(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1、2のエアゾール容器の場合、内部容器を潰しながら外部容器内に挿入しなければならず、外部容器の開口部で内部容器を損傷させることがある。さらに2つの内部容器を並列させる特許文献1の場合は、生産工程においてそれらを並列に保持させることも困難である。特許文献3には、内部容器用のプリフォームを外ボトル内でブロー成型する方法が開示されているが、並列した収納部または内部容器についての製法は開示されていない。
本発明は、安定して並列した収納部を有する二重容器の製造方法および二重エアゾール容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の二重容器の製造方法は、外部容器と、その内部に収容され、可撓性を有する合成樹脂製の内部容器とからな
る二重容器の製造方法であって、前記外部容器
の開口部に連結され、内部容器用の内プリフォームの開口部を直接保持するホルダーを介して前記外部容器内に内プリフォームを収容し、前記外部容器内で内プリフォームをブロー成型して内部容器を成形することを特徴としている。
二重容器は、前記内部容器を外部容器内に収納することによって少なくとも2以上の独立し、かつ、並列した収納部に区画されていることが好ましい。
二重容器の内部容器内が並列した2以上の独立した空間に区画されているもの、あるいは、2以上の内部容器が外部容器内に並列して収容されているものが好ましい。
【0006】
本発明の製造方法であって、前記外部容器が合成樹脂製であり、外部容器用の外プリフォーム内に前記内プリフォームを収容し、前記内プリフォームを収容した外プリフォームを外部容器用金型に収容し、外部容器用金型内で外プリフォームをブローして外部容器を
成形し、前記外部容器内で内プリフォームをブローして内部容器を成形してもよい。また、
前記外部容器が合成樹脂製であって、外部容器用の外プリフォーム内に前記内プリフォームを収容し、前記内プリフォームを収容した外プリフォームを外部容器用金型に収容し、前記外プリフォームと前記内プリフォームとを同時にブローして外部容器と内部容器とを成形しても良い。
【0008】
本発明のいずれの二重容器の製造方法であっても、前記内部容器の開口部にバルブを連結し、前記外部容器の開口部を閉じるのが好ましい。そのようなバルブとしてはエアゾールバルブが挙げられる。
【0009】
本発明の二重エアゾール容器は、外部容器と、その内部に収容され、可撓性を有する合成樹脂製の内部容器と、その内部容器に連結されるエアゾールバルブと、外部容器の開口部を閉じるカバーキャップとからなる二重エアゾール容器であって、前記外部容器の開口部に、内部容器を
直接支持する上下に貫通する保持部を備えたホルダーを有
し、前記ホルダーが、外部容器と内部容器との間の空間と外部とを連通するブロー用通路を備えていることを特徴としている。
このような二重エアゾール容器であって、前記内部容器の上端に開口フランジ部が形成されており、前記保持部の内面に段部が形成されており、前記開口フランジ部と段部とが係合することにより内部容器を支持するものが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二重容器の製造方法は、外部容器と、その内部に収容され、可撓性を有する合成樹脂製の内部容器とからなり、前記内部容器を外部容器内に収納することによって少なくとも2以上の独立し、かつ、並列した収納部に区画される二重容器の製造方法であって、前記外部容器内に内部容器用の内プリフォームを収容し、前記外部容器内で内プリフォームをブロー成型して内部容器を成形するため、内部容器を成型してから外部容器に挿入することによる問題点、たとえば、内部容器を外部容器内に収縮させて挿入するときに内部容器が折れて傷が付く、あるいは、内部容器が変形して元の形状に戻らず内容物を所定量充填できないなどがない。また、内部容器を外部容器内で成型するため、内部容器は外部容器の内部形状と類似した形状にすることができ、容積を大きくすることができる。
二重容器の内部容器内が並列した2以上の独立した空間に区画されている場合、一つのプリフォームで成型でき、取り扱いが容易である。一方、2以上の内部容器が外部容器内に並列して収容されている場合、2つの内容物を充填した後、それぞれを密閉しやすい。
【0011】
本発明の製造方法であって、前記外部容器の開口部に連結され、内プリフォームの開口部を保持するホルダーを介して前記外部容器内に内プリフォームを収容する場合、内プリフォームを安定して外部容器内に保持でき、また、内プリフォーム同士および外部容器との間にブローする空間を確保することができ、内プリフォームを安定した形状にブロー成型することができる。
