特許第5991962号(P5991962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5991962固体材料表面を自己集合性又は自己凝集性のシクロデキストリンで機能化する方法及びその製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991962
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】固体材料表面を自己集合性又は自己凝集性のシクロデキストリンで機能化する方法及びその製品
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/16 20060101AFI20160901BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20160901BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20160901BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20160901BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20160901BHJP
   D06M 15/03 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   C08B37/16
   A61K9/70
   A61Q13/00 102
   A61K47/40
   A61K8/73
   D06M15/03
【請求項の数】9
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-506491(P2013-506491)
(86)(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公表番号】特表2013-529229(P2013-529229A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】DK2011050130
(87)【国際公開番号】WO2011134469
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月15日
(31)【優先権主張番号】PA201070168
(32)【優先日】2010年4月26日
(33)【優先権主張国】DK
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512277976
【氏名又は名称】オールボー・ウニヴェルシテート
【氏名又は名称原語表記】AALBORG UNIVERSITET
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン,キム・ランベルツェン
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン,ロンニィ
(72)【発明者】
【氏名】ストイルベク,カレン・エステルゴー
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101235103(CN,A)
【文献】 特開2009−013547(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102007043323(DE,A1)
【文献】 特表2008−530387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 37/16
A61K 8/73
A61K 9/70
A61K 47/40
A61Q 13/00
D06M 15/03
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体材料表面を自己集合性シクロデキストリン及び/又は自己凝集性シクロデキストリンで機能化する方法であって、下記:
a)少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)前記シクロデキストリンを吸着するために、固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程を含み;
ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)式中、R4〜8個の炭素の直鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、1である]に修飾されており、
ここで、前記溶媒は水及びエタノールからなる群より選択され;そして
ここで、吸着溶液中の溶媒系のスナイダー極性指数(P’)が、9未満である、方法。
【請求項2】
方法が、更なる工程:
c)機能化された固体材料表面を乾燥させる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
固体材料表面を自己集合性シクロデキストリン及び/又は自己凝集性シクロデキストリンで機能化する方法であって、下記:
a)少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程;
c)前記シクロデキストリンを吸着するために、機能化された固体材料表面を少なくとも1つの第2の溶媒と接触させる工程を含み;
ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)式中、
4〜8個の炭素の直鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、1である]に修飾されており、
ここで、前記第1の溶媒は、水であり、そして前記第2の溶媒は、エタノールであり;そして
ここで、吸着溶液中の溶媒系のスナイダー極性指数(P’)が、9未満である、方法。
【請求項4】
方法が、更なる工程:
工程b)後に及び/又は工程c)後に、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンの親水性−親油性バランス(HLB)が、3〜18の範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
吸着溶液が少なくとも2つの溶媒を含み、最も高い個別のスナイダー極性指数を有する溶媒を1つ以上の更なる溶媒と混合したとき、吸着溶液中の溶媒系のスナイダー極性指数(P’)が2〜85%減少する、請求項1〜のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
吸着溶液が、修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンの混合物を含む、請求項1〜のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
固体材料表面が、ナイロン表面、ポリサッカライド表面、ポリエチレン表面、ポリプロピレン表面、シリカオキシド表面、プラスチック表面、木材表面、ガラス表面、セラミック表面、織物表面、金属表面及び紙表面からなる群より選択される、請求項1〜のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンの少なくとも5%が、少なくとも1つのゲスト分子と錯体を形成する、請求項1〜のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、固体材料表面を自己集合性シクロデキストリンで機能化する方法に関する。特に、本発明は、自己集合性シクロデキストリンの多分子層でコーティングされた固体材料に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
シクロデキストリン(CD)は、多種多様な分子とともに包接錯体を形成する能力で知られている巨大分子である。CDの研究分野における最近の関心領域は、機能的な固体材料表面を達成するためにCDを用いた固体材料のコーティングである。
【0003】
固体材料へのCDの固定は多くの方法で達成することができる。固定は、固体材料に対する、弱いファン・デル・ワールス(van der Waal)相互作用から共有結合的グラフト法までの範囲に亘ることができる。共有結合的グラフト法は、かなりの注目を集めていたのに対し、非共有結合的グラフト法はあまり注目を集めていなかった。
【0004】
Cristianoらの論文(Langmuir 2007, 23, 8944-8949)は、疎水性及び親水性の固体材料表面上にβ−シクロデキストリン(β−CD)小胞の吸着及び拡散をさせるための方法を開示しており、該方法は、二分子層小胞から平面分子の単分子層又は二分子層への転移を含む。CD小胞は、親水性、非イオン性の固体材料表面ではなく、疎水性及びカチオン性の固体材料表面との相互作用を好む。疎水性の固体材料表面へのCD小胞の吸着は、CD層のアルキル鎖が疎水性の固体材料表面を覆い、且つ親水性部分を水溶液に曝したままにしておく、CDの固体支持単分子層をもたらす。カチオン性固体材料表面へのCD小胞の吸着は、CDの固体支持二分子層をもたらす。またこの場合、CDの親水性表面は、溶液に曝される。支持層は、CDのホスト空洞内での包接により適切なゲスト分子を結合することができる超分子構造基盤として機能する。しかし、この方法の単分子層及び二分子層への制限のせいで、例えば、高負荷なゲスト分子を得るためにより厚いCD層を必要とする繊維業界にとっては、この方法は不適切である。
【0005】
WO 02/077000は、シクロデキストリンのような大環状オリゴ糖誘導体について開示しており、そこで、大環状分子を作り上げているサブユニットが修飾されて、大環状分子が適切な溶媒中で自己集合して、複数の大環状単位からなる伸張した集合体を形成することを可能にする。これらの伸張した集合体は、治療薬のようなゲスト分子を被包する能力を有しており、そして様々な化合物の可溶化のためにホストとして使用することができる。しかし、大環状オリゴ糖誘導体を固体材料表面にグラフトさせる方法は、開示されていない。
【0006】
シクロデキストリンでの表面の修飾のための幾つかの方法は、先行技術で提示されているが、しかしわずかに幾つかの方法だけが、単分子層と比較して、後に大容量を有するシクロデキストリンの多分子層を創製することを目的としている。多分子層は、表面を覆うポリマーマトリックス中にシクロデキストリンの物理的な封入による(WO 2009/033635に開示されているように)か、或いは、例えばシクロデキストリンからの織物繊維の周りに、反応性シクロデキストリン誘導体の使用による(JP 2009013547)か、又は化学的架橋の使用のいずれかにより物理的に固定したポリマーを形成することによって、達成することができる。いずれの手法も、時間のかかかる処理及び化学反応体の使用を必要とし、それゆえ大規模生産又は表面のコーティングに適切ではない。
【0007】
したがって、固体材料表面への非共有結合的グラフト法は、有利である。
【0008】
発明の概要
本発明は、化学反応の必要を回避し、且つ様々な有利な点を提供する、両親媒性CDの表面への物理的吸着に関する。
【0009】
したがって、本発明の一つの態様は、固体材料表面を自己集合性シクロデキストリンで機能化する方法であって、下記:
a)少なくとも1つの修飾されたシクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程;
c)場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程を含み、
