特許第5991640号(P5991640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991640
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】電気温水器
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/16 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   F24H9/16 B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-114131(P2012-114131)
(22)【出願日】2012年5月18日
(65)【公開番号】特開2013-242050(P2013-242050A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】村山 寛
(72)【発明者】
【氏名】川口 満
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−223502(JP,A)
【文献】 特許第4287838(JP,B2)
【文献】 特開平07−004745(JP,A)
【文献】 特開2009−293868(JP,A)
【文献】 特開2002−173964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水を加熱して出湯する電気温水器において、
水道水を加熱して貯湯するタンクと、
前記タンクに水道水を給水する給水管と、
前記タンクから湯水を吐水する吐水部に供給する出湯管と、
前記タンクで発生する膨張水を排出すると共に逃し弁を備えた膨張水管と、
前記膨張水管とは別体であり前記タンクの湯水を入れ替える際に前記タンクの湯水を排水部に排水する排水管と、
前記排水管に流れる湯水の熱を、前記給水管に流れる水道水に放出する熱放出部と、
前記排水管に流れる湯水の流量を調整する流量調整手段と、を備えており、
前記流量調整手段は、前記排水管に流れる湯水の流量を所定の流量以下に減少させるよう当該湯水の流量を調整し、前記熱放出部において、前記排水管に流れる湯水の流量を減少させた状態で、前記排水管に流れる湯水の熱を、前記給水管に流れる水道水に放出させることを特徴とする電気温水器。
【請求項2】
前記流量調整手段は、前記排水管に流れる湯水の流量を所定の流量以下に減少させるために、前記排水管に流れる湯水の流量が増えるとともに前記熱放出部の上流側の流路抵抗が高まる流路抵抗部であることを特徴とする請求項1に記載の電気温水器。
【請求項3】
前記流路抵抗部は、前記給水管に設けられており、前記タンクの上流側の前記給水管の流路抵抗が高まることにより、前記タンクの下流側の前記排水管に流れる湯水の流量を減少させることを特徴とする請求項2に記載の電気温水器。
【請求項4】
前記流量調整手段は、前記排水管の温度を検知するセンサと、前記センサの検知した温度に基づき内部流路の一部の開度を調整する開度調整部と、を有し、
前記センサの検知した温度が所定の温度よりも高い場合、前記内部流路の一部の開度を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の電気温水器。
【請求項5】
前記センサは、前記排水管における前記熱放出部の下流側の温度を検知することを特徴とする請求項4に記載の電気温水器。
【請求項6】
前記熱放出部は、前記排水管が前記給水管に沿って配設され、前記排水管の湯水が流れる方向と前記給水管の水道水が流れる方向とが対向していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電気温水器。
【請求項7】
前記給水管から前記排水管に前記タンクをバイバスするバイバス管と、前記バイバス管に前記バイバス管を開閉する開閉弁と、前記排水管に流れる湯水の温度を検知するセンサと、を備え、前記センサの検知した湯水の温度が所定の温度よりも高い場合、前記バイバス管の前記開閉弁を開けることにより、前記給水管からの水道水と前記タンクからの湯水を混合させて前記排水管に流れる湯水の温度を下げることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電気温水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道から供給される水を加熱して吐水する電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
