(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替操作部材(73)は、前記各部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)に対応し、前記植付装置(52a、52b、52c、52d)の左右方向の配置に対応して左右方向に配置された複数のボタン(94a、94b、94c、94d)であり、
全ての前記ボタンが押されていない状態では、左端又は右端の前記ボタン(94a、94d)のみを押すことが出来、
左端の前記ボタン(94a)が押された状態では、右端の前記ボタン(94d)を押すことが出来ず、
右端の前記ボタン(94d)が押された状態では、左端の前記ボタン(94a)を押すことが出来ず、
左端又は右端の前記ボタン(94a、94d)が押された後に、他の前記ボタン(94c、94b)が押されたとき、前記押された2つのボタン(94a、94c)の間に配置されている前記ボタン(94b)は、強制的に押された状態となり、
前記ボタン(94a、94b、94c、94d)が押されると、前記連続切替部材(82)を移動させて、対応する前記部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が切になることを特徴とする、請求項2から4の何れかに記載の苗移植機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の苗移植機における部分条クラッチの連続切替機構は、部品点数が多いので、その連続切替機構の配置用に広いスペースが必要であり、又メンテナンス作業時等に分解すると組立に要する時間と労力が増大する。
【0010】
すなわち、特許文献1に記載の苗移植機の部分条クラッチの連続切替機構は、1条目と2条目、3条目と4条目、5条目と6条目に対応する切替アームが全て別の部品で構成されているので、部品点数が多い。
【0011】
これにより、メンテナンス作業時等に分解すると、組立に要する時間と労力が増大してしまう。
【0012】
又、各切替アームの回動範囲を確保すべく、上下方向の異なる位相に各切替アームを設けているので、上下方向に大きな構成となり、部分条クラッチの連続切替機構の配置用に広いスペースが必要となる。
【0013】
又、特許文献2に記載の苗移植機の部分条クラッチごとの操作レバーは、運転席の左右に配置され、これらの操作レバーのグリップ部がフロアステップの上面から突出しているので、苗や肥料の補充作業時に作業者の足が操作レバーに接触し、部分条クラッチを「切」にしてしまうことがある。部分条クラッチの操作レバーが「切」になっていることに気付かないまま植付作業を行うと、植え付けの必要な箇所に苗が植え付けられなくなり、苗の植え付けが行われていない部分に作業者が手作業で苗を植え付ける必要があり、作業者の労力が増大する。
【0014】
又、部分条クラッチを「切」にして苗の植え付けを行っているとき、部分条クラッチの操作レバーを「入」にしてしまうこともあり、苗の植え付けの不要な箇所(既に苗を植え付けた箇所、次工程で植え付ける箇所など)に苗を植え付けてしまい、苗を余分に消費してしまう問題もある。
【0015】
本発明は、上記従来の苗移植機における課題を考慮して、部品点数の少ない簡単な構成で部分条クラッチの連続切替が出来る苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記課題は、次の解決手段で解決される。
【0017】
第1の本発明は、
走行車体(2)の後方に配置され、複数条分の苗を積載する苗載置部(51)と、
前記苗載置部(51)から苗を取り圃場に植え付ける、左右方向に3つ以上配置された植付装置(52a、52b、52c、52d)と、
前記植付装置(52a、52b、52c、52d)への駆動力の伝動を入切する、前記植付装置(52a、52b、52c、52d)にそれぞれ対応する3つ以上の部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)と、
左端の前記植付装置(52a)に対応する前記部分条クラッチ(71a)及び右端の前記植付装置(52d)に対応する前記部分条クラッチ(71d)を入切する、1つの端部伝動切替アーム(76)と、
前記左端の植付装置(52a)と前記右端の植付装置(52d)との間に位置する前記植付装置(52b、52c)に対応する前記部分条クラッチ(71b、71c)を入切する、中間部伝動切替アーム(77、78)と、
前記端部伝動切替アーム(76)及び前記中間部伝動切替アーム(77、78)を移動させて、複数の前記部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)を順に入切させていき、対応する前記植付装置(52a、52b、52c、52d)への前記駆動力の伝動を入切させていく連続切替部材(82)と、を備えたことを特徴とする苗移植機である。
【0018】
又、第2の本発明は、
前記連続切替部材(82)を移動させる切替アクチュエーター(74)と、
前記切替アクチュエーター(74)を作動させる切替操作部材(73)とを備えたことを特徴とする、第1の本発明の苗移植機である。
【0019】
又、第3の本発明は、
前記端部伝動切替アーム(76)は、長孔(84)を有する回動可能なリング部材であり、
前記連続切替部材(82)は、前記長孔(84)の中に配置された接触ピン(86)を有し、
前記接触ピン(86)が前記長孔(84)の内縁に接触しながら回動することによって、前記端部伝動切替アーム(76)を回動させ、
前記中間部伝動切替アーム(77、78)の形状は、弧状であり、
前記接触ピン(86)が前記中間部伝動切替アーム(77、78)の周縁に接触しながら回動することによって、前記中間部伝動切替アーム(77、78)を回動させ、
前記連続切替部材(82)が、前記端部伝動切替アーム(76)に対応して設定されている回動角度を超えた範囲で回動しても、前記端部伝動切替アーム(76)は回動せず、
前記連続切替部材(82)が、前記各中間部伝動切替アーム(77、78)に対応して設定されているそれぞれの回動角度を超えた範囲で回動しても、前記中間部伝動切替アーム(77、78)は回動しないことを特徴とする、第2の本発明の苗移植機である。
【0020】
又、第4の本発明は、
前記連続切替部材(82)の回動角度を検知する角度検知部材(90)を備え、
前記端部伝動切替アーム(76)及び前記中間部伝動切替アーム(77、78)は、支持フレーム(75)上に、回動自在に配置されており、
前記端部伝動切替アーム(76)は、左端の前記植付装置(52a)に対応する前記部分条クラッチ(71a)及び右端の前記植付装置(52d)に対応する前記部分条クラッチ(71d)と、端部連繋ワイヤー(72a、72d)によって連結されており、
前記中間部伝動切替アーム(77、78)は、対応する前記部分条クラッチ(71b、71c)と、中間部連繋ワイヤー(72b、72c)によって連結されており、
前記連続切替部材(82)は、前記角度検知部材(90)で検知された回動角度に基づいて、所定の回動角度の位置で停止する如く制御されることを特徴とする、第3の本発明の苗移植機である。
【0021】
又、第5の本発明は、
前記切替操作部材(73)は、ダイヤルであり、
前記ダイヤルを、中央の位置に操作すると、前記連続切替部材(82)を移動させて、全ての前記部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が入になり、
前記ダイヤルを、前記中央の位置から右回りに操作すると、前記連続切替部材(82)を移動させて、右端の前記植付装置(52d)から順番に前記駆動力の伝動が切になる如く、対応する前記部分条クラッチ(71d、71c、71b)が順に切になり、
前記ダイヤルを、前記右回りに操作した後、前記中央の位置に向かって左回りに操作すると、前記連続切替部材(82)を移動させて、前記駆動力の伝動が切になっている前記植付装置(52b、52c、52d)に対応する前記部分条クラッチ(71b、71c、71d)が順に入になり、
前記ダイヤルを、前記中央の位置から左回りに操作すると、前記連続切替部材(82)を移動させて、左端の前記植付装置(52d)から順番に前記駆動力の伝動が切になる如く、対応する前記部分条クラッチ(71a、71b、71c)が順に切になり、