本発明の製造方法であって、外部容器が合成樹脂製であり、外部容器用の外プリフォーム内に前記内プリフォームを収容し、前記内プリフォームを収容した外プリフォームを外部容器用金型に収容し、外部容器用金型内で外プリフォームをブローして外部容器を成形し、前記外部容器内で内プリフォームをブローして内部容器を成形する場合、同一工程で外部容器および内部容器を成型することができる。
さらに、前記外プリフォームの開口部に連結され、内プリフォームの開口部を保持するホルダーを介して前記外プリフォーム内に内プリフォームを収容する場合、内プリフォー
ムを安定して外プリフォーム内に保持でき、また、内プリフォーム同士および外プリフォームとの間にブローする空間を確保することができ、内プリフォームを安定した形状にブロー成型することができる。
【0012】
本発明の二重容器の第2の態様は、外部容器と、その内部に収容され、可撓性を有する合成樹脂製の内部容器とからなる二重容器の製造方法であって、前記外部容器の開口部に連結され、内プリフォームの開口部を保持するホルダーを介して前記外部容器内に内プリフォームを収容し、前記外部容器内で内プリフォームをブロー成型して内部容器を成形するため、第1の態様と同様に、収容された内部容器は、傷や変形がない。また内部容器は外部容器の内部形状と類似した形状にすることができ、容積を大きくすることができる。さらに、内プリフォームを安定して外部容器内に保持できる。そして、内プリフォームと外部容器との間にブローする空間をホルダーに確保することができ、内プリフォームを安定した形状にブロー成型することができる。
一方、第2の態様において、前記外部容器が合成樹脂製であって、前記外プリフォームの開口部に連結され、内プリフォームの開口部を保持するホルダーを介して前記外プリフォーム内に内プリフォームを収容し、前記内プリフォームを収容した外プリフォームを外部容器用金型に収容し、外部容器用金型内で外プリフォームをブローして外部容器を成形し、前記外部容器内で内プリフォームをブローして内部容器を成形する場合、同一工程で外部容器および内部容器を成型することができる。
【0013】
本発明の製造方法において、前記内部容器の開口部にバルブを連結し、前記外部容器の開口部を閉じる場合、内部容器と外部容器を同時に閉じることができ、製造しやすい。バルブがエアゾールバルブである場合は内部容器のシール性が高いため内容物を安定して保管することができ、内容物を別々に、または、同時に吐出できるエアゾール容器となる。
【0014】
本発明の二重エアゾール容器は、外部容器と、その内部に収容され、可撓性を有する合成樹脂製の内部容器と、その内部容器に連結されるエアゾールバルブと、外部容器の開口部を閉じるカバーキャップとからなる二重エアゾール容器であって、前記外部容器の開口部に、内部容器を支持する上下に貫通する保持部を備えたホルダーを有するため、内部容器を外部容器内に収納した後、内部容器への内容物の充填やエアゾールバルブの取り付けが容易になる。また、外部容器内において、プリフォームから内部容器を保持することにより、内部容器を外部容器内でブロー成型により成形することもできる。
このような二重エアゾール容器であって、前記内部容器の上端に開口フランジ部が形成されており、前記保持部の内面に段部が形成されており、前記開口フランジ部と段部とが係合することにより内部容器を支持する場合、内部容器の開口フランジ部より下方の部位をブロー成型で成形することができ、エアゾールバルブを取り付ける開口部は射出成型によるプリフォームの形状を保つことができるため、寸法のバラつきがほとんどなく、エアゾールバルブを安定して取り付けることができる。
前記内部容器を複数備えている場合、種類の異なる内容物を収納することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の二重エアゾール製品(二重容器)10は、エアゾール容器10aと、そのエアゾール容器10aの2つの内部容器12にそれぞれ充填される内容物(第1内容物A1および第2内容物A2)と、外部容器11と内部容器12との間に充填される加圧剤Pとからなる。エアゾール容器10aは、合成樹脂製の外部容器11と、その内部に収容される合成樹脂製の2つの内部容器12と、内部容器12を保持し、外部容器11の開口部に連結されるホルダー13と、内部容器12に連結され、かつ、ホルダー13に支持されるエアゾールバルブ14と、外部容器11を閉じ、エアゾールバルブ14をホルダー13に固着するカバーキャップ15とからなる。
この二重エアゾール容器10aは、外部容器用の外プリフォーム内に内部容器用の内プリフォームを収容し、その後それらを外部容器用金型に収容して、外部容器および内部容器をブロー成型して製造される。
【0017】
外部容器11は、
