特許第5991854号(P5991854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5991854横型ブラインドのラダーコード製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991854
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】横型ブラインドのラダーコード製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/382 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   E06B9/382
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-124633(P2012-124633)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-249623(P2013-249623A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(74)【代理人】
【識別番号】100097250
【弁理士】
【氏名又は名称】石戸 久子
(72)【発明者】
【氏名】藤本 英明
(72)【発明者】
【氏名】田島 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 浩康
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−021334(JP,A)
【文献】 特開2011−236553(JP,A)
【文献】 特開2002−303085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/26−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の垂直コード(10a、10b)と、一対の垂直コードを連結する複数の中段コード(10c)と、から成る梯子状の形状を有する横型ブラインドのラダーコードの製造方法において、
緊張状態を保持しつつラダーコード(10)を熱加工装置(24)に送り込むステップと、
一対の垂直コードにおいて上下に隣り合う中段コードの間隔が同一となるように熱加工装置でラダーコードを加熱成形するステップと、
加熱成形されたラダーコードを熱加工装置から引き出すステップと、
熱加工装置から引き出されたラダーコードの一対の垂直コードのうちの少なくとも一方の垂直コードを押圧するステップと、
少なくとも一方の垂直コードが押圧されたラダーコードを冷却するステップと、を備え、
前記押圧により垂直コードに付与される張力を調整することにより、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔が異なるラダーコードと、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔が同一となるラダーコードのうちのいずれかを製造可能であることを特徴とする横型ブラインドのラダーコード製造方法。
【請求項2】
前記垂直コードに付与される張力は、垂直コードに対して直交する方向に垂直コードを押圧する押圧面(38a、40a)が垂直コードを押し出す距離によって決定されることを特徴とする請求項1記載の横型ブラインドのラダーコード製造方法。
【請求項3】
一対の垂直コード(10a、10b)と、一対の垂直コードを連結する複数の中段コード(10c)と、から成る梯子状の形状を有する横型ブラインドのラダーコードの製造装置において、
ラダーコードが送り込まれて各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔を等しくした状態でラダーコードの加熱成形を行う熱加工装置(24)と、
熱加工装置で加熱成形した直後のラダーコードの垂直コードを押圧可能となった押圧装置(28)と、
を備え、押圧装置(28)は、一対の垂直コードに対して異なる張力を付与可能であり、各垂直コードに対して直交する方向から接離可能に直線的に移動して垂直コードを押圧可能となった押圧面(38a、40a)を端部に有する長尺の押圧部材(38,40)を備えることを特徴とする横型ブラインドのラダーコード製造装置。
【請求項4】
