特許第5991622号(P5991622)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991622
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】杭の無溶接継手
(51)【国際特許分類】
   E02D 5/24 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   E02D5/24 103
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-256611(P2012-256611)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-105431(P2014-105431A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229667
【氏名又は名称】日本ヒューム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】勝田 雅道
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−180693(JP,A)
【文献】 特開2011−089302(JP,A)
【文献】 特開2005−213947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22−5/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結しようとする各杭の接合端部の両端部金具に跨らせてその外周に巻き付け配置に嵌め合わされる複数の弧状プレートを備え、前記各端部金具の外周にフランジ状の凸条を一体に備えるとともに前記弧状プレートの内周面に前記両端部金具の凸条が嵌り合う凹溝を備え、該凹溝内に前記両凸条を嵌合させて前記弧状プレートを前記両端部金具の外周に嵌め合わせることによって杭間が連結される杭の無溶接継手において、
前記両端部金具の接合面に、それぞれ該端部金具と同心円上配置で両接合面間において互いに対応する位置にせん断材嵌合孔を形成し、
前記両接合面間において互いに対応した位置の両せん断材嵌合孔内に、両接合面に跨らせた配置に球状のせん断材を嵌合させたことを特徴としてなる杭の無溶接継手。
【請求項2】
前記せん断材は鋼球であり、前記せん断材嵌合孔は、前記鋼球が嵌り合う半球状をなし、前記両接合面表面高さ位置に、前記鋼球の中心を位置させるようにしてなる請求項1に記載の杭の無溶接継手。
【請求項3】
互いに隣り合う前記弧状プレートの端部外面間に跨らせて固定することによって該弧状プレート間が連結される板状の弧状プレート間連結金具を備え、
該弧状プレート間連結金具には、上下の何れか側が狭いテーパー状をなし、横断面が蟻溝状をしたテーパー蟻溝を備え、
互いに隣り合う前記弧状プレートの各端部外面には、前記テーパー蟻溝に嵌り合うテーパー状の蟻型を縦割りにした形状の弧状プレート間連結用突起をそれぞれ備え、
該両弧状プレート間連結用突起を前記テーパー蟻溝に挿入させることによって互いに隣り合う弧状プレート間を前記弧状プレート間連結金具にて連結され、
前記弧状プレート間連結金具の両端部を互いに隣り合う弧状プレートにネジ止めした請求項1又は2に記載の杭の無溶接継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレキャストコンクリート杭やその他の杭を地中に建て込む際に、互いに軸方向に接合される杭間を溶接によらずに連結する杭の無溶接継手に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、既製杭を地中に建て込む際には、所定長さのプレキャストコンクリート杭を必要に応じて長さ方向に連結しつつ所望の深さにまで建て込む方法が一般的であり、その際の杭間の連結は、プレキャストコンクリート杭端面に一体化させた金属製の端板間を溶接によって連結する方法が行われている。
【0003】
しかしこの溶接による連結方法は、溶接の良否によって連結強度が左右され、高度の熟練を要するが、昨今は熟練技術者が不足しており、また杭連結作業は杭打ち現場での屋外作業であるため天候に左右されるという問題がある。
【0004】
