(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991721
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】周辺シールが可能な光組立体用パッケージ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20060101AFI20160901BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20160901BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20160901BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20160901BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
H01S5/022
G02B6/42
H01L31/02 B
H01L31/02 C
G02F1/01 F
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-511374(P2014-511374)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-517521(P2014-517521A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012034217
(87)【国際公開番号】WO2012161896
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年3月12日
(31)【優先権主張番号】13/112,478
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ボーウェン、テリー、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】パーコ、リチャード、ジェイ
【審査官】
佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−335744(JP,A)
【文献】
特開2000−082830(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0105627(US,A1)
【文献】
特開2007−065234(JP,A)
【文献】
特開平08−122595(JP,A)
【文献】
O. Stier,et.al.,Transmitter Component for 10.5Gbps at 1310nm with Receptacle and 50 Ohm Flexboard,2004 Electronic Components and Technology Conference,2004年 6月,Vol.1,pp.1036-1041
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
G02B 6/26
6/30−6/34
6/42
H05K 1/00−1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境から光パッケージまでの光電部品(4)の周辺シールを可能にする前記光パッケージであって、
開放後端を有するエンクロージャ部材(36)と、可撓性回路組立体を有する後端シール部材(60)とを具備し、
前記光電部品は前記エンクロージャ部材内に配置され、前記開放後端は前記後端シール部材でシールされることにより、前記開放後端の周辺をシールし、
前記可撓性回路組立体は、前記光電部品及び前記外部環境間を電気接続し、
前記可撓性回路組立体は、導電経路が形成された可撓性多層回路を具備し、
前記可撓性多層回路は、屈曲した状態で前記光電部品に電気接続された舌片部(64)と、前記外部環境から前記光パッケージまで前記導電経路に電気接続する電源/信号端(65)とを有することを特徴とする光パッケージ。
【請求項2】
前記エンクロージャ部材は開放前端をさらに具備し、
前記光パッケージは、フランジ組立体(30)と、前端シール部材(38)とをさらに具備し、
前記前端シール部材は前記フランジ組立体及び前記エンクロージャ部材に結合され、これにより前記開放前端の周辺をシールすることを特徴とする請求項1記載の光パッケージ。
【請求項3】
前記フランジ組立体は、フェルール(11)が通過すると共に所定の外径を有する筒状部(34)を具備し、
前記エンクロージャ部材は、前記外径より大きな内径を有する摺動管を具備し、
前記摺動管は、前記筒状部上を摺動可能に嵌まることを特徴とする請求項2記載の光パッケージ。
【請求項4】
前記前端シール部材は押圧リングを具備し、