前記押圧装置の下流には、ラダーコードが巻き掛けられて、ラダーコードの冷却を行うローラ(26)を備えることを特徴とする請求項3記載の横型ブラインドのラダーコードの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の垂直コードと中段コードとから成るラダーコードに対して、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔を適宜調整することができる横型ブラインドのラダーコード製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、横型ブラインドのラダーコードを製造するにあたり、熱加工装置を用いてラダーコードを加熱成形することが一般的に行われている。この熱加工装置では、梯子状となったラダーコードの一対の垂直コードに等しい張力を印加しながら移動させて加熱しており、それを熱加工装置から引き出すことによって、中段コードが左右等ピッチとなったラダーコードを製造するようにしている。
【0003】
また、中段コードが左右等ピッチではなく、左右で異なるピッチにするための製造方法としては、特許文献1に記載される製造方法が知られている。
【0004】
この特許文献1に示されるラダーコード製造方法では、ラダーコードを100℃前後の温度で加熱する第一の加熱炉と、第一の加熱炉内で回転してラダーコードを案内する加工用歯型と、加工用歯型に設けられラダーコードの各縦糸(垂直コード)をそれぞれ案内する同一周長の外周面と、を備えた第一の熱セット装置と、第一の加熱炉より高温の200℃前後の温度で加熱する第二の加熱炉と、第二の加熱炉内で回転してラダーコードを案内する加工用溝型と、加工用溝型の外周面に周方向に設けられてラダーコードの各縦糸の横糸(中段コード)ピッチを異なるピッチに成形する溝と、を備えた第二の熱セット装置と、を用いて製造を行っている。
【0005】
この方法では、まずラダーコードを第一の加熱炉内に導入し、第一の加熱炉内で加工用歯形によって案内しながら加熱し、横糸のピッチ間隔が所定の寸法に収縮するように成形する。この段階では、加工用歯形の外周面が同一径であるので、各縦糸における横糸のピッチは同一のピッチに形成される。
【0006】
次に、第一の熱セット装置で同一ピッチに形成したラダーコードを第二の加熱炉内に導入し、第二の加熱炉内でラダーコードの一方の縦糸を外周面に掛装し、他方の縦糸を溝内に掛装した状態で加工用溝型の回転に伴って移動させながら各縦糸における横糸ピッチを異なるピッチに形成して、横糸ピッチのピッチ差が異なるラダーコードを成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−21334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の製造方法において、一対の垂直コードに等しい張力を印加することで、理論的には対称的なラダーコードとすることができるはずであるが、実際には、微妙な張力の差、編みの具合、加熱炉における温度むら等様々な要因によって、中段コードの左右ピッチ差が発生してしまう場合がある。
【0009】
また、特許文献1のように意図的に左右ピッチ差をつける場合には、ラダーコードの各垂直コードにおいて中段コードのピッチを同一ピッチに加熱成形する第一の熱セット装置と、第一の熱セット装置で加熱成形されたラダーコードの各垂直コードにおいて中段コードのピッチを異なるピッチに加熱成形する第二の熱セット装置という2つの熱セット装置が必要であるため、製造装置として大がかりなものとなり、装置を設置するためのスペースも大きくなるという問題が生じる。
【0010】
また、ラダーコードとして安定した形状に加工するためには、200℃前後の温度にて加熱成形する必要があるが、200℃前後の炉内温度を有するのは第二の熱セット装置の第二の加熱炉だけであり、第二の熱セット装置では各垂直コードにおいて中段コードを異なるピッチに成形することしかできず、同一ピッチには成形することができないので、同一の工程で、各縦糸における横糸のピッチが同一のラダーコードと異なるラダーコードの両方を製造することができない。
【0011】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、一つの熱加工装置を用い、同一の工程で、一対の垂直コードにおける中段コードのピッチを適宜調整することができる横型ブラインドのラダーコード製造方法及び製造装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、発明は、一対の垂直コードと、一対の垂直コードを連結する複数の中段コードと、から成る梯子状の形状を有する横型ブラインドのラダーコードの製造方法において、
緊張状態を保持しつつラダーコードを熱加工装置に送り込むステップと、