該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されていることを特徴とし、ここで、少なくとも1つの溶媒は極性である、方法に関する。
【0010】
本発明の別の態様は、本発明の方法により得ることができる機能化された固体材料に関する。
【0011】
本発明の別の態様は、固体材料の表面が1つ以上の修飾されたシクロデキストリンの少なくとも0.01g/m2を含有することを特徴とする、機能化された固体材料に関し、ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されている。
【0012】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの修飾されたシクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)R[式中、Rは、1〜50個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されていることを特徴とし、ここで、少なくとも1つの溶媒は極性である、吸着溶液を提供することである。
【0013】
本発明のなお別の態様は、修飾されたシクロデキストリンであって、
ここで、
該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)Rであり、
Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数であり、そして
該修飾されたシクロデキストリンは、対応する未修飾のシクロデキストリンを実質的に含まない、
修飾されたシクロデキストリンを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】異なる濃度を用いて、(C4)修飾された自己集合性β−CDのPP不織布繊維中に吸着された量を示す。それらの相関関係をよりよく示すために、濃度をlogにより目盛り付けする。比較のために、同一のPP不織布繊維中に吸着された未修飾β−CDの量も示す。
図2】変化するEtOH/水の比(vol/vol)の関数として、(C4)修飾された自己集合性β−CDのPP不織布繊維に吸着された量を示す。各点について、2片のPP不織布の最小値を使用し、各PP片は少なくとも2回測定した。
図3】変化するEtOH/水の比(vol/vol)の関数として、(C6)修飾された自己集合性β−CDのPP不織布繊維に吸着された量を示す。各点について、2片のPP不織布の最小値を使用し、各PP片は少なくとも2回測定した。
図4】変化するEtOH/水の比(vol/vol)の関数として、(C8)修飾された自己集合性β−CDのPP不織布繊維に吸着された量を示す。各点について、2片のPP不織布の最小値を使用し、各PP片は少なくとも2回測定した。
図5】本発明における使用のためのパイロットラインのモデルを示す。
【0015】
これより本発明を、以下により詳細に説明する。
【0016】
発明の詳細な記載
前述のように、例えば、繊維業界にとって、繊維表面により厚いCD層を得てより高負荷なゲスト分子を得ることは有用であると思われる。したがって、繊維上に及び一般的な固体材料表面に生成されたCD層の厚みを増すことは興味深いことである。よって、本発明は、固体材料表面へのCD多分子層を得るための方法を提供する。
【0017】
本明細書において、「固体材料表面」という用語は、固体材料の、すなわち材料がその固体状態にある、任意の表面に関する。固体材料の例は:プラスティック、木材、ガラス、セラミック、繊維、金属及び紙である。
【0018】
ゲスト分子との錯体を形成する能力は、CDの決定的な特性である。包接錯体は、例えばベンゼンのような小分子の包接から、例えばタンパク質のような大きな巨大分子構造まで様々である。大きな巨大分子構造では、CDは、その空洞に立体的に収まることができる疎水性基のような構造の小さな部分とのみ包接錯体を形成することができる。
【0019】
「シクロデキストリン」及び「CD」という用語は、本出願を通して互換可能に使用される。CDは、1,4α−結合したグルコピラノース単位が結合した環で構成されている。グルコピラノースの数でシクロデキストリンの種類が決まり、最も一般的なものは、それぞれα−、β−、及びγ−CDと呼ばれる6、7又は8単位を有する。それらの構造は、サイズ以外は似ているようにみえるが、三つの異なるCDは異なる特性を有する。それらの特性の概要を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
表1から分かるように、異なるCDは、様々な特性を有しており、最も注目すべきは、異なる溶解度及び水和HOのそれらの数字である。サイズはα、β、そして次にγ CDの順に大きくなるのに対して、溶解度は、β、α、そして次にγ CDの順に大きくなるので、異なる特性は、サイズだけから説明することはできない。異なる溶解度の説明は、CD中に存在するヒドロキシル基及びそれらの特別な配置に見出される。狭端は、個々のグルコピラノース分子のC6の第1ヒドロキシル基から成り、それらは自由回転を有し、それにより狭端の形成をもたらす。狭端は、第一級末端と表される。広めの端は、個々のグルコピラノース分子の第2ヒドロキシル基から成り、これは、広めの端に2倍のヒドロキシル基があることを意味する。広端は、第二級末端と呼ばれる。CDの3種類全てのCDの空洞の内側は、分子が非常に多数のヒドロキシル基を有しているにもかかわらず、水よりも疎水性である。疎水性は、ヒドロキシル基がCDの「周縁」上に置かれ、CDの中心にはより疎水性である水素を有する、CDの環状の性格からもたらされる。
【0022】
本発明の好ましい実施態様において、修飾されたCDは、修飾されたβ−CDである。
【0023】
本発明者らは、吸着溶液の成分を制御することによって、固体材料表面に自己集合性シクロデキストリンの多分子層を形成する方法を見出した。
【0024】
本明細書において、「自己集合性シクロデキストリン」という用語は、規則正しいナノ構造中に自発的に集合するシクロデキストリンに関する。
【0025】
本明細書において、「自己凝集性シクロデキストリン」という用語は、不規則/無秩序なナノ構造中に自発的集合に集合するシクロデキストリンに関する。
【0026】
本明細書において、「多分子層」という用語は、3層以上のように、2より多い要素の層に関し、単分子層又は二分子層は含まない。
【0027】
本明細書において、「極性」という用語は、電気双極子を有する分子を導く電荷の分離を指す。
【0028】
本明細書において、「繊維表面」という用語は、天然又は人工繊維の網状組織から成る可撓性材料から形成された表面に関する。網状組織は、織布及び不織布の両方であることができる。
【0029】
本発明の方法の一つの態様において、自己集合性シクロデキストリンを第1溶媒に溶解する。次に1つ以上の更なる溶媒を加えて、吸着溶液/懸濁液を形成する。
【0030】
別の態様において、自己集合性及び/又は自己凝集性のシクロデキストリンを少なくとも1つの溶媒に溶解して、吸着溶液/懸濁液を形成する。
【0031】
本発明者らは、吸着溶液が自己集合性シクロデキストリンのミセル又は凝集体を含む場合、最も厚いコーティング層を達成することを示した。コーティングは、未変性のCDで達成されるコーティングよりも3〜4倍高いけれども、吸着溶液が透明である場合、コーティングはほんの少ししか達成されないという立証が実験の部分において見出せる。溶媒組成が5v/v%〜35v/v%(EtOH/水)に達するまで、最初に、修飾された自己集合性β−CDをエタノールに溶解し、次に水を加える場合、得られた溶液は不透明である。更に、前述の濃度範囲内で、最大コーティングパーセントを達成する。該不透明溶液は、ミセル又は凝集体の形態の修飾された自己集合性β−CDであると見込まれる。
【0032】
好ましい実施態様において、1つ以上の更なる溶媒の添加は、前記吸着溶液中の自己集合性シクロデキストリンのミセル又は凝集体の形成をもたらす。いかなる特定の理論によっても縛られることなく、形成されたミセル又は凝集体は、熱力学的に不安定であること、且つこれは、固体材料表面への自己集合性シクロデキストリンの吸着のための駆動力であることが考察される。懸濁液が不安定であればあるほど、固体材料表面への吸着のための駆動力が大きい。したがって、不安定な吸着溶液は、コーティングにとって最適であると推測される。
【0033】
ミセル又は凝集体を形成するCDの能力は、CDの化学修飾によって制御することができる。これは、1個以上のヒドロキシル基を、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜10個、4〜9個、又は4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖を有する脂肪族のエーテル類又はエステル類のような親水性がより小さい基に変換することによって、実施することができる。
【0034】
本発明は、固体材料表面を自己集合性シクロデキストリンで機能化する方法であって、下記:
a)少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程;
c)場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程を含み、
該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されていることを特徴とし、ここで、少なくとも1つの溶媒は極性である、方法に関する。場合により、鎖は、ハロゲン、アルコール、エーテル、カルボン酸又は他の官能基を含み得る。
【0035】
本発明の別の態様は、固体材料表面を自己集合性シクロデキストリンで機能化する方法であって、下記:
a)少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程;
c)場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程を含み、
該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(NH)R[式中、Rは、1〜50個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されていることを特徴とし、ここで、少なくとも1つの溶媒は極性である、方法に関する。
【0036】
本発明の更に別の態様は、固体材料表面を自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンで機能化する方法であって、下記:
a)少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程;
c)場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程;
或いは
a)少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程;
c)場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程;
d)場合により、機能化された固体材料表面を少なくとも1つの溶媒と接触させる工程;
e)但し、工程d)を用いるならば、場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程を含み、
ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)、−NR、−SR、−N−COR、又は−O−(CO)OR[式中、
