(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992021
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】流量制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20160901BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20160901BHJP
F16K 31/04 20060101ALN20160901BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
F16K27/02
!F16K31/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-178759(P2014-178759)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2016-53380(P2016-53380A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡野 雄
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−219877(JP,A)
【文献】
特開平2−215975(JP,A)
【文献】
特開2009−2382(JP,A)
【文献】
特開2010−43591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状に形成された樹脂製のハウジング本体と、該ハウジング本体の内部で軸方向に進退動することによって液体の流量を制御する弁体と、前記ハウジング本体の一端側に挿入されて該弁体の弁軸を進退動可能に保持する軸受部材と、該軸受部材を前記ハウジング本体の内周面に対して液密に保持するOリングと、前記軸受部材の軸方向外側から前記ハウジング本体に締結されることによって該軸受部材を該ハウジング本体内に挿入された状態で保持する保持板と、前記軸受部材の外側から前記弁軸を駆動することによって前記弁体を進退動させる駆動部とを備える流量制御弁において、
前記ハウジング本体の前記軸受部材が挿入された部分の半径方向外側には、該ハウジング本体の外周面を取り囲むことによって、該外周面との間に空気層を形成する防護壁が設けられており、
前記空気層は、前記ハウジング本体に前記保持板が取り付けられる側に対して軸方向反対側の端部では、前記ハウジング本体から立設された立壁によって閉鎖されており、前記保持板が取り付けられる側の端部では、前記ハウジング本体に取り付けられた該保持板によって閉鎖されている
ことを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の流量制御弁において、
前記空気層には、前記ハウジング本体の軸方向と並行に、且つ、該ハウジング本体の外周面と一体に形成された柱部が設けられている
ことを特徴とする流量制御弁。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の流量制御弁において、
前記柱部は、前記ハウジング本体の中心軸に対して対称な2箇所に設けられており、
前記保持板は、前記2箇所に設けられた柱部の端部に締結されている
ことを特徴とする流量制御弁。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の流量制御弁において、
前記ハウジング本体の端部で前記Oリングが装着された前記軸受部材が挿入される被挿入部は、該ハウジング本体の他の部分よりも薄肉に形成されている
ことを特徴とする流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製のハウジングを有する流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ハウジング内で弁体を移動させることによって、流路の切り換えや、流量の制御などを行う流量制御弁が知られている。弁体は弁軸に一端側に取り付けられており、弁軸の他端側をハウジングの外側に取り付けた電動モーター等で駆動することによって、弁体を移動させることができる。
【0003】