一対の垂直コードにおいて上下に隣り合う中段コードの間隔が同一となるように熱加工装置でラダーコードを加熱成形するステップと、
加熱成形されたラダーコードを熱加工装置から引き出すステップと、
熱加工装置から引き出されたラダーコードの一対の垂直コードのうちの少なくとも一方の垂直コードを押圧するステップと、を備え、
前記押圧により垂直コードに付与される張力を調整することにより、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔が異なるラダーコードと、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔が同一となるラダーコードのうちのいずれかを製造可能であることを特徴とする。
【0013】
また、前記垂直コードに付与される張力は、垂直コードに対して直交する方向に垂直コードを押圧する押圧面が垂直コードを押し出す距離によって決定されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、一対の垂直コードと、一対の垂直コードを連結する複数の中段コードと、から成る梯子状の形状を有する横型ブラインドのラダーコードの製造装置において、
ラダーコードが送り込まれて各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔を等しくした状態でラダーコードの加熱成形を行う熱加工装置と、
熱加工装置で加熱成形した直後のラダーコードの垂直コードを押圧可能となった押圧装置と、
を備え、押圧装置は、一対の垂直コードに対して異なる張力を付与可能であることを特徴とする。
【0015】
また、前記押圧装置は、各垂直コードに対して直交する方向から接離可能に直線的に移動して垂直コードを押圧可能となった押圧面を有する押圧部材を備えることを特徴とする。
【0016】
また、前記押圧装置の下流には、ラダーコードが巻き掛けられて、ラダーコードの冷却を行うローラを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加熱成形されたラダーコードの一対の垂直コードのうちの少なくとも一方の垂直コードを押圧することで、加熱された垂直コードに張力を付与して垂直コードを伸ばし、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔を適宜調整することができる。従って、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔が異なるラダーコードと、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔が同一となるラダーコードのうちのいずれかを適宜選択して製造することができる。
【0018】
様々なタイプのラダーコードを同一の工程によりまたは同一の製造装置で製造することができるため、装置全体を小規模なものとすることができ、設置スペースを小さくすることができる。
【0019】
押圧面が垂直コードを押し出す距離を変化させることで、各垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔を様々に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る製造方法でラダーコードを製造している状態を示す製造装置の模式図である。
図2】熱加工装置の出口付近から引出ローラまでの間の状態を表し、(a)は正面断面図、(b)は側断面図である。
図3】(a)は押圧装置を表す平面図、(b)はそのラダーコード押圧状態の平面図である。
図4】熱加工装置の出口付近から引出ローラまでの間の状態を示す側断面図であり、(a)は一対の垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔がそれぞれ同一となるラダーコードを製造しているときの状態を示し、(b)は一対の垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔が異なるラダーコードを製造しているときの状態を示す。
図5】(a−1)は一対の垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔がそれぞれ同一となるラダーコードを用いたブラインドの側面図、(a−2)は(a−1)のラダーコードの一部分を示す側面図、(b−1)は一対の垂直コードにおける上下に隣り合う中段コードの間隔がそれぞれ異なるラダーコードを用いたブラインドの側面図、(b−2)は(b−1)のラダーコードの一部分を示す側面図である。
