特許第5991312号(P5991312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5991312フレキシブルブーツ用ポリエステルブロック共重合体組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991312
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】フレキシブルブーツ用ポリエステルブロック共重合体組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20160901BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20160901BHJP
   C08G 63/189 20060101ALI20160901BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   C08L67/02
   C08L63/00 A
   C08G63/189
   C08J5/00CFD
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-500259(P2013-500259)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(86)【国際出願番号】JP2012083258
(87)【国際公開番号】WO2013099803
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】特願2011-283625(P2011-283625)
(32)【優先日】2011年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】河村 日紀
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 賢
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−122019(JP,A)
【文献】 特開平11−153226(JP,A)
【文献】 特開平11−323110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/00−67/03
63/00−63/10
C08G 63/00−63/91
C08J 5/00−5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリブチレンナフタレート成分をハードセグメントとして含み、数平均分子量が1100〜1400のポリオキシテトラメチレングリコール成分をソフトセグメントとして含み、かつソフトセグメントの含有率が30〜60質量%であり、溶液粘度が1.4〜2.6dl/gであるポリエステルブロック共重合体[A]と、ポリブチレンテレフタレート成分をハードセグメントとして含み、数平均分子量が1200〜1800のポリオキシテトラメチレングリコール成分をソフトセグメントとして含み、かつソフトセグメントの含有率が30〜60質量%であり、溶液粘度が1.4〜2.6dl/gであるポリエステルブロック共重合体[B]を、[A]/[B](質量比)が65/35〜35/65の割合で含む樹脂成分100質量部に対し、多官能エポキシ化合物[C]を0.05〜3質量部配合し、前記多官能エポキシ化合物[C]が、2つのエポキシ基を持つエポキシ化合物、3つのエポキシ基を持つエポキシ化合物、または4つのエポキシ基を持つエポキシ化合物であることを特徴とするフレキシブルブーツ用ポリエステルブロック共重合体組成物。
【請求項2】
前記多官能エポキシ化合物[C]が、ナフタレンまたは、トリアジンを骨格に持つエポキシ化合物である請求項1に記載のフレキシブルブーツ用ポリエステルブロック共重合体組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリエステルブロック共重合体組成物を用いて成形されたフレキシブルブーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟性が高いにもかかわらず、機械的特性に優れたポリエステルブロック共重合体組成物に関するものである。詳しくは、高温環境下での耐屈曲疲労性に優れ、低温環境下での柔軟性にも優れ、さらに成形加工性、特に押出加工性、ブロー成形性にも優れたポリエステルブロック共重合体組成物に関するものである。また、ポリエステルブロック共重合体組成物から成形されたブロー成形品に関するものである。詳しくは、高温環境下での耐屈曲疲労性、低温環境下での柔軟性、耐薬品性に優れた自動車の等速ジョイントブーツなどのフレキシブル性が要求される成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リサイクル性の環境面、耐屈曲疲労性の性能面、そして生産性のコスト面における優位性から従来のゴムの代替としてポリエステルブロック共重合体が活用されている。その用途は幅広く、それに伴い求められる性能も高耐薬品性、高耐熱性、高耐屈曲疲労性など多岐に渡る。
【0003】
結晶性芳香族ポリエステルであるポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、脂肪族ポリエステルやポリアルキレングリコール類をソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体で製造された等速ジョイントブーツは、優れたゴム状弾性と耐屈曲疲労性を有する。しかし、自動車の高性能化、機能部のコンパクト化により等速ジョイントブーツの使用環境温度は上昇しており、求められる高温環境下での耐屈曲疲労性は、従来のポリエステルブロック共重合体では不十分であった。
【0004】
ポリエステルブロック共重合体の耐屈曲疲労性を向上させる手段としては、ソフトセグメントに含まれるポリアルキレングリコール類の分子量を増大させること、またはポリエステルブロック共重合体自身の分子量を増大させることで耐屈曲疲労性を向上させることが公知である。高温での使用環境に対応する手段としては、特許文献1がある。100℃での耐屈曲疲労性向上を目的とし、2官能以上のグリシジルエステルを配合している。しかし、100℃を超える高温時における耐屈曲疲労性については触れられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4038742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の手法では解決できなかった、さらなる高温環境下での使用において、良好な耐屈曲疲労性を示し、且つ低温環境下での使用において柔軟性を維持するフレキシブルブーツ用ポリエステルブロック共重合体組成物を提供することを課題とする。特に、140℃において良好な耐屈曲疲労性を示し、−30℃において十分な柔軟性を示すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意、研究、検討した結果、遂に本発明を完成するに到った。
高温環境下(140℃)での耐屈曲疲労性は、ポリブチレンナフタレートをハードセグメントとするポリエステルブロック共重合体(以下、N系ブロック共重合体と称することがある)が優れるが、低温環境下(−30℃)では硬度が大きくなり、柔軟性が低下してしまう傾向にある。一方、ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとするポリエステルブロック共重合体(以下、T系ブロック共重合体と称することがある)は、低温環境下(−30℃)での柔軟性は満足できるが、高温環境下(140℃)での耐屈曲疲労性は、不十分である傾向にあることを見出した。本発明者らが検討した結果、特定の構成を有するN系ブロック共重合体と、特定の構成を有するT系ブロック共重合体とを、特定の割合で含むことにより、驚くべきことに、予想される配合割合に応じた高温環境下(140℃)での耐屈曲疲労性、低温環境下(−30℃)での柔軟性を超えた優れた効果を発現することを見出した。
