特許第5992201号(P5992201)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992201
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】パチンコ機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   A63F7/02 312Z
   A63F7/02 304D
【請求項の数】3
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-109442(P2012-109442)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-236656(P2013-236656A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】岸 正明
【審査官】 青▲柳▼ 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−158397(JP,A)
【文献】 特開2001−321499(JP,A)
【文献】 特開2006−239251(JP,A)
【文献】 特開2008−183342(JP,A)
【文献】 特開2010−035654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技領域に設けられ進入して来た遊技球を入賞とし得る始動入賞口と、
前記始動入賞口への遊技球の入賞を契機として取得される乱数を記憶する乱数記憶手段と、
所定の始動条件が成立したことに応じて前記乱数記憶手段に記憶された乱数を読み出すとともに、当該乱数に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技実行の可否を判定する当否抽選手段と、
前記所定の始動条件が成立した際に、前記乱数の判定に基づいて決定される変動態様により特別図柄を変動表示させるとともに、所定の変動時間経過後に、前記当否抽選の結果を示す態様で停止表示させる変動表示手段と、
前記停止表示された特別図柄が予め設定された態様であるときに、前記遊技者にとって有利な特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
を備えたパチンコ機であって、
前記遊技盤前方から視認可能とされ、前記始動入賞口に入賞した後の遊技球が進入可能な演出領域と、
前記演出領域の上流側に設けられ、前記始動入賞口に入賞した後の遊技球を前記遊技盤の後方に設けた排出領域、又は前記演出領域に進入させるか否かを振り分ける振分け手段と、
前記乱数記憶手段に乱数が記憶されたことに基づいて前記所定の始動条件の成立前に前記乱数を読み出すとともに、当該乱数の判定がされた場合における遊技者にとって有利な特別遊技実行の可否、及び、前記特別図柄の変動態様の少なくとも何れかを先行して抽出する先読み手段と、
前記先行して抽出された結果が予め設定された先読みに係る所定の結果であるときに、前記振分け手段を駆動させ、前記始動入賞口に入賞した後の予め定められた遊技球を前記演出領域内に流下させると共に、前記先行して抽出された結果を予測可能なように、前記演出領域に設けられ、当該演出領域を発光させる領域進入球演出手段の発光態様を変化させる先読み演出実行手段と、
を備えたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記予め定められた遊技球を前記演出領域内へ流下させる前記振分け手段の駆動により、前記始動入賞口に入賞した後続の遊技球の前記演出領域内への進入が阻止されることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記演出領域の前方にハーフミラーを設け、前記演出領域が発光した場合に前記演出領域内を視認可能とすることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ機に関し、特に、先読み演出として、大当りの有無や演出等に応じた色のライトアップを行うパチンコ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、パチンコ機の演出態様として、球が始動入賞口に入賞した場合に、当該入賞を契機として取得される乱数に基づいて実行される電子抽選を、当該乱数に基づいて実行される図柄の変動よりも前に実行し、当該抽選の結果を図柄の変動よりも前に保留ランプの色等により報知する所謂先読みと呼ばれる演出を実行するパチンコ機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−19683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のパチンコ機では、単に先読みの結果を保留ランプの発光態様によって報知する構成であるため、演出としてのインパクトに乏しく長時間の遊技によって飽きを感じさせてしまうという欠点を有する。
【0005】
本発明は、上記先読み演出について、遊技者に対してよりインパクトのある演出を実行し、遊技の興趣を向上させることが可能なパチンコ機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決すべく、本願発明に係る第一の構成として、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、遊技領域に設けられ進入してきた遊技球を入賞とし得る始動入賞口と、始動入賞口への遊技球の入賞を契機として取得される乱数を記憶する乱数記憶手段と、所定の始動条件が成立したことに応じて乱数記憶手段に記憶された乱数を読み出すとともに、当該乱数に基づいて遊技者にとって有利な特別遊技実行の可否を判定する当否抽選手段と、所定の始動条件が成立した際に、乱数の判定に基づいて決定される変動態様により特別図柄を変動表示させるとともに、所定の変動時間経過後に、当否抽選の結果を示す態様で停止表示させる変動表示手段と、停止表示された特別図柄が予め設定された態様であるときに、遊技者にとって有利な特別遊技を実行する特別遊技制御手段とを備えたパチンコ機であって、遊技盤前方から視認可能とされ、始動入賞口に入賞した後の遊技球が進入可能な演出領域と、演出領域の上流側に設けられ、始動入賞口に入賞した後の遊技球を遊技盤の後方に設けた排出領域、又は演出領域に進入させるか否かを振り分ける振分け手段と、乱数記憶手段に乱数が記憶されたことに基づいて、所定の始動条件の成立前に乱数を読み出すとともに、当該乱数の判定がされた場合における遊技者にとって有利な特別遊技実行の可否、及び、特別図柄の変動態様の少なくとも何れかを先行して抽出する先読み手段と、先行して抽出された結果が、予め設定された先読みに係る所定の結果であるときに、振分け手段を駆動させ、始動入賞口に入賞した後の予め定められた遊技球を演出領域内に流下させると共に、先行して抽出された結果を予測可能なように、演出領域に設けられ、当該演出領域を発光させる領域進入球演出手段の発光態様を変化させる先読み演出実行手段とを備えた構成とした。
お、本実施形態において前述の所定の始動条件とは、特別図柄が変動中でないこと、かつ、特別遊技の実行中でないことであり、先読み手段は当該条件の成立前、即ち、特別図柄の変動中(変動停止の確定表示時を含む)、又は、特別遊技の実行中に乱数記憶手段に乱数が記憶されたことに基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技実行の可否、及び、特別図柄の変動態様の少なくとも何れかに関する先読み情報を先行して抽出する。
本願発明に係る第二の構成として、予め定められた遊技球を演出領域内へ流下させる振分け手段の駆動により、始動入賞口に入賞した後続の遊技球の前記演出領域内への進入が阻止される構成とした。
本願発明に係る第三の構成として、演出領域の前方にハーフミラーを設け、演出領域が発光した場合に演出領域内を視認可能とする構成とした。
【発明の効果】
【0007】
上記各構成に係る遊技機によれば、遊技者に対してよりインパクトのある演出を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】パチンコ機の斜視図である。
図2】パチンコ機の遊技盤の基本的な構造を示す正面図である。
図3】パチンコ機の背面図である。
図4】パチンコ機の演出機構の概略断面図である。
図5】パチンコ機の制御装置のブロック図である。
図6】当り判定テーブル及び特別図柄決定テーブルの模式図である。
図7】変動パターン決定用テーブルの模式図である。
図8】演出決定用テーブルの模式図である。
図9】発光態様決定用テーブルの模式図である。
図10】先読み演出処理を示すフローチャートである。
図11】ネットワーク型の遊技システム(打−WIN)の概要を示す概略図である。
図12】ネットワーク型の遊技システムの処理を示すフロー図である。
図13】メニュー画面の例を示す模式図である。
