特許第5991907号(P5991907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991907
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】テープ先端処理装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20160901BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   H05K13/00 F
   H05K13/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-264491(P2012-264491)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-110340(P2014-110340A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】500548884
【氏名又は名称】ハンファテクウィン株式会社
【氏名又は名称原語表記】HANWHA TECHWIN CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 公幸
(72)【発明者】
【氏名】宮原 清一
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−296637(JP,A)
【文献】 特開2007−295002(JP,A)
【文献】 特開平11−040984(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/071896(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
B65H 41/00
B65B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を長手方向に間隔をおいて保持するキャリアテープと、このキャリアテープに保持された複数の部品を覆うように当該キャリアテープにその長手方向に沿って接着されたカバーテープとを有する部品供給用テープの先端部分において、前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させるテープ先端処理装置であって、
前記部品供給用テープの先端部分を位置決めする位置決め手段を有する第1部材と、
この第1部材に位置決めされた前記部品供給用テープの先端部分近傍を当該第1部材との間で挟んで保持する第2部材と、
前記先端部分近傍が前記第1部材及び前記第2部材に挟まれ保持された状態で、前記キャリアテープと前記カバーテープの接着部分の界面に沿って摺動する剥離部材とを有するテープ先端処理装置。
【請求項2】
前記剥離部材は、前記部品供給用テープの長手方向と直交する方向に摺動する請求項1に記載のテープ先端処理装置。
【請求項3】
前記剥離部材は、前記第1部材と前記第2部材とで前記部品供給用テープの先端部分近傍を挟んで保持する第1動作の後、更に第1部材と前記第2部材とで前記部品供給用テープの先端部分近傍を挟み込む第2動作と連動して摺動する請求項1又は2に記載のテープ先端処理装置。
【請求項4】
前記剥離部材は、前記第1部材と前記第2部材との間に介在させたリンク部材に連結されており、前記リンク部材が前記第2動作と連動して動作し、このリンク部材の動作により前記剥離部材が摺動する請求項3に記載のテープ先端処理装置。
【請求項5】
前記位置決め手段は、前記キャリアテープをピッチ送りするために当該キャリアテープの側部に長手方向に沿って一定間隔で複数形成された送り孔に嵌り込む位置決めピンからなる請求項1〜4のいずれかに記載のテープ先端処理装置。
【請求項6】
前記剥離部材は、前記送り孔が形成された側部から他の側部に向けて、前記部品供給用テープの長手方向と直交する方向に摺動する請求項5に記載のテープ先端処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として電子部品実装装置に使用されるテープフィーダに装着される部品供給用テープ(以下、単に「テープ」ともいう。)の先端部分において、部品を保持するキャリアテープに接着されたカバーテープを剥離させるテープ先端処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置において、移載ヘッドのノズルのピックアップ位置に電子部品を供給する方法として、テープフィーダを用いる方法が知られている。この方法は、電子部品を保持する部品供給用テープを供給リールから引き出し、電子部品の実装タイミングに同期させてピッチ送りしてノズルに供給するものである。部品供給用テープは、電子部品を保持するキャリアテープテープと、電子部品の保護と脱落防止のためにその電子部品を覆うようにキャリアテープの上面に接着(貼着)されたカバーテープとからなり、カバーテープはピックアップ位置に送られる手前でキャリアテープの上面から剥離される。そのため、従来一般的なテープフィーダは、そのテープ走行経路内にキャリアテープからカバーテープを剥離させるためのカバーテープ剥離機構を有する(例えば特許文献1)。
【0003】
このカバーテープ剥離機構により、テープ走行中に連続的にキャリアテープからカバーテープを剥離させることができる。しかし、テープの自動セッティング時などに新しいテープをテープフィーダに装着する場合、上記のカバーテープ剥離機構によっては新しいテープの先端部分においてキャリアテープからカバーテープを剥離させることは困難であり、予め、テープの先端部分においてキャリアテープからカバーテープを剥離させておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−156220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、部品供給用テープの先端部分においてキャリアテープからカバーテープを容易に剥離させることができるテープ先端処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、複数の部品を長手方向に間隔をおいて保持するキャリアテープと、このキャリアテープに保持された複数の部品を覆うように当該キャリアテープにその長手方向に沿って接着されたカバーテープとを有する部品供給用テープの先端部分において、前記キャリアテープから前記カバーテープを剥離させるテープ先端処理装置であって、前記部品供給用テープの先端部分を位置決めする位置決め手段を有する第1部材と、この第1部材に位置決めされた前記部品供給用テープの先端部分近傍を当該第1部材との間で挟んで保持する第2部材と、前記先端部分近傍が前記第1部材及び前記第2部材に挟まれ保持された状態で、前記キャリアテープと前記カバーテープの接着部分の界面に沿って摺動する剥離部材とを有するテープ先端処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1部材にて部品供給用テープの先端部分を位置決めした上で、その先端部分近傍を第1部材と第2部材とで挟んで保持し、その状態で剥離部材がキャリアテープとカバーテープの接着部分の界面に沿って摺動するので、部品供給用テープの先端部分においてキャリアテープからカバーテープを容易に剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のテープ先端処理装置の一実施形態を示す部分透視斜視図である。