このため、近年においては溶接によらない無溶接継手が開発されている。この従来の無溶接継手には、図9に示すように、互いに連結しようとする両杭1,1の端部金具2,2に跨らせて両者の外周に嵌め合わされる円筒を半径方向に複数割りした形状の弧状プレート3を備え、弧状プレート3の内周面に形成した凹溝4内に、両端部金具2,2の外周面に突設したフランジ状の凸条5,5を嵌め合わせ、弧状プレート3を両端部金具2,2に対してボルト6によって固定する方法が開発されている(例えば特許文献1)。
【0005】
また、前述した弧状プレートを固定する方法として、図10に示すように両杭1,1の端部金具2,2に跨らせて装着した弧状プレート3の端部外周に蟻型を縦割りにした形状の弧状プレート間連結用突起3a,3aを形成し、この蟻型に嵌り合うテーパー蟻溝7aを有する板状の弧状プレート間連結金具7を使用し、テーパー蟻溝7aに弧状プレート間連結用突起3a,3aを嵌め合わせて弧状プレート間連結金具7をスライドさせることによって、弧状プレート3,3を互いに引き寄せつつ連結させるようにしたものが開発されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−82656号公報
【特許文献2】特開2011−89302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の杭の無溶接継手において、上述した図9に示す如き構造の無溶接継手は、弧状プレートを上下の端部金具にボルト止めするものであるため、ボルト数が多く、ボルト止め作業に多くの手数を要するという問題があった。
【0008】
また、杭端部金具に多数のネジ穴を予め形成しておく必要があり、これを保護するために、端面に工具嵌合用の角穴を有する穴埋めボルトを装着しておき、この状態でコンクリートの打設、脱型後の蒸気養生を行うが、ネジ穴及び穴埋めボルトにとって過酷な環境におかれるため、一部の穴埋めボルトが取り外し不能となり、杭全体を廃棄しなければならなくなる場合が生じるという問題があった。
【0009】
図10に示す如き、弧状プレート間を板状の弧状プレート間連結金具をもって連結する方法では、継手部分に大きな曲げモーメントが作用した場合に、連結金具が変形する虞があるとともに軸方向に直交する方向のせん断耐力が、杭本体部に比べて小さいという問題があった。
【0010】
また、杭を旋回させつつ建て込む必要がある場合に、トルク伝達が不十分である等の問題があった。
【0011】
本発明はこのように従来の問題に鑑み、少ない部材を使用し、低コストでかつ作業性がよく、高せん断耐力を有し、しかも回転トルクの伝達機構も同時に持たせることができる杭の無溶接継手の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、互いに連結しようとする各杭の接合端部の両端部金具に跨らせてその外周に巻き付け配置に嵌め合わされる複数の弧状プレートを備え、前記各端部金具の外周にフランジ状の凸条を一体に備えるとともに前記弧状プレートの内周面に前記両端部金具の凸条が嵌り合う凹溝を備え、該凹溝内に前記両凸条を嵌合させて前記弧状プレートを前記両端部金具の外周に嵌め合わせることによって杭間が連結される杭の無溶接継手において、前記両端部金具の接合面に、それぞれ該端部金具と同心円上配置で両接合面間において互いに対応する位置にせん断材嵌合孔を形成し、前記両接合面間において互いに対応した位置の両せん断材嵌合孔内に、両接合面に跨らせた配置に球状のせん断材を嵌合させたことにある。
【0013】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記せん断材は鋼球であり、前記せん断材嵌合孔は、前記鋼球が嵌り合う半球状をなし、前記両接合面表面高さ位置に、前記鋼球の中心を位置させるようにしたことにある。
