(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記誘導加熱エリアは第1の領域に配設され、前記第1の領域とは異なる第2の領域に前記調理デバイスエリアが配設されることを特徴とする請求項1、4、もしくは7に記載の誘導加熱調理システム、請求項2、5、もしくは8に記載の誘導加熱調理装置、または請求項3、6、もしくは9に記載の複合調理装置。
前記調理支援部は、前記被誘導加熱部とは異なる方向から食材を加熱することを特徴とする請求項1、4、もしくは7に記載の誘導加熱調理システム、請求項2、5、もしくは8に記載の誘導加熱調理装置、または請求項3、6、もしくは9に記載の複合調理装置。
前記調理支援部は、前記発電部で得られた第2の電力を用いて、食材を加熱する抵抗発熱体であることを特徴とする請求項11に記載の誘導加熱調理システム、誘導加熱調理装置、または複合調理装置。
前記調理支援部は、前記複合調理装置内で食材を固定する固定部品と、前記発電部で得られた第2の電力を用いて、前記固定部品を所定軸の周りで回転させる回転機構とを有することを特徴とする請求項7に記載の誘導加熱調理システム、請求項8に記載の誘導加熱調理装置、または請求項9に記載の複合調理装置。
前記第1の検知部が、前記誘導加熱エリアに前記複合調理装置の前記被誘導加熱部が載置されたことを検知し、かつ、前記第2の検知部が、前記調理デバイスエリア上に前記複合調理装置の前記発電部が載置されたことを検知したとき、前記制御部は、被誘導加熱部を誘導加熱させるとともに前記発電部を発電させるために、前記第1および第2の磁界発生部のそれぞれに高周波電流を供給するように前記第1および第2のインバータ回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理システム、請求項2に記載の誘導加熱調理装置、または請求項3に記載の複合調理装置。
前記制御部は、前記第1および第2の検知部で検知された負荷抵抗が、その所定の負荷閾値範囲内であるとき、高周波電流を供給するように前記第1および第2のインバータ回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理システム、請求項2に記載の誘導加熱調理装置、または請求項3に記載の複合調理装置。
前記制御部は、前記第1および第2の検知部で検知された負荷抵抗が、その所定の負荷閾値範囲内でないとき、高周波電流を供給しないように前記第1および第2のインバータ回路を制御することを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱調理システム、請求項2に記載の誘導加熱調理装置、または請求項3に記載の複合調理装置。
前記制御部は、前記第1および第2の検知部で検知した第1および第2の消費電力の合計電力が、前記誘導加熱調理装置の最大供給電力を超えると判断したとき、予め設定された優先順位に応じた電力が出力されるように第1および第2のインバータ回路を制御することを特徴とする請求項1、4、もしくは7に記載の誘導加熱調理システム、請求項2、5、もしくは8に記載の誘導加熱調理装置、または請求項3、6、もしくは9に記載の複合調理装置。
前記第1および第2の磁界発生部は、リッツ線を巻線してなる誘導加熱コイル、または無端状の金属プレートもしくは金属薄膜の一部で構成されたことを特徴とする請求項1、4、もしくは7に記載の誘導加熱調理システム、請求項2、5、もしくは8に記載の誘導加熱調理装置、または請求項3、6、もしくは9に記載の複合調理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明に係る誘導加熱調理装置、複合調理装置、およびこれらを備えた誘導加熱調理システムの実施の形態を説明する。各実施の形態の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(たとえば、「前」、「後」、「左」、「右」、「X」、「Y」、「Z」等を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものでない。また以下の添付図面において、同様の構成部品については同様の符号を用いて参照する。
【0014】
実施の形態1.
本発明に係る実施の形態の誘導加熱調理システム100は、誘導加熱調理装置1および複合調理装置101から構成され、まず誘導加熱調理装置1および複合調理装置101のそれぞれについて個別に説明する。
【0015】
[A.誘導加熱調理装置]
図1〜
図9を参照しながら、本発明に係る誘導加熱調理装置の実施の形態1について以下詳細に説明する。
図1は、本発明に係る誘導加熱調理装置(以下、単に「IH調理装置」という。)1の全体を概略的に図示する斜視図である。
図1に示すIH調理装置1は、キッチンに設けた収納部(図示せず)に据え付けられるビルトインタイプのものであり、
図2は、キッチンの収納部に据え付けられたIH調理装置1の平面図である。このIH調理装置1は、概略、主に板金等で形成された本体部2と、その上側表面のほぼ全体を覆うガラス等で形成された耐熱性の天板(以下、「トッププレート」という。)3と、複数の誘導加熱エリア10a,10b,10cと、複数の調理デバイスエリア30a,30bと、調理用グリル4とを有する。なお、複数の誘導加熱エリア10a,10b,10c、および複数の調理デバイスエリア30a,30bのそれぞれは、トッププレート3上の異なる領域に互いに独立して配設されている。以下、説明の便宜上、
図1および
図2に示す誘導加熱エリア10a,10b,10cをそれぞれ左側誘導加熱エリア10a、中央誘導加熱エリア10b、および右側誘導加熱エリア10cといい、調理デバイスエリア30a,30bをそれぞれ左側調理デバイスエリア30aおよび右側調理デバイスエリア30bという。
【0016】
またIH調理装置1は、ここでは図示しないが、さまざまな回路構成部品を有し、概略、各誘導加熱エリア10a,10b,10cの下方において、鍋等の被加熱物110を誘導加熱する加熱コイル12a,12b,12c(総称して、「第1の磁界発生部」ともいう。)と、後述する補助調理装置(受電装置)70または複合調理装置101に電力供給(給電)する給電コイル32a,32b(総称して、「第2の磁界発生部」ともいう。)と、加熱コイル12a,12b,12cに高周波電流を供給する第1のインバータ回路14a,14b,14cと、給電コイル32a,32bに高周波電流を供給する第2のインバータ回路34a,34bと、第1および第2のインバータ回路14,34に直流電圧を印加する電源部40と、第1および第2のインバータ回路14,34が供給する高周波電流を制御する制御部50とを有する。なお、電源部40は、第1および第2のインバータ回路14,34ごとに個別に設けてもよい。
【0017】
さらにIH調理装置1は、トッププレート3の奥手側に設けられた給気窓5および排気窓6a,6bと、ユーザが各加熱コイル12a,12b,12c、給電コイル32a,32b、および調理用グリル4を操作するために用いられる上面操作部(操作パネル)7と、「火力(出力電力)」を調整する前面操作部(火力調節ダイヤル)8a,8bと、操作パネル7および火力調節ダイヤル8a,8bによる制御状態や操作ガイド等を表示するための液晶表示素子等を用いた表示部9a,9bとを有する。なお本発明は、給排気口5,6、操作部7,8、火力調節ダイヤル8、表示部9は、上記のものに限定されず、任意の構成を有するものであってもよい。
【0018】
