(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992077
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】船舶の衝突予測器具
(51)【国際特許分類】
B63B 49/00 20060101AFI20160901BHJP
B63B 43/20 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
B63B49/00 Z
B63B43/20
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-150944(P2015-150944)
(22)【出願日】2015年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-147650(P2016-147650A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0021466
(32)【優先日】2015年2月12日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515210053
【氏名又は名称】ジョン ミンホ
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ミンホ
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−159541(JP,A)
【文献】
特開平10−76038(JP,A)
【文献】
特開2007−286725(JP,A)
【文献】
特開2009−214864(JP,A)
【文献】
特開平8−178604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 49/00
B63B 43/20
G08G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーが目標船舶を見つめるための透視口を備えるメインフレームと、
前記メインフレームに設置され、前記ユーザーの顔面への着用を可能とする据置部材と、
前記透視口上に垂直に設置され、前記ユーザーが前記目標船舶に対する基準点を取るように水平方向に移動可能な測定部材と、
前記メインフレームの下側に設置され、前記測定部材を左右に移動させて前記測定部材の位置が前記目標船舶の位置に対応するようにする移動部材とを含んでなることを特徴とする、 船舶の衝突予測器具。
【請求項2】
前記移動部材は、
外周面にねじ山が形成された回転軸と、前記回転軸の一端に固定された回転具と、前記測定部材の下端に連結された状態で前記回転軸の外側に螺合され、前記回転具の回転操作に応じて前記回転軸に沿って左右に移動する第1結合具とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の船舶の衝突予測器具。
【請求項3】
前記メインフレームの上端に設置されるガイドバーと、前記測定部材の上端に連結された状態で前記回転具の回転操作に応じて前記ガイドバーに沿って左右に移動する第2結合具とを含むガイド部材をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の船舶の衝突予測器具。
【請求項4】
前記メインフレームの一側に連結され、中央には真ん中を基準として両端が上方に所定の曲率で湾曲し且つ真ん中の下端に基準溝が凹設された第2透視口を備え、前記第2透視口には鉄玉が設置されることにより、前記鉄玉の位置に基づいて水平状態を確認することが可能な補助フレームをさらに含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の船舶の衝突予測器具。
【請求項5】
前記補助フレームが水準器をさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載の船舶の衝突予測器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠距離に位置する船舶の移動方向を容易に判断することが可能な船舶の衝突予測器具に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、国内で起きている海難事故の約80%が人的過失により発生している。このうち、運航過失による事故は、その70%が衝突や座礁によるものであり、主に、衝突予防規則などの航法の不遵守、疎かな前方視界および不適切な操船技術などのように運航者の状況認識および対処が遅くて発生する場合がほとんどである。
【0003】
特に船舶の場合、水に浮いている状態であることを考慮すると、運航者が搭乗した船舶と相手船との距離が十分な状態で回避動作が完了してこそ船舶間の衝突を回避することができるのである。
【0004】
