ電流を吸収する。
【0063】
上記のように、本例は、導電体13又は導電体23の抵抗値より高い抵抗値である抵抗60を導電体23に設け、導電体17により導電体13と導電体23との間を電気的に接続する。これにより、給電母線11、21で発生したノイズによるノイズ電流が抵抗60で消費されるため、給電母線11、21で発生するノイズを抑制することができる。
【0064】
これにより、スイッチグノイズによるノイズ電流が、導電体13aと導電体13bとの間、導電体13bと導電体13cとの間、導電体23aと導電体23bとの間、及び、導電体23bと導電体23bとの間を導通する際には、増大した抵抗60a〜60dを流れ、熱として消費されるため、給電母線11、21で発生するノイズを抑制することができる。また、
図22に示す抵抗60a〜60cと比較して、抵抗60a〜60dの大きさを小型化させることができる。
【0065】
なお、抵抗60は、導電体17、32に設けてもよい。
【0066】
なお、本例は、抵抗60a〜60cにより抵抗を増大させたが、抵抗60a〜60cの代わりに、導電体13、導電体15又は導電体23の少なくとも一部分にフェライトを含ませることで、抵抗60a〜60cを形成してもよい。これにより、導電体13、15、23のうち、フェライトを含む部分の抵抗値が、フェライトを含まない部分の抵抗値より高くなるため、ノイズ電流を、当該フェライトを含む部分で消費させることができ、ノイズを抑制することができる。また、導電体23の一部にフェライトを吹き付ければよいため、導電体13、15、23に容易に抵抗成分を加えることができる。
【0067】
なお本例の抵抗60a〜60cが本発明に係る「抵抗」に相当し、抵抗60a〜60c及び導電体32を含む回路部分が本発明の「接続回路」に相当する。
【0068】
《第6実施形態》
図15は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置を含む電気自動車の駆動システムの概要図である。
図16は
図15の駆動システムの回路図である。本例では上述した第1実施形態に対して、給電母線の構成が異なる。これ以外の構成は、上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。なお、本例の電力変換装置は、後述する接続回路30及び導電体200を備えているが、
図15及び
図16では、磁性体12、22、導電体13、23及び接続回路30の図示を省略している。
【0069】
本例の駆動システムは、直流電源200と、電動機300と、シールド線6、7と、電力変換装置100とを備えている。
【0070】
直流電源200は、複数の二次電池を直列又は並列に接続した電池と、当該電池の正極端子及び負極端子により構成され、シールド線50により電力変換装置に接続されている。直流電源200は、車両の動力源となり、電力変換装置に直流電力を供給する。電力変換装置は、直流電源200と電動機2との間に接続され、直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換し電動機2に供給する。
【0071】
シールド線7は、一対のシールド線で構成され、一方のシールド線71は直流電源200の正極端子と給電母線111とを接続し、他方のシールド線72は直流電源200の負極端子と給電母線131とを接続する。シールド線71は、線状の金属線71aの外周を、樹脂により形成された樹脂部71bで被覆することで構成される電線である。シールド線72は、シールド線71と同様に構成されている。
【0072】
電力変換装置は、金属筐体9と、給電母線111、121〜123、131、141〜143と、パワーモジュール5と、コンデンサ4と、バスバ8とを備えている。また、電力変換装置は、
図15及び
図16では図示しない、磁性体12、22、導電体13、23及び接続回路30を備えている。
【0073】
金属筐体3は、電力変換装置の外装部材であって、電力変換装置100内で発生するノイズの外部への漏洩を防ぐための筐体である。金属筐体3は、金属製の部材で形成されており、内部に、給電母線111、121〜123、131、141〜143と、パワーモジュール5と、コンデンサ4と、バスバ8と、磁性体12、22と、導電体13、23と、接続回路30とを収容する。
【0074】
給電母線111、121〜123、131、141〜143は、板状(平板状)の導電体により形成され、直流電源200とパワーモジュール5との間を電気的に接続する導電性の部材である。給電母線111、131は、直流電源から出力される電力をパワーモジュール5に給電する一対の電源線である
【0075】