水道から供給される水を加熱して吐水する電気温水器として、電気ヒーターを内部に有するタンクを備えた構造のものが知られている。このような電気温水器は、水道から供給された水を電気ヒーターで加熱した状態でタンク内に貯えておくことにより、吐水を開始した直後から適切な温度の湯水を吐水することができる。
【0003】
電気温水器は、通常、飲料時にお客様に安心して使用して頂くため、タンク内の湯水を定期的に入れ替えるように設定されているが、タンク内の高温の湯水を排水管に排水する際に排水管が接続される排水部の劣化のリスクを避けるため、タンク内の湯水を入れ替える際に高温の湯水と水道水とを混合させ、所定の温度以下に排水温度を低下させて排水部に排水していた。
【0004】
例えば排水部がVP管などで形成されていた場合、耐熱温度が60℃程度と低いため、高温の湯水が直接排水されてしまうと、排水部が変形したり、接合部等が剥がれて漏水したりする恐れがあるため、タンク内の湯水を入れ替える際に高温の湯水と水道水とを混合させ、排水温度を低下させて排水部に排水していた。
【0005】
しかしながら、その電気温水器では、高温の湯水を所定の温度以下に排水温度を低下させて排水部に排水する際、タンク内の高温の湯水を所定の温度以下に確実にさせるためにタンクの容量の倍近くの水道水を必要とし、タンクの容量が大きくなればタンク内の湯水を定期的に入れ替える際に大量の水道水を無駄にしなければならないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−68780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この問題を解決するために、タンクを備える電気温水器に排水管に流れる高温の湯水の熱を給水管に流れる水道水に与える熱放出部を設けることにより、所定の温度以下に排水温度を低下させて排水部に排水することが考えられる。そのような電気温水器であれば、タンク内の湯水を定期的に入れ替える際に、大量の水道水を無駄にするのを防止するとともに、捨てられる湯水の排熱を有効活用しながら排水部における劣化のリスクを避けられる。
【0008】
しかしながら、タンク内の湯水を入れ替える際に、熱放出部を備えることで排水温度を低下させることができるものの、タンクから排水管に流れる湯水の流量が所定の流量よりも多い場合、熱放出部における熱交換を十分に行うことができず、高温の湯水が所定の温度以下に低下されないまま排水部に排水されてしまうという問題がある。
【0009】
特に、タンク内の湯水を入れ替える際に、水道水の水圧を利用してタンク内の湯水を排水することになるが、水道水の水圧をそのまま利用してしまうと、排水管に流れる湯水の流量が所定の流量よりも大幅に多くなってしまい、熱放出部における熱交換を行うことができず、高温の湯水が低下されないまま排水部に排水されてしまうことになる。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、タンク内の湯水を定期的に入れ替える際に、大量の水道水を無駄にすることがなくなるとともに、捨てられる湯水の排熱を有効活用しながら排水部における劣化のリスクを避けることができる電気温水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る電気温水器は、水道水を加熱して出湯する電気温水器において、水道水を加熱して貯湯するタンクと、前記タンクに水道水を給水する給水管と、前記タンクから湯水を吐水する吐水部に供給する出湯管と、前記タンクで発生する膨張水を排出すると共に逃し弁を備えた膨張水管と、前記膨張水管とは別体であり前記タンクの湯水を入れ替える際に前記タンクの湯水を排水部に排水する排水管と、前記排水管に流れる湯水の熱を、前記給水管に流れる水道水に放出する熱放出部と、前記排水管に流れる湯水の流量を調整する流量調整手段と、を備えており、前