(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水溶性高分子は、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンまたはこれらの組み合わせである、請求項3に記載のシリコン系負極活物質の製造方法。
前記金属薄膜は、アルミニウム金属薄膜、マグネシウム金属薄膜、カルシウム金属薄膜またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載シリコン系負極活物質の製造方法。
前記金属薄膜上に前記多孔性シリカをコーティングする段階は、ロールツーロール(roll to roll)方式により行われるものである、請求項1に記載のシリコン系負極活物質の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものに過ぎず、本発明はこれによって制限されず、請求項の範疇のみによって定義される。
【0026】
リチウム二次電池は、使用するセパレータと電解質の種類に応じてリチウムイオン電池(以下、「リチウム二次電池」という)、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池に分類され、形態に応じて円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズに応じてバルク型と薄膜型に分類され得る。これら電池の構造と製造方法は、当該分野に広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0027】
一般にリチウム二次電池は、負極、正極およびセパレータを順次に積層した後、スパイラル状に巻き取られた状態で電池容器に収納して構成される。
【0028】
前記負極は、集電体と、前記集電体の上に形成された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は、負極活物質を含む。
【0029】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0030】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーション可能な物質としては、炭素物質であり、リチウムイオン二次電池で一般に使用される炭素系負極活物質は如何なるものでも用いることができ、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらを共に用いることができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0031】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選ばれる金属との合金を用いることができる。
【0032】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としては、Si、SiO
x(0<x<2)、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる元素であって、Siではない)、Sn、SnO
2、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる元素であって、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiO
2を混合して用いることもできる。前記元素QおよびRとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものを用いることができる。また、これらのうちの少なくとも一つとSiO
2を混合して用いることもできる。
【0033】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0034】
また、このような結晶性炭素は、メソフェーズ(mesophase)球状粒子から炭化段階(carbonizing step)および黒鉛化段階を経て製造された炭素物質または繊維状メソフェーズピッチ(mesophase pitch fiber)から炭化段階および黒鉛化段階を経て製造された繊維状黒鉛(graphite fiber)が好ましい。
【0035】
本発明の一実施形態では、前記負極活物質のうちのシリコン系負極活物質の製造方法を提供することができる。
【0036】
より具体的に、多孔性シリカ(SiO
2)および金属薄膜を準備する段階と、前記金属薄膜上に前記多孔性シリカをコーティングする段階と、前記金属薄膜および前記多孔性シリカを熱処理して、前記多孔性シリカを多孔性シリコンに還元させる段階と、前記多孔性シリコンを収得する段階と、を含むシリコン系負極活物質の製造方法を提供する。
【0037】
前記本発明の一実施形態に係る負極活物質の製造方法により製造されたシリコン系負極活物質と、前述した異種の負極活物質とを混合してリチウム二次電池の負極に用いることもできる。
【0038】
前述のように、シリコン系負極活物質は、電池の充放電時にシリコンの体積膨張により構造が破れやすい。
【0039】
本発明の一実施形態に係る製造方法によるシリコン系負極活物質は、シリカの多孔性構造を用いて充放電時にシリコン体積膨張を緩衝することができる。そのため、電池のサイクル特性を改善することができる。
【0040】
また、本発明の一実施形態に係る製造方法は、既存のトップダウン(top−down)方式のシリコン表面エッチング方式またはボトムアップ(bottom−up)方式のシリコン成長方式よりも単純な工程および高い収率でシリコン系負極活物質を製造することができる。
【0041】
また、本発明の一実施形態に係るシリコン系負極活物質は、気孔の制御および均一性の側面において既存の工程に比べて長所がある。
【0042】
より具体的に、前記製造方法は、金属薄膜と多孔性シリカの酸化−還元反応を通じて多孔性シリコンを製造することができる。
【0043】
例えば、シリカの還元反応は、下記反応式1のとおりである。金属薄膜の例としてアルミニウム薄膜を用いた。
【0044】
[反応式1]
3SiO
2+4Al→2Al
2O
3+3Si
【0045】
前記酸化反応のようにシリカがシリコンに還元すると同時にアルミニウムが酸化アルミニウムに酸化する反応を通じて多孔性シリコンを収得することができる。
【0046】
前記反応を通じて得られた反応物の場合、多孔性シリコンと酸化アルミニウムが混在している状態である。これを分離する方法として酸化アルミニウムの選択的なエッチングを通じて酸化アルミニウムを除去することができる。
【0047】
多様な方法で除去することができるが、第一の方式としては、5M乃至11.6Mである塩酸(HCl:Hydrochloric acid)を25℃乃至130℃の温度範囲内で攪拌反応を進行する。
