特許第5992259号(P5992259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992259
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】回転式重量選別機
(51)【国際特許分類】
   G01G 15/00 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   G01G15/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-187508(P2012-187508)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-44153(P2014-44153A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】香川 洋一郎
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−069522(JP,A)
【文献】 特開平05−031464(JP,A)
【文献】 特開2011−237285(JP,A)
【文献】 特表2010−526304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 15/00
G01G 19/387
G01G 23/00
B07C 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の周囲に複数の計量器を設け、回転体を回転させながら計量器に供給される物品の重量を測定して重量ランクを判定し、判定した重量ランクに対応する振分け位置で物品を排出して選別する回転式の重量選別機であって、
指定された前記計量器を、予め設定される目標回転位置まで回転移動させるものであり、
前記計量器を指定するための入力手段と、
前記複数の計量器が設けられた前記回転体を回転駆動する駆動手段と、
前記複数の計量器の回転位置を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出出力及び前記入力手段による計量器の指定に基づいて、前記駆動手段を制御して、指定された前記計量器を、前記目標回転位置まで回転移動させる制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記指定された計量器が、前記目標回転位置に近接して前記指定された計量器の回転位置と前記目標回転位置との距離が設定距離未満になったか否かに応じて、前記回転移動の速度を低速、高速に切換える、
ことを特徴とする回転式重量選別機。
【請求項2】
前記検出手段は、複数のスリットを形成した円盤及び光電センサの一方を前記回転体に取り付け、他方を固定位置に配置し、前記円盤の前記スリットを検出する前記光電センサの出力を、エンコーダでデジタル数値化する、
請求項1に記載の回転式重量選別機。
【請求項3】
前記複数の計量器の周囲に、物体を検知するセンサを設け、前記制御手段は、前記センサの出力に基づいて、物体を検出したときには、前記指定された計量器の前記目標回転位置への回転移動を禁止する、
請求項1または2に記載の回転式重量選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式の重量選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重量選別機として、回転体の周囲に複数の計量器を設け、回転体を回転させながら計量器に供給される物品の重量を測定して重量ランクを判定し、判定した重量ランクに対応する振分け位置で物品を排出して選別する回転式の重量選別機がある(例えば、特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−191925号
【特許文献2】特開平5−31464号
【特許文献3】特開平5−142023号
【特許文献4】特開平6−39352号
【特許文献5】特開平6−198252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような回転式重量選別機では、複数の各計量器は、供給される物品を保持し、重量ランクに対応する振分け位置で物品を排出する物品保持部と、この物品保持部の荷重を検出するロードセル等の荷重センサとを備えており、各物品保持部が、前記荷重センサを介して回転体の周囲にそれぞれ取付けられている。
【0005】
かかる回転式重量選別機では、回転体の周囲の複数の計量器の保守点検、例えば、荷重センサのスパン調整や物品保持部の部品の交換などを行う必要がある。
【0006】
この保守点検作業は、回転体の周囲の円周に沿って複数設けられた計量器毎に行う必要があるために、作業者が点検対象の計量器の所まで行って作業を行う必要がある。例えば、荷重センサのスパン調整作業では、作業者は、重量選別機に対して各種の設定操作を行うための操作位置から、点検対象の計量器の所まで行って計量器の物品保持部に分銅を載せ、再び、前記操作位置に戻って操作するといったように、点検対象の計量器と操作位置とを行き来しながら作業しなければならず、作業が煩雑であって効率の悪いものであった。