前記押圧リングは、前記摺動管の前記内径とほぼ等しい内径と、前記摺動管の内部にぴったりと押圧されることができる寸法の外径とを有することを特徴とする請求項3記載の光パッケージ。
【請求項5】
前記押圧リングは、前記摺動管への挿入を容易にする面取りされた縁を有することを特徴とする請求項4記載の光パッケージ。
【請求項6】
前記可撓性多層回路は、
第1可撓性絶縁材料層と、
前記第1可撓性絶縁材料層上に形成された第1接着剤層と、
前記第1接着剤層上に形成された銅製接地層と、
前記銅製接地層上に形成された第2可撓性絶縁材料層と、
前記第2可撓性絶縁材料層上に形成された第2接着剤層と、
前記第2接着剤層上に形成された1対の銅製信号トレースと、
前記1対の銅製信号トレース上に形成された第3可撓性絶縁材料層と
を具備することを特徴とする請求項4記載の光パッケージ。
【請求項7】
前記可撓性絶縁材料は高温ポリイミド膜を具備することを特徴とする請求項6記載の光パッケージ。
【請求項8】
前記可撓性絶縁材料は、液状感光性絶縁体、液晶ポリマ及びカプトン(登録商標)のいずれかを具備することを特徴とする請求項6記載の光パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は総括的には光組立体に関し、特に、周辺シールが可能な光組立体用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
高い信頼性及び光伝送システムが利用可能な大きな帯域幅であるため、(音声データを含む)デジタルデータ伝送用の媒体としての光ファイバの使用が実用化されてきた。これらのシステムに重要なのは、光信号の送受信用、及び信号の多重化、逆多重化用の、一般的には光電(OE)部品と称されることが多い光組立体である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多くの用途において、OE部品デバイスは、水、高温、極端な低温、高い標高等の過酷な環境にさらされる。このような過酷な環境における信頼性の高い作業については、気密エンクロージャ内でOE部品が製造されるのが代表的であり、従来技術を用いた場合はコスト高となる。さらに、このような多くのデバイスは、外部気密エンクロージャから気密エンクロージャ内の部品へ電気接続する能力が要求される。従来技術のデバイスにおいて、気密の電気フィードスルーアプローチは、絶縁パネルの開口を貫通する金属電気導体ピンに対するガラス又は半田のシールを有する高価なセラミック製又はガラス製の絶縁材料パネルを用いるのが代表的である。これらのアプローチは高価であり、導体の貫通配置は、パッケージ内の能動素子及びパッケージの外側の進行中の回路相互接続の双方に対してインピーダンスマッチングするよう注意深く設計されねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、光結合用にシールされた光コネクタ化のアプローチと組み合わせた高速可撓性基板電子インタフェースを提供する。光パッケージは、外部環境から光パッケージまでの光電部品の周辺シールを可能にする。光パッケージは、開放後端を有するエンクロージャ部材と、可撓性回路を有する後端シール部材とを具備する。光電部品はエンクロージャ部材内に配置され、開放後端は後端シール部材でシールされることにより、開放後端の周辺をシールする。可撓性回路は、光電部品及び外部環境間を電気接続する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】正規位置ベンチアプローチを用いた従来技術の光組立体を軸方向から見た図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るフランジ組立体に結合された一態様の光ベンチを示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る一態様の摺動管を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る押圧リング及び摺動管を示す図である。
【
図6】本発明に係る周辺がシールされたパッケージを形成するための一実施形態の工程及び構造を示す部分断面図である。
【
図7】本発明に係る周辺がシールされたパッケージを形成するための一実施形態の工程及び構造を示す部分断面図である。
【
図8】本発明に係る周辺がシールされたパッケージを形成するための一実施形態の工程及び構造を示す部分断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る可撓性多層基板を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る第1マスキング/エッチング工程を示し、(A)
図9の可撓性多層基板の1対部の底面図、(B)