このような衝突および座礁を防止するための装置として、相手船が一定の距離内に入ってくると警告を発する船舶用レーダーがあるが、この船舶用レーダーは、目標物に向かって発射したレーザーが前記目標物から反射されたあとでまた戻ってきたときにこれを感知するので、運航者が直接肉眼で見て判断するよりも長い時間が経過した後で相手船を感知することになるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国登録特許10−1193081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためのもので、その目的は、運航者が直観的に目標船舶の移動方向を判断することが可能な船舶の衝突予測器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、ユーザーが目標船舶を見つめるための透視口を備えるメインフレームと、前記メインフレームに設置され、前記ユーザーの顔面への着用を可能とする据置部材と、前記透視口上に垂直に設置され、前記ユーザーが前記目標船舶に対する基準点を取るように水平方向に移動可能な測定部材と、前記メインフレームの下側に設置され、前記測定部材を左右に移動させて前記測定部材の位置が前記目標船舶の位置に対応するようにする移動部材とを含んでなることを特徴とする、 船舶の衝突予測器具が提供される。
【0008】
好ましくは、前記移動部材は、外周面にねじ山が形成された回転軸と、前記回転軸の一端に固定された回転具と、前記測定部材の下端に連結された状態で前記回転軸の外側に螺合され、前記回転具の回転操作に応じて前記回転軸に沿って左右に移動する第1結合具とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記メインフレームの上端に設置されるガイドバーと、前記測定部材の上端に連結された状態で前記回転具の回転操作に応じて前記ガイドバーに沿って左右に移動する第2結合具とを含むガイド部材をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記メインフレームの一側に連結され、中央には真ん中を基準に両端が上方に所定の曲率で湾曲し且つ真ん中の下端に基準溝が凹設された第2透視口を備え、前記第2透視口には鉄玉が設置されることにより、前記鉄玉の位置に基づいて水平状態を確認することが可能な補助フレームをさらに含むことを特徴とする。
好ましくは、前記補助フレームが水準器をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運航者が直観的に目標船舶の移動方向を判断して十分な事前距離内で回避動作を完了することにより、船舶間の衝突事故を安全に予防することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る船舶の衝突予測器具を示す断面図である。
【
図2】
図1の船舶の衝突予測器具を用いてユーザーが目標船舶を観測する過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述した本発明の解決しようとする課題、課題を解決するための手段、発明の効果を含む具体的な事項は、以下の実施形態および図面に含まれている。本発明の利点および特徴、並びにそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述される実施形態を参照すると明確になるだろう。明細書全体にわたって、同じ参照符号は同じ構成要素を示す。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る船舶の衝突予測器具を説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る船舶の衝突予測器具1の断面図である。
【0014】
図1を参照すると、本発明に係る船舶の衝突予測器具1は、ユーザーが目標船舶を見つめるためのメインフレーム10と、前記ユーザーの顔面への着用を可能とする据置部材20と、前記ユーザーが前記目標船舶に対する基準点を取るように水平方向に移動可能な測定部材30と、前記測定部材30の位置が前記目標船舶の位置に対応するようにする移動部材40とを含んでなる。
【0015】
まず、メインフレーム10は、ユーザーが目標船舶を見つめるための透視口11を備える。例えば、
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るメインフレーム10には所定の大きさの透視口11が形成できる。ここで、前記透視口11には、ユーザーの視力補正のためのレンズが結合されて装着できる。
【0016】
次に、据置部材20は、前記メインフレーム10に設置され、ユーザーの顔面への着用を可能とする。ここで、据置部材20は、ユーザーの両耳に掛けられる一対の眼鏡脚のタイプであってもよく、ユーザーの頭を包んで固定する弾性バンドのタイプであってもよい。また、
図1に示すように、据置部材20は、メインフレーム10に設置される第1据置部材21と、後述する補助フレーム60に設置される第2据置部材22とから構成される。前記第1据置部材21と前記第2据置部材22によってユーザーの顔面に着用することもできる。このとき、第1据置部材21と第2据置部材22は、前記メインフレーム10と前記補助フレーム60に着脱可能に結合できる。
【0017】
次に、測定部材30は、ユーザーが目標船舶に対する基準点を取るようにする役割を果たす。具体的には、測定部材30は、透視口11上に垂直に設置され、ユーザーが目標船舶に対する基準点を取るように水平方向に移動することができる。また、
図1に示すように、測定部材30は、一端が後述の移動部材40の第1結合具43に連結され、他端は後述のガイド部材50の第2結合具52に連結されることができる。
【0018】
その後、移動部材40は、測定部材30の位置が目標船舶の位置に対応するようにする役割を果たし、メインフレーム10の下端に設置される。具体的に、移動部材40は、外周面にねじ山が形成された回転軸41と、前記回転軸41の一端に固定された回転具42と、前記測定部材30の下端に連結された状態で前記回転軸41の外側に螺合され、前記回転具42の回転操作に応じて前記回転軸41に沿って左右に移動する第1結合具43とを含む。