このような流量制御弁は、内部に水が残ったままで放置されると水が凍結して、その時の水の体積膨張によってハウジングに過大な圧力が掛かることがある。このため、従来の流量制御弁では、凍結時の過大な圧力にも耐え得る金属製のハウジングが用いられていたが、今日では軽量化などの観点からハウジングが樹脂化されるようになっている。樹脂製のハウジングは金属製のハウジングに比べて強度が低いので、凍結時の圧力でハウジングが破損する虞が生じる。
【0004】
そこで、樹脂製のハウジングが破損する前に,電動モーター等の取付板を塑性変形させて凍結時の圧力を逃がすことにより、ハウジングの破損を回避する技術が提案されている(特許文献1)。また、ハウジング内で取付板に面する側の水が他の部分よりも早い段階で凍結すると、その後に凍結が進んでハウジング内に過大な圧力が発生しても取付板が塑性変形できずに圧力を逃がすことができなくなって、ハウジングが破損する虞がある。そこで、このような事態を回避するために、ハウジング内で取付板に面する側の水を取り巻くように、空気による断熱層を設けることで、取付板に面する側の水が他の部分よりも遅れて凍結するようにした技術も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−292131号公報
【特許文献2】特開2012−219877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの提案されている技術では、凍結によるハウジングの破損は回避することができるものの、樹脂化によってハウジングの強度が下がっているため、外部からの強い衝撃を受けるとハウジングが破損する虞があるという問題があった。
【0007】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、凍結や外部からの衝撃によって樹脂製のハウジングが破損する虞のない流量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の流量制御弁は次の構成を採用した。すなわち、
略円筒形状に形成された樹脂製のハウジング本体と、該ハウジング本体の内部で軸方向に進退動することによって液体の流量を制御する弁体と、前記ハウジング本体の一端側に挿入されて該弁体の弁軸を進退動可能に保持する軸受部材と、該軸受部材を前記ハウジング本体の内周面に対して液密に保持するOリングと、前記軸受部材の軸方向外側から前記ハウジング本体に締結されることによって該軸受部材を該ハウジング本体内に挿入された状態で保持する保持板と、前記軸受部材の外側から前記弁軸を駆動することによって前記弁体を進退動させる駆動部とを備える流量制御弁において、
前記ハウジング本体の前記軸受部材が挿入された部分の半径方向外側には、該ハウジング本体の外周面を取り囲むことによって、該外周面との間に空気層を形成する防護壁が設けられており、
前記空気層は、前記ハウジング本体に前記保持板が取り付けられる側に対して軸方向反対側の端部では、前記ハウジング本体から立設された立壁によって閉鎖されており、前記保持板が取り付けられる側の端部では、前記ハウジング本体に取り付けられた該保持板によって閉鎖されている
ことを特徴とする。
【0009】
かかる本発明の流量制御弁においては、弁体や軸受部材が挿入されたハウジング本体の外周面を取り巻くように防護壁が設けられることによって、ハウジング本体の外周面と防護壁との間に空気層が形成されている。そして、空気層の一端側は、ハウジング本体から立設された立壁によって閉鎖されており、空気層の他端側は保持板によって閉鎖された状態となっている。
【0010】
こうすれば、外気の温度が低下した場合でも、空気層が断熱層となるために、軸受部材の周囲に存在する液体の凍結を遅らせることができる。このため、凍結によってハウジング本体内の液体の圧力が増加すると、保持板を変形させながら軸受部材が外側に押し出される結果、液体の圧力が低下するので、ハウジング本体が破損することを回避することができる。加えて、ハウジング本体を取り巻くように防護壁が設けられているので、ハウジング本体が外部からの強い衝撃を受けて破損することもない。
【0011】
また、上述した本発明の流量制御弁においては、ハウジング本体の軸方向と並行で、且つ、ハウジング本体の外周面と一体に形成された柱部を、空気層内に設けることとしても良い。
【0012】
こうすれば、柱部が一体に形成された部分ではハウジング本体の強度が高くなり、柱部が設けられていない部分では、ハウジング本体の強度が相対的に低くなる。このため、ハウジング本体内の液体の圧力が増加した場合には、ハウジング本体の強度が低い部分が外側に変形して、その部分でのOリングのシール性能が低下する。すると、ハウジング本体内で高圧になった液体が、シール性能が低下した部分から漏れ出して、液体の圧力が低下する。このため、保持板を変形させなくても、凍結によってハウジング本体が破損することを回避することができる。
