(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一次元方向に配列された一次元電気音響変換器を有する送受波器であって、該一次元電気音響変換器は、該一次元電気音響変換器の長軸方向に沿って、該一次元電気音響変換器の位相あるいは振幅に対する電気音響変換特性が周期的に変化するように構成され、
前記一次元電気音響変換器は、前記一次元方向と直交する方向に複数配列されて面状の二次元電気音響変換器を構成することを特徴とする送受波器。
【背景技術】
【0002】
3次元撮像の実現には、基本的には、電極をマトリックス状に2次元配置する必要があり、高分解能装置の実現のためには、多数(10000個程度)の電極が必要となり、実用化が極めて困難となる。
【0003】
そこで発明者は、周波数ごとに異なる方向に超音波を掃引照射する1次元配列の送波器を有し、掃引方向と直交する方向に1次元分割した受波器を有する、3次元撮像方式を開発している。
【0004】
しかし、この方法によると、2次元方向に収束特性を有する2次元収束音響レンズが必要となり、2次元収束音響レンズは重量物となるため、装置の簡易化に困難を感じている。
【0005】
そこで本発明は、周波数により一次元方向を走査し、1次元配列の受波器により3次元撮像を行う方式において、2次元収束音響レンズを必要としない構成法を提供する。
【0006】
周波数ごとに異なる方向に超音波を掃引照射し、3次元撮像する方式は種々知られている。
【0007】
このような方法による第一の公知例は、特許文献1に示される、周波数ステアリング型2次元音響アレーにより、3次元空間の映像化を行う方法である。
【0008】
この公知例における、2次元音響アレーの最も単純な構成が、
図1に示す周波数ステアリング型2次元アレー1であり、音響トランスジューサ素子2、信号電極3、第1配線4、第2配線5、接地電極6及び、信号端子7により構成されている。
【0009】
しかし、
図1に示す最も単純な構成においても、多数(UxV)の信号電極3を2次元(マトリックス)状に配置する必要があり、高分解能装置においては、10000個(U:100,V:100)程度の電極数が必要となり、この方式の実用化は困難である。
【0010】
周波数ごとに異なる方向に超音波を掃引照射する方法による第二の公知例を、
図2に示す。この方式は、発明者らによる特許文献2に示された方式である。
【0011】
図2における送波器8は、方位ごとに周波数の異なる超音波を送出し、送波器8の最も簡便な構成法は、発明者らによる公知技術である特許文献3に示されている。
【0012】
この公知技術による送波器8は、
図4に示すように、分極軸方向21が交互に反転して形成されている圧電素子20の両面に、共通電極として、一対の接地電極22と信号電極23を形成する。
【0013】
この接地電極22と信号電極23の間に、1本の駆動信号25を印加すると、その信号周波数に応じて伝搬媒体9中の異なる方向に超音波波面26を放射し、対象領域10をx軸方向に掃引走査する。
【0014】
該超音波波面26は、送波器8の形状が棒状であることから、x軸方向には狭くz軸方向には広い
扇形超音波ビーム13となる。
【0015】
ここでは、超音波波面26が伝搬する方向を超音波波面放射方向24とし、以下、超音波波面26が、x軸(送波器8の配列方向)に対して傾斜する角度をθとし、z軸(仮に鉛直方向とする)に対して傾斜する角度をψとする。
【0016】
送波器8の動作原理は
図5に示す通りであり、接地電極22と信号電極23の間に、正弦波駆動信号25を印加すると、
図5の円弧に示す波面が形成され(実線と破線で位相が180度異なることを示す)、同時刻の隣接した波面の位相が反転しているため、送波器8の法線方向では放射音波が相殺され、傾斜した方向である超音波波面放射方向24に超音波ビームが形成される。
【0017】
図5において、周波数が高い場合には、波長が短い事から、
図5のa)に示すように、高周波送波波面27を正面近傍方向へ形成する。一方、周波数が低い場合には、波長が長い事から、
図5のb)に示すように、低周波送波波面28をより傾斜した方向へ形成する。
【0018】
