(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化粧料成分用親水性コポリマーが、ポリエチレングリコール・ラウリルジメチコン・コポリマー、ポリエチレングリコール・ステアリルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマー、ポリエチレングリコール・デシルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマー、ポリエチレングリコール・ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル・テトラメトキシメチルグリコウリル・コポリマー及びポリエチレングリコール・デシルテトラデシルアルコール・ヘキサメチレンジイソシアネート・コポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の化粧料。
前記化粧料成分用親水性多糖類が、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドウガム、ジェランガム、サクシノグルカン、アルギン酸ナトリウム、プルラン及びヒアルロン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の化粧料。
外部応力により変形可能な2つの密封収容部が仕切り部を介して連設され、外部応力を負荷することにより前記仕切り部が開放され2つの前記密封収容部が連通可能な包装体において、一方の前記密封収容部に前記A剤が収容され、他方の前記密封収容部に前記B剤が収容された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料。
2つの密閉容器と、前記密閉容器の内容物を混合しながら吐出する混合吐出手段とを備える混合容器において、一方の前記密閉容器に前記A剤が収容され、他方の前記密閉容器に前記B剤が収容された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料。
【背景技術】
【0002】
近年、生体内で発生する活性酸素の一部が疾病の原因になるという研究結果がもたらされ、また、肌表面で発生する活性酸素が、しわ、しみ、くすみ等の肌の老化の原因になると言われていることから、活性酸素を効率良く除去できかつ人体に安全な物質を用いた活性酸素の除去方法について様々な研究がなされている。代表的な前記物質としては、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、リコピン、カテキン、水素等の、活性酸素を還元して分解する抗酸化物質が挙げられる。その中でも、水素は活性酸素を還元する力が非常に強くかつ他の抗酸化物質よりも分子サイズが小さいことから、食品分野だけでなく、化粧品分野において肌の老化を防止するアンチエイジング物質として大きな注目を集めている。
【0003】
特許文献1は、水素化アルカリ金属、水素化アルカリ土類金属、水素化ホウ素金属塩から選ばれた少なくとも1種の水素発生化合物が、ポリエチレングリコールやキシリトール、トレハロース等の糖類である室温で固体の水溶性化合物又はそれらの混合物中に内包(包埋)された水素発生剤を開示し、該水素発生剤を化粧料や飲料水に添加することや、入浴剤に用いることを開示している。また、特許文献1は、水素化カルシウムが水との反応により水素を発生することや、水素化マグネシウム、水素化ホウ素ナトリウム等が酸を含む水との反応により水素を発生することを開示している。
【0004】
また、パック用水素発生剤として、例えば、ハイドロジェン・セラム(商品名、(株)メディカル・マインド製)が市販されている。ハイドロジェン・セラムは、個装された水素発生剤とセラミド美容液とからなり、これらを使用直前に混合し、水素を含む状態で肌表面に塗布するものである。薬事法により義務付けられた成分表示によれば、水素発生剤は水素化カルシウムや水素化マグネシウム等の水素化アルカリ土類金属を含み、セラミド美容液は水、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、温泉水、1,2−ヘキサンジオール、ピロリドンンカルボン酸ナトリウム、カルボマー、グリコシルトレハロース、水酸化カリウム、加水分解水添デンプン、スクワラン、アボカド油、アラントイン、トコフェロール、グリチルリチン酸2カリウム、加水分解シルク、アルカリゲネス産生多糖体、タウリン、ヨーロッパブナ芽エキス、カワラヨモギエキス、アスコルビルエチル、塩酸リジン、グルタミン酸、クコ果実エキス、グリシン、ロイシン、塩酸ヒスチジン、セリン、バリン、アスパラギン酸ナトリウム、トレオニン、アラニン、イソロイシン、マロニエエキス、オニイチゴ根エキス、ビフィズス菌発酵エキス、プラセンタエキス、フェニルアラニン、オウゴンエキス、ラウロイル乳酸ナトリウム、加水分解ヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギニン、プロリン、ノイバラ果実エキス、ナツメ果実エキス、カンゾウ根エキス、チロシン、オタネニンジン根エキス、カッコンエキス、マヨラナ葉エキス、セイヨウシロヤナギ樹皮エキス、加水分解エラスチン、イノシン酸2ナトリウム、グアニル酸2ナトリウム、ワイルドタイムエキス、アロエベラ葉エキス、クロレラエキス、セラミド3、加水分解コラーゲン、セラミド6II、フィトスフィンゴシン、コレステロール、水溶性コラーゲン、キサンタンガム、アーチチョーク葉エキス及びセラミド1という各成分を含んでいる。