図2bに示すように、カップ状の底部11aと、円筒状の胴部11bと、上方に向かって縮径するドーム状の肩部11cと、円筒状の口部11dとが同軸上に設けられた耐圧容器である。口部11dは、上部に半径方向外方に突出する肉厚の開口部11eを備えている。口部11dの開口部11eの外周面には、O−リング16(
図1参照)を固定するための環状溝11fが形成されている。
この外部容器11は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなり、透光性を持たせてもよい。また、その内面および/または外面に噴射剤の透過を防止するために炭素やシリカを蒸着してもよい。
【0018】
内部容器12は、底部12aと、筒状の胴部12bと、上方に向かって縮径する肩部12cと、円筒状の首部12dと、その上端に形成され、半径方向外方に突出する開口フランジ部12eとからなる可撓性の容器である。2つの内部容器12は、内部容器用の内プリフォームにおける首部12dより上をホルダー13で保持して外部容器11内で同時にブロー成型されるため、肩部12cより下の部位は外部容器11の内面および他の内部容器12と当接する。そのため、底部12a、胴部12bおよび肩部12cは回転対称とならない。詳しくは、胴部12bは、外側(
図1の外側)が外部容器11の内面と当接し、内側(
図1の中央側)が他方の内部容器12の胴部12bと当接し、断面が略半円状を呈
する。つまり、二つの内部容器12の胴部12bの平面部同士を相対させると、全体として外部容器11の内面と同じ形状の円筒状となる。同様に、底部12aも胴部12bの下端を閉じるように略半円状となる。さらに、肩部12cは、胴部12bの上端と首部12dの下端を閉じるように内側と外側の角度が異なる。
この内部容器12は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなる。
【0019】
ホルダー13は、
図3に示すように、円柱状のものであり、外部容器11内に挿入される挿入部13aと、その上端に形成された半径方向外側に突出した係合フランジ部13bと、全体を上下方向に貫通する2つの保持部13cとからなる。
挿入部13aは、外部容器11の口部11dの内面に沿って挿入される部位であり、外周面に上下方向に延びる外溝21が複数個環状に形成されている。
係合フランジ部13bは、外部容器11の口部11dの上面に当接する部位であり、その下面に半径方向に延びる連通溝22が複数本環状に形成されている。この連通溝22は、挿入部13aの外溝21と連続している。また係合フランジ部13bの上面には、円形の凹部13dが形成されている。
保持部13cは、内部容器12の首部12dを通す下部孔23aと、その下部孔23aより拡径した上部孔23bとからなり、下部孔23aと上部孔23bとの間に段部24が形成される。また、段部24は、リング状の支持部24aと、その支持部の外周に形成された環状溝24bとからなる。保持部13cの上端には、その上部孔23bから拡径するように形成され、後述する天面ガスケット26(
図1参照)を支持する環状のシール保持部23cが形成されている。
【0020】
エアゾールバルブ14は、
図4aに示すように、ホルダー13の保持部13cに挿入される筒状のハウジング14aと、そのハウジング14a内に上下動自在に挿入されるステム14bと、そのステム14bのステム孔を閉じるステムラバー14cと、ステム14bを常時上方に付勢するバネ14dと、ハウジング14aを覆うようにしてステム14bおよびステムラバー14cを固定するカバー14eとからなる。ハウジング14aの上部には、半径方向外側に突出したフランジ部14fが形成されている。このフランジ部14fは、リング状のシール材27を介して内部容器12の開口フランジ部12eと係合する(
図1参照)。シール材27は、ハウジング14aと内部容器12との間をシールする。ハウジング14aの下端には、ディップチューブ28が連結される連結部14gが形成されている。カバー14eの下端は、真っ直ぐ下方に伸びている。
【0021】
カバーキャップ15は、ホルダー13を覆うように2つのエアゾールバルブ14をホルダー13に固定し、かつ、ホルダー13を外部容器11に固着するものである。カバーキャップ15は、
図4b、cに示すように、上面15aと、その外周縁から下方に延びる側壁部15bとからなる。
図4cの側壁部15bの下端は、カシメる前の状態を示しており、点線がカシメた後の状態を示す。
上面15aは、ホルダー13の凹部13dに沿うように凹んだ凹部25aが形成されており、この凹部25aにエアゾールバルブ14のステム14bを通す貫通孔25bが2つ形成されている。また、