給電母線111は、シールド線7を介して、直流電源200の正極側に接続されており、パワーモジュール5を構成するインバータ回路のうち、P側の電源線に相当する。また、給電母線131は、シールド線72を介して、直流電源200の負極側に接続されており、パワーモジュール5を構成するインバータ回路のうち、N側の電源線に相当する。
【0076】
給電母線111、131は、互いの主面(長手方向に沿う面の内、最も幅の広い面)同士を対向するよう配置されており、給電母線111、131の互いに対向する対向面の間に隙間を設けて、配置されている。すなわち、給電母線111の上下面(主面に沿った面)のうち、下面が給電母線131と対向し、給電母線131の上下面のうち、上面が給電母線111と対向している。また、給電母線111と給電母線131は、インダクタンス成分を低減させるために、近接している。給電母線111、131の一部、又は、給電母線111、131の先端部分が、電力変換装置の端子(タブ)となって、シールド線7の先端に接続されている。
【0077】
給電母線121、141、給電母線122、142及び給電母線123、143は、PN電源線である給電母線111、131の電力を、パワーモジュール5のインバータ回路の各相に、それぞれ給電する、一対の配線である。
【0078】
給電母線121〜123は、給電母線111及びパワーモジュール5に接続されており、パワーモジュール5のインバータ回路のうち、U、V、W相の上アーム回路へのそれぞれの接続用配線に相当する。給電母線141〜143は、給電母線131及びパワーモジュール5に接続されており、パワーモジュール5のインバータ回路のうち、U、V、W相の下アーム回路へのそれぞれの接続用配線に相当する。
【0079】
給電母線121、141は、互いの主面同士を対向するよう配置されており、給電母線121、141の互いに対向する対向面の間に隙間を設けて、配置されている。すなわち、給電母線121の上下面(主面に沿った面)のうち、下面が給電母線141と対向し、給電母線141の上下面のうち、上面が給電母線121と対向している。また、給電母線121と給電母線141は、インダクタンス成分を低減させるために、近接して配置されている。
【0080】
給電母線121の長手方向の両端部のうち、一方の先端部の側面は、給電母線111の長手方向に沿う側面と、面同士で接触した状態で、給電母線111の側面に接続されている。給電母線121の長手方向の両端部のうち、他方の先端部の側面は、パワーモジュール5の端子に接続されている。給電母線122、123も同様に、長手方向の両端部の側面は、給電母線111の側面、及び、パワーモジュール5の端子にそれぞれ接続されている。また、給電母線121と給電母線122との間、及び、給電母線122と給電母線123との間には、一定の隙間が空くように、給電母線121〜123が配置されている。
【0081】
給電母線141の長手方向の両端部のうち、一方の先端部の側面は、給電母線131の長手方向に沿う側面と、面同士で接触した状態で、給電母線131の側面に接続されている。給電母線141の長手方向の両端部のうち、他方の先端部の側面は、パワーモジュール5の端子に接続されている。給電母線142、143も同様に、長手方向の両端部の側面は、給電母線131の側面、及び、パワーモジュール5の端子にそれぞれ接続されている。また、給電母線141と給電母線142との間、及び、給電母線142と給電母線143との間には、一定の隙間が空くように、給電母線141〜143が配置されている。
【0082】
給電母線111及び給電母線121〜123は、それぞれの主面が面一になるよう、配置されている。また、給電母線131及び給電母線141〜143は、それぞれの主面が面一になるよう、配置されている。
【0083】
なお、給電母線121〜123、141〜143とパワーモジュール5との接続位置は、
図15では、直方体の形状のパワーモジュール5に対して正面に設けたが、給電母線121〜123、141〜143の主面がパワーモジュール5の底面に沿うように配置され、給電母線121〜123、141〜143の主面とパワーモジュール5の底面同士を接続するようにしてもよい。また、給電母線121〜123、141〜143は、パワーモジュール5の他の面に接続されてもよい。
【0084】
パワーモジュール5のインバータの回路は、
図16に示すように、複数のスイッチング素子(S1、S2)を直列に接続し、かつ、当該複数のスイッチング素子に対して還流ダイオード(D1、D2)を逆並列にそれぞれ接続した直列回路を、PN電源線(給電母線11、31に相当)の間に接続している。V相及びW相のアーム回路を構成するスイッチング素子(S3〜S6)及びダイオード(D3〜D6)も、それぞれ直列に接続されている。そして、インバータ回路は、複数の当該直列回路をPN電源線の間で、並列に複数接続している