【0005】
また、別の市販品として、Auter(商品名、水素健康医学ラボ(株)製)が挙げられる。これは、ワセリン、ミツロウ、ホホバ種子油、セタノール、水素化マグネシウム、トコフェロール及びシリカよりなるクリーム剤であるが、肌表面での延び性の点で改良の余地が残されている。
【0006】
特許文献2は、(a)PEG−240・デシルテトラデセス−20(デシルテトラデシルアルコール)・ヘキサメチレンジイソシアネート・コポリマー、(b)シリコーンポリマー、(c)ジェランガム、キサンタンガム、サクシノグルカン、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸・アクリロイルジメチルタウリンNa・コポリマー、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム・VP・コポリマー、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム・メタクリル酸ベヘネス−25・クロスポリマー(架橋ポリマー)よりなる群から選ばれる少なくとも1種、(d)乳化剤、(e)シリコーン油及び(f)水を含有し、(a)成分の効果を保持しながら(a)成分に起因する不快なべたつき感を無くすことを目的とする水中油型乳化化粧料を開示している。(a)成分は耐酸性や耐塩性が高く、これを化粧料に用いた場合に、増粘の他に、肌のたるみを無くして弾力感を与える効果を示すことが従来から知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
水素化アルカリ土類金属や水素化ホウ素金属塩等の水素発生化合物と水との混合により水素が発生し、水素を含む混合物が得られるが、この混合物を肌表面に塗布すると、水素が常温で気体であることから水素が飛散し易く、水素の肌表面での滞在時間が短くなり、水素の強い還元力を肌表面で十分に発揮させることができないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、水素発生化合物と水と反応により発生する水素を含む混合物を肌表面に塗布する化粧料において、水素の肌表面からの急速な飛散を抑制し、水素の還元力を肌表面で十分に発揮させることができる化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の親水性増粘剤を用いることにより、目的に叶う化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(11)の化粧料を提供する。
【0011】
(1)水と反応して水素を発生する水素発生化合物を含むA剤と、水及び親水性増粘剤を含むB剤とを
含む化粧料であって、前記A剤が前記水素発生化合物として水素化アルカリ土類金属及び水素化ホウ素金属塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、前記B剤が前記親水性増粘剤としてポリエチレングリコール
をモノマー成分として含有
する化粧料成分用親水性コポリマーと天然物由来の化粧料成分用親水性多糖類とを含む
、化粧料。
【0012】
(2
)化粧料成分用親水性コポリマーが、ポリエチレングリコール・ラウリルジメチコン・コポリマー、ポリエチレングリコール・ステアリルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマー、ポリエチレングリコール・デシルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマー、ポリエチレングリコール・ラウリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル・テトラメトキシメチルグリコウリル・コポリマー及びポリエチレングリコール・デシルテトラデシルアルコール・ヘキサメチレンジイソシアネート・コポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(
1)の化粧料。
【0013】
(
3)化粧料成分用親水性多糖類が、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドウガム、ジェランガム、サクシノグルカン、アルギン酸ナトリウム、プルラン及びヒアルロン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(
1)の化粧料。
【0014】
(
4)水素発生化合物が水素化マグネシウムである上記(1)〜(
3)のいずれかの化粧料。
(
5)B剤がさらに酸を含む上記(1)〜(
4)のいずれかの化粧料。
【0015】
(
6)外部応力により変形可能な2つの密封収容部が仕切り部を介して連設され、外部応力を負荷することにより前記仕切り部が開放され2つの前記密封収容部が連通可能な包装体において、一方の前記密封収容部に前記A剤が収容され、他方の前記密封収容部に前記B剤が収容され
