特許第5991777号(P5991777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991777
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】ハードコートフィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20060101AFI20160901BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20160901BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20160901BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   C08J7/04 KCEY
   B05D3/06 102C
   B05D7/24 302P
   B32B27/30 A
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-524620(P2016-524620)
(86)(22)【出願日】2015年9月26日
(86)【国際出願番号】JP2015077222
(87)【国際公開番号】WO2016047796
(87)【国際公開日】20160331
【審査請求日】2016年4月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-197387(P2014-197387)
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113343
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 武史
(72)【発明者】
【氏名】滝川 慶
(72)【発明者】
【氏名】屋代 孝仁
(72)【発明者】
【氏名】星野 光秀
【審査官】 斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−029261(JP,A)
【文献】 特開2002−297042(JP,A)
【文献】 特開2005−271236(JP,A)
【文献】 特開2006−224577(JP,A)
【文献】 特開2007−261140(JP,A)
【文献】 特開2011−128408(JP,A)
【文献】 特開2013−37057(JP,A)
【文献】 特表2010−504863(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/158626(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 7/04−7/06
B05D 1/00−7/26
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層は、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有し、該硬化性化合物の含有割合が、前記ハードコート層中の全硬化性化合物に対して25〜75重量%であり、
JIS K5600のクロスカット法により測定された前記ハードコート層の残存率が90%以上であることを特徴とするハードコートフィルム。
【請求項2】
算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、
前記透明フィルム基材上に、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有し、該硬化性化合物の含有割合が、前記ハードコート層中の全硬化性化合物に対して25〜75重量%であるハードコート層用塗料を塗布して前記ハードコート層を形成し、次いで該ハードコート層を100℃以上で乾燥した後に、紫外線照射を施すことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【請求項3】
JIS K5600のクロスカット法により測定された前記ハードコート層の残存率が90%以上であることを特徴とする請求項に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムに関し、更に詳しくは、液晶表示装置、CRT表示装置、プラズマ表示装置、EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、タッチパネルなどの表示装置部品、及び建築物、自動車、電車の窓ガラスなどの保護フィルムとして使用することができる熱可塑性樹脂フィルム上にハードコート層を設けたハードコートフィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、その画像形成方式から、透明電極を形成した2枚の電極基板間に液晶を封入した液晶セルの片側または両側に偏光板が貼り付けられている。このような偏光板としては、通常、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性材料を吸着、延伸配向させた偏光子の両面に、耐擦傷性向上のためハードコート層を設けたトリアセチルセルロースフィルム等の保護フィルムを、ポリビニルアルコール系接着剤を介して接着したものが一般的に使用されている。
【0003】
しかし、TACフィルムは耐湿熱性が十分でなく、TACフィルムを偏光子保護膜として用いた偏光板を高湿下で使用すると、偏光度や色相等の偏光板の性能が低下するという欠点がある。またTACフィルムは斜め方向の入射光に対して位相差を生じる。位相差は液晶ディスプレイの大型化が進むにしたがって、顕著に視野角特性に影響を及ぼすようになっている。
【0004】
耐湿性が良く、耐久性に優れる保護フィルムとして、アクリル系樹脂単体又はアクリル系樹脂組成物を成形して得たフィルムを、両面に貼り合わせた偏光板が開示されている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、アクリル樹脂フィルムを保護フィルムとした偏光板はディスプレイの最表面で使用されるため、ディスプレイの外観品位の向上のためにも偏光板の保護フィルムには平坦性の高いものが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5235755号公報