図9のA−A線に沿った同じ1対部の側断面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る第2マスキング/エッチング工程を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る切断工程を示す図である。
【
図13】
図12(A)のX−X線に沿って90°回転した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付図面を参照して、本発明を例示により説明する。
【0007】
本発明は、任意の種類のデバイス用の周辺がシールされたパッケージを提供するために用いることができる。本明細書に開示された一実施形態は、光部品用の気密シールを提供すること、より具体的には、米国特許第7511258号明細書(258特許)に記載された技法及び部材を用いて構成された光ベンチ用の気密シールを提供することに関する。本発明は、258特許の光ベンチ用の周辺がシールされたパッケージの形成に限定されない。そして、本発明は、任意の種類のデバイスの周辺をシールすることを含むよう構成されるべきである。しかし、本発明の一実施形態の説明をより容易にするために、258特許の或る態様が以下に説明される。従来技術のより詳細な説明は258特許に記載されるので、本発明を理解するために本明細書に含まれる必要はない。
【0008】
258特許において、V溝内に実装された部品のうちで光軸に沿って受動整列を確保するV溝を有するプラットフォームを用いて、光実装プラットフォームすなわち光「ベンチ」が説明される。258特許は、レーザ/光検出器組立体等の基板型光部品(すなわち、非円形断面)を整列させるためにV溝の使用を説明し、V溝に実装された他の光部品の光軸と光軸が同軸であるように、V溝内で信頼性高く実装することを可能にするために基板型光部品上の側面構造を提供する。
【0009】
図1及び
図2を参照すると、258特許の従来技術の光ベンチ1の全体構成が説明される。それぞれ軸方向から見た図及び平面図である
図1及び
図2には、正規位置ベンチ(TPB)アプローチを用いた光組立体すなわち「光ベンチ」が示される。光ベンチ1は、保持用のプラットフォーム2、本例では光学的に整列された第1光部品4及び第2光部品11を具備する。
【0010】
プラットフォームは、所定ピッチαの壁3a,3bを有するV溝3を画定する。第1光部品4はV溝3内に配置される。第1光部品4は、第1光軸10a、基準面15及び2側面6a,6bを有する。各側面は、基準面15から外方へ所定ピッチαで面取りされる。第1光部品4は、基準面15がプラットフォーム2の上面14に対して下方を向くように且つ第1光部品4の側面6a,6bがV溝3の壁3a,3bと平行な接触状態になるように、V溝3内に配置される。第2光部品11もV溝3内に配置される。第2光部品は、第2光軸10bと、少なくとも2個の接点13a,13bを有する外周面13とを有する。第2光部品11は、接点13a,13bがV溝3の壁3a,3bに接触し且つ第2光軸10bが第1光軸10aと同軸になるように、V溝内に配置される。
【0011】
プラットフォーム2は、光組立体のための主な基礎として機能を果たす。第1光部品4は、(例えばファイバ及びフェルール等の)円形断面を有していないが、代わりに1個以上の光素子が取り付けられるほぼ平坦な基板を有する光部品と称される「基板型」光部品である。基板型光部品の例には、送信器/受信器電気インタフェース用の関連するレーザドライバ/トランスインピーダンス増幅器回路と共に光電気変換デバイスを有する能動型レーザ/光検出器サブ組立体や、変調器、スイッチ及び光子集積回路(PIC)を有する他の能動デバイスや、結合器、スプリッタ、波長分割多重(WDM)/逆多重デバイス等の他の受動デバイスが挙げられる。これらの能動型素子、能動型及び受動型素子の組み合わせは、電気接続(電力、信号等)を要するのが代表的である。周辺がシールされるパッケージを形成する際に、電気接続の問題は重要になる。というのは、接続自体及び光路における露出した光表面は、水分及び他の環境条件から隔離されねばならず、パッケージ内部からパッケージの外部までの電気接続経路は、外部の環境条件から内部の素子を保護できねばならないからである。
【0012】
図3ないし
図13を参照して、本発明の一実施形態を説明する。本明細書の図面は、縮尺が一定ではなく、多くの場合、本発明がよりよく理解できるように寸法が誇張されている。
【0013】
図3を参照すると、上述したような光ベンチ1は、フランジ組立体30に結合される。フランジ組立体30は、好適な一実施形態において、ステンレス鋼等の金属材料製であり、ファイバ(図示せず)を収容するセラミックフェルール11が周知の方法で挿入された、縦軸に沿った開口を有する。本例において、光ベンチ1は、シリコンウエハ等の光素子4が包囲される容器の外部に電気接続を要する光素子4を有する。