前記ダイヤルを、前記左回りに操作した後、前記中央の位置に向かって右回りに操作すると、前記連続切替部材(82)を移動させて、前記駆動力の伝動が切になっている前記植付装置(52c、52b、52a)に対応する前記部分条クラッチ(71c、71b、71a)が順に入になることを特徴とする、第2から第4の何れかの本発明の苗移植機である。
【0022】
又、第6の本発明は、
前記切替操作部材(73)は、前記各部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)に対応し、前記植付装置(52a、52b、52c、52d)の左右方向の配置に対応して左右方向に配置された複数のボタン(94a、94b、94c、94d)であり、
全ての前記ボタンが押されていない状態では、左端又は右端の前記ボタン(94a、94d)のみを押すことが出来、
左端の前記ボタン(94a)が押された状態では、右端の前記ボタン(94d)を押すことが出来ず、
右端の前記ボタン(94d)が押された状態では、左端の前記ボタン(94a)を押すことが出来ず、
左端又は右端の前記ボタン(94a、94d)が押された後に、他の前記ボタン(94c、94b)が押されたとき、前記押された2つのボタン(94a、94c)の間に配置されている前記ボタン(94b)は、強制的に押された状態となり、
前記ボタン(94a、94b、94c、94d)が押されると、前記連続切替部材(82)を移動させて、対応する前記部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が切になることを特徴とする、第2から第4の何れかの本発明の苗移植機である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1記載の本発明によって、連続切替部材(82)によって、複数の伝動切替アーム(76、77、78)を移動させると、左右どちらかの外側端部から順に部分条クラッチ(71a、71d)が「入」又は「切」になることにより、部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)の入切操作が簡単になり、作業能率や操作性が向上する。部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が左右どちらか一方の外側端部から順に「切」又は「入」状態となることにより、一部の部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が切り忘れられることを防止出来るので、不要な箇所に苗を植え付けることが防止され、苗の消費量が抑制される。
【0024】
又、左右の外側端部の部分条クラッチ(71a、71d)の入切を同一の端部伝動切替アーム(76)で行うことにより、部品点数を減らすことが出来るので、簡潔な構造となり、メンテナンス性が向上する。
【0025】
請求項2記載の本発明によって、請求項1記載の本発明の効果に加えて、切替操作部材(73)を操作して切替アクチュエーター(74)を作動させると、連続切替部材(82)が端部伝動切替アーム(76)を作動させて左右どちらかの外側端部の部分条クラッチ(71a、71d)を入切すると共に、中間部伝動切替アーム(77、78)に対応する部分条クラッチ(71b、71c)を入切することが出来るので、操作が簡潔になる。
【0026】
従来のように、部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)の入切を行う操作レバーを走行車体(2)の上面に突出させる必要が無くなるので、作業者の足等が接触して部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が「切」状態となることが防止され、苗の植え付けられなかった区間に作業者が苗を植える作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。逆に、部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が「入」状態となることが防止され、植付の不要な箇所に苗が植え付けられることがなくなり、苗の消費量が抑えられる。
【0027】
請求項3記載の本発明によって、請求項2記載の本発明の効果に加えて、連続切替部材(82)が所定角度回転すると、接触ピン(86)が端部伝動切替アーム(76)及び中間部伝動切替アーム(77、78)を回動させる構成としたことにより、苗植付装置(52)の作動及び停止が確実に行われるので、必要な箇所に苗が確実に植え付けられて作業者が苗を植え付ける作業が不要になると共に、余分な苗の植付が行われず苗の消費量が減少する。
【0028】
又、端部伝動切替アーム(76)と中間部伝動切替アーム(77、78)を一定量以上回動するとそれ以上動かない構成としたことにより、部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)を左右どちらかの外側端部から順に「切」にする際、又は部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)を順に「入」にする際、端部伝動切替アーム(76)と中間部切替アーム(77、78)の回動がすぐに始まるので、待ち時間が減少し、作業能率が向上する。
【0029】
請求項4記載の本発明によって、請求項3記載の本発明の効果に加えて、連続切替部材(82)の回転角度を角度検知部材(90)で検知していることにより、部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)の入切操作を行う条数に合わせて切替アクチュエーター(74)を自動停止させることが出来るので、作業者が切替アクチュエーター(74)の細かい操作を行なう必要が無く、操作性が向上する。
【0030】
請求項5記載の本発明によって、請求項2から4の何れか1項の本発明の効果に加えて、ダイヤル(73)の操作によって部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)を連続して「入」又は「切」に操作することが出来るので、複雑な操作が不要となり、操作性や作業能率が大幅に向上する。
【0031】
又、ダイヤル(73)の操作量に対応して部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)が連続して「入」又は「切」になることにより、一部の部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)を「入」又は「切」にし忘れることを防止出来るので、必要な箇所に苗が確実に植え付けられて作業者が苗を植え付ける作業が不要になると共に、余分な苗の植付が行われず苗の消費量が減少する。
【0032】
請求項6記載の本発明によって、請求項2から4の何れか1項の本発明の効果に加えて、左右どちらかの部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)に対応するボタンを操作した状態で、左右間の部分条クラッチ(71b、71c)に対応するボタンを操作すると、対応する部分条クラッチ(71b、71c)が「入」又は「切」になるまで連続切替部材(82)を回転させることが出来るので、一部の部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)を「入」又は「切」にし忘れることが防止され、必要な箇所に苗が確実に植え付けられて作業者が苗を植え付ける作業が不要になると共に、余分な苗の植付が行われず苗の消費量が減少する。
【0033】
