特許第5991661号(P5991661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991661
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】横断遮断装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20160901BHJP
   G07B 15/00 20110101ALI20160901BHJP
【FI】
   G08G1/00 Z
   G07B15/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-81453(P2012-81453)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210895(P2013-210895A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工メカトロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】氷室 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
【審査官】 柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−093688(JP,U)
【文献】 実開昭54−133787(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G07B 15/00
E01F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線と隣接するエリアから前記車線への横断を規制する横断遮断装置であって、
前記エリアから前記車線への進入を規制するための遮断棒と、
前記遮断棒を、前記車線への進入を規制する横断規制位置と、前記車線の横断方向に沿って配される横断許可位置とに回転駆動させる駆動部と、
前記横断規制位置では、前記エリアの横断者に対向するように、横断禁止を報知する第一の表示を前記遮断棒に表示させると共に、前記横断許可位置では、前記車線を走行する車に対向するように、横断中であることを報知する第二の表示を表示させる表示手段と、を備え
前記表示手段は、軸回りの異なる位置に前記第一の表示、及び前記第二の表示が表示された遮断棒を、前記横断規制位置では、前記第一の表示が前記横断者に対向するように、前記横断許可位置では、前記第二の表示が車に対向するように軸回りに前記遮断棒を回転させる回転機構を備える横断遮断装置。
【請求項2】
車線と隣接するエリアから前記車線への横断を規制する横断遮断装置であって、
前記エリアから前記車線への進入を規制するための遮断棒と、
前記遮断棒を、前記車線への進入を規制する横断規制位置と、前記車線の横断方向に沿って配される横断許可位置とに回転駆動させる駆動部と、
前記横断規制位置では、前記エリアの横断者に対向するように、横断禁止を報知する第一の表示を前記遮断棒に表示させると共に、前記横断許可位置では、前記車線を走行する車に対向するように、横断中であることを報知する第二の表示を表示させる表示手段と、を備え、
前記表示手段は、軸回りの異なる位置に前記第一の表示、及び前記第二の表示が表示された遮断棒を、前記横断規制位置では、前記第一の表示が前記横断者に対向するように、前記横断許可位置では、前記第二の表示が車に対向するように、前記駆動部の駆動により軸回りに前記遮断棒を回転させる回転機構を備える横断遮断装置。
【請求項3】
前記遮断棒には、前記第一の表示と前記第二の表示とが、軸回りに略90度異なる位置に表示されていて、
前記表示手段の回転機構は、前記横断規制位置と前記横断許可位置とで、前記遮断棒を、前記第一の表示及び前記第二の表示のそれぞれの表示された位置と対応して略90度回転させる請求項1または請求項2に記載の横断遮断装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記横断規制位置では、さらに、当該エリアと車線を挟んで反対側の他のエリアの横断者に対向するように第一の表示を前記遮断棒に表示させる請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の横断遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車線と隣接するエリアから、車線への横断を規制する横断遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の料金所では、料金収受員が、車線を横断して車線に隣接するアイランド間を移動する場合がある。