た、上記(1)〜(
5)のいずれかの化粧料。
(
7)2つの密閉容器と、前記密閉容器の内容物を混合しながら吐出する混合吐出手段とを備える混合容器において、一方の前記密閉容器に前記A剤が収容され、他方の前記密閉容器に前記B剤が収容され
た、上記(1)〜(
5)のいずれかの化粧料。
(
8)上記(1)〜(
7)のいずれかの化粧料と、該化粧料を塗布して肌に貼着するためのパック用シートとを含む化粧料セット。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水素の肌表面での滞在時間が長く、水素の還元力を肌表面で十分に発揮させることができる化粧料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の化粧料はA剤とB剤とからなり、使用(肌に塗布する)前、好ましくは肌に塗布する直前にA剤とB剤とを混合して発生した水素を含む混合物とし、これを肌表面に塗布して水素の還元力を発揮させることにより、主に肌の美麗化や老化防止等を目的とした化粧料であり、A剤が水素化アルカリ土類金属及び水素化ホウ素金属塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の、水と反応して水素を発生する水素発生化合物を含み、かつ、B剤が水と親水性増粘剤とを含み、親水性増粘剤がポリエチレングリコール含有高分子化合物を含み、好ましくはポリエチレングリコール含有高分子化合物と多糖系高分子化合物とを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の化粧料では、B剤に含まれる親水性増粘剤として、ポリエチレングリコール含有高分子化合物を用いることにより、A剤とB剤との混合物中から水素が急速に飛散することが顕著に抑制され、水素の肌表面での滞在時間を長くし、水素の強力な還元力を肌表面で十分に発揮させることができる。また、ポリエチレングリコール含有高分子化合物と多糖系高分子化合物とを併用することにより、水素発生化合物をA剤とB剤との混合物中にて均一に分散させることができるので、水素発生化合物がダマになることが防止される。その結果、水素発生化合物全体が水と万遍なく接触して十分な量の水素を発生させることができると共に、該混合物の肌に対する感触をより一層滑らかにし、該混合物の肌表面での延び性が一層向上し、該混合物を肌表面に均一に心地よく塗布することができる、といった予想外の利点が得られる。これらの利点は、使用者に水素の還元力による効果だけでなく、安心感や満足感をも与えるので、化粧料には非常に重要である。なお、本発明の化粧料では、A剤とB剤との混合により水素が発生するが、肌表面に塗布後も水素の発生は継続するので、水素の還元力を非常に効率良く利用できる。
【0020】
以下、A剤に含まれる成分及びB剤に含まれる水以外の各成分について、詳しく説明する。
【0021】
A剤に含まれる水素発生化合物は、水と反応して水素を発生させる化合物であり、水との接触面積や水素の発生効率等の観点から、粉末の形態で用いることが好ましい。本発明では、水素発生化合物として、水素化アルカリ土類金属及び水素化ホウ素金属塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する。水素化アルカリ土類金属としては特に限定されないが、例えば、水素化カルシウム、水素化マグネシウム等が挙げられる。また、水素化ホウ素金属塩としても特に限定されないが、例えば、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素アルカリ金属塩が挙げられる。これらの中でも、水素含有率、水素の発生効率、入手性等の観点から、水素化アルカリ土類金属が好ましく、水素化マグネシウムがより好ましい。
【0022】
A剤は、B剤との均一混合性や水素発生量、更にはA剤とB剤との混合物の水素保持性等を低下させない範囲で、水素発生化合物の他に、公知の粉末状化粧料用添加剤を任意成分として含むことができる。粉末状化粧料用添加剤としては、下記に示すような球状及び非球状の各種添加剤を使用できる。これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
球状添加剤としては、例えば、球状シリカ、球状ポリエチレン、ポリアミド球状樹脂粉末(ナイロン球状粉末)、架橋型ポリ(メタ)クリル酸メチル球状樹脂粉末等が挙げられる。また、非球状添加剤としては、例えば、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸鉄、γ−酸化鉄、黄酸化鉄、黄土、黒酸化鉄、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の無機顔料;金属顔料;有機顔料;天然色素;ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン等の高分子シリコーン系粉末;シリコーン系樹脂以外の樹脂粉末;雲母、絹雲母、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等の無機粉末;金属石鹸;等が挙げられる
【0024】