、Rは、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択され;
及びRは、場合により、架橋員Yと結合しており、それにより1つ以上の環を形成し、
は、結合、又はC1−12アルキル、又はアリール、1〜3つの環を有する炭素環式、複素環式もしくは複素芳香族の構造(各環は3〜8の環員、及び0〜4個のヘテロ原子を有する)、又はヘテロアルキル(N、O、S、S(O)1−2からなる群より選択される1〜12個のヘテロ原子又はカルボニルを含む)であり、そして
nは、1〜12の間の整数である]に修飾されている、方法に関する。
【0037】
本発明の更に別の態様は、固体材料表面を自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンで機能化する方法であって、下記:
a)少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液を提供する工程;
b)固体材料表面を吸着溶液と接触させる工程;
c)場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程;
d)場合により、機能化された固体材料表面を少なくとも1つの溶媒と接触させる工程;
e)但し、工程d)を用いるならば、場合により、機能化された固体材料表面を乾燥させる工程を含み、
ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)、−NR、−SR、−N−COR、又は−O−(CO)OR[式中、
、Rは、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択され;
及びRは、場合により、架橋員Yと結合しており、それにより1つ以上の環を形成し、
は、結合、又はC1−12アルキル、又はアリール、1〜3つの環を有する炭素環式、複素環式もしくは複素芳香族の構造(各環は3〜8の環員、及び0〜4個のヘテロ原子を有する)、又はヘテロアルキル(N、O、S、S(O)1−2からなる群より選択される1〜12個のヘテロ原子又はカルボニルを含む)であり、そして
nは、1〜12の間の整数である]に修飾されている、方法に関する。
【0038】
好ましい実施態様において、Rの目的は、自己集合性、及びミセル又は凝集体の形成を推進することである。
【0039】
好ましい実施態様において、R及びRの目的は、表面に該シクロデキストリンの自己集合性又は自己凝集性層を提供することである。
【0040】
本発明の一つの実施態様において、吸着溶液中の少なくとも2つの溶媒のうちの1つの溶媒は、該吸着溶液中の自己集合性シクロデキストリンのミセル又は凝集体の形成を推進するために、溶媒系の極性を下げるために存在する。
【0041】
本発明の特定の実施態様において、吸着溶液中の溶媒系のスナイダー極性指数(Snyder polarity index)(P’)は、最も高い個別のスナイダー極性指数を有する溶媒を1つ以上の更なる溶媒と混合したとき、2〜20%減少又は21〜35%減少(例えば、5〜15%減少又は25〜30%減少)のように、2〜35%減少する。
【0042】
本発明の別の実施態様において,吸着溶液中の溶媒系のスナイダー極性指数(P’)は、最も高い個別のスナイダー極性指数を有する溶媒を1つ以上の更なる溶媒と混合したとき、5〜70%減少又は10〜65%減少(例えば、15〜60%減少又は35〜50%減少)のように、2〜85%減少する。
【0043】
本明細書において、「スナイダー極性指数」という用語は、Journal of Chromatography, 92 (1974) 223-230中にスナイダーによって定義されている指数に関する。溶媒系のスナイダー極性指数(P’)は、下記の方程式によって計算される:
P’=a(P’)+b(P’)+c(P’);
[式中、文字a〜cは、溶媒A〜Cの溶媒の体積分率を指し、そして(P’A−C)は、個別の溶媒A〜Cのスナイダー極性指数を指す]。方程式は、3つの溶媒に限定されるものではない。
【0044】
例1: P’(水中45%(vol/vol)エタノール)=a(P’)+bエタノール(P’エタノール)=0.55*(9)+0.45*(5.2)=7.29;
例2: P’(水中20%(vol/vol)エタノール)=a(P’)+bエタノール(P’エタノール)=0.80*(9)+0.20*(5.2)=8.24。
【0045】
本発明の更に別の実施態様において、吸着溶液中の溶媒系のスナイダー極性指数(P’)は、該吸着溶液中で自己集合性シクロデキストリンのミセル又は凝集体の形成を推進するために、0〜8.9の範囲(例えば0〜8.5)のように、0〜7.9の範囲(例えば0.5〜7.5)のように、1〜6.9の範囲(例えば1.5〜6.5)のように、2〜5.9の範囲(例えば2.5〜5.5)のように、3.5〜4.9の範囲(例えば4)のように、9未満である。
【0046】
本発明の自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンの親水性−親油性バランス(HLB)は、1954年にGriffinによって記載された方法によって測定することができる。それは、分子の異なる領域の値を計算することによって決定する、自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンがどれだけ親水性又は親油性であるかの程度の尺度である。
【0047】
1954年に記載されたGriffinの方法は、以下のように計算する:
HLB=20*Mh/M
[式中、Mhは、分子の親水性部分の分子量であり、そしてMは、総分子の分子量であり、0〜20の任意のスケールで結果を与える。HLB値=0は、完全な疎水性分子に相当し、そして値=20は、完全な親水性成分でできている分子に相当する]。
【0048】
本明細書において、未修飾のシクロデキストリン(α−、β−及びγ−CD)、すなわちヒドロキシル基上で任意の置換なしのシクロデキストリンは、親水性部分と考えられる。
【0049】
本発明の一つの実施態様において、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンの親水性−親油性バランス(HLB)は、4〜15の範囲内(例えば5〜13)のような、6〜11の範囲内(例えば7〜9)のような、3〜18の範囲内である。
【0050】
例1: エステル結合と結合したC16未分岐鎖状の置換β−CD(−O−(CO)C1531)(第二級側上の14個の鎖)は、以下:20×896/4472=4.0を与える。
【0051】
先に記載したように、未修飾のβ−CDの分子量は、1134である。β−CDを、例えば、上記の14個のC16未分岐鎖で置換する場合、親水性部分は、14個のヒドロキシル基を差し引かれる。したがって親水性部分の分子量は、1134−(14*17.01)=896である。未分岐C16鎖+エステル結合からの2個の酸素(−O−(CO)C1531)の分子量は、255.41である。したがって、分子量/総分子の質量は、896+(14*255.41)=4472である。
【0052】
例2: エステル結合と結合したC20未分岐鎖状の置換β−CD(−O−(CO)C1939)(第二級側上の14個の鎖)は、以下:20×896/5257=3.4を与える。
【0053】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、修飾されたシクロデキストリンの混合物を含む。
【0054】
本発明のなお別の実施態様において、固体材料表面は、繊維表面である。特定の実施態様において、繊維表面は、ナイロン表面、ポリサッカライド表面、ポリエチレン表面、及びポリプロピレン表面からなる群より選択される。別の実施態様において、固体材料表面は、シリカオキシド表面、ポリマー表面、セラミック表面、木材表面及び金属表面、又はそれらの混合物からなる群より選択される。目下好ましい実施態様において、固体材料表面は、ポリプロピレン(PP)表面である。用語「ポリプロピレン」及び「PP」という用語は、本明細書において互換可能に使用される。
【0055】
本発明のなお別の実施態様において、固体材料表面は、疎水性である。
【0056】
本発明の別の実施態様において、固体材料表面は、親水性である。
【0057】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、透明である。
【0058】
本明細書において、「透明」という用語は、濁度が濁度計/比濁計(例えばTN-100、Eutech Instruments製造)により、500ネフェロ分析濁度ユニット(Nephelometric Turbidity Units)(NTU)以下である状態を指す。
【0059】
本明細書において、「濁度」という用語は、個々の粒子(例えば、懸濁シクロデキストリン又はゲスト分子)に起因する吸着溶液の混濁又はかすみを指す。濁度の測定は、例えば水質の重要な試験である。吸着溶液は、多くの異なるサイズの粒子からなる懸濁した固体物質を含有していることができる。
【0060】
特定の実施態様において、透明な吸着溶液が固体材料表面に塗布された場合、吸着溶液中の溶媒系のスナイダー極性指数(P’)が自己集合性シクロデキストリンのミセル又は凝集体の形成にとって適切になるまで、溶媒の選択的蒸発が起こるであろう。
【0061】
本発明の別の実施態様において、自己集合性シクロデキストリンは、吸着溶液に、99%溶解するように、0.5〜99%溶解する(例えば95%溶解する)ように、5〜80%溶解する(例えば75%溶解する)ように、15〜60%溶解する(例えば45%する)ように、20〜40%溶解する(例えば30%溶解する)ように、部分的に溶解する。
【0062】
シクロデキストリンへのゲスト分子の添加は、吸着溶液中で混合して添加するか、又は固体材料表面上に多分子層が形成された後に別の工程として添加するかのいずれかであることができる。
【0063】
本発明の更に別の実施態様において、シクロデキストリン誘導体の5〜100%の範囲内のように、例えば10%、15〜95%の範囲内のように、例えば20%、30〜85%の範囲内のように、例えば40%、50〜75%の範囲内のように、例えば60%が、少なくとも1つのゲスト分子と錯体を形成するように、シクロデキストリン誘導体の少なくとも5%は、少なくとも1つのゲスト分子と錯体を形成する。
【0064】
一つの実施態様において、吸着溶液中のゲスト分子の量は、約0.1%w/w〜約15%w/w(約0.1%w/w〜約10%w/wのように、約0.1%w/w〜約5%w/wのように)の範囲内、約0.5%w/w〜約10%w/w(約1%w/w〜約5%w/wのように)の範囲内である。
【0065】
本発明の本発明者らは、多分子層の厚さを制御するために、修飾された自己集合性シクロデキストリンの炭素鎖の種類、吸着溶液中の修飾された自己集合性シクロデキストリンの濃度、及び吸着溶液の溶媒組成物が調整し得ることを見出した。
【0066】
本発明の一つの態様は、機能化された固体材料であって、固体材料の表面が1つ以上の修飾された自己集合性シクロデキストリンの少なくとも0.01g/m2を含有していることを特徴とし、ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されている、機能化された固体材料に関する。場合により、鎖は、ハロゲン類、アルコール類、エーテル類、アミン類、カルボン酸類又は他の官能基を含み得る。
【0067】
本発明のなお別の態様は、機能化された固体材料であって、固体材料の表面が1つ以上の修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンの少なくとも0.003g/m2を含有していることを特徴とし、
ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)、−NR、−SR、−N−COR、又は−O−(CO)OR[式中、
、Rは、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択され;
及びRは、場合により、架橋員Yと結合しており、それにより1つ以上の環を形成し;
は、結合、又はC1−12アルキル、又はアリール、1〜3つの環を有する炭素環式、複素環式もしくは複素芳香族の構造(各環は3〜8の環員、及び0〜4個のヘテロ原子を有する)、又はヘテロアルキル(N、O、S、S(O)1−2からなる群より選択される1〜12個のヘテロ原子又はカルボニルを含む)であり、そして
nは、1〜12の間の整数である]に修飾されている、
機能化された固体材料に関する。
【0068】
本発明のなお別の態様は、機能化された固体材料であって、固体材料の表面が、1つ以上の修飾されたシクロデキストリンの少なくとも0.003g/m2を含有することを特徴とし、ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されている、機能化された固体材料に関する。
【0069】
本発明の一つの実施態様において、少なくとも1つの修飾されたヒドロキシル基は、第1ヒドロキシル基である。
【0070】
本発明の別の実施態様において、少なくとも1つの修飾されたヒドロキシル基は、第2ヒドロキシル基である。
【0071】
本発明の更に別の実施態様において、修飾された自己集合性シクロデキストリンは、両親媒性である。
【0072】
本明細書において、「両親媒性」という用語は、親水性及び親油性の両特性を有するシクロデキストリンに関する。
【0073】
一つの実施態様において、固体材料の表面は、1つ以上の修飾された自己集合性シクロデキストリンの、少なくとも0.03g/m2(例えば、少なくとも0.04g/m2、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、又は0.1g/m2)のように、少なくとも0.02g/m2を含有している。
【0074】
更なる実施態様において、固体材料の表面は、1つ以上の修飾された自己集合性シクロデキストリンの、0.02〜0.4g/m2(例えば0.03〜0.3g/m2)のように、0.04〜0.2g/m2(例えば0.05〜0.1g/m2)のように、少なくとも0.01〜0.5g/m2を含有している。
【0075】
更に別の実施態様において、固体材料の表面は、1つ以上の修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリンの、0.004〜0.09g/m2(例えば0.005〜0.08g/m2)のように、0.006〜0.07g/m2(例えば0.007〜0.06g/m2)のように、0.008〜0.06g/m2(例えば0.009〜0.05g/m2)のように、0.01〜0.04g/m2(例えば0.02〜0.03g/m2)のように、少なくとも0.003〜0.1g/m2を含有している。
【0076】
更に別の実施態様において、固体材料は、女性が生理中、膣手術から回復中に、悪露(分娩後出血)、堕胎、又は女性の膣からの血の流れを吸収することが必要とされる任意の他の状況のために、女性によって着用される吸収品目である。かかる吸収は、生理用ナプキン、生理用布ナプキン(sanitary towel)、生理用パッド、月経パッド、マキシパッド、又はパッドであることもできる。
【0077】
更に別の実施態様において、固体材料は、尿失禁又は腹圧性尿失禁の問題又は経験を有する男性又は女性によって着用される吸収品目である。尿漏れパッドは、月経パッドに類似の品目であるが、恐らく高吸収性を有している。月経パッドは、この目的のために一部の人々によって使用され得る。
【0078】
別の実施態様において、固体材料はバンデージである。本明細書において、「バンデージ」という用語は、包帯材もしく副木のような医療器具を支持するか、又はそれ自身で体に支持を提供するかのいずれかで使用される材料の一つである。バンデージは、多くの場合、状況に応じて、衣服、毛布、又は他の材料を利用して応急対処することができるが、バンデージは、一般的な布切れから、特異的な手足又は体の一部のために設計された特殊な形状をしたバンデージまで広い範囲の種類で利用可能である。
【0079】
更に別の実施態様において、固体材料は包帯材である。本明細書において、「包帯材」という用語は、創傷に適用して治癒を促進し及び/又は更なる傷を予防するために人によって使用される補助材を指す。包帯材は、直接、創傷と接触するように考案されており、この点が、包帯材を定位置に保つために主に使用するバンデージとは異なる。
【0080】
なお別の実施態様において、固体材料は、例えばフラスコ、キャニスター、瓶、トレー等の食品又は飲料貯蔵容器である。好ましくは、固体材料は、例えば食品又は飲料と直接接触する蓋の内張り材である、瓶の蓋である。
【0081】
更に別の実施態様において、固体材料は、例えばフィルター又はガスマスクの一部として、気体、液体又は水用精製フィルターの一部としてのフィルターである。
【0082】
ゲスト分子の1つの種類は、香料であることができる。繊維業界では、嗅覚的美的利点を提供すること、及び織物が清潔であるという印として役に立つことの両目的のために、香料を使用して繊維にある芳香を付着する。典型的な自動洗濯乾燥機で使用される乾燥過程における高エネルギー注入と大きな風量のせいで、かかる洗濯用製品によって提供される香料の大部分は、乾燥機の通気孔から失われていた。後述するように、より揮発性の低い成分でさえ、ほんの僅かな部分だけが乾燥サイクル後の織物に残る。したがって、本発明は、錯体化によって香料を保持する多分子層シクロデキストリンコーティングを施した繊維の生産によって、この問題を軽減する。後述するように、かかる多分子層シクロデキストリンコーティングをしなければ、香料の高揮発性画分の損失が非常に大きい。通常、高揮発性画分の損失は、実際には全面的ある。この影響のせいで、大部分の洗濯香料は、乾燥サイクルを生き残るために、揮発性が低く、高沸点の香料成分(高沸点を有している)を主成分としてきた。これら香料中の高揮発性、低沸点の香料成分(低沸点を有している)のごく一部の主な効能は、その後の織物の香りに影響を及ぼすというよりも、繊維製品そのものの芳香の匂いを、改善することである。しかし、揮発性で低沸点の一部の香料成分は、新鮮でかつ清潔な印象を織物に与えることができ、そしてこれらの成分が乾燥させた繊維織物に付着し滞留していることが非常に望ましい。
【0083】
本発明の香料の成分及び組成物は、当技術分野において公知の慣用的なものである。任意の香料の成分又は香料の量の選択は、美的考慮にのみ基づいている。後述するように、通常、織物への香りの効果を最大限にするために当業界で認識される香料の組成物は、どちらかと言えば多量である。しかし、繊維表面への多分子層シクロデキストリンコーティングによる錯体形成のおかげで、乾燥又は洗浄過程の間に柔軟剤中の香料を介する香料の送達が、少量の香料で効果的であることは、特に有利である。よって、本発明は、柔軟剤中の多量な香料の必要な含有量を少なくすることができる。
【0084】
香料を洗濯用製品中の通常のレベルで使用する場合に、香料が洗濯済みの繊維織物に所望の香りを付着させることができるように、多量な香料は、多量な香料材料を十分な割合で含有する香料である。一般に、香料の持続性の程度は、使用する多量な香料材料の割合におおよそ比例する。
【0085】
多量な香料材料は、洗濯過程を介して織物に付着し、そして通常の嗅覚力を有する人々によって検出可能である、匂い物質の化合物である。かかる材料は、典型的には、平均的な香料材料よりも低い蒸気圧を有する。また、それらは典型的に分子量約200以上を有し、平均的な香料材料の分子量より少ないレベルで検出可能である。
【0086】
本明細書の先に記載のように、香料はまた、それらの揮発性に従って分類することができる。高揮発性、低沸点の香料成分は典型的に、約250℃以下の沸点を有する。より中程度の揮発性の香料成分の多くはまた、乾燥サイクル中で多量に失われる。中程度の揮発性の香料成分は、約250℃の沸点を有しているものである。本明細書の先で言及された、低揮発性、高沸点の香料成分は、約300℃以上の沸点を有しているものである。多量の織物であると考えられている、これら高沸点の香料成分でさえかなりの部分は、乾燥サイクルの間に失われ、そこで乾燥させた織物にこれらの成分をより多く保持する手段を有することが望ましい。香料成分の多くは、香り特徴、沸点及び分子量のようなそれらの物理的及び化学的特性と共に、“Perfume and Flavor Chemicals (Aroma Chemicals),”(Steffen Arctander、1969年、著者により出版)に記載されており、参照により本明細書に組み入れられる。
【0087】
高揮発性、低沸点の香料成分の例は: アネトール、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ギ酸ベンジル、酢酸イソ−ボルニル、カンフェン、cis−シトラール(ネラール)、シトロネラール、シトロネロール、酢酸シトロネリル、p−シメン、デカナール、ジヒドロリナロオール、ジヒドロミルセノール、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、ゲラニアール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ゲラニルニトリル、酢酸cis−3−ヘキセニル、ヒドロキシシトロネラール、d−リモネン、リナロオール、リナロオールオキシド、酢酸リナリル、プロピオン酸リナリル、アントラニル酸メチル、α−メチルイオノン、メチルノニルアセトアルデヒド、酢酸メチルフェニルカルビニル、酢酸ラエボ.メンチル、メントン、イソ−メントン、ミルセン、酢酸ミルセニル、ミルセノール、ネロール、酢酸ネリル、酢酸ノニル、フェニルエチルアルコール、α−ピネン、β−ピネン、γ−テルピネン、α−テルピネオール、β−テル−ピネオール、酢酸テルピニル、及びベルテネックス(vertenex)(酢酸p−tert−ブチルシクロヘキシル)である。一部の天然油もまた、大きな割合で高揮発性の香料成分を含有する。例えば、ラバンディン(lavandin)は、主成分として:リナロオール;酢酸リナリル;ゲラニオール;及びシトロネロールを含有する。レモンオイル(Lemon oil)及びオレンジテルペン(orange terpenes)は、両方ともd−リモネンの約95DEG%を含有する。
【0088】
中程度の揮発性香料成分の例は: アミルケイ皮酸アルデヒド、サリチル酸イソ−アミル、β−カリオフィレン、セドレン、ケイ皮酸アルコール、クマリン、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、エチルバニリン、オイゲノール、イソ−オイゲノール、酢酸フロル、ヘリオトロピン、サリチル酸3−cis−ヘキセニル、サリチル酸ヘキシル、リリアール(p−tert−ブチル−α−メチルヒドロケイ皮酸アルデヒド)、γ−メチルイオノン、ネロリドール、パチュリアルコール、フェニルヘキサノール、β−セリネン、酢酸トリクロロメチルフェニルカルビニル、クエン酸トリエチル、バニリン及びベラトルムアルデヒドである。シーダー材製テルペンは、主にα−セドレン、β−セドレン、及び他のC1524セスキテルペンからなる。
【0089】
