(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
幅方向に伸びる幅方向空気室が長手方向に並設されており、幅方向の少なくとも一方の端部側から前記幅方向空気室に空気を供給する給気口を有する素材シートを搬送しながら、該素材シートの前記幅方向空気室に空気を供給し、前記幅方向空気室を分割するようにシールし、複数の独立気泡を形成する気泡緩衝材の製造方法であって、
前記幅方向空気室に空気を供給した後、前記幅方向空気室を封止する封止工程と、
封止された前記幅方向空気室の上下に所定の距離だけ離れて対向配置された伸し手段により、前記幅方向空気室を全体的に同じ厚さとする伸し工程と、
全体的に同じ厚さとなった前記幅方向空気室を分割するようにシールし、前記複数の独立気泡を形成する独立気泡形成工程と
を有することを特徴とする気泡緩衝材の製造方法。
前記封止工程と前記伸し工程との間に、前記複数の独立気泡と対応するように、部分的にシールする部分的シール工程を有することを特徴とする請求項1に記載の気泡緩衝材の製造方法。
前記幅方向空気室に所定量の空気を供給するように、空気圧及び/又は封止用シール部の位置が制御されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の気泡緩衝材の製造方法。
前記幅方向空気室を分割するようにシールする分割用シール部が、長手方向シール部、斜め方向シール部、蛇行シール部、又は、ジグザクシール部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の気泡緩衝材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第一実施形態]
本実施形態の気泡緩衝材の製造方法は、幅方向に伸びる幅方向空気室が長手方向に並設されており、幅方向の少なくとも一方の端部側から幅方向空気室に空気を供給する給気口を有する素材シートを搬送しながら、該素材シートの幅方向空気室に空気を供給し、幅方向空気室を分割するようにシールし、複数の独立気泡を形成する方法としてある。また、本実施形態の気泡緩衝材は、上述した現地膨張型としてあり、素材シートから製造される。
まず、本実施形態において用いられる素材シートについて、図面を参照して説明する。
【0020】
(素材シート)
図1は、本発明の第一実施形態にかかる気泡緩衝材の製造方法に用いられる素材シートの概略平面図を示している。
図1において、素材シート10は、樹脂製であり、本実施形態では、4層構造を有するナイロン製としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、低密度ポリエチレンの層+高密度ポリエチレンの層+低密度ポリエチレンの層といった3層構造を有していてもよく、このようにすると、バリア性を向上させることができるとともに、単一素材としてリサイクルすることができる。
また、素材シート10は、筒状のシートを平らにし、帯状に形成してあり、したがって、幅方向の両端部はつながっており、両端部の間は、シートどうしが重なっている。さらに、素材シート10の幅方向の両端部に、長手方向に伸びる一対の被ガイド部14が設けられており、被ガイド部14は、後述する気泡緩衝材製造装置101において使用される。
【0021】
ここで、好ましくは、素材シート10を、二層以上の多層構造を有する樹脂製シートとし、最内層(すなわち、後述する封止用シール部15や分割用シール部16などを形成する際、接触し合う層)に、他の層(外側の層)より溶融温度又は軟化温度の低い樹脂を用いてもよい。
このようにすると、分割用シール部16を形成する際、最内層どうしが他の層より先に溶融するので、短い時間(ほぼ一瞬)で溶着でき、また、ヒータなどの加熱部を、最内層のみを溶着可能な温度とすることによって、素材シート10の他の層へのダメージを防止することができる。これにより、気泡緩衝材1の品質や生産性などを向上させることができる。
【0022】
この素材シート10は、重ねられた前記シートを溶着した溶着部111、112によって、幅方向に伸びる幅方向空気室12が長手方向に並設されており、幅方向の左側の端部側から幅方向空気室12に空気を供給する給気口13を有している。この給気口13は、左側の被ガイド部14であって、封止用シール部15となる部分に、溶着部111の一対の部分によって形成されている。また、幅方向空気室12は、ほぼ細長い矩形状としてあるので流路抵抗が小さく、後述する気泡緩衝材製造装置101によって、素材シート10が搬送されながら空気が供給される際、スムースに、かつ、短時間で空気を供給することができる。
なお、溶着部111、112の幅寸法は、特に限定されるものではないが、通常、0.数mm〜数mmである。
【0023】
(気泡緩衝材製造装置)
本実施形態の気泡緩衝材の製造方法は、気泡緩衝材製造装置101を好適に利用して実施することができる。
したがって、次に、気泡緩衝材製造装置101について、図面を参照して説明する。
なお、気泡緩衝材製造装置101は、一例であり、気泡緩衝材の製造方法に用いられる気泡緩衝材製造装置は、これに限定されるものではない。
【0024】
図2は、本発明の第一実施形態にかかる気泡緩衝材の製造方法に用いられる気泡緩衝材製造装置を説明するための要部の概略平面図を示している。
また、
図3は、
図2のA−A断面図を示している。
また、
図4は、
図2のB−B断面図を示している。
図2〜4において、気泡緩衝材製造装置101は、筐体2、巻出手段(図示せず)、ガイド手段4、カッタ5、空気供給手段6、封止用溶着手段7、第一の溶着手段83、第一の伸し手段84、第二の溶着手段85、第二の伸し手段86、分割用溶着手段8及び制御手段(図示せず)などを有している。
この気泡緩衝材製造装置101は、上述した素材シート10を搬送しながら、該素材シート10の幅方向の左側から幅方向空気室12に空気を供給し、封止用シール部15及び分割用シール部16を形成し、気泡緩衝材1を製造する(
図5、6参照)。
【0025】
(筐体)
筐体2は、ほぼ箱型としてあり、基板21、送風機64及び制御手段などが取り付けられている。
【0026】
(巻出手段)
巻出手段(図示せず)は、巻出軸、ねじ付き撮み、回転支持部材、及び、支持ローラなどを有しており、ロール状の素材シート10を巻き出す構成としてある。
なお、ロール状の素材シート10は、通常、筒状の巻芯に巻かれている。