【0013】
また、上述した本発明の流量制御弁においては、ハウジング本体の中心軸に対して対称な2箇所に柱部を設けておき、それぞれの柱部の端部に保持板を締結することとしてもよい。
【0014】
こうすれば、ハウジング本体の柱部が設けられた部分では、保持板もハウジング本体の変形を妨げる強度部材となるため、柱部が設けられていない部分では、ハウジング本体の強度が相対的に、より一層低くなる。このため、凍結によってハウジング本体内の液体の圧力が増加した場合には、強度が低い部分でハウジング本体を確実に変形させて、液体の圧力を低下させることができるので、ハウジング本体の破損を回避することができる。
【0015】
また、上述した本発明の流量制御弁においては、ハウジング本体の端部でOリングが装着された軸受部材が挿入される部分(被挿入部)については、ハウジング本体の他の部分よりも薄肉に形成することとしてもよい。
【0016】
こうすれば、凍結によってハウジング本体内の液体の圧力が増加した時に被挿入部が変形し易くなるので、ハウジング本体内の液体を逃がして液体の圧力を容易に低下させることができる。その結果、凍結によるハウジング本体の破損をより一層確実に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施例の流量制御弁10の構造を示す分解組立図である。
【
図2】本実施例の流量制御弁10の内部構造を示した断面図である。
【
図3】内部に水が残った状態で本実施例の流量制御弁10を冷却したときの温度変化を示した説明図である。
【
図4】本実施例の流量制御弁10の内部で凍結が進む様子を示した説明図である。
【
図5】ハウジング本体101の変形を利用して凍結時の破損を回避するメカニズムを示した説明図である。
【
図6】変形例のハウジング本体101が凍結時の破損を回避するメカニズムを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施例の流量制御弁10の構造を示す分解組立図である。本実施例の流量制御弁10は、大まかには、ハウジング100と、弁部120と、軸受部材130と、保持板140と、駆動部150などから構成されている。このうち、ハウジング100は樹脂材料で形成されており、一端側が開口した略円筒形状のハウジング本体101と、ハウジング本体101の他端側から立設された出力ポート102と、ハウジング本体101の側面に立設された入力ポート103とを備えている。更に、ハウジング本体101の外側には、ハウジング本体101を取り囲むようにして略円筒形状の防護壁104が設けられることによって、ハウジング本体101の外周面と防護壁104との間に空気層105が形成されている。この空気層105は、ハウジング本体101の一端側(ハウジング本体101が開口した側)では空気層105も開口しているが、ハウジング本体101の他端側(出力ポート102が設けられた側)では、ハウジング本体101から立壁104aが立設されることによって閉鎖された状態となっている。
【0019】
また、ハウジング本体101の外周面と防護壁104との間には、略円柱形状の柱部106が、ハウジング本体101の中心軸と並行に、且つ、ハウジング本体101の中心軸に対してほぼ対称な位置に1つずつ設けられている。これら円柱形状の柱部106の側面部分は、ハウジング本体101の外周面と一体に形成され、反対側の側面部分は防護壁104の内周面と一体に形成されている。このため、ハウジング本体101の外周面と防護壁104とは、柱部106によって連結された形状となっている。また、柱部106の端面には、保持板140をハウジング本体101に締結するためのネジ穴106aが形成されている。更に、防護壁104の一部には、半円筒形状の凹部107が設けられている。この凹部107は、保持板140に駆動部150をネジ止めするためのものである。また、入力ポート103の内部には、流量制御弁10を通過する液体の流量を計測する流量センサー110も装着されている。
【0020】
弁部120は、樹脂材料およびゴム材料で形成された弁体121と、一端側に弁体121が取り付けられた金属製の弁軸122とを備えている。弁部120は、円筒形状に形成されたハウジング本体101の一端側(開口した側)からハウジング本体101の内部に挿入されて、ハウジング本体101の内部に形成された図示しない弁座との間で弁口を形成する。
【0021】
