(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハやLCD用ガラス等の被研磨物の研磨加工は、例えば、
図17に示すように、研磨装置の上下に対向する定盤の上側定盤15に、研磨加工が施される被研磨物16を保持し、下側定盤17に、研磨パッド18を貼り付け、被研磨物16の表面を研磨パッド18に圧接させつつ両定盤間に砥粒を含む研磨液を供給しながら両定盤15,17を矢符で示すように相対回転させることにより行なわれる。
【0003】
この例では、被研磨物16は、上側定盤15に固定されて被研磨物16の裏面を吸着保持する被研磨物保持材(バッキング材)19と、被研磨物16の外周を取り囲んで被研磨物16が被研磨物保持材19表面で位置ずれするのを防止する枠状のテンプレート20とを用いて上側定盤15に保持される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記被研磨物保持材19としては、例えば、基材に塗工したウレタン樹脂のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液層を水中にて湿式凝固させ、温水中で洗浄、熱風で乾燥を行って、
図18(a)に示すように基材21上に発泡層22
0を形成し、所要の厚みに揃えるなどの目的で、
図18(b)に示すように、前記発泡層22
0の表面22
0aをバフ処理し、このバフ処理した表面22aを、被研磨物を保持する保持面とするもの、あるいは、
図19(a)、(b)に示すように、基材21から発泡層22
0を剥離し、発泡層22
0の上下を反転させて、
図19(c)に示すように、発泡層22
0の表面22
0a側を両面テープ23等に接着した後、発泡層22
0の裏面22
0b側をバフ処理し、このバフ処理した裏面22bを、被研磨物を保持する保持面とするものがある。
【0005】
また、
図20(a),
図20(b)に示すように、基材21から発泡層22
0を剥離し、表面22
0aに圧接ローラ30等の平坦な表面を圧接しながら、裏面22
0bをバフ処理し、
図20(c)に示すバフ処理後の裏面22bを、
図20(d)に示す両面テープ23等に接着したもの(例えば、特許文献2参照)などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記
図18の被研磨物保持材では、表面をバフ処理するために充分な平滑面が得られず、また、バフ筋が生じる。一方、
図19の被研磨物保持材では、
図19(d)に示されるように、発泡層22の涙滴型の気泡24が、バフ処理によって大きく開口するために、表面うねりが大きくなる。更に、バフ処理されるのは裏面側であって、表面側には、
図20の被研磨物保持材と同様に、密度の高い緻密なスキン層が残ったままであるので、圧縮変形が阻害されるといった課題がある。
【0008】
本発明は、上述のような点に鑑みて為されたものであって、表面にバフ筋がなく表面うねりを改善した被研磨物保持材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0010】
本発明の被研磨物保持材は、研磨装置の定盤に固定されて被研磨物を保持する被研磨物保持材であって、該被研磨物保持材が発泡層を有し、当該発泡層の厚み方向の一方の面に涙滴型気泡の先細り形状部が配向し、該発泡層の厚み方向の反対側の面に該涙滴型気泡の肥大部が配向し、該被研磨物保持材の被研磨物保持面が
、該発泡層の該涙滴型気泡の肥大部が近接する面であ
って、該涙滴型気泡の該肥大部が開口していない面であり、該被研磨物保持材の該発泡層の該涙滴型気泡の先細り形状部が近接する面に粘着剤を配したことを特徴とする。
【0011】
好ましい実施態様では、前記被研磨物保持材の前記粘着剤を配した面には、前記涙滴型の気泡の前記先細り形状部の先端が開口している。
【0013】
本発明の被研磨物保持材によると、涙滴型の気泡を有する発泡層は、例えば、基材上に樹脂溶液を塗工して湿式凝固させて前記基材から剥離することによって得ることができる。この場合、被研磨物を保持する保持面となる、涙滴型気泡の肥大部が近接する面は、前記基材から剥離した面となる。したがって、被研磨物を保持する保持面を、基材の表面と同様の平滑な面とすることができ、バフ処理することなく、被研磨物を保持する充分な吸着力を得ることができる。
【0014】
また、定盤に固定するための粘着剤を配する面は、涙滴型気泡の先細り形状部が近接する面であって、被研磨物を保持する保持面ではないので、この先細り形状部が近接する面を、例えば、バフ処理して発泡層のうねりを改善することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被研磨物を保持する保持面のうねりを除去して平滑な面とすることができ、保持面をバフ処理することなく、被研磨物を保持する充分な吸着力を得ることができ、しかも、定盤に固定するための粘着剤が配される面は、研削してうねりを低減することができると共に、密度が高いスキン層を除去して圧縮特性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面によって本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る被研磨物保持材の概略断面図である。
