【実施例】
【0023】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
(各樹脂の製造)
各樹脂の製造においては以下の分析条件に基づき分析を行った。
【0025】
<軟化点>
軟化点はJIS ゜K5902に基づいた環球法にて測定した。
【0026】
<残存溶媒>
「残留モノマー、残留溶媒の測定」
残留モノマー及び残留溶媒については、以下の条件に基づくガスクロマトグラフィーにより定量を行った。
使用機器 :島津製作所社製 ガスクロマトグラフ GC−14B
カラム :ガラスカラム外径5mm×内径3.2mm×長さ3.1m
充填剤 :充填剤 Silicone OV−17 10% Chromosorb WHP 80/100mesh, max.temp.340℃
カラム温度:80℃→280℃
気化室温度:250℃
検出器温度:280℃
検出器 :FID
キャリアー:N
2(40ml/min)
燃焼ガス :水素(60kPa), 空気(60kPa)
注入量 :2μL
樹脂架橋剤1g、標品としてアニソール0.05gをアセトン10mLに溶解させ上記条件にて分析した。内部標準法(GC−IS法)により、樹脂中の残留溶媒、残留モノマーの含有量(%)を測定した。
なお、実施例および比較例の本文中に記載した含有量(%)は、特に断りのない限り重量パーセントとして表すものとする。
【0027】
<実施例1 樹脂Aの合成>
還流冷却機および温度計を備えた4つ口フラスコにp−tert−オクチルフェノール800g(3.8モル)とトルエン500gを仕込み、一塩化イオウ630g(4.7モル)をフラスコ内の内温を70〜80℃に保持しつつ5時間で滴下し、滴下終了後内温を120℃に上昇させ3時間保温した。得られた反応液にクマロン樹脂としてRutgers社製NovaresC10を94gを加えたのち減圧下において溶媒及び未反応モノマーを除去し、p−tert−オクチルフェノール塩化硫黄共縮合樹脂組成物(樹脂Aと称する)1170gを得た。得られた樹脂の軟化点、残存溶媒量、残存モノマー量について表1に示す。
【0028】
<実施例2 樹脂Bの合成>
還流冷却機および温度計を備えた4つ口フラスコにp−tert−オクチルフェノール1000g(4.8モル)とトルエン1000gを仕込み、一塩化イオウ864g(6.4モル)をフラスコ内の内温を70〜80℃に保持しつつ5時間で滴下し、滴下終了後内温を120℃に上昇させ3時間保温する。得られた反応液にクマロン樹脂としてRutgers社製NovaresC100,173gを加えたのち減圧下において溶媒及び未反応モノマーを除去し、p−tert−オクチルフェノール塩化硫黄共縮合樹脂組成物(樹脂Bと称する)1530gを得た。得られた樹脂の軟化点、残存溶媒量、残存モノマー量について表1に示す。
【0029】
<比較例1 樹脂Cの合成>
還流冷却機および温度計を備えた4つ口フラスコにp−tert−オクチルフェノール800g(3.8モル)とトルエン500gを仕込み、一塩化イオウ630g(4.67モル)をフラスコ内の内温を70〜80℃に保持しつつ5時間で滴下し、滴下終了後内温を120℃に上昇させ3時間保温した。得られた反応液にパラフィン系プロセスオイル94gを加えたのち減圧下において溶媒及び未反応モノマーを除去し、p−tert−オクチルフェノール塩化硫黄共縮合樹脂(樹脂Dと称する)1190gを得た。得られた樹脂の軟化点、残存溶媒量、残存モノマー量について表1に示す。
【0030】
<比較例2 樹脂Dの合成>