【0014】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、互いに隣り合う前記弧状プレートの端部外面間に跨らせて固定することによって該弧状プレート間が連結される板状の弧状プレート間連結金具を備え、該弧状プレート間連結金具には、上下の何れか側が狭いテーパー状をなし、横断面が蟻溝状をしたテーパー蟻溝を備え、互いに隣り合う前記弧状プレートの各端部外面には、前記テーパー蟻溝に嵌り合うテーパー状の蟻型を縦割りにした形状の弧状プレート間連結用突起をそれぞれ備え、該両弧状プレート間連結用突起を前記テーパー蟻溝に挿入させることによって互いに隣り合う弧状プレート間を前記弧状プレート間連結金具にて連結され、前記弧状プレート間連結金具の両端部を互いに隣り合う弧状プレートにネジ止めしたことにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る杭の無溶接継手は、請求項1に記載のように、互いに連結しようとする各杭の接合端部の両端部金具に跨らせてその外周に巻き付け配置に嵌め合わされる複数の弧状プレートを備え、前記各端部金具の外周にフランジ状の凸条を一体に備えるとともに前記弧状プレートの内周面に前記両端部金具の凸条が嵌り合う凹溝を備え、該凹溝内に前記両凸条を嵌合させて前記弧状プレートを前記両端部金具の外周に嵌め合わせて固定することによって杭間が連結される構造の無溶接継手において、
前記両端部金具の接合面に、それぞれ該端部金具と同心円上配置で両接合面間において互いに対応する位置にせん断材嵌合孔を形成し、前記両接合面間において互いに対応した位置の両せん断材嵌合孔内に、両接合面に跨らせた配置に球状のせん断材を嵌合させたことにより、継手部分に水平方向のせん断力が作用すると、上下の接合面間が水平方向に相対移動する方向の力が作用することとなるが、球状のせん断材の存在によって水平方向の力が垂直方向に変換され、この垂直方向に離反しようとする動作が弧状プレートによって拘束されることとなり、せん断力が、弧状プレートに対する上下方向の引っ張り力に変換されることとなり、せん断応力が増強されるとともに上下に連結される杭間の回転モーメントが伝達される。
【0016】
更に、せん断材とせん断材嵌合孔とが、凹凸部の嵌り合いによって回転方向の相対動作が阻止されることとなり、トルク伝達機能が同時に付加されることとなり、少ない部材によって多機能の継手構造が得られる。
【0017】
本発明は請求項2に記載のように、せん断材を鋼球とし、せん断材嵌合孔は、前記鋼球が嵌り合う半球状をなし、前記両接合面表面高さ位置に、前記鋼球の中心を位置させるようにしたことにより、半球状のせん断材嵌合孔に鋼球を嵌合させることで、互いに連結される杭間の芯出しがなされるため、杭の接合作業時に多少の芯ずれがあっても、鋼球と半球孔との嵌り合いによって自動的に芯出しがなされるとともに、両接合面間のせん断材嵌合孔の整合作業は、先に建て込んだ杭の端部金具の接合面に鋼球を嵌め込み、その上に上側の杭の端部金具を載せて旋回させることによりなされるが、その際に鋼球がスラストベアリングの役目を果たし、上下杭間の周方向の相対角度出し作業が容易となる。
【0018】
本発明は、請求項3に記載のように、互いに隣り合う前記弧状プレート間を連結する板状の弧状プレート間連結金具を備え、該弧状プレート間連結金具には、上下の何れか側が狭いテーパー状をなし、横断面が蟻溝状をしたテーパー蟻溝を備え、互いに隣り合う前記弧状プレートの各端部外面には、前記テーパー蟻溝に嵌り合うテーパー状の蟻型を縦割りにした形状の弧状プレート間連結用突起をそれぞれ備え、該両弧状プレート間連結用突起を前記テーパー蟻溝に挿入させることによって互いに隣り合う弧状プレート間を前記弧状プレート間連結金具にて連結されるようにしたことによって、従来のように多くのネジ止め作業が不要となり、また、部材が軽量であるため、作業性がよく、短時間で杭間の連結ができる。
【0019】
また、弧状プレート間連結金具の両端を弧状プレートにネジ止めするようにしたことにより、杭の連結部に曲げ方向の力が加わった際に、弧状プレート間が互いに離れようとする分力が生じ、弧状プレート間連結金具には両端が外側に湾曲する力が加わるが、その際の浮き上がりがネジ止めによって防止されることとなり、弧状プレート間連結金具の曲げ耐力を大きくする必要がなくなり、薄型に成形でき、軽量で扱いやすく、しかも杭外周への突出高さを小さいものとできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る杭の無溶接継手の一例を示す横断面図である。
図2】同上の縦断面図である。
図3図1に示す無溶接継手の端部金具間の接合工程を示す縦断面図である。
図4図1に示す無溶接継手の弧状プレート間連結構造の横断面図である。
図5】同、正面図である。
図6図1に示す無溶接継手の弧状プレートを示し、(a)は端面図、(b)は端部の平面図である。
図7図1に示す無溶接継手の弧状プレート間連結金具を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