この際、横断する収受員の安全を確保するために車両の進入を遮断する遮断装置の一例が特許文献1に記載されている。具体的には、特許文献1の遮断装置は、横断の際には、操作盤の操作により、遮断棒を、レーンを遮るように回転させて車線を規制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−210312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の横断遮断装置は、車線に隣接するエリアであるアイランドいる者が当該アイランドから誤って車線を横断してしまうことを規制することができない。
そのため、特許文献1の遮断装置を設けた場合には、車線に隣接するエリアにいる者が誤って車線を横断してしまうことを規制するために、上記遮断装置とは別に、横断を規制する装置を上記遮断装置よりも車線後方側に設ける必要があり、設置スペースの増大、コストの増大につながってしまう。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、最小限の設置スペースかつ低コストで、料金所等の規制範囲における車線内に、車線に隣接するエリアから不用意に横断してしまうことを防止しつつ、横断時には車の進入を防止することができる横断遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る横断遮断装置は、車線と隣接するエリアから前記車線への横断を規制する横断遮断装置であって、前記エリアから前記車線への進入を規制するための遮断棒と、前記遮断棒を、前記車線への進入を規制する横断規制位置と、前記車線の横断方向に沿って配される横断許可位置とに回転駆動させる駆動部と、前記横断規制位置では、前記エリアの横断者に対向するように、横断禁止を報知する第一の表示を前記遮断棒に表示させると共に、前記横断許可位置では、前記車線を走行する車に対向するように、横断中であることを報知する第二の表示を表示させる表示手段と、を備え、前記表示手段は、軸回りの異なる位置に前記第一の表示、及び前記第二の表示が表示された遮断棒を、前記横断規制位置では、前記第一の表示が前記横断者に対向するように、前記横断許可位置では、前記第二の表示が車に対向するように軸回りに前記遮断棒を回転させる回転機構を備える
また、本発明に係る横断遮断装置は、車線と隣接するエリアから前記車線への横断を規制する横断遮断装置であって、前記エリアから前記車線への進入を規制するための遮断棒と、前記遮断棒を、前記車線への進入を規制する横断規制位置と、前記車線の横断方向に沿って配される横断許可位置とに回転駆動させる駆動部と、前記横断規制位置では、前記エリアの横断者に対向するように、横断禁止を報知する第一の表示を前記遮断棒に表示させると共に、前記横断許可位置では、前記車線を走行する車に対向するように、横断中であることを報知する第二の表示を表示させる表示手段と、を備え、前記表示手段は、軸回りの異なる位置に前記第一の表示、及び前記第二の表示が表示された遮断棒を、前記横断規制位置では、前記第一の表示が前記横断者に対向するように、前記横断許可位置では、前記第二の表示が車に対向するように、前記駆動部の駆動により軸回りに前記遮断棒を回転させる回転機構を備える。
【0007】
このような構成によれば、遮断棒を横断規制位置と横断許可位置との間で回動する動作に同期して、横断禁止であることをエリアから車線へ進入しようとする者へ報知するための第一の表示、および横断中であることを、車線を走行する車両に報知するための第二の表示を独立して表示できる。従って、遮断棒が横断規制位置に位置している場合には、遮断棒によってエリアから車線への進入を阻止するとともに、第一の表示によって車線へ進入しようとする者に横断禁止である旨を報知することができる。また、遮断棒が横断許可位置に位置している場合には、遮断棒によって車線への車両の進入を阻止するとともに、第二の表示によって車線へ進入しようとする車両に横断中である旨を報知し、横断中の者の安全を確保することができる。
従って、誤ってエリアから進入して車線を横断してしまうことを規制するために横断を規制する装置を、車線を横断の際に車線への車両の進入を規制する装置とは別にして後方側に設ける必要がないので、設置スペースの縮小化を図れるとともに、簡素な構造により低コスト化を実現できる。
【0009】
そして、回転機構で遮断棒を軸回りに回転させるだけで、横断許可位置及び横断規制位置のそれぞれで表示することが必要な第一の表示または第二の表示を表示することができ、遮断棒への第一の表示及び第二の表示の表示を、ペイント等簡易なものとすることができる。
【0010】