【特許文献2】特許第5411452号公報
【特許文献3】特開2013−037057号公報
【特許文献4】特開2012−234163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
平坦性の高い保護フィルムを得るためには、平坦性の高い基材フィルムを使用することが有効である。
しかし、通常、例えば算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の平坦性が高い基材フィルムにハードコート層を設けた場合、基材フィルムとハードコート層との密着性が不十分となる。一般に、基材フィルムとハードコート層との密着性を得るには、基材フィルムとハードコート層の接着面積を十分確保する必要があるが、基材フィルムの平坦性が高い場合には困難であり密着性が得られなくなる。また、接着面積の確保にはハードコート層を基材フィルム上に塗布する際に、例えば上記特許文献3、特許文献4に開示されているように、溶剤により基材フィルム表面を溶解することである程度は改善可能となるが、溶解性は基材フィルム成分と溶剤成分の組み合わせ、反応時間等により変化するため、基材フィルムとハードコート層との期待される密着性が得られないことがある。また溶解性が強すぎると基材フィルム成分がハードコート層に多く溶出するため、ハードコート層の表面強度(耐擦傷性)が低下してしまうという新たな課題が発生する。
【0007】
そのため、平坦性の高い保護フィルムを得ようとして例えば算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下となるような平坦性の高い基材フィルムを用いる場合は、ハードコート層の密着性が十分に得られない、あるいはハードコート層の密着性と表面強度(耐擦傷性)を両立できないという課題があった。
【0008】
そこで、本発明の第1の目的は、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材と密着性の良好なハードコート層を有することにより、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好なハードコートフィルムおよびその製造方法を提供することであり、第2の目的は、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好で、さらに表面強度(耐擦傷性)にも優れたハードコートフィルムおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1の発明)
算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムであって、JIS K5600のクロスカット法により測定された前記ハードコート層の残存率が90%以上であることを特徴とするハードコートフィルム。
【0010】
(構成2の発明)
前記ハードコート層は、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有することを特徴とする構成1に記載のハードコートフィルム。
(構成3の発明)
前記硬化性化合物の含有割合が、前記ハードコート層中の全硬化性化合物に対して、25〜75重量%であることを特徴とする構成2に記載のハードコートフィルム。
【0011】
(構成4の発明)
算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、前記透明フィルム基材上に、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有し、該硬化性化合物の含有割合が、前記ハードコート層中の全硬化性化合物に対して25〜75重量%であるハードコート層用塗料を塗布して前記ハードコート層を形成し、次いで該ハードコート層を100℃以上で乾燥した後に、紫外線照射を施すことを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
【0012】
(構成5の発明)
JIS K5600のクロスカット法により測定された前記ハードコート層の残存率が90%以上であることを特徴とする構成4に記載のハードコートフィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材と密着性の良好なハードコート層を有することにより、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好なハードコートフィルムおよびその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好で、さらに表面強度(耐擦傷性)にも優れたハードコートフィルムおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明のハードコートフィルムは、上記のように、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムであって、JIS K5600のクロスカット法により測定された前記ハードコート層の残存率が90%以上であることを特徴としている。
また、上記構成において、前記ハードコート層は、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有することを特徴としている。
また、上記構成において、前記硬化性化合物の含有割合が、前記ハードコート層中の全硬化性化合物に対して、25〜75重量%であることを特徴としている。
なお、上記のJIS K5600のクロスカット法については、後述の実施例において詳しく説明する。
【0015】
(透明フィルム基材)
まず、上記透明フィルム基材について説明する。
本発明の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材は、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下であることが重要である。例えばこのフィルムを偏光板の保護フィルム(ディスプレイの最表面)に使用した場合、ディスプレイの外観品位が大きく向上する。なお、ここで、算術平均表面粗さ(Ra)とは、JIS B 0031(1994)/JIS B 0061(1994)付属書で定義される、ある基準長さにおける粗さ曲線の平均線からの絶対偏差を平均化した値であり、つまり平均線以下の粗さ曲線部分を正値側に折り返した時の凹凸の平均値をいう。