低揮発性、高沸点の香料成分の例は: ベンゾフェノン、サリチル酸ベンジル、エチレンブラシラート、ガラクソリド(1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン)、ヘキシルケイ皮酸アルデヒド、リラール(lyral)(4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、メチルセドリロン、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチル−β−ナフチルケトン、ムスク(麝香)インダノン、ムスクケトン、ムスクチベテン、及びフェニル酢酸フェニルエチルである。
【0090】
ゲスト分子の他の種類は、殺ダニ剤、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺鼠剤、虫忌避剤、ダニ忌避剤、動物忌避剤又はそれらの混合物であることができる。
【0091】
本発明の一つの実施態様において、ゲスト分子は、活性な医薬成分である。「医薬品有効成分(API)」という用語は、例えば、抗癌剤又は抗生物質のような医薬剤において生物活性物質を指す。
【0092】
好ましくは、固体材料表面への多分子層シクロデキストリンコーティングは、洗浄温度のような固体材料の洗浄の間の条件に対して安定である。
【0093】
本発明の一つの実施態様において、0〜99℃の範囲内のように(例えば80℃)、10〜70℃の範囲内(例えば65℃)のように、20〜60℃の範囲内(例えば55℃)のように、25〜50℃の範囲内(例えば45℃)のように、30〜40℃の範囲内(例えば35℃)のように、100℃以下で、固体材料表面を水中で洗浄する場合、実質的にすべての多分子層シクロデキストリンコーティングが該固体材料表面に留まる。
【0094】
「実質的にすべて」という用語は、多分子層シクロデキストリンコーティングの25〜100%の範囲内のように、例えば99%、30〜95%の範囲内のように、例えば90%、40〜85%の範囲内のように、例えば80%、50〜75%の範囲内のように、例えば70%、55〜65%の範囲内のように、例えば60%が、24時間の洗浄の間、固体材料表面に留まるように、多分子層シクロデキストリンコーティングの少なくとも20%が、24時間の洗浄の間、固体材料表面に留まることに関する。
【0095】
本発明の一つの実施態様において、自己集合性シクロデキストリン誘導体の5〜100%の範囲内のように、例えば99%、15〜95%の範囲内のように、例えば90%、25〜85%の範囲内のように、例えば80%、35〜75%の範囲内のように、例えば70%、45〜65%の範囲内のように、例えば60%、55〜60%の範囲内のように、例えば50%が、少なくとも1つのゲスト分子と錯体を形成するように、自己集合性シクロデキストリン誘導体の少なくとも1%は、少なくとも1つのゲスト分子と錯体を形成する。
【0096】
本発明の別の実施態様において、ゲスト分子は、香料である。
【0097】
本発明の更に別の実施態様において、ゲスト分子は、1つ以上の「高沸点」香料成分と1つ以上の「低沸点」香料成分との混合物を含む香料である。
【0098】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)R[式中、Rは、1〜50個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されていることを特徴し、ここで、少なくとも1つの溶媒は極性である、吸着溶液に関する。
【0099】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)[式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択される]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0100】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)[式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択される]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0101】
本発明のなお別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)[式中、Rは、1〜50個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0102】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリン及び少なくとも2つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(NH)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されていることを特徴とし、ここで、少なくとも1つの溶媒は極性である、吸着溶液に関する。
【0103】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−NR[式中、R及びRは、互いに独立に、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖である]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0104】
本発明のなお別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−NR
[式中、
、Rは、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択され;
及びRは、場合により、架橋員Yと結合しており、それにより1つ以上の環を形成し;
は、結合、又はC1−12アルキル、又はアリール、炭素環式、複素環式もしくは複素芳香族の構造(各中に3〜8環員の1〜3つの環、及び0〜4個のヘテロ原子を有する)、又はヘテロアルキル(N、O、S、S(O)1−2からなる群より選択される1〜12個のヘテロ原子又はカルボニルを含む)であり、そして
nは、1〜12の間の整数である]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0105】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−SR[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖である]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0106】
本発明のなお別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−SR[式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択される]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0107】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−N−COR[式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択される]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0108】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−N−COR[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖である]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0109】
本発明の更に別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)OR[式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択される]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0110】
本発明のなお別の態様は、少なくとも1つの修飾された自己集合性又は自己凝集性シクロデキストリン及び少なくとも1つの溶媒を含む吸着溶液であって、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個が、−O−(CO)OR[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖である]に修飾されていることを特徴とする、吸着溶液に関する。
【0111】
本発明の一つの実施態様において、吸着溶液は、少なくとも1つの溶媒を含む。
【0112】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、少なくとも1つの溶媒が極性である、少なくとも1つの溶媒を含む。
【0113】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、少なくとも1つの溶媒が無極性である、少なくとも1つの溶媒を含む。
【0114】
本発明のなお別の実施態様において、吸着溶液は、少なくとも2つの溶媒を含む。
【0115】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、少なくとも1つの溶媒が極性である、少なくとも2つの溶媒を含む。
【0116】
本発明の更に別の実施態様において、少なくとも1つの溶媒は、極性である。
【0117】
環を形成するとは、記述されている原子が、環構造が形成されるように結合を介して結合されていることを意味する。「環」という用語は、「環状」という用語と同義に使用される。
【0118】
アルキル基:「アルキル」という用語は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシルなどを含む、飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基を意味する。好ましいアルキルは、低級アルキル、すなわち1、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子のような1〜10個の炭素原子を有するアルキルである。環状アルキル/シクロアルキルとは、環あたり3〜8個の炭素の1つ又は2つの環からなる飽和炭素環式化合物を意味し、環状アルキル/シクロアルキルは、場合により、ヒドロキシ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリール−アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノ−カルボニル、アルキルカルボニルアミノ及びアリールカルボニルアミノからなる群より選択される1又は2個の置換基で置換されていることができる。アルキル基はまた、ヘテロアルキルとしても理解され得る。ヘテロアルキルは、1個以上の炭素原子が、N、O、S、S(O)1−2、Si又はPより選択されるヘテロ原子で置換されている、飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシルなどを含む)であり、そしてヘテロアルキルは、場合により、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、又はアリールカルボニルアミノからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていることができる。本発明のヘテロアルキルは、分岐鎖状もしくは非分岐鎖状、又は環を形成し得、そして(1)〜(50)個の炭素原子の長さの範囲に亘り得、ここで、該炭素原子の50%以下は、N、NH(Q−4)、O、S、S(O)1−2、Si、P、Cl、Brで置換され得る。環状ヘテロアルキル/ヘテロシクリルとは、環あたり3〜8個の原子の1つ以上の環からなり、N、O又はS(O)1−2より選択される1、2、3又は4個の環ヘテロ原子を組み込む、飽和環状化合物又は化合物の一部を意味し、そして環状ヘテロアルキル/ヘテロシクリルは、場合により、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、又はアリールカルボニルアミノからなる群より選択される1又は2個の置換基で置換されていることができる。本発明の一般的なヘテロシクリルの例には、非限定的に、ピペラジン及びピペリジンが挙げられるが、これらは、したがって本明細書で定義したヘテロシクリル置換基であり得る。かかる置換基はまた、それぞれピペラジノ及びピペリジノとも称される。本発明の更なるヘテロシクリルは、チオフェンである。