なお、以下の説明において、調理用グリル4が本体部2のほぼ中央に配置された、いわゆるセンターグリル構造を有するIH調理装置1について例示的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、調理用グリル4がいずれか一方の側面に偏ったもの(いわゆるサイドグリル構造を有するIH調理装置)、または調理用グリル4を具備しないIH調理装置にも同様に適用することができる。また、
図1および
図2に示すIH調理装置1は、3つの誘導加熱エリア10a,10b,10cと、2つの調理デバイスエリア30a,30bとを備えたものとして図示するが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの誘導加熱エリア10と調理デバイスエリア30を有するものであれば任意の構成を有するものであってもよい。
【0019】
図3は、トッププレート3上の各誘導加熱エリア10a,10b,10cに大鍋110a、小鍋110b、およびフライパン110cを載置し、右側調理デバイスエリア30bに後述するブレンダ等の補助調理装置70を載置したときの状態を示す概略図である。ユーザは、食材Fを加熱すると同時に、食材の加熱前処理を行うことができる。
【0020】
次に、IH調理装置1の各構成部品の構成およびその動作について詳細に説明する。
【0021】
[A.加熱コイルおよび給電コイル(「第1および第2の磁界発生部」)]
加熱コイル12aは、第1のインバータ回路14から高周波電流の供給を受けて高周波磁界を形成し、鍋等の被加熱物110が高周波磁界と鎖交することにより、渦電流によるジュール熱を発生させて被加熱物110を直接的に誘導加熱するものである。給電コイル32a,32bは、同様に、第2のインバータ回路34から高周波電流の供給を受けて高周波磁界を形成し、後述する補助調理装置70または複合調理装置101に設けた受電コイル72が高周波磁界を受けて電磁誘導されることにより、起電力を生成させるものである。すなわち、加熱コイル12および給電コイル32は、高周波電流の供給を受けて高周波磁界を形成する点においては共通の機能または作用を有するので、これらを第1および第2の磁界発生部12,32ともいう。
【0022】
図4(a)および
図4(b)は、例示的な加熱コイル12の平面図である。加熱コイル12(第1の磁界発生部)は、誘導加熱エリア10の下方に配置され、たとえば銅線を樹脂などで被覆したものを複数本撚り線にしたリッツ線を複数ターン巻回することにより構成された中央コイル13a,13bおよび4つの周辺コイル16a〜16dを有する。中央コイル13a,13bは、同心円状に巻回された内側サブコイル13aおよび外側サブコイル13bを有し、各周辺コイル16a〜16dは、中央コイルの外側サブコイル13bに沿って半円弧状(バナナ状または胡瓜状に)に巻回することにより形成されている。
図4(a)の内側サブコイル13aおよび外側サブコイル13bは直列に接続してもよいし、並列に接続してもよく、またそれぞれ独立させて個別に駆動することにより、小鍋Pを効率よく加熱できるように構成してもよい。
【0023】
また加熱コイル12は、
図4(b)に示すように、同様にリッツ線を同心円状に複数ターン巻回することにより構成された中央コイル13a,13bおよび周辺コイル16a,16bを有してもよい。
図4(b)の中央コイル13は、直列に接続されたサブコイル13a,13bからなり、周辺コイル16は、同様に直列に接続されたサブコイル16a,16bからなるものであってもよいし、各サブコイル13a,13b,16a,16bをそれぞれ並列に接続したものであってもよく、各サブコイル13a,13b,16a,16bを独立させて個別に駆動することにより、任意の大きさを有する鍋Pを効率よく加熱できるように構成してもよい。なお加熱コイルを構成する各コイルの接続の構成は、本願発明を限定するものではない。
【0024】
図5(a)は、例示的な給電コイル32の平面図である。給電コイル32(第2の磁界発生部)は、同様にリッツ線を複数ターン巻回することにより構成された円形コイル32aおよびこれより大きい矩形コイル32bを有する。
図5(b)および
図5(c)は、トッププレート3上の調理デバイスエリア30にそれぞれブレンダおよび魚焼き調理器の補助調理装置70を載置したときの断面図である。補助調理装置70または複合調理装置101の受電コイル72の大きさにより、円形もしくは矩形コイル32a,32b、またはこれらの両方に高周波電流を供給することにより、補助調理装置70または複合調理装置101の受電コイル72は所望の電力量を受電することができる。たとえば
図5(b)のブレンダ70は、受電コイル72が高周波磁界を受けて発生した起電力を利用して、モータを回転させて食材を細断または撹拌することができ、
図5(c)の魚焼き調理器70は、同様に受電コイル72で得られて生じた起電力を、負荷であるラジエントヒータ等の抵抗発熱体に供給して、魚等の食材を上から加熱することができる。ここで、給電コイル32は高周波磁界を発生するものであれば、円形、矩形または多角形形状を有するように構成してもよい。なお、複合調理装置101をトッププレート3上に載置した場合については後述する。
【0025】
図6(a)および
図6(b)は、択一的な給電コイル32の斜視図および平面図である。この給電コイル32は、銅や鉄等の金属からなる無端状(ドーナツ状)の金属プレートを折り曲げ加工して形成されたものであり、トッププレート3に対向する励磁部63と、トランス65の開口部66に挿入される受電部64とを有する。トランス65は、磁性材料からなる基部67と、これに対して垂直方向に延びる一対の壁部68と、一対の壁部68の間に形成された開口部66とを有し、主に磁性材料からなる一対の壁部68に絶縁被膜された巻線69が巻回された1次コイルを構成するものである。
図4および
図5に示すリッツ線を巻回して構成された加熱コイル12は、リッツ線の両端に高周波電流が供給されることにより高周波磁界を形成するが、
図6に示す無端状の金属プレートからなる給電コイル32は、巻線69に高周波電流を供給して、一対の壁部68の間に高周波磁界を形成し、給電コイル32の受電部64が高周波磁界と鎖交して(二次コイルのように磁気的に結合して)、励磁部63に高周波渦電流が流れ、励磁部63の周囲に高周波磁界を形成する。こうして形成された高周波磁界が、トッププレート3を介して伝播し、補助調理装置70または複合調理装置101の受電コイル72と鎖交して起電力を発生させる。このように
図6に示す給電コイル32は、無端状の金属プレートの一部で構成されている。
【0026】
図7(a)〜
図7(c)は、さまざまな形態を有する別の択一的な給電コイル32およびトランス65の平面図である。給電コイル32の励磁部63の平面形状は、図示のように、矩形形状、多角形(八角形)形状、または円形形状を有してもよい。また、給電コイル32は、上述のように無端状の金属プレートの一部として構成してもよいが、たとえば絶縁基板上に積層された無端状の金属薄膜の一部として構成してもよい。
【0027】
また上記説明では、加熱コイル12および給電コイル32をそれぞれ互いに異なる形態を有するものとして説明したが、たとえば加熱コイル12を無端状の金属プレートの一部で構成し、給電コイル32を巻回されたリッツ線で構成してもよく、高周波磁界を発生させる磁界発生部として機能するものであれば任意の形態を有してもよい。
【0028】
[B.電気回路構成]
図8は、本発明に係るIH調理装置1の電気回路構成を示すブロック回路図である。