振動子ピッチをd
0とし、駆動信号の波長をλとすると、音波を放射する角度θ
0は数1となる。
【0019】
(数1)
θ
0=sin
-1{λ/(2d
0)}
また、素子数をNとして、θ方向に関する遠距離音場指向特性R(θ)は、数2となる。
【0020】
(数2)
R(θ)=sin{0.5 N(η−γ
0)}/sin{0.5(η−γ
0)}
η=π、γ
0=2πd
0 sin(θ)/λ
【0021】
一方、対象物15からの反射音波14は、受波用の2次元収束音響レンズ11により、
図3に示す、z軸方向(鉛直方向)に電極が分割された、1次元配列の
受波検出面12上に結像され物体像17となる。
【0022】
この受波検出面12は圧電材料により構成され、入射音圧を分割素子16上の電気信号に変換する。
【0023】
ここで、2個の対象物(図示せず)が、z軸方向に対して傾斜する角度ψ(仰角)が同一でx軸方向に対して傾斜する角度θ(方位角)が異なる方向に存在するとし、これら対象物からの反射波面をそれぞれ、
図6のa)における、高周波受信波面29および低周波受信波面30とする。
【0024】
これら、高周波受信波面29および低周波受信波面30は、z軸方向に対して傾斜する角度ψが同一であることから、2次元収束音響レンズ11により、
図6のa)に示すように、全て受波検出面12上における同一の分割素子16上に収束され、単一の分割素子16からの出力信号18へ変換される。
【0025】
図2の構成においては、対象物10の方位θ(x軸方向に対して傾斜する角度)により、照射される信号の周波数が異なる事から、対象物10の水平方向位置は、
図3に示すように、素子出力信号18中の信号周波数成分強度19により知られる。
【0026】
一方、2個の対象物(図示せず)が、x軸方向に対して傾斜する角度θ(方位角)が同一で、z軸方向に対して傾斜する角度ψ(仰角)が異なる方向に存在するとし、これら対象物からの反射波面をそれぞれ、
図6のb)における、上方受信波面31および下方受信波面32とする。
【0027】
これら、上方受信波面31及び、下方受信波面32は、z軸方向に対して傾斜する角度ψが異なることから、それぞれ、受波検出面12上における、分割素子16の異なる位置である、素子位置33あるいは素子位置34に収束する。
【0028】
したがって、対象物への仰角(角度ψ)は、1次元配列受波検出面12上において、信号が出現する分割素子16の位置として知られ、これら、x軸方向及びz軸方向に対する傾斜角度情報(θ、ψ)により、
対象物15の2次元形状が知られる。
【0029】
また、
対象物15までの距離(y軸方向)は、超音波の往復時間で知られる事から、これらの3情報により、三次元空間内における計測対象の形状が完全に把握される。
【0030】
このように、
図2の方式においては、受波用2次元収束音響レンズ11に入射した、各反射点からの音響信号は全て、1次元配列
受波検出面12上において同位相にて加算され、装置として達成可能な最高の感度を実現することとなる。
【0031】
しかし、このような動作原理から、
図2の従来方式においては、2次元方向に収束特性を有する2次元収束音響レンズ11が、必須の構成要件となる。
【0032】
ここで、このような2次元収束音響レンズによる構成においては、高感度化のためにレンズの大口径化必要であり、1次元配列受波検出面12の小面積化のためにはレンズの短焦点化も必要となる。
【0033】
これらの要求から、音響レンズは必然的に厚くなり、重量が増加することから、
図2に示す従来方式による、装置の簡易化は困難となる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
2次元収束音響レンズの不要化を可能とする各種構成を、実施例により以下に詳述する。
【実施例1】
【0041】
本発明による第1の実施例においては、
図7に示す、単一位相板38を使用することにより、2次元収束音響レンズの不要化を可能とする。
【0042】
単一位相板38は、
図7に示す、単一位相素子39を、z軸方向に配列した構成と見做され、接地電極43は単一位相板38の背面全面に共通形成される。
【0043】