【0119】
基(R)がアルキル基である場合、ここで、更に、1個のCH基(アルコキシ又はオキサアルキル)は、O原子で置き換えら得、基(R)は、直鎖状又は分岐鎖状であり得る。基(R)は、好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9又は12個の炭素原子を有し、したがって好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ又はデシルオキシ、より更にまた、ウンデシル、ドデシル、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、2−オキサプロピル(=2−メトキシメチル)、2−オキサブチル(=メトキシエチル)もしくは3−オキサブチル(=2−エトキシメチル)、2−、3−もしくは4−オキサペンチル、2−、3−、4−もしくは5−オキサヘキシル、又は2−、3−、4−、5−もしくは6−オキサヘプチルである。特に好ましいのは、ヘキシル、ペンチル、ブチル、n−ブチル、プロピル、i−プロピル、メチル及びエチル、特にプロピル及びペンチルであり;特に好ましいアルコキシ基は、ヘキシルオキシ、ペントキシ、n−ブトキシ、プロポキシ、i−プロポキシ、メトキシ及びエトキシ、特にエトキシ及びn−ブトキシである。
【0120】
好ましい分岐鎖状基は、イソプロピル、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、イソブチル(=3−メチルプロピル)、tert−ブチル、2−メチルブチル、イソペンチル(=3−メチルブチル)、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2−プロピルペンチル、6−メチルヘプチル、7−メチルオクチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシ、1−メチルヘプチルオキシ、2−オキサ−3−メチルブチル及び3−オキサ−4−メチルペンチルである。
【0121】
基Rはまた、場合により、1個以上の非対称的炭素原子を含有する活性有機基であり得る。
【0122】
ハロゲンは、好ましくは塩素を表すが、また臭素、フッ素又はヨウ素であり得る。
【0123】
アルケニル基:「アルケニル」という用語は、例えば、メチレン又はエチレンを含む、非飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基を意味する。好ましいアルケニルは、低級アルケニル、すなわち1、2、3、4、5又は8個の炭素原子のような1〜10個の炭素原子を有するアルケニルである。環状アルケニル/シクロアルケニルとは、環あたり3〜8個の炭素の1つ又は2つの環からなる非飽和炭素環式化合物を意味し、環状アルケニル/シクロアルケニル、場合により、ヒドロキシ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリール−アミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノ−カルボニル、アルキルカルボニルアミノ及びアリールカルボニルアミノからなる群より選択される1又は2個の置換基で置換されていることができる。アルケニル基はまた、ヘテロアルケニルとしても理解され得る。ヘテロアルケニルは、1個以上の炭素原子が、N、O、S、S(O)1−2、Si又はPより選択されるヘテロ原子で置換されている、非飽和の直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘプチル、ドデシル、オクタデシル、アミル、2−エチルヘキシルなどを含む)であり、そして、ヘテロアルケニルは、場合により、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリール−アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、又はアリールカルボニルアミノからなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていることができる。本発明のヘテロアルケニルは、分岐鎖状もしくは非分岐鎖状、又は環を形成し得、そして(1)〜(50)個の炭素原子の長さの範囲に亘り得、ここで、該炭素原子の50%以下は、N、NH(Q−4)、O、S、S(O)1−2、Si、P、Cl、Brで置換され得る。環状ヘテロアルケニルとは、環あたり3〜8個の原子の1つ以上の環からなり、N、O又はS(O)1−2より選択される1、2、3又は4個の環ヘテロ原子を組み込む、非飽和環状化合物又は化合物の一部を意味し、そして環状ヘテロアルケニルは、場合により、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、又はアリールカルボニルアミノからなる群より選択される1又は2個の置換基で置換されていることができる。
【0124】
アルキニル基:「アルキニル」という用語は、例えば、エチニル又はプロピニルを含む、非飽和の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基を意味する。好ましいアルキニルは、低級アルキニル、すなわち1、2、3、4、5又は9個の炭素原子のような1〜10個の炭素原子を有するアルキニルである。
【0125】
アシル基は、式:RCO[式中、Rは、単結合でCO基に結合している、アルキル基を表す]を有する。アシル基の例は、アルカノイル、アロイル、低級アルコキシカルボニル、又はN,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、好ましくは低級アルカノイルである。
【0126】
アシルオキシ中のアシルは、低級アルカノイル、アロイル、低級アルコキシカルボニル、又はN,N−ジ−低級アルキルカルバモイル、好ましくは低級アルカノイルを表す。
【0127】
低級アルカノイルは、好ましくはアセチル、プロピオニル、ブチリル、又はピバロイル、特にアセチルである。
【0128】
アロイルは、好ましくはベンゾイル;そしてまた、例えば、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン又はトリフルオロメチルの1又は2個で置換されているベンゾイルであり;アロイルはまた、例えば、チエノイル、ピロロイル、2−、3−又は4−ピリジルカルボニル、有利にはニコチノイルである。
【0129】
低級アルカノイルオキシは、好ましくはアセトキシ;そしてまた例えばピバロイルオキシ又はプロピオニルオキシである。
【0130】
アロイルオキシは、好ましくはベンゾイルオキシ;そしてまた例えば、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン又はトリフルオロメチルの1又は2個によりベンゼン環上で置換されているベンゾイルオキシである。
【0131】
ヘテロアロイルオキシは、好ましくは2−、3−又は4−ピリジルカルボニルオキシ、有利にはニコチノイルオキシである。
【0132】
アリールは、少なくとも1個の芳香族環を含む炭化水素を表し、そして5〜18個、好ましくは6〜14個、より好ましくは6〜10個、そして最も好ましくは6個の炭素原子を含有し得る。典型的なアリール基には、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アントラシル、インデニル、アズレニル、ビフェニレニル、及びフルオレニル基が挙げられる。特に好ましいアリール基には、フェニル、ナフチル及びフルオレニルが挙げられ、フェニルが最も好ましい。したがって、アリールは、例えば、場合により置換フェニル、ナフチル、ピリジル、チエニル、インドリル又はフリル、好ましくはフェニル、ナフチル、ピリジル、チエニル、インドリル又はフリル、そして特別にはフェニルを含む、炭素環式又は複素環式の芳香族基を表す。置換基の非限定的例は、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルコキシ、シアノ及びアリールである。
【0133】
炭素環式芳香族基は、好ましくはフェニル、或いは低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、カルボキシ、薬学的に許容しうるエステル又はアミドの形態で官能性を持たせたカルボキシ、低級アルカノイル、アロイル、低級アルキルスルホニル、スルファモイル、N−低級アルキルスルファモイル及びN,N−ジ−低級アルキルスルファモイルより選択される1又は2個の置換基で置換されているフェニル;また、場合により、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ又はハロゲンで置換されている、1−又は2−ナフチルを表す。
【0134】
複素環式芳香族基は、特にチエニル、インドリル、ピリジル、フリルを表し;そしてまた、例えば、該複素環式基は、低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ又はハロゲンでモノ置換されている。
【0135】
チエニルは、2−又は3−チエニル、好ましくは2−チエニルを表す。
【0136】
ピリジルは、2−、3−又は4−ピリジル、好ましくは3−又は4−ピリジル、有利には3−ピリジルを表す。
【0137】
フリルは、2−又は3−フリル、好ましくは3−フリルを表す。
【0138】
インドリルは、好ましくは3−インドリルを表す。
【0139】
ヘテロアリールとは、環あたり4〜8個の原子の1つ以上の環を有し、環内に1、2、3、又は4個のヘテロ原子(窒素、酸素、又は硫黄より選択される)を組み込む、芳香族環状化合物又化合物の一部を意味し、ヘテロアリールは、場合により、ヒドロキシ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ及びアリールカルボニルアミノからなる群より選択される1又は2個の置換基で置換されていることができる。
【0140】
置換低級アルキルとは、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アミド、カルボキシル、アシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ及びチオールからなる群より選択される1〜3個の置換基を有する低級アルキルを意味する。
【0141】
有機基又は化合物それぞれに関連して、上記で及び本明細書の以下で言及する「低級」という用語は、10を含む最大10個、好ましくは7を含む最大7個、そして有利には1又は2個の炭素原子のようであると好ましくは定義される。
【0142】