また、素材シート10は、通常、ロール状の形態で、ユーザに供給されるが、これに限定されるものではなく、たとえば、折り畳まれた形態で、ユーザに供給されてもよい。
【0027】
(ガイド手段)
一対のガイド手段4は、それぞれガイド棒41及びガイドローラ42などを有しており、基板21の上方であって、素材シート10の搬送方向の上流側に対向して設けられている。また、一対のガイド手段4は、素材シート10の幅方向の両端部、すなわち、長手方向に伸びる一対の被ガイド部14にガイド棒41が挿入され、被ガイド部14をガイドする。
なお、一対のガイド手段4、一対のカッタ5、一対の空気供給手段6、一対の封止用溶着手段7、第一の溶着手段83、第一の伸し手段84、第二の溶着手段85、第二の伸し手段86、及び、分割用溶着手段8は、素材シート10の搬送方向の上流側から下流側に順に設けられている。
また、気泡緩衝材製造装置101は、後述する第一応用例及び第二応用例に対応できるように、すなわち、素材シート10の幅方向の両側から空気を供給できるように、一対の空気供給手段6及び一対の封止用溶着手段7を備えているが、本実施形態においては、左側だけに、空気供給手段6及び封止用溶着手段7を備える構成としてもよい。
【0028】
(カッタ)
一対のカッタ5は、小刀状の刃であり、ほぼガイドローラ42と空気供給手段6との間に設けてあり、素材シート10の幅方向の両端を切断する一対の切断手段として機能する。
【0029】
(空気供給手段)
一対の空気供給手段6は、それぞれノズル61、第一押圧手段としての第一押圧ローラ62、第二押圧手段としての第二押圧ローラ63、及び、送風機64などを有しており、カッタ5の下流側に対向して設けられている。ノズル61は、切断させた素材シート10の下側のシートと上側のシートとの間に位置し、給気口13を介して幅方向空気室12に空気を供給する。
【0030】
(封止用溶着手段)
一対の封止用溶着手段7は、幅方向空気室12に空気の供給された素材シート10を挟んだ状態で搬送する第一ベルト74及び第二ベルト79、並びに、第一ベルト74及び第二ベルト79を介して素材シート10を加熱する第一加熱手段71及び第二加熱手段76などをそれぞれ有しており、空気供給手段6の下流側に対向して設けられている。この封止用溶着手段7は、封止用シール部15を形成する。
【0031】
第一ベルト74は、モータからのトルクによって駆動し、第二ベルト79は、第一ベルト74によって従動される。
第二ベルト79は、駆動ローラ72の上方に位置する搬送ローラ77と、従動ローラ73の上方に位置する搬送ローラ78とに掛けられており、また、搬送ローラ77及び搬送ローラ78は、上部フレーム23に軸支されている。
上部フレーム23は、下部フレーム22の下流側に取り付けられた連結部材24、及び、連結部材24に突設された回動軸25を介して、回動可能に下部フレーム22と連結されている。これにより、素材シート10をセットする際、上部フレーム23を上方に回動させることができ、素材シート10を容易にセットすることができる。
【0032】
第一加熱手段71は、素材シート10の長手方向に沿って伸びる帯状のヒータ、及び、該ヒータの周囲の温度を測定する温度センサなどを有しており、下部フレーム22に固定されている。
また、第二加熱手段76は、第一加熱手段71とほぼ同様な構成としてある。
なお、気泡緩衝材製造装置101は、第一ベルト74及び第二ベルト79が、素材シート10を搬送する構成としてあるが、これに限定されるものではない。たとえば、図示してないが、第一ベルト74及び第二ベルト79の下流側に、他の搬送手段をさらに備え、該他の搬送手段によって搬送される素材シート10に、分割用溶着手段8などが分割用シール部16などを形成してもよい。また、第一ベルト74及び第二ベルト79は、通常、素材シート10を連続的に搬送するが、上記の他の搬送手段は、ダンサロールなどを有し、間欠的に素材シート10を搬送してもよく、あるいは、分割用溶着手段8として、後述する回転ローラ式の加熱手段などを用いて、連続的に搬送される素材シート10に、分割用シール部16を形成してもよい。
【0033】
(第一の溶着手段)
第一の溶着手段83は、後述する分割用溶着手段8とほぼ同様に、加熱手段及び受け台などを有しており、封止用溶着手段7の下流側に、エアシリンダなどの昇降手段(図示せず)によってそれぞれ昇降可能に設けられている。この第一の溶着手段83は、封止用シール部15が形成され、第一ベルト74及び第二ベルト79によって搬送される素材シート10に対して、後述するように部分的シール部161を形成する。
【0034】
(第一の伸し手段)
第一の伸し手段84は、後述する第二の伸し手段86とほぼ同様に、上板及び下板などを有しており、第一の溶着手段83の下流側に設けられている。この第一の伸し手段84は、上板と下板とが所定の距離だけ離れており、上板と下板との間を、幅方向空気室12が封止され部分的シール部161の形成された素材シート10が搬送される。
この際、幅方向空気室12の偏って膨らんだ部分は、上板及び下板と接触し、偏って膨らんだ部分の空気が、偏って窪んだ部分へ移動するので、幅方向空気室12は、第一の伸し手段84によって、ほぼ同じ厚さとなるように均される。
また、幅方向空気室12は、第一の溶着手段83によって、部分的シール部161が形成されているので、部分的シール部161が形成されていない場合より、第一の伸し手段84を通過した後、均された状態を維持することができる。
【0035】
(第二の溶着手段)
第二の溶着手段85は、後述する分割用溶着手段8とほぼ同様に、加熱手段及び受け台などを有しており、第一の伸し手段84の下流側に、エアシリンダなどの昇降手段(図示せず)によってそれぞれ昇降可能に設けられている。この第二の溶着手段85は、第一の伸し手段84によって、幅方向空気室12がほぼ同じ厚さとなるように均された素材シート10に対して、部分的シール部162を形成する。
【0036】
(第二の伸し手段)
第二の伸し手段86は、上板861及び下板862などを有しており、第二の溶着手段85の下流側に設けられている。この第二の伸し手段84は、上板861と下板862とが所定の距離だけ離れており、上板861と下板862との間を、第二の溶着手段85によって、部分的シール部162の形成された素材シート10が搬送される。
この際、幅方向空気室12の偏って膨らんだ部分は、上板861及び下板862と接触し、偏って膨らんだ部分の空気が、偏って窪んだ部分へ移動する。また、上板861と下板862との所定の距離は、通常、第一の伸し手段84における上板と下板との所定の距離より短く設定されており、幅方向空気室12は、第二の伸し手段86によって、さらに同じ厚さとなるように均される。