B剤に含まれる親水性増粘剤としては、ポリエチレングリコール含有高分子化合物、好ましくはポリエチレングリコール含有高分子化合物及び多糖系高分子化合物を使用する。
【0025】
ポリエチレングリコール含有高分子化合物は、例えば、A剤とB剤との混合物中で発生する水素の保持性を向上させ、水素の肌表面での滞在時間を長くし、水素の強い還元力を十分に発揮させることができる。
【0026】
ポリエチレングリコール含有高分子化合物としては、A剤とB剤との混合物中での水素保持性を高め、入手性や安全性に優れるといった観点から、ポリエチレングリコール(以下、「PEG」とすることがある。)をモノマー成分の1つとして含有する化粧料成分用親水性コポリマーが好ましい。このような化粧料成分用親水性コポリマーとしては、PEG・ラウリルジメチコン・コポリマー、PEG・ステアリルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマー、PEG・デシルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマー、PEG・ラウリルアルコールとポリエチレングリコールとのエーテル・テトラメトキシメチルグリコリル・コポリマー、及び、PEG・デシルテトラデシルアルコール・ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)・コポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0027】
PEG・ラウリルジメチコン・コポリマーの具体例としては、例えば、PEG−10/ラウリルジメチコン/クロスポリマー、PEG−15/ラウリルジメチコン/クロスポリマー等が挙げられる。
PEG・ステアリルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマーの具体例としては、例えば、PEG−150/ステアリルアルコール/メチレンジフェニルジイソシアネート/コポリマー等が挙げられる。
PEG・デシルアルコール・メチレンジフェニルジイソシアネート・コポリマーの具体例としては、例えば、PEG−150/デシルアルコール/メチレンジフェニルジイソシアネート/コポリマー等が挙げられる。
PEG・ラウリルアルコールとポリエチレングリコールとのエーテル・テトラメトキシメチルグリコリル・コポリマーの具体例としては、例えば、PEG−180/ラウレス−50/テトラメトキシメチルグリコウリル/コポリマー等が挙げられる。
PEG・デシルテトラデシルアルコール・HDI・コポリマーの具体例としては、PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI/コポリマー等が挙げられる。
【0028】
これらの親水性コポリマーの中でも、A剤とB剤との混合物中における水素発生化合物の分散性や水素保持性、多糖系高分子化合物等との相溶性等を考慮すると、PEG・デシルテトラデシルアルコール・HDI・コポリマーがさらに好ましい。
【0029】
多糖系高分子化合物は、例えば、ポリエチレングリコール含有高分子化合物の添加等により、A剤とB剤との混合物中にて水素発生化合物の不均一な分散が生じ、該混合物がボソボソした感触となって肌表面での延び性が低下するのを防止し、該混合物を肌表面に均一に万遍なく塗布することができるようにする。多糖系高分子化合物としては、増粘効果を有する親水性多糖類を使用できるが、化粧料用成分として用いられる天然物由来の親水性多糖類が好ましい。本明細書において、天然物由来の親水性多糖類とは、天然物から分離、精製される親水性多糖類、及び、天然物を原料として酵素処理、微生物処理、化学合成的処理等の様々な処理方法により得られる親水性多糖類を包含する。
【0030】
天然物由来の親水性多糖類としては特に限定されないが、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドウガム、ジェランガム、サクシノグルカン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、及び、ヒアルロン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、A剤とB剤との混合物中における各成分の分散安定性を一層高め、該混合物中に濁りやオリ等が発生するのを防止する観点等から、カラギーナンがさらに好ましい。
【0031】
B剤における親水性増粘剤の含有量(ポリエチレングリコール含有高分子化合物と多糖系高分子化合物との合計含有量)は、水素発生化合物の種類や使用量、親水性増粘剤の種類等に応じて適宜選択されるが、A剤とB剤との混合物の水素保持性や肌表面での延び性を高め、かつ、該混合物中での水素発生化合物の分散性の低下を抑制する観点から、好ましくはB剤全量の0.1〜10重量%であり、より好ましくはB剤全量の0.2〜8重量%である。親水性増粘剤の含有量が0.1重量%未満では、A剤とB剤との混合物中での水素保持性が低下する傾向があり、親水性増粘剤の含有量が10重量%を超えると、A剤とB剤との混合物中での水素発生化合物の分散性が低下する傾向がある。
【0032】