【0048】
第二の方式としては、3.57M乃至7.14Mである燐酸(H
3PO
4:Phosphoric acid)を25℃乃至130℃の温度範囲内で攪拌反応を進行する。
【0049】
第三の方式としては、1.73M乃至5.75Mであるフッ酸(HF:Hydrogen fluoride)を25℃乃至50℃の温度範囲内で攪拌反応を進行する。
【0050】
第四の方式としては、7.53Mのアンモニア水(NH
4OH:Ammonium hydroxide)と9.79Mの過酸化水素(H
2O
2:Hydrogen peroxide)との混合溶液を25℃乃至50℃の温度範囲内で攪拌反応を進行する。
【0051】
前記方法は、単独または組み合わせて進行することができる。酸化アルミニウムの除去後、真空フィルター(Vacuum filtration)方法を適用してシリコン粉末を収得することができる。
【0052】
このような場合、既存のシリカが有している形態(多孔性)を維持したシリコンを得ることができる。
【0053】
前記多孔性シリカは、珪藻土(diatomite)から得られてもよい。前記珪藻土(diatomite)は、珪藻(diatom)という単細胞類が沈殿して構成されたものである。前記珪藻土は、数多くの多孔質で形成されており、その主要成分はシリカである。
【0054】
前記金属薄膜上に前記多孔性シリカをコーティングする段階は、前記金属薄膜上に水溶性高分子および多孔性シリカをコーティングする段階であり得る。
【0055】
前記水溶性高分子は、前記シリカと前記金属薄膜との間の界面を連結する役割を果たすことができる。これによってシリカと金属薄膜との間に空気のようなものがトラップされることを防ぐと同時に、シリカと金属薄膜が効果的に反応できるようにして酸化還元反応を増大させて収率を増大させる効果がある。
【0056】
前記水溶性高分子は、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミンまたはこれらの組み合わせであり得るが、これに制限されない。
【0057】
前記水溶性高分子は、高温反応中に酸化されてなくなり、酸化アルミニウムの除去過程で酸(Acid)を主溶液で使用するため、濾過する過程で除去される。
【0058】
前記金属薄膜の表面にパターンが形成され得る。前記パターンの存在によりシリカと金属薄膜の接触表面積を増大させることができる。表面積の増大により前記シリカの還元反応速度がより速くなり得る。
【0059】
前記パターンの形態は制限されないが、ストライプ形態であり得る。金属薄膜の表面積を増大させる形態であれば、如何なるパターンの形態でも可能になり得る。
【0060】
前記パターンは、1乃至100μmの間隔で形成され得る。前記範囲を満足する場合、前記シリカの還元反応が効果的に起き得る。
【0061】
前記パターンの形成方法は、湿式エッチング方法、乾式エッチング方法、光エッチング方法など一般的なエッチング方法を用いることができる。
【0062】
前記金属薄膜は、アルミニウム金属薄膜、マグネシウム金属薄膜、カルシウム金属薄膜またはこれらの組み合わせであり得る。金属とシリカの酸化−還元反応が可能な金属であればこれに制限されない。
【0063】
より具体的に、前記金属薄膜のパターンについて図面を通じて説明する。
【0064】
図6は、金属薄膜表面に形成されたパターンの3D図面である。
図6に示されたパターンの形成に本発明が制限されるわけではない。
図6のパターンは、多様なパターンの一例に過ぎない。
【0065】
また、
図7は、実際表面にパターンが形成された金属薄膜の表面SEM写真である。
図7のような多様な形態の表面パターンが形成可能である。
【0066】
前記パターンは、金属薄膜の厚さにより調節され、ハニカム、正六角形、ジグザグ(zigzag)、等間隔、ホールなどの形態であり得る。また、前記パターンの深さは、約5乃至20μmであり、パターンの間隔は、1乃至100μmであり得る。
【0067】
前記金属薄膜および前記多孔性シリカを熱処理して、前記多孔性シリカを多孔性シリコンに還元させる段階において、前記熱処理温度は、750乃至900℃であり得る。
【0068】
ただし、前記熱処理温度は、使用される金属薄膜により調節され得る。例えば、金属の溶融温度よりも若干高い温度で熱処理され得る。つまり、具体的な例として、アルミニウム薄膜の場合、750乃至900℃であり、マグネシウム薄膜の場合、750乃至800℃であり得る。
【0069】
前記金属薄膜上に前記多孔性シリカをコーティングする段階は、ロールツーロール(roll to roll)方式により行われ得る。
【0070】
また、前記金属薄膜上に前記多孔性シリカをコーティングする段階において、前記多孔性シリカがコーティングされた金属薄膜を一つの単位と見る時、前記単位が複数存在することができる。
【0071】
つまり、ロールツーロール方式により連続式に「金属薄膜−シリカ−金属薄膜−シリカ」のように複数の単位を含むように構成して前記複数の単位を同時に熱処理することができる。
【0072】
このような場合、最終のシリコンの製造効率が改善され得る。
【0073】
図8は、前記金属薄膜上に多孔性シリカをロールツーロール方式でコーティングする方法に関する概略図である。
図8は、本発明の多様なコーティング方法の一例であり、前記方法に本発明は制限されない。
【0074】
本発明の他の実施形態では、前記製造方法による多孔性シリコンを含む負極活物質を提供する。
【0075】
前述のように、前記負極活物質は、多孔性シリコンと、その他一般的な負極活物質とを含むことができる。
【0076】
前述のように、リチウム二次電池の負極は、集電体と、前記集電体の上に形成された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は、負極活物質を含む。
【0077】
前記負極活物質についての説明は前述したとおりであるため省略する。
【0078】
前記負極活物質層はまた、バインダーを含み、選択的に導電剤をさらに含むこともできる。
【0079】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては、非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを用いることができる。
【0080】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