【0085】
コンデンサ4は、パワーモジュール5のインバータ回路の平滑コンデンサであり、給電母線111と給電母線131との間に接続されている。コンデンサ4は、パワーモジュール5の上に載置されている。なお、
図15では、図示を省略しているが、コンデンサ4は、給電母線11、31と配線により電気的に接続されている。また、コンデンサ4は、給電母線21〜23と給電母線41〜43との間に、配線により接続されていてもよい。
【0086】
次に、
図17〜
図19を用いて、磁性体12、22、導電体13、23及び接続回路30の構成を説明する。
図17は、本例の電力変換装置うち、U相に相当する給電母線121、141と給電母線111、131との接続部分の斜視図である。
図18は
図17のXVIII線に沿う断面図である。
図19は
図17で示す構成の等価回路である。
【0087】
図17及び
図18に示すように、給電母線111の側面のうち、給電母線131と対向する対向面に対して、給電母線131とは反対側の側面(給電母線11と対向しない側面であり、給電母線131の上側の側面)には、磁性体12を介して、板状の導電体13が設けられている。導電体13は、給電母線121の側面のうち、給電母線141と対向する対向面に対して、給電母線141とは反対側の側面の一部と、磁性体12を介して、配置されている。言い換えると、導電体13は、磁性体12を介して、給電母線111の主面の一部、給電母線121の主面の一部、及び、給電母線111と給電母線121との接続部分を覆うように、配置されている。導電体13は、給電母線111、121の主面と平行に沿った板状の部材であり、導電材により形成されている。
【0088】
給電母線131の側面のうち、給電母線111と対向する対向面に対して、給電母線111とは反対側の側面(給電母線111と対向しない側面であり、給電母線131の下側の側面)には、磁性体22を介して、板状の導電体23が設けられている。導電体23は、給電母線141の側面のうち、給電母線121と対向する対向面に対して、給電母線121とは反対側の側面の一部と、磁性体22を介して、配置されている。言い換えると、導電体23は、磁性体22を介して、給電母線131の主面の一部、給電母線141の主面の一部、及び、給電母線131と給電母線141との接続部分を覆うように、配置されている。また、導電体23は、給電母線131、141の主面と平行に沿った板状の部材であり、導電材により形成されている。
【0089】
導電体13は、給電母線111、121と近接した位置に配置されている。そして、導電体13及び給電母線111、121は導電性の材料により形成されている。そのため、導電体13及び給電母線111、121との間には、結合容量(キャパシタンス)が発生し、導電体13及び給電母線111、121はコンデンサとして作用する。また、同様に、導電体24及び給電母線131、141もコンデンサとして作用する。
【0090】
導電体23、24の長手方向に両端部のうち、一方の端部は開放端になっている。また、当該両端部のうち、他方の端部は接続回路30にそれぞれ接続されている。
【0091】
磁性体12は、板状(平板)に形成され、給電母線111、121及び導電体13より透磁率の高い材料で、例えばフェライト等により形成されている。誘電体12の両側面は、給電母線111、121の主面及び導電体13の主面とそれぞれ対向して、給電母線111、121と導電体23との間に設けられ、導電体13の表面に設けられている。
【0092】
磁性体22は、板状(平板)に形成され、給電母線131、141及び導電体23より透磁率の高い材料で、例えばフェライト等により形成されている。磁性体22の両側面は、給電母線131、141の主面及び導電体23の主面とそれぞれ対向して、給電母線131、141と導電体23との間に設けられ、導電体23の表面に設けられている。
【0093】
上記のように、導電体13と給電母線111、121との間には磁性体12が挟持され、導電体23と給電母線131、141との間には磁性体12が挟持されているため、導電体13及び給電母線111、121との間、及び、導電体23及び給電母線131、141との間は、インダクタ結合(インダクタンス)として作用する。
【0094】
接続回路30は、抵抗31を含む回路であって、導電体13と導電体23とを接続する回路である。接続回路30に含まれる抵抗31は、接続回路30に抵抗成分を持たせるために設けられた素子である。抵抗31の抵抗値は、少なくとも導電体13、23の抵抗値より高く設定されている。抵抗31は、接続回路30を構成する導電性の板材の内部に形成され、又は、接続回路30の内部配線に素子を接続することで構成される。これにより、接続回路30は、導電体13と導電体23との間を電気的に接続しつつ、抵抗31により、導電体13と導電体23との間で短絡することを防ぐように、構成されている。