記流量調整手段は、前記排水管に流れる湯水の流量を所定の流量以下に減少させるよう当該湯水の流量を調整し、前記熱放出部において、前記排水管に流れる湯水の流量を減少させた状態で、前記排水管に流れる湯水の熱を、前記給水管に流れる水道水に放出させることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、熱放出部において、排水管に流れる湯水の流量を減少させた状態で、排水管に流れる湯水の熱を、給水管に流れる水道水に放出させるため、タンク内の湯水を定期的に入れ替える際に、大量の水道水を無駄にすることがなくなるとともに、捨てられる湯水の排熱を有効活用しながら排水部における劣化のリスクを避けることができる。
【0013】
また、本発明の電気温水器では、前記流量調整手段は、前記排水管に流れる湯水の流量を所定の流量以下に減少させるために、前記排水管に流れる湯水の流量が増えるとともに前記熱放出部の上流側の流路抵抗が高まる流路抵抗部であることを特徴とする。
【0014】
このような構成とすれば、簡易な構成で熱放出部の上流側の内部流路の水圧の違いなどに関係なく排水管に流れる湯水の流量を確実に減少させることができるため、熱放出部を最適な設計にしやすく、熱放出部をコンパクトにさせることが可能になる。
【0015】
また、本発明の電気温水器では、前記流路抵抗部は、前記給水管に設けられており、前記タンクの上流側の前記給水管の流路抵抗が高まることにより、前記タンクの下流側の前記排水管に流れる湯水の流量を減少させることを特徴とする。
【0016】
このような構成とすれば、流路抵抗部に耐熱性をもたせる必要がないので、流路抵抗部の設計が容易となり、また、タンクの上流側の給水管の流路抵抗部により排水管に流れる湯水の流量と出湯管に流れる湯水の流量の両方を調整することが可能である。
【0017】
また、本発明の電気温水器では、前記流量調整手段は、前記排水管の温度を検知するセンサと、前記センサの検知した温度に基づき内部流路の一部の開度を調整する開度調整部と、を有し、前記センサの検知した温度が所定の温度よりも高い場合、前記内部流路の一部の開度を小さくすることを特徴とする。
【0018】
このような構成とすれば、タンクから排水管に流れる湯水の流量が多い場合、排水管の温度が所定の温度よりも高くなりやすく、センサの検知した温度が所定の温度よりも高くなり次第、内部流路の一部の開度を小さくするため、高温の湯水が低下されないまま排水されてしまうのを確実に防止することができる。
【0019】
また、本発明の電気温水器では、前記センサは、前記排水管における前記熱放出部の下流側の温度を検知することを特徴とする。
【0020】
このような構成とすれば、万一、熱放出部へのカルシウムの析出等により、熱放出部の性能が劣化した場合であっても、熱放出部の下流側の排水管の温度に基づいて排水管に流れる湯水の流量を調整するため、高温の湯水が低下されないまま排水されてしまうのをより確実に防止することができる。
【0021】
また、本発明の電気温水器では、前記熱放出部は、前記排水管が前記給水管に沿って配設され、前記排水管の湯水が流れる方向と前記給水管の水道水が流れる方向とが対向していることを特徴とする。
【0022】
このような構成とすれば、排水管に流れる湯水と給水管に流れる水道水との温度差を大きくとれるため、熱放出部における熱交換の能力を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の電気温水器では、前記給水管から前記排水管に前記タンクをバイバスするバイバス管と、前記バイバス管に前記バイバス管を開閉する開閉弁と、前記排水管に流れる湯水の温度を検知するセンサと、を備え、前記センサの検知した湯水の温度が所定の温度よりも高い場合、前記バイバス管の前記開閉弁を開けることにより、前記給水管からの水道水と前記タンクからの湯水を混合させて前記排水管に流れる湯水の温度を下げることを特徴とする。
【0024】