低級アルキル基は、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有し、そして例えばエチル、プロピル、ブチル、又は有利にはメチルを表す。
【0143】
低級アルケニル基は、好ましくは2〜4個の炭素原子を含有し、そして例えばアリル又はクロチルを表す。
【0144】
低級アルコキシ基は、好ましくは1〜4炭素原子を含有し、そして例えばメトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、又は有利にはエトキシを表す。
【0145】
特定の乾燥過程を完全に回避するため、又は単に処理時間及びエネルギー消費を減少させるためには、吸着溶液中の低沸点を有する溶媒を用いることが、有利である可能性がある。
【0146】
本発明の一つの実施態様において、溶媒の沸点は、20〜140℃の範囲内(例えば130℃)のように、30〜120℃の範囲内(例えば110℃)のように、40〜100℃の範囲内(例えば95℃)のように、45〜90℃の範囲内(例えば80℃)のように、50〜75℃の範囲内(例えば65℃)のように、150℃未満である。
【0147】
本発明の好ましい実施態様において、吸着溶液のための溶媒は、水、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン及びアセトンからなる群より選択される。更なる好ましい実施態様において、吸着溶液は、水及びエタノールを含む。
【0148】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液のための溶媒は、水、エタノール、メタノール、ブタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、プロパノール、酢酸メチル及びアセトンからなる群より選択される。
【0149】
本発明の一つの実施態様において、吸着溶液は、シクロデキストリンの少なくとも1つの修飾されたヒドロキシル基が第1級ヒドロキシル基である、少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリンを含む。
【0150】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、シクロデキストリンの少なくとも1つの修飾されたヒドロキシル基が第2級ヒドロキシル基である、少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリンを含む。
【0151】
本発明の更に別の実施態様において、吸着溶液は、両親媒性である、少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリンを含む。
【0152】
本発明のなお別の実施態様において、吸着溶液は更に、ゲスト分子(シクロデキストリンと錯体を形成するための)の1つ以上の種類を含む。
【0153】
本発明のなお別の実施態様において、生理用ナプキン、生理用布ナプキン(sanitary towel)、生理用パッド、月経パッド、マキシパッド、又はパッドは、女性が生理中、膣手術から回復中に、悪露(分娩後出血)、堕胎、又は女性の膣からの血の流れを吸収することが必要とされる任意の他の状況のために、女性によって着用される吸収品目である。
【0154】
これらのパッドは、尿失禁又は腹圧性尿失禁の問題又は経験を有する男性又は女性によって着用される尿漏れパッドと混同してはならない。尿漏れパッドは、月経パッドに類似の品目であるが、恐らく高吸収性を有している。月経パッドは、この目的のために一部の人々によって使用され得る。
【0155】
本発明の更に別の実施態様において、ゲスト分子は、ヨウ素、例えば放射活性ヨウ素(すなわち、ヨウ素−131)である。
【0156】
本発明の別の実施態様において、ゲスト分子は、香料である。
【0157】
本発明の更に別の実施態様において、ゲスト分子は、1つ以上の「高沸点」香料成分と1つ以上の「低沸点」香料成分との混合物を含む香料である。
【0158】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、0〜450比濁計濁度単位(Nephelometric Turbidity Units)(NTU)の範囲内(例えば400NTU)のように、5〜350の範囲内(例えば300)のように、10〜250の範囲内(例えば200)のように、15〜150の範囲内(例えば140)のように、20〜130の範囲内(例えば125)のように、25〜110の範囲内(例えば100)のように、30〜90の範囲内(例えば80)のように、35〜75の範囲内(例えば70)のように、40〜65の範囲内、例えば50のように、500比濁計濁度単位(Nephelometric Turbidity Units)(NTU)以下の濁度を有している。
【0159】
本発明の別の実施態様において、吸着溶液は、550〜70000比濁計濁度単位(Nephelometric Turbidity Units)(NTU)の範囲内(例えば1000NTU)のように、1500〜60000の範囲内(例えば2000)のように、2500〜50000の範囲内(例えば3000)のように、4000〜40000の範囲内(例えば5000)のように、6000〜30000の範囲内(例えば7000)のように、9000〜20000の範囲内(例えば10000)のように、11000〜19000の範囲内(例えば12000)のように、13000〜18000の範囲内(例えば14000)のように、15000〜17000の範囲内(例えば16000)のように、500比濁計濁度単位(Nephelometric Turbidity Units)(NTU)以上の濁度を有している。
【0160】
本発明のなお別の態様は、修飾されたシクロデキストリンであって、
ここで、
該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されており、そして
該修飾されたシクロデキストリンは、対応する未修飾のシクロデキストリンを実質的に含まない、
修飾されたシクロデキストリンを提供することである。
【0161】
本発明の更に別の態様は、修飾されたシクロデキストリンであって、
ここで、該シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)、−NR、−SR、−N−COR、又は−O−(CO)OR[式中、
、Rは、互いに独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールより選択され;
及びRは、場合により、架橋員Yと結合しており、それにより1つ以上の環を形成し、
は、結合、又はC1−12アルキル、又はアリール、1〜3つの環を有する炭素環式、複素環式もしくは複素芳香族の構造(各環は3〜8の環員、及び0〜4個のヘテロ原子を有する)、又はヘテロアルキル(N、O、S、S(O)1−2からなる群より選択される1〜12個のヘテロ原子又はカルボニルを含む)であり、そして
nは、1〜12の間の整数である]に修飾されており、そして
該修飾されたシクロデキストリンは、対応する未修飾のシクロデキストリンを実質的に含まない、
修飾されたシクロデキストリンに関する。
【0162】
「実質的に含まない」という用語は、最大で0.01%(例えば最大で0.001%)のような、最大で0.0001%(例えば最大で0.00001%)のような、対応する未修飾のシクロデキストリンの最大で0.1%を含む(又は混入にした)、本発明の修飾されたシクロデキストリンに関する。
【0163】
本発明の明細書において、「対応する未修飾のシクロデキストリン」に言及する場合、それは、修飾されたα−、β−、及びγ−CDに対して、「対応する未修飾のシクロデキストリン」が、それぞれ未修飾のα−、β−、及びγ−CDであることを意味する。
【0164】
好ましい実施態様において、本発明は、修飾されたβ−シクロデキストリンであって、
ここで、
該β−シクロデキストリンのヒドロキシル基(−OH)の少なくとも1個は、−O−(CO)R[式中、Rは、2〜20個の炭素のような1〜50個の炭素、好ましくは4〜8個の炭素のような4〜12個の炭素の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族鎖であり、そしてnは、0〜1の整数である]に修飾されており、そして
該修飾されたβ−シクロデキストリンは、対応する未修飾のβ−シクロデキストリンを実質的に含まない、
修飾されたβ−シクロデキストリンに関する。
【0165】
本発明の態様の一つの文脈において記載されている実施態様及び特徴はまた、本発明の他の態様にも適用するということに留意すべきである。
【0166】
本出願において引用した全ての特許および非特許文献は、その全体が参照により本明細書中に組み入れられる。
【0167】
これより本発明は、以下の非限定的な実施例において更に詳細に説明する。
【実施例】
【0168】
材料
β−CDを、Wacker Chemie AG (Munich, Germany)から購入した。β−CDを、使用の前に、減圧下、110℃で24時間乾燥させた。塩化ブチリル、塩化ヘキサノイル、塩化オクタノイル、フェノール及び硫酸を、Sigma Aldrich (Saint Louis, USA)から購入し、受け取った状態で使用した。ピリジンを、Sigma Aldrichから購入し、使用の前に、モレキュラーシーブ(4Å, Sigma Aldrich)を用いて乾燥させた。ポリプロピレン(PP)不織布繊維は、Fibertex A/S (DK=デンマーク)により供給され、PP不織布繊維上によく見られるような潤滑剤のような表面処理が施されていないPPのみから構成されていた。使用する繊維は、繊維の外層用に平均繊維径20μm(マイクロメートル)で10g/m2(グラム/平方メートル)の重量を有していた。エタノール96%(v/v)及び99.9%(v/v)をKemetyl (Koge, DK)から購入し、受け取った状態で使用した。
【0169】
合成
β−CDを、Gallois-Montbrunら["Direct synthesis of novel amphiphilic cyclodextrin". Journal of Inclusion Phenomena and Macrocyclic Chemistry, 57:131-135, 2007]の改変方法を使用して、誘導体化した。乾燥させたβ−CD 10gを、撹拌下、ピリジン150mLにゆっくりと加えた。β−CDを部分的に溶解した後、塩化アルキル7mLを加えた。反応の30分後、水1mLを滴下し、これにより液体が不透明から清澄に変わった。反応の20時間後、生成物を沈殿させるために、生成物を含むピリジンを、2M HCl 4リットルに滴下した。沈殿の後、生成物を濾過により回収し、99.9%EtOH 100mLに再溶解した。EtOH溶液を、飽和NaCl溶液2Lに滴下した。沈殿物を回収し、一晩、凍結乾燥させた。本出願の本発明者らは、この沈殿過程が最終生成物中に低含有量のNaClを与えるが、すべての未変性β−CD、塩化ブチリル及びピリジンを最終生成物から除去するということを見出した。塩化ブチリル、塩化ヘキサノイル、塩化オクタノイルから合成した修飾されたCDは、すべてこの方法に従って調製され、それぞれC4、C6及びC8と表された。
【0170】
一般的適用
CDを、使用の前に、減圧下、70℃で5時間乾燥させた。清澄な混合物を得るまで、CDとエタノールとを混合し、その後、水を混合物に加えて、所望の濃度の10mLを得た。ポリプロピレン(PP)不織布の一片をおよそ15mgの重さで切り、溶液に加えた。管を振盪テーブルに移し、120Hzで一晩振盪した。振盪後、PP不織布を管から取り出し、流水で120秒間洗浄して、すべての溶媒及び非結合CDを除去した。コーティングされたPP不織布を室温で5時間乾燥させ、ほぼ同一の3つの片に切り分けた。各片の重量を量り、そして重量を記録した後、該片をフェノールアッセイの使用により測定した。