【0095】
なお、接続回路30における、導電体13と導電体23との間の電気的な接続は、抵抗31を導電体13と導電体23に直接的に接続する接続形態と、抵抗31を、配線等を介して、導電体13と導電体23を間接的に接続する接続形態を含んでいる。
【0096】
上記のように、導電体13及び導電体23は、磁性体12、22を介して、給電母線11、21及び給電母線31、41にそれぞれ誘導結合しているため、
図19に示すように、導電体13と給電母線111、121との間、及び、導電体23と給電母線131、141との間は、コイルとして作用する。そして給電母線111、121と給電母線131、141との間は、当該コイルと、抵抗31とを接続する等価回路で表される。
【0097】
本例では、導電体13及び導電体23が、給電母線111、121及び給電母線131、141にそれぞれ誘導結合されているため、パワーモジュール5のスイッチングノイズにより、給電母線11、121、131、141でノイズが発生した場合には、当該ノイズを、誘導結合させた部分(
図19で等価的に示すコンデンサに相当)で誘起させる。そして、誘導結合させた部分で誘起されたノイズ電流を、抵抗31で熱として消費させる。これにより、ノイズを抑制し、電力変換装置100から外部へノイズの漏洩を防ぐ。
【0098】
次に、接続回路30の抵抗31の抵抗値について説明する。給電母線111(121)及び給電母線131(141)は、板状であって、断面が略長方形になるよう、構成されている。そして、給電母線111(121)と給電母線131(141)との間の結合容量をCとすると、結合容量(C)は、上記の式(4)で表される。
【0099】
また各給電母線111〜141の自己インダクタンス(L)及び、対向する給電母線111(121)、給電母線131(141)間の相互インダクタンスMは、上記の式(2)及び式(3)でそれぞれ表される。
【0100】
給電母線111と給電母線131との特性インピーダンスをZ
abとした場合に、各特性インピーダンス(Z
ab)は、下記の式(6)で表される。
【数6】
ただし、L
abは給電母線111と給電母線131との間の誘導成分(インダクタンス成分)を示し、C
abは給電母線111と給電母線131との間の容量成分(キャパシタンス成分)である。
【0101】
そして、式(6)に式(4)を代入すると、以下の式(7)が導出される。
【数7】
【0102】
給電母線121、141についても同様に、給電母線121と給電母線141との特性インピーダンスをZ
cdとした場合に、各特性インピーダンス(Z
cd)は、下記の式(8)で表される。
【数8】
【0103】
そして、式(8)に式(4)を代入すると、以下の式(9)が導出される。
【数9】
【0104】
図19に、等価回路上における、各給電母線111、121、131、141の特性インピーダンスの関係を示す。給電母線111(131)と給電母線121(141)は、全く同じ形状ではなく、長さ等が異なるため、各母線の電気的特性が異なる。そのため、給電母線内を導通する交流成分(ノイズ成分)について、給電母線111(131)と給電母線121(141)との接続部分で、反射が生じる。この時、給電母線111(131)及び給電母線121(141)の合成インピーダンスの大きさ(R
pn)は、以下の式(10)で近似される。
【数10】
【0105】
給電母線111(131)と給電母線121(141)との接続部分で反射するノイズ成分を、効率よく、接続回路30に流して、抵抗31で消費させるためには、当該接続部分に電気的に接続されている抵抗31の抵抗値と、当該接続部分に接続されている給電母線111(131)及び給電母線121(141)のインピーダンスをマッチングさせることが求められる。
【0106】
すなわち、抵抗31の抵抗値を式(9)で示されるインピーダンスの大きさに設定する。これにより、接続回路30と、給電母線111(131)、給電母線121(141)の接続部分との間で、インピーダンスマッチングがとれるため、ノイズの漏洩を防ぐことができる。
【0107】
上記のように、本例において、導電体13と誘導結合される給電母線は、給電母線111と給電母線121とを有し、導電体23と誘導結合される給電母線は、給電母線131と給電母線141とを有している。これにより、パワーモジュール5のスイッチング素子S1〜S6のオン、オフ動作により生じるノイズを、接続回路30の抵抗31で吸収することができるため、ノイズを低減させることができる。また、ノイズを低減する際の応答特性を早めることができる。
