特許第5992248号(P5992248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992248
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】調理器用トッププレート用ガラス板
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/10 20060101AFI20160901BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   F24C15/10 B
   H05B6/12 305
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-180762(P2012-180762)
(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公開番号】特開2014-37921(P2014-37921A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593046429
【氏名又は名称】日電硝子加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入谷 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】蓑輪 元
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−109092(JP,A)
【文献】 特開平06−002355(JP,A)
【文献】 特開2002−326841(JP,A)
【文献】 特開2007−170754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/10
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有する主面を備え、
前記凹部は、指を滑らせる操作に供されるタッチパネルのタッチ面を構成する面であり、
前記凹部の表面粗さが、前記主面の前記凹部以外の部分の表面粗さよりも大きく、かつ算術平均粗さ(Ra)で0.5μmよりも大きく、3μm以下である、調理器用トッププレート用ガラス板。
【請求項2】
前記凹部の横断面形状が、楕円状である、請求項1に記載の調理器用トッププレート用ガラス板。
【請求項3】
前記凹部が、平面視においてリング状である、請求項1または2に記載の調理器用トッププレート用ガラス板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器用トッププレート用ガラス板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のようなガラス板を用いた調理器用トッププレートが知られている。ガラス板を用いた調理器用トッププレートは、清掃が容易であることから、例えば、IH(Induction Heating)調理器等に広く用いられるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−97108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、調理器の利便性を改善するため、調理器にタッチパネルを設けることが考えられる。この場合、調理器用トッププレート用ガラス板の表面をタッチ面とすることが考えられる。また、操作者が触覚により位置を検知できるように、タッチ面が設けられた部分を凹部とすることが考えられる。
【0005】
また、例えば、ユニバーサルデザインの形状による注意喚起表示のための凹部を調理器用トッププレート用ガラス板に設けることも考えられる。
【0006】
このような調理器の使用者が触れる凹部には、触れた際の感触がよいことが求められる。
【0007】
本発明の主な目的は、主面に凹部が設けられた調理器用トッププレート用ガラス板であって、良好な触覚性を有する調理器用トッププレート用ガラス板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る調理器用トッププレート用ガラス板は、凹部を有する主面を備える。凹部の表面粗さが、主面の凹部以外の部分の表面粗さよりも大きい。
【0009】
凹部の表面粗さが、算術平均粗さ(Ra)で0.5μmよりも大きいことが好ましい。
【0010】
凹部の表面粗さが、算術平均粗さ(Ra)で3μm以下であることが好ましい。
【0011】
凹部は、タッチパネルのタッチ面を構成する面であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、主面に凹部が設けられた調理器用トッププレート用ガラス板であって、良好な触覚性を有する調理器用トッププレート用ガラス板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る調理器用トッププレート用ガラス板の略図的平面図である。
図2図1の線II−II部分の略図的断面図である。
図3】実験例において実施した実験を説明するための模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0015】
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0016】
図1は、本実施形態に係る調理器用トッププレート用ガラス板の略図的平面図である。図2は、図1の線II−II部分の略図的断面図である。図1及び図2に示されるように、調理器用トッププレート用ガラス板1は、第1及び第2の主面11,12を有する。第1の主面11は、調理器が載置される載置面(調理面)を構成している。第2の主面12は、裏面を構成している。
【0017】
調理器用トッププレート用ガラス板1を構成しているガラスの種類は、特に限定されないが、結晶化ガラスであることが好ましい。結晶化ガラスにより調理器用トッププレート用ガラス板1を構成することにより、優れた耐熱性と優れた強度とを実現することができる。
【0018】
より具体的には、調理器用トッププレート用ガラス板1は、主結晶として、β−石英固溶体やβ−スポジュメン固溶体を析出してなるLiO−Al−SiO系結晶化ガラスであることが好ましい。
【0019】
調理器用トッププレート用ガラス板1の厚みは、特に限定されないが、例えば、3.0mm〜8.0mm程度とすることができる。
【0020】
調理器用トッププレート用ガラス板1の第1及び第2の主面11,12のそれぞれの上には、装飾膜や装飾膜を保護するための保護膜などが形成されていてもよい。
【0021】
図1に示されるように、第1の主面11には、調理器が載置される第1及び第2の載置部11a、11bが設けられている。また、第1の主面11には、複数のリング状の凹部11cと、複数の円形状の凹部11dとが設けられている。これら凹部11c、11dの表面は、調理器用トッププレート用ガラス板1が調理器に組み込まれた際に、タッチパネルのタッチ面を構成する面である。
【0022】
凹部11c、11dの横断面形状は、特に限定されない。凹部11c、11dの横断面形状は、例えばドーム状であってもよい。
【0023】
凹部11c、11dの深さは、特に限定されない。凹部11c、11dの深さは、例えば、0.1mm〜2.0mm程度とすることができる。
【0024】
上述の通り、凹部11c、11dは、調理器の使用者が、指で触れることにより調理器を操作するためのタッチ面を構成している。操作内容によっては、使用者が、凹部11c、11dを指でなぞることもある。このような操作を行う場合には、指が凹部11c、11dの表面上を円滑に滑ることが好ましい。ここで、調理器用トッププレート用ガラス板1では、凹部11c、11dの表面粗さが、主面11のその他の部分の表面粗さよりも大きくされている。このため、指が凹部11c、11dの表面上を円滑に滑りやすい。従って、良好な触覚性を実現することができる。
【0025】
より良好な触覚性を実現する観点からは、凹部11c、11dの表面粗さが、JIS B0601−2001で規定される算術平均粗さ(Ra)で、0.5μmよりも大きいことが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることがさらに好ましい。
【0026】
但し、凹部11c、11dの表面粗さが大きすぎると耐衝撃性が低くなり、チッピング等が発生しやすくなる場合がある。従って、凹部11c、11dの表面粗さが、JIS B0601−2001で規定される算術平均粗さ(Ra)で、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
【0027】
なお、本実施形態では、凹部がタッチパネルのタッチ面を構成するための面である例について説明した。但し、本発明において、凹部がタッチ面である必要は必ずしもない。凹部は、例えば、ユニバーサルデザインの形状による注意喚起表示のための凹部であってもよい。
【0028】
(実験例)
図3に示されるように、表1に示される表面粗さ(Ra)を有する主面21を備えるガラス板20の主面21の上に、表面粗さ(Ra)が0.1μm、25mm×25mm×9mmで5gの直方体状のゴム材30を載置した。その状態で、ガラス板20を傾斜させていき、ゴム材30が主面21をすべり始めた角度θを求めた。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示す結果から、主面21の表面粗さ(Ra)を大きくすることにより、主面21の滑りやすさが向上することが分かる。また、主面21の滑りやすさをさらに向上させる観点からは、主面21の表面粗さ(Ra)が0.5μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましいことが分かる。
【符号の説明】
【0031】
1…調理器用トッププレート用ガラス板
11…第1の主面
11a、11b…載置部
11c、11d…凹部
12…第2の主面
図1
図2
図3