【0008】
本発明は、以下の通りである。
[1] ポリブチレンナフタレート成分をハードセグメントとして含み、数平均分子量が1100〜1400のポリオキシテトラメチレングリコール成分をソフトセグメントとして含み、かつソフトセグメントの含有率が30〜60質量%であるポリエステルブロック共重合体[A]と、ポリブチレンテレフタレート成分をハードセグメントとして含み、数平均分子量が1200〜1800のポリオキシテトラメチレングリコール成分をソフトセグメントとして含み、かつソフトセグメントの含有率が30〜60質量%であるポリエステルブロック共重合体[B]を、[A]/[B](質量比)が65/35〜35/65の割合で含む樹脂成分100質量部に対し、多官能エポキシ化合物[C]を0.05〜3質量部配合したことを特徴とするフレキシブルブーツ用ポリエステルブロック共重合体組成物。
【0009】
[2] 前記多官能エポキシ化合物[C]が、ナフタレンまたは、トリアジンを骨格に持つ多官能のエポキシ化合物である[1]に記載のフレキシブルブーツ用ポリエステルブロック共重合体組成物。
【0010】
[3] [1]または[2]に記載のポリエステルブロック共重合体組成物を用いて成形されたフレキシブルブーツ。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリエステルブロック共重合体組成物は、市場から要求される、さらなる高温環境下(140℃)において良好な耐屈曲疲労性を示し、低温環境での柔軟性にも優れるものであり、フレキシブルブーツ等に最適に使用できる。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
(ポリエステルブロック共重合体[A])
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[A]は、ハードセグメントとソフトセグメントから構成される。ハードセグメントは、ブチレンナフタレートを繰返し単位とするポリエステルである。物性面や入手のしやすさの面から、2,6−ナフタレンジカルボン酸(または、このアルキルエステル体)と1,4−ブタンジオールからなるポリブチレンナフタレートが好ましい。ソフトセグメントは、ポリオキシテトラメチレングリコールを含む。
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[A]は、ハードセグメントとして、ブチレンナフタレート単位を70モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[A]は、ソフトセグメントとして、ポリオキシテトラメチレングリコールを70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0013】
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[A]において、ハードセグメントのポリエステルを構成するジカルボン酸として、ナフタレンジカルボン酸以外に、テレフタル酸、イソフタル酸等を共重合成分として用いても良い。その量は、全ジカルボン酸成分の30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0014】
また、本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[A]において、ハードセグメントのポリエステルを構成する低分子量グリコールとして、1,4−ブタンジオール以外に、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマーグリコール等を共重合成分として用いても良い。その量は、全低分子量グリコール成分の30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0015】
また、本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体[A]におけるソフトセグメントを構成する成分のポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量は、1100〜1400である。数平均分子量が1100以上であれば、耐熱性の向上のためにハードセグメントの凝集力が大きくなり、数平均分子量が1400以下であれば、ハードセグメントとソフトセグメントの相分離が発生しないため、この範囲が望ましい。本発明の特性を損なわない範囲で、ソフトセグメントの一部として、他のポリ(オキシアルキレン)グリコールや脂肪族ポリエステルグリコール等を用いても良い。また所望のポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量は、高分子量のポリオキシテトラメチレングリコールと低分子量のポリオキシテトラメチレングリコールを混合により達成しても良い。
【0016】
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[A]は、ハードセグメントとソフトセグメントを反応させて得られるものである。ソフトセグメントの質量比率は、エラストマーとしての柔軟性を損なうことなく、且つ高温環境下における形状の保持が可能とするためには、ソフトセグメントの質量比率は30〜60質量%であり、35〜55質量%が好ましい。上記反応は、反応温度、触媒濃度、反応時間の組み合わせを任意に決定して行なうことができる。すなわち、反応条件は、用いるハードセグメント及びソフトセグメントの種類及び量比、用いる装置の形状、攪拌状況などの種々の要因によってその適正値が変化する。
【0017】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体[A]は、少量に限り三官能以上のポリカルボン酸、ポリオールを含んでもよい。例えば無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリンなどを使用できる。
【0018】
ポリエステルブロック共重合体[A]の溶液粘度は、1.4〜2.6dl/gであることが好ましい。[A]の溶液粘度は、1.6〜2.4dl/gがより好ましく、1.7〜2.3dl/gが更に好ましい。溶液粘度は、後記する実施例の項目で説明する方法により測定されるものである。溶液粘度が1.4dl/g未満では加熱時に形状を保持することが難しく、2.6dl/g超では流動性が著しく低下する。
【0019】
次に本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[A]を得る方法としては、公知の任意の方法を採用することができる。例えば、溶融重合法、溶液重合法、固相重合法などいずれも適宜用いられる。溶融重合法の場合、エステル交換法でも直接重合法であってもよい。樹脂の粘度を向上させるため、溶融重合後に固相重合を行うことはもちろん望ましいことである。