還流冷却機および温度計を備えた4つ口フラスコにp−tert−オクチルフェノール800g(3.9モル)とトルエン470gを仕込み、一塩化イオウ970g(7.2モル)をフラスコ内の内温を70〜80℃に保持しつつ5時間で滴下し、滴下終了後内温を120℃に上昇させ3時間保温した。得られた反応液にクマロン樹脂を添加することなく減圧下において溶媒及び未反応モノマーを除去し、p−tert−オクチルフェノール塩化硫黄共縮合樹脂(樹脂Eと称する)1250gを得た。得られた樹脂の軟化点、残存溶媒量、残存モノマー量について表1に示す。
【0031】
<比較例3 樹脂Eの合成>
還流冷却機および温度計を備えた4つ口フラスコにp−tert−オクチルフェノール800g(3.8モル)とトルエン500gを仕込み、一塩化イオウ630g(4.67モル)をフラスコ内の内温を70〜80℃に保持しつつ5時間で滴下し、滴下終了後内温を120℃に上昇させ3時間保温した。その後、減圧下において溶媒及び未反応モノマーを除去しようとした所、除去中に反応マスが固化し完結できなかった。
【0032】
<参考例 樹脂F>
市販されているp−tert−オクチルフェノール塩化硫黄共縮合樹脂として、田岡化学工業株式会社製V−200を樹脂Fとしてそのまま使用した。
【0033】
<ブロッキング性評価>
ブロッキング試験は、各実施例、比較例及び参考例で得られた固形樹脂を一片約0.5cm程度のフレーク状粉末に粉砕したものを試料として、ポリエチレン製容器底から1cm程度になるように充填し、容器蓋を開放した状態で温度40℃、湿度95%RHの条件下で168時間放置し、以下評価基準に基づき評価を行った。
【0034】
<ブロッキング性評価基準>
樹脂微粉末同士のブロッキング状態を目視で観察し、次の評価基準に基づきブロッキング性を評価した。結果を表1に示す。
◎:ブロッキングなし、○:指先で潰せば軽くほぐれる程度のブロッキング、△:一部ブロッキングが認められる、×:全体的にブロッキングが認められる。
【0035】
<評価用未加硫ゴムシートの作成>
下記配合のゴムコンパウンド400gを 関西ロール社製の6インチオープンロールを用いて設定温度0℃、10分混練で作成した。
<配合>
スチレン・ブタジエンゴム(SBR)(JSR社製 JSR1502)70重量部
ブタジエンゴム(BR)(宇部興産社製 BR150B) 30重量部
シリカ(東ソー・シリカ社製 VN3) 50重量部
カーボンブラック(昭和キャボット社製 N330) 5重量部
シランカップリング剤(デグザ社製 Si69) 5重量部
老化防止剤(大内新興化学工業社製 ノクラック6C) 2重量部
酸化亜鉛(堺化学社製) 3重量部
ステアリン酸(日本油脂製) 2重量部
加硫促進剤(大内新興化学工業社製 CZ−G) 3重量部
不溶性硫黄(フレキシス社製 クリステックスHS OT−20) 2重量部
p−tert−オクチルフェノール塩化硫黄共縮合樹脂(樹脂A〜F)2重量部
【0036】
<スコーチタイム>
東洋精機製作所製ムーニー粘度計(Lローター)にて、評価用未加硫ゴムシートの130℃におけるt
5をスコーチタイムとして測定した。
【0037】
<ゴム物性評価方法>
(転がり抵抗;tanδ(70℃))
ゴム物性評価用加硫試験片は160℃で20分間加圧し作成した厚さ2mmの加硫ゴムシートより、50mm×5mmを切り出して作成した。
加硫試験片の動的粘弾性を、セイコーインスツルメンツ(株)製動的粘弾性測定装置にて、初期歪み1%、振幅±0.2%、周波数10Hzで測定し、温度70℃(昇温速度:2℃/分)におけるtanδを求めた。
【0038】
<ゴム物性評価基準>
参考例である樹脂Fの各評価結果に対して、それぞれの樹脂架橋剤を使用した際の評価結果を、次の評価基準に基づき、評価結果を相対評価した。
tanδ(粘弾性特性に関する値。値が低いほうが粘弾性特性が良好となる。)
参考例に比べ上昇:×
5%未満の低下:○
5%以上の低下:◎
【0039】
【表1】