また、本発明に係る横断遮断装置は、前記遮断棒には、前記第一の表示と前記第二の表示とが、軸回りに略90度異なる位置に表示されていて、前記表示手段の回転機構は、前記横断規制位置と前記横断許可位置とで、前記遮断棒を、前記第一の表示及び前記第二の表示のそれぞれの表示された位置と対応して略90度回転させる。
【0011】
このような構成によれば、横断規制位置の際に、不要となる第二の表示が上方または下方に向くように表示されることで、当該第二の表示がエリアにいる者、及び車線に進入する車両からより確実に認識できなくすることができる。また、横断許可位置の際にも、不要となる第一の表示が上方または下方に向くように表示されることで、当該第一の表示が車線を横断し若しくは横断しようとする者、及び車線に進入しようとする車両から、確実に認識できなくすることができる。
【0012】
本発明に係る横断遮断装置は、前記表示手段は、前記横断規制位置では、さらに、当該エリアと車線を挟んで反対側の他のエリアの横断者に対向するように第一の表示を前記遮断棒に表示させる。
【0013】
このような構成によれば、対向するエリアに対して同時に同様の表示を行える。
従って、一方のエリアから他方のエリアへ向かおうとする者および他方のエリアから一方のエリアへ向かおうとする者のいずれの安全も確保できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る横断遮断装置によれば、最小限の設置スペースかつ低コストで、料金所等の規制範囲における車線内に、車線に隣接するエリアから不用意に横断してしまうことを防止しつつ、横断時には車の進入を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置を適用した料金所の斜め上方から視た外観斜視図である。
図2】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置の横断許可位置における斜め上方から視た外観斜視図である。
図3】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置の横断許可位置における車両の進行方向下流側から視た縦断面図である。
図4】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置の横断許可位置における車両の進行方向上流側から視た側面図である。
図5】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置の横断許可位置における平面図である。
図6】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置の横断規制位置における斜め上方から視た外観斜視図である。
図7】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置の横断規制位置における車線に対する交差方向から視た側面図である。
図8】本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置の横断規制位置における平面図である。
図9】本発明に係る第2実施形態の横断遮断装置の横断許可位置における斜め上方から視た外観斜視図である。
図10】本発明に係る第2実施形態の横断遮断装置の横断規制位置における斜め上方から視た外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る複数の実施形態の横断遮断装置について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の横断遮断装置10を装備する料金所50は、収受員が常駐する車線である有人車線51と、収受員が常駐していない車線である第1無人車線52及び第2無人車線53と、を設置している。
料金所50は、有人車線51を路側部54と第1アイランド55との間に設置しており、第1無人車線52を第1アイランド55と第2アイランド56との間に設置しており、第2無人車線53を第2アイランド56と第3アイランド57との間に設置している。
各アイランド55,56,57は、車両1が走行する路面から段差を介して路面よりも1段高い島形状に形成している。
【0017】
第1アイランド55は、車両1の進行方向の中央部に料金所ブース58を設置しており、この料金所ブース58には収受員が常駐する。
有人車線51は、出口車線であり、車両1の進行方向の下流側に路側部54と第1アイランド55とに分設した車両検知器59を設置している。
車両検知器59は、有人車線51に向けて車両1が進行中であることを検知して、料金所ブース58内の収受員に車両1の存在を報知する。
【0018】