図1に戻って、凹部25aの下面とエアゾールバルブ14のカバー14eとの間にエアゾールバルブ14とホルダー13との間をシールする環状の天面ガスケット26が設けられている。
側壁部15bは、外部容器11の開口部11eおよびホルダー13の係合フランジ部13bの外周に沿って設けられている。特に、開口部11eのO−リング16と側壁部15bとが当接することにより、外部容器11とホルダー13との間がシールされる。側壁部15bの下端は、外部容器11の開口部11eの下面に向かってカシメつけられてカバーキャップ15は外部容器11に固着される。
【0022】
このエアゾール容器10aの製造方法は、上述したように外部容器用の外プリフォーム内に内部容器用の内プリフォームを収容し、その後それらを外部容器用金型に収容して、それぞれをブロー成型して製造される。
具体的には、
図2aに示すように、外部容器用の外プリフォーム31と、内部容器用の内プリフォーム32を準備する。外プリフォーム31は、底部31a、胴部31b、口部31cを有する円筒状のものであり、口部31cが半径方向外側に突出するように肉厚に形成されている。また、口部31cの外周には、外部容器11を形成した後、O−リングを固定するための環状の溝部が形成されている。内プリフォーム32は、底部32a、胴部32b、口部32cを有する円筒状のものであり、口部32cが半径方向外側に突出するように肉厚に形成されている。
次いで、ホルダー13の係合フランジ部13bを外プリフォーム31の口部31cの上面と当接させて、ホルダー13を外プリフォーム31内に挿入する。その後、内プリフォームの口部32cをホルダー13の支持部24aに支持させることにより内プリフォーム32を外プリフォーム31内に挿入する。このとき、内プリフォーム32は外プリフォーム31内で吊るされた状態となり、外プリフォームとの間および2つの内プリフォームの間に隙間が確保される。このようにして内プリフォーム32を収容した外プリフォーム31を外部容器用金型17に挿入する。しかし、予め内プリフォーム32をホルダー13に保持させた状態で、ホルダー13を外プリフォーム31の開口部に連結してもよい。
外部容器用金型17の開口部内面には、外プリフォームの口部31cの外方に突出した開口部11eと係合できるように段部17aが形成されている。この段部17aによって外プリフォーム31は支持される。また、外部容器金型17の開口部内面には、ホルダー13の連通路22と外部とが連通できるようにスリット17bが形成されている。
【0023】
この状態で、外プリフォーム31および内プリフォーム32を加温し、外プリフォーム31内にスリット17b、連通溝22(ブロー用通路)、ホルダー13の外溝21を介してエアーを注入して外部容器11を成形する。予め各プリフォームを適正温度に加温してからセットしてもよい。その後、2つの内プリフォーム32の口部32cからエアーを同時に注入して内部容器12を成形する。このとき、外部容器11内のエアーは、ブロー用通路を介して外部に排出され、内部容器12は外部容器11の内面に当接するようにして形状が形成される。また、内部容器12同士は、同じ圧力でブローされるため、内部容器12同士の当接面は略平面となる。このように外部容器11は、外プリフォーム31の口部31cより下が膨張、つまり外プリフォーム31の底部31a、胴部32bが膨張されて成形される。また、内部容器12も、内プリフォーム32の口部32cより下が膨張、つまり内プリフォーム32の底部31a、胴部32bが膨張されて成形される。
外部容器用金型17を外すことにより、外部容器11およびホルダー13に保持された2つの内部容器12が得られる。
ここでは、外プリフォーム31および内プリフォーム32を別々に連続してブローしているが、内プリフォーム32の口部32cからエアーを注入して、内プリフォーム32および外プリフォーム31を同時に膨張させてもよい。この場合、ブロー用通路は必要がない。しかし、後述するように加圧剤をアンダーカップ充填するためにブロー用通路を残してもよい。
【0024】
次にエアゾール製品10の製造方法を示す。外部容器11およびホルダー13に2つの内部容器12を保持した状態で、外部容器11の環状溝11fにO−リング16を固定する。次いで、それぞれの内部容器12内にそれぞれ第1内容物A1および第2内容物A2を充填し、シール材27を介してエアゾールバルブ14を取り付ける。エアゾールバルブの上面に天面ガスケット26を置き、カバーキャップ15を浅く被せる。この状態で、加圧剤Pを、カバーキャップ15の側壁部15bの内面および外部容器11の開口部11eの外面との間、連通溝22、外溝21(ガス充填通路)を介して外部容器11と内部容器12との間の空間に充填する(アンダーカップ充填法)。それと同時に、カバーキャップ