また、幅方向空気室12は、第二の溶着手段85によって、部分的シール部162が形成されているので、部分的シール部162が形成されていない場合より、第二の伸し手段86を通過した後、均された状態を維持することができる。
【0037】
なお、第二の伸し手段86は、上板861及び下板862などを有するが、上板861及び下板862は、固定されていたり、エアシリンダなどによって昇降可能に設けられたり、あるいは、付勢された状態で昇降可能に設けられたりしている。これは、上述した第一の伸し手段84においても、ほぼ同様である。
また、第二の伸し手段86は、上記の構成に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、上板861及び下板862の代わりに、一対の対抗する回転ローラを有する構成としてもよい。
また、上述した第一の伸し手段84においても、ほぼ同様に、一対の対抗する回転ローラを有する構成としてもよい。
【0038】
(分割用溶着手段)
分割用溶着手段8は、加熱手段81及び受け台82などを有しており、搬送ローラ77及び駆動ローラ72とほぼ対応する位置に、エアシリンダなどの昇降手段(図示せず)によってそれぞれ昇降可能に設けられている。この分割用溶着手段8は、第二の伸し手段86によって、幅方向空気室12がほぼ同じ厚さとなるように均された素材シート10に対して、分割用シール部16を形成する。すなわち、素材シート10は、全体的にほぼ同じ厚さとなった幅方向空気室12を分割するようにシールされ、複数の独立気泡17が形成され、気泡緩衝材1となる。
【0039】
加熱手段81は、所定のピッチで素材シート10の幅方向に配設された複数の矩形棒状のヒータ811(
図7参照)、断熱性に優れた材料からなり、ヒータ811の側面を覆うカバー812、及び、ヒータ811の周囲の温度を測定する温度センサなどを有しており、ヒータ811及びカバー812は、それぞれエアシリンダなどの昇降手段によって、後述するように昇降する。また、カバー812及び受け台82には、独立気泡17との干渉を避けるために、それぞれ溝813及び溝821が形成されている。
また、分割用溶着手段8は、通常、素材シート10に付されたマークや、膨らんだ幅方向空気室12などを検出するセンサ(図示せず)を有しており、このセンサの検出信号にもとづいて、搬送される素材シート10に対して、分割用シール部16を形成する位置決めを行っている。
【0040】
なお、分割用溶着手段8は、上記の構成に限定されるものではない。たとえば、図示してないが、加熱手段81の代わりに、外周面に、各独立気泡17に対応する溝が形成され、各分割用シール部16に対応するヒータを有する回転ローラ式の加熱手段を有し、受け台82の代わりに、外周面に、各独立気泡17に対応する溝が形成された回転ローラ式の受け部を有する構成としてもよい。このようにすると、連続的に搬送される素材シート10に対して、分割用シール部16を形成することができる。
また、上述した第一の溶着手段83においても、ほぼ同様に、各部分的シール部161に対応するヒータを有する回転ローラ式の加熱手段及び回転ローラ式の受け部を有する構成としてもよい。
また、上述した第二の溶着手段85においても、ほぼ同様に、各部分的シール部162に対応するヒータを有する回転ローラ式の加熱手段及び回転ローラ式の受け部を有する構成としてもよい。
【0041】
(気泡緩衝材の製造方法)
次に、上記構成の気泡緩衝材製造装置101の動作、及び、本実施形態の気泡緩衝材の製造方法などについて、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の第一実施形態にかかる気泡緩衝材の製造方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
また、
図6は、本発明の第一実施形態にかかる気泡緩衝材の製造方法を説明するための素材シート及び気泡緩衝材の概略平面図を示している。
図5、6において、本実施形態の気泡緩衝材1の製造方法は、上述した気泡緩衝材製造装置101を用いて、素材シート10を搬送しながら、該素材シート10の幅方向空気室12に空気を供給し、幅方向空気室12を分割するようにシールし、複数の独立気泡17を形成する方法としてある。
【0042】
まず、気泡緩衝材製造装置101は、停止状態であり、ユーザによって、ロール状の素材シート10が、巻出手段(図示せず)に取り付けられる。
次に、素材シート10は、ユーザによって、搬送方向の端部が搬送方向側に巻き出され、一対のローラ20に掛けられる。続いて、各被ガイド部14がガイド棒41に挿入され、素材シート10は、ユーザによって搬送方向に移動する。
続いて、素材シート10は、ガイドローラ42、カッタ5、空気供給手段6、封止用溶着手段7、第一の溶着手段83、第一の伸し手段84、第二の溶着手段85、第二の伸し手段86、及び、分割用溶着手段8を通るまで、ユーザに引っ張られる。ここで、カッタ5は、被ガイド部14を切断し、切断された被ガイド部14は、第一押圧ローラ62及び第二押圧ローラ63に円滑に挟持される。さらに、封止用溶着手段7は、上部フレーム23が上方に回動され開かれた状態にあり、
第一の溶着手段83、第二の溶着手段85及び分割用溶着手段8は、加熱手段と受け台とが開いた状態にあり、第一の伸し手段84及び第二の伸し手段86は、上板と下板とが開いた状態にあるので、素材シート10は、容易に、かつ、第一ベルト74に沿った状態で引っ張られる。
そして、ユーザは、上部フレーム23を下方に回動し閉じた状態とする。これにより、素材シート10は、気泡緩衝材製造装置101にセットされる。
【0043】
次に、ユーザは、気泡緩衝材製造装置101の作動スイッチ(図示せず)をオンとする。
なお、気泡緩衝材製造装置101は、予め、モータの回転速度や、第一加熱手段71及び第二加熱手段76のヒータ、並びに、第一の溶着手段83、第二の溶着手段85及び分割用溶着手段8のヒータの加熱温度が設定されており、通常、作動スイッチ(図示せず)がオンされると、温度制御装置が各ヒータを加熱するように制御し、設定温度に到達すると、送風機64及びモータを作動させ、運転状態となる。
【0044】
図5において、本実施形態の気泡緩衝材の製造方法は、まず、素材シート10を、幅方向の両端部をガイドした状態で搬送する(ステップS1)。