第1無人車線52は、出口車線であり、第1アイランド55と第2アイランド56とに分設した車両検知器60を設置しており、第1アイランド55の第1無人車線52側に左ハンドル車用料金自動収受機械61を設置している。
また、第1無人車線52は、第2アイランド56の第1無人車線52側に右ハンドル車用料金自動収受機械62を設置しており、第1アイランド55と第2アイランド56とに分設した発進制御機63および車両検知器64を設置している。
そして、第1無人車線52は、第1アイランド55に車線監視カメラ65を設置している。
【0019】
第2無人車線53は、入口車線であり、第2アイランド56と第3アイランド57とに分設した車両検知器66を設置しており、第2アイランド56の第2無人車線53側に左ハンドル車用通行券自動発行機67を設置している。
また、第2無人車線53は、第3アイランド57の第2無人車線53側に右ハンドル車用通行券自動発行機68を設置しており、第2アイランド56と第3アイランド57とに分設した車両検知器69を設置している。
第2無人車線53は、第3アイランド57に車線監視カメラ70を設置している。
各アイランド55,56,57は、車線51,52,53に向けて進行している車両1を検知するための不図示の車両検知器を設置している。
なお、入口車線及び出口車線の上記組合せは、一例であり、出口料金所として出口車線のみで構成されていても良いし、同様に入口料金所として入口車線のみで構成されていても良い。また、入口車線としても有人車線が設けられるものとしても良い。
【0020】
横断遮断装置10は、各アイランド55,56,57にそれぞれ分設された横断遮断ユニット11から構成されている。
有人車線51用の一対の横断遮断ユニット11は、有人車線51において路側部54と第1アイランド55とに分設されている。
第1無人車線52用の一対の横断遮断ユニット11は、第1無人車線52において第1アイランド55と第2アイランド56とに分設されている。
第2無人車線53用の一対の横断遮断ユニット11は、第2無人車線53において第2アイランド56と第3アイランド57とに分設されている。
【0021】
ここで、各横断遮断ユニット11は、基本的には同一構造であり、各車線における対をなす横断遮断ユニット11は、車線に対して線対称となるように構成されている点で異なるに過ぎない。
そのため、以下の説明では、第1無人車線52の第2アイランド56に設置する一方の横断遮断ユニット11についてのみ説明し、残りの横断遮断ユニット11の説明は省略する。
【0022】
図2に示すように、横断遮断ユニット11は、第1無人車線52に隣接するエリアとなる第2アイランド56から第1無人車線52への進入を規制するための遮断棒12と、遮断棒12を回転駆動させる駆動部13と、横断禁止を報知するための表示を行う表示手段14と、を備える。
遮断棒12は、四角柱形状に形成した本体15の中心軸に一致するようにして、基端側へ突出する支持軸16を有する。
遮断棒12は、本体15の4つの面のうちの対向する第1面17および第3面18に第一の表示である横断禁止のサイン19を施工してある。また、4つの面のうち、横断禁止のサイン19が表示された面と隣接し、残りの対向する第2面20および第4面21のうち、第4面21に、第二の表示である横断中のサイン22を施工してある。すなわち、第一の表示であるサイン19と、第二の表示であるサイン22とは、支持軸16回りに90度ずつ異なる位置に設けられている。
なお、遮断棒12の各サイン19,22は、通常の塗料で施工しても蛍光塗料で施工してもよく、夜間に点灯するようにしてもよい。また、サイン19、22が表示されたシールなどを貼り付けるようにしても良い。
【0023】
駆動部13は、筐体23内に収容された駆動源であるモータ(図3参照)24と、モータ24の回動軸25に結合され、支持軸16を支持する回動支持部材26とを備えている。
表示手段14は、上記サイン19、22と、モータ24の駆動により回動支持部材26を介して遮断棒12が回動するのに応じて、遮断棒12を支持軸16の軸回りに回動させる回転機構30を備えている。回転機構30は、支持軸16に回転力を伝達させる歯車減速機構27と、歯車減速機構27に回転力を入力するピニオン28と、筐体23の上面に取り付けられていて、ピニオン28が噛合するラック29とを有している。
【0024】
図3に示すように、筐体23は、箱形状に形成して第2アイランド56上に設置されており、内部に収容したモータ24の回動軸25を軸受31により回動軸25回りに回転自在に支持している。
モータ24は、不図示の制御回路に電気的に接続するために、制御回路から供給した電力により回動軸25を正回転させ、回動支持部材26とともに遮断棒12を横断規制位置A1から横断許可位置A2まで90度の範囲で回動させる。