反応に用いる触媒としては、アンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒が良好である。特にチタン触媒が好ましく、詳しくはテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリウムなどのシュウ酸金属塩などが好ましい。またその他の触媒としては公知の触媒であれば特に限定はしないが、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ化合物、酢酸鉛などの鉛化合物が挙げられる。
【0020】
(ポリエステルブロック共重合体[B])
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[B]は、ハードセグメントとソフトセグメントから構成される。ハードセグメントは、ブチレンテレフタレートを繰返し単位とするポリエステルである。物性面や入手のしやすさの面から、テレフタル酸(または、このアルキルエステル体)と1,4−ブタンジオールからなるポリブチレンテレフタレートが好ましい。ソフトセグメントは、ポリオキシテトラメチレングリコールを含む。
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[B]は、ハードセグメントとして、ブチレンテレフタレート単位を70モル%以上含むことが好ましく、80モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[B]は、ソフトセグメントとして、ポリオキシテトラメチレングリコールを70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0021】
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[B]において、ハードセグメントのポリエステルを構成するジカルボン酸として、テレフタル酸以外に、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等を共重合成分として用いても良い。その量は、全ジカルボン酸成分の30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0022】
また、本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[B]において、ハードセグメントのポリエステルを構成する低分子量グリコールとして、1,4−ブタンジオール以外に、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマーグリコール等を共重合成分として用いても良い。その量は、全低分子量グリコール成分の30モル%以下が好ましく、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0023】
また、本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体[B]におけるソフトセグメントを構成する成分のポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量は、1200〜1800である。数平均分子量が1200以上であれば、耐熱性の向上のためにハードセグメントの凝集力が大きくなり、数平均分子量が1800以下であれば、ハードセグメントの凝集による低温での硬さ変化に優れるため、この範囲が望ましい。本発明の特性を損なわない範囲で、ソフトセグメントの一部として、他のポリ(オキシアルキレン)グリコールや脂肪族ポリエステルグリコール等を用いても良い。また所望のポリオキシテトラメチレングリコールの数平均分子量は、高分子量のポリオキシテトラメチレングリコールと低分子量のポリオキシテトラメチレングリコールを混合により達成しても良い。
【0024】
本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[B]は、ハードセグメントとソフトセグメントを反応させて得られるものである。ソフトセグメントの質量比率は、エラストマーとしての柔軟性を損なうことなく、且つ高温環境下における形状の保持が可能とするためには、ソフトセグメントの質量比率は30〜60質量%であり、35〜55質量%が好ましい。上記反応は、反応温度、触媒濃度、反応時間の組み合わせを任意に決定して行なうことができる。すなわち、反応条件は、用いるハードセグメント及びソフトセグメントの種類及び量比、用いる装置の形状、攪拌状況などの種々の要因によってその適正値が変化する。
【0025】
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体[B]は、少量に限り三官能以上のポリカルボン酸、ポリオールを含んでもよい。例えば無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメチロールプロパン、グリセリンなどを使用できる。
【0026】
ポリエステルブロック共重合体[B]の溶液粘度は、1.4〜2.6dl/gであることが好ましい。[B]の溶液粘度は、1.6〜2.4dl/gがより好ましく、1.7〜2.3dl/gが更に好ましい。溶液粘度は、後記する実施例の項目で説明する方法により測定されるものである。溶液粘度が1.4dl/g未満では加熱時に形状を保持することが難しく、2.6dl/g超では流動性が著しく低下する。
【0027】
次に本発明にかかるポリエステルブロック共重合体[B]を得る方法としては、公知の任意の方法を採用することができる。例えば、溶融重合法、溶液重合法、固相重合法などいずれも適宜用いられる。溶融重合法の場合、エステル交換法でも直接重合法であってもよい。樹脂の粘度を向上させるため、溶融重合後に固相重合を行うことはもちろん望ましいことである。
反応に用いる触媒としては、アンチモン触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒が良好である。特にチタン触媒が好ましく、詳しくはテトラブチルチタネート、テトラメチルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、シュウ酸チタンカリウムなどのシュウ酸金属塩などが好ましい。またその他の触媒としては公知の触媒であれば特に限定はしないが、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウリレートなどのスズ化合物、酢酸鉛などの鉛化合物が挙げられる。
【0028】
(多官能エポキシ化合物[C])
本発明において多官能エポキシ化合物[C]とは、2つ以上のエポキシ基を持つ化合物を言う。多官能エポキシ化合物[C]の具体例としては、2つのエポキシ基を持つ1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテルや1,3−ビス(オキシラニルメトキシ)ベンゼン、3つのエポキシ基を持つ1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンやジグリセロールトリグリシジルエーテル、4つのエポキシ基を持つ1−クロロ−2,3−エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7−ナフタレンジオール重縮合物やペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルが挙げられる。中でも、骨格に耐熱性を保有した多官能のエポキシ化合物であることが好ましい。特に、ナフタレン構造を骨格に持つエポキシ化合物、またはトリアジン構造を骨格に持つエポキシ化合物が好ましい。ポリエステルエラストマー樹脂自体の溶液粘度上昇の程度や、エポキシ自身の凝集・固化によるゲル化の発生程度より、2官能または3官能のエポキシ化合物が好ましい。
【0029】
(ポリエステルブロック共重合体組成物)