すなわち、運転状態の気泡緩衝材製造装置101は、第一ベルト74及び第二ベルト79が、素材シート10の幅方向の端部を挟んだ状態で、素材シート10を搬送し、この際、ガイド手段4が、素材シート10の幅方向の両端部(被ガイド部14)をガイドした状態で搬送する。
なお、この状態は、
図6のn(nは自然数)行における状態である。
【0045】
次に、素材シート10の幅方向の両端を切断する(ステップS2)。
すなわち、カッタ5が、ガイドローラ42によって長手方向に張られた状態の被ガイド部14を切断する。
なお、この状態は、
図6のn+1行における状態である。
【0046】
次に、素材シート10の幅方向の左側から幅方向空気室12に空気を供給する(ステップS3)。
すなわち、空気供給手段6は、第一押圧ローラ62及び第二押圧ローラ63が切断された素材シート10をノズル61に押圧し、素材シート10を移動可能に挟持した状態で、ノズル61の吐出口から空気を吐出し、素材シート10の幅方向の左側から幅方向空気室12に空気を供給する。
なお、この状態は、
図6のn+2行における状態である。
【0047】
ここで、好ましくは、幅方向空気室12に所定量の空気を供給するように、ノズル61から吐出する空気圧を制御するとよい。このようにすると、各独立気泡17が緩衝材として機能するのに十分な空気量を、幅方向空気室12に供給することができる。
なお、所定量の空気とは、独立気泡17において、通常、充填率が65%〜97%となる空気量をいう。
また、上記の空気圧の制御は、手動で行ってもよく、又は、自動制御でもよい。
【0048】
次に、封止工程として、封止用シール部15を形成することによって、空気が供給された幅方向空気室12を封止する(ステップS4)。
すなわち、封止用溶着手段7は、第一ベルト74及び第二ベルト79が、幅方向空気室12に空気の供給された素材シート10を挟んだ状態で搬送し、第一加熱手段71及び第二加熱手段76が、第一ベルト74及び第二ベルト79を介して素材シート10を加熱し、長手方向に伸びる封止用シール部15を形成することによって、給気口13がシールされる。
なお、この状態は、
図6のn+3行における状態である。
【0049】
ここで、好ましくは、幅方向空気室12に所定量の空気を供給するように、封止用シール部15の幅方向の形成位置を制御するとよい。すなわち、上述したように、ノズル61から吐出する空気圧を制御する代わりに、あるいは、空気圧の制御とともに、封止用シール部15の幅方向の形成位置を制御することによっても、各独立気泡17が緩衝材として機能するのに十分な空気量を、幅方向空気室12に供給することができる。
【0050】
次に、第一部分的シール工程として、第一の溶着手段83が部分的シール部161を形成することによって、複数の独立気泡17と対応するように、幅方向空気室12を部分的にシールする(ステップS5)。すなわち、封止工程(ステップS4)と後述する第一伸し工程(ステップS6)との間に、第一部分的シール工程(ステップS5)を有している。
本実施形態の部分的シール部161は、対向する二箇所に形成してあり、一つは、下流側の溶着部111から上流側に突き出た形状としてあり、もう一つは、上流側の溶着部111から下流側に突き出た形状としてある。また、対向する部分的シール部161どうしの間は、シールされておらず、幅方向空気室12内の空気が、幅方向に移動することができる。
なお、この状態は、
図6のn+4行における状態である。
【0051】
次に、第一伸し工程として、第一の伸し手段84が、封止され部分的シール部161の形成された幅方向空気室12を全体的にほぼ同じ厚さとする(ステップS6)。
すなわち、幅方向空気室12が伸し手段84を通過する際、幅方向空気室12の偏って膨らんだ部分は、伸し手段84の上板及び下板と接触し、偏って膨らんだ部分の空気が、偏って窪んだ部分へ移動するので、幅方向空気室12は、第一の伸し手段84によって、ほぼ同じ厚さとなるように均され、各独立気泡17となる領域に、ほぼ同じ量の空気を配分することができる。
また、幅方向空気室12は、第一の溶着手段83によって、部分的シール部161が形成されているので、部分的シール部161が形成されていない場合より、第一の伸し手段84を通過した後、均された状態を維持することができる。
なお、この状態は、
図6のn+5行における状態である。
【0052】
次に、第二部分的シール工程として、第二の溶着手段85が部分的シール部162を形成することによって、複数の独立気泡17と対応するように、幅方向空気室12を部分的にシールする(ステップS7)。
本実施形態の部分的シール部162は、対向する部分的シール部161どうしの間に形成してあり、部分的シール部161と部分的シール部162との間は、シールされておらず、幅方向空気室12内の空気が、幅方向に移動することができる。
なお、この状態は、
図6のn+6行における状態である。
【0053】
次に、第二伸し工程として、第二の伸し手段86が、封止され部分的シール部162の形成された幅方向空気室12を全体的にほぼ同じ厚さとする(ステップS8)。
すなわち、幅方向空気室12が伸し手段86を通過する際、幅方向空気室12の偏って膨らんだ部分は、伸し手段86の上板861及び下板862と接触し、偏って膨らんだ部分の空気が、偏って窪んだ部分へ移動するので、幅方向空気室12は、第二の伸し手段86によって、さらに同じ厚さとなるように均され、各独立気泡17となる領域に、さらに同じ量の空気を配分することができる。
また、幅方向空気室12は、第二の溶着手段85によって、部分的シール部162が形成されているので、部分的シール部162が形成されていない場合より、第二の伸し手段86を通過した後、均された状態を維持することができる。
なお、この状態は、
図6のn+7行における状態である。
【0054】
ここで、本実施形態では、上述したように、第一部分的シール工程(ステップS5)及び第一伸し工程(ステップS6)の後に、第二部分的シール工程(ステップS7)及び第二伸し工程(ステップS8)が、さらに繰り返される方法としてある。これにより、上述したように、幅方向空気室12は、段階的に、あるいは、徐々にシールされ、その都度、空気量を均すので、ほぼ均一な大きさの独立気泡17を形成することができ、衝撃吸収性を向上させることができる。
なお、本実施形態では、部分的シール工程と伸し工程とを二回繰り返しているが、切り返す回数は、二回に限定されるものではなく、たとえば、一回又は三回以上繰り返してもよい。
【0055】