【0108】
なお、本例において、接続回路30の抵抗31と、給電母線111、121、131、141の合成インピーダンスの大きさとの間でマッチングとる際に、抵抗31の抵抗値と、給電母線111、121、131、141と導電体13、23との間の誘導結合部分の相互インダクタを、パワーモジュール5で発生するスイッチングノイズの周波数に応じて設定してもよい。すなわち、スイッチングノイズは、ピーク値をとる複数の周波数を持っており、給電母線111、121、131、141の形状等により、特定の周波数のノイズが、給電母線111、121、131、141で発生するため、当該特定の周波数のノイズのピーク値を抑制するよう、ノイズ成分に応じて抵抗31の抵抗値及び容量結合部分の静電容量を設定することで、ノイズのピークを抑制することができる。
【0109】
なお、給電母線111と、給電母線121〜123との、それぞれの接続部分について、給電母線111、121〜123を一体化させることで、当該接続部分で継ぎ目がないように、それぞれの給電母線を接続してもよい。同様に、給電母線131、141〜143を一体化させることで、給電母線131と、給電母線141〜143との接続部分で継ぎ目がないように、それぞれの給電母線を接続してもよい。
【0110】
なお、本例はU相に相当する給電母線121、141と誘導結合させるように導電体13、23を設けたが、V相に相当する給電母線122、142、又は、W相に相当する給電母線123、143と容量結合させるように、導電体13、23を設けてもよい。
【0111】
上記給電母線111が本発明の「第3の給電母線」に、給電母線121が本発明の「第4の給電母線」に、給電母線131が本発明の「第5の給電母線」に、給電母線141が本発明の「第6の給電母線」に相当する。
【0112】
《第7実施形態》
図20は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置のうち、U相に相当する給電母線121、141と給電母線111、131との接続部分、V相に相当する給電母線122、142と給電母線111、131との接続部分、及び、W相に相当する給電母線123、143と給電母線111、131との接続部分の斜視図である。本例では上述した第6実施形態に対して、導電体13、23及び磁性体12、22を、V相及びW相に相当する、給電母線122、123、142、143に設け、それぞれの導電体13、23を接続回路30で電気的に接続する点が異なる。これ以外の構成は、上述した第6実施形態と同じであるため、第6実施形態の記載を適宜、援用する。
【0113】
図20に示すように、導電体13、23は、給電母線121、141に加えて、給電母線122、142及び給電母線123、143と、磁性体12、22を介して、それぞれ誘導結合するよう設けられている。導電体13と給電母線111、122との間には磁性体12が設けられ、導電体23と給電母線131、142との間には磁性体22が設けられている。同様に、導電体13と給電母線111、123との間には磁性体12が設けられ、導電体23と給電母線131、143との間には磁性体22が設けられている。
【0114】
さらに、給電母線111及び給電母線121、122、123と誘導結合するよう設けられた複数の導電体13と、給電母線131及び給電母線141、142、143と容量結合するよう設けられた複数の導電体23と間は、複数の接続回路30でそれぞれ接続されている。
【0115】
なお、本例の接続回路30、導電体13、23及び磁性体12、22は、第6実施形態に係る、接続回路30、導電体13、23及び磁性体12、22と、同様の構成である。
【0116】
これにより、複数の接続回路30は、パワーモジュール5内のインバータ回路の各相を構成する複数のスイッチング素子の直列回路と、それぞれ対応しつつ、導電体13と導電体23との間に接続されている。
【0117】
図21は、
図20で示す構成の等価回路である。ここで、給電母線122と給電母線142との特性インピーダンスをZc’d’とし、給電母線123と給電母線143との特性インピーダンスをZc’’d’’とする。
【0118】
図21に示すように、給電母線111と給電母線131との間の電気的特性は、給電母線122と給電母線142との間の電気的特性と異なり、また給電母線123と給電母線143との間の電気的特性とも異なる。そのため、給電母線111と給電母線122、123とのそれぞれの接続部分、及び、給電母線131と給電母線142、143とのそれぞれの接続部分でノイズの反射が生じる。
【0119】