図8図1に示す杭の無溶接継手における球状のせん断材の作用を説明図である。
図9】従来の一例を示す縦断面図である。
図10】従来の他の例を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態を図に示した実施例に基づいて説明する。この実施例は、本発明の杭の無溶接継手をプレキャストコンクリート杭の連結に実施した場合を示している。
【0022】
図においてに、符合10は杭本体であり、11は杭本体10の外周を被覆した鋼管、12は杭本体10の端部に一体に備えた端部金具である。
【0023】
端部金具12は、円形板状に形成されており、その外側面が接合面12aとなっている。この端部金具12には、図には示してないが杭本体10内に挿通したプレストレス導入用のPC緊張材の端部が定着されている。
【0024】
上下の各接合面12a,12aには、端部金具12と同心円配置に所定間隔を隔てて複数のせん断材嵌合孔30,30......が形成されている。このせん断材嵌合孔30は、上下に接合される端部金具12,12間において互いに整合する位置に形成されている。
【0025】
互いに接合された上下の端部金具間において整合する上下のせん断材嵌合孔30,30内に跨らせて球形のせん断材31が嵌めこまれている。
【0026】
せん断材嵌合孔30は、球形のせん断材31が嵌め合される半球状に形成されており、せん断材31には鋼球が使用されている。なお、せん断材嵌合孔30は、半球状の他、せん断材31の直径にあわせた開口部径と、該せん断材31の半分が嵌合される深さを有していればよい。
【0027】
このように球形のせん断材31を介在させて端部金具12の接合面12aを接合されることで、接合面間の耐せん断応力を発揮させるとともに、接合面間のトルク伝達作用を受け持たせるようにしている。
【0028】
端部金具12の先端外周にはフランジ状の凸条13が一体に形成されており、上下のコンクリート杭1,1を上下に接合させることによって、両端部金具12,12の外周の突条13,13が重ね合わされた状態で接合部の外周に突出されるようになっている。接合部の外周に弧状プレート15が装着されるようになっている。
【0029】
弧状プレート15は、円筒状リングの週方向を3分割した形状をしており、内周面が、端部金具12の外周面と略同曲率の円弧状に形成され、3個の弧状プレート15,15,15を端部金具12の外周に嵌め合わせた際に、後述する締付時における締め代を吸収する隙間16ができる弧状方向長さに形成されている。
【0030】
弧状プレート15の内周面には、互いに連結する杭1,1の端部金具12,12を、その接合面12a,12aを重ねあわせ配置に接合させた際に、せつごうぶ外周に突出した凸条13,13が嵌り合う凹溝17(図2に示す)が形成されている。
【0031】
前記弧状プレート15の端部外側面には、互いに隣り合う各弧状プレート15,15,15が、端部金具12,12の外周に巻き付け配置に嵌め合された状態で互いに隣り合う弧状プレート15,15の端部外周面に、互いに同一平面上配置となる平面部19,19(図4図6に示す)が形成されている。
【0032】
この平面部19,19は、弧状プレート15,15の端部外周面を、後述する弧状プレート間連結用突起20,20を残して平らに削り取った形状となっている。
【0033】
この両弧状プレート間連結用突起20,20間を、弧状プレート間連結金具21によって互いに引き寄せて連結固定させるようになっているとともに、両弧状プレート連結用突起20,20の外面が同一平面上に位置することとなるように、外面を平らに形成している。
【0034】
弧状プレート間連結用突起20,20は、互いに隣り合う弧状プレート15,15の端面が向き合った状態で、上側が狭い縦向きのテーパー状をなすとともに横断面が図1図2に示すように蟻型を縦に2分した半割形状になっている。
【0035】
即ち、弧状プレート間連結用突起20は、プレート端部側面20aは、杭軸と平行であり、プレート中央側面20bは、上側がプレート端側に傾斜したテーパー状となっているとともに、プレート表面側即ち突起根元部より突起表面側が幅広の蟻型に形成されている。これによって、互いに隣り合う弧状プレート間連結用突起20,20一対によって上側がすぼまったテーパー状をなし、その両テーパー面が、突起表面側が幅広の蟻型となるように形成されている。