図2図1のテープ先端処理装置の動作を示す縦断面図である。
図3図2に示す動作において剥離部材の動作を概念的に示す斜視図である。
図4図2に示す動作において剥離部材の動作を概念的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明のテープ先端処理装置の一実施形態を示す部分透視斜視図である。同図に示すテープ先端処理装置は、第1部材10と、この第1部材20に対して開閉可能に連結された第2部材20とを有する。具体的には、ヒンジ部30を介して第1部材20に対して第2部材20が開閉可能に連結されている。そして、ヒンジ部30による連結部分には板バネ40が装着されおり、この板バネ40の作用により、常時は、第2部材20は第1部材10に対して開いた状態となる。
【0011】
第1部材10の先端部分には、部品供給用テープ50の先端部分を位置決めする位置決め手段として2本の位置決めピン11が設けられている。部品供給用テープ50は、複数の部品を長手方向に間隔をおいて保持するキャリアテープ51と、このキャリアテープ51に保持された複数の部品を覆うように当該キャリアテープ51にその長手方向に沿って接着されたカバーテープ52とからなる。キャリアテープ51の一方の側部には、テープフィーダにおいてキャリアテープ51をピッチ送りするために長手方向に沿って一定間隔で複数の送り孔51aが形成されている。この送り孔51aに第1部材10の位置決めピン11を嵌め込むことで、部品供給用テープ50の先端部分が位置決めされる。なお、キャリアテープ51の送り孔51aの上面部分は、カバーテープ51で覆われることなく露出している。
【0012】
リンク部材60が、第1部材10と第2部材20との間に介在するように設けられている。リンク部材50はL字型をなし、そのL字型の屈曲部分が第2部材20側に取り付けられた支持軸61で支持されることにより、支持軸61周りに回転可能に取り付けられている。
【0013】
リンク部材60に剥離部材70が連結されている。具体的には、剥離部材70の基端側に設けた貫通孔70aにリンク部材60の先端を挿入することにより、リンク部材60に剥離部材70が連結されている。剥離部材70は第2部材20側に、第2部材20の基端側と先端側を結ぶ線分に沿って摺動可能に装着されている。剥離部材70の基端側と第2部材20の基端側との間には引張りバネ71が装着されており、この引張りバネ71の作用により、常時は、剥離部材70は第2部材20の基端側に位置する。また、剥離部材70の摺動をガイドするために第2部材20側にガイド部材72が固定されており、このガイド部材72を剥離部材70に設けた摺動方向に長い長孔70b内に位置させることで、ガイド部材72により剥離部材70の摺動がガイドされる。
【0014】
図2は、図1のテープ先端処理装置の動作を示す縦断面図である。図3及び図4図2に示す動作において剥離部材の動作を概念的に示す説明図で、図3は斜視図、図4は平面図である。
【0015】
まず、図1で説明したように、キャリアテープ51の送り孔51aに第1部材10の位置決めピン11を嵌め込むことで、部品供給用テープ50の先端部分を位置決めする(図2(a))。次いで、第2部材20を第1部材10側に閉方向に移動させ、第1部材10の先端部分と第2部材20の先端部分とで、部品供給用テープ50の先端部分近傍を挟んで保持する(第1動作:図2(b))。このときの部品供給用テープ50と剥離部材70との位置関係を概念的に示すと図3(a)及び図4(a)のとおりである。なお、図3及び図4において符号αはキャリアテープ51とカバーテープ52との基準側の接着部を示し、符号βは従属側の接着部を示す。
【0016】
上記第1動作の後、更に第1部材10と第2部材20とで部品供給用テープ50の先端部分近傍を挟み込む(第2動作:図2(c))。この第2動作と連動して、剥離部材70が図3(b)及び図4(b)に示すように、部品供給用テープ50の先端部分においてキャリアテープ51の送り孔51aが形成された一方の側部から他方の側部に向けて、部品供給用テープ50の長手方向と直交する方向に摺動する。すなわち、上記第2動作の過程で、図2(c)に示ようにL字状のリンク部材60の先端が第1部材の上面に接触し、更に挟み込む動作を行うと、リンク部材60の他端が第2部材20で押されることによりリンク部材60が支持軸61周りに回転し、リンク部材60の先端が第2部材20の先端側に向けて移動する。これにより、剥離部材70が引張バネ71のバネ力に抗して第2部材20の先端側に向けて部品供給用テープ50の長手方向と直交する方向に摺動する。この剥離部材70の摺動動作により図3(b)及び図4(b)に概念的に示すように、剥離部材70の先端がキャリアテープ51の上面を滑り、カバーテープ52の側部を押して接着部αを剪断しカバーテープ52を剥離させる。言い換えれば、剥離部材70がキャリアテープ51とカバーテープ52の接着部分の界面に沿って摺動し、キャリアテープ51からカバーテープ52を剥離させる。
【0017】
その後、部品供給用テープ50を挟む力を解除すると、図1で説明した板バネ40の作用により、第2部材20が第1部材10から離れる開方向に移動し、これに伴い、剥離部材70は引張バネ71の作用により摺動し、第2部材20の基端側の初期位置に戻る。
【0018】
なお、図2において符号80で示す部材は補助剥離部材であり、この補助剥離部材80を使用して、手動でキャリアテープ51からカバーテープ52を剥離させることもできる。
【0019】
ここで、上述の第1動作及び第2動作において、第1部材10と第2部材20とで部品供給用テープ50の先端部分近傍を挟む際は、剥離部材70の摺動を妨げないようにすることは当然である。すなわち、「先端部分近傍」は剥離部材70の摺動を妨げない範囲の先端部分近傍であれば良く、技術常識の範囲で規定され得る。
【符号の説明】
【0020】
10 第1部材
11 位置決めピン(位置決め手段)
20 第2部材
30 ヒンジ部
40 板バネ
50 部品供給用テープ
51 キャリアテープ
51a 送り孔
52 カバーテープ
60 リンク部材
61 支持軸
70 剥離部材
70a 貫通孔
70b 長孔
71 引張バネ
72 ガイド部材
80 補助剥離部材
図1
図2
図3
図4