【0016】
本発明において、熱可塑性アクリル樹脂としては、例えば熱可塑性のメタクリル系樹脂を含有するフィルムが好適である。このメタクリル系樹脂は、アルキルメタクリレートを含有する単量体混合物を重合することによって得られる。アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、パルミチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレートなどが挙げられる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。これらのアルキルメタリレートは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
中でも例えば上記ペンチルメタクリレート等を環化させている化合物を含有する単量体混合物を重合することによって得られるラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が望ましい。このようなラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、透湿度が低く、さらには耐熱性にも優れるため、高温高湿の環境下においても、光学特性の変化の小さいフィルムを得ることができる。
【0018】
上記フィルム成形の方法としては、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等、任意の適切なフィルム成形法が挙げられる。溶融押出法が好ましい。溶融押出法は溶剤を使用しないので、製造コストや溶剤による地球環境や作業環境への負荷を低減することができる。
【0019】
上記溶融押出法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出されたフィルムを巻取って、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることで、1軸延伸することも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸することにより、同時2軸延伸、逐次2軸延伸等を行うこともできる。
【0020】
(ハードコート層)
次に、上記ハードコート層について説明する。
ハードコート層は、上記のとおり、熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム、例えば上記(メタ)アクリル系樹脂フィルム上にハードコート層形成用組成物を塗工して形成される。ハードコート層形成用組成物は、例えば、熱、光(紫外線等)または電子線等により硬化し得る硬化性化合物を含み、特に光硬化型の硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0021】
本発明において、ハードコート層を形成する硬化性化合物として、1分子あたり2〜5個以上の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有することが好ましく、1分子あたり2〜5個以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリルモノマーを含有することがより好ましい。
含有される(メタ)アクリロイル基が1分子あたり2個未満の場合、基材フィルムと硬化性化合物との3次元的な架橋構造が形成できないため、基材フィルムとハードコート層との密着性に劣る。また含有される(メタ)アクリロイル基が1分子あたり5個を超える場合、硬化性化合物同士での3次元的な架橋構造が多量に形成されてしまい、基材フィルムとハードコート層の密着力よりも硬化性樹脂の硬化収縮力が上回るため、応力ひずみが発生し密着性が低下しやすくなる。
【0022】
1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物は、上記(メタ)アクリル系樹脂との相溶性に優れるので、塗工時に(メタ)アクリル系樹脂フィルムに容易に浸透および拡散するため、ハードコート層とフィルム基材との密着性が向上する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、メタクリロイルおよび/またはアクリロイルを意味する。
【0023】
また、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物の含有割合は、ハードコート層形成用組成物中のモノマー、オリゴマーおよびプレポリマーなどの硬化性化合物の合計量(全硬化性化合物量)に対して、好ましくは25重量%〜75重量%の範囲である。このような範囲であれば、(メタ)アクリル系樹脂フィルムとハードコート層との密着性に優れ、かつ、耐擦傷性も優れた光学積層体を得ることができる。1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物の含有割合が25重量%より少ない場合は十分な密着性が得られず、75重量%より多い場合は十分な表面強度が得られない。
【0024】
本発明において、1分子あたり2〜5個以上の(メタ)アクリロイル基を有するアクリルモノマーとしては、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビスβ‐(メタ)アクリロイルオキシプロピネート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、2,3‐ビス(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシメチル[2.2.1]ヘプタン、ポリ1,2−ブタジエンジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルヘキサン、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカンエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、10−デカンジオール(メタ)アクリレート、3,8−ビス(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.10]デカン、水素添加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、1,4−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバリンサンエステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーを挙げることができる。これらの多官能モノマーは、単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、必要で有れば単官能モノマーと併用して共重合させることもできる。