15を下方に押圧して深く被せて側壁部15bの下端をカシメてエアゾール製品10が完成する。第1内容物A1および第2内容物A2は、加圧剤Pを充填し、側壁部15bの下端をカシメてから、エアゾールバルブ14のステム14bから充填してもよい。
なお、前記第1内容物および第2内容物としては、たとえば、酸化染料を含有する第1剤と酸化剤を含有する第2剤とからなる2液式染毛剤などのように、2液を混合することにより有効成分の効果が得られる2液反応製剤があげられる。前記加圧剤としては、たとえば、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気などの圧縮ガスや、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンなどの液化ガスがあげられる。
【0025】
本発明のエアゾール容器の製造方法は、内部容器12の成形と同時に、内部容器12を外部容器11内に収納させることができるため、内部容器12の外部容器11への挿入工程を省くことができ、エアゾール製品の製造が簡易になる。また、内部容器12の容積を大きくすることができる。さらに、外部容器が透光性を有する場合は、吐出により内部容器が収縮する様子や残量を目視で確認することができる。
【0026】
図5に示す二重エアゾール製品40は、エアゾール容器40aと、そのエアゾール容器40aのそれぞれの内部容器42に充填される内容物(第1内容物A1および第2内容物A2)と、外部容器41と内部容器42との間に充填される加圧剤Pとからなる。エアゾール容器40aは、合成樹脂製の外部容器41と、その内部に収容される2つの収容部を有する合成樹脂製の内部容器42と、外部容器41および内部容器42を閉じ、外部容器41の開口部に連結されるバルブアッセンブリ43とからなる。内容物および加圧剤は、
図1のエアゾール製品10と同じである。
この二重エアゾール容器40aも、
図1と同様に外部容器用の外プリフォーム内に内部容器用の内プリフォームを収容し、その後それらを外部容器用金型に収容して、それぞれをブロー成型して製造する。一方、内部容器(内プリフォーム)をホルダーで保持させず、内部容器(内プリフォーム)の開口フランジ部を外部容器(外プリフォーム)の上端に支持させている。
【0027】
外部容器41は、
図6aに示すように、半球状の底部41aを備えている。他の構成は、
図1の外部容器11と実質的に同じであり、円筒状の胴部11b、ドーム状の肩部11c、口部11dとが同軸上に設けられており、口部11dの上部に半径方向外方に突出する肉厚の開口部11eを備えている。
【0028】
内部容器42は、半球状の底部42a、円筒状の胴部42b、ドーム状の肩部42c、円筒状の首部42d、半径方向外側に突出する上端の開口フランジ部42eを有しており、その内部を半分に区切るように隔壁42fが形成されている。この隔壁42fによって、内部容器42内は、独立した2つの収納部42x、42yを有する。内部容器42の材料は、
図1の内部容器12と同じものが用いられる。また、首部42dの外周には、上下方向に延びる溝42gが複数本環状に形成されている。
【0029】
バルブアッセンブリ43は、
図6b、cに示すように、2つのエアゾールバルブ44と、それらを保持するバルブホルダー45と、エアゾールバルブ44をバルブホルダー45に固定し、かつ、バルブアッセンブリ43を外部容器41に固着するカバーキャップ46とを備えている。エアゾールバルブ44は、カバー14eの上部をハウジングに向かって環状にカシメることによりハウジング14aに固定される。ハウジング14aの外周にエアゾールバルブ44とバルブホルダー45との間をシールするシール部材47が固定されている以外は、
図1のエアゾールバルブ14と実質的に同じである。
【0030】
バルブホルダー45は、円柱状の挿入部51と、その上に形成された環状のフランジ部52と、その上に形成された円柱状のマウント部53とからなる。また、バルブホルダー
45の全体を上下方向に貫通する孔からなる2つのバルブ保持部54が形成されている。バルブホルダー45のフランジ部52は、内部容器42の開口フランジ部42eを介して外部容器41の開口部11eの上面に配置される。挿入部51は内部容器42の首部42dの内面に沿って挿入され、下面には内部容器42の隔壁42fと係合してそれぞれの収納部を閉じる係合溝56が形成されている。バルブホルダー45のマウント部53の上端には、バルブホルダー45とカバーキャップ46との間をシールするシール材55が設けられている。