軸受部材130は、樹脂材料によって形成されており、中径の挿入部131と、大径の保持部132と、小径の突出部133とが、この順序で且つ同軸状に配列された回転体形状となっている。回転体の回転軸に相当する位置には、弁軸122を軸支するための軸受孔135が貫通しており、また、大径の保持部132の外周面には、Oリング134が嵌め込まれている。この軸受部材130は、軸受孔135に弁軸122が挿通された状態でハウジング本体101の内部に挿入される。すると、保持部132の外周に嵌め込まれたOリング134がハウジング本体101の内周面に当接することによって、軸受部材130がハウジング本体101に対して液密に保持された状態となる。
【0022】
保持板140は、板厚が約0.6〜1ミリメートルの鋼板によって形成されており、略中央には、軸受部材130の突出部133よりも大径の開口部141が形成されている。保持板140は、ハウジング本体101の一端側(開口した側)から弁部120および軸受部材130を挿入した後、開口部141に軸受部材130の突出部133を挿通させた状態で、ネジ142を用いてハウジング本体101のネジ穴106aに締結される。こうすることで、液体の圧力が高くなった場合でも、ある程度の圧力までは、軸受部材130がハウジング本体101内から抜け出さないように保持しておくことができる。尚、ハウジング本体101のネジ穴106aは、ハウジング本体101の中心軸に対してほぼ対象な位置の2箇所に設けられていることに対応して、保持板140も、この2箇所で締結される。
【0023】
駆動部150は、図示しない電動モーターや、図示しないギヤ機構などを内蔵しており、弁軸122を駆動することによって、弁軸122および弁体121を軸方向に進退動させることができる。駆動部150は、ネジ151およびナット152を用いて保持板140に取り付けられる。
【0024】
図2は、本実施例の流量制御弁10の内部構造を示した断面図である。図示した例では、流量制御弁10が開弁した状態を表している。流量制御弁10が開弁した状態では、水などの液体が入力ポート103からハウジング本体101の内部に流入して、ハウジング本体101の内部を満たした後、出力ポート102から流出する。図中の斜線は、ハウジング本体101の内部を満たした液体を表している。また、
図1を用いて前述したように、軸受部材130に嵌め込まれたOリング134は、ハウジング本体101の内周面に対して軸受部材130の保持部132を液密に保持しているので、ハウジング本体101と保持部132との間から液体が外部に漏れることはない。
【0025】
ここで、
図2に示されるように、本実施例のハウジング本体101では、軸受部材130の保持部132が挿入される部分(被挿入部108)の肉厚は、ハウジング本体101の他の部分の肉厚よりも薄く(
図2に示した例では、被挿入部108の半径方向外側にある防護壁104の肉厚よりも薄く)形成されている。この理由については後述する。また、本実施例の流量制御弁10では、ハウジング本体101の外周面と防護壁104との間には空気層105が形成されており、空気層105の開口部が保持板140で塞がれている。このため空気層105は、ハウジング本体101の内部の液体と、外気との間の断熱層として機能する。その結果、ハウジング本体101の内部の液体(特に軸受部材130の周囲の図中で「C」と表示した領域の液体)は、入力ポート103内(図中で「A」と表示した領域)の液体や、出力ポート102内(図中で「B」と表示した領域)の液体よりも、外気の温度変化に対してゆっくりと追従するようになる。
【0026】
図3は、外気温度を27℃から−20℃まで約30分かけて低下させた時に、入力ポート103内(領域A)、出力ポート102内(領域B)、およびハウジング本体101内(領域C)での液体の温度変化を計測した結果を示した説明図である。尚、温度の計測は、流量制御弁10を閉弁した状態で行ったが、流量制御弁10内を液体が流れない状態であれば、流量制御弁10が開弁した状態でも全く同様な結果を得ることができる。
【0027】
図示されるように、領域A(入力ポート103内)および領域B(出力ポート102内)の液体は、外気温度の低下と共に温度が低下していき、0℃を下回る温度になると凍結し始める。そして、凍結し始めてから10〜15分程度で凍結が完了して、その後は、外気と同じ温度(−20℃)になるまで単調に低下する。これに対して、領域C(ハウジング本体101内)の液体は、0℃付近までは他の領域と同じように低下するものの、その後はなかなか凍結が進まない。図示した例では、領域Cでは、凍結が完了するまでに30分程度(従って、領域Aまたは領域Bの2〜3倍程度)の時間が掛かっている。これは、領域Cでは、周囲に存在する空気層105によって、領域Aや領域Bよりも外気の温度が伝わり難くなっているためであると考えられる。そして、このようにすることで、凍結によってハウジング100が破損することを回避することが可能となる。