図14】先読み演出に用いられた球を計数する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、遊技機の一例としてのパチンコ機1の全体構成及び各構成の機能について説明する。パチンコ機1は、遊技全般の制御を司る後述の主制御装置100を中心として遊技処理が実行される。主制御装置100は、遊技盤20に配置された入力側としての多様な始動部品や入賞部品により、遊技者によって打ち込まれる遊技球(以下、球という)が検出されることを契機として出力側の多様な遊技部品を制御する。なお、以下の説明において、パチンコ機の各部の上下左右方向は、そのパチンコ機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。
【0010】
図1乃至図3に示すように、パチンコ機1の遊技機枠2は、島と呼ばれる図外の遊技機設置構造体に配置される。遊技機枠2には開き戸状に開閉自在に取り付けられた本体枠3と、この本体枠3の内側に装着された遊技盤20と、本体枠3の前面に開き戸状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きくガラス窓4Aが設けられたガラス扉4と、遊技球を収容する上皿5及び下皿6とを有する前面ボード7と、前面ボード7に取り付けられたハンドル8と、ガラス扉4の左右上部のそれぞれに設けられたスピーカ10と、上皿5の前壁に設けられる操作部11とが設けられる。操作部11は、例えば演出表示装置50上に表示されるカーソルを移動するためのダイアル部と、ダイアル部によって移動されたカーソルと対応する項目を選択するための決定ボタンとから構成される。詳細については後述するが、当該操作部11は、例えば、遊技中に発生するボタン演出時や、遊技開始時においてパチンコ機1に遊技者の特定に係るパスワード入力をさせたり、遊技終了時において遊技者がパチンコ機1の遊技履歴等を外部のサーバ等に登録するための登録情報(二次元コードなど)を表示させるために使用される。
また、遊技機枠2の裏側には賞球払出装置301が取り付けられる。賞球払出装置301は後述の主制御装置100からの払出信号により駆動し、遊技機設置構造体に設置された図外の補給装置から供給された球を上皿5内に払い出す。
【0011】
以下、遊技盤20の構成について説明する。図2に示すように、遊技盤20はその盤面に球が流下する遊技領域21を備える。この遊技領域21は、ガラス窓4Aの前面から可視可能である。遊技領域21は、図示しないパチンコ機1の内部に設けられる発射装置(遊技領域21に球を打ち出す動作を行う打球アーム装置、及び球を打球アーム装置の打ち出し開始位置に送る装置)から発射された球を滑走させるガイドレール22と遊技球規制レール23によって略円形状となるように区画形成されている。
【0012】
前面ボード7の上皿5に充填された球はパチンコ機1の内部に1個ずつ流入され、図示しない発射装置に1個ずつ流入(供給)されるようになっている。発射制御装置500は、ハンドル8の回動操作量に応じて球の発射強度を設定し、その発射強度で球が発射されるよう発射装置を制御するようになっている。
また、発射制御装置500には、ハンドル8に設けられた人体検知に係るタッチスイッチ501や停止スイッチ502が接続されている。タッチスイッチ501がON状態であることを条件にハンドル8の回動操作が有効化され、発射装置により発射されて遊技領域21の上部位置に到達した球は、遊技領域21内を流下することになる。遊技領域21内を流下する球は、以下のいずれかの取込口を経て機外に排出される。
【0013】
遊技領域21内には、演出表示装置50と、ステージ55と、特別図柄表示装置40と、普通図柄表示装置41と、第1始動入賞口61(始動口)と、第2始動入賞口62(始動口)と、電動チューリップ63と、大入賞口64と、アタッカー装置65と、スルーチャッカー66と、複数の一般入賞口67と、アウト口68、及び、図外の遊技釘及び風車が設けられている。
【0014】
第1始動入賞口61と第2始動入賞口62とは、遊技領域21の左右方向に離間して配置される。図5に示すように、第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、大入賞口64、スルーチャッカー66、複数の一般入賞口67のそれぞれには、球の通過を検知する第1始動入賞口検知センサ91、第2始動入賞口検知センサ92、大入賞口検知センサ93、スルーチャッカー検知センサ94及び一般入賞口検知センサ95のそれぞれが内蔵されている。これらの検知センサ91〜95は、球の通過に伴い遊技球検知信号(電気信号)を出力する非接触球検装置(磁気センサなど)であり、その遊技検知信号は主制御装置100に入力される。
【0015】
特別図柄表示装置40は、取込口としての第1始動入賞口61への球の入賞を契機に、主制御装置100により行われる特別図柄に係る電子抽選(第1特図抽選)の結果と、第2始動入賞口62への球の入賞を契機に主制御装置100により行われる特別図柄に係る電子抽選(第2特図抽選)の結果とを表示するものである。具体的には、特別図柄表示装置40は、電子抽選の結果に基づき、所定の特別図柄(数字や絵柄)が変動した後に停止するという態様で表示されるよう、主制御装置100の変動パターン決定手段130により制御されるものである。特別図柄表示装置40は、本実施形態においては上下方向に併設された7セグメント表示器から構成され、演出表示装置50を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤20の右下部分に離れて配置される。なお、特別図柄表示装置40のうち、上段の7セグメント表示器は、第1特図抽選の結果を表示するものであり、下段の7セグメント表示器は、第2特図抽選の結果を表示するものである。特別図柄表示装置40の7セグメントのいずれかが点滅表示している状態は、特別図柄が変動している状態であり、その点滅が停止して数字や記号の点灯表示が維持された状態は、特別図柄の変動が停止した状態である。また、特別図柄表示装置40の7セグメントのいずれかが点滅表示している時間は、特別図柄の変動時間である。
【0016】
演出表示装置50は、例えばCRT,液晶等のように表示画面内における表現形態を電気的に変えられる表示器や、回動可能な複数のドラムに付された数字や図柄を任意の組合せとし得るドラム式の表示器が採用される。演出表示装置50は、遊技盤20の裏側に取付機構を介して取り付けられ、表示画面がガラス窓4A(光透過性パネル)を通して遊技盤20の前面から視認可能である。この演出表示装置50は、本実施形態においては液晶表示装置から成り、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62への球の入賞を契機に主制御装置100で行われる特別図柄に係る電子抽選(第1特図抽選又は第2特図抽選)の結果に基づいて、所定の演出態様を表示するように演出図柄変動表示部210により制御される。
【0017】
スルーチャッカー66は、球が通過可能なゲート構造から成る。球がスルーチャッカー66を通過したことを契機に、主制御装置100により普通図柄に係る電子抽選(普図抽選)が行われる。普通図柄表示装置41は、普通図柄に係る電子抽選の結果(「アタリ」又は「ハズレ」)が表示されるように主制御装置100により制御されているものである。この普通図柄表示装置41は、特別図柄表示装置40の下方に配置されていて、本実施形態においては2つのLEDランプから成る。普通図柄に係る電子抽選の結果が「アタリ」の場合に2つのLEDランプのうちの一方のみが点灯し、「ハズレ」の場合に他方のみが点灯するようになっている。2つのLEDランプが交互に点滅している状態は、普通図柄が変動している状態であり、その点滅が停止して点灯が維持された状態は、普通図柄の変動が停止した状態である。また、2つのLEDランプが交互に点滅している時間は、普通図柄の変動時間である。
【0018】
電動チューリップ63は、第2始動入賞口62の入口に設けられ、遊技盤20の面に直交する軸を中心に回動する1対の羽根部材と、これら1対の羽根部材を駆動するソレノイド(図示省略)とを備え、そのソレノイドへの通電により1対の羽根部材が互いに離れる方向に回動し、第2始動入賞口62の入口を拡大するものである。電動チューリップ63は、1対の羽根部材を閉じた状態において、第2始動入賞口62を形成している部材と1対の羽根部材との間隔は球が通過不可能なものであるため、1対の羽根部材が閉じた状態では第2始動入賞口62への球の入賞は不可能である。
電動チューリップ63は、普通図柄に係る電子抽選の結果が「アタリ」となった場合に、1対の羽根部材が開くよう主制御装置100(普通図柄遊技制御手段160)にて駆動信号が生成され、この駆動信号に基づいて電動チューリップ駆動装置63Aが駆動制御される。
【0019】
ステージ55は、演出表示装置50の表示画面の外縁を囲む装飾センター枠に設けられ、演出表示装置50の装飾センター枠の下方に配置されている。
そして、図示しない装飾センター枠の側面部に設けられるワープ口から進入した球を一時的に滞在させつつ再び遊技領域21へ落下させる構造を有する。このステージ55の中央には導出溝が形成されており、この導出溝の真下には第1始動入賞口61が配置されている。このため、導出溝から落下した球は、高い確率で第1始動入賞口61に導かれる。
【0020】
大入賞口64は、横長な長方形の開口であり、第2始動入賞口62の下方に設けられている。アタッカー装置65は、水平な軸を中心として前後方向にフラップ状に回動自在に設けられた大入賞口64の形状と略同じ長方形の蓋部材と、この蓋部材を駆動するソレノイドとを備え、そのソレノイドへの通電により蓋部材が前方向に回動して大入賞口64を開口するものである。アタッカー装置65が開いた状態は大入賞口64への球の入賞が可能かつ入賞容易な状態であり、アタッカー装置65が閉じた状態は大入賞口64への球の入賞が不可能な状態である。