【0025】
本発明において、所望の効果を阻害しなければ、上記1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物と併用する硬化性化合物は限定されるものではないが、ウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーを用いることが好ましい。
ハードコート層形成用組成物がウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーを含んでいれば、柔軟性および(メタ)アクリル系樹脂フィルムに対する密着性に優れるハードコート層を形成することができる。
【0026】
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとポリオールとから得られるヒドロキシ(メタ)アクリレートを、ジイソシアネートと反応させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、トリシクロデカンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジオール、スピログリコール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等が挙げられる。
【0029】
上記ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族または脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができる。上記ジイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらの水添物等が挙げられる。
【0030】
(光重合開始剤)
本発明において、上記ウレタンアクリレート樹脂や多官能アクリルモノマーなどの紫外線硬化型樹脂を硬化させる方法としては、紫外線を照射させる方法を用いることができる。この方法を用いる場合には、前記紫外線硬化型樹脂に光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾイルメチルエーテル、ベンゾイルエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジベンジル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン化合物などを用いることができる。中でも、表面硬化性の高い2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンが望ましい。
【0031】
(表面調整剤)
本発明において、ハードコート層には、透明フィルム基材への塗工性の改善を目的に各種レベリング剤の使用が可能である。フッ素系、アクリル系、シリコーン系、及びそれらの付加物或いは混合物を使用することができる。中でもハードコート層表面へのブリードアウトが発生し難い反応性アクリル基を有するものが望ましい。その添加量は、紫外線硬化型樹脂100重量部に対し0.03〜3.0重量部の範囲での添加が可能である。
【0032】
(その他添加剤、溶剤)
本発明において、ハードコート層を塗布形成するのに用いるハードコート層用塗料には、上記ウレタンアクリレート樹脂、多官能アクリルモノマーなどのハードコート層用樹脂の他に、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱硬化型樹脂、消泡剤などの各種添加剤も必要に応じて添加することが可能である。また、ハードコート層用樹脂を塗料化するための有機溶剤としては、沸点が50℃から150℃のものが、塗工時の作業性、乾燥性の点から好ましい。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど公知の有機溶剤を単独或いは適宜数種類組み合わせて使用することもできる。
【0033】
以上説明したように、本発明のハードコートフィルムによれば、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材と密着性の良好なハードコート層を有することにより、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好な、具体的にはJIS K5600のクロスカット法により測定されたハードコート層の残存率が90%以上であるようなハードコートフィルムが得られる。また、本発明のハードコートフィルムによれば、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好で、さらに表面強度(耐擦傷性)にも優れたハードコートフィルムが得られる。
【0034】
(ハードコートフィルムの製造方法)
本発明はハードコートフィルムの製造方法についても提供するものである。
すなわち、本発明のハードコートフィルムは、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムの製造方法であって、前記透明フィルム基材上に、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有し、該硬化性化合物の含有割合が、前記ハードコート層中の全硬化性化合物に対して25〜75重量%であるハードコート層用塗料を塗布して前記ハードコート層を形成し、次いで該ハードコート層を100℃以上で乾燥した後に、紫外線照射を施すことを特徴とする。
【0035】
ハードコート層用塗料(ハードコート層形成用組成物)の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法、コンマコート法が挙げられる。
【0036】