次に、独立気泡形成工程として、分割用溶着手段8が分割用シール部16を形成することによって、全体的にほぼ同じ厚さとなった幅方向空気室12を分割するようにシールし、複数の独立気泡17を形成する(ステップS9)。
すなわち、分割用溶着手段8は、搬送される素材シート10に対応して、加熱手段81が降下し、かつ、受け台82が上昇し、加熱手段81が素材シート10を加熱し、長手方向に伸びる分割用シール部16を形成することによって、各独立気泡17に空気を密閉し、複数の独立気泡17を形成する。
このようにすると、各独立気泡17に、緩衝材として機能するのに十分な空気量であって、かつ、ほぼ同じ量の空気を配分することができ、気泡緩衝材1の衝撃吸収性を向上させることができる。
なお、分割用シール部16の形成は、短時間で(たとえば、ほぼ瞬間的に)行われるので、搬送速度にもよるが、通常、搬送される素材シート10に対して、支障なく分割用シール部16を形成することができる。
また、この状態は、
図6のn+8行における状態である。
【0056】
ここで、好ましくは、分割用シール部16を形成する際、加熱手段81の加熱部(本実施形態においては、ヒータ811)を覆う保護部材(本実施形態においては、カバー812)が素材シート10を保持した後に、ヒータ811がシールし、次に、ヒータ811が素材シート10から離れた後に、カバー812が素材シート10の保持を解除するとよい。
具体的には、
図7(a)に示すように、素材シート10が分割用シール部16を形成する位置まで搬送されるとき、加熱手段81は上昇しており、受け台82は降下しており、かつ、ヒータ811の下端は、カバー812の下端より上方に位置している。このようにすると、ヒータ811が幅方向空気室12のシートに触れ、シートに穴をあけるといった不具合を確実に防止することができる。
なお、
図7(a)において、素材シート10は、部分的シール部161及び部分的シール部162が形成されているが、これらを省略してある。
【0057】
次に、
図7(b)に示すように、素材シート10が分割用シール部16を形成する位置に達すると、加熱手段81は降下し、受け台82は上昇して、カバー812及び受け台82によって、素材シート10が保持される。この際、ヒータ811の下端は、カバー812の下端より上方に位置している。
続いて、
図7(c)に示すように、素材シート10が保持された状態で、ヒータ811が降下し、素材シート10を溶融させシールする。
【0058】
次に、
図7(d)に示すように、ヒータ811が上昇し、ヒータ811が素材シート10から離れると、溶融した部分が固化し、分割用シール部16が形成される。この際、素材シート10は、カバー812及び受け台82によって保持されているので、良好に分割用シール部16が形成され、素材シート10は、気泡緩衝材1となる。
続いて、
図7(e)に示すように、加熱手段81(すなわち、ヒータ811及びカバー812)が上昇し、受け台82が降下し、気泡緩衝材1の保持が解除され、気泡緩衝材製造装置101は、複数の独立気泡17が形成された気泡緩衝材1を搬出する。
このようにすると、素材シート10へのダメージを防止するとともに、気密性に優れた分割用シール部16を形成することができ、気泡緩衝材1の品質などを向上させることができる。
【0059】
(気泡緩衝材)
本実施形態の気泡緩衝材1は、上述した製造方法によって製造されており、幅方向に伸びる幅方向空気室12が長手方向に並設されており、幅方向の少なくとも一方の端部側(本実施形態では、左側の端部側)から幅方向空気室12に空気を供給する給気口13を有する素材シート10から製造される気泡緩衝材である。
また、気泡緩衝材1は、幅方向空気室12に空気を供給した後、幅方向空気室12を封止し、封止された幅方向空気室12を分割するようにシールすることによって、複数の独立気泡17が形成され、独立気泡17の仮想平面積が900mm
2以下である。なお、仮想平面積とは、独立気泡17から空気を抜いて、平らにすると仮想した際の面積をいう。
【0060】
本実施形態の独立気泡17は、ほぼ正方形状としてあり、n(nは、自然数である。)行に、m(mは、2以上の自然数であり、通常、数十個以上の自然数である。)個形成されており、n+1行にも、m個形成されている(
図6参照)。
また、気泡緩衝材1は、
図6に示すように、まず、給気口13を介して、幅方向に沿った幅方向空気室12に、幅方向の端部側(本実施形態では、左端部側)から空気を供給し、次に、給気口13を密封するように、長手方向に沿って封止用シール部15が形成され、続いて、分割用シール部16が封止された幅方向空気室12を分割するようにシールすることによって、複数の独立気泡17が形成される。
また、幅方向空気室12を分割するようにシールする分割用シール部16は、長手方向に沿って形成された長手方向シール部としてある。
【0061】
気泡緩衝材1は、上述したように、給気口13がシールされているので、複数の分割用シール部16を形成するとき、空気が外部にもれない。さらに、分割用シール部16を形成する前に、上述したように、第一部分的シール工程(ステップS5)、第一伸し工程(ステップS6)、第二部分的シール工程(ステップS7)及び第二伸し工程(ステップS8)が行われる。したがって、気泡緩衝材1は、各独立気泡17に、緩衝材として機能するのに十分な空気量であって、かつ、ほぼ同じ量の空気を配分されるので、衝撃吸収性を向上させることができる。
【0062】
また、独立気泡17の仮想平面積は、900mm
2以下である。ここで、より好ましくは、400mm
2以下であり、さらに好ましくは、100mm
2以下である。
このようにすると、気泡緩衝材1を用いて、被包装体(図示せず)の形状に沿って、該被包装体を容易に包むことができ、気泡緩衝材1は、緩衝材と差別化され、商品としての付加価値を向上させることができる。
なお、独立気泡17の仮想平面積が900mm
2より広いと、被包装体の形状に沿って、該被包装体を容易に包むことができにくくなるからである。
【0063】
また、気泡緩衝材1は、市販の気泡シートと比べると省資源化を図ることができる。
すなわち、
図8(a)に示すように、市販されている気泡シート201は、キャップシート202が真空成形されるので、通常、キャップシート202の頂面の周縁部の厚さt
CSは、キャップシート202のうちバックシート203と融着する部位の厚さt
CSXの約1/3となる(t
CS=t
CSX/3)。また、空気室204を形成するキャップシート202とバックシート203との機械的強度を同じにするために、バックシート203の厚さtを、キャップシート202の頂面の周縁部の厚さt