【0019】
ここで、回転軸41は、メインフレーム10の下端に回動自在に結合されて設置される。例えば、回転軸41の外周面の一部は、メインフレーム10の下端にベアリング結合できるように、所定の大きさの孔が穿設された或いは内側方向に所定の深さだけ陥没した形態であってもよい。
ここで、回転具42は、回転操作可能に回転軸41の一端に固定されて設置される。
【0020】
例えば、もしユーザーが回転具42を時計回りまたは反時計回りに回すと、前記回転具42に固定された状態である回転軸41も前記回転具42と同じ方向に回転することになる。このとき、回転軸41がメインフレーム10の下端に回動自在な状態で結合されているので、測定部材30と連結されて前記回転軸41の外側に螺合された第1結合具43が回転軸41に沿って左右のいずれかの一方向に移動することになる。
【0021】
次に、ガイド部材50は、測定部材30の移動を支持する役割を果たし、メインフレーム10の上端に設置される。具体的には、ガイド部材50は、前記メインフレーム10の上端に設置されるガイドバー51と、前記測定部材30の上端に連結された状態で前記回転具42の回転操作に応じて前記ガイドバー51に沿って左右に移動する第2結合具52とを含む。
【0022】
ここで、ガイドバー51は、メインフレーム10の上端に固定結合されて設置される。例えば、ガイドバー51の外周面の一部は、メインフレーム10の上端にベアリング結合できるように、所定の大きさの孔が穿設されるか或いは内側方向に所定の深さだけ陥没した形態であってもよい。
【0023】
一方、本発明の一実施形態に係る船舶の衝突予測器具1は、前記メインフレーム10の一側に連結されて水平状態を確認することが可能な補助フレーム60をさらに含むことができる。
【0024】
具体的に、補助フレーム60の中央には、真ん中を基準として両端が上方に所定の曲率で湾曲し且つ真ん中の下端には基準溝63が凹設された第2透視口61を備える。前記第2透視口61には鉄玉62が設置される。これにより、該鉄玉62の位置に基づいて水平状態を確認することができる。
【0025】
ここで、第2透視口61は、鉄玉62の高さを収容することが可能な程度の幅を有し、真ん中を基準として両端が同じ曲率で湾曲して同じ高さに位置するように形成できる。
【0026】
ここで、基準溝63は、鉄玉62の下部側の一部分を据え置くことが可能な程度の深さで凹設できる。これは、船舶の特性上、完全に水平状態が0であるときのみを考慮するのは容易でないので、ユーザーの観測結果に影響を与えない程度の揺れ状態は水平状態と見なし、考慮対象から除外するためである。
【0027】
例えば、本発明に係る船舶の衝突予測器具1が水平状態にあるときは、鉄玉62が基準溝63に位置し、 本発明に係る船舶の衝突予測器具1が水平状態でないときは、鉄玉62が第2透視口61の左側または右側に偏った箇所に位置することになる。
ここで、補助フレーム60は、水平状態を確認することが可能な水準器をさらに備えることができる。
【0028】
これにより、ユーザーは、補助フレーム60を用いて船舶の衝突予測器具1の水平状態を確認することにより、前記ユーザーが目標船舶を観測している状態の精度を判断することができる。
【0029】
一方、本発明の一実施形態に係る船舶の衝突予測器具1は、メインフレーム10の一側と補助フレーム60の一側とを連結する連結フレーム(図示せず)をさらに含むことができる。
【0030】
ここで、連結フレーム(図示せず)は、前記メインフレーム10と前記補助フレーム60に着脱可能に結合できる。例えば、メインフレーム10−連結フレーム(図示せず)−補助フレーム60の順、或いは補助フレーム60−連結フレーム(図示せず)−メインフレーム10の順に配置して結合することができる。この場合、前述したように、据置部材20は、メインフレーム10と補助フレーム60に着脱可能に結合されることが好ましい。
これにより、ユーザーの両目のうち疲労感の少ない目で目標船舶を観測することができるため、観測状態の精度がさらに向上できるようになる。
【0031】
図2は
図1の船舶の衝突予測器具を用いてユーザーが目標船舶を観測する過程を示す図である。ここで、
図2の(a)はユーザーが基準点を目標船舶に設定した状態を示し、
図2の(b)はユーザーが前記目標船舶を観測する間に前記目標船舶が左方向に移動した状態を示す。
【0032】
まず、
図2の(a)に示すように、船舶の衝突予測器具1を着用したユーザーが、識別可能な位置に存在する船舶を目標船舶として設定しようとする場合、ユーザーは、回転具42を回転操作することにより、前記目標船舶が前記測定部材30の所定空間s内に位置するようにした後、前記所定空間sを基準に目標船舶の観測を開始する。
【0033】
次に、
図2の(b)に示すように、ユーザーが前記目標船舶を観測している状態で前記目標船舶が左側へ所定距離だけ移動すると、前記目標船舶が基準となる前記所定空間sの左側に位置することになるので、観測中のユーザーが、前記目標船舶の移動方向が左側であることを直観的に把握することができる。
以上、好適な実施形態によって本発明について詳細に説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で多様に実施できる。
【符号の説明】
【0034】
1 船舶の衝突予測器具
10 メインフレーム
11 透視口
20 据置部材
21 第1据置部材
22 第2据置部材
30 測定部材
40 移動部材
41 回転軸
42 回転具
43 第1結合具
50 ガイド部材
51 ガイドバー
52 第2結合具
60 補助フレーム
61 第2透視口
62 鉄球
63 基準溝