本例では、導電体13、23が、給電母線111、131、給電母線121〜123、141〜143、給電母線111と給電母線122、123とのそれぞれの接続部分、及び、給電母線131と給電母線142、143とのそれぞれの接続部分で、誘導結合されている。さらに、接続回路30の抵抗31の抵抗値が、これらの接続部分における合成インピーダンスの大きさとマッチングをとるように、設定されている。そのため、各相で発生するノイズの漏洩を防ぐことができる。
【0120】
上記のように、本例は、複数の接続回路30は、パワーモジュール5内のインバータ回路の各相を構成する複数のスイッチング素子の直列回路と、それぞれ対応しつつ、導電体13と導電体23との間に接続されている。これにより、パワーモジュール5の各相で発生するノイズを、複数の接続回路30の抵抗31でそれぞれ吸収することができるため、ノイズを低減させることができる。また、ノイズを低減する際の応答特性を早めることができる。また、パワーモジュール5の各相に接続された、給電母線121〜123、141〜143の電気的特性が異なる場合に、各相に対応して接続回路30を接続し、各相の給電母線の電気的特性に応じて、各接続回路30の抵抗31の抵抗値を設定することができるため、電気的特性の違いによる、給電母線の接続部分のノイズの反射を抑制することができる。
【0121】
図22に、本発明の変形例に係る電力変換装置を示す。
図22は、本発明の変形例係る電力変換装置のうち、U相に相当する給電母線121、141と給電母線111、131との接続部分、V相に相当する給電母線122、142と給電母線111、131との接続部分、及び、W相に相当する給電母線123、143と給電母線111、131との接続部分の斜視図である。
【0122】
本発明の変形例に係る電力変換装置では、
図22に示すように、1枚の板状の導電体13が、給電母線111、121〜123とそれぞれ容量結合され、1枚の板状の導電体23が、給電母線121、141〜143とそれぞれ容量結合されている。また、導電体13と給電母線111、121〜123との間には、1枚の板状の磁性体12が狭持され、導電体23と給電母線131、141〜143との間には、1枚の板状の磁性体22が狭持されている。そして、複数の接続回路30が、パワーモジュール5内のインバータ回路の各相を構成する複数のスイッチング素子の直列回路と、それぞれ対応しつつ、導電体13と導電体23との間に接続されている。これにより、結合させる容量を高めることができる。
【0123】
《第8実施形態》
図23は、発明の他の実施形態に係る電力変換装置の構成の一部を示す斜視図である。本例では上述した第7実施形態に対して、接続部品400を構成する、磁性体12、22、導電体13、23で、給電母線111、121〜126、131、141〜l46と容量結合させている点が異なる。それ以外の構成は、第7実施形態の記載を適宜、援用する。なお、
図23の接続部品400に描かれたコイル及び抵抗は、接続部品400と給電母線との間で誘導結合されていること、及び、接続部品400に抵抗成分が含まれていることを、示している。
【0124】
給電母線111、131の主面は、直方体形状のパワーモジュール5の側面及びコンデンサ4の側面と平行になるように配置されている。また、給電母線111、131は、主面に沿う方向において、パワーモジュール5の天面とコンデンサ4の底面との間に配置されている。
【0125】
給電母線111は、パワーモジュール5の各相に電力を供給するために、各相と対応して分岐している。給電母線11の分岐部分は、給電母線111の主面に沿って、パワーモジュール5の側面及びコンデンサ4の側面と平行に、延在している。また、同様に、給電母線111は、コンデンサ4と電気的に接続するために分岐している。給電母線131は、給電母線111と同様に構成されている。
【0126】
給電母線121〜123の主面は、パワーモジュール5の底面に配置され、パワーモジュール5の底面から導出する端子(図示しない)に接続されている。また、給電母線121〜123の主面上に、パワーモジュール5の底面が設けられている。また、給電母線121〜123は、給電母線111、131の主面と平行なパワーモジュール5の側面に沿うように屈曲している。給電母線121〜123は、板状の導電体を屈曲させた形状になっている。給電母線121〜123及び給電母線111は、導電体により一体化されている。そのため、給電母線111の本体部(長い矩形状の部分)から、各相に対応して分岐させた部分は、給電母線121〜123を屈曲させた部分になる(当該部分は、給電母線111と給電母線121〜123との接続部分になる。)。
【0127】