これとは異なり、モータ24は、回動軸25を逆回転させ、回動支持部材26とともに支持軸16を横断許可位置A2から横断規制位置A1まで90度の範囲で戻り回動させる。
ここで、横断規制位置A1とは、遮断棒12が、第2アイランド56上で第1無人車線52が延設される方向に沿うように配される位置である。これにより、横断規制位置A1に位置する遮断棒12によって、第2アイランド56から第1無人車線52へ、第1無人車線52を横断する方向に人が進入することを規制する。横断許可位置A2とは、遮断棒12が、第2アイランド56から第1無人車線52へ、第1無人車線52の横断方向に沿うように配される位置である。これにより、第2アイランド56から第1無人車線52へ、第1無人車線52を横断する方向に人が進入することが可能となるとともに、横断許可位置A2に位置する遮断棒12によって第1無人車線52へ車両が進入することを規制する。なお、横断許可位置A2から横断規制位置A1へ回転する方向は、規制する第1無人車線52を車両が走行する方向と対応するように設定されている。すなわち、横断許可位置A2から横断規制位置A1へと回転する場合には、遮断棒12は、第1無人車線52の走行方向後方から前方へ向けて移動する。これにより、万一横断許可位置A2に遮断棒12が位置していたときに車両が接触したとしても、遮断棒12及び遮断棒12を支持する回転機構30は、許容される向きに回転することとなる。
【0025】
回動支持部材26は、水平に配置した支持軸16を軸受32,33により回転自在に支持している。ここで、回転機構30において、ピニオン28は、歯車減速機構27を介して支持軸16と連結されており、遮断棒12とともにモータ24によって回動軸25回りに90度の範囲で一体的に回転する。ここで、ピニオン28は、ラック29に噛合されているため、回動軸25回りに回動するとともに、自身の中心軸回りに自転することとなる。ピニオン28の自転は、歯車減速機構27を介して支持軸16に伝達される。このため、遮断棒12は、回動軸25回り回動するのに伴い、支持軸16回りにも回転することとなる。ここで、歯車減速機構27では、予め設定された減速比でピニオン28の自転を支持軸16に伝達しており、これにより回動軸25回りに90度回転すると、支持軸16回りに90度の範囲で回転するように設定されている。
【0026】
すなわち、横断許可位置A2を示す図2から図5、及び横断規制位置A1を示す図6から図8に示すように、回動支持部材26が横断規制位置A1から横断許可位置A2まで水平方向に90度回動するのに伴い、横断規制位置A1で遮断棒12が支持軸16回りに、第一面17及び第三面18に示された第一の表示であるサイン19が両側方に向くとともに、第四面に示された第二の表示であるサイン22が下方に向く状態から、第一面17及び第三面18に示された第一の表示であるサイン19が上方及び下方に向くと伴に、第四面21に示された第二の表示であるサイン22が車両進入側の側方に向くまで、90度回転する。
【0027】
これにより、図2から図5に示すように、遮断棒12が横断許可位置A2に位置する場合においては、遮断棒12が第1無人車線52上に横断するように配置されるために、第1無人車線52への車両の進入を阻止し、第2アイランド56から第1無人車線52を横断して第1アイランド55に向かう横断路を確保する。また、遮断棒12の第4面21の横断中のサイン22を第1無人車線52に進入する車両1に対向するように表示して横断中であり進入を禁止する旨を報知する。
【0028】
また、上記とは逆で、横断許可位置A2を示す図2から図5、及び横断規制位置A1を示す図6から図8に示すように、回動支持部材26が横断許可位置A2から横断規制位置A1まで水平方向に90度戻り回動するのに伴い、遮断棒12が支持軸16回りに90度戻り回転し、これにより遮断棒12自体で第2アイランド56に位置する者の第1無人車線52への横断を阻止するとともに、第三面18に示された第一の表示であるサイン19の一方を第2アイランド56に位置する人に対向するように表示して横断を禁止する旨を報知する。そのため、第2アイランド56から第1アイランド55へ横断しようとしている者に対して横断路を遮断してその者の安全を確保する。
【0029】
また、図6に示すように、横断規制位置A1では、第一面17に示された第一の表示であるサイン19の他方を、第2アイランド56と第1無人車線52を挟んで反対側の第1アイランド55に位置する人に対向するように表示して横断を禁止する旨を報知する。そのため、第1アイランド55から第2アイランド56へ横断しようとしている者に対してもその者の安全を確保する。
また、第四面21に示された第二の表示であるサイン22が下方に向く状態となり、何も表示されていない第二面20が上方を向く状態となり、横断中の表示が横断しようとする者から見えないため、横断中の表示を見て誤って横断してしまうことを防止することができる。