ここで、単一位相素子39は、圧電材料40と非圧電材料41とを交互に配置し、圧電材料40を共通接続して信号電極42とし、信号電極42は信号端子44を有し、分極軸方向21の矢印により示すように、圧電材料40の分極軸は同一方向に整列されている。
【0044】
本実施例の、θ方向動作に関する全体構成を
図8に示す。本実施例においては、単一位相板38の水平軸(
図7のx軸方向)を、送波器8の中心軸(x軸)と平行に配置させる。また、
図7に示す単一位相素子39の配列間隔d
1を、送波器8の素子間隔d
0と一致させて構成する。
【0045】
このような構成において、送波器8の駆動信号周波数を変化させることにより、照射方位θを変化させ、
図8に示す、高周波送波波面27および低周波送波波面28を送波する。
【0046】
ここで、
図6のa)と同様に、2個の対象物(図示せず)が、z軸方向に対して傾斜する角度ψ(仰角)が同一で、x軸方向に対して傾斜する角度θ(方位角)が異なる方向に存在するとし、これら対象物からの反射波面をそれぞれ、
図8における、高周波受信波面29および低周波受信波面30とする。
【0047】
これら、高周波受信波面29および低周波受信波面30は、
図9に示すように、単一位相板38の水平軸と送波器8の中心軸(x軸)とが平行であり、単一位相素子39の配列間隔d
1と送波素子の配列間隔d
0とが同一であることから、受信波面の同位相位置が、単一位相素子39における圧電材料40の存在位置と必ず一致する。
【0048】
このため、単一位相素子39は必ず、入射波面29、30の同位相部分のみを電気信号に変換することとなり、どのような角度θ(方位角)から入射する波面に対しても、受信信号を自動的に同位相加算し、信号端子44に出力する。
【0049】
従って、単一位相素子39を使用することにより、角度θ(方位角)方向に関する指向性合成処理は不要となる。
【0050】
一方、本実施例の、ψ方向動作に関する全体構成は
図10となる。
【0051】
図10において、
図6のb)に対応する、2個の対象物(図示せず)が、x軸方向に対して傾斜する角度が同一(θ
1)で、z軸方向に対して傾斜する角度が異なる方向(ψ
1およびψ
2)に存在するとし、照射波面46による、これら対象物からの反射波面をそれぞれ、上方受信波面47(ψ
1)および正面受信波面48(ψ
2=0)とする。
【0052】
ここで、上方受信波面47は、z軸方向に対して角度ψ
1だけ傾斜しているため、
図11に示すように、単一位相素子39への入射時刻が、z軸方向位置に応じて変化する。
【0053】
このため、同位相加算を行うためには、単一位相板38からのV個の信号に対し、z軸方向に関する指向性合成処理が必要となる。
【0054】
この指向性合成処理は非特許文献1に詳述されていて、一例としては、
図11に示す垂直指向性合成部37において、遅延回路49の遅延時間端子50を上方受信波面47の傾斜角ψ
1に対応して選択することにより受信信号51における信号の時間差あるいは位相差を補償し、補償された信号を同位相加算することにより行われる。
【0055】
この指向性合成処理により、角度ψ
1だけ傾斜した上方受信波面47は上方受信出力52として出力され、正面方向受信波面48は、正面受信出力53として、それぞれ独立に出力される。
【0056】
したがって、これらx軸方向及びz軸方向に対する傾斜角度情報(θ、ψ)により、
対象物15の2次元形状が知られる。
【0057】
また、
対象物15までの距離(y軸方向)は、超音波の往復時間で知られる事から、これらの3情報により、三次元空間内における計測対象の形状が完全に把握され、本実施例による1次元配列の単一位相板38により、音響レンズを必要としない3次元撮像が実現されることとなる。
【0058】
以上の処理は、全て同位相の信号加算であり、水平方向(x軸方向)および、垂直方向(z軸方向)の種々の位置から受信される、高周波受信波面29、低周波受信波面30、上方受信波面47および、正面方向受信波面48の全てが、同位相加算され最大の受信信号52、53として出力される。
【0059】
但し、
図7に示す単一位相板38によると、受波面積の半分が非圧電性であり、この部分に入射した音波は感度に貢献しない。