このような構成とすれば、熱放出部を通過後の湯水の温度が高い際に開閉弁を開くことにより湯水に水道水を混合させるため、高温の湯水が低下されないまま排水されてしまうのをなくすことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、タンク内の湯水を定期的に入れ替える際に、大量の水道水を無駄にすることがなくなるとともに、捨てられる湯水の排熱を有効活用しながら排水部における劣化のリスクを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の電気温水器の正面図である。
図2】第一の実施形態の電気温水器の内観斜視図である。
図3】第一の実施形態の電気温水器の配管構成図である。
図4】第ニの実施形態の電気温水器の配管構成図である。
図5】第三の実施形態の電気温水器の配管構成図である。
図6】第四の実施形態の電気温水器の配管構成図である。
図7】熱放出部の拡大斜視図である。
図8】熱放出部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0028】
図1は、電気温水器1の正面図である。電気温水器1は、水栓2と止水管4との間に設置される装置であって、止水管4から供給される水道水を電気ヒータによって加熱して湯水とし、かかる湯水を水栓2に供給して水栓2から吐水させる装置である。
【0029】
図1は、電気温水器1が水栓2に接続された状態の外観を示す図である。図1に示すように、電気温水器1は、水栓2とともに、下水道(図示しない)へ連通するシンク排水配管6を備えたシンク5の上方に設置される。
【0030】
また、水栓2には、水道水が給水配管7を経由して供給されるとともに、電気温水器1のタンク(図示しない)内で沸き上げられた湯水も出湯配管8を経由して供給される。その結果、水栓2にて水道水と湯水とが混合されて所望の温度で吐水されることになる。
【0031】
また、電気温水器1のタンク内で沸き上げられた湯水は、お客様に安心して頂くために定期的に入れ替えられる。タンク内の湯水を入れ替える際には、シンク5の上方に設置された排水金具3より、排水配管9を経由してシンク5に排出される。
【0032】
図2は、本発明の第一の実施形態の電気温水器の内観斜視図である。この図2は、図1の電気温水器1の前面カバーを取り外して内部を露出した状態を示している。また、図3は、第一の実施形態の電気温水器の配管構成図である。
【0033】
本発明における第一の実施形態の電気温水器1は、水道水を加熱して貯湯するタンク10と、タンク10に水道水を給水する給水管16と、タンク10から湯水を吐水する吐水部である水栓2に供給する出湯管17と、タンク10で発生する膨張水を排出するための膨張水管19と、タンク10の湯水を入れ替える際にタンク10の湯水を排水部に排水する排水管18と、備えている。ここで、排水部とは、例えば排水管18の下流側である排水配管9やシンク排水配管6である。
【0034】
また、排水管18に流れる湯水の熱を、給水管16に流れる水道水に放出する熱放出部12と、排水管18に流れる湯水の流量を調整する流量調整手段である減圧弁13と、を備えており、流量調整手段である減圧弁13は、当該湯水の流量を所定の流量以下に減少させるよう当該湯水の流量を調整することにより、熱放出部12において、排水管18に流れる湯水の流量を減少させた状態で、排水管18に流れる湯水の熱を、給水管16に流れる水道水に放出している。
【0035】
電気温水器1内のタンク10へは、図1で示す給水配管7を経由して給水口20から供給された水道水が給水管16に設けられた減圧弁13及び熱放出部12を経由して供給される。そして、供給された水道水はタンク10に備えられた電気ヒーター11にて、所定の温度(例えば85℃)まで沸き上げられる。また、タンク10の上部へは、出湯管17及び逃し弁15を備えた膨張水管19が接続されており、出湯管17はタンク10から出湯口21を介して水栓2に連通している。
【0036】
さらに、出湯管17からは排水管18が分岐し、排水管18は、熱放出部12及び排水電磁弁14を経由して膨張水管19へ接続され、膨張水管19は排水口22へ連通し、排水口22は、図1で示す排水金具3へ排水配管9で連通している。
【0037】
なお、新鮮な温水を確保するため、タンク10内の温水は操作パネル(図示しない)で自動または手動操作で入れ替えを行うことができる。入れ替え操作を行うと、排水電磁弁14が開き、出湯管17、排水管18、熱放出部12、排水電磁弁14を経由して、排水口22より排出される。そして、排出されたタンク10内の温水は、図1で示す排水金具3より排水配管9を経由してシンク5へと排出され、シンク排水配管6を経由して下水道(図示しない)へ流れる。