【0020】
この実施形態の被研磨物保持材1は、涙滴型の比較的大きな多数の気泡2を有する発泡層3を備えている。この発泡層3の厚み方向の一方側(図では下側)に涙滴型の気泡2の先細り形状部が配向し、厚み方向の反対側(図では上側)に涙滴型の気泡2の略半球面状の肥大部が配向している。発泡層3は、先細り形状部が配向する側に、上記涙滴型の気泡2よりも小さな涙滴型の気泡2aやその他の形状の多数の気泡8を有しており、これら涙滴型の気泡2,2aの先細り状部の先端およびその他の気泡8が開口している。
【0021】
発泡層3の涙滴型の気泡2の先細り形状部に近接する面(図では下面)には、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の基材4の両面に粘着層5を設けた接着部材としての両面テープ6が貼着され、更に、離型シート7が貼着され、従来と同様に、例えば、上述の
図17の研磨装置の上側定盤15に両面テープ6を介して固定的に取付けられる。
【0022】
この被研磨物保持材1では、発泡層3の涙滴型の気泡2の肥大部が近接する面(図では上面)3bが、被研磨物を保持する保持面とされる。
【0023】
次に、この実施形態の被研磨物保持材の製造方法の一例を、
図2に基づいて説明する。
この実施形態の被研磨物保持材の製造方法は、基材9に樹脂溶液を塗工し、湿式凝固して発泡層3
0を形成する発泡層形成工程と、発泡層3
0の表面3
0aを研削する研削工程と、発泡層3
0の裏面3bを基材9から剥離する剥離工程と、前記研削工程で研削された発泡層3
0の表面3aに、定盤に固定するための両面テープ6を貼着する貼着工程とを含んでおり、以下、各工程について説明する。
【0024】
先ず、ウレタン樹脂のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を、PETフィルム等の基材9上に塗工し、湿式凝固法により、
図2(a)に示すように、基材2上に、涙滴型の気泡2,2aなどの多数の気泡を有する多孔質の発泡層3
0を形成する。
【0025】
この発泡層3
0を形成するためのウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系などのウレタン樹脂を用いることができ、異なる種類のウレタン樹脂をブレンドしてもよい。
【0026】
ウレタン樹脂を溶解させる水溶性有機溶媒としては、上述のジメチルホルムアミドの他、例えば、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド等の溶媒を用いることができる。
【0027】
次に、
図2(a)に示される発泡層3
0の表面3
0aの密度の高い緻密なスキン層を、例えばバフ処理によって研削し、スキン層の少なくとも一部を除去して
図2(b)に示される発泡層3を得る。バフ処理によって除去するスキン層の厚みは、特に制限はなく、材料や用途に応じて適宜選択すればよく、スキン層のすべてを除去してもよい。
【0028】
次に、この発泡層3の裏面3bを、
図2(c)に示すように基材9から剥離し、剥離した発泡層3の上下を反転して、バフ処理後の表面3a側に、両面テープ6及び離型シート7を貼着し、
図2(d)に示すように、裏面3bを被研磨物の保持面とする被研磨物保持材1、すなわち、上述の
図1に示される被研磨物保持材1を得る。
【0029】
この
図2では、発泡層3
0の表面3
0aをバフ処理した後に、基材9から剥離したけれども、他の実施形態として、先に基材9から発泡層3
0を剥離した後に、表面3
0aをバフ処理してもよい。また、
図2では、バフ処理後の発泡層3を、基材9から剥離した後に、両面テープ6を貼着したけれども、他の実施形態として、発泡層3を基材9から剥離する前に、両面テープ6を貼着してもよい。
【0030】
この実施形態の被研磨物保持材1では、被研磨物を保持する保持面は、
図2(d)に示す発泡層3の裏面3bであって、この裏面3bは、
図2(c)に示すように基材9から発泡層3を剥離した面である。したがって、被研磨物を保持する保持面3bは、PETフィルム等の基材9の表面と同様な平滑面となっている。
【0031】
このように平滑面となっている発泡層3の裏面3bを、被研磨物を保持する保持面とするので、保持面をバフ処理する従来例に比べて吸着力が向上すると共に、バフ筋などが生じることがない。
【0032】
また、
図2(a)に示される発泡層3
0の表面3
0aの密度が高いスキン層をバフ処理によって除去することにより、
図2(b)に示すように広い面積に亘るグローバルなうねりを低減することができるので、被研磨物保持材1の保持面3bの表面うねりを低減することができる。
【0033】