【0060】
また、単一位相素子39の場合には、
図12のa)に示すように、正面方向(r
3方向)からの波面も同位相加算されるため、目的とするr
1方向からの超音波波面26以外に、r
2,r
3の計2方向から不要波面54および、正面不要波面55を受信してしまう。
【0061】
ここで、送波器8を使用すると、分極軸反転の効果により、
図12のb)に示すように、正面不要波面55の原因となるr
3方向へは放射しないため、r
2方向への不要応答である不要波面54のみが問題となる。
【0062】
このため、単一位相板38および、送波器8による構成においては、r
2方向への不要応答を抑圧する手段が必要となるが、r
2方向への不要放射抑圧は、音波吸収壁の設置等、以下に述べる種々の手法により実現される。
【0063】
垂直指向性合成部37における遅延回路49は、通常のアナログ遅延線あるいは、A/D変換器とディジタルメモリーの組み合わせにより容易に実現される。
【実施例2】
【0064】
図7に示す単一位相板38によると、受波面積の半分が非圧電性であり、この部分に入射した音波は無効となり、受信信号強度に貢献しない。
【0065】
そこで本発明による第2の実施例においては、
図13に示す反転位相板56を使用する。
【0066】
反転位相板56は、反転位相素子57を、z軸方向に配列した構成と見做され、接地電極43は反転位相板56の背面全面に共通形成される。
【0067】
ここで、反転位相素子57は、分極軸方向21が交互に反転している反転分極圧電材料58を使用し、反転分極圧電材料58を共通接続して信号電極42とし、信号電極42は信号端子44を有する。
【0068】
本実施例の、反転位相板56による撮像法においては、
図14に示すように、反転位相板56の水平軸を、送波器8の中心軸(x軸)と平行に配置させ、さらに、反転位相素子57の分極軸反転周期d
2を、送波器8の素子間隔d
0を、一致させて構成する。
【0069】
このような構成において、送波器8の駆動信号周波数を変化させることにより、照射方位θを変化させ、
図14に示す、高周波送波波面27および低周波送波波面28を送波し、対象物からの反射波を反転位相板56により受波する。
【0070】
ここで、
図6のa)と同様に、2個の対象物(図示せず)が、z軸方向に対して傾斜する角度ψ(仰角)が同一で、x軸方向に対して傾斜する角度θ(方位角)が異なる方向に存在するとし、これら対象物からの反射波面をそれぞれ、
図14における、高周波受信波面29および低周波受信波面30とする。
【0071】
これら、高周波受信波面29および低周波受信波面30は、単一位相板38の水平軸と送波器8の中心軸(x軸)とが平行であり、単一位相素子39の配列間隔d
1と送波素子の配列間隔d
0とが同一であることから、
図14に示すように、高周波受信波面29および、低周波受信波面30の位相と、反転位相素子57における反転分極圧電材料58の分極軸方向21とが必ず一致する。
【0072】
このため、単一位相素子39は必ず、高周波受信波面29および、低周波受信波面30の逆位相部分を位相反転し、全て同位相の電気信号に変換する。
【0073】
従って、どのような角度θ(方位角)から入射する波面に対しても、反転位相素子57は受信信号を自動的に同位相加算し、信号端子44に出力する。
【0074】
このことから、反転位相素子57を使用することにより、角度θ(方位角)方向に関する指向性合成処理は不要となる。
【0075】
一方、鉛直面内に関しては、
図11と同様に、反転位相板56をz軸方向にV分割して形成した、反転位相素子57の各受信信号51を、遅延回路49により指向性合成処理することにより、鉛直(ψ)方向の方位分解能が形成される。
【0076】
したがって、これらx軸方向及びz軸方向に対する傾斜角度情
報(θ、ψ)により、
対象物15の2次元形状が知られる。
【0077】
また、
対象物15までの距離(y軸方向)は、超音波の往復時間で知られる事から、これらの3情報により、三次元空間内における計測対象の形状が完全に把握され、本実施例による1次元配列の単一位相板38により、音響レンズを必要としない3次元撮像が実現されることとなる。