前記水溶性バインダーとしては、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化スチレン−ブタジエンラバー、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、プロピレンと炭素数が2乃至8のオレフィンとの共重合体、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを用いる場合、粘性を付与できるセルロース系化合物をさらに含むことができる。このセルロース系化合物としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して用いることができる。前記アルカリ金属としては、Na、KまたはLiを用いることができる。このような増粘剤の使用含量は、バインダー100重量部に対して0.1乃至3重量部であり得る。
【0083】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を用いることができる。
【0084】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものを用いることができる。
【0085】
前記正極は、電流集電体と、この電流集電体に形成される正極活物質層とを含む。前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を用いることができる。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上を用いることができる。より具体的な例としては、下記の化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を用いることができる。
【0086】
Li
aA
1−bX
bD
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);Li
aA
1−bX
bO
2−cD
c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiE
1−bX
bO
2−cD
c(0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiE
2−bX
bO
4−cD
c(0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cD
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cO
2−αT
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cCo
bX
cO
2−αT
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0α<2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cD
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cO
2−αT
α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
1−b−cMn
bX
cO
2−αT
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2);Li
aNi
bE
cG
dO
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);Li
aNi
bCo
cMn
dGeO
2(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);Li
aNiG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aCoG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMnG
bO
2(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMn
2G
bO
4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);Li
aMnG
bPO
4(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);QO
2;QS
2;LiQS
2;V
2O
5;LiV
2O
5;LiZO
2;LiNiVO
4;Li
(3−f)J
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
(3−f)Fe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);LiFePO
4
【0087】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Xは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Dは、O、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Eは、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Tは、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Qは、Ti、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Zは、Cr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0088】
もちろん、この化合物表面にコーティング層を有するものを用いることもでき、または前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して用いることもできる。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であり得る。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を用いることができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこのような元素を用いて正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができれば如何なるコーティング方法を用いてもよく、これについては当該分野に属する者によく理解できる内容であるため、詳しい説明は省略する。
【0089】
前記正極活物質層はまた、バインダーと、導電剤とを含む。
【0090】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリル化スチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを用いることができるが、これに限定されない。