【0038】
ここで、排水管18から高温の温水(例えば85℃)が排出されると、その排出管18の下流側で劣化を引き起こす恐れがある。しかしながら、本発明の電気温水器1においては、排水電磁弁14が開くと同時に、給水口20から減圧弁13、熱放出部12を経由して水道水がタンク10内へ供給されるとともに、押し出されたタンク10内の温水(例えば85℃)と給水された水道水が熱放出部12にて熱交換される。
【0039】
減圧弁13が内部流路の水圧を下げることにより、熱放出部12において、排水管18に流れる湯水の流量を減少させた状態で、排水管18に流れる湯水の熱を、給水管16に流れる水道水に放出させているため、タンク10内の湯水を定期的に入れ替える際に、大量の水道水を無駄にすることがなくなるとともに、捨てられる湯水の排熱を有効活用しながら排水部における劣化のリスクを避けることができるようになる。
【0040】
ここで、熱放出部12は、減圧弁13で水圧が減圧して保持されて流量が一定になることを考慮し、さらに水道水の最高温度(例えば30℃)、沸し上げ設定温度の最高温度(例えば85℃)を考慮して、排出される温水の温度がシンク排水配管6の劣化の恐れのない所定の温度(例えば60℃)以下になるように設計している。このように、減圧弁13を備えることにより、水圧の違いや水圧変動に関係なく排水流量を一定にすることができるので、熱放出部12の設計が容易となり、最適な設計(構造、サイズ)で確実に排水温度を低下させることができる。
【0041】
また、本発明の電気温水器1では、減圧弁13は、給水管16に設けられており、タンク10の上流側の給水管16の流路抵抗を高めることにより、タンク10の下流側の排水管18に流れる湯水の流量を減少させるように構成しているため、減圧弁13に耐熱性をもたせる必要がないので、減圧弁13を専用の設計にする必要がなく、また、タンク10の上流側の給水管16の減圧弁13で排水管18に流れる湯水の流量と出湯管17に流れる湯水の流量の両方を調整することが可能になる。
【0042】
図4は、第ニの実施形態の電気温水器1の配管構成図である。図4の電気温水器1は、図3の電気温水器1において、給水管16の減圧弁13と熱放出部12との間に、もう一つの流量調整手段である定流量弁23を備えたものである。減圧弁13のみの場合よりも、内部流路の流量を定流量化でき、さらに排水流量を安定させて少なくすることができるので、さらに排出される温水の温度を低下させることができ、熱放出部12のサイズも小さくできる。
【0043】
もう一つの流量調整手段は、定流量弁23でなくても形状記憶合金やワックスペレットでも同様の効果があり、水道水の温度が熱放出部12にて所定の温度(例えば60℃)まで低下させることが出来る温度以上の場合に排水流量を少なくすることができる。尚、流量調整手段は、定流量弁23、形状記憶合金やワックスペレットのみでも良いし、図4に示すように減圧弁13を組合せれば内部流路を減圧させた状態でより少ない流量で安定させて定流量にすることが可能となり、熱放出部12のサイズを小さくできるというメリットがある。
【0044】
なお、流量調整手段は、給水管16の減圧弁13と熱放出部12の間ではなく、給水口20と減圧弁13との間でもよい。さらに排水管18の熱放出部12以降に設けてもよい。形状記憶合金やワックスペレットで構成される流量調整手段が排水管18の熱放出部12以降に設けられた場合は、熱放出部12を通過後の温水の温度が所定の温度(例えば60℃)よりも高い場合に排水流量を少なくすることにより、確実に排出される温水の温度を低下させることができる。
【0045】
図5は、第三の実施形態の電気温水器1の配管構成図である。図5の電気温水器1は、図3の第一の実施形態の電気温水器1において、開度調整部25を減圧弁13とタンク10の間に、温度検知手段24を排水管18に設けている。タンク10から排水管18に流れる湯水の流量が多い場合、排水管18の温度が温度よりも高くなりやすい。温度検知手段24の検知した温度が所定の温度(例えば60℃)よりも高くなり次第、内部流路の一部の開度を小さくするため、高温の湯水が低下されないまま排水されてしまうのを確実に防止することができる。