【0171】
フェノールアッセイ
塗布後のシート上のCD濃度を測定するために、改変フェノールアッセイを使用した。標準曲線のために、100、80、60、40、30、20、15、10、8、6、4、2及び0ppmを、未変性CDから生成した。各濃度の1.2又は2mLの試料を、パイレックス(Pyrex)管に加え、HSOの5又は7mLのそれぞれを注意深く加えた。管を回転混合し、50±2℃に事前にセットされた加熱浴に移し、3時間入れた。加熱後、管を室温に冷まし、90v/v%、フェノール150μL(フェノール9.4gを水1.1mLと混合した)を加えた。フェノールの添加の後、管を回転混合し、次に室温で1時間反応するにまかせ、その後、それらを再び回転混合し、487nmで紫外−可視(UV−vis)の使用により測定した。PP不織布の分析のため、各試料の4.5〜6.0mg試料をパイレックス管中に入れ、水1.2又は2mLを加えた。純粋なHSOとPP不織布との間の副反応を避けるために、PP不織布を水中に押し入れた。不織布試料を水中に沈めた後、HSO5又は7mLを管に注意深く加えた。HSOの添加の後、試料を含有しているパイレックス管を、基準物質を含有している管と全く同じように処理した。
【0172】
試料から得られたデータを表面にコーティングされたCDの量と相関させるために、純粋なCDを測定した。原液を、5%EtOH/HO中のそれぞれ100、60及び20ppm CDを含む、すべての種類のCDから生成し、これらを用いて、フェノールアッセイの使用によるCD含有量を測定した。
【0173】
PP不織布15.3mgを、溶液10mL(CD 6.23mg/mL 25v/v%(EtOH/水))中で一晩振とうした。振盪の後、PP不織布を、水道水の流水下で120秒間洗浄し、残った溶液および未吸収のCDを除去した。洗浄の後、シートを40℃で2時間乾燥させた。乾燥の後、シートをソックスレー(Soxhlet)装置に移し、ソックスレー抽出を、水を用いて20時間実行した。ソックスレーの後、シートを40℃で5時間乾燥させ、次にエタノールで洗浄した。
【0174】
吸着溶液中の(C4)修飾された自己集合性β−CD濃度についての試験
実験は、使用するパラメーターの下、ポリプロピレン(PP)不織布の測定可能なコーティングを与える、修飾された自己集合性β−CDの吸着溶液(25v/v%(EtOH/水))中の濃度を測定するために行った。図1の例(4個の炭素(C4)を有する直鎖状炭素でエーテルとして修飾されたβ−CD)に示すように、修飾された自己集合性β−CDと未変性のβ−CDとを比較するために、両方を濃度実験で試験した。特定の例において、β−CD 6.23mg/mL 25v/v%(EtOH/水)の濃度を超えると、吸着溶液が濁ったことが注目された。修飾された自己集合性β−CDのミセル又は凝集体が、濁りを引き起こしていると見込まれる。
【0175】
重量パーセントで示すコーティングは、高濃度で5wt%コーティングを有する修飾された自己集合性β−CDについては明らかに非常に高いが、一方、未変性β−CDは0.2wt%で最大値に達する。修飾された自己集合性β−CDの吸着された量は、濃度の増加に伴って増大するが、一方、未変性CDは、およそ0.2wt%の相対的一定水準を維持している。未変性β−CDの溶解限度に比較的近い12.8mg/mLに対応する、修飾された自己集合性β−CDの濃度を使用するとき、最大コーティングを達成した。修飾された自己集合性β−CDの0.045mg/mLを使用して、0.45wt%のコーティングを与え、これは、未変性β−CDで達成した最大値の2倍を超えており、そしてこれは、β−CD 6.43mg/mL 25v/v%(EtOH/水)で達成された。したがって、修飾された自己集合性β−CDは、未変性β−CDに比較して、PP不織布のコーティングに対して非常に高い親和性を有する。
【0176】
吸着溶液中の溶媒組成についての試験
(C4)修飾された自己集合性β−CDは、高濃度で濁り溶液を形成したので、溶媒の効果を、凝集体又はミセルの形成の駆動力として検討した。水及びエタノールの溶媒系を検討した。(C4)修飾された自己集合性β−CDの濃度0.85mg/mLを、すべての実験に使用した。図2に示すように、エタノールと水の比を変更して、PP不織布に対する異なる吸着の結果が得られた。
【0177】
溶媒が吸着のために重要な役割を果していることは、溶媒組成実験から明らかである。エタノールが使用されない場合、(C4)修飾された自己集合性β−CDは、不溶性であり、そして吸着溶液からPP不織布繊維へのCDの移動は非常に低い。コーティングは、未変性のCDで達成されるコーティングよりも3〜4倍高いけれども、吸着溶液が透明である場合、コーティングはほんの少ししか達成されない。溶媒組成が5v/v%〜35v/v%(EtOH/水)に達するまで、最初に、(C4)修飾された自己集合性β−CDをエタノールに溶解し、次に水を加える場合、得られた溶液は不透明である。更に、前述の濃度範囲内で、最大コーティングパーセントを達成する。不透明溶液は、ミセル又は凝集体の形態の(C4)修飾された自己集合性β−CDであると見込まれる。これらの形態は熱力学的に不安定であることが見込まれ、よって、PP不織布繊維に対する(C4)修飾された自己集合性β−CDの吸着のための駆動力である。懸濁液が不安定であればあるほど、吸着に対する駆動力が大きくなる。
【0178】
したがって、最も不安定な懸濁液は、コーティングにとって最適であることが見込まれる。EtOHの画分が、溶媒和した(C4)修飾された自己集合性β−CDを安定化するのに十分なほど大きくなるとき、吸着溶液は清澄で、そしてPP不織布繊維に対する吸着はほんの少ししか測定されない。ミセル又は凝集体の形成がPP不織布繊維に対する(C4)修飾された自己集合性β−CDの吸着のための駆動力であるならば、修飾されたCD上のアームの長さ及び数は、吸着にとって大切なパラメータである。図3及び図4で示すように、異なる溶媒組成物もまた、(C6)及び(C8)修飾された自己集合性β−CDを含有する系に関して試験した。
【0179】
(C4)、(C6)及び(C8)修飾された自己集合性β−CDの吸着の図は、PP不織布に対する最大吸着が、異なる溶媒(エタノール)濃度で明らかに達されることを示す。(C8)自己集合性β−CDについて、CDのコーティング量は、最大13.7wt%で、これは大きなコーティング程度である。(C8)自己集合性β−CDは、最も無極性の基を含有しているので、またこれらは、PP不織布繊維のような無極性表面のコーティングに対して最高の親和性を有することが見込まれる。
【0180】
TOF SIMS映像(図示せず)から、(C4)、(C6)及び(C8)修飾された自己集合性β−CDの分布でさえ、使用するコーティング手順によって達成されることが明らかである。
【0181】
耐洗濯性実験
コーティングされたPP不織布繊維のソックスレー抽出を用いた実験(還流している水を用いて20時間)は、コーティングされたPP不織布繊維は、かかる条件下で安定的であることを明らかに示す。一般的に、所望の化合物の一部を含有する固体材料を、厚い濾紙からできているシンブル(指抜き型濾紙)の内側に置き、これをソックスレー抽出器の主チャンバーに装填する。ソックスレー抽出器を、抽出溶媒を含有しているフラスコ中に入れる。次にソックスレーにコンデンサーを装備する。溶媒を加熱還流する。溶媒の蒸気が、ソックスレー抽出器の蒸留アームを上に移動し、そしてソックスレー抽出器チャンバー中に流れ落ち、固体材料を収容する。コンデンサーは、どんな溶媒の蒸気も冷えて、固体材料を収容しているチャンバー中に滴り落ち戻ることを確実にする。固体材料を含有しているチャンバーは、温かい溶媒でゆっくりと一杯になる。次に化合物の一部を温かい溶媒に溶解し得る。ソックスレーチャンバーが殆ど一杯になったとき、溶媒は蒸留フラスコに流れ落ち戻りながら、チャンバーはソックスレー抽出器の吸引管サイドアームにより自動的に空にされる。このサイクルは、何回も、数時間、数日に亘り繰り返すことが許され得る。各サイクルの間に、固体材料の一部を溶媒に溶解し得る。多数のサイクルの後、溶解した固体材料を蒸留フラスコ中で濃縮する。このシステムの利点は、温かい溶媒の多くの部分が試料中を通り抜ける代わりに、溶媒の僅か1バッチだけが再循環されることである。抽出の後、典型的にはロータリエバポレーターを用いて溶媒を除去し、抽出した固体材料を得る。
【0182】
コーティング
この節において、最も有意義な実験の幾つかが提示される。コーティングは、実験室で、又は大規模にパイロットラインでのいずれかで調製される。すべての実験は、業界で使用される標準方法である、透過度(strike-through)法を使用して実証される。
【0183】
パイロットライン対実験室でのコーティング
繊維は、パイロットラインの機械と比べて、実験室では異なって処理されるので、コーティングは異なることもあり得る。実験室におけるコーティング技術は、PPN(ポリプロピレン)の小片に対して、且つ要因となるすべてのパラメータ(重量、乾燥、コーティング程度、暴露の種類及び時間、溶液)を用いて実施される。実験室では、標準的方法は、ACD溶液(少なくとも1つの修飾された自己集合性シクロデキストリンを含む吸着溶液)の入ったトレーを使用すること、PPNシートをある程度の時間浸漬すること、続いてシートを乾燥させることである。乾燥の後、PPNシートを再び計量し、コーティングACDの質量を容易に測定する。長期暴露、すすぎ、部分的再溶解などのような幾つかの工程を含めることができる。
【0184】
パイロットラインでは、幾つかの様々なパラメータを用いて、方法は常に同じである。パイロットラインのモデルを図5に概略を説明する。
【0185】
最初に、未処理PPNを、ACD溶液を含有するキスロール(Kiss-Roll)システムに転がす。キスロールの回転速度、どのくらい速くPPNが動いているか、及びいかに十分に溶液がキスロールに付着するかということに依存して、PPNは該溶液で湿潤される。次の工程は、通風型オーブン中でのPPNの急速乾燥、続いてロールの回収である。調節可能な可変要素は:キスロールの種類及び速度、PPN速度、オーブン温度、(完全に乾燥させたPPNが好ましいけれど)、ならびに当然、ACD溶液及びPPNの種類である。互いに影響する幾つかの可変要素は;例えば、PPNの速度が高速であれば、オーブン温度は、乾燥を確実にするためにより高くあるべきであり、又はACD溶液がエタノールと比較して多くの水を含有していれば、キスロール速度は、湿潤を確実にするために、より高速であるべきである、などである。
【0186】
透過度試験
透過度(Strike Through)(ST)試験は、いかに十分な量の水(この場合、水中の0.9%NaCl溶液、5mL)が繊維中に吸着されたかを比較する方法である。システムは、水チャンバーで構成され、これはボタンで開口し、またタイマーも始動する。水を、試験される繊維とその中で直接接触するコンパートメントに移す。繊維の下には、高吸収紙の幾つかの層があり、これらは、水の吸収を確実にするために5番目の測定ごとに交換される。水が繊維を通過し終わったとき、タイマーが停止する。水が繊維を通って移動するのが速ければ速いほど、透過時間が小さく、したがって異なる繊維又は処理を試験する場合、透過時間は比較可能要因である。コーティング実験において、ST時間は、透過時間と称され、そしてそれが比較の主要な基盤となる。
【0187】
結果を、以下の表にまとめた。
【表2】
【0188】
【表3】
【0189】
【表4】
図1
図2
図3
図4
図5