又、左右どちらかの部分条クラッチ(71a、71d)に対応するボタン(94a、94d)を操作した状態では、反対側の外側端部の部分条クラッチ(71d、71a)に対応するボタン(94d、94a)を操作しても切替アクチュエーター(74)が動かない構成としたことにより、ボタン(94a、94b、94c、94d)の操作で全ての部分条クラッチ(71a、71b、71c、71d)を「切」操作して苗植付装置(52)を停止させることを防止出来るので、誤操作により苗の植え付けが行われなくなることが防止され、必要な箇所に苗が確実に植え付けられて作業者が苗を植え付ける作業が不要になる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0036】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態の、走行車両を備える乗用型の8条植えの田植機8の側面図を示し、
図2は平面図を示している。
【0037】
尚、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
【0038】
この田植機8は、走行車体2の後側に昇降リンク機構3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0039】
尚、田植機8が、本発明の苗移植機の一例にあたる。
【0040】
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10及び左右一対の後輪11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10が各々取り付けられている。
【0041】
又、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11が取り付けられている。
【0042】
エンジン20は、メインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。
【0043】
ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13に伝達されて前輪10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18に伝達されて後輪11を駆動する。
【0044】
又、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構によって施肥装置5へ伝動される。
【0045】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に運転席31が設置されている。運転席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10を操向操作する操縦ハンドル34が設けられている。
【0046】
エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(
図2参照)、フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下する構成となっている。
【0047】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41を備えている。上リンク40及び下リンク41は、それらの基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に、苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。
【0048】
メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダー46が設けられており、昇降油圧シリンダー46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4が略一定姿勢のまま昇降する。
【0049】
苗植付部4は、8条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51aに供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給すると苗送りベルト51bにより苗を下方に移送する苗載せ台51、苗取出口51aに供給された苗を苗植付具54によって圃場に植付ける苗植付装置52等を備えている。
【0050】
植付伝動ケース50の後部は、4つに分岐しており、分岐したそれぞれの後端部に植付駆動軸が回転自在に支承されており、この植付駆動軸の左右突出部にロータリーケース16の中央部が一体回転する構成で固定して取り付けられている。
【0051】
更にロータリーケース16の両端部に植付回動軸を回転自在に支承し、これらの2つの植付回動軸のそれぞれに苗植付具54が取り付けられている。
【0052】
苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にミドルフロート57とサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート55、57、56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55、57、56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52により苗が植付けられる。
【0053】
各フロート55、57、56は、圃場表土面の凹凸に対応して前端側が上下動する如く回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサー(図示せず)により検出され、その検出結果に対応して昇降油圧シリンダー46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0054】
施肥装置5は、肥料タンク60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62でセンターフロート55及びサイドフロート56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)まで導き、施肥ガイドの前側に設けた作溝体(図示せず)によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込む構成となっている。ブロアー用電動モーター53で駆動するブロアー58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバー59を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で強制的に搬送する構成となっている。
【0055】
苗植付部4には整地ローター27(第1整地ローター27aと第2整地ローター27bの組み合わせを単に整地ローター27と言うことがある)が取り付けられている。
【0056】
又、苗載せ台51は、苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラー65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0057】
又、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく一対の予備苗枠38が設けられている。
【0058】
次に、苗植付装置52への駆動力の伝動の入切を2条ごとに制御する部分条クラッチの動作について説明する。
【0059】
図3に、苗植付装置52への駆動力の伝動の入切を2条ごとに制御する部分条クラッチの接続構成を示すブロック図を示す。
【0060】
図3では、植付伝動ケース50及び苗植付装置52の部分について、上から視た図を示している。
【0061】
植付伝動ケース50の後部の4つに分岐したそれぞれの後端部に、2条分の苗を植え付ける苗植付装置52が設けられている。ここでは、それらの4つの苗植付装置52を、機体の左側から順に、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dと呼ぶこととする。
【0062】
尚、苗載せ台51が、本発明の苗載置台の一例にあたる。又、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dが、本発明の植付装置の一例にあたる。又、第1苗植付装置52aが、本発明の左端の植付装置の一例にあたり、第4苗植付装置52dが、本発明の右端の植付装置の一例にあたる。