【0046】
また、図5の電気温水器1は、開度調整部25を減圧弁13とタンク10の間に、温度検知手段24を排水管18の熱放出部12の下流側に設けている。万一、熱放出部12にカルシウムへの析出等により、熱放出部12の性能が劣化した場合であっても、熱放出部12の下流側の排水管18の温度に基づいて排水管18に流れる湯水の流量を調整するため、高温の湯水が低下されないまま排水されてしまうのをより確実に防止することができる。
【0047】
また、図5の電気温水器1において、開度調整部25と温度検知手段24を給水管16の減圧弁13とタンク10の間に設けても良い。熱放出部12の性能を把握しておけば、水道水の温度で排水管18から高温の湯水が排水しないようにすることができ、専用の開度調整部25温度検知手段24にする必要がなくなる。また、開度調整部25の代わりに、排水電磁弁14に開閉機能のみではなく、流量調整機能を持たせたものとしても良く、配管まわりの簡略化に繋がり、結果的に電気温水器1の全体をコンパクトにできる。
【0048】
また、図5の電気温水器1において、排水管の温度を検知する温度検知手段24を用いているが、給水管16又は排水管18の内部流路の流量が所定の流量以上であることを検知する流量検知手段を用いても良い。温度検知手段24が検知した流量が所定の流量以上である場合、給水管16又は排水管18の内部流路の一部の開度を小さくするため、構成は複雑になるものの、センサの検知した流量が所定の流量よりも高くなり次第、内部流路の一部の開度を小さくするため、高温の湯水が低下されないまま排水されてしまうのを確実に防止することができる。
【0049】
図6は、第四の実施形態の電気温水器1の配管構成図である。図6の電気温水器1は、図3の第一の実施形態の電気温水器1において、給水管16から排出管18にタンク10をバイバスするバイバス管27と、バイバス管27にバイバス管27を開閉する開閉弁であるバイバス電磁弁26と、排水管18に流れる湯水の温度を検知するセンサである温度検知手段24と、を備えたものである。
【0050】
温度検知手段24の検知した湯水の温度が所定の温度よりも高い場合、バイバス管27のバイバス電磁弁26を開けるように設定される。熱放出部12を通過後の温水の温度が所定の温度(例えば60℃)を超えるような場合には、バイバス電磁弁26を開いて、水道水を混合させて排出される温水の温度を低下させることができ、高温の湯水が低下されないまま排水されてしまうのをなくすことができる。
【0051】
図7は、本発明の熱放出部の斜視図である。また、図8は熱放出部の断面図である。熱放出部12は熱放出部内管28と熱放出部外管29とで構成され、その断面は、図8に示すように、熱放出部内管28の外側に熱放出部外管29が位置する構造となっている。
【0052】
水道水は図7の下方より熱放出部内管28を経由して図7の上方へ至る。一方、タンク10からの温水の排水は、図7の上方より、熱放出部外管29を経由して図7の下方へ至る。このように、熱交換する液体の流れを対向させることで、水道水との温度差を大きくとれるため、熱交換の能力を向上させることができる。
【0053】
さらに、タンク10からの温水の排水を熱放出部外管29へ通すことにより、熱放出部内管28を通過する水道水と、熱放出部外管29へ触れる外気の両方でタンク10からの温水を冷やすことができ、確実に、排出させる温水の温度を低下させることが可能となり、熱放出部のサイズを小さくできる。
【0054】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0055】
1…電気温水器
2…水栓
3…排水金具
4…止水栓
5…シンク
6…シンク排水配管
7…給水配管
8…出湯配管
9…排水配管
10…タンク
11…電気ヒーター
12…熱放出部
13…減圧弁
14…排水電磁弁
15…逃し弁
16…給水管
17…出湯管
18…排水管
19…膨張水管
20…給水口
21…出湯口
22…排水口
23…定流量弁
24…温度検知手段(センサ)
25…開度調整部
26…バイバス電磁弁(開閉弁)
27…バイバス管
28…熱放出部内管
29…熱放出部外管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8