【0078】
また、
図13に示す反転位相板56は、受波口径全体が圧電性であり、入射した全ての音波が受信信号の強度に貢献することとなる。
【0079】
ここで、
図15のa)に示す反転位相素子57は、超音波波面26と不要波面54に応答し、
図15のb)に示す分極軸反転による送波器8も同様に、超音波波面26と不要波面54に応答する。
【0080】
従って、反転位相板56と分極軸反転による送波器8を組み合わせる構成の場合には、不要波面54は抑圧されないため、送波器と受波器を個別に具備する効果は、単一位相板38の場合に比して、減殺される。
【0081】
このため、反転位相板56の場合には、
図16のように、送信信号源59を信号端子44の一部へ接続することにより、送波器8と同様に、縦長の部分送波照射波面60を形成する構成も可能となる。
【0082】
さらに、
図17に示すように、反転位相板56上の全信号端子44を、遅延回路49による遅延時間制御により駆動すると、z軸方向にも狭い狭照射波面61、62の形成も可能となる。
【0083】
このように、反転位相板56による場合には、反転位相板56を送受兼用とすることにより、専用の送波器を不要とする構成も可能である。
【0084】
また、反転位相板56と分極軸反転による送波器8を組み合わせる構成の場合においても、
図15のa),b)と同様に、r
2方向への不要波面54は残存するため、r
2方向への不要波面54に対する遮蔽処理あるいは、送波器8における送波方向の単一化等の対策が必要となる。
【実施例3】
【0085】
単一位相板の各種構成法を実施例により説明する。
【0086】
減衰による単一位相板の構成を
図18に示す。
【0087】
図18に示す、減衰単一位相板63は、圧電材料64上に、吸音材65を配置することにより実現される。
【0088】
この構成によると、逆位相部分は減衰することから、同位相加算が実現する。この構成は、周波数走査型の送波器としても利用できる
【0089】
散乱による単一位相板の構成を
図19に示す。
【0090】
散乱単一位相板66は、圧電材料64上に、音響インピーダンスが伝搬媒体9と異なる散乱体67を配置することにより実現される。
【0091】
この構成によると、逆位相波面部分が散乱信号45として後方散乱されることから、同位相加算が実現する。
【0092】
この構成は、周波数走査型の送波器としても利用できる。
【0093】
接地電極による単一位相板の構成を
図20に示す。
【0094】
接地電極単一位相板68は、圧電材料64上に、間歇型接地電極69を配置し、この間歇型接地電極69を接地結線70により共通接続することにより実現される。
【0095】
この構成によると、間歇型接地電極69の存在位置の信号が信号端子44に出力されることから、同位相加算が実現する。
【0096】
この構成は、周波数走査型の送波器としても利用できる
【実施例4】
【0097】
反転位相板の各種構成法を実施例により説明する。
【0098】
本実施例における、透過による反転位相板の構成を
図21に示す。
【0099】
透過反転位相板71は、圧電材料64上に、透過材72を間歇的に配置する。
【0100】
ここで、透過材72の音速を伝搬媒体9の音速と異なる材質とし、透過信号と直達信号間に半波長の位相差を形成することにより、同位相加算を実現する。
【0101】
両透過信号間に、半波長の位相差を形成するのに要する透過材72の厚さtは、伝搬媒体9中の音速をc
0、透過材72中の音速をc
1とし、c
1<c
0とすると、使用する信号の中心周波数をf
0として、数3となる。
【0102】
(数3)
t/c
1-t/c
0=1/(2f
0)
f
0t(1/c
1-1/c
0)=1/2
【0103】
ここで、伝搬媒体9中の波長をλ
0(=c
0/f
0)、透過材72中の波長をλ
1(=c
1/f
0)、波長の比をn(=λ
0/λ
1=c
0
/c
1)とすると、数3は数4となる。
【0104】
(数4)
t(1/λ
1-1/λ
0)=1/2
t(λ
0/λ
1-1)=λ
0/2
t=(1/2)λ
0/(n-1)
【0105】
ここで、具体例として、c