【0014】
フランジ組立体30は、セラミックフェルール11がフランジ組立体30を通過しなければならないという明確な理由のためにセラミックフェルール11の直径より大きな所定の直径を有する筒状部34を具備する。
図4を参照すると、エンクロージャ部材は、筒状部34の外径より大きな内径を有して製作された摺動管36を具備する。この結果、エンクロージャ部材は、フランジ組立体30の筒状部34上を摺動可能であるがしかしぴったりと嵌る。例えば、筒状部34は3.65mmの外径を有し、摺動管36は3.9mmの内径を有する。以下により詳細に説明されるように、摺動管36及びフランジ組立体30は、前端シール部材(
図4に不図示)と協働して光ベンチ1の気密シールを可能にする。摺動管36は、図示されるように開放前端及び開放後端を有する。
【0015】
図5は、押圧リング38を具備する前端シール部材を示す。押圧リング38は、摺動管36及び押圧リング38の双方がフランジ組立体30の筒状部34に挿入される際に、筒状部34上に摺動可能に且つ摺動管36内にぴったりと嵌るよう設計される。好適な一実施形態において、
図5及びその後の
図6ないし
図8に見られるように、摺動管36及び押圧リング38の嵌合端は、摺動管36への押圧リング38のきつい挿入を容易にするために対応する面取りされた表面を有する。上述した摺動管及び押圧リングの組合せは、詳細に後述するようにパッケージの筒状部(前端)に気密シールを形成するのに役立つ。摺動管36はまたフランジ部37を有し、その目的は以下に詳細に説明される。
【0016】
パッケージの後端について、気密シール可能な後端シール部材が、
図6ないし
図13に関連して説明されるように構成された後端組立体60を具備する。
図6ないし
図8は、本発明の一実施形態に係る、周辺がシールされたパッケージを形成するために起こった順の工程及び構造を示す部分断面図である。
図6を参照すると、気密シール可能な後端組立体60は、可撓性多層基板62で始まって製作される。可撓性多層回路の製作は一般的に、可撓性多層基板が用いられる特定用途に適するLPI(液状感光性絶縁体)やLCP(液晶ポリマ)やカプトン(登録商標)等の可撓性絶縁材料間に多層の銅を挟むことを含む。(本実施形態に係る具体的な可撓性多層回路62の製作の詳細は、
図9ないし
図13を参照して以下に提供される。)
【0017】
図6に見られるように、最初に押圧リング38が、次に摺動管36が、図示されるようにフランジ組立体30の筒状部34に挿入される。明白であろうように、押圧リング38の面取り部は、摺動管36の面取り部と対面するように配置される。気密シール可能な後端組立体60は、摺動管36のフランジ部37に対して非結合状態で図示される。摺動管36はフランジ組立体30の筒状部34の長さ方向に往復動することができるので、信号搬送層63の舌片部64は光素子4に容易に電気接続されるのに対し、摺動管36は
図6に示されるように外れて押される。舌片部64を光素子4に接続(例えば、チップオンフレックス熱圧着又は半田バンプ結合)するための公知技術も使用可能である。
【0018】
図7を参照すると、舌片部64が光素子4に一旦電気接続されると、摺動管36のフランジ37が図示されるように気密シール可能な後端組立体60の層66に当接するまで、摺動管36が気密シール可能な後端組立体60に向かって押圧される。以下の
図9ないし
図12の詳細な説明を読めばより明白であるように、フランジ部37は、接地層に当接するように層66に「嵌め込まれ」、デバイス用の接地を提供する。摺動管36のフランジ部37を気密シール可能な後端組立体60に気密結合するための公知手段、例えば半田結合又はレーザ溶接を用いることができる。信号搬送層63は、層66及び層67間に挟まれ、外部環境から光コネクタの内部部材への電気経路を気密シールする。この気密接続は、以下に十分に説明されるように、電源/信号端65及び信号搬送層63を介してシールされたパッケージの外部及び光素子4間に気密の電気接続が形成されることを可能にする。
【0019】
次に、
図8に示されるように、押圧リング38は移動して図示されるように摺動管36の端部へ駆動される。この好適な実施形態の押圧リング38の楔形端部形状により、組立工具が押圧リング38を摺動管36の内径へ押圧することが可能になり、摺動管36を拡開して押圧リング38により及ぼされる摺動管36上のフープ応力により維持される半径方向の表面シールを形成する。これにより、コネクタの前端の筒状部34に気密シールを形成する。最後に、後端シール板69の追加により容器の気密シールが完成するので、内容物(本例では光学部品自体及び光学部品に実装される全て)を外部部材から保護する。
【0020】
好適な一実施形態において、熱テープ層70又は同様の熱伝導材料がプラットフォーム2に形成され(図示されるように、V溝3の反対側のプラットフォーム2の側に形成され)、
図6ないし