【0028】
図4は、本実施例の流量制御弁10が凍結によるハウジング100の破損を回避可能な理由を示した説明図である。
図4には、領域A(入力ポート103内)および領域B(出力ポート102内)では液体の凍結が完了しているが、領域C(ハウジング本体101内)の液体は凍結していない状態(
図3では計測開始後50分が経過した時点に相当)が示されている。本実施例の流量制御弁10では、ハウジング本体101の外側に空気層105が設けられているので、ハウジング本体101内の液体が凍結する前に、必ずこのような状態を経由する。尚、図中で細かい斜線を付した部分は、液体が凍結した部分を表しており、図中で粗い斜線を付した部分は、液体が凍結していない部分を表している。
【0029】
周知のように、液体は凍結すると体積が増加する。このため、
図4に示したように、凍結した液体によって出力ポート102および入力ポート103が閉塞された状態で凍結が進むと、ハウジング本体101の液体には大きな圧力が掛かるようになる。この圧力は、軸受部材130をハウジング本体101から押し出す方向に作用し、更に、ハウジング本体101内の軸受部材130の周囲では、空気層105の働きによって液体の凍結が進まない。加えて保持板140は、板厚が約0.6〜1ミリメートルの鋼板が、2箇所でハウジング本体101に締結されているだけなので、ある程度の大きな力が掛かると変形してしまう。
【0030】
このため、ハウジング本体101が破損するより先に、軸受部材130が保持板140を変形させてハウジング本体101から押し出され、その結果、ハウジング本体101内の液体の圧力が減少するので、ハウジング本体101が破損することを回避することができる。また、本実施例の流量制御弁10では、ハウジング本体101の周囲を防護壁104が取り巻いているために、ハウジング本体101が外部からの強い衝撃を受けて破損する虞も生じない。
【0031】
加えて、本実施例の流量制御弁10では、ハウジング本体101の外側の2箇所に、ハウジング本体101の外周面を支えるような状態で柱部106が設けられている(
図1参照)。更に、防護壁104の凹部107もハウジング本体101の外周面と一体に形成されており、ハウジング本体101を外側から支えるような状態となっている(
図1参照)。このため、本実施例の流量制御弁10では、ハウジング本体101内の液体が凍結した場合でも、ハウジング本体101を変形させて液体の圧力を逃がすことによって、ハウジング本体101の破損を回避することができる。
【0032】
図5は、本実施例の流量制御弁10がハウジング本体101を変形させて液体の圧力を逃がすことによって、ハウジング本体101の破損を回避するメカニズムを示した説明図である。
図5(a)には、凍結前の状態で、
図4中の矢視Pの方向から見た時のハウジング本体101と軸受部材130との位置関係が示されており、
図5(b)には、領域Aおよび領域Bが凍結した状態でのハウジング本体101と軸受部材130との位置関係が示されている。
【0033】
図5(a)に示されるように凍結前の状態では、軸受部材130はOリング134によってハウジング本体101の内周面に対して液密に保持されている。ここで、ハウジング本体101の外周面は、図面上で右上方向と左下方向とが柱部106によって支えられた状態となっており、図面上で左上方向は凹部107によって支えられた状態となっている。また、柱部106には保持板140も締結されるので、保持板140も、図面上で右上方向および左下方向にハウジング本体101を支える強度部材として機能する。これに対して、図面上で右下方向にはハウジング本体101を支える構造物が存在していない。すなわち、本実施例のハウジング本体101は、一部の方向(図示した例では図面上で右下方向)に対して強度が低い構造となっている。
【0034】
このため、
図4に示したように、入力ポート103および出力ポート102内の液体が凍結して、ハウジング本体101内での液体の圧力が高くなると、その圧力で、ハウジング本体101の強度の低い部分が外側に変形する。この変形はそれほど大きなものではないので、ハウジング本体101を破損させることはないが、Oリング134が押し付けられているハウジング本体101の内周面が外側に逃げることになるので、この部分でのシール性能は大きく低下する。また、温度の低下によってOリング134が変形しにくくなっているので、場合によっては、