0 :水(1500m/s)、c
1 :シリコンゴム(1000m/s)、λ
0:1mm(1.5MHz)とすると、t=(1/2)λ
0/(n-1)=(1/2)1/(1.5-1)=1(mm)となり、約1mmのシリコンゴムにより半波長の位相差を形成する。
【0106】
この構成は、周波数走査型の送波器としても利用できる。
【0107】
透過による平面構成の反転位相板である透過平面反転位相板73の構成は、
図22に示すように、圧電材料64上に、高音速材料74と低音速材料75とを交互に配置することにより、透過信号間に半波長の位相差を形成し同位相加算を実現する。
【0108】
この構成において、半波長の位相差を形成するのに必要となる厚さt’は、高音速材料74の音速をc
2、低音速材料75の音速をc
1、周波数をf
0とし、c
1<c
2とすると、数5となる。
【0109】
(数5)
t’/c
1-t’/c
2=1/(2f
0)
f
0t’(1/c
1-1/c
2)=1/2
【0110】
ここで、低音速材料75中の波長をλ
1(=c
1/f
0)、高音速材料74中の波長をλ
2(=c
2/f
0)、波長の比をn’(=λ
2/λ
1=c
2
/c
1)とすると、数5は数6となる。
【0111】
(数6)
t’(1/λ
1-1/λ
2)=1/2
t’(λ
2/λ
1-1)=λ
2/2
t’=(1/2)λ
2/(n-1)
【0112】
ここで、具体例として、c
2 :エポキシ(2500m/s)、c
1 :シリコンゴム(1000m/s)、λ
2:1mm(2.5MHz)とすると、t’=(1/2)λ
2/(n-1)=(1/2)1/(2.5-1)=1/3(mm)となり、約0.3mmのエポキシとシリコンゴムの交互配置により、半波長の位相差を形成する。
【0113】
この構成によると、表面形状が平面となり、使用時の信頼性が向上するすると同時に、貼付材料の厚さが薄くなり、材料中の音波減衰が軽減される。
【0114】
この構成は、周波数走査型の送波器としても利用できる
【0115】
散乱による構成の反転位相板の構成を
図23に示す。
【0116】
散乱反転位相板76は、圧電材料64上に、棒状の、高音響インピーダンス散乱体77と低音響インピーダンス散乱体78とをx軸方向に交互に配置し、面状の1次元回折格子を形成する。
【0117】
このような散乱体による散乱波面は交互に位相反転し、全て同位相となることから、散乱平行平面波79を形成し、同位相加算が実現される。
【0118】
この構成は、本実施例に限られるものではなく、入射方向への後方散乱波を利用する構成、あるいは、周波数走査型の送波器として利用する構成も可能である。
【実施例5】
【0119】
単一位相板38あるいは、反転位相板56による構成においては、送波ビームの単方向化が必須となるが、ここでは
図24に示す、90度位相素子による送波ビームの単方向化を実施例により説明する。
【0120】
本実施例においては、送波器8として、発明者らにより特許文献3に示された公知技術である、
図24の90度位相素子80を併用することにより、目的とする超音波波面26のみを送波する。
【0121】
図24に示すように、90度位相素子80は、同一分極軸方向の領域に第1分割信号電極81および、第2分割信号電極82を有し、それぞれを第1駆動信号線83、第2駆動信号線84に共通接続する。
【0122】
ここで、信号発生器(図示せず)により、互いに90度の位相差を有する駆動信号S
0および、S
90を発生し、駆動信号S
0を第1駆動信号線83に印加し、駆動信号S
90を第2駆動信号線84に印加する。
【0123】
この信号印加法と分極軸反転の作用とにより、90度位相素子80の各素子から、位相差90度の4相信号が送波され、r
2方向への不要信号である不要波面54の放射は抑圧され、目的方向r
1への超音波波面26のみが形成される。
【0124】
従って、単一位相板38あるいは、反転位相板56のような、装置規模の制約上、目的方向以外からの不要信号も同時に受信してしまう、不十分な受信構成においても、送波器として90度位相素子80を使用することにより、目的信号r
1方向の反射体のみを検出する装置として完成される。
【0125】