図8に示すIH調理装置1は、概略、加熱コイル12に高周波電流を供給する第1のインバータ回路14と、給電コイル32に高周波電流を供給する第2のインバータ回路34と、第1および第2のインバータ回路14,34に直流電圧を印加する電源部40とを備える。またIH調理装置1は、第1および第2のインバータ回路14,34から加熱コイル12および給電コイル32に供給される高周波電流を制御する制御部50を備え、制御部50には操作部7,8および表示部9が電気的に接続されている。さらにIH調理装置1は、加熱コイル12の上方に載置された被加熱物110の電気的特性(負荷抵抗および共振周波数等の負荷特性を含む)を検知する鍋検知部(第1の検知部)15と、給電コイル32の上方に載置された補助調理装置70または複合調理装置101の受電コイル72の電気的特性を検知するコイル検知部(第2の検知部)35と、電源部40で消費される電力を検知する電力検知部45とを備える。なお上記説明では、加熱コイル12の上方に載置された被加熱物110と、給電コイル32の上方に載置された補助調理装置70または複合調理装置101の受電コイル72とを区別したが、ともにトッププレート3上に載置されるものとして、これらを総称して「載置物」ということがある。すなわち、「載置物」とは、被加熱物110と、受電コイル72を備えた補助調理装置70または複合調理装置101とを含む。また電源部40は、第1および第2のインバータ回路14,34に直流電圧を印加するものであるが、各インバータ回路に独立して直流電圧を印加する複数の電源部を設けてもよく、同様に複数の電力検知部を各電源部に設けてもよい。
【0029】
図8に示すように、電源部40は、外部より供給される単相交流電源41を略直流電流に変換するコンバータ(たとえばダイオードブリッジ)42と、コンバータ42の出力端に接続されたチョークコイル43および平滑用コンデンサ44と、電源部40で消費される電力を検知する電力検知部45とを有する。上述のように、電源部40は第1および第2のインバータ回路14,34に直流電圧を印加し、電力検知部45は電源部40で消費される電力を検知するものである。
【0030】
第1のインバータ回路14は、電源部40に並列に接続され、IGBTなどの半導体スイッチング素子対からなる駆動アームおよび共振コンデンサ11を有し、電源部40からの直流電流を高周波電流に変換して、加熱コイル12に高周波電流を供給する。
【0031】
加熱コイル12は、そのインダクタンスLと抵抗Rの等価回路として示され、トッププレート3を介して加熱コイル12の上方に載置された(加熱コイル12に対向する)鍋等の被加熱物110も同様に、インダクタンス成分と抵抗成分を有するものとして図示されている。加熱コイル12に高周波電流が供給されると、その周囲に高周波磁界が形成され、被加熱物110は高周波磁界に鎖交して誘導加熱される。
【0032】
第1のインバータ回路14には、加熱コイル12の両端に印加される駆動電圧Vおよび加熱コイル12に流れる駆動電流Iを検知して、駆動電圧Vおよび駆動電流Iに基づいて被加熱物110の電気的特性(負荷抵抗および共振周波数等の負荷特性を含む)を検知する鍋検知部(第1の検知部)15が設けられている。鍋検知部15は、被加熱物110の電気的特性を検知するものであれば、既知の任意の回路構成を有してもよいが、好適には、たとえば特開2012−054179号に開示された負荷検知部と同様の回路構成を有する。
【0033】
同様に、第2のインバータ回路34は、電源部40に並列に接続され、IGBTなどの半導体スイッチング素子対からなる駆動アームおよび共振コンデンサ31を有し、電源部40からの直流電流を高周波電流に変換して、給電コイル32に高周波電流を供給する。
【0034】
他方、給電コイル32は、そのインダクタンスL’と抵抗R’の等価回路として示されている。また
図5(b)および(c)に示す補助調理装置70の受電コイル72は、トッププレート3を介して給電コイル32の上方に載置される(給電コイル32に対向する)ものであり、詳細後述するが、調理を支援するためのモータおよびヒータ等の負荷部74が受電コイル72の両端に接続され、これらに電力を供給するものである。すなわち受電コイル72は、負荷部74に電力を供給するという観点において、発電部を構成するものであり、本願明細書においては受電コイル72を上位概念的に「発電部72」ともいう。また、モータおよびヒータ等の負荷部74は、電力の供給を受けて、調理を支援するという意味合いで、本願明細書においてはこれらを総称して「調理支援部74」ともいう。
なお
図8においては、補助調理装置70は、受電コイル(発電部)72と、インダクタンス成分を有する負荷部(調理支援部)74とを有するものとして図示されている。給電コイル32に高周波電流が供給されると、その周囲に高周波磁界が形成され、受電コイル(発電部)72に起電力が生じ、負荷部(調理支援部)74に電力を供給して、調理の仕上がりが改善されるように食材の調理が支援される。
【0035】
負荷部(調理支援部)74は、受電コイル72の両端に生じた起電力を所望の交流電圧または直流電圧に変換する変換器(図示せず)を含んでもよく、たとえば
図5(b)に示すブレンダのカッタを回転させるモータ、または
図5(c)に示す魚焼き調理器のラジエントヒータ等の抵抗発熱体をさらに有するものであってもよい。
【0036】
第2のインバータ回路34には、給電コイル32の両端に印加される駆動電圧Vおよび加熱コイル12に流れる駆動電流Iを検知して、駆動電圧Vおよび駆動電流Iに基づいて、給電コイル32の上方に載置された補助調理装置70の受電コイル72を含む負荷部74の電気的特性(負荷抵抗および共振周波数等の負荷特性を含む)を検知するコイル検知部(第2の検知部)35が設けられている。コイル検知部35は、駆動電圧Vおよび駆動電流Iから補助調理装置70の受電コイル72の電気的特性を検知するものであれば、既知の任意の回路構成を有してもよく、鍋検知部15と同様の回路構成を有してもよい。
【0037】
制御部50は、操作部7,8および表示部9が接続され、ユーザの所望する火力等に応じた高周波電流を加熱コイル12および給電コイル32に供給するように第1および第2のインバータ回路14,34を制御するものである。また制御部50は、鍋検知部15、コイル検知部35、および電力検知部45が接続され、トッププレート3上に載置された被加熱物110および補助調理装置70の受電コイル72を含む負荷部74の電気的特性に基づいて各インバータ回路14,34の駆動周波数および消費電力を制御することができる。
【0038】
また制御部50は、鍋検知部15およびコイル検知部35で検出された負荷抵抗に基づいてトッププレート3上に被加熱物110または補助調理装置70が載置されていることを簡便な手法で判断することができる。
図9は、第1および第2のインバータ回路14,34の出力電圧を、たとえば1kHz刻みで変化するようにスイープ(周波数掃引)させたときに、鍋検知部15およびコイル検知部35で検出された負荷抵抗をプロットしたものである。
図9に示すように、トッププレート3上に被加熱物110が載置されたとき、検出された負荷抵抗は周波数の増大に伴って単調増加する一方、トッププレート3上に補助調理装置70が載置されたとき、特定の共振周波数で負荷抵抗値は最大値(ピーク値)を有するように変化する。すなわち制御部50は、周波数掃引して負荷検知することにより、
図9に示す周波数−負荷特性の関係から、被加熱物110または補助調理装置70のいずれかが載置されていることを瞬時に判断することができる。
【0039】
なお、鍋検知部15およびコイル検知部35が同様の回路構成を有するとき、制御部50は、