【0021】
アタッカー装置65は、第1始動入賞口61への球の入賞を契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果が「アタリ」となった場合(第1特図当り)、又は、第2始動入賞口62への球の入賞を契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果が「アタリ」(第2特図当り)となった場合に実行される遊技者とって有利な特別遊技(大当り遊技)中に、主制御装置100により所定のラウンド数だけ開閉されるように制御される。本実施形態において、所定のラウンド数は、例えば5ラウンド又は15ラウンドに設定され、1ラウンドあたりの球の最大入賞個数は9個、アタッカー装置65の最長開放時間は30秒である。つまり、アタッカー装置65の開放時点から30秒経過する前に大入賞口64への球の入賞個数が9個に達した場合と、大入賞口64への球の入賞個数が9個に達する前にアタッカー装置65の開放時点から30秒が経過した場合に、1ラウンドが終了し、当ラウンドが上限のラウンド数まで繰り返される。
【0022】
複数の一般入賞口67は、遊技領域21の左側において上下方向に分かれて配設されており、遊技球の入賞により例えば3個の賞球が払い出される入賞口である。また、アウト口68は、遊技領域21の最下流に開設される取り込み口であって、遊技領域21を流下中に前述のした複数の取り込み口としての第1始動入賞口61、第2始動入賞口62、大入賞口64及び複数の一般入賞口67いずれの入賞口にも取り込まれなかった遊技球が取り込まれて回収される。つまり、遊技盤20は、遊技領域21内に複数の取り込み口を有しており、遊技領域21に打ち出された球は何れかの取り込み口から取り込まれ、遊技盤20の後方に設けた排出領域へと誘導されて機外へ排出される。また、遊技盤20には、複数の盤上発光部70が配設されており、後述のランプ制御部230によって多様な発光パターンで制御される。
【0023】
遊技領域21における第1始動入賞口61の下方には、本発明の主要部を構成する演出機構400が設けられる。演出機構400の前面は、ハーフミラー409に覆われており、後述の先読み演出が実行されるまでは、その内部が視認不能とされている。なお、演出機構400の構造については後述する。
【0024】
次に遊技盤20の背面側の構成について概説する。図3に示すように、パチンコ機1の背面側には図外の支持部材等を介して、主として第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62への入賞を契機に特別図柄に係る電子抽選を行う主制御装置100と、遊技領域21の取り込み口から取り込まれた遊技球を回収する下タンクへ案内する通路機構を含む図外の支持部材等を介して取り付けられ、主制御装置100からの演出図柄変動コマンドに基づいて演出表示装置50の表示を制御する副制御装置200、及び、主制御装置100からの払出コマンドに基づいて各入賞口への入賞に対する賞球を払い出す払出装置301を制御する払出制御装置300が配置されている。また、主制御装置100又は副制御装置200は、図外の通信手段を介して、図外の遊技機店等に設けられるホールコンピューターに接続されており、ホールコンピューター側ではパチンコ機1の遊技に関する様々な情報(大当り回数,遊技回数,賞球数等)の管理を行っている。
【0025】
次に遊技盤20内に設けられた演出機構400について説明する。図4は、本願パチンコ機1の演出機構400の一例を示す概略断面図である。同図に示すように演出機構400は、球の取り込み口としての第1始動入賞口61から入賞した球を下方に誘導する取込通路401と、入賞した球の通過を検出するために取込通路401内に取り付けられた第1始動入賞口検知センサ91と、通過検出後の球の流下方向を振り分ける振り分け手段Fとしての貯留板ユニット402と、先読み演出実行時に貯留された球を演出領域411内に流下させる演出用通路403と、演出用通路403と分岐する排出通路404と、先読み演出実行時に所定の色を発光する発光ユニット(領域進入球演出手段)405と、演出用通路403から流下してきた球を一定時間滞留させるステージ406と、ステージ406から排出された球を誘導する演出球排出通路407と、排出通路404と演出球排出通路407とが合流し、球を機外に排出する機外排出通路408と、遊技領域21における第1始動入賞口61の下方に設けられたハーフミラー409と、取込通路401から誘導された球を排出通路404に導く傾斜壁410と、先読み演出実行時に遊技者から視認可能な演出領域411と、演出領域411への進入が可能な貯留球の存在を検出する第1演出球検出センサ412と、演出球排出通路407内に設けられ、演出領域411から排出される球を検出する検出する第2演出球検出センサ413とを備える。
【0026】
取込通路401は、第1始動入賞口61から取り込まれた球を下方に下流させるように直線的に延在する単一の通路である。取込通路401の通路内には後述の主制御装置100と電気的に接続する第1始動入賞口検知センサ91が配設される。第1始動入賞口検知センサ91は、第1始動入賞口61に取り込まれた球を検出し、主制御装置100に検出信号を出力する。なお、第1始動入賞口検知センサ91としては、近接センサ、磁気センサもしくはフォトセンサ等が好適に用いられる。
【0027】
図4に示すように、取込通路401及び第1始動入賞口検知センサ91の下流側に配設される貯留板ユニット402は、取込通路401から流下してきた球を一時貯留させる断面L字状の板部材である。貯留板ユニット402は、L字の交点に嵌挿された軸部Jを介して傾斜壁410の前側先端部に枢着されており、実線で示す第1位置(球貯留位置)と、破線で示す第2位置(球排出位置)の2つの位置を取り得る。当該貯留板ユニット402は、不図示のソレノイド等を駆動源として第1位置及び第2位置間において傾動する。貯留板ユニット402の駆動源は、副制御装置200と電気的に接続されており、第1位置において第1始動入賞口61から取り込まれた球を貯留し、第2位置において貯留した球を演出球Pとして演出領域411に流下させる。
【0028】
第1位置における貯留板ユニット402の背面部402Aの高さは、球載置部402Bに載置された一時貯留の球一個分の直径よりも短い寸法に設定されており、2個以上の球が同時に貯留されることはない。従って、球が貯留板ユニット402上に貯留された状態において第1始動入賞口61に取り込まれた後続の球は、貯留板ユニット402に貯留されている球と衝突して排出通路404側に導かれる。また、貯留板ユニット402上に貯留された球と対応する取込通路401の側壁には、第1演出球検出センサ412が設けられている。第1演出球検出センサ412は、後述の副制御装置200と電気的に接続されており、貯留板ユニット402上の貯留球の有無を検出する。
貯留板ユニット402上に貯留球が貯留された状態において貯留板ユニット402が第2位置に傾動すると、貯留されていた球は、演出球Pとして演出領域411に進入する。また、貯留板ユニット402が第2位置に傾動した状態において、貯留板ユニット402の背面部402Aは、演出用通路403の入口を閉塞し、後続の球が演出用通路403及び演出領域411内に進入することを防止するとともに排出通路404側へ誘導し易くする傾斜面を形成する。また、貯留板ユニット402は、第2演出球検出センサ413による演出球Pの検出を契機に、第2位置から第1位置へと傾動し、さらなる球を貯留可能な状態へと復帰する。
なお、上述の振り分け手段として、L字状の貯留板ユニット402を採用したが、これに限られるものではない。例えば、前後方向に開閉するシャッター機構や、直線状の平板の傾動動作により、演出領域411又は排出通路404側に振り分ける構成としても良い。
【0029】
以下、演出領域411内の構成部材について説明する。なお、演出領域411とは、遊技者からハーフミラー409を介して視認可能な遊技盤20の内部空間をいう。本例では、発光ユニット(領域進入球演出手段)405は傾斜壁410の下面に配置され、「白」,「青」,「緑」,「赤」の4色の発色が可能なLEDから構成される。
なお、領域進入球演出手段は、発光ユニット405に限らず、演出領域411に進入した球の存在を音声や可動装置によりアピール報知する所定の報知ユニットや、演出領域411に進入した球に対して振動や方向転換などの外力を与える所定の動力ユニット、又はこれらの組合せなどの適用を妨げない。
また、発光ユニット405は、副制御装置200と電気的に接続され、同装置により制御される。発光ユニット405は、副制御装置200からの制御信号に基づいて所定の色を発光し、演出領域411内を照らす。なお、本例では発光ユニット405を傾斜壁410の下面に配置したが、排出通路404の前壁の前面、即ち、ハーフミラー409と対向する位置に配置しても良い。
なお、本実施形態では複数色の発色が可能な発光ユニット405としているが、単色の発光ユニット405としても良い。
また、発光ユニット405による発光態様を点滅させたり、照度(明るさ)を調整したり、発光タイミングを調整することで複数の演出態様を設計可能とするようにしても良い。
【0030】