本発明において、ポリエステルブロック共重合体組成物とは、前記ポリエステルブロック共重合体[A]と前記ポリエステルブロック共重合体[B]と前記多官能エポキシ化合物[C]を混合したものである。
本発明のポリエステルブロック共重合体組成物とは、[A]/[B](質量比)が65/35〜35/65の割合で含む樹脂成分100質量部に対し、多官能エポキシ化合物[C]を0.05〜3質量部配合した組成物である。[A]/[B](質量比)は、60/40〜40/60の割合が好ましい。[A]の含有割合が上記比率より小さいと、高温環境下での耐屈曲疲労性が悪くなるので好ましくない。[B]の含有割合が上記比率より小さいと、低温環境での柔軟性が悪くなるので好ましくない。
樹脂成分100質量部に対し、多官能エポキシ化合物[C]の配合量が、0.05質量部より少ないとブロー成形時に形状を保持することが難しく、また高温環境下での耐屈曲疲労性も満足できないものとなり好ましくない。多官能エポキシ化合物[C]の配合量が、3.0質量部を超えると多官能エポキシ自身の凝集硬化(ゲル化)によって、組成物から得られる成形品の表面に凹凸が発生して好ましくない。
【0030】
本発明のポリエステルブロック共重合体組成物の140℃でのデマッチャ屈曲疲労試験における破断までの回数が、400万回以上であることが好ましい。400万回以上であることにより、高温使用環境下での耐屈曲疲労性も満足できるレベルと言える。デマッチャ屈曲疲労試験は、後記する実施例の項目で説明する方法により測定されるものである。
【0031】
さらに、本発明のポリエステルブロック共重合体組成物における(23℃での引張応力)/(−30℃での引張応力)の比率が、2以下であることが好ましい。この比率が2以下であることにより、低温環境での柔軟性も満足できるレベルと言える。引張応力試験は、後記する実施例の項目で説明する方法により測定されるものである。
【0032】
さらに、本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体または、ポリエステルブロック共重合体組成物には、目的に応じて種々の添加剤を配合して組成物を得ることができる。添加剤としては、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、滑剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。
これら添加剤の配合量は、ポリエステルブロック共重合体組成物中に、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0033】
これらの添加物の配合方法としては、加熱ロール、押出機、バンバリミキサーなどの混練機を用いて配合することができる。また、ポリエステルブロック共重合体を製造する際のエステル交換反応の前又は重縮合反応前のオリゴマー中に、添加及び混合することができる。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
(測定法)
溶液粘度:
ポリエステルブロック共重合体0.05gを25mLの混合溶媒(フェノール/テトラクロロエタン=60/40)に溶かし、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定した。
【0035】
デマッチャ屈曲疲労試験:
JIS K6260に従った形状のテストピースを、デマッチャ式屈曲疲労試験機を用いて、140℃で伸長時70mm、圧縮時18mmで屈曲を繰返し、テストピースが破断するまでの回数を測定した。
【0036】
相分離:
ポリエステルブロック共重合体組成物を押出機で、溶融・混練時に冷却前のストランドの透明性を観察した。以下の基準で評価した。
○; 目視によりストランドは透明
×; 目視により白濁が確認される
【0037】
ゲル化:
押出機で溶融・混練したポリエステルブロック共重合体組成物を単軸のシート押出機を用いて、幅150mm、厚み200μmのシートを作成し、シート表面の凹凸を観察した。以下の基準で評価した。
○; 150mm角のシート内において凹凸の数が10個未満
×; 150mm角のシート内において凹凸の数が10個以上
【0038】
低温特性(引張応力試験):
ASTM D638に従った形状のテストピースを、引張試験機を用いて、引張速度50mm/min、チャック間50mmで75mmまで伸張させた時の応力を測定した。
以下の基準で評価した。
○; (−30℃での応力)/(23℃での応力)≦ 2
×; (−30℃での応力)/(23℃での応力)> 2
【0039】
(ポリエステルブロック共重合体[A1]の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)380g、1,4−ブタンジオール(BD)280g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,数平均分子量1250)240g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[A1]は、ソフトセグメントの質量割合は45%であった。
【0040】
(ポリエステルブロック共重合体[A2]の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)390g、1,4−ブタンジオール(BD)250g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,数平均分子量1100)300g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[A2]は、ソフトセグメントの質量割合は45%であった。
【0041】
(ポリエステルブロック共重合体[A3]の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)380g、1,4−ブタンジオール(BD)250g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,数平均分子量1400)310g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[A3]は、ソフトセグメントの質量割合は45%であった。
【0042】
(ポリエステルブロック共重合体[A4]の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)420g、1,4−ブタンジオール(BD)280g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,数平均分子量1250)240g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[A4]は、ソフトセグメントの質量割合は35%であった。
【0043】
(ポリエステルブロック共重合体[A5]の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)340g、1,4−ブタンジオール(BD)210g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,数平均分子量1250)370g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[A5]は、ソフトセグメントの質量割合は55%であった。
【0044】
(ポリエステルブロック共重合体[A6]の作製)
重合反応時間を調整する以外は、ポリエステルブロック共重合体[A1]の作製と同様に、溶液粘度が1.5dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[A6]は、ソフトセグメントの質量割合は45%であった。