【0063】
植付伝動ケース50の後部の4つに分岐したそれぞれの後端部には、各後端部に設けられているロータリーケース16及び苗植付具54への駆動力を入切する部分条クラッチが設けられており、2条分の苗を植え付ける苗植付装置52ごとの苗の植え付け動作を個別に制御出来る構成となっている。すなわち、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dによって、それぞれ、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dへの駆動力の伝動が入切される。
【0064】
第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dは、それぞれ、第1クラッチワイヤー72a、第2クラッチワイヤー72b、第3クラッチワイヤー72c及び第4クラッチワイヤー72dによって部分条クラッチ切替機構70に接続されている。第1クラッチワイヤー72a、第2クラッチワイヤー72b、第3クラッチワイヤー72c及び第4クラッチワイヤー72dが、部分条クラッチ切替機構70によって引っ張られることにより、対応する第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dが「切」状態となり、対応する第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dへの駆動力の伝動が切れる。
【0065】
部分条クラッチ切替機構70を操作する切替ダイヤル73が、
図2に示す通り、操縦ハンドル34の横に配置されており、作業者は、運転席31に座った状態で、切替ダイヤル73を操作することが出来、部分条クラッチの切替制御を行うことが出来る。
【0066】
図4(a)に、田植機8の前側から視た、部分条クラッチ切替機構70の正面図を示し、
図4(b)に底面図を示す。
【0067】
又、部分条クラッチ切替機構70を構成する各部材の前後関係をわかり易くすべく、クラッチワイヤーの図示を省略した正面図を
図5に示す。
【0068】
切替機構支持フレーム75の手前側に、第1切替アーム76、第2切替アーム77及び第3切替アーム78が、それぞれ、第1回動支点79、第2回動支点80及び第3回動支点81を中心として回動自在に取り付けられている。
【0069】
第1切替アーム76は、上部に接触ピン摺動孔84が形成されたリング状の部材である。又、第2切替アーム77及び第3切替アーム78は、弧状の形状である。
【0070】
これらの切替アームは、手前側から、第1切替アーム76、第2切替アーム77、第3切替アーム78の順に、前後方向に重なる構成で配置されている。
【0071】
第1切替アーム76の下端部には、第1クラッチワイヤー72a及び第4クラッチワイヤー72dのそれぞれの端部が連結している。
【0072】
又、第2切替アーム77の下端部には、第2クラッチワイヤー72bが連結しており、第3切替アーム78の下端部には、第3クラッチワイヤー72cが連結している。
【0073】
尚、第1切替アーム76が、本発明の端部伝動切替アームの一例にあたる。又、第2切替アーム77及び第3切替アーム78が、本発明の中間部伝動切替アームの一例にあたる。又、第1クラッチワイヤー72a及び第4クラッチワイヤー72dが、本発明の端部連繋ワイヤーの一例にあたる。又、第2クラッチワイヤー72b及び第3クラッチワイヤー72cが、本発明の中間部連繋ワイヤーの一例にあたる。
【0074】
図4(a)、
図4(b)及び
図5は、いずれのクラッチワイヤーも引っ張っていない状態、すなわち第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dのいずれも「入」となっている状態を示している。
【0075】
第1切替アーム76が、
図4(a)に示す状態から、第1回動支点79を中心に右回り(時計回り)に回動すると、第1クラッチワイヤー72aが引っ張られ、第1部分条クラッチ71aが「切」となる。
【0076】
一方、第1切替アーム76が、
図4(a)に示す状態から、第1回動支点79を中心に左回り(反時計回り)に回動すると、第4クラッチワイヤー72dが引っ張られ、第4部分条クラッチ71dが「切」となる。
【0077】
第2切替アーム77が、
図4(a)に示す状態から、第2回動支点80を中心に右回りに回動すると、第2クラッチワイヤー72bが引っ張られ、第2部分条クラッチ71bが「切」となる。
【0078】
第3切替アーム78が、
図4(a)に示す状態から、第3回動支点81を中心に右回りに回動すると、第3クラッチワイヤー72cが引っ張られ、第3部分条クラッチ71cが「切」となる。
【0079】
切替機構支持フレーム75の奥側には、弧状の縁部に歯が形成されている扇形状の連続切替ギヤ82が、切替ギヤ回動支点87を中心として回動自在に取り付けられている。
【0080】
連続切替ギヤ82の弧状の縁部に形成されている歯は、切替モーター74によって回転する切替機構駆動ギヤ83の歯と噛み合っており、連続切替ギヤ82は、切替機構駆動ギヤ83の回転に伴って、切替ギヤ回動支点87を中心に回動する。
【0081】
尚、連続切替ギヤ82が、本発明の連続切替部材の一例にあたり、切替モーター74が、本発明の切替アクチュエーターの一例にあたる。
【0082】
連続切替ギヤ82の弧状の縁部に近い位置に、アーム接触ピン86が立設している。
【0083】
そして、アーム接触ピン86を貫通させるべく、切替機構支持フレーム75の、アーム接触ピン86に対応する位置に接触ピン移動孔85が形成されている。接触ピン移動孔85は、切替ギヤ回動支点87を中心とする弧状の長孔であり、連続切替ギヤ82が回動する際に、アーム接触ピン86が、接触ピン移動孔85内を移動する構成となっている。
【0084】
切替ギヤ回動支点87を貫通する構成で配置されているアーム接触ピン86は、最も手前に配置されている第1切替アーム76の接触ピン摺動孔84も貫通する長さを有している。
【0085】
したがって、連続切替ギヤ82の回動に伴ってアーム接触ピン86が移動する際、接触ピン摺動孔84の内縁に接触して押しながら移動するので、第1切替アーム76の姿勢を変化させる。
【0086】
具体的には、
図4(a)に示す状態から、連続切替ギヤ82が左回りに回動すると、アーム接触ピン86によって接触ピン摺動孔84の右側の内縁部分が押されていき、第1切替アーム76の上部を右に移動させる。第1切替アーム76は、第1回動支点79を中心として回動するので、右回りに回動し、第1クラッチワイヤー72aが引っ張られる。
【0087】
尚、アーム接触ピン86が、本発明の接触ピンの一例にあたり、接触ピン摺動孔84が、本発明の長孔の一例にあたる。
【0088】
一方、
図4(a)に示す状態から、連続切替ギヤ82が右回りに回動すると、アーム接触ピン86によって接触ピン摺動孔84の左側の内縁部分が押されていき、第1切替アーム76の上部を左に移動させる。したがって、第1切替アーム76は、第1回動支点79を中心として左回りに回動し、第4クラッチワイヤー72dが引っ張られる。
【0089】
アーム接触ピン86は、第2切替アーム77よりも手前側まで突出しているので、アーム接触ピン86が移動して第2切替アーム77の周縁の位置まで達すると、その後、第2切替アーム77の周縁部に接触して押しながら移動するので、第2切替アーム77の姿勢を変化させる。
【0090】
具体的には、
図4(a)に示す状態から、連続切替ギヤ82が左回りに回動すると、アーム接触ピン86は、切替ギヤ回動支点87を中心に左回りに回動していく。アーム接触ピン86が第2切替アーム77に接触する前は、第2切替アーム77の姿勢は変化しないが、アーム接触ピン86が第2切替アーム77に接触した以降は、第2切替アーム77の弧状の右側の周縁部分が右上方へ押されていく。第2切替アーム77は、第2回動支点80を中心として回動するので、弧状の右側の周縁部分が右上方へ押されると、右回りに回動し、第2クラッチワイヤー72bが引っ張られる。
【0091】
一方、