ステージ406は、演出領域411内に流下してきた球を遊技者に一定時間視認させることを目的して演出領域411の底部に設けられた役物である。ステージ406は、流下してきた球を一定時間貯留する台座として演出領域411内に固着され、例えばすり鉢状の皿部材(いわゆるクルーン)であり、その中央部に少なくとも1つの孔部406Aを有する。孔部406Aは、上方の演出用通路403よりも後方にずれた位置にあり、下方の演出球排出通路407と連通している。この構成により、演出用通路403から流下してきた演出球Pは、ステージ406前方に着地し、すり鉢状のステージ406内を旋回して徐々に推進力を失い孔部406Aから落下する。即ち、演出領域411に進入した演出球Pは、ステージ406上で一定期間滞留した後に排出される。なお、本例ではステージ406としてすり鉢状のクルーンを用いたが、当該形状に限られるものではなく、種々の形状に変更が可能である。
【0031】
ハーフミラー409は、遊技領域21における第1始動入賞口61下方に開設された開口部を覆う。通常時においては、開口部に対応する演出領域411内は暗く、遊技者側から観察したハーフミラー409は、鏡として外部からの光を反射する。一方、後述する先読み演出の実行により発光ユニット405が演出領域411内で発光した場合、遊技者はハーフミラー409を介して演出領域411内を視認することができる。このように、ハーフミラー409により視認不能とされた演出領域411の内部が、遊技球の演出領域411内への進入に対応して視認可能となることから、遊技者の注意をより惹きつける視覚的にインパクトとのある演出を行うことが可能となる。
なお、本例ではハーフミラー409としてアクリルハーフミラーを採用したが、透過性を有するアクリル板にハーフミラーフィルムを貼着したものを用いても良い。また、ハーフミラー409に換えて、透過性を有するアクリル板を遊技領域21の開口に設置し、駆動機構を用いて前後方向もしくは左右方向に開閉するシャッター部材でアクリル板を前方から覆う構成としても良い。また、ハーフミラーを用いることなく演出領域411の内部を常時視認可能な構成としても良い。
【0032】
ステージ406の孔部406Aから下方に排出された演出球Pは、演出球排出通路407上に配設された第2演出球検出センサ413により検出される。第2演出球検出センサ413は、副制御装置200と電気的に接続されており、検出信号が副制御装置200側に出力される。
【0033】
以下、図5を参照して、上記構成からなるパチンコ機1の制御系について説明する。図5は、パチンコ機1の制御ブロック図である。同図に示すようにパチンコ機1は、各種検知センサからの検出信号に基づいて遊技全般の遊技処理を実行する主制御装置100と、主制御装置100から送信される制御コマンドに基づいて演出に係る所定の処理を実行する副制御装置200と、払出制御装置300、及び、発射制御装置500を主たる構成として備える。上記各制御装置は、演算手段としてのCPU、CPUの制御処理に必要なデータや制御プログラムが格納された記憶手段としてのROM、及び、制御処理に必要なデータを随時読み書き可能な記憶手段としてのRAMを有する所謂コンピュータとして構成される。
【0034】
主制御装置100は、当否抽選手段110と、特別図柄決定手段120と、変動パターン決定手段130と、先読み手段140と、普通図柄当否抽選手段150と、普通図柄遊技制御手段160と、特別遊技制御手段170と、遊技状態設定手段180を備える。
主制御装置100の入力側には、図外の入力回路を介して、第1始動入賞球口検知センサ91、第2始動入賞口検知センサ92、大入賞口検知センサ93、スルーチャッカー検知センサ94、及び、一般入賞口検知センサ95がそれぞれ接続され、各種検知センサからの検出信号が入力される。また、主制御装置100の出力側には、図外のインターフェースや、出力回路を介して、副制御装置200、払出制御装置300、発射制御装置500、特別図柄表示装置40、普通図柄表示装置41、アタッカー装置65及び電動チューリップ63が接続されている。
【0035】
主制御装置100は、入力側に接続された各種検知センサ91〜95からの入力に基づいて副制御装置200、払出制御装置300に対して必要な制御コマンドを送信する。主制御装置100により送信される主な制御コマンドとしては、副制御装置200に対して送信される演出コマンド、先読みコマンド、払出制御装置300に対して送信される払出コマンド等が存在し、これらのコマンドを受信した各制御装置は、コマンドに含まれる情報を解析し、出力側に接続された各種のデバイスを駆動制御する。
なお、主制御装置100と各制御装置の間におけるコマンドの送受信は、払出制御装置300を除いて主制御装置100から各制御装置への一方向に限られる。
払出制御装置300と主制御装置100との間におけるコマンドの送受信は双方向通信としており、賞球の払出しエラー等のコマンドが払出制御装置300から主制御装置100へ送信される。
また、払出制御装置300は、タッチスイッチ501の検出に基づいて発射制御装置500に対して送信される発射許可コマンドを送信する。
図外の電源基板より電源が供給されると、主制御装置100にシステムリセットが発生し、ROMに記憶された初期化プログラムに基づき、記憶領域に記憶されたフラグ等の初期化や所定の乱数値の更新等が行われる。なお、本願にいう「乱数」とは、ハードウェア乱数やソフトウェア乱数などにより高速で複数の数値をループ的に更新させて発生させる擬似乱数であるものとする。
なお、ハードウェア乱数は、ソフトウェア乱数よりも更新速度が速くなるように構成されている。
【0036】
主制御装置100の当否抽選手段110は、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への球の入賞(第1始動入賞球口検知センサ91又は第2始動入賞口検知センサ92による球の検出)を契機に、当否抽選用乱数を取得し、当所定の始動条件の成立に応じて該当否抽選用乱数の判定に基づいて「アタリ」又は「ハズレ」を決定する電子抽選(特図抽選)により行う。
当否抽選手段110は、当否抽選用乱数発生手段110Aと、当否抽選用乱数取得手段110Bと、当否判定手段110Cと、当否抽選用乱数記憶手段110Dとを備える。
当否抽選用乱数発生手段110Aは、周期的に入力される割り込み信号に基づいてハードウェア上のループカウンタの値を所定の範囲(本実施形態では0〜65535の整数の範囲)で1ずつ更新させることにより当否抽選用乱数を生成する。当否抽選用乱数取得手段110Bは、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への球の入賞を契機に当否抽選用乱数発生手段110Aにより発生した当否抽選用乱数の中から1つの当否抽選用乱数を取得する。
当否判定手段110Cは、所定の始動条件が成立したことに基づいて、後述の当否抽選用乱数記憶手段110Dに記憶された当否抽選用乱数を読み出すとともに、図6(a)に示す当り判定テーブルを用いて、読み出した当否抽選用乱数が「アタリ」に相当するものであるか、「ハズレ」に相当するものであるかを判定(当否判定)する。当り判定テーブルは、所定範囲の複数の当否抽選用乱数と、これに対応する複数の結果情報(「アタリ」又は「ハズレ」)とが対応付けられたデータである。
また、当該判定が実行される条件(始動条件)とは、特別図柄が変動しておらず、かつ、大当り遊技実行中でないことであり、例えば、大当り遊技中でない場合において、後述の当否抽選用乱数記憶手段110D内に複数の当否抽選用乱数が保留されている場合、前回の特別図柄の変動停止後に逐次当否判定を実行する。
当否抽選用乱数記憶手段110Dは、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への球の入賞を契機として当否抽選用乱数取得手段110Bが取得した当否抽選用乱数を所定の上限個数まで記憶する。
なお、当該当否抽選用乱数は、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62へのそれぞれ入賞に対応して4個ずつ、最大8まで取得され、上限を超えて当否抽選用乱数が取得されることはない。
本実施形態において、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62の入賞に基づいて所定個数の球が賞球として遊技者に払い出されることとしているが、上述の上限を超えた場合でも賞球の払い出しに関しては無効とならないこととしている。
なお、当否判定手段110Cによる当否判定は、当否抽選用乱数記憶手段110Dに乱数が記憶された順番(入賞順)通り、又は、第2始動入賞口62への入賞を契機として取得された乱数が優先して実行される。
【0037】
特別図柄決定手段120は、特別図柄決定用乱数発生手段120Aと、特別図柄決定用乱数取得手段120Bと、特別図柄判定手段120Cと、特別図柄決定用乱数記憶手段120Dとを備え、特別図柄表示装置40に停止表示される特別図柄の種類を決定する。
特別図柄決定用乱数発生手段120Aは、周期的に入力される割り込み信号に基づいてソフトウェア上のループカウンタの値を所定の範囲(0〜99まで)1ずつ更新させることにより特別図柄決定用乱数を発生させる。特別図柄決定用乱数取得手段120Bは、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への球の入賞を契機に、特別図柄決定用乱数発生手段120Aにより発生した特別図柄決定用乱数の中から1つの特別図柄決定用乱数を0〜99の範囲内で取得する。