バルブ保持部54は、エアゾールバルブ44を挿入して保持する部位であり、上筒部54aと、その上筒部54aより縮径した下筒部54bと、上筒部54aの下端と下筒部54bの上端とを連続する環状段部54cとを有している。上筒部54aはエアゾールバルブ44のハウジング14aを受け入れ、環状段部54c(下筒部54bの上端)がそのハウジング14aを支持する。環状段部54cは、エアゾールバルブ44を支持すると共に、エアゾールバルブ44のシール部材47と係合する。2つのバルブ保持部54は、バルブホルダー45の中心を軸に相対するように形成されている。
【0031】
カバーキャップ46は、エアゾールバルブ44をバルブホルダー45に固定するバルブ固定部46aと、バルブホルダー45を外部容器41に固着する固着部46bとからなる。バルブ固定部46aは、バルブホルダー45の保持部54を覆うようにカップ状になっている。固着部46bは、バルブホルダー44のフランジ部52と外部容器41の口部11dの開口部11eを環状のシール材45a(
図5参照)を介して挟むよう構成されている。
【0032】
このエアゾール容器50aの製造方法は、ホルダーを使わない点を除けば、
図1と同様に、外部容器用の外プリフォーム内に内部容器用の内プリフォームを収容し、その後それらを外部容器用金型に収容して、それぞれをブロー成型して製造される。
具体的には、
図7aに示すように、外部容器用の外プリフォーム61と、内部容器用の内プリフォーム62を準備する。外プリフォーム61は、
図2の外プリフォーム31と実質的に同じものであり、底部31a、胴部31b、口部31cを有する。内プリフォーム62は、中央に隔壁62aを有し、胴部32bの上部に上下に延びる溝62b(内部容器の溝42fに相当)が環状に形成されていること以外は、
図2の内プリフォーム32と実質的に同じものであり、底部32a、胴部32b、口部32cを有する。
この外プリフォーム61の口部31cに内プリフォーム62を挿入する。このとき、内プリフォーム62の口部32cが外プリフォーム61の口部31cの上面と係合し、内プリフォーム62が支持される。
【0033】
このようにして内プリフォーム62を収容した外プリフォーム61を
図2と同様の外部容器用金型17に挿入する。外部容器用金型17のスリット17bは、内プリフォームの溝62bと連通するように形成されている。この状態で、外プリフォーム61および内プリフォーム62を加温し、次いで、外プリフォーム61内にスリット17b、溝62b(ブロー用通路)を介してエアーを注入して外部容器41をブロー成型する。その後、内プリフォーム62の口部32cから2つの収納部42x、42yにエアーを同時に注入して内部容器42をブロー成型する。このとき、外部容器41内のエアーは、ブロー用通路を介して外部に排出される。内部容器42は、外部容器41の内面および内部容器42同士が金型として形状が形成される。この場合も内プリフォーム62の口部42cからエアーを注入して内プリフォーム62および外プリフォーム61を同時にブローしてもよい。
外部容器用金型17を外すことにより、外部容器41およびその内部に収容された内部容器42が成形される。
このようにして製造される外部容器41および内部容器42は、
図1のエアゾール製品10と同様にして内容物を充填し、アンダーカップ充填法により加圧剤が充填される。
この実施形態では、
図7aに示すように、1つの内部容器42を用いているが、
図7b
に示すように、断面形状が半円状の2つの内プリフォーム62を合わせた状態で外プリフォーム61に挿入してブロー成型してもよい。この場合、
図5のエアゾール容器40aにおいて内部容器42が2つとなる。
【0034】
図8の二重エアゾール製品48は、エアゾール容器48aの外部容器41とバルブアッセンブリ43とがねじ嵌合によって固定されている。また、バルブアッセンブリ43と外部容器41との間を、カバーキャップ46の固着部46bの内部に設けられた筒状のシール材49でシールしている。他の構成は、
図5のエアゾール製品40と実質的に同じものである。
【0035】
図9の二重エアゾール製品70は、エアゾール容器70aに2種類の内容物(A1、A2)と加圧剤Pとを充填したものである。エアゾール容器70aは、2つの内部容器12を保持するホルダー71以外は、
図1のエアゾール容器10aと実質的に同じであり、2つの内部容器12、エアゾールバルブ14、カバーキャップ15を備えている。外部容器11は金属製としてもよく、他の点は、
図1の外部容器11と実質的に同じものである。
このエアゾール容器70aは、成形した外部容器11内に内部容器用の内プリフォームを挿入してブロー成型することによって製造される。
しかし、ホルダー71を用いて
図1の形態のように外プリフォームおよび内プリフォームから製造してもよい。
【0036】
ホルダー71は、
図10a、bに示すように、円柱状のものであり、外部容器11内に挿入される挿入部71aと、その上端に形成された半径方向外側に突出した係合フランジ部71bと、全体を上下方向に貫通する2つの保持部71cと、上下方向に連通するガス充填バルブ71dと、上面に形成された位置決め突起71eとからなる。