【0030】
次に、横断遮断ユニット11の動作について説明する。
まず、車両検知器により第1無人車線52に向けて進行している車両1がないことを検知し、人感センサにより第2アイランド56から第1無人車線52を横断しようとしている者を検知した場合について説明する。
このとき、制御回路からモータ24に電流を供給して回動軸25を正回転し、回動支持部材26とともに遮断棒12を横断規制位置A1から横断許可位置A2まで90度回動する。
【0031】
回動支持部材26が横断規制位置A1から横断許可位置A2まで90度回動するのに伴い、遮断棒12が支持軸16回りに90度回動する。
そして、遮断棒12の第4面21の横断中のサイン22を第1無人車線52において車両1に対向するように表示する。
従って、第1無人車線52において横断者が横断中であることを第1無人車線52に表示して車両1の第1無人車線52への進入を抑制し、第2アイランド56から第1無人車線52に横断する横断者の安全な横断路を確保する。
【0032】
次に、人感センサにより第2アイランド56から第1無人車線52を介して第1アイランド55への横断が完了したことが検知された場合について説明する。
この場合、制御回路からモータ24に電流を供給して回動軸25を逆回転し、回動支持部材26とともに支持軸16を横断許可位置A2から横断規制位置A1まで90度戻し回動する。
【0033】
回動支持部材26が横断許可位置A2から横断規制位置A1からまで戻り回動するのに伴い、支持軸16を軸回りに90度戻し回転し、遮断棒12の第1面17の横断禁止のサイン19を第2アイランド56上の者に表示する。
従って、第2アイランド56から第1無人車線52を横断しようとしている者に対して第1無人車線52へ不意に横断することを禁止してその者の安全を確保し、第1無人車線52への車両1の進入を許容する。
【0034】
このとき、遮断棒12は、第1面17の反対側である第3面18の横断禁止のサイン19を第2アイランド56に対面する第1アイランド55に向けて表示している。
そのため、第1アイランド55から第1無人車線52を介して第2アイランド56へ横断しようとしている者に対して横断禁止のサイン19を表示することにより、第1アイランド55上の者の安全を確保できる。
【0035】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態の横断遮断装置10によれば、遮断棒12を横断規制位置A1と横断許可位置A2との間で回動する動作に同期して遮断棒12を回転して横断禁止のサイン19および横断中のサイン22を、遮断棒12の横断規制位置A1または横断許可位置A2のいずれかの位置に応じて必要な向きに表示できる。
従って、横断遮断装置10によれば、第1無人車線52に隣接するエリアである第2アイランド56から第1無人車線52に誤って横断してしまうことを規制するために横断を規制する装置を横断遮断装置とは別にして設ける必要がないので、設置スペースの縮小化を図れるとともに、簡素な構造により低コスト化を実現できる。
【0036】
また、横断遮断装置10によれば、駆動部13により遮断棒12を横断規制位置A1から横断許可位置A2まで回動する動作に同期させる回転機構30を備えている。回転機構30で遮断棒12を支持軸16回りに回転させるだけで、横断規制位置A1及び横断許可位置A2のそれぞれで表示することが必要な第一の表示であるサイン19または第二の表示であるサイン22を必要な向きに表示することができ、遮断棒12へのサイン19、22の表示を、ペイント等簡易なものとすることができる。
また、回転機構30をピニオン28と、ピニオン28に噛合するラック29とから構成している。従って、横断遮断装置10によれば、一旦設置した後に長期的な使用を行う回転機構30をメインテナンスフリーの簡素な構造にできるために、ランニングコストを大幅に削減してコスト面で有利にできる。
【0037】
そして、横断遮断装置10によれば、横断規制位置A1では、横断遮断装置10が設けられた第2アイランド56と第1無人車線52を挟んで反対側の第1アイランド55の横断しようとする者に対向するようにも、第一の表示であるサイン19を遮断棒12に表示させている。
従って、横断遮断装置10によれば、第2アイランド56から第1アイランド55へ横断しようとする者のみならず、これと同時に第1アイランド55から第2アイランド56へ横断しようとする者に対しても安全を確保できる。
【0038】