【0045】
(ポリエステルブロック共重合体[B1]の作製)
ジメチルテレフタレート(DMT)340g、1,4−ブタンジオール(BD)300g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,分子量1500)320g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで、2時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[B1]は、ソフトセグメントの質重量割合は45%であった。
【0046】
(ポリエステルブロック共重合体[B2]の作製)
ジメチルテレフタレート(DMT)350g、1,4−ブタンジオール(BD)290g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,分子量1200)310g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで、2時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[B2]は、ソフトセグメントの質重量割合は45%であった。
【0047】
(ポリエステルブロック共重合体[B3]の作製)
ジメチルテレフタレート(DMT)340g、1,4−ブタンジオール(BD)300g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,分子量1800)330g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで、2時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[B3]は、ソフトセグメントの質重量割合は45%であった。
【0048】
(ポリエステルブロック共重合体[B4]の作製)
ジメチルテレフタレート(DMT)390g、1,4−ブタンジオール(BD)330g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,分子量1500)250g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで、2時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[B4]は、ソフトセグメントの質重量割合は35%であった。
【0049】
(ポリエステルブロック共重合体[B5]の作製)
ジメチルテレフタレート(DMT)300g、1,4−ブタンジオール(BD)240g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,分子量1500)390g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで、2時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[B5]は、ソフトセグメントの質重量割合は55%であった。
【0050】
(ポリエステルブロック共重合体[B6]の作製)
重合反応時間を調整する以外は、ポリエステルブロック共重合体[B1]の作製と同様に、溶液粘度が1.5dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[B6]は、ソフトセグメントの質量割合は45%であった。
【0051】
(ポリエステルブロック共重合体[C1]の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)390g、1,4−ブタンジオール(BD)250g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,数平均分子量1000)290g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[C1]は、ソフトセグメントの質量割合は45%であった。
【0052】
(ポリエステルブロック共重合体[C2]の作製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル(NDCM)370g、1,4−ブタンジオール(BD)260g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,数平均分子量1500)310g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[C2]は、ソフトセグメントの質量割合は45%であった。
【0053】
(ポリエステルブロック共重合体[D1]の作製)
ジメチルテレフタレート(DMT)360g、1,4−ブタンジオール(BD)290g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,分子量1000)300g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで、2時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[D1]は、ソフトセグメントの質重量割合は45%であった。
【0054】
(ポリエステルブロック共重合体[D2]の作製)
ジメチルテレフタレート(DMT)340g、1,4−ブタンジオール(BD)290g、ポリテトラメチレングリコール(PTMG,分子量2000)330g、イルガノックス−1330(チバジャパン社製)1.8g、テトラブチルチタネート(TBT)1.0gを4Lのオートクレーブに仕込み、室温から220℃まで3時間かけて昇温しエステル交換反応を行った。次いで缶内を徐々に減圧すると共に更に昇温し、45分かけて250℃、1torr以下にして初期縮合反応を行った。さらに250℃、1torr以下の状態で溶液粘度が2.0dl/gとなるまで、2時間重合反応を行い、ポリマーをペレット状に取り出した。採取されたポリエステルブロック共重合体[D2]は、ソフトセグメントの質重量割合は45%であった。
【0055】
(実施例1)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0056】
(実施例2)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]40質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]60質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0057】
(実施例3)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]60質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]40質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0058】
(実施例4)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A2]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B2]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0059】