挿入部71aは、外部容器11の口部11dの内面に沿って挿入される部位であり、外周面にO−リング75を保持するための環状溝76が形成されている。外溝を備えていない点、環状溝76が形成されている点を除けば、
図3のホルダー13の挿入部13aと実質的に同じものである。
係合フランジ部71bは、外部容器11の口部11dの上面に当接する部位であり、上面に円形の凹部13dが形成されている。連通溝22を備えていない点以外は、
図3のホルダー13の係合フランジ部13bと実質的に同じである。
保持部71cは、
図3のホルダー13の保持部13cと実質的に同じであり、下部孔23a、上部孔23b、段部24を備えている。
ガス充填バルブ71dは、常時閉じられており、下方に押すことによって開放される公知のバルブ機構を有する加圧剤を充填するためのものである。
位置決め突起71eは、上方に突出した柱状の突起である。製造工程において、回転しながら送られるホルダー71を取り付けた外部容器および内部容器を、製造装置側に設けられた係合片と係合させることによって、常時同じ向きにするためのものである。
【0037】
このエアゾール容器70aの製造方法は、外部容器を成形し、その後、外部容器内に内部容器用の内プリフォームを収容して内部容器をブロー成型して製造される。
外部容器11および内部容器用の内プリフォーム32を準備する。外部容器11は、従来公知の製法(例えば、合成樹脂の場合、ブロー成型または射出成形等、金属製の場合、インパクト成形等)で成形される。内プリフォーム32は、
図2の内プリフォーム32と実質的に同じものである。
次いで、ホルダー71を外部容器11の口部11d内に挿入し、ホルダー81の保持部71cに内プリフォーム32を挿入する。このとき、内プリフォームの口部32cを保持部71cの段部24(支持部)に支持させる。しかし、ホルダー81の保持部71cに内プリフォーム32を挿入してから、ホルダー71を外部容器11の口部11d内に挿入し連結してもよい。
この状態で、内プリフォーム32を加温し、2つの内プリフォーム32の口部32cからエアーを同時に注入して内部容器12をブロー成型する。
図1の場合と同様に内部容器12は、外部容器11の内面と他方の内部容器12と当接しながら形成されるため、底部、胴部、肩部は回転対称の形状とはならない。
【0038】
このようにして形成された内部容器12に、内容物(A1、A2)を充填し、エアゾールバルブ14を取り付け、カバーキャップ15を外部容器11に固定する。そして、ガス充填バルブ71dより加圧剤Pを充填することにより、二重エアゾール製品70が製造される。内容物は、加圧剤Pを充填した後に、エアゾールバルブから充填してもよい。
このエアゾール容器の製造方法も、内部容器12の成形と同時に、内部容器12を外部容器11内に収納させることができるため、内部容器12の外部容器11への挿入工程を省くことができ、エアゾール製品の製造が簡易になる。また、内部容器12の容積を大きくすることができる。
【0039】
図11aの二重エアゾール製品80は、エアゾール容器80aに内容物A1、A2および加圧剤Pを充填したものである。このものは、ホルダー81が2つの内部容器12を隔てる隔壁82を備えたものである。他の構成は、
図9の二重エアゾール製品70と実質的に同じものであり、外部容器11、2つの内部容器12、エアゾールバルブ14、カバーキャップ15を備えている。隔壁82は、内部容器12の成型を助けるものである。そのため、隔壁82は、密閉して外部容器11内を隔てる必要はない。
このように構成されているため、
図11bのように内プリフォーム32をブロー成型するとき、内プリフォーム32は、外部容器11の内面と、ホルダーの隔壁82と当接するように膨張する。そのため、2つの内部容器12の形状を安定させることができる。このような隔壁は、
図1のホルダー13に設けてもよい。しかし、外プリフォーム31内に挿入させる必要があるため、隔壁は低いものとなり、その効果は若干劣る。
【0040】
図12は、エアゾール容器85の組み立て工程図である。このエアゾール容器は、内部容器86が3つの収納部(42x、42y、42z)に分けられており、バルブアッセンブリ87もそれに応じて3つのエアゾールバルブ44を備えたものである。また、バルブホルダー88も3つのバルブ保持部88aを備えており、カバーキャップ89もエアゾールバルブ44のステム14bを通す貫通孔を3つ備えている。他の構成は、
図5のエアゾール容器40aと実質的に同じものである。
このように本発明は、収納部を3つ以上備えていてもよい。また、例えば、