特別図柄判定手段120Cは、上述した特図抽選の結果が「アタリ」である場合に後述の特別図柄決定用乱数記憶手段120Dに記憶された特別図柄決定用乱数を読み出すとともに、読み出した特別図柄決定用乱数と図6(b)に示す特別図柄決定テーブルとを参照して、1つの特別図柄を決定する。
特別図柄決定用乱数記憶手段120Dは、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への球の入賞を契機として特別図柄決定用乱数取得手段120Bが取得した特別図柄決定用乱数を所定の上限個数まで記憶する。なお、当該当否抽選用乱数は、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62への入賞に対応して4個ずつ、最大8まで取得され、上限を超えて当否抽選用乱数が取得されることはない。
【0038】
図6(b)に示す特別図柄決定テーブルには、0〜99の特別図柄決定用乱数に対して特別図柄A、B、Cの3種類の特別図柄が対応付けられており、特別図柄決定用乱数が0〜39であれば特別図柄Aに決定され、特別図柄決定用乱数が40〜79であれば特別図柄Bに決定され、特別図柄決定用乱数が80〜99であれば特別図柄Cに決定される。
また、特別図柄A、B、Cの3種類は、互いに異なる複数の大当り態様の種類の決定用としても活用されるようにしている。
なお、同図における選択確率は便宜上のものである。なお、図示は省略するが、特別図柄決定テーブルには選択率が異なる複数のテーブルが存在し、特別図柄決定用乱数が第1始動入賞口61への入賞を契機として取得されたものか、或いは、第2始動入賞口62への入賞を契機として取得されたものかによって、選択率の異なるテーブルが参照される。
上記の特図抽選の結果が「ハズレ」であった場合、特別図柄判定手段120Cは、上述の特別図柄決定テーブルを参照することなく、停止図柄を特別図柄Xに決定する。即ち、上述の大当り抽選の結果が「ハズレ」である場合には、図6(b)の停止する特別図柄決定テーブルを参照することなく「ハズレ」に対応する特別図柄Xを決定する。
本例では、例えば、特図抽選の結果が「ハズレ」である場合、特別図柄表示装置40に「−」が表示され、特図抽選の結果が「アタリ」であり、特別図柄Aに決定された場合は「1」、特別図柄Bに決定された場合は「5」、特別図柄Cに決定された場合は「7」が表示される。なお、特別図柄の具体的な態様は数字に限定されるものではなく、遊技者にとって認識し難い記号であっても良い。
【0039】
変動パターン決定手段130は、変動パターン用乱数発生手段130Aと、変動パターン用乱数取得手段130Bと、変動パターン判定手段130Cと、変動パターン用乱数記憶手段130Dとを備える。変動パターン用乱数発生手段130Aは、周期的に入力される割り込み信号に基づいてソフトウェア上のループカウンタの値を所定の範囲(0〜63まで)1ずつ更新させることにより変動パターン用乱数を発生させる。変動パターン取得手段130Bは、第1始動入賞口61及び第2始動入賞口62への入賞を契機に変動パターン用乱数発生手段130Aにより発生した変動パターン用乱数の中から1つの変動パターン用乱数を取得する。変動パターン判定手段130Cは、後述の変動パターン用乱数記憶手段130Dに記憶された変動パターン用乱数を読み出すとともに、読み出した変動パターン用乱数と、図7に示す変動パターン決定用テーブルを用いて、1つの変動パターンを決定する。
ここで、変動パターン決定用テーブルは、図7に示すように、前述の特図抽選の結果が「アタリ」である場合に用いられる当り変動パターン決定用テーブルと、「ハズレ」である場合に参照される外れ変動パターン決定用テーブルから構成される。当り変動パターン決定用テーブルには、変動パターンNo.1〜64までが割り当てられ、外れ変動パターン決定用テーブルには、変動パターンNo.65〜128までが割り当てられている。また、各変動パターンNo.には、特別図柄の変動時間(例えば12秒,30秒,60秒等)が対応して規定されており、当該変動時間は、特別図柄及び演出図柄Sの変動時間として用いられる。
なお本実施形態では、特別図柄の変動時間が長い時間(例えば、リーチ)となった場合は、変動させる演出図柄Sを途中から縮小させて、大当り結果が得られるか否かを煽るためのアニメーション動画をメイン表示とすることによって、該長い変動時間の間を持たせるようにしている。
【0040】
変動パターン決定手段130Cは、前述の特図抽選の結果が「アタリ」である場合には、後述の変動パターン乱数記憶手段130Dに記憶された変動パターン乱数を読み出し、図7(a)に示す当り変動パターン決定用テーブルを参照して、変動パターンNo.1〜64の中から1つの変動パターンを決定する。
一方、特図抽選の結果が「ハズレ」である場合には、後述の変動パターン乱数記憶手段130Dに記憶された変動パターン乱数を読み出し、図7(b)に示す外れ変動パターン決定用テーブルを参照して変動パターンNo.65〜128の中から1つの変動パターンを決定する。
【0041】
以上のとおり、主制御装置100を構成する当否抽選手段110、特別図柄決定手段120及び変動パターン決定手段130は、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞を契機として、複数の乱数(当否抽選用乱数,特別図柄決定用乱数,変動パターン用乱数)を取得して記憶するとともに、所定の始動条件が到来したことに基づいて記憶された各乱数を読み出し、記憶された1つの乱数に対す当否抽選の結果情報(「アタリ」又は「ハズレ」)、特別図柄情報(特別図柄A〜C又はX)、及び変動パターン情報(No.)を抽出する。また、主制御装置100は、当否抽選の結果情報、特別図柄情報、及び、変動パターン情報に基づいて、特別図柄表示装置40を制御して特別図柄の変動表示を開始させるとともに、当該情報を含む演出コマンドを副制御装置200側に送信し、演出図柄Sの変動表示を開始させる。
【0042】
具体的には、主制御装置100によって制御される特別図柄表示装置40は、変動パターン情報に含まれる変動時間に基づいて特別図柄を所定の時間変動表示させた後、変動時間経過後に特別図柄情報に含まれる所定の特別図柄の態様(「−」,「1」,「5」,「7」)で停止表示させる。また、主制御装置100から副制御装置200に演出コマンドが送信された場合、副制御装置200により、変動パターンNo.(特別図柄の変動時間)に対応した演出図柄Sの変動表示を含む演出表示が所定の時間実行され、所定の時間(変動時間)経過後に演出図柄Sが前述の特図抽選の結果を示す態様で停止表示され、一回の遊技が終了する。
なお本実施形態では、特別図柄に基づく結果を示す態様と演出図柄Sの停止態様は、演出表示における設計に応じて同期する場合と同期しない場合があるようにしている。
【0043】
次に、主制御装置100が備える先読み手段140について説明する。前述の演出コマンドは、特別図柄が変動中でないこと、かつ、大当り遊技中でないことを条件として実行される特図抽選処理、特別図柄決定処理、変動パターン決定処理後に生成され、副制御装置200側に送信されるコマンドであるが、本実施形態に係るパチンコ機においては、上記演出コマンドに相当するコマンドを所定の条件下で演出コマンドよりも先に(始動条件成立よりも前に)副制御装置200に送信する機能を備えている。以下、演出コマンドよりも先に送信されるコマンドを先読みコマンドと称して説明する。
【0044】
先読み手段140は、特別図柄が変動中又は大当り遊技中であること、かつ、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞に基づいて前述の当否抽選用乱数、特別図柄決定乱数及び変動パターン乱数が各記憶手段に記憶されたことを契機として、先読みコマンドを生成し、当該先読みコマンドを副制御装置200に対して送信する。
具体的には、先読み手段140は、前述の当否判定手段110Cによる当否判定、特別図柄判定手段120Cによる特別図柄の決定、及び、変動パターン判定手段130Cによる変動パターンの決定と同様に各乱数記憶手段内に記憶された各乱数を読み出し、読み出した各乱数と各テーブルを参照して当否抽選の結果情報、特別図柄情報、及び、変動パターン情報(No.)を抽出し、これらの先行して抽出した情報を含む先読みコマンドを生成する。
生成された先読みコマンドは、副制御装置200側に直ちに送信され、副制御装置200側では当該先読みコマンドに基づいて先読み演出を実行する。
詳細については後述するが、本実施形態における先読み演出とは、特別図柄が変動中であること、かつ、大当り遊技中で無いことを少なくとも条件として、前述した演出領域411を遊技者から視認可能な状態とし、予め貯留された遊技球を演出球Pとして演出領域411内に流下させる演出であり、当該先読み演出が第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞の直後から演出コマンドが副制御装置200側へ送信されるよりも先に実行されること、換言すれば当該入賞を契機として取得された各乱数に基づく特別図柄の変動(始動条件の成立)よりも前に実行されることにより、遊技者は当該入賞球を契機として実行される前述の特図抽選の結果が当りとなるのではないかという期待を事前に得ることが可能となる。