また、ポリエチレングリコール含有高分子化合物と多糖系高分子化合物とを併用する場合、その使用割合は、これら高分子化合物の種類等に応じて適宜選択されるが、ポリエチレングリコール含有高分子化合物:多糖系高分子化合物が、重量基準で、好ましくは1:99〜99:1、より好ましくは5:95〜95:5、さらに好ましくは10:90〜90:10、特に好ましくは30:70〜70:30である。
【0033】
B剤は、親水性増粘剤の他に、酸を含むことができる。酸は、水素発生化合物が水素化マグネシウムや水素化ホウ酸金属塩である場合に、水素発生化合物と水との反応を促進し、水素を効率的に発生させることができる。酸としては肌に悪影響を及ぼさない酸を特に限定なく使用でき、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、アスコルビン酸等の有機酸、グルタミン酸等のアミノ酸、スルファミン酸、ホウ酸、メタホウ酸等の無機酸等が挙げられる。酸は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの酸の中でも、化粧料という用途の観点から、有機酸が好ましく、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等がより好ましいが、勿論無機酸も使用することができる。酸の使用量は、酸の種類、水素発生化合物の使用量等に応じて適宜選択されるが、好ましくはB剤全量の0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜0.9重量%である。
【0034】
B剤は、ポリエチレングリコール含有高分子化合物や多糖系高分子化合物の効果を損なわない範囲で、化粧料分野で常用されるこれら以外の親水性増粘剤を含むことができる。このような親水性増粘剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、カルボキシビニルポリマー、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0035】
B剤は、ポリエチレングリコール含有高分子化合物や多糖系高分子化合物の効果を損なわない範囲で、化粧料用分野で常用される保湿剤、油剤、界面活性剤、その他の添加剤等を含有することができる。
【0036】
保湿剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール、マルチトール、還元水あめ、蔗糖、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、イノシトール、ラフィノース、トレハロース、トリメチルグリシン、シクロデキストリン、アミノ酸、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ等が挙げられる
【0037】
油剤としては、植物油等の液体油脂、ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、流動パラフィン、スクワラン、セレシン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、モノステアリルグリセリンエーテル等の高級アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、乳酸セチル、イソステアリン酸イソセチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、クロタミトン等のエステル油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。
【0038】
界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、高級アルキル硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウム等のカチオン界面活性剤;プロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、ソルビット脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸エステル類、アルキルエーテル類、エチレンジアミン縮合物、ヒマシ油や硬化ヒマシ油の誘導体、ミツロウ・ラノリン誘導体、ステロールや水素添加ステロール、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アルキルアミン、脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等の非イオン界面活性剤;等が挙げられる。
【0039】