CSと同じにしてある(t=t
CS)。したがって、気泡シート201は、各シートの合計厚さT´が、T´=t+t
CSX=t+3t=4tとなる。
これに対し、気泡緩衝材1は、
図8(b)に示すように、真空成形することなく、独立気泡17を形成するので、各シートの合計厚さTは、T=t+t=2tとなり、上記のT´と比べると、樹脂の使用量を約1/2に削減でき、省資源化を図ることができる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態の気泡緩衝材1の製造方法及び気泡緩衝材1によれば、多数の独立気泡を有する市販の気泡シートのように、被包装体の形状に沿って、該被包装体を包むことができ、かつ、衝撃吸収性、品質、生産性及び省資源化などを向上させることができる。
なお、本実施形態の製造方法は、独立気泡17の仮想平面積が900mm
2の気泡緩衝材にも適用することができ、衝撃吸収性などを向上させることができる。
また、気泡緩衝材1の幅方向の長さは、特に限定されるものではなく、たとえば、約1mとしてもよい。
【0065】
[気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第二実施形態]
図9は、本発明の第二実施形態にかかる気泡緩衝材の製造方法を説明するための概略フローチャート図を示している。
また、
図10は、本発明の第二実施形態にかかる気泡緩衝材の製造方法を説明するための素材シート及び気泡緩衝材の概略平面図を示している。
図9、10において、本実施形態の気泡緩衝材の製造方法は、上述した第一実施形態と比べると、第一部分的シール工程(ステップS5)、第一伸し工程(ステップS6)、第二部分的シール工程(ステップS7)、第二伸し工程(ステップS8)及び独立気泡形成工程(ステップS9)の代わりに、伸し工程(ステップS6a)及び独立気泡形成工程(ステップS9a)を有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の方法は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、
図9、10において、
図5、6と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
また、本実施形態の素材シート10は、第一実施形態のものと同様としてある。
【0066】
上述した封止工程(ステップS4)の後に、伸し工程として、伸し手段が、封止された幅方向空気室12を全体的にほぼ同じ厚さとする(ステップS6a)。なお、この伸し手段は、上述した第一の伸し手段84や第二の伸し手段86とほぼ同様な構成としてある。
すなわち、幅方向空気室12が伸し手段を通過する際、幅方向空気室12の偏って膨らんだ部分は、伸し手段の上板及び下板と接触し、偏って膨らんだ部分の空気が、偏って窪んだ部分へ移動するので、幅方向空気室12は、伸し手段によって、ほぼ同じ厚さとなるように均され、各独立気泡17となる領域に、ほぼ同じ量の空気を配分することができる。
なお、この状態は、
図10のn+4行における状態である。
【0067】
次に、独立気泡形成工程として、分割用溶着手段8が分割用シール部16を形成することによって、全体的にほぼ同じ厚さとなった幅方向空気室12を分割するようにシールし、複数の独立気泡17を形成する(ステップS9a)。
すなわち、分割用溶着手段8は、搬送される素材シート10に対応して、加熱手段81が降下し、かつ、受け台82が上昇し、加熱手段81が素材シート10を加熱し、長手方向に伸びる分割用シール部16を形成することによって、各独立気泡17に空気を密閉し、複数の独立気泡17を形成する。
このようにしても、各独立気泡17に、緩衝材として機能するのに十分な空気量であって、かつ、ほぼ同じ量の空気を配分することができ、気泡緩衝材1の衝撃吸収性を向上させることができる。
また、この状態は、
図10のn+5行における状態である。
【0068】
(気泡緩衝材)
本実施形態の気泡緩衝材1´は、上述した製造方法によって製造されており、第一実施形態のものとほぼ同様な構成としてある。
なお、本実施形態の気泡緩衝材1´は、第一実施形態のものと比べると、第一部分的シール工程(ステップS5)、第一伸し工程(ステップS6)、第二部分的シール工程(ステップS7)及び第二伸し工程(ステップS8)を経ていないので、各独立気泡17に配分された空気量のばらつきが若干大きくなるものの、伸し工程(ステップS6a)を経ているので、緩衝材として十分機能することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、工程数が削減されるので、気泡緩衝材製造装置(図示せず)の構造を単純化することができ、小型化及び製造原価のコストダウンを図ることができる。
また、第一及び第二実施形態は、様々な応用例を有している。
次に、これら実施形態の応用例について、図面を参照して説明する。
【0070】
<気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第一応用例>
図11は、本発明の第一〜第二応用例にかかる気泡緩衝材の製造方法に用いられる素材シートの概略平面図を示している。
図11(a)において、第一応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、上述した第一実施形態と比べると、幅方向の両端部側から空気を供給する素材シート10xが用いられる点などが相違する。なお、本応用例の他の方法や構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
【0071】
本応用例において用いられる素材シート10xは、上述した素材シート10と比べると、n行に、左端部側から空気が供給される幅方向空気室12が形成されており、さらに、右端部側から空気が供給される幅方向空気室12が形成されており、左側の幅方向空気室12と右側の幅方向空気室12とは、溶着部112によって仕切られた構成としてある。
このようにすると、素材シート10xは、左側に位置する幅方向空気室12が、左側の給気口13から空気を供給され、右側に位置する幅方向空気室12が、右側の給気口13から空気を供給されるので、生産速度を速くすることができ、生産性を向上させることができる。
【0072】
