(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、光学式センサを移動体の前進方向と横方向に2個取り付けて、移動体の横速度や横滑り角を検出する技術がある。また、慣性センサから得られる横滑り角速度とヨー角速度を加算した値の積分値とGPS受信機による相対方位角との差分から横滑り角を算出する技術(例えば、特許文献1を参照)や、2個のGPSアンテナと、1軸加速度センサと、1軸角速度センサを使用して横滑り角を測定する技術(例えば、特許文献2を参照)も提案されている。
さらに、GPS用の2個のアンテナとモーションセンサとを配置し、横速度や横滑り角の精度を従来技術よりも向上させ、リアルタイムに計測することが可能な計測装置も提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような移動体の速度を計測する計測装置において、計測精度のための必要な条件を満たすように、GPS用の2個のアンテナとモーションセンサとを配置することは容易ではない。計測精度のための必要な条件には、例えば、GPS用の2つのアンテナがGPS衛星から出力される信号を受信できる位置(例えば、移動体のルーフ上)に配置することや、GPS用の2個のアンテナとモーションセンサとを一直線上に配置すること、アンテナ同士の距離やアンテナとモーションセンサとの距離が、それぞれ所定の距離になるように配置すること、という条件がある。
【0005】
そこで、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされるように、容易に配置することができる治具が望まれている。
【0006】
本発明は、移動体の速度を計測する計測装置において、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされるように、容易に配置することができる計測装置用配置治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
(1) 移動体の速度を計測する計測装置を構成する第1アンテナと、第2アンテナと、モーションセンサとを前記移動体に配置するための計測装置用配置治具であって、前記移動体に取り付けるための取付け部と、前記取付け部に一体的に設けられて、前記第1アンテナと前記第2アンテナと前記モーションセンサとを一直線上に配置し、前記第1アンテナと前記第2アンテナとの距離を所定の距離に配置し、及び前記第1アンテナと前記モーションセンサとの距離を所定の距離に配置する配置部と、を備える計測装置用配置治具。
【0008】
(1)の構成によれば、本発明に係る計測装置用配置治具は、計測装置を構成する第1アンテナと第2アンテナとモーションセンサとを一直線上に配置し、第1アンテナと第2アンテナとの距離を所定の距離に配置し、及び第1アンテナとモーションセンサとの距離を所定の距離に配置して、移動体に取り付ける。
【0009】
したがって、本発明に係る計測装置用配置治具は、移動体の速度を計測する計測装置において、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされるように、容易に配置することができる。
【0010】
(2) 前記取付け部は、前記移動体に吸着するためのシート状の吸着面を有し、前記配置部は、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナを配置するために、前記シート状の吸着面の両端に設けた、前記第1アンテナ及び前記第2アンテナの形状に合わせた端形状と、前記モーションセンサを配置するために、前記モーションセンサの形状に合わせた配置穴と、を有し、前記両端の距離は所定の距離であり、前記両端の形状の中心と前記配置穴の中心とは一直線上に並ぶように形成されている(1)に記載の計測装置用配置治具。
【0011】
すなわち、(2)に係る計測装置用配置治具は、シートの両端の形状によって第1アンテナと第2アンテナとを所定の距離に配置し、シートの配置穴によってモーションセンサを2個のアンテナの直線上に配置すると共に、第1アンテナとの距離を所定の距離にして、移動体に取り付ける。
【0012】
したがって、(2)に係る計測装置用配置治具は、移動体の速度を計測する計測装置において、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされるように、容易に配置することができる。
【0013】
(3) 前記取付け部は、前記移動体に吸着するための脚部と、前記脚部に連結される直線状のレールと、を有し、前記配置部は、前記レールに、前記第1アンテナと前記第2アンテナとを所定の距離で配置するアンテナ配置部と、前記第1アンテナと前記モーションセンサとを所定の距離で配置するモーションセンサ配置部と、を有する、(1)に記載の計測装置用配置治具。
【0014】
すなわち、(3)に係る計測装置用配置治具は、直線状のレール上のアンテナ配置部及びモーションセンサ配置部によって、モーションセンサと2個のアンテナとを一直線上に配置すると共に、第1アンテナと第2アンテナとを所定の距離に配置し、モーションセンサと第1アンテナとの距離を所定の距離に配置し、レールに連結された脚部によって移動体に取り付けられる。
【0015】
したがって、(3)に係る計測装置用配置治具は、移動体の速度を計測する計測装置において、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされるように、容易に配置することができる。
【0016】
(4) 前記脚部は、前記レールをスライドすることができるように、前記レールに連結されている、(3)に記載の計測装置用配置治具。
【0017】
したがって、(4)に係る計測装置用配置治具は、移動体の速度を計測する計測装置において、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされている状態で、移動体に容易に取り付けることができる。