図4(a)に示す状態から、連続切替ギヤ82が右回りに回動すると、アーム接触ピン86は、切替ギヤ回動支点87を中心に右回りに回動していく。アーム接触ピン86が第2切替アーム77に接触する前は、第2切替アーム77の姿勢は変化しないが、アーム接触ピン86が第2切替アーム77に接触した以降は、第2切替アーム77の弧状の左側の周縁部分が上方へ押されていく。第2切替アーム77は、第2回動支点80を中心として回動するので、弧状の左側の周縁部分が上方へ押されると、このときも右回りに回動し、第2クラッチワイヤー72bが引っ張られる。
【0092】
アーム接触ピン86は、第3切替アーム78よりも手前側まで突出しているので、アーム接触ピン86が移動して第3切替アーム78の周縁の位置まで達すると、その後、第3切替アーム78の周縁部に接触して押しながら移動するので、第3切替アーム78の姿勢を変化させる。
【0093】
第3切替アーム78についても、アーム接触ピン86の移動に伴って、アーム接触ピン86が周縁部に接触した以降は、第2切替アーム77と同様の動作をする。
【0094】
すなわち、連続切替ギヤ82が左回りに回動したときにも、右回りに回動したときにも、アーム接触ピン86が第3切替アーム78の周縁部に接触した以降は、アーム接触ピン86が回動するとともに、第3切替アーム78は、第3回動支点81を中心として右回りに回動し、第3クラッチワイヤー72cが引っ張られる。
【0095】
但し、第2切替アーム77と第3切替アーム78とは、アーム接触ピン86が接触するときのアーム接触ピン86の位置が異なるので、同時には回動しない。したがって、第2クラッチワイヤー72bと第3クラッチワイヤー72cとは、同時には引っ張られない。
【0096】
アーム接触ピン86が、左回りに回動するときには、第3切替アーム78よりも前に第2切替アーム77と接触するので、まず第2クラッチワイヤー72bが引っ張られる。その後、さらにアーム接触ピン86が左回りに回動したときには、第3切替アーム78と接触して、第3クラッチワイヤー72cも引っ張られる。
【0097】
一方、アーム接触ピン86が、右回りに回動するときには、第2切替アーム77よりも前に第3切替アーム78と接触するので、まず第3クラッチワイヤー72cが引っ張られる。その後、さらにアーム接触ピン86が右回りに回動したときには、第2切替アーム77と接触して、第2クラッチワイヤー72bも引っ張られる。
【0098】
本実施の形態では、連続切替ギヤ82の回動角度を正確に制御すべく、連続切替ギヤ82の回動角度を検出するポテンショメーター90を設けている。
【0099】
図6に、ポテンショメーター90の動作の説明に用いる、ポテンショメーター90の位置を図示した部分条クラッチ切替機構70の正面図を示す。
【0100】
ポテンショメーター90は、切替機構支持フレーム75の奥側、すなわち
図6に向かって切替機構支持フレーム75の裏側の面に設けられている。
【0101】
ポテンショメーター90は、先端側に位置検出孔93が形成されたメーターアーム91を有しており、このメーターアーム91の回動角度を検出する構成となっている。
【0102】
尚、ポテンショメーター90が、本発明の角度検知部材の一例にあたる。
【0103】
連続切替ギヤ82には、位置検出ピン93が奥側に向けて立設しており、メーターアーム91に形成されている位置検出孔92に嵌め合わされている。
【0104】
位置検出孔92は、長孔であり、連続切替ギヤ82が回動すると、位置検出ピン93が位置検出孔92に接触しながら移動して、メーターアーム91を回動させる。
【0105】
連続切替ギヤ82の回動する角度に対応してメーターアーム91の回動角度が変化するので、ポテンショメーター90がメーターアーム91の回動角度を検出することにより、連続切替ギヤ82の正確な回動角度が求められる。
【0106】
これにより、連続切替ギヤ82を適切な回動角度となる如く制御することが出来る。すなわち、アーム接触ピン86を回動して停止させる位置を正確に制御することが出来るので、第1切替アーム76、第2切替アーム77及び第3切替アーム78の回動姿勢を正確に制御出来る。
【0107】
次に、部分条クラッチ切替機構70の詳細な動作について説明する。
【0108】
図7(a)〜
図7(c)に、連続切替ギヤ82を左回りに回動したときの部分条クラッチ切替機構70正面図を示す。
図7(a)〜
図7(c)は、それぞれ、
図5に示す連続切替ギヤ82の位置を基準として、連続切替ギヤ82を左回りに、30°、60°及び90°回動したときの正面図を示している。
【0109】
図8(a)〜
図8(c)に、連続切替ギヤ82を右回りに回動したときの部分条クラッチ切替機構70の正面図を示す。
図8(a)〜
図8(c)は、それぞれ、
図5に示す連続切替ギヤ82の位置を基準として、連続切替ギヤ82を右回りに、30°、60°及び90°回動したときの正面図を示している。
【0110】
尚、
図7(a)〜
図7(c)及び
図8(a)〜
図8(c)では、各切替アームの姿勢をわかり易くすべく、クラッチワイヤーの図示を省略している。
【0111】
図5に示す連続切替ギヤ82が、切替ギヤ回動支点87を中心として左回りに30°回動すると、アーム接触ピン86が接触ピン摺動孔84の右側内縁部分に接触しながら回動するので、
図7(a)に示す通り、第1切替アーム76が第1回動支点79を中心に右回りに回動する。
【0112】
第1切替アーム76が右回りに回動することにより、第1切替アーム76の下端部に連結している第1クラッチワイヤー72aが引っ張られて、第1部分条クラッチ71aが「切」の状態となる。
【0113】
すなわち、このとき、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dが「入」の状態のまま、第1部分条クラッチ71aのみが「切」の状態となる。
【0114】
したがって、このときには、第1苗植付装置52aのみが、動作を停止する。
【0115】
連続切替ギヤ82が、
図7(a)に示す位置から更に左回りに回動し、
図5に示す位置を基準として左回りに60°の位置まで回動すると、アーム接触ピン86が、第2切替アーム77の弧状の右側の周縁部分を右上方へ押しながら回動するので、
図7(b)に示す通り、第2切替アーム77が第2回動支点80を中心に右回りに回動する。
【0116】
第2切替アーム77が右回りに回動することにより、第2切替アーム77の下端部に連結している第2クラッチワイヤー72bが引っ張られて、第2部分条クラッチ71bが「切」の状態となる。
【0117】
第1切替アーム76の接触ピン摺動孔84の右側内縁部分の形状は、第1切替アーム76が、
図7(a)に示す位置まで回動しているときに、正面視で、接触ピン移動孔85の内縁形状に沿う形状としている。
【0118】
したがって、連続切替ギヤ82が、
図7(a)に示す30°左回りに回動した位置から、
図7(b)に示す60°左回りに回動した位置まで回動する際に、第1切替アーム76の回動角度は、ほとんど変化せず、
図7(a)に示す姿勢が略維持される。すなわち、このとき、第1部分条クラッチ71aは「切」の状態が維持される。
【0119】
したがって、
図7(b)に示す状態では、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dが「入」の状態のまま、第1部分条クラッチ71a及び第2部分条クラッチ71bが「切」の状態となる。
【0120】
したがって、このときには、第1苗植付装置52a及び第2苗植付装置52bが、動作を停止する。
【0121】
連続切替ギヤ82が、
図7(b)に示す位置から更に左回りに回動し、
図5に示す位置を基準として左回りに90°の位置まで回動すると、アーム接触ピン86が、第3切替アーム78の弧状の右側の周縁部分を上方へ押しながら回動するので、
図7(c)に示す通り、第3切替アーム78が第3回動支点81を中心に右回りに回動する。
【0122】
第3切替アーム78が右回りに回動することにより、第3切替アーム78の下端部に連結している第3クラッチワイヤー72cが引っ張られて、第3部分条クラッチ71cが「切」の状態となる。
【0123】
尚、連続切替ギヤ82が、
図7(b)に示す60°左回りに回動した位置から、