給電母線124〜126は、導電体で板状に形成されており、給電母線111とコンデンサ4とを接続する電源線である。コンデンサ4は、パワーモジュール5のインバータの各相に対応して、3つのコンデンサに分離されている。
【0128】
給電母線124〜126の主面は、複数のコンデンサ4の底面にそれぞれ接続され、給電母線124〜126の主面上に、複数のコンデンサ4の底面がそれぞれ設けられている。また、給電母線124〜126は、給電母線111、131の主面と平行なコンデンサ4の側面に沿うように屈曲している。給電母線124〜126は、板状の導電体を屈曲させた形状になっている。給電母線124〜126及び給電母線111は、導電体でそれぞれ一体化されている。そのため、給電母線111の本体部(長い矩形状の部分)から、コンデンサ4に向けた分岐させた部分は、給電母線124〜126を屈曲させた部分にそれぞれなる(当該部分は、給電母線11と給電母線24との接続部分になる。)。
【0129】
なお、給電母線141〜143は、給電母線121〜123と同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。給電母線144〜146は、導電体で板状に形成されており、給電母線111とコンデンサ4とを接続する電源線である。給電母線144〜146は、給電母線124〜126と同様に構成されているため、詳細な説明を省略する。
【0130】
接続部品400は、給電母線111、121と給電母線131、141、給電母線111、122と給電母線131、142、給電母線111、123と給電母線131、143、給電母線111、124と給電母線131、144、給電母線111、125と給電母線131、145、及び、給電母線111、126と給電母線131、146をそれぞれ電気的に接続する部材である。また、接続部品400は、シールド線70と給電母線111、131との接続点において、給電母線111と131を電気的に接続する部材である。
【0131】
ネジ500は、接続部品400と、給電母線111、121〜126、131、141〜146をネジ止めにより締結する部材である。
【0132】
次に、
図24〜
図26を用いて、接続部品400と、給電母線111、121及び給電母線131、141との接続部分の構成について説明する。
図24は
図23の矢印XXIVの矢視図であり、
図25は
図24のXXV線に沿った断面図である。
図26は
図24の接続部分の等価回路である。
【0133】
接続部品400は、磁性体12、22と、導電体13、23と接続回路30を備えている。磁性体12は、導電体13の主面上に設けられ、磁性体22は、導電体23の主面上に設けられている。
【0134】
磁性体12と導電体13、及び、磁性体22と導電体23は、接続回路30を狭持するよう配置されている。また、接続部品400は、磁性体12、22、導電体13、23と接続回路30とをモジュール化することで一体化させている。なお、接続部品400のモジュールは、例えば、磁性体12、22、導電体13、23及び接続回路30を樹脂等の絶縁部材で覆うことで、各部品を一体化させている。または、接続部品400は、基板上に、磁性体12、22、導電体13、23及び接続回路30を実装させることで、モジュール化してもよい。
【0135】
磁性体12、22、導電体13、23には、ネジ500を締結させるための締結孔が設けられており、締結孔の側面には、雌ねじが切られている。また、給電母線111、121と給電母線131、141のそれぞれ接続部分にも、同様の締結孔が設けられ、当該締結孔の側面には雌ねじか切られている。
【0136】
図25に示すように、ネジ500は、給電母線111、121と、導電体13との間に、磁性体12を挟んだ状態で、給電母線111、121と導電体13を締結する。給電母線111、121と、導電体13との間に、磁性体12を挟持させることで、
図26に示すように、導電体13と給電母線11、21との間には、相互インダクタンス(コイル成分)が発生し、導電体13及び給電母線11、21はコイルとして作用する。これにより、導電体13は、給電母線11及び給電母線21と誘導結合されている。
【0137】
また、ネジ500は、他の締結部分も同様に、給電母線111、121〜126、131、141〜146と、導電体13、23との間に、磁性体12、22を狭持させつつ、給電母線111、121〜126、131、141〜146と、導電体13、23を締結する。そのため、導電体13、23と給電母線111、121〜126、131、141〜146との間には、相互インダクタンスが発生し、各母線と導電体13、23との間はコイルとして作用する(
図26を参照)。これにより、導電体13、23は、給電母線111、121〜126、131、141〜146とそれぞれ誘導結合されている。