【0018】
(5) 前記脚部は、前記レールの高さを調整することができるように、前記レールに連結されている、(3)又は(4)に記載の計測装置用配置治具。
【0019】
したがって、(5)に係る計測装置用配置治具は、移動体の速度を計測する計測装置において、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされ、略水平に配置されている状態で、移動体に容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、計測装置用配置治具は、移動体の速度を計測する計測装置において、GPS用の2つのアンテナと、モーションセンサとを所定の条件が満たされるように、容易に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る計測装置用配置治具を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る計測装置用配置治具が2個のアンテナとモーションセンサとを配置していることを示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具を示す図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具の側面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具の脚部の吸着盤を示す図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具のレールの高さ調整機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る計測装置用配置治具30を示す図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る計測装置用配置治具30が2個のアンテナ10,11とモーションセンサ20とを配置していることを示す図である。
【0023】
計測装置用配置治具30の取付け部は、移動体に吸着する(例えば、磁力や吸着材等によって吸着する)ためのシート状の吸着面31を有する。シート状の吸着面31により、2個のアンテナ10,11とモーションセンサ20とは、
図2のように、移動体(例えば、車両のルーフ)に配置される。アンテナ10,11は、例えば、アンテナ用のマグネットブロック102,112に固定され、モーションセンサ20は、例えば、モーションセンサ用のマグネットブロック202に固定され、それぞれ、マグネットブロックの磁力により車両のルーフに取り付けられる。移動体への取り付けが磁力である場合、例えば、車両のルーフが曲線形状であっても対応が可能であり、取り外しも可能である。なお、移動体への取り付け方法は、磁力等以外に、移動体の固定部に金属製のプレートやワイヤー等により取り付ける、としてもよい。
【0024】
計測装置用配置治具30の配置部は、第1アンテナ10及び第2アンテナ11を配置するために、シート状の吸着面31の両端に設けた、第1アンテナ10及び第2アンテナ11の形状に合わせた端形状、例えば、切り欠き形状32,33と、モーションセンサ20を配置するために、モーションセンサ20の形状に合わせた配置穴、例えば、穴34とを有する。シート状の吸着面31の両端の距離L0は、所定の距離(例えば、1m以上)であり、第1アンテナ10用の切り欠き形状32の中心321と、モーションセンサ20用の穴34の中心341との距離L1は、所定の距離(例えば、0.1m)である。さらに、両端の切り欠き形状32,33の中心321,331と穴34の中心341とは、一直線上に並ぶように形成されている。
【0025】
アンテナ10,11と、モーションセンサ20とは、両端の切り欠き形状32,33と穴34とにそれぞれ合わせて設置されることで、アンテナ10,11同士の距離、第1アンテナ10とモーションセンサ20との距離がそれぞれ所定の距離に配置され、アンテナ10,11とモーションセンサ20とは一直線上に配置される。
すなわち、計測装置用配置治具30は、アンテナ10,11とモーションセンサ20とを、シート状の吸着面31に設けられている形状に合わせて設置させるだけで、計測装置の精度を確保できるように、正確に配置することができる。
【0026】
両端の端形状について、
図1では、半円の切り欠き形状32,33としたが、両端の端形状は、アンテナ10,11の形状により、他の形状であってもよい。例えば、両端の端形状は、その形状に合わせてアンテナ10,11が設置されることで、アンテナ10,11の方向が、信号を受信できるように一定の方向になるような形状としてもよい。計測装置用配置治具30は、形状に合わせてアンテナ10,11を設置させるだけで、計測装置の精度を確保できるように、さらに正確にアンテナ10,11を配置することができる。
【0027】
穴34の形状について、
図1では、方形の穴34としたが、穴34の形状は、モーションセンサ20の形状により、他の形状であってもよい。例えば、モーションセンサ20の望ましい配置状態がある場合、穴34の形状は、モーションセンサ20が穴34の形状に合わせて設置されることによって、望ましい配置状態になるように形成された形状としてもよい。計測装置用配置治具30は、穴34の形状に合わせてモーションセンサ20を設置させるだけで、計測装置の精度を確保できるように、さらに正確にモーションセンサ20を配置することができる。
【0028】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具40を示す図である。
図4は、本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具40の側面図である。
図5は、本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具40の脚部41の吸着盤41a,41bを示す図である。