また、一方の端部側のみから空気を供給し、かつ、生産速度を維持しようとすると、n行に形成可能な独立気泡17の数量が、例えば、m個に制限される場合があるが、このような場合であっても、本応用例によれば、n行に合計2m個の独立気泡17を形成することができる。したがって、幅方向により多くの独立気泡17を有する、あるいは、幅の広い気泡緩衝材を提供することができ、商品としての付加価値を向上させることができる。
なお、左側に位置する幅方向空気室12及び右側に位置する幅方向空気室12は、ほぼ細長い矩形状としてあるので流路抵抗が小さく、上述した気泡緩衝材製造装置101によって、素材シート10xが搬送されながら空気が供給される際、スムースに、かつ、短時間で空気を供給することができる。
【0073】
このように、本応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、生産性や商品としての付加価値(幅寸法を大きくすることができるといった付加価値)などを向上させることができる。
なお、本応用例及び後述する各応用例は、第一実施形態に対する応用例としてあるが、第二実施形態に対する応用例としてもよい。
【0074】
<気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第二応用例>
図11(b)において、第二応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、上述した第一応用例と比べると、溶着部112が形成されていない素材シート10yが用いられる点などが相違する。なお、本応用例の他の方法や構成は、第一応用例とほぼ同様としてある。
【0075】
本応用例において用いられる素材シート10yは、上述した素材シート10xと比べると、n行に、左端部側から空気が供給される幅方向空気室12が形成されており、さらに、この幅方向空気室12は、右端部側からも空気が供給される構成としてあり、左側の幅方向空気室12と右側の幅方向空気室12とは、溶着部112によって仕切られていない構成としてある。
このようにすると、素材シート10yは、幅方向空気室12が、左側の給気口13及び右側の給気口13から空気を供給されるので、生産速度を速くすることができ、生産性を向上させることができる。
【0076】
また、一方の端部側のみから空気を供給し、かつ、生産速度を維持しようとすると、n行に形成可能な独立気泡17の数量が、例えば、m個に制限される場合があるが、このような場合であっても、本応用例によれば、n行に合計2m個の独立気泡17を形成することができる。したがって、幅方向により多くの独立気泡17を有する、あるいは、幅の広い気泡緩衝材を提供することができ、商品としての付加価値を向上させることができる。
【0077】
このように、本応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、第一応用例とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0078】
<気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第三応用例>
図12は、本発明の第三〜第四応用例にかかる気泡緩衝材の製造方法を説明するための気泡緩衝材の概略平面図を示している。
図12(a)において、第三応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、上述した第一実施形態と比べると、幅方向空気室12を分割するようにシールする分割用シール部16aが、斜め方向シール部である点などが相違する。なお、本応用例の他の方法及び構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、
図12(a)において、
図6と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0079】
本応用例の分割用シール部16aは、長手方向に対して約45°斜め方向に沿って形成してあり、気泡緩衝材1aは、ほぼ平行四辺形状の独立気泡17aを有する。
このようにすると、気泡緩衝材1aは、長手方向に沿って折り曲げて使用される場合、被包装体の角部が、必ず独立気泡17aに当たるので、すなわち、被包装体の角部が、気泡緩衝材1の分割用シール部16と接触し、角部に対して独立気泡17が有効に作用しないといった不具合を回避できるので、緩衝材としての性能を向上させることができる。
【0080】
このように、本応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、緩衝材としての性能を向上させることができる。
【0081】
<気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第四応用例>
図12(b)において、第四応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、上述した第一実施形態と比べると、幅方向空気室12を分割するようにシールする分割用シール部16bが、蛇行シール部である点などが相違する。なお、本応用例の他の方法及び構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、
図12(b)において、
図6と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0082】
本応用例の分割用シール部16bは、蛇行する形状に形成してあり、気泡緩衝材1bは、ほぼ蛇行する形状の独立気泡17bを有する。
このようにすると、気泡緩衝材1bは、長手方向に沿って折り曲げて使用される場合、被包装体の角部が、必ず独立気泡17bに当たるので、緩衝材としての性能を向上させることができる。
【0083】
このように、本応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、緩衝材としての性能を向上させることができる。
【0084】
<気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第五応用例>
図13は、本発明の第五〜第六応用例にかかる気泡緩衝材の製造方法を説明するための気泡緩衝材の概略平面図を示している。
図13(a)において、第五応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、上述した第一実施形態と比べると、幅方向空気室12を分割するようにシールする分割用シール部16cが、ジグザクシール部である点などが相違する。なお、本応用例の他の方法及び構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、