図7(c)に示す90°左回りに回動した位置まで回動する際に、第1切替アーム76の回動角度は、ほとんど変化せず、
図7(a)及び
図7(b)に示す姿勢が略維持される。すなわち、このとき、第1部分条クラッチ71aは「切」の状態が維持される。
【0124】
又、第2切替アーム77の右側の弧状の周縁部分の形状は、第2切替アーム77が、
図7(b)に示す位置まで回動しているときに、正面視で、接触ピン移動孔85の内縁形状に沿う形状としている。
【0125】
したがって、連続切替ギヤ82が、
図7(b)に示す60°左回りに回動した位置から、
図7(c)に示す90°左回りに回動した位置まで回動する際に、第2切替アーム77の回動角度は、ほとんど変化せず、
図7(b)に示す姿勢が略維持される。すなわち、このとき、第2部分条クラッチ71bは「切」の状態が維持される。
【0126】
したがって、
図7(c)に示す状態では、第4部分条クラッチ71dのみが「入」の状態のまま、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b及び第3部分条クラッチ71cが「切」の状態となる。
【0127】
したがって、このときには、第1苗植付装置52a、第2苗植付装置52b及び第3苗植付装置52cが、動作を停止する。
【0128】
上記の通り、連続切替ギヤ82を左回りに回動させていくことで、連続切替ギヤ82の回動角度が大きくなるに従って、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71cの順に、「入」から「切」の状態に切り替えていくことが出来る。
【0129】
次に、
図5に示す連続切替ギヤ82が、切替ギヤ回動支点87を中心として右回りに30°回動すると、アーム接触ピン86が接触ピン摺動孔84の左側内縁部分に接触しながら回動するので、
図8(a)に示す通り、第1切替アーム76が第1回動支点79を中心に左回りに回動する。
【0130】
第1切替アーム76が左回りに回動することにより、第1切替アーム76の下端部に連結している第4クラッチワイヤー72dが引っ張られて、第4部分条クラッチ71dが「切」の状態となる。
【0131】
すなわち、このとき、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b及び第3部分条クラッチ71cが「入」の状態のまま、第4部分条クラッチ71dのみが「切」の状態となる。
【0132】
したがって、このときには、第4苗植付装置52dのみが、動作を停止する。
【0133】
連続切替ギヤ82が、
図8(a)に示す位置から更に右回りに回動し、
図5に示す位置を基準として右回りに60°の位置まで回動すると、アーム接触ピン86が、第3切替アーム78の弧状の左側の周縁部分を左上方へ押しながら回動するので、
図8(b)に示す通り、第3切替アーム78が第3回動支点81を中心に右回りに回動する。
【0134】
第3切替アーム78が右回りに回動することにより、第3切替アーム78の下端部に連結している第3クラッチワイヤー72cが引っ張られて、第3部分条クラッチ71cが「切」の状態となる。
【0135】
第1切替アーム76の接触ピン摺動孔84の左側内縁部分の形状は、第1切替アーム76が、
図8(a)に示す位置まで回動しているときに、正面視で、接触ピン移動孔85の内縁形状に沿う形状としている。
【0136】
したがって、連続切替ギヤ82が、
図8(a)に示す30°右回りに回動した位置から、
図8(b)に示す60°右回りに回動した位置まで回動する際に、第1切替アーム76の回動角度は、ほとんど変化せず、
図8(a)に示す姿勢が略維持される。すなわち、このとき、第4部分条クラッチ71dは「切」の状態が維持される。
【0137】
したがって、
図8(b)に示す状態では、第1部分条クラッチ71a及び第2部分条クラッチ71bが「入」の状態のまま、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dが「切」の状態となる。
【0138】
したがって、このときには、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dが、動作を停止する。
【0139】
連続切替ギヤ82が、
図8(b)に示す位置から更に右回りに回動し、
図5に示す位置を基準として右回りに90°の位置まで回動すると、アーム接触ピン86が、第2切替アーム77の弧状の左側の周縁部分を上方へ押しながら回動するので、
図8(c)に示す通り、第2切替アーム77が第2回動支点80を中心に右回りに回動する。
【0140】
第2切替アーム77が右回りに回動することにより、第2切替アーム77の下端部に連結している第2クラッチワイヤー72bが引っ張られて、第2部分条クラッチ71bが「切」の状態となる。
【0141】
尚、連続切替ギヤ82が、
図8(b)に示す60°右回りに回動した位置から、
図8(c)に示す90°右左回りに回動した位置まで回動する際に、第1切替アーム76の回動角度は、ほとんど変化せず、
図8(a)及び
図8(b)に示す姿勢が略維持される。すなわち、このとき、第4部分条クラッチ71dは「切」の状態が維持される。
【0142】
又、第3切替アーム78の左側端部の周縁部分の形状は、第3切替アーム78が、
図8(b)に示す位置まで回動した後、アーム接触ピン86が更に右回りに回動する際に、回動するアーム接触ピン86に接触し続け、第3切替アーム78の姿勢が維持される形状をしている。
【0143】
したがって、連続切替ギヤ82が、
図8(b)に示す60°右回りに回動した位置から、
図8(c)に示す90°右回りに回動した位置まで回動する際に、第3切替アーム78の回動角度は、ほとんど変化せず、
図8(b)に示す姿勢が略維持される。すなわち、このとき、第3部分条クラッチ71cは「切」の状態が維持される。
【0144】
したがって、
図8(c)に示す状態では、第1部分条クラッチ71aのみが「入」の状態のまま、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dが「切」の状態となる。
【0145】
したがって、このときには、第2苗植付装置52b、第3苗植付装置52c及び第4苗植付装置52dが、動作を停止する。
【0146】
上記の通り、連続切替ギヤ82を右回りに回動させていくことで、連続切替ギヤ82の回動角度が大きくなるに従って、第4部分条クラッチ71d、第3部分条クラッチ71c、第2部分条クラッチ71bの順に、「入」から「切」の状態に切り替えていくことが出来る。
【0147】
本実施の形態の部分条クラッチ切替機構70は、第1切替アーム76により、第1部分条クラッチ71a及び第4部分条クラッチ71dの2つの部分条クラッチを制御する構成とし、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dの4つの部分条クラッチの制御を、第1切替アーム76、第2切替アーム77及び第3切替アーム78の3つの切替アームで制御する構成であり、従来よりも少ない部品数で構成されている。
【0148】
したがって、メンテナンス作業時等で分解したときの、組立に要する時間と労力を抑えることが出来る。
【0149】
又、第1切替アーム76、第2切替アーム77及び第3切替アーム78の3つの切替アームを前後方向に重なる構成としているので、部分条クラッチ切替機構70を小型に出来、部分条クラッチ切替機構70を設置するスペースを小さく出来る。
【0150】
又、上記の通り、
図5の状態から
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)と順に切り替わっていくときの連続切替ギヤ82のそれぞれの回動角度差、及び、
図5の状態から
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)と順に切り替わっていくときの連続切替ギヤ82のそれぞれの回動角度差を、全て30°としている。
【0151】
又、ポテンショメーター90のメーターアーム91の、各切替状態間における回動角度差も、等しい角度差となる構成としている。
【0152】
この構成により、切替モーター74による連続切替ギヤ82の回動角度の切替制御がし易い。