図8に示されるようにフランジ組立体30にも接触するように曲げることができる。これはプラットフォーム2からフランジ組立体30までの熱経路が形成し、これにより、(多くの場合、かなりの量の熱を発生する)光素子4から熱を奪うヒートシンクを形成する。例えば、光素子4がシリコンウエハ上に形成される場合、シリコンウエハは光素子4からプラットフォーム2に熱を伝達することができ、今度は熱テープ70に沿ってフランジ組立体30に熱を伝達することができる。
【0021】
好適な一実施形態において、上述したように、可撓性多層基板62は、
図9に示されるように多層積層で始まることにより製作される。
図9に示される例において、多層積層は、最下層から最上層まで、例えばカプトン(登録商標)等の高温ポリイミド膜の最下層、接着剤層、銅製接地層、高温ポリイミド膜の中間層、接着剤層上の又は接着剤層と共に存在する複数対(3対を図示)の銅製信号トレース、及びLPI製の最上層を具備する。この積層の初期構成は例示であり、当業者には積層の初期構成は多数の変形があることが明白であり、このような変形は特許請求の範囲に包含されると考えらえることを理解されたい。結果物の可撓性多層基板は可撓性回路の「材料」を提供し、それぞれ1対の銅製信号トレースを含むその複数の部分は切断して使用することができる。
図9の例において、このような3つの部分を切断することができる。本明細書で用いられるように、「高温ポリイミド膜」の用語は、200〜300℃の範囲、好適には240〜250℃の範囲の半田付け温度に耐えられる任意のポリイミド膜を意味する。
【0022】
図9の平面図に見られるように、複数対の銅製信号トレース(説明のために見えるように示されているが、実際にはLPI製最上層が透明でない限り、見えない)は、可撓性基板の幅内で終端する。以下に詳細に説明するように、銅製信号トレースの端部は、最終的には光素子4への接続のために半田付け点を提供する。
【0023】
図10、
図11及び
図12は、可撓性多層基板62の1対部と、気密シール可能な後端組立体60の可撓性回路部となるマスキング/エッチング工程を示す底面図及び側断面図である。
図10を参照すると、
図9の可撓性多層基板の1対部の底面が
図10(A)に示される。
図10(B)は、
図9のA−A線に沿った同じ1対部の側断面図である。
図10(A)に示された底面図は、
図10(B)の矢印Bから見た図に対応する。
【0024】
気密シール可能な後端組立体60を形成するために、
図10に示されるように、カプトン(登録商標)製最下層及び隣接する接着剤層は、公知のマスキング及びエッチング技術を用いて図示の通り円形状に除去される。除去された円の寸法は、銅製接地を露出し、
図8に関して上述したように摺動管36のフランジ部37に接続するための接地及び実装面を提供するよう選択される。
【0025】
次に、
図11に示されるように、公知のマスキング及びエッチング技術が用いられ、露出した銅製接地層の小径円形部と、その下のカプトン(登録商標)製中間層を除去し、これにより銅製信号対トレースを露出する。次に、
図12に点線で示されるように、銅製信号対トレースに隣接する接着剤層及びLPI製最上層を通って3か所切断されることにより、舌片部64を形成する。最後に、
図13(
図12(A)の90°回転した側面図)に示されるように、舌片部64が矢印C方向に押圧されることにより、
図6ないし
図8で図示されたように、光素子4に固定するために銅製信号トレースを所定位置に配置する。
【0026】
上述したマスキング、エッチング及び切断工程の最終結果は、1対の露出した銅製信号トレースを有する舌片を有する「サンドイッチ」の製作となる。これらの銅製信号トレースは、例えば
図6ないし
図8に示されるように、光素子4に取り付け可能である。
【0027】
銅製信号トレース63に電気接続を提供し、銅製信号トレース63に接続される光素子4に電気接続を提供するために、
図8を参照すると、LPI製最上層及び銅製信号トレースを具備する層67の端部がエッチングされてLPI層67を除去し、これにより銅製信号トレース63の電源/信号端65が露出する。このため、銅製信号トレース63が電源又は他の電気接続部に接続可能になる。このエッチングされた部分は図に示されていないが、当業者には層67の必要領域がどのようにエッチングされて銅製信号トレース63の電源/信号端65が露出するかは明白であろう。最後に、後端シール板69の追加により容器の気密シールが完成するので、
図6ないし
図8に示されるように内容物(本例では光学部品自体及び光学部品に実装される全て)が外部部材から保護される。
【符号の説明】
【0028】
4 光電部品(光素子)
11 フェルール
30 フランジ組立体
34 筒状部
36 エンクロージャ部材(摺動管)
38 前端シール部材(押圧リング)
60 後端シール部材(後端組立体)
62 可撓性回路
64 舌片部
65 電源/信号端