図13(a)において、
図6と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0085】
本応用例の分割用シール部16cは、ジグザグ形状に形成してあり、気泡緩衝材1cは、ほぼ正三角形状の独立気泡17cを有する。
このようにすると、気泡緩衝材1cは、長手方向に沿って折り曲げて使用される場合、被包装体の角部が、必ず独立気泡17cに当たるので、緩衝材としての性能を向上させることができる。
【0086】
このように、本応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、緩衝材としての性能を向上させることができる。
【0087】
<気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第六応用例>
図13(b)において、第六応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、上述した第一実施形態と比べると、複数の独立気泡17dがハニカム構造である点などが相違する。なお、本応用例の他の方法及び構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、
図13(b)において、
図6と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0088】
本応用例の素材シート(図示せず)は、約120°の角度で折れ曲がったジグザグ形状の溶着部111d、111d´が、対向するように幅方向に沿って形成してある。
なお、溶着部111d、111d´及び溶着部112によって形成される幅方向空気室(図示せず)は、上述した幅方向空気室12と比べると、空気を供給する際の流路抵抗が大きくなるが、許容できる範囲である。
【0089】
本応用例の分割用シール部16dは、長手方向に沿って形成してあり、気泡緩衝材1dは、ハニカム構造となる独立気泡17dを有する。なお、ハニカム構造とは、正六角形を隙間なく並べた構造をいう。
このようにすると、気泡緩衝材1dは、長手方向や幅方向などに沿って折り曲げて使用される場合、被包装体の角部が、必ず独立気泡17dに当たるので、緩衝材としての性能を向上させることができる。
また、複数の独立気泡17dがハニカム構造であることによって、気泡緩衝材1dの機械的強度を向上させることができる。
【0090】
このように、本応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、緩衝材としての性能及び機械的強度を向上させることができる。
【0091】
<気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材の第七応用例>
図14は、本発明の第七応用例にかかる気泡緩衝材の製造方法を説明するための素材シート及び気泡緩衝材の概略拡大断面図を示している。
図14において、第七応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、上述した第一実施形態と比べると、幅方向空気室12(
図1参照)が並設された素材シート10eが、一方のシート18及び他方のシート19を有し、一方のシート18が他方のシート19より弛んでいる点などが相違する。なお、本応用例の他の方法及び構成は、第一実施形態とほぼ同様としてある。
したがって、
図14において、
図6と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0092】
図14(a)は、空気が供給される前の、すなわち、搬送工程(ステップS1)又は切断工程(ステップS2)における素材シート10eの概略拡大断面図であり、一方のシート18の弛んだ部分は、たとえば、折り重なった状態やしわになった状態である。
なお、切断工程(ステップS2)を経た素材シート10eに対して、上述したように、空気供給工程(ステップS3)、封止工程(ステップS4)、第一部分的シール工程(ステップS5)、第一伸し工程(ステップS6)、第二部分的シール工程(ステップS7)、第二伸し工程(ステップS8)が行われる(
図5参照)。
【0093】
図14(b)は、独立気泡形成工程(ステップS9)における気泡緩衝材1eの概略拡大断面図であり、独立気泡17eのほぼ中央部を示してある。気泡緩衝材1eは、他方のシート19がほぼ平面であり、独立気泡17eは、弛んだ部分によって、上方に向かって厚く、かつ、上方に向かって突き出るように形成されている。このようにすると、独立気泡17eは、
図8(a)に示す気泡シート201の空気室204に似た形状となり、溶着部111の上方縁部などにおける緩衝吸収性を向上させることができ、緩衝材としての性能を向上させることができる。
【0094】
図14(c)は、独立気泡形成工程(ステップS9)における気泡緩衝材1eの概略拡大断面図であり、分割用シール部16を示してある。気泡緩衝材1eは、部分的シール部161、部分的シール部162及び分割用シール部16を形成する際、他方のシート19が張られた状態としてあるので、他方のシート19をほぼ平面とすることができる。
なお、
図14(c)において、部分的シール部161、部分的シール部162及び分割用シール部16を破線で示してある。
【0095】
このように、本応用例の気泡緩衝材の製造方法及び気泡緩衝材は、第一実施形態とほぼ同様の効果を奏するとともに、溶着部111の上方縁部などにおける緩衝吸収性を向上させることができ、緩衝材としての性能を向上させることができる。
なお、本応用例は、上述した第二実施形態や各応用例にも適用することができる。
【0096】
以上、本発明の
気泡緩衝材の製造方法について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係る
気泡緩衝材の製造方法は、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、図示してないが、各気泡緩衝材に、幅方向に伸びる幅方向ミシン目を形成してもよく、このようにすると、ユーザが、容易に切り離すことができ、使い勝手などを向上させることができる。
さらに、各気泡緩衝材は、通常、空気室に空気が供給されるが、これに限定されるものではなく、たとえば、窒素などを供給してもよい。