また、横断遮断装置10は、遮断棒12には、第一の表示であるサイン19と第二の表示であるサイン22とが、支持軸16回りに略90度異なる位置に表示されている。そして、回転機構30は、横断規制位置A1と前記横断許可位置A2とで、遮断棒12を略90度回転させている。このため、横断規制位置A1の際に、不要となる第二の表示であるサイン22が上方または下方に向くように表示されることで、当該サイン22が第2アイランド56にいる者、及び第1無人車線52に進入する車両からより確実に認識できなくすることができる。また、横断許可位置A2の際にも、不要となる第一の表示であるサイン19が上方または下方に向くように表示されることで、当該サイン19が車線を横断し若しくは横断しようとする者、及び第1無人車線52に進入しようとする車両から、確実に認識できなくすることができる。
【0039】
なお、上記において、遮断棒12におけるサイン19、22の設置は、塗装やシールによるものとしたがこれに限るものではなく、サイン19、22の表示が光源からの光により発光するものとしても良い。具体的には、例えば、遮断棒12が中空の部材で形成され、サイン19、22の表示部分だけが透明に形成されていて、遮断棒12の内部において基端側に設けられた光源からの光が、遮断棒12の内部を通ってサイン19、22から外側に発せられるようにしても良い。このようにすることで、サイン19、22の表示をより明確に、横断しようとする者や、進入しようとする車両に対して表示することができる。また、光源が基端側に設けられていることで、万一車両等が遮断棒12に接触して遮断棒12が破損したとしても光源を含む電子部品の破損を防止することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の横断遮断装置について説明する。
なお、以下の第2実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0041】
図9及び図10に示すように、本発明に係る第2実施形態の横断遮断装置40は、各アイランド55,56,57にそれぞれ分設した横断遮断ユニット41を備えている。
横断遮断ユニット41は、回動しない支持軸42を横断規制位置A1から横断許可位置A2までの90度の範囲で回動させる回動支持部材43を備えている。
横断遮断ユニット41は、遮断棒44を備えている。遮断棒44は、側方を向く両側面に電光表示盤44aを有している。そして、電光表示盤44aは、図示しない制御部による制御により、第一の表示である横断禁止のサイン45の表示と、第二の表示である横断中のサイン46の表示とを電気的に切り替えることが可能となっている。
【0042】
図9に示すように、第1無人車線52に向けて進行している車両1がないことを検知し、第2アイランド56から第1無人車線52を横断しようとしている横断者を検知した場合の横断遮断ユニット41の動作について説明する。
この場合、回動支持部材43とともに支持軸42を横断規制位置A1から横断許可位置A2まで90度の範囲で回動し、遮断棒44に第二の表示である横断中のサイン46の表示を電気的に行う。
【0043】
次に、人感センサにより第2アイランド56から第1無人車線52を介して第1アイランド55への横断が完了したことが検知された場合について説明する。
この場合、図10に示すように、回動支持部材43とともに支持軸42を横断許可位置A2から横断規制位置A1まで90度の範囲で戻し回動し、遮断棒44に第一の表示である横断禁止のサイン45の表示を電気的に行う。
【0044】
第2実施形態の横断遮断装置40によれば、第一の表示および第二の表示を電気的に表示することができる。
【0045】
なお、本発明の横断遮断装置は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
例えば、上記各実施形態では、横断遮断装置は、人感センサの検出結果に基づいて横断規制位置A1と横断許可位置A2とに遮断棒12を回動させるものとしたが、これに限らず、手動による操作としても良い。また、上記実施形態では、横断遮断装置は料金所50のアイランドに設置されることを例に挙げたが、これ限らず、車線と隣接するエリアから車線への横断を規制する必要がある場所であれば、様々な場所に適用可能である。また、上記各実施形態では、横断遮断装置は、車線両側の一対の横断遮断ユニットとして構成されるものとしたが、これに限ることはなく、車線の一方側に隣接されたエリアのみに設けられた構成としても良い。
【符号の説明】
【0046】
10,40 横断遮断装置
12,44 遮断棒
13 駆動部
14 表示手段
30 回転機構
50 料金所
51 有人車線(車線)
52 第1無人車線(車線)
53 第2無人車線(車線)
55 第1アイランド(エリア)
56 第2アイランド(エリア)
57 第3アイランド(エリア)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10