【0153】
図9に、切替ダイヤル73の構成図を示す。
【0154】
図9では、回転式の切替ダイヤル73を「1切」の位置に操作した状態を示している。
【0155】
運転席31に座っている作業者が、切替ダイヤル73を「全入」の位置に操作すると、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図5に示す位置まで回動させる。
【0156】
切替ダイヤル73を、「1切」、「1−2切」及び「1−2−3切」の位置に操作すると、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を、それぞれ
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)に示す位置まで回動させる。
【0157】
切替ダイヤル73を、「4切」、「3−4切」及び「2−3−4切」の位置に操作すると、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を、それぞれ
図8(a)、
図8(b)及び
図8(c)に示す位置まで回動させる。
【0158】
これにより、作業者が切替ダイヤル73を回動操作することにより、切替ダイヤル73が回動された位置に対応する部分条クラッチの状態を切り替えることが出来る。
【0159】
ここでは、部分条クラッチの状態を切り替える切替操作部材として、切替ダイヤル73を用いることとしたが、押しボタンスイッチを用いる構成としてもよい。
【0160】
図10に、切替ダイヤル73の代わりに、操縦ハンドル34の横に配置する、切替操作部材としての押しボタンの構成例を示している。
【0161】
第1クラッチボタン94a、第2クラッチボタン94b、第3クラッチボタン94c及び第4クラッチボタン94dは、運転席31に座っている作業者から見て左右方向に配置されており、それぞれ、第1部分条クラッチ71a、第2部分条クラッチ71b、第3部分条クラッチ71c及び第4部分条クラッチ71dに対応している。
【0162】
尚、第1クラッチボタン94a、第2クラッチボタン94b、第3クラッチボタン94c及び第4クラッチボタン94dが、本発明の複数のボタンの一例にあたる。又、第1クラッチボタン94aが、本発明の左端のボタンの一例にあたり、第4クラッチボタン94dが、本発明の右端のボタンの一例にあたる。
【0163】
クラッチボタン94a〜94dは、ロック式の押しボタンであり、全てのクラッチボタン94a〜94dが押されていないときには、全ての部分条クラッチ71a〜71dが「入」の状態となっている。すなわち、このときには、連続切替ギヤ82は、
図5に示す位置に回動している。
【0164】
全てのクラッチボタン94a〜94dが押されていない状態では、第1クラッチボタン94a及び第4クラッチボタン94dのみを押すことが可能であり、このときには、第2クラッチボタン94b及び第3クラッチボタン94cは、押すことが出来ない。
【0165】
全てのクラッチボタン94a〜94dが押されていない状態で第1クラッチボタン94aを押すと、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図5に示す位置から
図7(a)に示す位置まで回動させ、第1部分条クラッチ71aが「切」となる。
【0166】
第1クラッチボタン94aが押されると、第2クラッチボタン94b及び第3クラッチボタン94cを押せる状態となり、このときには第4クラッチボタン94dは押せない状態となる。
【0167】
第1クラッチボタン94aが押されている状態で第2クラッチボタン94bが押されると、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図7(a)に示す位置から
図7(b)に示す位置まで回動させ、第2部分条クラッチ71bが「切」となる。
【0168】
一方、第1クラッチボタン94aが押されている状態で第3クラッチボタン94cが押されると、第2クラッチボタン94bが強制的に押された状態となり、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図7(a)に示す位置から
図7(c)に示す位置まで回動させ、第2部分条クラッチ71b及び第3部分条クラッチ71cが「切」となる。
【0169】
又、第1クラッチボタン94a及び第2クラッチボタン94bが押されている状態では、第4クラッチボタン94dは押すことが出来ず、第3クラッチボタン94cのみ押すことが出来る状態となり、このときに、第3クラッチボタン94cが押されると、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図7(b)に示す位置から
図7(c)に示す位置まで回動させ、第3部分条クラッチ71cが「切」となる。
【0170】
又、全てのクラッチボタン94a〜94dが押されていない状態で第4クラッチボタン94dを押すと、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図5に示す位置から
図8(a)に示す位置まで回動させ、第4部分条クラッチ71dが「切」となる。
【0171】
第4クラッチボタン94dが押されると、第2クラッチボタン94b及び第3クラッチボタン94cを押せる状態となり、このときには第1クラッチボタン94aは押せない状態となる。
【0172】
第4クラッチボタン94dが押されている状態で第3クラッチボタン94cが押されると、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図8(a)に示す位置から
図8(b)に示す位置まで回動させ、第3部分条クラッチ71cが「切」となる。
【0173】
一方、第4クラッチボタン94dが押されている状態で第2クラッチボタン94bが押されると、第3クラッチボタン94cが強制的に押された状態となり、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図8(a)に示す位置から
図8(c)に示す位置まで回動させ、第2部分条クラッチ71b及び第3部分条クラッチ71cが「切」となる。
【0174】
又、第4クラッチボタン94d及び第3クラッチボタン94cが押されている状態では、第1クラッチボタン94aは押すことが出来ず、第2クラッチボタン94bのみ押すことが出来る状態となり、このときに、第2クラッチボタン94bが押されると、切替モーター74が作動して、連続切替ギヤ82を
図8(b)に示す位置から
図8(c)に示す位置まで回動させ、第2部分条クラッチ71bが「切」となる。
【0175】
次に、本実施の形態の田植機8の、ミッションケース12から植付伝動ケース50への駆動力の伝動構成について説明する。
【0176】
図11(a)に、ミッションケース12から植付伝動ケース50への駆動力の伝動構成を説明する接続図を示す。
図11(a)は、田植機8の上方から視た図であり、
図11(b)に、植付伝動軸26部分の側断面図を示す。
【0177】
図11(a)に示す通り、ミッションケース12からの駆動力が入力軸102により植付クラッチケース25に入力される。
【0178】
入力軸102端部の第1ギヤ106、横送りシャフト100端部の第2ギヤ107、及び植付伝動軸26端部の第3ギヤ108が互いに噛み合い、植付クラッチケース25内にベベルギヤ機構を構成している。このベベルギヤ機構により、ミッションケース12からの駆動力が植付伝動軸26へ伝動されると同時に、横送りシャフト100へも伝動される。
【0179】
横送りシャフト100へ伝動された駆動力は、変速ギヤ機構を介して、機体の左右横方向に架設されたリードカム軸101へ伝達される。リードカム軸101が回転することにより、リードメタルを介してリードカム軸101に連結されている支持枠体65を左右方向に移動させ、苗載せ台51が左右に往復運動する。
【0180】
一方、植付伝動軸26に伝達された駆動力は、カップリング103及び第2伝動ケース104に伝達され、第2伝動ケース104内のベベルギヤ機構により、第1伝動軸105へ伝達される。
【0181】
植付伝動ケース50は、第1伝動軸105に伝動された回転駆動力によって、苗植付部4及び苗植付装置52を作動させる。