【0036】
弧状プレート間連結金具21は、全体が平板状に形成され、その裏面に前述したテーパー状をした蟻型となる一対の弧状プレート間連結用突起20,20が嵌り合うテーパー蟻溝22が形成されており、弧状プレート間連結金具21を弧状プレート間連結用突起20,20の上側からスライドさせてこれをテーパー蟻溝22内に挿入させることによって、テーパー状面に生じる水平方向の分力が両弧状プレート間連結用突起20,20を互いに引き寄せる方向に作用しつつ両者間を連結する。
【0037】
このように互いに円形配置の3つの弧状プレート15の端部間を3つの弧状プレート間連結金具21によって互いに引き寄せつつ連結することによって3つの弧状プレート15が円筒状に連結され、両杭の端部金具12,12間を連結する。
【0038】
弧状プレート間連結金具21の両端部分には、ボルト挿入孔25が表裏に貫通開口されているとともに、弧状プレート15の両端の平面部19に、前述した弧状プレート15,15を引き寄せて連結させた状態で、前記ボルト挿入孔25に整合する位置にネジ穴26が形成され、ボルト挿入孔25に縫い付け用のボルト27を挿入してネジ穴26にねじ込み、締め付けることによって、弧状プレート15,15と弧状プレート間連結金具21とを互いに固定している。
【0039】
このように構成される無溶接継手による杭1,1の連結作業は、図3示すように、下側の杭1を先に建て込み、その上端の端部金具12の接合面12aに形成されているせん断再嵌合孔30に球状のせん断材31を嵌め合わせる。これにより、せん断材31はその半分が接合面12a上に突出された状態で嵌め合される。
【0040】
次いで上側の接合面12aをせん断材31,31......の上に当接させ、両杭間のおおよその芯出し作業後、上側の杭1を旋回させることにより、上側の接合面12aのせん断材嵌合孔30下にせん断材31が位置すると、両者が嵌り合って、正確な芯出しが自動的になされ、上下杭の外周方向の相対移動も阻止されることとなる。
【0041】
このようにして杭1,1を接合することによってその接合部分の外周に重ね合わされて環状に突出した凸条13,13の外側に3枚の弧状プレート15,15,15をリング状となるように嵌め合わせ、隣り合う弧状プレート15,15の弧状プレート間連結用突起20,20を、弧状プレート間連結金具21をスライドさせてそのテーパー蟻溝22内に嵌合させることにより、弧状プレート15,15間を互いに引き寄せ方向に締め付けて固定する。弧状プレート間連結金具21のスライド操作は、油圧ジャッキを使用して行う。
【0042】
次いで、弧状プレート間連結金具21のボルト挿入孔25に縫い付け用のボルト27を挿入して弧状プレート15,15のネジ穴26にねじ込み、締め付けることによって、弧状プレート15,15と弧状プレート間連結金具21とを互いに固定する。
【0043】
このように構成される杭の無溶接継手においては、図8に示すように、継手部分に水平方向のせん断力が作用すると、上下の接合面12a,12a間が水平方向に相対移動させる方向の力aが作用することとなるが、球状のせん断材31の存在によって水平方向の力aが垂直方向の力bに変換され、この時の上下の端部金具12,12が垂直方向に離反しようとする動作が弧状プレート15によって拘束されることとなり、せん断力が、弧状プレートに対する上下方向の引っ張り力に変換され、より大きなせん断抵抗力が発揮されることとなる。
【0044】
上述した例では弧状プレート15を、円筒状リングの週方向を3分割した形状としているが、その他の複数に分割にした形状であってもよい。端部金具12は平板リング状の板材によってこうせいしたものを示しているが、この他、端部金具の背面と鋼管11との間に鋼製筒からなるスカート部を介在させたもの等、各種の形状のものが使用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 杭
10 杭本体
11 鋼管
12 端部金具
12a 接合面
13 凸条
15 弧状プレート
16 隙間
17 凹溝
19 平面部
20 弧状プレート間連結用突起
20a プレート端部側面
20b プレート中央側面
21 弧状プレート間連結金具
22 テーパー蟻溝
25 ボルト挿入孔
26 ネジ穴
27 ボルト
30 せん断材嵌合孔
31 せん断材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10