透明フィルム基材上に上記塗料を塗布した後の乾燥温度は、特に100℃以上140℃以下が望ましい。100℃未満では溶剤が揮発した後の紫外線硬化性樹脂の流動性が得られず、フィルム基材との密着性が十分に得られない。また、140℃よりも高いと、フィルム基材のガラス転移温度より高くなり、基材自身の平坦性が損なわれる恐れがあるため好ましくない。
【0037】
また、上記乾燥後の紫外線照射に用いられる紫外線の波長は200〜400nmの範囲が好ましい。好ましい紫外線照射条件としては、例えば、照度80〜120mW/cm2、照射量70〜500mJ/cm2であることが望ましい。紫外線の照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどのランプ光源、アルゴンイオンレーザーやヘリウムネオンレーザーなどのパルス、連続のレーザー光源などを備える照射装置を用いることが可能である。
【0038】
本発明においては、ハードコート層の上に表面における反射を抑えるために低反射層を設けてもよい。低反射層としては、含フッ素系化合物等から形成される低屈折率層単層や低屈折率層と高屈折率層の樹脂層積層により、550nmの光線反射率が1%以下になるようにすればよい。低反射層の形成方法としては、蒸着などによる金属膜の形成、コーティングによる樹脂層の積層などがある。
【0039】
以上説明した本発明のハードコートフィルムの製造方法によれば、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材と密着性の良好なハードコート層を有することにより、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好な、具体的にはJIS K5600のクロスカット法により測定されたハードコート層の残存率が90%以上であるようなハードコートフィルムを製造することができる。また、本発明のハードコートフィルムの製造方法によれば、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好で、さらに表面強度(耐擦傷性)にも優れたハードコートフィルムを製造することができる。
【実施例】
【0040】
次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。また、併せて本発明の実施例に対する比較例についても説明する。
【0041】
(実施例1)
(透明フィルム基材の作製)
メタクリル系樹脂からなるペレットを十分に真空乾燥した後供給し、250℃で溶融混錬後、Tダイから押出して、冷却ロールで水冷して引取り、厚み100μmのフィルムを得た。この後、逐次二軸押出機で、縦延伸1.8倍(加熱温度140℃)、つづいて横延伸2.4倍(加熱温度140℃)し、厚み40μmの二軸延伸フィルムである算術平均表面粗さ(Ra)が0.7nmの基材フィルム((メタ)アクリル系樹脂フィルム)を得た。
【0042】
(ハードコートフィルムの作製)
紫外線硬化型樹脂として多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製、1分子あたりの(メタ)アクリロイル基数4)と、ウレタンアクリレート樹脂(商品名: アートレジンUN−904、根上工業(株)製、重量平均分子量:4900、1分子あたりの(メタ)アクリロイル基数10)を配合比率が50/50となるように100重量部、光重合開始剤2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(商品名:イルガキュア907、BASF(株)製)5.0重量部、>N−CH3タイプヒンダードアミン系光安定化剤(商品名:チヌビン292、BASF(株)製)3.2重量部を撹拌し、揮発分が50%となるように酢酸エチルで希釈し、ハードコート層用塗料を得た。
【0043】
上記で作製した基材フィルムの片面に、得られたハードコート層用塗料を、バーコータを用いて塗布し、100℃の乾燥炉で20秒間乾燥させ膜厚が4.5μmのハードコート層を形成した。これを、塗布面より60mmの高さにセットされたUV照射装置を用いUV照射量100mJ/cm2にて硬化させハードコートフィルムを作製した。
【0044】
(実施例2)
乾燥炉の温度を110℃にした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(実施例3)
乾燥炉の温度を140℃にした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0045】
(実施例4)
乾燥炉の温度を145℃にした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(実施例5)
多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)とウレタンアクリレート樹脂(商品名:アートレジンUN−904、根上工業(株)製)の配合比率を25/75とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0046】
(実施例6)
多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)とウレタンアクリレート樹脂(商品名:アートレジンUN−904、根上工業(株)製)の配合比率を75/25とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(実施例7)
多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)に代え、3官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−3A、共栄社化学(株)製、1分子あたりの(メタ)アクリロイル基数3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0047】
(実施例8)
多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)に代え、2官能アクリルモノマー(商品名: ライトアクリレートPN−A、共栄社化学(株)製、1分子あたりの(メタ)アクリロイル基数2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(実施例9)