図9に示す周波数−負荷特性の関係から、補助調理装置70が誘導加熱エリア10上に載置され、被加熱物110が調理デバイスエリア30上に載置されたとしても、これらを容易に認識し、適正な条件で被加熱物110を誘導加熱し、補助調理装置70の受電コイル72を電磁誘導することができる。換言すると、上記説明では、誘導加熱エリア10および調理デバイスエリア30は、異なる名称を用いて説明したが、加熱コイル12および給電コイル32がともに磁界を発生させるものであり、鍋検知部15およびコイル検知部35がともに被加熱物110および受電コイル72の電気的特性(負荷特性を含む)を検知するものであるので、各エリア10,30は、互換性をもって被加熱物110を誘導加熱し、または補助調理装置70の受電コイル72を電磁誘導するエリアとして利用することができる。
【0040】
一方、鍋検知部15が誘導加熱エリア10上の載置物の電気的特性を検知して、誘導加熱エリア10上に受電コイル72が載置されたと判断された場合、またはコイル検知部35が調理デバイスエリア30上の載置物の電気的特性を検知して、調理デバイスエリア30上に被加熱物11が載置されたと判断された場合、制御部50は、複合調理装置101以外の載置物が載置されているか、または複合調理装置101が正しい位置に載置されていないと判断し、給電コイル32または加熱コイル12に高周波電流を供給しないように第1および第2のインバータ回路14,34を制御してもよい。
【0041】
[C.複合調理装置]
図10は、本発明に係る複合調理装置101の一部破断斜視図であり、
図11は、複合調理装置101をIH調理装置1のトッププレート3上に載置したときの斜視図である。また、
図12は、IH調理装置1および複合調理装置101からなる誘導加熱調理システム100の電気回路構成を示すブロック回路図である。
図10に示す複合調理装置101は、トッププレート3の誘導加熱エリア10上に載置される被加熱物110(被誘導加熱部)と、調理デバイスエリア30上に載置される受電コイル72を含む発電部72とを有する。
図10の複合調理装置101は、たとえば魚等の食材をグリル調理するための魚焼き器として構成され、その被加熱物110は、磁性を有する銅や鉄等の金属からなる金属プレートを折り曲げ加工して、凹部を有する矩形の皿部材110として形成されたものである。皿部材110の上には焼き網116を設けて、食材Fに網状の焼き目を付けてもよい。
図10に示すように、皿部材(被加熱物)110は、誘導加熱エリア10の下方に配置された加熱コイル12に高周波電流が供給されると、加熱コイル12(第1の磁界発生部)により誘導加熱され、その輻射熱で食材Fを加熱調理する。
【0042】
本発明に係る複合調理装置101は、
図12に示すように、受電コイル72を有する。受電コイル72は、給電コイル32と同様、リッツ線を巻線してなる誘導加熱コイル、または無端状の金属プレートもしくは金属薄膜の一部で構成されたものであってもよい。受電コイル72は、トッププレート3の調理デバイスエリア30の下方に配置された給電コイル32に高周波電流が供給されると、給電コイル32(第2の磁界発生部)により電磁誘導されて起電力を発生する。すなわち複合調理装置101の受電コイル72は、補助調理装置70の受電コイル72と同様、高周波電流が供給された給電コイル32の周囲に高周波磁界が形成されたとき、受電コイル72の両端に起電力が生じ、負荷部(調理支援部)74に電力を供給する発電部として機能するものである。
【0043】
図10および
図11に示す調理支援部74は、たとえば受電コイルすなわち発電部72からの高周波電力を適当な電圧および電流に変換する変換器(図示せず)と、ラジエントヒータまたはシーズヒータ等の抵抗発熱体76とを有する。また
図10および
図11の調理支援部74は、複合調理装置101の上方に配置され、食材Fを上から調理加熱するものである。すなわち本発明に係る複合調理装置101は、IH調理装置1の加熱コイル12および給電コイル32(第1および第2の磁界発生部)に高周波電流を供給することにより、食材Fを載せる皿部材(被加熱物)110を誘導加熱して食材Fを下から調理加熱するとともに、電磁誘導により得られた適当な電力を食材Fの上方に配置された抵抗発熱体76に供給して、食材Fを上から調理加熱することができる。
【0044】
したがって本発明に係る複合調理装置101によれば、皿部材(被加熱物)110を用いて食材Fを下から加熱し、調理支援部74を構成する抵抗発熱体76を用いて食材Fを上から効率的に加熱することができる。また本発明に係る複合調理装置101は、調理用グリル4を具備しないIH調理装置1であってもグリル調理を行うことができ、きわめて便利であり使い勝手がよい。さらに食材Fを載せる皿部材110は、複合調理装置101から着脱自在に構成されるので、容易に清掃することができ、清潔性を維持することができる。なお複合調理装置101は、
図10および
図11に示すような焼き魚を調理できるだけでなく、ローストビーフ等の肉料理を調理し、食パン等のスライスされたパンを両面から焼くことができる。
【0045】
なお、複合調理装置101は、被加熱物110および調理支援部74の両方に適当な電力を供給して食材Fを加熱調理するが、被加熱物110に供給される最大電力は、誘導加熱エリア10の最大供給電力Pihに等しく、調理支援部74に供給される最大電力は、調理デバイスエリア30の最大供給電力Pwptに等しい。すなわち、複合調理装置101には、誘導加熱エリア10の最大供給電力Pihと、調理デバイスエリア30の最大供給電力Pwptの合計の電力を供給して、迅速かつ効率的に加熱することができる。誘導加熱エリア10の最大供給電力Pihは、一般的には、誘導加熱で供給できる電力として3000W程度であり、調理デバイスエリア30の最大供給電力Pwptは、(今後規格化される予定である)非接触で伝送可能な電力として1500W程度である。したがって、複合調理装置101は、合計4500Wの電力で調理することが可能であり、調理時間が短縮でき、利便性が向上する。
【0046】
本発明に係る複合調理装置101の被加熱物110および調理支援部74は、さまざまな形態を有し得る。
図13(a)は
図11の複合調理装置101のXZ平面に平行な端面図であり、
図13(b)は、
図11の複合調理装置101のYZ平面に平行な断面図である。
図13(a)および(b)において、皿部材(被加熱物)110は、中空の半円筒形状の金属からなる半筒部材112からなり、一対の端部114を有する。半筒部材112の上には焼き網116設けて、食材Fに網状の焼き目を付けてもよい。図示のように、半筒部材112は、誘導加熱エリア10の下方に配置された加熱コイル12に高周波電流が供給されると、加熱コイル12(第1の磁界発生部)により誘導加熱され、その輻射熱で食材Fを加熱調理する。
【0047】
図13(a)に示すように、半筒部材(被加熱物)112の一方の端部114にはスリット115が設けられている。一方、
図13(a)および(b)に示す調理支援部74は、たとえば発電部(受電コイル)72からの高周波電力を適当な電圧および電流に変換する変換器(図示せず)と、スリット115に挿通されたアーム118を両矢印の方向にスイング動作するように構成された回転機構(調理支援部)75とを有する。すなわち、この複合調理装置101の調理支援部74によれば、加熱コイル12(第1の磁界発生部)に高周波電流を供給して、食材Fを載せる半筒部材112を誘導加熱するとき、給電コイル32(第2の磁界発生部)に高周波電流を供給することにより、発電部72に電力が供給され、これにより駆動される回転機構75を用いて半筒部材112の誘導加熱される部分を連続的に移動(シフト)させて、食材Fをより均一に加熱することができる。
【0048】