即ち、先読みコマンドは、特別図柄が変動中又は大当り遊技中でないことを条件として生成,送信される前述の演出コマンドよりも先に副制御装置200側に送信されるコマンドである。当該先読みコマンドを受信することにより、副制御装置200側では、当該入賞球に対応する各乱数に基づいて抽出される当否抽選の結果情報、特別図柄情報、及び、変動パターン情報を演出コマンドの受信前に事前に把握することが可能となる。
【0045】
以下、主制御装置100を構成するその他の手段について説明する。
普通図柄抽選手段150は、普通図柄用乱数発生手段150Aと、普通図柄用乱数取得手段150Bと、普通図柄用当否判定手段150Cと、普通図柄用保留球乱数記憶手段150Dとを備える。普通図柄用乱数発生手段150Aは、周期的に入力される割り込み信号に基づいてハードウェア上のループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることにより普通図柄用乱数を発生する。
普通図柄用乱数取得手段150Bは、スルーチャッカー66を球が通過したことを契機に、普通図柄用乱数を1つ取得する。
普通図柄当否判定手段150Cは、この普通図柄用乱数取得手段150Bが取得した普通図柄用乱数が普通図柄当りであるか否かを、普通図柄判定用テーブルを用いて決定する。
普通図柄遊技制御手段160は、普通図柄判定用テーブルを用いた判定結果に応じた普通図柄当否コマンドを生成して普通図柄表示装置41に送信し、かつ、普通図柄当り判定である場合には電動チューリップ駆動装置63Aに所定パターンの駆動信号を送信する。
普通図柄用保留球乱数記憶手段150Dは、普通図柄用乱数取得手段150Bが普通図柄用乱数を取得したときに所定の上限数まで普通図柄用乱数を普通図柄用保留乱数として記憶する。
電動チューリップ駆動装置63Aは、電動チューリップ63の駆動を実行させるための駆動信号を受信することに基づいて電動チューリップ63の1対の羽根部材を開放状態として、第2始動入賞口62への入賞を促進する。
また、普通図柄遊技制御手段160は、後述の遊技状態(例えば、普図高確率時又は普図低確率時など)に応じて互いに異なる普通図柄当否コマンド及び所定パターンの駆動信号を送信し、各遊技状態に応じた普通図柄の変動表示パターン及び電動チューリップの開閉パターンの駆動を行わせる。
なお本実施形態では、スルーチャッカー66を球が通過したことを契機にして、所定個数の球を賞球として払い出すことはしていない。
【0046】
特別遊技制御手段170は、前述の特図抽選の結果が「アタリ」であり、かつ、当該特図抽選の結果を示す特別図柄の変動が停止したことに基づいて、遊技者にとって有利な遊技状態である特別遊技(大当り遊技)を実行する。具体定には、特別遊技制御手段170は、特別図柄の種類(特別図柄A〜C)に基づいて所定のラウンド数だけアタッカー装置65を開放する。例えば、特別図柄が特別図柄Aである場合は、アタッカー装置65を5ラウンドだけ開放させ、特別図柄B又はCである場合アタッカー装置65を15ラウンドだけ開放させる。
【0047】
遊技状態設定手段180は、特図抽選の結果が「アタリ」である場合に特別図柄の種類に応じて、特別遊技後の遊技状態を変更する。本実施例における遊技状態は、特図低確率状態と、特図低確率状態よりも特図抽選の結果が「アタリ」となる確率が高く設定された特図高確率遊技(確率変動遊技)、普図低確率遊技と、普図低確率遊技よりも普図抽選の結果が「アタリ」となる確率が高く設定された普図高確率遊技(時短遊技)の4つの状態が存在する。遊技状態設定手段180は、特別図柄の種類に応じて、これらの遊技状態を組み合わせて1つの遊技状態を醸成する。
なお本実施形態では、特別遊技後に変更した遊技状態は、次回の特別図柄に係る抽選の結果が「アタリ」となるまで、又は「アタリ」とならずに連続する特図抽選の結果が所定回数となるまで継続可能となるようにしている。
【0048】
遊技状態設定手段180は、例えば特別図柄Aが停止表示されたことに基づいて実行される特別遊技後の遊技状態を特図高確率かつ普図低確率の状態として設定する。また、特別図柄Bが停止表示されたことに基づいて実行される特別遊技後の遊技状態を特図高確率かつ普図高確率の状態として設定する。また、特別図柄Cが停止表示されたことに基づいて実行される特別遊技後の遊技状態を特図低確率かつ普図高確率の状態として設定する。このように、遊技状態設定手段180は特別遊技前後の遊技状態を切り替えることにより、遊技者にとって有利な遊技状態又は不利な遊技状態を提供する。
例えば、特図高確率時においては、当否判定手段110Cによって参照される図6(a)に示す当り判定テーブルよりも「アタリ」となる確率が10倍高く設定された図外の当り判定テーブルが参照され、特図低確率時における遊技よりも特別遊技を得ることが容易となる。また、普図高確率時においては、普通図柄用当否判定手段150Cによって参照される図外の普通図柄判定用テーブルに基づいて「アタリ」が抽出される確率が、普図低確率時において参照される普通図柄判定用テーブルよりも高く設定されており、電動チューリップ63が開放する頻度が普図低確率遊技の場合よりも多くなる。
なお実施形態では、特図高確率時又は普図高確率時においては、特図低確率時又は普図低確率時と比較して、特別図柄又は普通図柄の単位時間あたりの平均変動時間が短くなるようにしている。
また、普図高確率時においては、普図低確率時とは電動チューリップ63が開放する開放パターンが異なる(例えば、開放回数が増える)ようにし、第2始動入賞口62への入賞容易化の向上を図るようにしている。
【0049】
次に、図5を参照して、主制御装置100からの送信される演出コマンド又は先読みコマンドの受信に基づいて演出デバイスとしての各種の装置を制御する副制御装置200について説明する。なお、主制御装置100から送信されるコマンドは上記のコマンドのみならず、賞球払出しコマンドや、エラー表示コマンド等が存在するが、その説明については省略する。
【0050】
同図に示すように、副制御装置200は、演出図柄変動表示部210、先読み演出実行部220、ランプ制御部230、音声制御部240及びポイント付与部250を備える。
【0051】
まず、演出図柄変動表示部210による演出表示処理について説明する。
図5に示すように、演出図柄変動表示部210は、演出態様決定手段210Aと、演出表示制御手段210Bとを備える。演出決定手段210Aは、演出制御コマンドの内容を解析し、演出図柄Sの変動時間、変動態様(リーチパターン)、及び、停止態様を決定する。
図8は、演出態様決定手段210Aが有する演出決定用テーブルを模式的に示す図である。当該演出決定用テーブルには、特図抽選の結果が当りである場合に参照される当り演出用テーブルと、特図抽選の結果がハズレである場合に参照される外れ演出用テーブルとが存在し、各テーブルには、演出コマンドに含まれる変動パターンNo.に対応した具体的な演出態様が規定されている。例えば、図8(a)に示すように、変動パターンNo.1には「ロングリーチA」が、変動パターンNo.30には「超スーパーリーチA」が割り当てられている。また、図8(b)に示すように、変動パターンNo.65には「リーチなしA」、変動パターンNo.80には「ロングリーチA」、No.128には「超スーパーリーチB」が割り当てられている。また、これらの各演出態様には、所謂予告演出の有無やその予告の態様も含まれており、演出表示制御手段210Bは、演出態様決定手段210Aにより決定された演出態様に基づいて演出表示装置50を制御し、所定の変動時間演出図柄Sを変動表示させた後、特図抽選の結果を示す態様により演出図柄Sを停止表示させる。
また、演出図柄変動表示部210により決定された演出態様は、内部コマンドとしてランプ制御部230、音声制御部240に送信され、ランプ制御部230及び音声制御部240は、演出態様に応じた態様により盤上発光部70やスピーカ8を制御し、演出図柄Sの変動と併せて遊技を盛り上げる。
【0052】
次に、先読み演出実行部220による先読み演出処理について説明する。
図5に示すように、先読み演出実行部220は、演出球貯留判定手段220Aと、発光色決定手段220Bと、演出機構制御部220Cとを備える。以下、図10のフローチャートを参照しつつ、各手段の機能について説明する。
まず、S100において演出球貯留判定手段220Aは、主制御装置100から先読みコマンドを受信したことに基づいて、貯留球が貯留板ユニット402上に貯留されているかを判定する。具体的には、演出球貯留判定手段220Aは、第1演出球検出センサ412からの入力に基づいて貯留球の有無を判定し、判定がYESの場合S101に移行し、NOの場合処理を終了する。次に、S101において発光色決定手段220Bは、図9に示す発光態様決定用テーブルを参照し、発光ユニット405の発光態様(発光の有無,発光色)を決定し、S102に移行する。
【0053】
同図に示すように、発光態様決定用テーブルには、特図抽選の結果が当りである場合に参照される当り用発光態様決定用テーブルと、特図抽選の結果がハズレである場合に参照されるハズレ用発光態様決定用テーブルとが存在し、発光色決定手段220Bは、先読みコマンドに含まれる当否抽選の結果情報に基づいていずれかのテーブルを参照する。