その他の添加剤としては、エデト酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等のキレート剤、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤、エチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、アラントイン等の抗炎症剤、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE、パンテノール等のビタミン類、イザヨイバラ、セイヨウノコギリソウ、メリロート、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等の天然抽出物、ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジル等の血行促進剤、l−メントール、ユーカリ油等の冷感剤、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ジンゲロール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル等の温感剤、紫外線吸収剤、香料、色素等が挙げられる。
【0040】
B剤は、例えば、上記特定の親水性増粘剤を水に溶解し、さらに必要に応じて他の親水性増粘剤、保湿剤、油剤、界面活性剤、その他の添加剤等から選ばれる少なくとも1種を溶解又は分散させることにより、調製できる。
【0041】
本発明では、A剤とB剤との使用割合は特に限定されず、A剤及びB剤に含まれる各成分の種類や含有量等に応じて適宜選択されるが、A剤100重量部に対してB剤を好ましくは5000〜30000重量部、より好ましくは10000〜20000重量部使用する。B剤の使用量が5000重量部未満では、A剤とB剤との混合物における水素発生量が低下したり、該混合物の肌に対する感触が滑らかさに欠け、肌表面にほぼ均一に塗布することが難しくなったりする傾向がある。B剤の使用量が30000重量部を超えると、水素の急激な飛散が起こり易くなり、水素の肌表面での滞在時間が短くなる傾向がある。
【0042】
A剤とB剤との混合物を肌表面に万遍なくかつ均一に塗布した後、該混合物を肌表面に放置する時間(パック時間)は特に限定されず、使用者の嗜好等に応じて適宜選択すればよいが、水素の還元力を十分にかつ効率良く発揮させる観点等から、例えば1〜40分程度であることが好ましい。所定のパック時間が経過した後、該混合物を水洗等により除去することができる。
【0043】
本発明の化粧料は、A剤及びB剤をそれぞれ個別に包装し、使用時にA剤とB剤とを混合し、得られた混合物を肌表面に塗布することにより用いられる。より具体的には、例えば、
図1に示す包装体1とすることができる。
図1は、本発明の化粧料を収容する包装体1の構成を簡略化して示す斜視図である。
図1(a)はA剤とB剤とを混合する前の状態を示し、
図1(b)はA剤とB剤を混合した後の状態を示す。
【0044】
包装体1は、
図1(a)に示すように、外部応力により変形可能な2つの密封収容部10a、10bが仕切り部11を介して連設され、外部応力を負荷することにより仕切り部11が開放され2つの密封収容部10a、10bが連通可能になるように構成され、一方の密封収容部10aにA剤12が収容され、他方の密封収容部10bにB剤13が収容されている。密封収容部10a、10bは、例えば樹脂製フィルム等で構成され、透明でも不透明でもよく、また着色されていても着色されていなくてもよい。仕切り部11は応力を負荷しない状態では密着し、密封収容部10a、10bを離隔しているが、例えば、包装体1に外部応力を負荷することにより開放され、
図1(b)に示すように、密封収容部10a、10bが連通してA剤12とB剤13とが混合され、混合物14が得られる。包装体1への外部応力の負荷は特に限定されず、例えば、包装体1の長手方向の一端部を軸芯にして包装体1を円筒状に丸めたり、密封収容部10a、10bのいずれか一方又は両方を押圧したりすること等により行なわれる。このように、包装体1の内部でA剤12とB剤13とを混合した後、包装体1を開封して混合物14を肌表面に塗布すればよい。
【0045】
また、別形態の包装体として、2つの密閉容器と、2つの密閉容器の内容物を混合しながら吐出する混合吐出手段と、2つの密閉容器及び混合吐出手段を収容する外装体とを備える混合容器において、一方の密閉容器にA剤が収容され、他方の密閉容器にB剤が収容されている包装体が挙げられる。このような包装体は、例えば、スプレー缶として市販されているので、市販のスプレー缶内の2つの密閉容器にA剤及びB剤をそれぞれ収容することにより、本発明の化粧料とすることができる。
【0046】
また、本発明の化粧料と、パック用シートとを含む化粧セットの形態とすることができる。すなわち、A剤とB剤との混合物をパック用シートの片面に均一に万遍なく塗布し、この塗布面が肌表面に接するようにパック用シートを貼着することにより、本発明の化粧料による肌表面のパックを行なうことができる。ここで、パック用シートとしては特に限定されず、化粧料分野で常用されるパック用シートをいずれも使用できるが、例えば、不織布等からなるパック用シートが好ましい。また、パック用シートを用いることにより、水素の肌表面での滞在時間をさらに長くすることができるので、さらに好ましい。
【0047】