更に、密度の高い緻密なスキン層は、圧縮特性を損なうけれども、本発明ではバフ処理によってスキン層の少なくとも一部を除去するので、圧縮特性を改善することができる。
【0034】
また、バフ処理後の発泡層3の表面側に、両面テープ6を貼着するので、バフ処理することなく両面テープ6に貼着する場合に比べて、いわゆるアンカー効果などにより接着強度が高まり耐久性が向上する。
【0035】
上述の
図2に示される製造方法によって製造した被研磨物保持材1を実施例とし、上述の
図18(a)に示すように基材21上に発泡層22
0を形成し、発泡層22
0の表面22
0aをバフ処理し、このバフ処理した表面22aを、被研磨物を保持する保持面とする従来例の被研磨物保持材を比較例1とし、また、上述のように、基材21から発泡層22
0を剥離し、発泡層22
0の上下を反転させて、
図19(c)に示すように、発泡層22
0の表面22
0a側を両面テープ23等に接着した後、発泡層22
0の裏面22
0b側をバフ処理し、このバフ処理した裏面22bを、被研磨物を保持する保持面とする従来例の被研磨物保持材を比較例2とした。
【0036】
これら実施例及び比較例1,2の保持面および断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した。
【0037】
図3は、倍率100倍の実施例のSEM写真であり、
図4は、同じく倍率100倍の比較例1のSEM写真であり、
図5は、同じく倍率100倍の比較例2のSEM写真である。また、各図(a)は、被研磨物を保持する保持面のSEM写真であり、各図(b)は、断面のSEM写真である。
【0038】
図3(b)に示されるように、実施例の被研磨物保持材の断面は、厚み方向に対して、粘着剤側である裏面(図では下側)側に先細り形状部が配向し、保持面側である表面(図では上側)側に略半球面状の肥大部が配向した涙滴型の気泡が多数形成されており、表面である被研磨物の保持面は、
図3(a)にも示されるように、平滑であることが分る。
【0039】
これに対して、発泡層の表面の緻密なスキン層をバフ処理して保持面とする
図4に示される比較例1では、保持面に多数の気泡が開口していると共に、バフ処理の影響と思われる毛羽が認められる。
【0040】
また、基材から剥離した発泡層の裏面をバフ処理して保持面とする
図5に示される比較例2では、
図4の比較例1に比べて、保持面に多数の涙滴型の気泡の大きな開口が認められ、バフ処理によって引き千切られるように毛羽立っている。
【0041】
これら実施例および比較例1,2の保持面の平滑性を詳細に評価するために、その表面うねりを測定した。
【0043】
・測定機 :Surfcom1400D(東京精密製)
・測定モード :標準ピックアップ
・カットオフ波長:25.0mm
・カットオフ種別:2RC(位相保証)
・測定長さ :250mm
・傾斜補正 :両端補正
・測定倍率 :×2.000(表示×500倍)
・測定速度 :1.50mm/s
・算出規格 :ISO 4287−1997
図6に、測定された実施例のろ波うねり曲線を、
図7及び
図8に、測定された比較例1,2のろ波うねり曲線をそれぞれ示す。
【0044】
図7の比較例1では、微細なうねりが認められ、
図8の比較例2では、大きな気泡の開口に起因する大きなうねりが認められた。
【0045】
これに対して、
図6の実施例では、うねりはごく小さく、バフ筋らしき凹凸は認められなかった。これら
図6〜8によって、実施例では、比較例1,2に比べて、表面のうねりが低減されていることが分る。
【0046】
したがって、実施例の被研磨物保持材を用いて被研磨物を研磨加工することによって、被研磨物の平坦性を改善することができる。
【0047】
次に、実施例及び比較例1,2の圧縮特性を評価するために、それらの圧縮変形量を次のようにして測定した。
【0048】
すなわち、
図9において、A1で、
図10乃至
図12に示すように、予め最大圧力0.2kgf/cm
2のヒステリシスを含むS−S曲線 (Stress-Strain Curve)を測定した。その後、最大圧力3kgf/cm
2の500サイクルの繰り返し圧縮を周波数2Hzで行った後、2分間放置して回復させ、その後、A2に示すように、S−S曲線を測定した。更に、最大圧力3kgf/cm
2の500サイクルの繰り返し圧縮を周波数2Hzで行った後、すなわち、合計1000サイクル繰り返し圧縮を行った後、2分間放置して回復させ、A3に示すようにS−S曲線を測定した。その後、最大圧力3kgf/cm
2の500サイクルの繰り返し圧縮を周波数2Hzで行った後、すなわち、合計1500サイクル繰り返し圧縮を行った後、2分間放置して回復させ、A4に示すようにS−S曲線を測定した。
【0049】
この圧縮変形量の測定では、被研磨物保持材から被研磨物であるウェハを脱着する際の荷重がかかっていない状態の被研磨物保持材の回復を考慮しており、より実際の研磨加工に近い状態での挙動を確認することができる。
【0050】