特に図示しないが、調理支援部74は、複合調理装置101内で食材Fを被加熱物110に固定する(たとえば筒状またはドラム状の)固定部材と、発電部72で得られた電力を用いて、固定部材をその中心軸の周りで360度回転させる回転機構75とを有してもよい。こうした調理支援部74は、ローストビーフ等の肉料理を調理する際、食材Fをより均一に加熱することができる。
【0049】
また調理支援部74は、
図13(c)で示すように、
図10等の抵抗発熱体76および
図13(a)等の回転機構75の両方を有するものであってもよい。
【0050】
さらに調理支援部74は、受電コイル72からの高周波電力を適当な電圧および電流に変換する変換器と、複合調理装置101の筐体102内を照明する照明部(図示せず)を有してもよい。複合調理装置101の筐体102の全部または一部(窓部)が耐熱ガラス等の透明部材で構成されているとき、照明部を用いて筐体102の内部を照明することにより、ユーザは食材Fの調理の進行具合を視覚的に確認することができ、食材Fを見た目にもおいしそうに調理することができる。
【0051】
調理支援部74の照明部は、さまざまな色調を実現できる赤色、緑色、および青色の一連のLEDランプで構成してもよい。
【0052】
また上述のように、誘導加熱エリア10および調理デバイスエリア30の下方に配置された加熱コイル12および給電コイル32はともに高周波磁界を発生させるものであり、鍋検知部15およびコイル検知部35がともに被加熱物110および受電コイル72の電気的特性(負荷特性を含む)を検知するので、回路構成上(理論的には)、加熱コイル12および給電コイル32は互換的に被加熱物110および受電コイル72を誘導加熱および電磁誘導することができる。すなわち本発明に係る複合調理装置101は、IH調理装置1が調理デバイスエリア30を具備しない場合であっても、たとえば
図1に示す左側誘導加熱エリア10a上に皿部材(被加熱物)110を載置し、右側誘導加熱エリア10c上に受電コイル72を載置するように、複合調理装置101をトッププレート3上に載置してもよい(図示せず)。したがって、本発明に係る複合調理装置101は、少なくとも2つの磁界発生部12,32を有する誘導調理装置1を用いて、上述のような効率的な調理を実現することができる。
【0053】
(変形例1:誤載置検知1)
一方、加熱コイル12および給電コイル32(第1および第2の磁界発生部)は、ともに磁界を発生させるものであるから、回路構成上(理論的には)、給電コイル32が被加熱物110を誘導加熱し、加熱コイル12が補助調理装置70等の受電コイル72を電磁誘導することが可能である。しかしながら、給電コイル32で被加熱物110を誘導加熱するときに必要な電力量は、一般に、補助調理装置70等の受電コイル72を電磁誘導する際に必要な電力量より大きいので、補助調理装置70等のための第2のインバータ回路34を構成する半導体スイッチング素子等は、その最大定格電流が被加熱物110を誘導加熱する第1のインバータ回路14を構成するものより小さく、安価であることが好ましい。そこで理論的には可能であっても、この実施の形態に係るIH調理装置1において、加熱コイル12を用いて鍋等の被加熱物110を誘導加熱し、受電コイル72を用いて補助調理装置70等を動作させることが構成部品の小型化および製造コストの観点から極めて好ましい。
【0054】
すなわちユーザが誤って、被加熱物110を調理デバイスエリア30上に載置した場合、または補助調理装置70(受電コイル72)を誘導加熱エリア10上に載置した場合、これらの誘導加熱または電磁誘導を停止することが極めて望ましい。ここで
図14〜
図16を参照しながら、ユーザによる被加熱物110または補助調理装置70の誤載置検知について以下説明する。
【0055】
図14は、
図2と同様のIH調理装置1の平面図であって、図中、鍋等の被加熱物110が左側調理デバイスエリア30a上に載置され、補助調理装置70が左側誘導加熱エリア10a上に載置され、別の補助調理装置70が右側調理デバイスエリア30b、中央誘導加熱エリア10b、および右側誘導加熱エリア10cの一部に跨るように載置されている。このようにユーザが被加熱物110または補助調理装置70を誘導加熱エリア10または調理デバイスエリア30上の適当な位置に載置しなかった場合(誤載置の場合を含む)におけるIH調理装置1の制御方法について説明する。
【0056】
図15は、補助調理装置70が調理デバイスエリア30上に適正に載置された場合のみ、その受電コイル72を電磁誘導して電力供給し(電磁誘導モードまたは給電モード)、負荷が載置されていない場合、および鍋等の被加熱物110が誤って調理デバイスエリア30上に載置された場合には、第2のインバータ回路34が給電コイル32に高周波電流を供給しない(動作停止する)ための制御手法を示すフローチャートである。
【0057】
まずユーザは、操作部7,8を用いて補助調理装置70の受電コイル72が電磁誘導されるように操作する(給電動作開始)。上記説明したように補助調理装置70および鍋等の被加熱物110は、
図9に示すように周波数−負荷抵抗の関係を有し、補助調理装置70の負荷抵抗は、共振周波数(たとえば20kHz)で最大値(ピーク値)を有する。
【0058】
図15に示すフローチャートのステップST01において、制御部50は、コイル検知部35が検知した負荷抵抗値が所定の第1の閾値以上であるとき、調理デバイスエリア30上に何らかの負荷が載置されていると判断して(Yes)、ステップST02に進む。一方、制御部50は、コイル検知部35が検知した負荷抵抗値が所定の第1の閾値未満であるとき、負荷が載置されていないと判断して、その旨をユーザに視覚的または聴覚的に警告し(ステップST05)、給電コイル32に高周波電流を供給する第2のインバータ回路34の動作を停止させる(ステップST06)。
【0059】
また制御部50は、所定の駆動周波数(たとえば20kHz)で検知された負荷抵抗値が、第1の閾値より大きい第2の閾値以上であることをコイル検知部35が検知したとき、補助調理装置70が調理デバイスエリア30上に載置されていると判断して(Yes)、ステップST03に進む。一方、制御部50は、所定の駆動周波数で検知された負荷抵抗値が第2の閾値未満であるとき、調理デバイスエリア30上に補助調理装置70が載置されていないと判断して(No)、その旨をユーザに視覚的または聴覚的に警告し(ステップST05)、給電コイル32に高周波電流を供給する第2のインバータ回路34の動作を停止させる(ステップST06)。
【0060】
さらに、たとえば
図14に示すように補助調理装置70が右側調理デバイスエリア30b、中央誘導加熱エリア10b、および右側誘導加熱エリア10cの一部に跨るように載置された場合、右側調理デバイスエリア30bに隣接する中央誘導加熱エリア10bおよび右側誘導加熱エリア10cに対応する鍋検知部15も負荷を検知する。すなわちステップST03において、他の隣接する誘導加熱エリア10b,10cに対応する鍋検知部15がコイル検知部35と同様の負荷特性を検知したとき、制御部50は、補助調理装置70が右側調理デバイスエリア30b上に適正に載置されていないと判断して(No)、その旨をユーザに視覚的または聴覚的に警告し(ステップST05)、給電コイル32に高周波電流を供給する第2のインバータ回路34の動作を停止させる(ステップST06)。したがって、ステップST03において、右側調理デバイスエリア30bに対応するコイル検知部35のみが負荷を検知したとき(Yes)、ステップST04において、制御部50は、給電コイル32に高周波電流を供給するように第2のインバータ回路34を制御する(電磁誘導モード)。
【0061】