図6は、本発明の第2実施形態に係る計測装置用配置治具40のレール43の高さ調整機構45,46を示す図である。
【0029】
計測装置用配置治具40の取付け部は、移動体に吸着するための脚部41,42と、脚部41,42に連結される直線状のレール43とを有する。移動体への取り付けは、脚部41,42の吸着盤41a,41b,42a,42bによって、例えば車両のルーフに、取り付けられる。吸着盤41a,41bの機構は、
図5が示す様に、首を振る機構なので、例えば、車両のルーフが曲線形状であっても対応が可能であり、磁力では吸着できないような材質であっても対応が可能である。さらに、脚部41,42の機構は、レール43に対し、
図4が示す様に、移動可能な機構である。すなわち、脚部41,42の機構は、レール43の長さの中で位置が自由に設定され、取り付け対象の車両のルーフ長に影響されない機構である。
【0030】
さらに、脚部41,42の高さ調整機構45,46は、
図6が示す様に、レール43の高さを調整可能な機構である。すなわち、高さ調整機構45,46は、高さ調整レバー451,452と高さ調整レバー461,462とによって調整して、取り付け対象の車両のルーフの傾斜等に影響されないで、レール43を略水平にすることができる。
【0031】
計測装置用配置治具40の配置部は、レール43に、第1アンテナ10と第2アンテナ11とを所定の距離で配置するアンテナ配置部441,442と、第1アンテナ10とモーションセンサ20とを所定の距離で配置するモーションセンサ配置部443とを有する。アンテナ10,11と、モーションセンサ20とは、ビス止め等でレール43に固定される。
【0032】
すなわち、第1アンテナ10及び第2アンテナ11の距離L0は、所定の距離(例えば、1m以上)であり、第1アンテナ10と、モーションセンサ20との距離L1は、所定の距離(例えば、0.1m)であり、アンテナ10,11とモーションセンサ20とは、一直線上に並ぶように配置される。また、アンテナ10,11の方向は、信号を受信できるように一定の方向になるように固定される。
したがって、計測装置用配置治具40は、アンテナ10,11とモーションセンサ20とを、計測装置の精度を確保できるように、正確に配置した状態で、脚部41,42の移動可能な機構と高さ調整機構45,46と吸着盤41a,41b,42a,42bとにより移動体に設置することができる。
【0033】
本実施形態1によれば、計測装置用配置治具30は、移動体に吸着するためのシート状の吸着面31を有し、第1アンテナ10及び第2アンテナ11を配置するために、シート状の吸着面31の両端に設けた、第1アンテナ10及び第2アンテナ11の形状に合わせた端形状、例えば、切り欠き形状32,33と、モーションセンサ20を配置するために、モーションセンサ20の形状に合わせた配置穴、例えば、穴34とを有する。シート状の吸着面31の両端の距離L0は、所定の距離(例えば、1m以上)であり、第1アンテナ10用の切り欠き形状32の中心321と、モーションセンサ20用の穴34の中心341との距離L1は、所定の距離(例えば、0.1m)である。さらに、両端の切り欠き形状32,33の中心321,331と穴34の中心341とは、一直線上に並ぶように形成されている。
したがって、計測装置用配置治具30は、アンテナ10,11とモーションセンサ20とを、シート状の吸着面31に設けられている形状に合わせて設置させるだけで、計測装置の精度を確保できるように、正確に配置し、車両のルーフに容易に設置することができる。
【0034】
本実施形態2によれば、計測装置用配置治具40は、移動体に吸着するための脚部41,42と、脚部41,42に連結される直線状のレール43とを有し、レール43に、第1アンテナ10と第2アンテナ11とを所定の距離で配置するアンテナ配置部441,442と、第1アンテナ10とモーションセンサ20とを所定の距離で配置するモーションセンサ配置部443とを有する。さらに、計測装置用配置治具40は、レール43に対し、脚部41,42が移動可能な機構を有し、レール43を略水平に調整する高さ調整機構45,46を有する。
したがって、計測装置用配置治具40は、アンテナ10,11とモーションセンサ20とを、計測装置の精度を確保できるように、正確に配置した状態で、脚部41,42の移動可能な機構と高さ調整機構45,46と吸着盤41a,41b,42a,42bとにより移動体に容易に設置することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。
例えば、第1実施形態に加えて、計測装置用配置治具30は、アンテナ10,11が計測装置に接続されるためのコネクタ101,111と、モーションセンサ20が計測装置に接続されるためのコネクタ201とに、それぞれ接続されるための配線された接続部(図示せず)を有するとしてもよい。計測装置用配置治具30の接続部と、コネクタ101、111、201とが接続されるようにアンテナ10,11及びモーションセンサ20が設置されることで、計測装置用配置治具30は、アンテナ10,11及びモーションセンサ20の方向を一定の方向に合わせて配置することができる。
【0036】
さらに、第1実施形態では、
図2のように、計測装置用配置治具30は、アンテナ10,11とモーションセンサ20と共に移動体に吸着されたままとしたが、取り外せるとしてもよい。例えば、計測装置用配置治具30は、シート状の吸着面31が2つの吸着面に分離(切り欠き形状の中心321と中心331とのラインで分離)できるようにしたものであって、アンテナ10,11とモーションセンサ20とを移動体に配置して、アンテナ10,11とモーションセンサ20とが固定された後に、それぞれの吸着面が取り外せるように構成されているとしてもよい。
【0037】
また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。