この圧縮変形量の計測機、繰返し圧縮の加圧条件およびS−S曲線の測定条件は、下記の通りである。
・計測機 :shimadzu micro-servo MMT-101NM-10
・試験条件 :動的粘弾性測定 周波数一定
加圧条件加速パート
・最大試験圧力 :3kgf/cm
2
・周波数 :2Hz
・繰り返し回数 :500 回
・浸漬条件 :室温 D.I.water(脱イオン水)
Stress−strain curve 測定パート
・最大試験圧力 :0.2kgf/cm
2
・周波数 :0.1Hz
・繰り返し回数 :10 回
・浸漬条件 :室温 D.I.water(脱イオン水)
・評価項目 :Stress-strain 曲線
図10に、測定された実施例のS−S曲線を示し、
図11及び
図12に、測定された比較例1,2のS−S曲線をそれぞれ示す。
【0051】
図11及び
図12の比較例1,2では、サイクル数の増加に伴う変形量の減少量が大きく、挙動が不安定であるのに対して、
図10の実施例では、サイクル数の増加に伴う変形量の減少量が小さく、挙動が安定している。
【0052】
また、実施例は、比較例1,2に比べて直線的に変化しており、応力に対して変形量が比例的に変化している。
【0053】
このように実施例は、比較例1,2に比べてS−S曲線の挙動が安定しており、使用に伴う変形量の劣化が生じにくいことが分かる。
【0054】
更に、実施例及び比較例1,2の被研磨物を保持する保持力を評価するために、それらの垂直方向の吸着力を測定した。
【0055】
この吸着力の測定は、次のようにして行った。
【0056】
すなわち、吸着力は表1に示す条件で測定機に連結されるガラスをパッド表面に吸着させ、その後ガラスを引っ張ることでガラスがパッドから剥離する力を測定した。
【0059】
この
図13に示すように、実施例の吸着力は、比較例1,2の吸着力の2倍以上であった。このように実施例の被研磨物保持材では、比較例1,2に比べて、被研磨物を安定して吸着保持できることが分る。
【0060】
被研磨物を被研磨物保持材によって保持した研磨加工では、例えば、矩形の基板の四隅等に圧力が集中し、基板と被研磨物保持材との間に隙間が生じ、その隙間から研磨液が基板の裏面側に浸透して基板を汚染してしまう。このため、研磨液の浸透を可及的に低減することが望まれる。
【0061】
そこで、上記実施例と比較例3とについて、研磨液の基板裏面への浸透の程度を評価した。
【0062】
この比較例3として、上述の
図20(a),
図20(b)に示すように、基材21から発泡層22
0を剥離し、表面22
0aに圧接ローラ30等の平坦な表面を圧接しながら、裏面22
0bをバフ処理し、
図20(c)に示すバフ処理後の裏面22bを
図20(d)に示す両面テープ23等に接着した従来例の被研磨物保持材を使用した。
【0063】
先ず、実施例1及び比較例3の被研磨物保持材に対して、圧力500gf/cm
2でガラス基板を加圧したときの被研磨物保持材の断面形状を、倍率150のCCDカメラによって観察した。
【0064】
図14及び
図15は、その断面形状を模式的に示す図であり、
図14は実施例を、
図15は比較例3をそれぞれ示している。
【0065】
図14に示される実施例では、発泡層3は、表面(保持面)側に略半球面状の大きな気泡部分を有しているので、撓み易く、ガラス基板35の形状に対する追従性がよく、ガラス基板35の側面にほぼ沿うように変形している。これに対して、
図15に示される比較例では、発泡層22の表面側には、緻密なスキン層を有しており、また、先細り状の気泡となっているために、実施例に比べて撓みにくく、加圧力が分散される結果、徐々に傾斜してガラス基板30の側面に沿うように変形しており、このため、ガラス基板30の側面の周囲に、凹部36が形成されて研磨液が溜まりやすく、ガラス基板35の裏面に浸透しやすくなっている。
【0066】
次に、実施例と比較例3とを用いて、研磨液の浸透範囲を次のようにして評価した。
【0067】
すなわち、被研磨物としてSTN液晶用ガラス基板を用いて研磨を行い、ガラス基板の端面からの浸透距離をスケールで実測した。
【0069】
・研磨装置 SP800(スピードファム社製)
・被研磨物 ソーダライムガラス 300×400×t0.7mm
・研磨布 MH−C15A(ニッタ・ハース社製)
・加工圧力 120gf/cm
2
・プラテン回転数 90rpm
・揺動速度 7回/分
実測した研磨液の浸透距離の結果を、
図16に示す。
【0070】
研磨使用1時間後と研磨使用20時間後とで評価した。研磨使用1時間後では、実施例と比較例3と殆ど差が認められなかったが、研磨使用20時間後では、実施例の研磨液の浸透範囲が10mmであったのに対して、比較例3では、研磨液の浸透範囲が30mmと3倍に広がっているのが認められた。
【0071】
このように実施例では、表面(保持面)側に大きな気泡部分を有していると共に、緻密なスキン層が存在しないので、撓み易く、ガラス基板35への追従性がよく、研磨液の浸透を比較例3に比べて大幅に抑制することができる。