【0091】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属繊維などを用いることができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上を混合して用いることができる。
【0092】
前記電流集電体としては、アルミニウム(Al)を用いることができるが、これに限定されない。
【0093】
前記負極と正極は、活物質、導電剤およびバインダーを溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は、当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを用いることができるが、これに限定されない。
【0094】
本発明の一実施形態に係る非水系電解質二次電池において、非水電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩とを含む。
【0095】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たす。
【0096】
リチウム二次電池の種類に応じて正極と負極との間にセパレータが存在することもできる。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの2層以上の多層膜を用いることができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜を用いることができることはもちろんである。
【0097】
図1に本発明のリチウム二次電池の代表的な構造を概略的に示した。
図1に示したように、前記リチウム二次電池1は、正極3、負極2および前記正極3と負極2との間に存在するセパレータ4に含浸された電解液を含む電池容器5と、前記電池容器5を封入する封入部材6とを含む。
【0098】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。かかる下記実施例は、本発明の一実施例に過ぎず、本発明は下記実施例に限定されない。
【0099】
[実施例]
[実施例1:多孔性シリコン負極活物質の製造]
多孔性シリカと金属薄膜の重量比率が3:1.8(g)になるように、薄膜とシリカをロールツーロール方式でコーティングして、チューブ状反応炉で熱処理反応を行う。この時、薄膜の上にコーティングされるシリカ膜の厚さは数百マイクロメートル(μm)から数ミリメートル(mm)まで可能である。
【0100】
また、この時に使用される薄膜の表面は、1乃至100μmの間隔でパターンが形成され得る。形成されたパターンの深さは、1乃至数十μmに形成されることができる。
【0101】
反応の温度は700乃至950℃の温度範囲内で反応が行われ、反応時間は3乃至12時間以内であり、反応後に酸化アルミニウムと多孔性シリコンが混在している。
【0102】
熱処理の工程後に形成された酸化アルミニウムは、前述した方式で除去され得る。
【0103】
酸化アルミニウムの除去後、真空フィルター(Vacuum filtration)方法を適用してシリコン粉末を収得することができる。
【0104】
粉末収得後、真空オーブン(Vacuum oven)を用いて最終的に粉末を乾燥して負極素材として用いることができる。
【0105】
水溶性高分子は、高温反応中に除去され、酸化アルミニウム除去過程で酸(Acid)が主溶液として使用されるため、残っているかもしれない残留高分子も除去される。
【0106】
[比較例1:一般的なSi系負極活物質の製造]
一般にSi粉末は多数の会社から購入して用いるが、本比較例ではアルドリッチ社(Aldrich)から購入したシリコン粉末(325メッシュ、平均粒子の大きさ=40μm)を用いた。
【0107】
[実施例2:コインセルの製造]
前記実施例1で合成したシリコン負極物質を用い、正極としてリチウム金属薄膜を用いてコインタイプ(2016R−Type)セルを製造した。
【0108】
前記電極は厚さ20μmのポリエチレン材質のセパレータを用いて合体、圧縮した後、電解液を注入してコインセル電池を製造した。この時、電解液としてエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:EMC:DEC=3:4:3の体積比)にLiPF
6が1Mの濃度になるように溶解したものを用いた。
【0109】
[比較例2:コインセルの製造]
前記比較例1で購入したシリコン粉末を負極物質として用い、正極としてリチウム金属薄膜を用いてコイン型(2016R−Type)セルを製造した。
【0110】
前記電極は厚さ20μmのポリエチレン材質のセパレータを用いて合体、圧縮した後、電解液を注入してコインセル電池を製造した。この時、電解液としてエチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(EC:EMC:DEC=3:4:3の体積比)にLiPF
6が1Mの濃度になるように溶解したものを用いた。
【0111】
[実験例]
[実験例1:SEM写真]
図2は、実施例1による多孔性シリカと多孔性シリコンのSEM写真である。
【0112】
より具体的に、
図2(a)および(b)は、多孔性シリカのSEM写真であり、
図2(c)および(d)は、多孔性シリコンのSEM写真である。
【0113】
図2に示すように、原料物質から負極材料の製造過程内の多孔性構造が維持されていることが見られる。
【0114】
[実験例2:XRD測定]
図3は、実施例1による段階別XRDデータである。
【0115】
XRDは、Rigaku D/MAXを用い、CuKα光源を用いて2500Vで測定した。
【0116】
参考までに、
図3のX軸は任意のスケールであるため単位の意味はなく、相対的なピークの位置が意味を有し得る。
【0117】
最初実施例1のシリカがシリコンに還元されたことが分かる。
【0118】
[実験例3:コインセルの特性比較]
図4は、実施例2によるコインセルのサイクル特性を示すグラフであり、
図5は、比較例2によるコインセルのサイクル特性を示すグラフである。
【0119】
比較例2から分かるように、シリコン粉末の場合、0.1Crateで5サイクル以降に容量が500mAh/gまで落ちることが見られる。
【0120】
これに反し、実施例2の場合、0.1Crateで1300mAh/gの容量を実現し、0.2Crateでも約1000mAh/g以上の可逆容量を実現することができる。
【0121】
本発明は前記実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態に製造されてもよく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に実施可能であることを理解できるはずである。したがって、以上で説明した実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的ではないことを理解しなければならない。