図6】本発明に係る製造方法で製造したラダーコードを用いた横型ブラインドを窓に取付けた際の状態を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0022】
本発明に係る製造方法によって製造したラダーコード10を用いた横型ブラインドを図5に示す。ラダーコード10は、一対の垂直コード10a、10bと、一対の垂直コード10a、10bを連結する複数の中段コード10cと、から成る梯子状の形状を有しており、一対の垂直コード10a、10bの上端はヘッドボックス12内に配設される図示していない回転ドラムに巻取及び巻解き可能に連結されている。また、一対の垂直コード10a、10bの下端はボトムレール14に連結されており、複数の中段コード10cにはスラット16がそれぞれ載置されている。ラダーコード10は、図5(a−1)、(a−2)に示すように、上下に隣り合う中段コード10cの間隔を一対の垂直コード10a、10bのどちらにおいても同じに構成したり、(b−1)、(b−2)に示すように、上下に隣り合う中段コード10cの間隔を各垂直コード10a、10bごとに異なるように構成したりされる。また、回転ドラムと同軸の昇降ドラムには昇降コード18の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されており、昇降コード18の下端はスラット16列を挿通してボトムレール14の下端に連結されている。昇降コード18が昇降ドラムに巻取られることにより、スラット16列が上昇し、巻解かれることによりスラット16列が下降する。
【0023】
本発明に係る製造方法によってラダーコード10を製造する製造装置20はラダーコードの加熱成形等の処理を行う装置であって、図1ないし図4に示すように、加熱前のラダーコードが巻き付かれたリール19から引き出されたラダーコードに張力を付与するテンションローラ21と、加熱前のラダーコード10を搬送する搬入ローラ22、22と、ラダーコード10を加熱成形する熱加工装置24と、熱加工装置24からラダーコード10を上方へと引き出す引出ローラ26と、熱加工装置24と引出ローラ26との間にあって、熱加工装置24の外部に導出されたラダーコード10を押圧する押圧装置28と、引出ローラ26によって引き出されたラダーコード10を収納部30に搬送する搬送ローラ32と、を備える。
【0024】
搬入ローラ22は、その外周面において、中央部にラダーコード10の中段コード10cに係合する送り歯22aと、送り歯22aの両側にあり一対の垂直コード10a、10bをそれぞれ案内する案内部22bとを備えている。送り歯22aは等間隔に多数形成されており、送り歯22aの両側の案内部22bの外径寸法はそれぞれ同一である。
【0025】
熱加工装置24は、ヒータ35が設けられた加熱炉33と、加熱炉33内で回転可能に支持された加工用ローラ34と、コントローラとを備える。加熱炉33は、その内部を一定の温度に制御可能となっている。加工用ローラ34は、加熱炉33内にラダーコード10を引き入れるとともに、ラダーコード10を周回させて、加熱炉33外にラダーコード10を送り出すもので、その外周面において、中央部にラダーコード10の中段コード10cに係合する送り歯34aと、送り歯34aの両側にあり一対の垂直コード10a、10bを案内する案内部34bとを備えている。送り歯34aは等間隔に多数形成されており、両側の案内部34bの外径寸法は同一である。
【0026】
引出ローラ26は、熱加工装置24の出口開口24aの上方に配設されており、引出ローラ26は、その外周面において、中央部にラダーコード10の中段コード10cに係合する送り歯26aと、送り歯26aの両側にあり一対の垂直コード10a、10bをそれぞれ案内する案内部26bとを備えている。送り歯26aは等間隔に多数形成されており、両側の案内部26bの外径寸法は同一である。引出ローラ26は、これにラダーコード10が巻き掛けられることにより、熱加工装置24により加熱されたラダーコード10を急冷する機能も有している。
【0027】