(実施例5)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A2]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B3]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0060】
(実施例6)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A3]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B2]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0061】
(実施例7)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A3]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B3]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0062】
(実施例8)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.05質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0063】
(実施例9)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル3.0質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0064】
(実施例10)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A4]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0065】
(実施例11)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A5]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0066】
(実施例12)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B4]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0067】
(実施例13)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B5]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0068】
(実施例14)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0069】
(実施例15)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A6]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B6]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0070】
(実施例16)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、4つのエポキシ基を持つ1−クロロ−2,3−エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7−ナフタレンジオール重縮合物0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0071】
(比較例1)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]100質量部に対し、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0072】
(比較例2)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[B1]100質量部に対し、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0073】
(比較例3)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]30質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]70質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0074】
(比較例4)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]70質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]30質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0075】
(比較例5)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.03質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0076】
(比較例6)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル3.2質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0077】
(比較例7)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[D1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0078】
(比較例8)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[A1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[D2]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0079】
(比較例9)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[C1]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0080】
(比較例10)
上記により得たポリエステルブロック共重合体[C2]50質量部に対し、ポリエステルブロック共重合体[B1]50質量部、1,6−ジハイドロキシナフタレンジグリシジルエーテル0.3質量部を押出機内で溶融・混練後、冷水に通して冷却ストランド化により、ポリエステルブロック共重合体組成物を得た。各種測定・評価を行った。結果を表1に記す。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例で得られたポリエステルブロック共重合体組成物は、140℃におけるデマッチャ屈曲疲労試験機による耐屈曲疲労性が400万回以上であるものであり、且つ−30℃における引張応力が23℃での引張応力に対して2以下となった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のポリエステルブロック共重合体組成物は、高温環境下における良好な耐屈曲疲労性を達成しながら、低温における硬度変化を抑制しており、例えば等速ジョイントブーツに最適である。