この、90度位相素子80は、駆動信号の接続位置を交換し、第1駆動信号線83に駆動信号S
90を接続し、第2駆動信号線84に駆動信号S
0を接続することにより、r
2方向のみへ送波する動作に変更することができる。
【実施例6】
【0126】
単一位相板38あるいは、反転位相板56による構成においては、送波ビームの単方向化が必須となるが、ここでは垂直壁反射による送受波の単方向化を実施例により説明する。
【0127】
この実施例は、
図25のa)における圧電素子20の位置Aに、
図25のb)に示す、音響インピーダンスが媒質9よりも高い材料により構成された高インピーダンス垂直反射壁85を、x軸に対して直交配置することにより、不要波面54の伝搬方向を反転させ、同相反転波面35とすることにより、合成目的波面86のみの送波を可能とする。
【0128】
この構成によると、さらに、実装素子87の他に、鏡像素子88が形成され、実効的に2倍の口径となることから、解像度も2倍となる効果を有する。
【0129】
ここで、
図26に示すように、媒質9の音響インピーダンスよりも高い音響インピーダンスの圧電材料により構成された、一対の直交配置反転分極板89、90を、
図25のa)における位置Aに対応する直交関係位置に配置し、直交配置反転分極板90を駆動すると、直交配置反転分極板89が
図25のb)における高インピーダンス垂直反射壁85として動作し、
図25のb)と同様に、
図26における単一の合成目的波面86のみを送波し、実効口径も直交配置反転分極板90単体の口径に対してほぼ2倍となる。
【0130】
この構成において、逆に、直交配置反転分極板89を使用すると、正面(y”軸)方向に関して対称となる方向の観察が可能となる。
【0131】
また、
図27のa)における、圧電素子20の中間位置Bに、音響インピーダンスが媒質9よりも低い材料により構成された低インピーダンス垂直反射壁91を配置することにより、不要波面54の伝搬方向を反転させ、逆相相反転波面36とすることにより、合成目的波面86のみを送波する。
【0132】
この構成によると、
図25と同様に、実装素子92の他に、逆位相の鏡像素子93が形成され、実効的に2倍の口径となり、解像度も2倍となる。
【0133】
この場合には、音響インピーダンスが媒質9よりも低い材料であり、垂直反射壁91が軽量化される。
【0134】
この垂直壁反射による構成は、本発明における受波器としても利用できる。
【0135】
さらに、この構成は、本発明方式に限らず、音響レンズ方式など、他の周波数走査型の超音波撮像装置にも、一般的に広く利用可能である。
【実施例7】
【0136】
通常の、単一位相板38あるいは、反転位相板56による構成においては、正面方向(y軸方向)に対して大きく傾斜した方向の波面が対象となり、正面近傍方向は観察できない。
【0137】
以下、傾斜反射板による正面観察構成につき詳細に説明する
【0138】
本実施例においては、
図28に示す、傾斜反射板94を使用することにより、受信波面26、不要波面54の伝搬方向を変換し、正面近傍波面95、正面近傍不要波面96とする。
【0139】
ここで、変換対象とする波面の入射角をθ
1とし、この波面を正面方向からの波面へ変換するために必要とされる、傾斜反射板94の頂角ε
1は、数7により与えられる。
【0140】
(数7)
ε
1=(π/4-θ
1)/2
【0141】
傾斜反射板94を使用する受波構成の、3次元的な全体配置を、
図29に示す。
【0142】
この動作は、送波においても同様であり、反転位相板56の代わりに、
図24の90度位相素子80を使用すると、単方向送波となるため、正面近傍不要波面96の有効利用が可能となり、正面方向近傍の左右視野に対する、選択的な送波が可能となる。
【実施例8】
【0143】
通常の、単一位相板38あるいは、反転位相板56による構成においては、正面方向(y軸方向)に対して大きく傾斜した方向の波面が対象となり、正面方向は観察できない。
【0144】
以下、本実施例により、屈折構造物による正面観察構成につき詳細に説明する
【0145】
本実施例においては、
図30に示す、屈折構造物97を使用することにより、受信波面26、不要波面54の伝搬方向を変換し、正面近傍波面95、正面近傍不要波面96とする。