本発明の化粧料は、肌の美麗化や老化防止だけでなく、水素の還元力を生かして歯を還元脱色するブリーチングにも使用できる。例えば、A剤とB剤との混合物を歯ブラシに塗布し、歯磨き動作を行なうことにより、歯を還元脱色することができる。また、歯ブラシ、綿棒等によりA剤とB剤との混合物を歯に付着させ、所定時間放置した後、口を漱いで該混合物を除去すればよい。従来は、過酸化水素を含む薬剤を用い、口腔内にマウスガードと呼ばれるトレーを装着して歯の脱色が行なわれているが、過酸化水素を含む薬剤は医薬品であるため歯科医に受診する必要があり、また、マウスガードも歯科医に受診しないと作製できないため、歯の脱色を家庭で手軽に行なうことが困難であった。これに対し、本発明の化粧料を用いれば、身体への安全性が高い水素により歯の還元脱色を手軽に行なうことができるので、利便性が非常に高い。
【実施例】
【0048】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
【0049】
(実施例1)
水素化マグネシウム粉末をA剤とした。また、PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマー及びクエン酸を水に溶解し、PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマー濃度5重量%及びクエン酸濃度0.1重量%のジェル状のB剤を調製し、実施例1の化粧料を得た。
【0050】
(比較例1)
PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマーを用いない以外は、実施例1と同様にして、粉末状のA剤と液状のB剤とからなる比較例1の化粧料を調製した。比較例1の化粧料の理論水素発生量は、実施例1の化粧料と同じであった。
【0051】
実施例1及び比較例1の化粧料について、A剤0.1gとB剤15gとを密閉容器に収納及び混合することにより発生する気体を水上置換で捕集し、捕集した気体に水素が含まれているか否かを水素検知管(商品名:GASTEC GV−100S、(株)ガステック製)を用いて調べた。前記水素の検知を5分毎に行なった。その結果、実施例1の化粧料はA剤とB剤との混合直後から50分を経過するまで水素を検知できたのに対し、比較例1の化粧料はA剤とB剤との混合直後から2分経過しただけで水素を検知できなくなった。なお、比較例1は混合直後5分で水素が検知できなかったため、再度A剤とB剤とを混合し、1分間隔で検知を行なった。
【0052】
以上のことから、実施例1の化粧料は、水素の飛散が顕著に抑制され、水素が混合物中により長い時間残存していたことが明らかである。この実験結果により、PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマーの水素保持効果が確認された。
【0053】
(実施例2〜11)
水素化マグネシウム粉末をA剤とした。また、PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマー、下記表1に示す多糖系高分子化合物及びクエン酸を水に溶解し、PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマー濃度5重量%、多糖系高分子化合物濃度1重量%及びクエン酸濃度0.9重量%のジェル状B剤を調製し、実施例2〜11の化粧料を得た。
【0054】
実施例2〜11のいずれの化粧料も、水素検知管(GASTEC GV−100S)を用いた検知により、実施例1と同様に、A剤0.1gとB剤15gとの混合直後から50分を経過しても水素を検知でき、水素保持効果が高いことが分かった。
【0055】
[混合物の外観]
実施例1〜11の化粧料について、A剤0.1gとB剤15gとの混合物を目視により観察し、下記の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:水素化マグネシウム粉末のダマや、濁り、オリ等の発生が認められなかった。
〇:水素化マグネシウム粉末のダマの発生は認められなかったが、濁りやオリの発生が認められた。
△:水素化マグネシウム粉末のダマの発生が認められた。
【0056】
[混合物の感触及び延び性]
10名のパネラーを選定し、実施例1〜11の化粧料について、A剤0.1gとB剤15gとの混合物を顔に塗布し、該混合物の肌表面に対する感触及び延び性を下記の基準で評価し、その平均値が「3.5以上」を◎、「2.5以上3.5未満」を○、「2.5未満」を△とした。結果を表1に示す。
【0057】
4:肌表面に対して非常に滑らかな感触を有し、短時間で顔全体に万遍なくかつ均一に延ばすことができた。
3:肌表面に対して滑らかな感触を有していたが、顔全体に万遍なくかつ均一に延ばすのに多少の時間を要した。
2:混合物中での濁りやオリの発生等により多少滑らかさに欠け、顔全体に塗布した場合に塗りむらが生じた。
1:混合物中での水素化マグネシウム粉末のダマ等の発生によりボソボソした感触となり、顔全体に塗布した場合に塗りむらが大きくなった。
【0058】
【表1】
【0059】
(実施例12)
水素化カルシウム粉末をA剤とした。また、PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマー及びカラギーナンを水に溶解し、PEG−240・デシルテトラデセス−20・HDI・コポリマー濃度5重量%及びカラギーナン濃度1重量%のジェル状B剤を調製し、実施例12の化粧料を得た。この化粧料についても、A剤とB剤との混合直後から長時間にわたって水素の発生が確認された。