多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)に代え、5官能アクリルモノマー(商品名: A−9550、新中村化学(株)製、1分子あたりの(メタ)アクリロイル基数5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0048】
(実施例10)
メタクリル系樹脂からなるペレットを十分に真空乾燥した後供給し、250℃で溶融混錬後、Tダイから押出して、冷却ロールで水冷して引取り、厚み100μmのフィルムを得た。この後、逐次二軸押出機で、縦延伸1.5倍(加熱温度140℃)、つづいて横延伸2.0倍(加熱温度140℃)し、厚み40μmの二軸延伸フィルムである算術平均表面粗さ(Ra)が0.9nmの基材フィルム((メタ)アクリル系樹脂フィルム)を得た。
上記で得られた基材フィルムを使用したこと以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0049】
(比較例1)
乾燥炉の温度を90℃にした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(比較例2)
乾燥炉の温度を80℃にした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0050】
(比較例3)
多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)に代え、5官能アクリルモノマー(商品名: A−9550、新中村化学(株)製、1分子あたりの(メタ)アクリロイル基数5)を用い、この5官能アクリルモノマーとウレタンアクリレート樹脂(商品名:アートレジンUN−904、根上工業(株)製)の配合比率を80/20とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(比較例4)
多官能アクリルモノマー(商品名:ライトアクリレートPE−4A、共栄社化学(株)製)とウレタンアクリレート樹脂(商品名:アートレジンUN−904、根上工業(株)製)の配合比率を20/80とした以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0051】
(比較例5)
基材フィルムにKC4YUW(コニカミノルタオプト社製、厚み40μm、算術平均表面粗さ(Ra):2.1nm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
(比較例6)
基材フィルムにテクノロイS001G(住友化学社製、厚み50μm、算術平均表面粗さ(Ra):5.4nm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを作製した。
【0052】
以上のとおり作製した各ハードコートフィルムについて、下記評価を行い、結果を表1に示す。
[評価項目]
(1)密着性
JIS K5600のクロスカット法にしたがって、ハードコート層の密着性の評価を行った。
すなわち、碁盤目剥離試験治具を用い1mm2のクロスカットマスを100個作製し、積水化学工業(株)製粘着テープNo.252を、その上に貼り付け、ヘラを用いて均一に押し付けた後、90度方向に剥離し、ハードコート層の残存率(残存個数/100)を評価した。評価基準は下記の通りであり、◎または○であれば密着性は良好と判断した。
◎:クロスカットマスの残存率が、100%
○:クロスカットマスの残存率が、90%以上〜100%未満
△:クロスカットマスの残存率が、80%以上〜90%未満
×:クロスカットマスの残存率が、80%未満
【0053】
(2)耐擦傷性
#0000のスチールウールにより、ハードコートフィルムの表面を250g/cm2の荷重をかけながら10回摩擦し、傷の発生の有無および傷の程度を目視により観察した。評価基準は下記の通りであり、◎と○を良好とした。
◎:傷の発生なし。○:5本以下の傷が発生する。△:傷が6〜10本発生する。×:傷が無数に発生する。
【0054】
(3)フィルムの平坦性
ハードコートフィルムを蛍光灯下で目視観察し、実施例1に記載される方法で作製された算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の(メタ)アクリル系樹脂フィルムとハードコートフィルムを比較し、フィルムの平坦性の状態を評価した。評価基準は下記の通りであり、○と△を合格とした。
○:算術平均粗さ(Ra)1nm以下のフィルムと比較し、平坦性が同等。
△:算術平均粗さ(Ra)1nm以下のフィルムと比較し、凹凸が若干みられ平坦性が劣る。
×:算術平均粗さ(Ra)1nm以下のフィルムと比較し、凹凸がみられ平坦性が大きく劣る。
【0055】
【表1】
【0056】
上記表1の結果から、本発明の実施例に係るハードコートフィルムによれば、平坦性、密着性及び耐擦傷性のすべての特性において良好なハードコートフィルムが得られる。すなわち、本発明の実施例によれば、算術平均表面粗さ(Ra)が1nm以下の熱可塑性アクリル樹脂からなる透明フィルム基材と密着性の良好なハードコート層を有し、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好な、具体的にはJIS K5600のクロスカット法により測定されたハードコート層の残存率が90%以上であるようなハードコートフィルムが得られる。また、本発明の実施例によれば、平坦性の高い、且つハードコート層の密着性が良好で、さらに表面強度(耐擦傷性)にも優れたハードコートフィルムが得られる。
【0057】
また、本発明においては、ハードコート層は、1分子あたり2〜5個の(メタ)アクリロイル基を有する硬化性化合物を含有すること、該硬化性化合物の含有割合が、ハードコート層中の全硬化性化合物に対して25〜75重量%の範囲であること、ハードコート層塗布後の乾燥温度が100℃以上であることがそれぞれ好ましいことも分った。
【0058】
一方、ハードコート層塗布後の乾燥温度が100℃よりも低い比較例1、2では、密着性が劣っていた。また、ハードコート層中の上記硬化性化合物(多官能モノマー)の含有割合が上記の好ましい範囲よりも多い比較例3では耐擦傷性、密着性が劣っており、上記の好ましい範囲よりも少ない比較例4では密着性が劣っていた。また、算術平均表面粗さ(Ra)が1nmよりも大きなフィルム基材を用いた比較例5,6では、平坦性が劣り、平坦性の高いハードコートフィルムが得られない。