図16は、鍋等の被加熱物110が誘導加熱エリア10上に適正に載置された場合のみ、被加熱物110を誘導加熱し(誘導加熱モード)、負荷が載置されていない場合、スプーンなど加熱すべきではない小物などの負荷が載置された場合、および補助調理装置70の受電コイル72が誤って誘導加熱エリア10上に載置された場合には、第1のインバータ回路14が高周波電流を供給しない(動作停止する)ための制御手法を示すフローチャートである。
【0062】
まずユーザは、操作部7,8を用いて被加熱物110が誘導加熱されるように操作する(加熱動作開始)。
図16に示すフローチャートのステップST07において、制御部50は、鍋検知部15が検知した負荷抵抗値が上記第1の閾値以上であるとき、誘導加熱エリア10上に何らかの負荷が載置されていると判断して(Yes)、ステップST08に進む。一方、制御部50は、鍋検知部15が検知した負荷抵抗値が所定の第1の閾値未満であるとき、負荷が載置されていないと判断して、その旨をユーザに視覚的または聴覚的に警告し(ステップST11)、加熱コイル12に高周波電流を供給する第1のインバータ回路14の動作を停止させる(ステップST12)。
【0063】
また制御部50は、所定の駆動周波数(たとえば20kHz)で検知された負荷抵抗値が、第1の閾値より大きく第2の閾値未満であることを鍋検知部15が検知したとき、または周波数とともに増大する負荷抵抗値を鍋検知部15が検知したとき、誘導加熱エリア10上に被加熱物110が載置されていると判断して(Yes)、ステップST09に進む。一方、制御部50は、ステップST08において、所定の駆動周波数で検知された負荷抵抗値が第2の閾値より大きいとき、または共振周波数で最大値(ピーク値)を有するとき、
図14に示すように、誘導加熱エリア10上に補助調理装置70が載置されたと判断する(No)。そして制御部50は、同様にユーザに視覚的または聴覚的に警告し、さらに好適には誘導加熱エリア10上に補助調理装置70等の受電コイル72が載置されていることをユーザに報知し(ステップST11)、加熱コイル12に高周波電流を供給する第1のインバータ回路14の動作を停止させる(ステップST12)。
【0064】
さらに、特に図示しないが、被加熱物110が左側調理デバイスエリア30aおよび左側誘導加熱エリア10aの一部に跨るように載置された場合、左側誘導加熱エリア10a左側調理デバイスエリア30aに対応するコイル検知部35が鍋検知部15と同様の負荷を検知する。すなわちステップST09において、他の隣接する調理デバイスエリア30に対応するコイル検知部35が鍋検知部15と同様の負荷特性を検知したとき、制御部50は、被加熱物110が左側誘導加熱エリア10a上に適正に載置されていないと判断して(No)、その旨をユーザに警告し(ステップST11)、加熱コイル12に高周波電流を供給する第1のインバータ回路14の動作を停止させる(ステップST12)。したがって、ステップST09において、左側誘導加熱エリア10aに対応する鍋検知部15のみが負荷を検知したとき(Yes)、ステップST10において、制御部50は、加熱コイル12に高周波電流を供給するように第1のインバータ回路14を制御する(誘導加熱モード)。
【0065】
したがって上記変形例1に係る誤載置検知によれば、ユーザが誤って、被加熱物110を調理デバイスエリア30上に載置した場合、補助調理装置70(受電コイル72)を誘導加熱エリア10上に載置した場合、または被加熱物110もしくは補助調理装置70が互いに隣接する誘導加熱エリア10および調理デバイスエリア30を跨ぐように載置された場合、制御部50は、第1または第2のインバータ回路14,34の動作を停止するように制御することができる。こうして加熱コイル12が受電コイル72に過剰な電力を供給して負荷部74を破壊すること、または誘導加熱に必要な電力を得るために給電コイル32に過剰な電流を供給して、インバータ回路34に多大な負担が加わることを防ぐことができる。さらに、確実に負荷を判別することで、第1および第2のインバータ回路14,34を構成する半導体スイッチング素子等の構成部品を適正に選択することができる。
【0066】
(変形例2:誤載置検知2)
図17および
図18は、
図2と同様の誘導加熱調理装置1の平面図であって、トッププレート3上の不適切な位置(前後逆または左右にずれた位置)に載置された複合調理装置101を示す。すなわち、これらの複合調理装置101の被加熱物110および受電コイル72はそれぞれ、誘導加熱エリア10および調理デバイスエリア30の上方の適正な位置に載置されていない。
【0067】
図17に示すように、複合調理装置101の被加熱物110が調理デバイスエリア30上に載置され、受電コイル72が誘導加熱エリア10に載置されている場合の誘導加熱調理装置1の制御方法について以下説明する。
【0068】
まずユーザは、操作部7,8を用いて複合調理装置101で調理を開始するように操作する(調理開始)。上記説明したように被加熱物110および受電コイル72は、
図9に示すように周波数−負荷抵抗の関係を有する。
図19に示すフローチャートのステップST13において、制御部50は、鍋検知部15およびコイル検知部35が検知した負荷抵抗値が所定の第1の閾値以上であるとき、誘導加熱エリア10および調理デバイスエリア30上に何らかの負荷(載置物)が載置されていると判断して(Yes)、ステップST14に進む。ここで、負荷が載置されていないと判断した時(No)、ステップST17に進み、誘導加熱調理装置1は、調理動作を停止する。なおここでは図示しないが、変形例1の
図15および
図16で示したように、動作を停止する(ステップST17)前に、複合調理装置110がトッププレート3上に正しく載置されていない旨をユーザに警告してもよい。
【0069】
次に、鍋検知部15は、上記説明したように、載置された負荷の周波数−負荷抵抗の関係を検知し、誘導加熱エリア10上に載置された負荷が、被加熱物110であるかどうかを判断する(ステップST14)。ここで、載置された負荷が被加熱物110ではないと判断したとき、制御部50は、ステップST17に進み、調理動作を停止する。
【0070】
ステップST14において、載置された負荷が被加熱物110であると判断された場合(Yes)、制御部50はステップST15に進み、コイル検知部35によって、調理デバイスエリア30上に載置された負荷の周波数−負荷抵抗の関係を検知し、調理デバイスエリア30上に載置された負荷が、受電コイル72(調理支援部74)であるかどうかを判断する。さらにステップST15において、調理デバイスエリア30上に載置された負荷が、受電コイル72(調理支援部74)ではないと判断した場合(No)、制御部50はステップST17に進み、調理動作を停止する。
【0071】
一方、制御部50は、ステップST15において、調理デバイスエリア30上に載置された負荷が、受電コイル72(調理支援部74)であると判断したとき(Yes)、ステップST16に進み、複合調理装置101の動作を許可し、調理を開始する。すなわち、制御部50は、誘導加熱エリア10上に被加熱物110が載置され、かつ調理デバイスエリア30上に受電コイル72(調理支援部74)が載置されたときに、複合調理装置による調理動作を許可するように第1および第2のインバータ回路14,34を制御する。
【0072】
上述のように、
図18は、変形例1と同様、複合調理装置101の被加熱物110および受電コイル72が、それぞれ誘導加熱エリア10および調理デバイスエリア30から左右方向にずれて載置されている状態を示した図である。この場合の制御部50の動作は、変形例1と同様のものであるので、ここでは詳細についての記載は割愛する。
【0073】