また、各テーブルには、変動パターンNo.に対応する発光態様が規定されており、発光色決定手段220Bは、先読みコマンドに含まれる変動パターンNo.に基づいて1つの発光態様を決定する。ここで具体的な発光態様としては、「発光なし」,「白」,「青」,「緑」,「赤」の5種類が規定されている。
また、当り用発光態様決定用テーブルには、ハズレ用発光態様決定用テーブルと比較して、「発光なし」が選択される割合が低く設定され、発光色が「緑」又は「赤」となる割合が高く設定されている。
なお、本例においては発光態様決定用テーブルにより発光の有無及び発光色を決定するようにしたが、これに限られるものではなく、発光の有無や発光色を先読みコマンドの受信と同時に別途取得される乱数等によってランダムに決定するようにしても良い。
【0054】
S102,S103において演出機構制御部220Cは、貯留板ユニット402の駆動源に駆動信号を出力して貯留板ユニット402に第2位置に傾動させるとともに、発光ユニット405に発光信号を出力し、S102において決定された発光色による発光を開始させる。なお、S102において「発光なし」が選択された場合、上記傾動動作及び発光動作が実行されることはなく、処理は終了する。
【0055】
当該処理が実行されることにより、貯留板ユニット402上に貯留されていた貯留球は、演出球Pとして発光ユニット405にライトアップされて外部より視認可能となった演出領域411内に進入し、所定時間の間、ステージ406を転動した後、孔部406Aから落下する。
また、領域進入球演出手段としての発光ユニット405は、電気的に接続された副制御装置200による制御により、先読みコマンドに含まれる当否抽選の結果情報、及び/又は、特別図柄の変動態様の情報に基づいた所定の色を選択して発光させ、演出領域411内を照らす。
これにより、演出領域411内に球が進入させることで大当りに対する期待をさせ、さらにライトアップした発光色の種類によって、大当りに対する予測をさせる演出を行うことができるようになる。
なお、音声や可動装置によるアピール報知や、球に対し振動や方向転換などの外力を与えるアピール動的変化、発光態様(点滅、照度、発光タイミング)を調整するアピール発光変化、又はこれらの組合せにより大当りに対する期待をさせる演出設計(演出領域内に進入する遊技球に関する演出)を行うようにしても良い。
【0056】
次に、S104において演出機構制御部220Cは、演出領域411内に進入した演出球Pが排出されたかを判定する。具体的には、演出機構制御部220Cは第2演出球検出センサ413からの入力の有無を判定し、YESの場合S105に移行し、NOの場合当該判定を繰り返し実行する。
【0057】
次に、S105において演出機構制御部220Cは、貯留板ユニット402の駆動源に駆動信号を出力して貯留板ユニット402を第2位置から第1位置に傾動させるとともに、発光ユニット405に消灯信号を出力し、演出領域411内のライトアップを終了させて先読み演出処理を終了する。
このように、第2演出球検出センサ413による遊技球の検出に基づいて演出領域411内のライトアップを終了させることにより、演出領域411に進入した遊技球が演出領域411から排出されるまでの間、遊技者に対して演出領域411内を適切に視認させることが可能となる。
【0058】
以上のとおり、副制御装置200の先読み実行部220によってなされる先読み演出によれば、遊技者は、前述の特図抽選が実行される前、換言すれば、第1始動入賞口61又は第2始動入賞口62への入賞を契機として取得される各乱数に対応する特別図柄及び演出図柄Sの変動開始よりも前に、当該乱数に基づく特図抽選の結果や変動パターンの種類を入賞の直後から演出コマンドが副制御装置200側へ送信されるよりも先に視認可能となる演出領域411の色によってその後の遊技状態の推移の予測について大よそ把握することが可能となるため、当該乱数の判定に基づく特別図柄及び演出図柄Sの変動が開始されるまでの間、大当りするかもしれないという期待感、或いは、大当りとなり得る可能性のある変動態様となるかもしれないという期待感を持続的に持って遊技することができ、遊技の興趣が向上する。
【0059】
本発明において、取込通路401から流下して来る球(所謂、機外回収前のアウト球)の流下方向を振り分ける振り分け手段F(貯留板ユニット402)によって演出領域411内への振分けるタイミングは、第1始動入賞口61の入賞の直後から演出コマンドが副制御装置200側へ送信される期間の中であれば何れでも良い。
また、振り分け手段Fによる演出領域411内への球の振分け実行の可否条件は、先読みコマンドの判定により、「アタリ」となる抽選結果の場合のみ、若しくは特定の変動パターンNo.となる場合のみ(例えば、リーチとなる場合のみ)というように、適宜に入賞後の球の振分け実行に係る可否条件を設定するようにしても良い。
また、演出領域411内に進入させる球は、演出コマンドを生成する起因となった第1始動入賞口61の入賞に係る球そのものに限らず、それ以前に第1始動入賞口61へ進入した入賞後の球であっても良い。
また、本実施形態のように、振り分け手段Fとして第1始動入賞口61の入賞後の球を一時貯留可能とした場合は、大当り結果が得られるか否かを煽るためのアニメーション動画における所定動画表示の処理タイミングに合わせて演出領域411内に球を進入させる調整ができるので好適である。
なお、入賞後の球を一時貯留する貯留装置と入賞後の球を振り分ける振分け装置とをそれぞれ独立的に設けるとともに、それら装置を連動制御させることで、上記実施形態のごとく動作させるようにしても良い。
また、演出領域411内への振分けタイミングを速くしたり、遅くしたりするというように、互いに異ならせる契機とすることによって、大当りに対する期待又は予測をさせる高低差を設定する演出変化を行うようにしても良い。
また、本実施形態では、演出領域411内へ進入させる球の個数は1個としたが、1の特別図柄の変動中に第1始動入賞口61へ複数の球が入賞した場合には、その複数の入賞後の球を演出領域411内へ進入させるようにしても良い。
また、複数の入賞後の球を一時貯留可能とし、複数の入賞後の球を演出領域411内へ進入させるようにしても良い。
【0060】
以下、ポイント付与部250について説明するが、その前提として本実施形態に係るパチンコ機1に搭載されたネットワーク型の遊技システムについて説明する。図11は、ネットワーク型の遊技システム(以下、「打−WIN」という)1000の概要を示す概略図である。同図に示すように、打−WIN1000は、前述のパチンコ機1と、情報端末1100と、通信基地局801が含まれた通信網800と、サーバ900とを含んで構成され、パチンコ機1における遊技結果と、サーバ900上で開設されたWebサイトとを連動させるサービスを提供する。
【0061】
情報端末1100の態様としては、携帯電話、スマートフォン、PDA、所謂パソコン等、Webブラウザを利用可能な電子機器であり、遊技者は、これらの電子機器を使用することにより通信網800を介してサーバ900との通信を確立する。また、情報端末1100は、パチンコ機1の副制御装置200によって実行された演出情報や遊技履歴情報をパチンコ機1により発行されるパスワードや二次元コードに基づいて取得することが可能である。ここで、演出情報としては、変動パターンの種別、リーチ予告の種類、大当りの種類等が含まれる。また、遊技履歴情報としては、図柄変動回数、遊技時間、大当り遊技の実行回数、獲得賞球数、連荘回数等が含まれ、本実施形態においては演出領域411に内に進入した演出球Pの数も含まれる。
【0062】
通信網800の一部を構成する通信基地局801は、情報端末1100と無線通信可能な設備であって、情報端末1100から送信されるデータ及びサーバ900から送信されるデータを相互に送受信可能である。通信網800は、電話網、インターネット、LAN、専用回線等で構成され、通信基地局801を介して情報端末1100及びサーバ900の通信を確立する。
【0063】
上記構成からなる打−WIN1000において遊技者は、例えば任意のパチンコ機1で遊技開始から遊技終了までに副制御装置200でなされた演出情報や遊技履歴情報を遊技者が所有する情報端末に取り込み、当該情報をサーバ900に送信して蓄積させる。また、遊技者は、サーバ900に蓄積された演出情報や遊技履歴情報を情報端末1100を介して確認することができる。また、演出情報に含まれる演出に関する各情報、遊技履歴情報に含まれる遊技履歴に関する各情報には、それぞれポイントが設定されており、遊技者は付与されるポイントを貯めることにより、特定の特典(情報端末1100上で利用可能な特典や遊技に利用可能な特典)を得ることができる。
【0064】
図12は、パチンコ機1、情報端末1100及びサーバ900の処理を時系列的に示すフロー図である。同図を用いて上記構成からなる打−WIN1000の運用方法について概説する。まず、遊技者は、打−WIN1000を利用するための事前登録を行う必要がある。副制御装置200は、S1において、遊技者の操作部11の操作により「新規登録」が選択されると、二次元コードを生成し、S2において生成した二次元コードを演出表示装置50上に表示する。
図13は、パチンコ機1が遊技待機中となっている基本メニュー画面において、操作部11によって「打−WINの利用はこちら」等の表示を選択した場合に表示されるメニュー画面Nの一例である。当該メニュー画面Nには、少なくとも「新規登録」,「パスワード入力」,「キャンセル」,「遊技終了」の選択肢が表示され、「新規登録」が選択されたことに応じて、第一の二次元コードが表示される。ここで表示される二次元コードとしては、バーコード、QRコード(登録商標)等、情報端末1100側において電気的に読み取り可能な識別情報である。