図1の内部容器を3つと保持部を3つ備えたホルダーを用いるなど、3つ以上の内部容器を備えるようにしてもよい。その場合も、外部容器内で内プリフォームをブロー成型することによって製造することができる。
本実施形態では、多層容器をエアゾール容器として用いているが、それぞれの収納部(内部容器)にポンプバルブを設けることによってポンプ容器とすることもできる。
【0041】
図13aの二重エアゾール製品90は、内容物を収容する独立した空間が一つの二重エアゾール容器90aに内容物Aおよび加圧剤Pを充填したものである。二重エアゾール容器90aは、
図13bに示すように、合成樹脂製の外部容器91と、その内部に収容される1つの合成樹脂製の内部容器92と、内部容器92を保持し、外部容器11の開口部に連結されるホルダー93と、内部容器92に連結され、かつ、ホルダー93に支持されるエアゾールバルブ94と、外部容器91を閉じ、エアゾールバルブ94をホルダー93に固着するカバーキャップ95とからなる。外部容器91およびエアゾールバルブ94は、
図1の外部容器11およびエアゾールバルブ14と実質的に同じものである。
この二重エアゾール容器90aは、外部容器用の外プリフォーム内に外プリフォームの開口部に連結されるホルダーに保持させた内部容器用の内プリフォームを収容し、その後それらを外部容器用金型に収容して、外部容器および内部容器をブロー成型して製造され
る。しかし、外部容器内にホルダーに保持させた内プリフォームを収容し、外部容器内で内部容器をブロー成型してもよい。
【0042】
内部容器92は、底部92aと、筒状の胴部92bと、上方に向かって縮径する肩部92cと、円筒状の首部92dと、その上端に形成され、半径方向外方に突出する開口フランジ部92eとからなる可撓性の容器である。内部容器92は、内部容器用の内プリフォームにおける首部92dより上をホルダー93で保持して外部容器91内で同時にブロー成型されるため、肩部12cより下の部位は外部容器91の内面と当接し、その形状は外部容器91の内面と実質的に同じである。
この内部容器92は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂からなる。
ホルダー93は、外部容器91内に挿入される挿入部93aと、その上端に形成された半径方向外側に突出した係合フランジ部93bと、全体を上下方向に貫通する1つの保持部93cとからなる。ホルダー93は、保持部93cが一つであること以外は、
図1のホルダー13と実質的に同じである。
カバーキャップ95は、ホルダー93を覆うように1つのエアゾールバルブ94をホルダー93に固定し、かつ、ホルダー93を外部容器91に固着するものである。カバーキャップ95は、上面95aに1つのエアゾールバルブ94のステム94bを通す貫通孔95bを一つ有している以外は、
図1のカバーキャップ15と実質的に同じである。
【0043】
このエアゾール容器90aの製造方法は、上述したように外部容器用の外プリフォーム内に内部容器用の内プリフォームを収容し、その後それらを外部容器用金型に収容して、それぞれをブロー成型して製造される。
具体的には、
図2の外部容器用の外プリフォーム31と、内部容器用の内プリフォーム32を準備する。次いで、内プリフォームの口部32cをホルダー13の保持部93cに支持させ、内プリフォーム32を外プリフォーム31内に挿入し、外プリフォーム31の口部31cの上面とホルダー93の係合フランジ部93bを当接させて、外プリフォーム31内にホルダー93を挿入する。これにより内プリフォーム32は外プリフォーム31内で吊るされた状態で収容される。そして、内プリフォーム32を収容した外プリフォーム31を
図2の外部容器用金型17に挿入する。
【0044】
この状態で、外プリフォーム31および内プリフォーム32を加温し、外プリフォーム31内にスリット17b、連通溝22(ブロー用通路)、ホルダー13の外溝21を介してエアーを注入して外部容器11を成形する。その後、内プリフォーム32の口部32cからエアーを注入して内部容器92を成形する。このとき、外部容器91内のエアーは、ブロー用通路を介して外部に排出され、内部容器92は外部容器91の内面に当接するようにして形状が形成される。このようにそれぞれブロー成型により、外プリフォーム31の底部31a、胴部32bおよび内プリフォーム32の底部31a、胴部32bが膨張されてそれぞれ外部容器91および内部容器92が成形される。
このように成形されたエアゾール容器90aは、アンダーカップ充填により加圧剤を充填し、エアゾールバルブから内部容器内の空気を排出した後で内容物を充填することができる。
ここでは外部容器91および内部容器92を同一工程で連続的に成形する製造方法を開示したが、例えば、
図9のように外部容器91のみを先に生産し、その後、内部容器92を製造するようにしてもよい。