このように、誘導加熱調理装置1は、複合調理装置101の誘導加熱部110と受電コイル72が適切な位置に載置されていると判断した場合に、複合調理装置101の動作を許可するように構成したので、使用者が複合調理装置101の前後の向きを誤ってトッププレート3上に載置して調理動作を開始した場合、加熱コイル12が受電コイル72に過剰な電力を供給して負荷部74を破壊すること、または誘導加熱に必要な電力を得るために給電コイル32に過剰な電流を供給して、インバータ回路34に過大な負担が加わることを防ぐことができる。さらに、確実に負荷を判別することで、第1および第2のインバータ回路14,34を構成する半導体スイッチング素子等の構成部品を適正に選択することができる。
【0074】
以上のように構成された誘導加熱調理装置1、補助調理装置70、および複合調理装置101によれば、以下のような効果が実現できる。
a)駆動部(第1および第2のインバータ回路14,34)を独立して設けたので、それぞれの電力(第1および第2の電力)を個別に制御できる。これにより、調理の進行状況(でき具合)に応じて、上面からの加熱量を増大させたい場合には、複合調理装置101の調理支援部74を構成する抵抗発熱体76へ供給される電力を増大させて、抵抗発熱体76の電力(火力)を強めることができる。また、食材Fの下面の調理焦げを防止または抑制したい場合には、複合調理装置101の被加熱物110へ供給される電力を低減して、誘導加熱の電力(火力)を弱めることができる。このように、上方向からの調理支援部74および下方向からの被加熱物110へ供給される電力を個別に制御できるので、調理の仕上がり具合をより改善することができる。
b)誘導加熱エリア10と調理デバイスエリア30を独立して設けることにより、誘導加熱と給電(受電)を同時に行うことができ、さらに誘導加熱エリア10と調理デバイスエリア30を分離して(離間させて)配置することにより、互いのエリア間の磁気的干渉を抑制することができ、効率のよい加熱動作を実現できる。
c)また誘導加熱エリア10と調理デバイスエリア30を独立して設けたことにより、複合調理装置101は、誘導加熱エリア10で最大3kW(第1の電力の最大値)、調理デバイスエリア30で最大1.5kW(第2の電力の最大値)、最大合計4.5kWの電力を出力することができ、調理内容に応じて、調理時間を短縮することができる。
d)さらに誘導加熱エリア10と調理デバイスエリア30を独立して設けたことにより、複合調理装置101を使用しない場合は、誘導加熱エリア10で通常の加熱調理を行うことができ、一方、調理デバイスエリア30で別の補助調理装置(受電装置)70を載置して使用することができ、使用者の利便性が向上する。
e)誘導加熱エリア10と調理デバイスエリア30も磁界発生部を有しており、第1および第2の磁界発生部を制御して、誘導加熱部として動作させることができるので、これらのエリア10,30に跨る大きな加熱負荷、たとえば鉄板などを載置すれば、広い面積で誘導加熱することができ、利便性が向上する。
f)誘導加熱調理装置1は、誘導加熱エリア10に鍋検知部15を、調理デバイスエリア30にコイル検知部35を設けたことにより、各エリア10,30に適切な負荷が載置されている場合に動作するように構成したので、適正な電力を供給でき、誤載置による誘導加熱調理装置1の破壊を防止することができる。
【0075】
(変形例3:電力デマンド)
図1に示すIH調理装置1は、被加熱物110を誘導加熱するための3つの加熱コイル12(誘導加熱エリア10)と、補助調理装置70等の受電コイル72を電磁誘導するための2つの給電コイル32(調理デバイスエリア30)とを有し、さらに任意的に調理用グリル4を有する。したがって、
図1のIH調理装置1において、複数の加熱コイル12および給電コイル32に同時に高周波電流が供給される場合、これらに対してユーザが所望するそれぞれの火力(消費電力)の合計がIH調理装置1の全体の最大供給電力(最大許容電力)Pmax(たとえば5.8kW)を超える場合がある。このとき複数の加熱コイル12および給電コイル32で消費される電力の合計が最大定格電力Pmaxを超えないように少なくとも1つの加熱コイル12または給電コイル32で消費される電力を抑制する必要がある。このように加熱コイル12または給電コイル32で消費される電力を抑制する制御手法を「電力デマンド」という。
【0076】
説明を簡略化するために、ユーザが操作部7,8を介して、左側および中央の加熱コイル12a,12bに必要とされる電力を加熱電力Pa,Pbとし、給電コイル32に必要とされる電力を給電電力Pcとする。制御部50は、加熱電力Pa,Pbと給電電力Pcの合計、すなわちユーザが要求する電力P(=Pa+Pb+Pc)が、最大供給電力Pmaxを超えたと判断すると、加熱電力Pa,Pbおよび給電電力Pcの少なくとも1つを抑制して(Pa→Pa’,Pb→Pb’,Pc→Pc’)、IH調理装置1の全体で消費される電力P(=Pa’+Pb’+Pc’)が最大供給電力Pmax以下となるように(P≦Pmax)制御する。
【0077】
図20は、一態様に係る電力デマンド前後の電力変化を示すチャートである。
図20に示す電力デマンドでは、制御部50は、ユーザが要求する消費電力Pが最大供給電力Pmaxを超えたとき、最大供給電力Pmaxに対する消費電力Pの比率t(=Pmax/P)を算出し、加熱電力Pa,Pbと給電電力Pcに比率tを乗じた電力(Pa’,Pb’,Pc’)を供給するように第1および第2のインバータ回路14,34を制御する。これを「比率配分モード(調整)の電力デマンド」という。
【0078】
[数1]
Pa’=t×Pa
Pb’=t×Pb
Pc’=t×Pc
∴Pmax=Pa’+Pb’+Pc’
【0079】
制御部50は、電力デマンドを行うときは、消費電力が抑制される加熱コイル12a,12bまたは給電コイル32に対応する誘導加熱エリア10a,10bまたは調理デバイスエリア30をユーザに表示し、どの程度抑制されるか(たとえば比率t)を表示部9に表示するとともに、音声等その他の報知手段等を介して警告を報知することが望ましい。
【0080】
図21は、別の態様に係る電力デマンド前後の電力変化を示すチャートである。
図21に示す電力デマンドでは、制御部50は、ユーザが要求する消費電力Pが最大供給電力Pmaxを超えたとき、たとえば中央誘導加熱エリア10bの加熱コイル12bに必要とされる加熱電力Pbのみを抑制して(Pb’)、加熱電力Pa,Pb’と給電電力Pcの合計が最大供給電力Pmaxを超えないように第1および第2のインバータ回路14,34を制御する。これを「誘導加熱モード(調整)の電力デマンド」という。
【0081】
[数2]
Pa’=Pa
Pb’<Pb
Pc’=Pc
∴Pmax=Pa+Pb’+Pc
【0082】
図22は、別の態様に係る電力デマンド前後の電力変化を示すチャートである。
図22に示す電力デマンドでは、制御部50は、ユーザが要求する消費電力Pが最大供給電力Pmaxを超えたとき、たとえば給電コイル32に必要とされる給電電力Pcのみを抑制して(Pc’)、加熱電力Pa,Pbと給電電力Pc’の合計が最大供給電力Pmaxを超えないように第1および第2のインバータ回路14,34を制御する。これを「給電電力モード(調整)の電力デマンド」という。
【0083】
[数3]
Pa’=Pa
Pb’=Pb
Pc’<Pc
∴Pmax=Pa+Pb+Pc’
【0084】