【0065】
情報端末1100は、S3において、演出表示装置50上に表示された第1の二次元コードを読み取り、第1の二次元コードに含まれた第1のコード情報(URL)を生成する。
第1の二次元コードの読み取りは、例えば情報端末1100に搭載された撮像手段によって実行され、情報端末1100は読み取った第1の二次元コードから第1のコード情報(URL)を生成する。また、情報端末1100は、第1のコード情報(URL)に基づいてサーバ900にアクセスし、登録要求コマンドを送信する。
【0066】
サーバ900は、S4において登録要求コマンドに応じて、遊技者が所有する情報端末1100のICC、IPアドレス、電話番号等の固有情報を取得し、当該情報を遊技者固有情報として登録する。当該登録がなされることにより、サーバ900内に前述の演出情報及び遊技履歴情報を蓄積可能な記憶領域が確保され、打−WIN1000を利用する準備が完了する。
【0067】
事前登録完了後、遊技者が打−WIN1000を利用して遊技を行う場合には、遊技者が所有する情報端末1100を介してサーバ900にアクセスし、サーバ900からパスワードを取得する必要がある。以下、具体的処理について説明する。
【0068】
情報端末1100は、S5において遊技者の操作に応じてパスワード要求コマンドをサーバ900に送信する。サーバ900は、S6においてパスワード要求コマンドを受信すると、遊技者固有情報と対応した演出情報及び遊技履歴情報を記憶領域から読み出し、遊技者固有情報、演出情報及び遊技履歴情報を含むパスワードを生成し、S7において、パスワードを情報端末1100に送信する。
【0069】
情報端末1100は、S8においてサーバ900から送信されたパスワードを表示画面上に表示し、S9において遊技者は表示されたパスワードを操作部11を操作することにより入力する。パスワードの入力画面は、図13に示すメニュー画面Nに表示された「パスワード入力」が選択されたことにより表示され、遊技者はパスワードの入力画面に従ってパスワードを入力する。
【0070】
副制御装置200におけるポイント付与部250は、S10において、遊技者によってパスワードが入力されたことに基づいて打−WIN1000を開始するための打−WIN情報蓄積処理を開始する。
当該処理は、以降の遊技者による遊技によって副制御装置200で実行された演出に関する演出情報や、遊技時間情報等を含む遊技履歴情報を蓄積する処理であって、演出情報や遊技履歴情報に含まれる各情報は、情報ごとに副制御装置200のRAM等の記憶領域内に記憶,蓄積される。
【0071】
図14は、演出領域411内に進入した球の数、換言すれば先読み演出が実行された回数を計測する処理を示すフローである。まず、ポイント付与部250は、S1200において、遊技者による前述のパスワードの入力により、打−WIN情報蓄積開始処理が完了しているかを判定する。
判定がNOの場合、次回S1200の判定の処理待ち状態としての処理を終了し、判定がYESの場合S1201に移行する。
【0072】
ポイント付与部250は、S1201において、第2演出球検出センサ413を通過した際に出力される検出信号の有無を判定する。判定がNOの場合、当該判定を繰り返す。判定がYESの場合、S1202においてポイント付与部250内に設けられた演出球カウンタC1の値を1加算し、以降、S1201の判定を繰り返す。なお、演出球カウンタC1によって計測されたカウント値は、遊技者の操作に基づく打−WIN情報の蓄積処理が終了したことに応じて情報端末1100を介してサーバ900側に送信される。
つまり、ポイント付与部250は、演出球が第2演出球検出センサ413を通過したことに基づいて、演出球カウンタC1の値を順次加算する処理を実行し、遊技中において演出領域411内に進入した演出球Pの総数を記憶する。当該加算処理は、遊技者による遊技が終了するまで繰り返して実行される。
【0073】
次に、図11に戻り、次に、打−WIN1000を終了する場合の処理について説明する。
演出制御装置200は、S11において遊技者の操作により遊技終了(打−WIN情報の蓄積処理が終了)が選択されたことに基づいて、少なくとも遊技開始から終了まで蓄積した演出情報、遊技履歴情報、及び、サーバ900のURLを含む第2の二次元コードを生成し、S12において生成した第2の二次元コードを演出表示装置50上に表示する。
具体的には、遊技終了は、パチンコ機1の遊技待機中において遊技者による操作部11の操作により図13のメニュー画面Nから「遊技終了」の表示が選択されたことにより実行される。遊技者の操作によって「遊技終了」の入力がなされると、ポイント付与部250は、上述した演出球カウンタC1や図外の遊技時間計測タイマ等にそれぞれ記憶された数値に基づいて、これらの情報を含む遊技履歴情報を生成する。つまり、本実施形態においては、サーバ900側に送信される遊技履歴情報には、演出領域411内に進入した球の数、遊技時間情報等の情報含まれることになる。
【0074】
情報端末1100は、S13において、演出表示装置50上に表示された第2の二次元コードを撮像手段を介して読み取り、第2の二次元コードに含まれた第2のコード情報(演出情報,遊技履歴情報及びURL等)を抽出する。
【0075】
情報端末1100は、S14において第2のコード情報(URL)に基づいてサーバ900にアクセスし、第2のコード情報に含まれる演出情報、及び遊技履歴情報を送信する。
【0076】
演出情報及び遊技履歴情報を受信したサーバ900は、S15において情報端末1100のIPアドレス等から遊技者固有情報を取得し、演出情報、及び、遊技履歴情報と遊技者固有情報とを対応付けて記憶領域内に蓄積する。当該処理が実行されることにより、遊技者がパチンコ機1にパスワードを入力した時点から、遊技を終了した時点までの演出情報、及び遊技履歴情報がサーバ900に蓄積されることとなる。
【0077】
以下、遊技者が、打−WIN1000を利用した場合の利点について概説する。
遊技者は、情報端末1100を介してサーバ900にいつでもアクセスすることが可能であり、サーバ900は、情報端末1100からの閲覧要求に応じて、例えば、これまで蓄積されたパチンコ機1の演出情報(演出球検出情報を含む)及び遊技履歴情報の一覧データを情報端末1100に送信する。
また、サーバ900は上記一覧データに加えて演出情報及び遊技履歴情報に基づいて算出された利用ポイント(打−WIN利用ポイント)を表示する。
【0078】
利用ポイントは、演出情報及び遊技履歴情報に基づいて一定の割合で付与される特典であって、本実施形態においては、例えば遊技履歴情報に含まれる演出領域411内に進入した演出球Pの総数、或いは、遊技時間の長さに応じて利用ポイントを付与する。例えば、遊技履歴情報に含まれる演出球Pの総数5個に対して1ポイントに還元され、遊技履歴情報に含まれる遊技時間は、遊技時間10分に対して1ポイントに還元される。このように、利用ポイントは、演出情報及び遊技履歴情報に含まれる各情報ごとに所定の割合で付与されるものであって、遊技者は当該ポイントを貯めることにより、多様な特典を得ることが可能となる。
また、演出領域411内に球を進入させる先読み演出が発生した場合には、他の利用ポイントの付与とする場合よりも付与率を高めて、付加価値の高い先読み演出となるようにしても良い。
また、上述した大当りに対する期待をさせる複数種類の演出の態様(演出領域内に進入する遊技球に関する演出)に応じて、利用ポイントの付与率を異ならせるようにしても良い。
【0079】
遊技者が得ることが可能な特典としては、パチンコ機1の攻略情報、未公開情報、パチンコ機1の基本仕様、パチンコ機1に関する着メロ(登録商標)、着ボイス、着信音、着信画像、楽曲、待ち受け画像、アイコン等であり、遊技者は情報端末1100に表示された利用ポイントを使用して、上記特典をサーバ900からダウンロードすることが可能となっている。
【0080】
このように本実施形態に係るパチンコ機1においては、打−WIN1000が搭載されたことにより、本来の遊技以外においても遊技者に利用ポイントを貯める楽しみを与えることができる。
【0081】
本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正及び変更が本発明においてなされ得ることは、当業者らにより認識されるべきである。例えば、ここに記述された特定の構成部材は、あらゆる種類の形状又は形態を採用することができる。加えて、部品間の相対的な運動は、あらゆる種類の構造体及び伝動装置によって提供できる。本発明は添付した特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にあるような修正及び変更を有することが意図されている。
【符号の説明】
【0082】
1 パチンコ機,2 遊技機枠,3 本体枠,20 遊技盤,21 遊技領域,
40 特別図柄表示装置,41 普通図柄表示装置,50 演出表示装置,
61 第1始動入賞口,62 第2始動入賞口,64 大入賞口,
100 主制御装置,140 先読み手段,
200 副制御装置,400 演出機構,409 ハーフミラー,411 演出領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14