押圧装置28は、図2及び図3に示すように、熱加工装置24の上部外側の出口開口24aの近傍に取り付けられている。押圧装置28は、熱加工装置24の出口開口24aから引出ローラ26に導かれる一対の垂直コード10a、10bが通過する位置と対応して配設される一対の押圧棒38、40と、熱加工装置24の加熱炉33の外面に固定されるとともに、押圧棒38、40が夫々挿通する基部42と、押圧棒38、40を基部42に対して移動可能な状態と移動不可能な状態とに切替え可能なネジ44、46と、を有する。押圧棒38、40は、それぞれ別々に直線的に移動可能であり、先端には凹状の形状を有する押圧面38a、40aが形成される。押圧棒38、40はそれぞれ垂直コード10a、10bに向かって垂直コードと直交する方向に前進することにより、押圧面38a、40aが一対の垂直コード10a、10bをそれぞれ押圧可能であり、後退することにより、押圧面38a、40aが一対の垂直コード10a、10bから離隔可能である。さらに、ラダーコードを隔てた押圧面38a、40aと対向する側にはガイド部48が設けられ、押圧面38a、40aによって押圧された垂直コード10a、10bが押圧方向へ所定量以上移動することを規制している。押圧面38a、40aが一対の垂直コード10a、10bを押圧する力は、押圧棒38、40が前進する位置、即ち、垂直コードを押し出す距離によって決まる。押圧棒38、40がより前進して、一対の垂直コード10a、10bを押し出す距離が大きくなるほど、押圧力が大きくなり、垂直コード10a、10bが大きく伸長することになる。押圧面38a、40aが垂直コード10a、10bを押圧する際には、垂直コード10a、10bが押圧面38a、40aの窪んだ部分に位置し、押圧面38a、40aから容易に脱落しないようになっている。押圧面38a、40aによって押圧された垂直コードは、ガイド部48によって蛇行状に案内され、ラダーコードに張力が付与されるようになっている。
【0028】
次に、以上の製造装置20を用いてラダーコード10を製造する手順を説明する。
【0029】
まず、ラダーコード10は、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維からなる撚糸を編み機によって編んでおき、リール19に巻き取っておく。編む際は、一対の垂直コード10a、10bにおける上下に隣り合う中段コード10cの間隔が同一となるように梯子状に編まれる。任意には、撚糸の本数、または撚糸を構成するフィラメントの本数を垂直コード10a、10bとで異なるようにしてもよい。例えば、一対の垂直コード10a、10bにおける中段コード10cのピッチを異ならしめる場合に、ピッチを大きくする方の垂直コードを構成する撚糸の本数または撚糸を構成するフィラメントの本数を他方よりも少なくすることで、後述の押圧装置による伸びを効果的に行わせることができる。
【0030】
このようにラダーコード10をあらかじめ準備した後、ラダーコード10が巻き取られたリール19を製造装置20にセットし、リール19からラダーコード10を引き出して、テンションローラ21によって張力を付与して、搬入ローラ22、22を介して熱加工装置24の加熱炉33内に供給する。
【0031】
熱加工装置24の加熱炉33内では、ラダーコード10の中段コード10cが加工用ローラ34の送り歯34aに係合され、一対の垂直コード10a、10bが両側の案内部34bにそれぞれ案内されるようにして、加工用ローラ34の外周に巻き掛けられて、周回される。ラダーコード10は、加工用ローラ34の回転により搬入ローラ22から熱加工装置24の加熱炉33内に緊張状態を保持しつつ送り込まれ、加熱炉33内で加工用ローラ34に案内されながら200℃前後の温度で加熱成形され、そして熱加工装置24の出口開口24aから導出される。熱加工装置24での加熱成形では、中段コード10cのピッチは各垂直コード10a、10bのどちらにおいても誤差を除き基本的に同一になるように企図される。
【0032】
熱加工装置24の出口開口24aから導出されるラダーコード10は引出ローラ26に巻き掛けられており、引出ローラ26の回転によって緊張状態を保持しつつ引き出されるが、ラダーコード10が出口開口24aから導出された直後に、必要に応じて押圧装置28による押圧を受ける。
【0033】
例えば、図5(a−1)、(a−2)に示すような一対の垂直コード10a、10bにおける上下に隣り合う中段コード10cの間隔を同一にしたラダーコード10を製造する場合、熱加工装置24で同一ピッチの加熱成形が行われているために、図4(a)に示すように押圧装置28による押圧は基本的に不要である。
【0034】
しかしながら、様々な要因により誤差が発生してピッチ差が発生していることがあるために、その場合には、図3及び図4(b)に示すように、ピッチが小さい方の垂直コードに対応する押圧棒を前進させ、他方の押圧棒を後退させて、それぞれネジ44、46で固定する。これによって、ピッチが小さい方の垂直コードは、まだ冷却されないうちに、押圧棒の押圧面によって水平方向に押圧され、張力が付与されることにより伸長することとなる。こうして、一方の垂直コード10aにおける中段コード10cのピッチを他方の垂直コード10bにおける中段コード10cのピッチと等しくなるようにする。この押圧棒の押圧面の位置を微調整することで、ピッチの左右差を可能なかぎり0に近づけることができる。または両方の垂直コード10a、10bを伸長させて可能なかぎり設定ピッチに近づけることも可能である。