【0146】
ここで、変換対象とする波面の入射角をθ
1とし、この波面を正面方向からの波面へ変換するための屈折構造物97の頂角ε
2は、伝搬媒体9中の音速をc
0、屈折構造物97中の音速をc
1として、数8の関係となる。
【0147】
(数8)
(π/4-α)+ε
2=θ
1
sinα/sinε
2=c
1/c
0
【0148】
数8の関係から、屈折構造物97の頂角ε
2は、数9の根により与えられる。
【0149】
(数9)
ε
2-sin
-1(c
1sinε
2/c
0)=θ
1-π/4
【0150】
送波においても、このような屈折構造物97により、同様に正面近傍方向への送波が可能となる。
【0151】
また、反転位相板56の代わりに、
図24の90度位相素子80を使用すると、単方向送波となるため、正面方向近傍の左右視野に対する、選択的な送波が可能となる。
【実施例9】
【0152】
周波数走査法においては、距離分解能の改善が課題となる。
【0153】
本実施例においては、発明者らによる、特許文献4に示された公知技術である分割送波器を使用する。この分割送波器と、単一位相板38あるいは反転位相板56との併用構成により距離分解能の改善を図る。
【0154】
図31のa)に示す、単一の送波器8を、分極区域数の半数以上の波数からなる駆動信号98により駆動すると、
図31のb)に示す良好な指向特性となるが、長い駆動信号98を使用するため、距離分解能が低下する。
【0155】
そこで、例えば、
図32のa)に示すように、送波器8を2分割し分割送波器99とすると、分割駆動信号100の所要波数が半分となり、距離分解能が2倍に向上する。
【0156】
しかし、この構成においては、
図32のa)においてr’,r”として示す不要波面により、
図32のb)に示す不要応答r’,r”等が出現し、指向特性が劣化する。
【0157】
そこで本発明においては、一例として、
図33のa)に示すように、分割送波器99により送波し、反転位相板56により受波する構成とし、反転位相板56の幅W
U’を、分割送波器99における単一の分割口径幅W
Uと一致させる。
【0158】
図33のa)に示す構成による指向特性は、方位分解能は送波指向性と受波指向性の積となることから、不要応答が抑圧され、
図33のb)に示す良好な特性となる。
【0159】
このように、分割送波器99により送波し、単一位相板38あるいは反転位相板56により受波する構成により、高い方位分解能を維持したままで、距離分解能の改善が可能となる。
【0160】
また、方位分解能は送波指向性と受波指向性の積となることから、面状の受波器と棒状の送波器とによる構成においては、一般的に、送波器の大口径化による方位分解能の向上が装置構成上有利である。
【実施例10】
【0161】
本実施例においては、
図34に示すように、周波数走査方向に直交する方向にのみ収束特性を有する1次元収束音響レンズ101を使用することにより、上方受信波面47および、正面方向受信波面48は、z軸方向に対して傾斜する角度ψが異なることから、それぞれ、上方受信出力52および、正面受信出力53として分離して出力される。
【0162】
このため、鉛直指向性合成部37が不要となる。
【0163】
ここで、通常の矩形開口とすると、1次元収束音響レンズ101の厚さは、2次元収束音響レンズ11の半分となり、軽量化が可能である。
【0164】
以上の実施例においては、対象物が遠方にあるとして、入射波を平面波として説明したが、近傍に存在する対象物からの球面波も、2次元収束音響レンズの利用により平面波に変換できることから、本発明は、このような実施例に限られるものではなく、近傍対象物の高分解能撮像にも適用可能であることは、当業者には容易に理解可能である。
【0165】
また、
図11に示す実施例においては、鉛直指向性合成部37における遅延時間端子50の選択位置を直線状としているが、本発明はこのような実施例に限られるものではなく、選択位置を凹面状とすることにより、一次元収束音響レンズとの併用等により、近傍対象物の高分解能撮像にも適用可能であることは、当業者には容易に理解可能である。