【0182】
従来の苗移植機では、ミッションケース12からの駆動力を、植付伝動軸26に伝達する機構とは別の機構によりリードカム軸101に伝達していた。
【0183】
本実施の形態の田植機8では、植付クラッチケース25内のベベルギヤ機構により、ミッションケース12からの駆動力を直接リードカム軸101に伝達する構成としている。
【0184】
この構成により、駆動力の伝達効率が向上するとともに、植付クラッチケース25と各部とのレイアウト(角度、距離)の自由度が向上する。又、接続構成が簡単であり、コストダウンにもなる。
【0185】
又、この構成により、苗植付装置52の苗植付具54等が、苗載せ台51の横送りによる影響を受け難くなる。又、苗植付装置52の苗植付具54等が、横送りシャフト100やキー109のへたりの影響も受け難くなる。苗載せ台51の横送りによるガタつきの影響を受け難くなるので、苗植付具54がガタついて苗を植え付け損なうことを防止出来る。
【0186】
又、
図11(a)に示す通り、本実施の形態では、植付伝動軸26に伝達された駆動力を、カップリング103を介して第1伝動軸105に伝動する構成としている。
【0187】
この構成により、メンテナンスが容易となり、又、組立て性が向上する。
【0188】
又、
図11(a)に示す通り、カップリング103と第1伝動軸105との間に第2伝動ケース104を設ける構成としている。
【0189】
この構成により、メンテナンスが容易となり、又、組立て性が向上する。又、ケースを小型化することが出来、オイル量を少なくすることが出来る。
【0190】
次に、
図12に、苗植付装置52の側面図を示し、
図13に、苗植付具54の側断面図を示す。
【0191】
苗植付装置52は、回転駆動されるロータリーケース16と、その2つの偏心支軸131にそれぞれ取付けられて苗の植付けをする苗植付具54とから構成される。2つの偏心支軸131は、ロータリーケース16について、その回転軸130を通る1つの直径線上の共通半径位置においてその回転軸線と平行する軸線上に軸支し、ロータリーケース16に内設された静止偏心サンギヤと偏心歯合する不等速伝動ギヤ列による伝動系と連結して所定の角度範囲内を揺動可能に構成する。
【0192】
苗植付具54は、偏心支軸131に固定したケース部材132と、このケース部材132の外側に取付けられて苗載せ台51のマット苗からその一部を取分けて保持するフォーク状のフォーク部材133と、このフォーク部材133に沿って進退動作可能に取付けられてその保持苗を押出す方向に付勢されたスライド部材134及びその先端の押出部材135とによって構成される。
【0193】
ケース部材132の内部には、スライド部材134と連結して進退制御する制御アーム136を支軸136pによって揺動可能に軸支する。この制御アーム136を揺動させる苗送りカム137を偏心支軸131と同心に、ロータリーケース16の側面に一体に固定する。
【0194】
又、ケース部材132の内部には、苗植付具54の駆動系として、スライド部材134の後端位置に押出し付勢用スプリング138を設けるとともに、略L字状の制御アーム136を連結部材139によってスライド部材134と連結し、他の一端を苗送りカム137と接して揺動可能に軸支することによりカムパターンに対応してスライド部材134の進退動作を制御する。
【0195】
このときの苗植付具54の植付動作は、ロータリーケース16の回転に伴い、このロータリーケース16と一体的な苗送りカム137の相対回転動作により、ケース部材132に軸支した制御アーム136が揺動され、フォーク部材133からその保持苗を押出す方向に付勢されたスライド部材134がカムパターンに従って進退動作される。
【0196】
図14に、本実施の形態の苗送りカム137の正面図を示す。
【0197】
従来の苗送りカムの形状との違いをわかり易くすべく、
図14には、従来の苗送りカムの形状を破線で示している。
【0198】
図15は、本実施の形態の苗植付装置52における、偏心支軸131の位置に対応するフォーク部材133の先端が描く苗植付具先端軌跡19を示す図である。
図15は、走行車体2の左側から視た模式図を示している。
【0199】
図15に示す公転軌跡66は、ロータリーケース回転軸130が回転する際の偏心支軸131の公転軌跡を示している。又、
図15では、フォーク部材133の先端が最下点にきたときの苗植付装置52の位置を三角形状で示している。
【0200】
本実施の形態では、苗送りカム137の形状を変更することにより、苗を圃場に植え付けた後のスライド部材134の引き上げるタイミングを変更している。
【0201】
図15に示す通り、偏心支軸131の位置が、フォーク部材133の先端が最下点となる位置よりも17°手前の位置にきたときに、スライド部材134を押し出す。
【0202】
従来は、偏心支軸131の位置が、スライド部材134を押し出し始めた位置から33°回動したタイミングで、スライド部材134を引き上げ始めていた。これは、苗を押し出した後、フォーク部材133の先端が最下点を通過した後のタイミングである。
【0203】
そして、偏心支軸131の位置が、スライド部材134を引き上げ始めた位置から121.59°回動したタイミングで、スライド部材134の引き上げを終えていた。
【0204】
一方、従来とは形状の異なる苗送りカム137とした本実施の形態の苗植付装置52では、偏心支軸131の位置が、スライド部材134を押し出し始めた位置から10°回動したタイミングで、スライド部材134を引き上げ始める。これは、苗を押し出した後、フォーク部材133の先端が最下点に達する前のタイミングである。
【0205】
そして、偏心支軸131の位置が、スライド部材134を引き上げ始めた位置から192.59°回動したタイミングで、スライド部材134の引き上げが終わる。
【0206】
本実施の形態の苗植付装置52では、フォーク部材133を引き上げる期間を、偏心支軸131の位置が180°以上回動する期間として、ロータリーケース16の両端部に設けられている2つの苗植付具54のフォーク部材133を引き上げる各期間が重複する期間を設けている。
【0207】
苗植付具54のフォーク部材133を引き上げる各期間が重複する期間を設けたことにより、苗植付具54及びロータリーケース16全体にかかる負荷変動を減少させることが出来る。
【0208】
図16は、偏心支軸131の位置に対応する苗植付具54の負荷を表したグラフである。又、
図17は、偏心支軸131の位置に対応するロータリーケース16全体にかかる負荷を表したグラフである。
【0209】
図16及び
図17において、本実施の形態の苗送りカム137を用いたときの負荷変動を実線で示し、従来の苗送りカムを用いたときの負荷変動を破線で示している。
【0210】
図16及び
図17より、本実施の形態の苗送りカム137を用いることで、負荷変動を抑制出来ることがわかる。
【0211】
本実施の形態の田植機8の後輪11には、外側に補助車輪を取り付けることが出来る。
【0212】
図18(a)に、後輪11の側面図を示し、
図18(b)に、補助車輪67の側面図を示す。
【0213】
又、
図18(c)に、左側の後輪11に補助車輪67を取り付けたときの、後方から視た背面図を示す。
【0214】
補助車輪67の取り付け位置は、左右方向に調節可能であり、
図18(c)では、取り付け位置を変更したときの補助車輪67の位置を破線で示している。
【0215】
左右の後輪11には、それぞれ、後輪車軸68と同軸の補助車輪取付軸69が機体の外側に設けられている。
【0216】
そして、補助車輪取付軸69に、後輪車軸68よりも径の小さい補助車輪67が回動自在に取り付けられる。補助車輪67は、補助車輪取付軸69への取り付け位置を調節可能であり、左右方向の位置を変更出来る。
【0217】
さらに、本実施の形態の田植機8では、背面視で逆ハの字形状となる構成で、左右の後輪11のキャンバを10°未満の範囲で大きくすることが出来る。
【0218】
左右の後輪11のキャンバを大きくすることにより、機体の旋回時に、後輪車軸68の外側に取り付けられた補助車輪67の接地圧が上がり、旋回時の半径を小さくすることが出来る。