図22に示す電力デマンドでは、誘導加熱エリア10a,10bにおける火力は維持されるが、調理デバイスエリア30における給電電力が抑制されるため、たとえば補助調理装置70等の受電コイル72がモータ等の回転機構を駆動する場合、その回転力が減少する。したがって、制御部50は、電力デマンドを行うときは、消費電力が抑制される加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32に対応する誘導加熱エリア10および調理デバイスエリア30をユーザに表示し、補助調理装置70等に対する消費電力(Pc’)を表示部9に表示するとともに、音声等その他の報知手段等を介して報知することが望ましい。
【0085】
上記説明したように、制御部50は、加熱電力Pa,Pbおよび給電電力Pcのうち、任意の組み合わせの電力を抑制することができる。また制御部50は、誘導加熱エリア10a,10bにおける調理モード(煮る、焼く、沸かす等)および補助調理装置70等の動作状態に応じて、電力を抑制する加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32の優先順位および電力抑制量を決定してもよく、あるいはあらかじめ設定された優先順位および電力抑制量に従って決定してもよい。択一的には、ユーザが操作部7,8を用いて、電力を抑制する加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32の優先順位および電力抑制量を決定してもよい。同様に、制御部50は、電力デマンドを行うときは、表示部9等により、抑制する加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32の優先順位および電力抑制量を表示することが好ましい。
【0086】
また制御部50は、当初、ユーザが要求する消費電力Pが最大供給電力Pmaxを超えていたが、たとえば加熱コイル12aによる調理を停止した(加熱電力Paをゼロに設定した)場合、
図23に示すように、加熱電力Pbおよび給電電力Pcの合計が最大供給電力Pmaxを超えない範囲で、ユーザが操作部7,8を介して、第2の加熱コイル12および給電コイル32に必要とされる加熱電力Pbおよび給電電力Pcを供給するように第1および第2のインバータ回路14,34を制御してもよい。
【0087】
図24は、上記「比率配分モード」および「誘導加熱モード」の電力デマンドをより具体的に説明するフローチャートである。ステップST21において、制御部50は、ユーザがIH調理装置1を操作した結果、加熱電力Pa,Pbと給電電力Pcの合計の電力P(=Pa+Pb+Pc)が最大供給電力Pmaxを超えていないと判断したとき(No)、ステップST26においてユーザの所望する電力が得られるように、第1および第2のインバータ回路14,34は、高周波電流を加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32に供給する(動作継続)。一方、制御部50は、合計の電力Pが最大供給電力Pmaxを超えていると判断したとき(Yes)、ステップST22において、給電コイル32に電力を供給しているか(給電コイル動作中か)否かを判断する。制御部50は、給電コイル動作中でなければ(No)、ステップST27において、合計の電力Pが最大供給電力Pmaxを超えたことをユーザに報知する。このときユーザは、たとえば補助調理装置70の動作を一時的に停止して、自発的に給電電力Pcを削減してもよい。さらに制御部50は、給電動作中であると判断したとき(Yes)、続けてステップST23において、加熱コイル12a,12bに電力を供給しているか(加熱コイル動作中か)否かを判断する。制御部50は、加熱コイル動作中でなければ(No)、ステップST28において、合計の電力Pが最大供給電力Pmaxを超えたことをユーザに報知する。このときユーザは、たとえば一方の(たとえば煮込み料理をしている鍋が載置された)中央誘導加熱エリア10bに対応する加熱コイル12bの火力を一時的に弱めて、自発的に加熱電力Pbを削減してもよい。
【0088】
制御部50は、加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32に給電していると判断したとき、ステップST24において、比率配分モードに予め設定されているか否かを判断する。比率配分モードに設定されている場合(Yes)、ステップST25において、制御部50は、最大供給電力Pmaxに対する消費電力Pの比率t(=Pmax/P)を算出し、加熱電力Pa,Pbと給電電力Pcに比率tを乗じた電力(Pa’,Pb’,Pc’)を供給するように第1および第2のインバータ回路14,34を制御する。他方、比率配分モードに設定されていない場合(No)、ステップST29において、ユーザが予め設定した優先順位で加熱電力Pa,Pbを抑制する(誘導加熱モード)。
【0089】
図25は、上記「誘導加熱モード」および「給電電力モード」の電力デマンドをより具体的に説明するフローチャートである。ステップST31において、制御部50は、ユーザがIH調理装置1を操作した結果、加熱電力Pa,Pbと給電電力Pcの合計の電力P(=Pa+Pb+Pc)が最大供給電力Pmaxを超えていないと判断したとき(No)、ステップST36においてユーザの所望する電力が得られるように、第1および第2のインバータ回路14,34は、高周波電流を加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32に供給する(動作継続)。一方、制御部50は、合計の電力Pが最大供給電力Pmaxを超えていると判断したとき(Yes)、ステップST32において、給電コイル32に電力を供給しているか(給電コイル動作中か)否かを判断する。制御部50は、給電コイル動作中でなければ(No)、ステップST37において、合計の電力Pが最大供給電力Pmaxを超えたことをユーザに報知する。このときユーザは、たとえば補助調理装置70の動作を一時的に停止して、自発的に給電電力Pcを削減してもよい。さらに制御部50は、給電動作中であると判断したとき(Yes)、続けてステップST33において、加熱コイル12a,12bに電力を供給しているか(加熱コイル動作中か)否かを判断する。制御部50は、加熱コイル動作中でなければ(No)、ステップST38において、合計の電力Pが最大供給電力Pmaxを超えたことをユーザに報知する。このときユーザは、たとえば一方の(たとえば煮込み料理をしている鍋が載置された)中央誘導加熱エリア10bに対応する加熱コイル12bの火力を一時的に弱めて、自発的に加熱電力Pbを削減してもよい。
【0090】
制御部50は、加熱コイル12a,12bおよび給電コイル32に給電していると判断したとき、ステップST34において、給電モードに予め設定されているか否かを判断する。給電モードを優先するように予め設定されている場合(Yes)、ステップST35において、給電電力Pcを維持して、加熱電力Pa,Pbのうちの一方を抑制するように第1のインバータ回路14を制御する。他方、給電モードを優先するように設定されていない場合(No)、ステップST39において、給電電力Pcを抑制する。
本発明に係る一態様によれば、誘導加熱調理装置と複合調理装置とを備えた誘導加熱調理システムを提供する。この複合調理装置は、第1の磁界発生部で生じた高周波磁界により第1の電力で誘導加熱される被誘導加熱部と、第2の磁界発生部で生じた高周波磁界により電磁誘導されて第2の電力を発電する発電部と、発電部で得られた電力を用いて動作する調理支援部とを備え、複合調理装置の被誘導加熱部が誘導加熱エリア上に載置され、複合調理装置の発電部が調理デバイスエリア上に載置されたとき、前記制御部は、前記複合調理装置で調理される食材が前記被誘導加熱部により加熱されると同時に、前記調理支援部により前記被誘導加熱部上の食材の調理が支援されるように、前記第1および第2のインバータ回路を互いに独立して制御することを特徴とする。