【0035】
他方、例えば、図5(b−1)、(b−2)に示すような一対の垂直コード10a、10bにおける上下に隣り合う中段コード10cの間隔が意図的に異なるラダーコード10を製造する場合、図3及び図4(b)に示すように、あらかじめ、押圧装置28の一対の押圧棒38、40の内、中段コード10cのピッチを大きくしたい方の垂直コード10aに対応する押圧棒38を前進させ、他方の押圧棒40を後退させて、それぞれネジ44、46で固定しておく。
【0036】
これによって、一方の垂直コード10aは、まだ冷却されないうちに、押圧棒38の押圧面38aによって水平方向に押圧され、張力が付与されることにより伸長することとなる。こうして、一方の垂直コード10aにおける中段コード10cのピッチを他方の垂直コード10bにおける中段コード10cのピッチよりも大きくすることができる。この押圧面38aが垂直コードを押し出す距離を変化させることで、一対の垂直コード10a、10bにおける上下の中段コードの間隔を様々に調整できる。例えば、押圧面38aが一方の垂直コード10aを押し出す距離をさらに大きくすると、垂直コード10aへの押圧力が大きくなるため、一方の垂直コード10aにおける中段コード10cのピッチを他方の垂直コード10bの中段コード10cのピッチと比べてさらに大きくすることができる。
【0037】
以上のようにピッチが調整されたラダーコード10は、引出ローラ26に巻き掛けられることにより、引出ローラ26によって冷却され、形状が安定化されることになる。引出ローラ26に案内されたラダーコード10は、搬送ローラ32を介して収納部30に収納される。
【0038】
このようにして、図5(a―2)に示すような、一方の垂直コード10aにおける上下に隣り合う中段コード10cの間隔がaで、他方の垂直コード10bにおける上下に隣り合う中段コード10cの間隔がaの、ピッチの等しいラダーコード10が製造され、または、図5(b−2)に示すような、一方の垂直コード10aにおける上下に隣り合う中段コード10cの間隔がbで、他方の垂直コード10bにおける上下に隣り合う中段コード10cの間隔がbより小さいaの、ピッチの異なるラダーコード10が製造される。
【0039】
図5(b−2)に示したラダーコード10を用いてブラインドを構成すると、図5(b−1)に示すように、上部から下部へ行くほどスラットの傾斜が大きくなった横型ブラインドが構成される。この横型ブラインドを、図6に示すように、窓枠50に設置すると、窓51を通過して室内52に入射した太陽光がスラット16に反射し、上部のスラット16群に反射した太陽光ほど室奥の天井54に向かい、下部のスラット16群に反射した太陽光ほど窓際の天井54に向かうようになる。これにより、居住者に直接横型ブラインドからの反射光が当たらない上、その反射光が天井に当たった上で室内を照らす間接光となるため、眩しくなく、しかも柔らかい光で室内を窓際から室奥まで均一に照らすことができる。
【0040】
本実施の形態によれば、左右で様々なピッチの関係となったラダーコードを同一の製造装置20で、ほとんど同じ工程で製造することができるために、装置全体を小規模なものとすることができ、設置スペースを小さくすることができる。
【0041】
また、押圧装置28の押圧棒38、40による押圧力は、押圧棒38、40の押圧面38a、40aの直線状に押し出される距離で決まるので、調整が簡単であり、分かりやすいものとすることができる。
【0042】
尚、以上の実施形態では、押圧棒38、40の調整を手動で簡単に行うことができるものとして説明したが、これに限るものではなく、押圧棒38、40を自動的に調整することも可能である。例えば、引出ローラ26の下流に、ラダーコードの各垂直コードにおける中段コードのピッチを測定する測定器を設けコントローラに接続し、コントローラに接続されたアクチュエータを押圧棒に連結し、測定器によって、各垂直コードにおける中段コードのピッチを求め、コントローラで左右のピッチ差と設定ピッチ差とを比較し、その比較結果に応じて、アクチュエータによって押圧棒を自動的に前進または後退させる構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
10 ラダーコード
10a、10b 垂直コード
10c 中段コード
20 製造装置
24 熱加工装置
26 引出ローラ
28 押圧装置
38、40 押圧棒
38a、40a 押圧面
図1
図2
図3
図4
図5
図6