図5(b)に示したように、Oリング134とハウジング本体101との間に隙間が生じることもある。そして、このようにシール性能が低下した箇所が生じると、ハウジング本体101内で圧力が高くなっていた液体がそこから漏れ出してハウジング本体101内の圧力を低下させるので、ハウジング本体101の破損を回避することが可能となる。
【0035】
また、
図2を用いて前述したように、本実施例のハウジング本体101では、被挿入部108の肉厚が、ハウジング本体101の他の部分の肉厚よりも薄く(更には、液体の圧力が掛からない防護壁104よりも薄く)形成されている。このため、凍結による液体の圧力増加で軸受部材130が押し出されて保持板140が変形するよりも前に、被挿入部108を外側に変形させて、液体の圧力を逃がすことができる。このため、ハウジング本体101の破損だけでなく、保持板140が塑性変形することも回避することができる。
【0036】
加えて、ハウジング本体101が液体の圧力で変形しても防護壁104は変形しないので、ハウジング本体101と防護壁104との間に設けられた空気層105は保持板140によって塞がれた状態となっている(
図2参照)。このため、Oリング134によるシールを破って漏れ出した液体は空気層105の内部に溜められて、流量制御弁10の外部に流出することを回避できる場合もある。もちろん、空気層105の内部に溜めることができる液体量はそれほど大きなものではないが、ハウジング本体101内の圧力は僅かな量の液体が流出するだけで急激に低下して、それ以上に液体が漏れ出すことはない。このため、空気層105から液体が溢れ出してしまうとは限らない。そして、空気層105は保持板140によって塞がれているものの、気密な状態で塞がれているわけではないので、空気層105内に溜められた液体は、時間の経過によって蒸発してしまう。このような理由から、本実施例の流量制御弁10では、たとえ凍結によってハウジング本体101内の液体が完全に凍結することがあっても、外気の温度が上昇して凍結が解消されれば、その後も、流量制御弁10を使用し続けることができる可能性がある。
【0037】
尚、上述した実施例では、柱部106の側面部分が(ハウジング本体101だけでなく)防護壁104とも一体に形成されているものとして説明した。しかし、柱部106はハウジング本体101を外側から支える状態で設けられていれば十分であり、防護壁104との間には隙間が形成されていても構わない。また、上述した実施例では、防護壁104の凹部107もハウジング本体101を外側から支える状態で設けられており、その結果、ハウジング本体101は三方向から支えられた状態となっているものとして説明した。しかし、ハウジング本体101は少なくとも一方向に強度の低い部分が存在すれば十分であり,必ずしも三方向から支えられた状態となっている必要はない。
【0038】
従って、
図6に例示した変形例のように、柱部106が防護壁104から離れて設けられており、且つ、防護壁104の凹部107が形成されていないために、ハウジング本体101が二方向(図面上で右上方向および左下方向)から支えられるようにしてもよい。このような場合でも、凍結によってハウジング本体101内の液体の圧力が増加すると、
図6(b)に矢印で示したように、ハウジング本体101が外側に膨らむように変形して、その部分でのOリング134のシール性能が低下する。その結果、その部分から液体を逃がしてハウジング本体101内の圧力を低下させることができるので、ハウジング本体101が破損することを回避することが可能となる。
【0039】
以上、本実施例および変形例について説明したが、本発明は上記の実施例あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
10…流量制御弁、 100…ハウジング、 101…ハウジング本体、
102…出力ポート、 103…入力ポート、 104…防護壁、
104a…立壁、 105…空気層、 106…柱部、
106a…ネジ穴、 107…凹部、 108…被挿入部、
110…流量センサー、 120…弁部、 121…弁体、
122…弁軸、 130…軸受部材、 131…挿入部、
132…保持部、 133…突出部、 134…Oリング、
135…軸受孔、 140…保持板、 141…開口部、
142…ネジ、 150…駆動部、 151…ネジ、
152…ナット。