【0138】
次に、各接続部品400に含まれる抵抗31の抵抗値について説明する。
図27は、
図23に示す構成の等価回路である。ここで、給電母線124と給電母線144との特性インピーダンスをZ
c’’’d’’’とする。また、シールド線71とシールド線72との特性インピーダンスをZ
efとする。なお、
図27では、説明を容易にするために、給電母線125と給電母線145の電気的特性、及び、給電母線126と給電母線146の電気的特性は、給電母線124と給電母線144との間の電気的特性と同じとし、等価回路も省略している。
【0139】
図27に示すように、給電母線111と給電母線131との間の電気的特性は、給電母線124と給電母線144との間の電気的特性と異なる。そのため、給電母線111と給電母線124との接続部分、及び、給電母線131と給電母線144との接続部分でノイズの反射が生じる。
【0140】
本例では、第6実施形態と同様に、給電母線111、124及び給電母線131、144と誘導結合する接続部品400の抵抗31の抵抗値は、上記の接続部分の合成インピーダンスの大きさとマッチングをとるように、設定されている。なお、給電母線24と給電母線44との特性インピーダンス(Z
c’’’d’’’)は、式(6)〜(9)で導出される。そして、接続部分の合成インピーダンス(Z
abとZ
c’’’d’’’との合成インピーダンス)は、式(10)により導出される。
【0141】
同様に、給電母線111と給電母線131との間の電気的特性は、シールド線71とシールド線72との間の電気的特性と異なる。そのため、給電母線111とシールド線71との接続点、及び、給電母線131とシールド線72との接続点でノイズの反射が生じる。
【0142】
そのため、接続部品400の抵抗31の抵抗値は、上記の接続点における合成インピーダンスの大きさとマッチングをとるように設定されている。なお、合成インピーダンスは、Z
abとZ
efとを用いて、式(10)により導出される。
【0143】
そして、他の接続部品400の抵抗101の抵抗値も、同様に、各給電母線111、121〜126、31、141〜146の接続部分の合成インピーダンスとマッチングをとるように、設定されている。これにより、本例は、ノイズを低減させることができる。
【0144】
上記のように、本例において、導電体13、23及び接続回路30は、接続部品400により、モジュール化された一体の部材で構成されている。これにより、これにより、パワーモジュール5のスイッチング素子S1〜S6のオン、オフ動作により生じるノイズを、接続部品400の抵抗31で吸収することができるため、ノイズを低減させることができる。また、ノイズを低減する際の応答特性を早めることができる。
【0145】
また、本例は、給電母線111、121と導電体13とを、又は、給電母線131、141と導電体23とを、磁性体12、22を介して、ネジ500により締結している。これにより、給電母線111、121と導電体13を、又は、給電母線131、141と導電体23を誘導結合するため、パワーモジュール5のスイッチング動作により、発生したノイズが、容量結合させた部分で誘起され、抵抗31で熱として消費させることができる。その結果として、ノイズを低減させることができる。
【0146】
また、本例において、接続回路30は、給電母線111等を介して、コンデンサ4に電気的に接続されている。これにより、給電母線111等の電気的特性の違いにより生じるノイズの反射を抑制することができる。
【0147】
また本例は、シールド線71と給電母線111の一端との接続点(本発明の「第1の接続点」に相当)と、シールド線72と給電母線131の一端との接続点(本発明の「第2の接続点」に相当)との間を、接続部品400で、電気的に接続している。これにより、パワーモジュール5で発生するノイズを、接続部品400の抵抗31で吸収することができるため、ノイズを低減させることができる。また、ノイズを低減する際の応答特性を早めることができる。さらに、シールド線71、72の電気的特性の違いにより生じるノイズの反射を抑制することができる。
【0148】
なお、本例は、コンデンサ4に接続された給電母線124(125、126)、144(145,146)と、給電母線111、131との接続部分に対して、接続部品400を誘導結合させることで、接続回路30をコンデンサ4に電気的に接続させたが、第7実施形態に示すように、導電体13、23を、それぞれの接続部分に対して、磁性体12、22を介して誘導結合させて、導電体13と導電体23とを接続回路30により接続させることで、接続回路30をコンデンサ4に電気的に接続させてもよい。