【0007】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、回転式重量選別機における保守点検作業を効率的に行えるようにすることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0009】
(1)本発明の回転式重量選別機は、回転体の周囲に複数の計量器を設け、回転体を回転させながら計量器に供給される物品の重量を測定して重量ランクを判定し、判定した重量ランクに対応する振分け位置で物品を排出して選別する回転式の重量選別機であって、
指定された前記計量器を、予め設定される目標回転位置まで回転移動させるものであり、
前記計量器を指定するための入力手段と、前記複数の計量器が設けられた前記回転体を回転駆動する駆動手段と、前記複数の計量器の回転位置を検出する検出手段と、前記検出手段の検出出力及び前記入力手段による計量器の指定に基づいて、前記駆動手段を制御して、指定された前記計量器を、前記目標回転位置まで回転移動させる制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記指定された計量器が、前記目標回転位置に近接して前記指定された計量器の回転位置と前記目標回転位置との距離が設定距離未満になったか否かに応じて、前記回転移動の速度を低速、高速に切換える
【0010】
予め設定される目標回転位置は、固定位置としてもよいし、変更設定できるようにしてもよい。この目標回転位置は、計量器の保守点検を行うために、当該回転式重量選別機に対して操作を行う位置とするのが好ましい。
【0011】
本発明の回転式重量選別機によると、複数の計量器の保守点検を行う場合には、保守点検のための操作を行う操作位置を目標回転位置として設定すると共に、点検対象の計量器を指定することにより、点検対象の計量器が、自動的に操作位置まで回転移動するので、従来のように、作業者が点検対象の計量器と操作位置との間を行き来するといった必要がなく、保守点検作業が効率的に行える。
【0013】
入力手段では、計量器を指定すると共に、目標回転位置を入力するのが好ましい。
【0014】
本発明によると、複数の計量器の保守点検を行う場合には、保守点検のための操作を行う操作位置を目標回転位置として設定すると共に、点検対象の計量器を入力手段から指定入力することにより、制御手段が、検出手段の検出出力に基づいて駆動手段を制御して、点検対象の計量器を、自動的に操作位置まで回転移動させる。
【0016】
本発明によると、指定された計量器を目標回転位置まで回転移動させる際に、設定距離までは高速で回転移動させて目標回転位置に到達する時間を短くする一方、設定距離よりも目標回転位置に近接すると低速で回転移動させて目標回転位置に停止させることができ、指定された計量器を目標回転位置まで効率的に移動させることができる。
【0017】
)本発明の回転式重量選別機の他の実施態様では、前記検出手段は、複数のスリットを形成した円盤及び光電センサの一方を前記回転体に取り付け、他方を固定位置に配置し、前記円盤の前記スリットを検出する前記光電センサの出力を、エンコーダでデジタル数値化する。
【0018】
この実施態様によると、回転体の回転に応じて、円盤に形成されたスリットが光電センサによって検出されてエンコーダでデジタル数値化されるので、回転体に設けられる計量器の回転位置に応じたデジタル値を取得することが可能となる。
【0019】
)本発明の回転式重量選別機の更に他の実施態様では、前記複数の計量器の周囲に、物体を検知するセンサを設け、前記制御手段は、前記センサの出力に基づいて、物体を検出したときには、前記指定された計量器の前記目標回転位置への回転移動を禁止する。
【0020】
指定された計量器の回転移動の禁止と共に、センサが物体を検知したことを報知するのが好ましい。
【0021】
この実施態様によると、保守点検を行う作業者が、点検対象の計量器を指定した操作位置に移動させようとした場合、あるいは、指定した計量器の目標回転位置への移動中に、保守点検を行う作業者の死角にいる他の作業者が、計量器に不用意に近接すると、計量器の周囲の物体を検出するセンサによって検出され、これによって、計量器の回転が禁止され、あるいは、回転中の計量器が直ちに停止されることになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の回転式重量選別機によれば、複数の計量器の保守点検を行う場合には、点検対象の計量器を、保守点検の操作を行う操作位置まで自動的に回転移動させることができるので、従来のように、作業者が点検対象の計量器と操作位置との間を行き来するといった必要がなく、保守点検作業を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る回転式重量選別機の概略構成を示す平面図である。
図2図1の回転式重量選別機のブロック図である。
図3】回転位置検出器の平面図である。
図4】保守点検のための動作を説明するための概略平面図である。
図5】保守点検のための動作を示す参考例のフローチャートである。
図6】保守点検の操作画面を示す図である。
図7】本発明の実施形態の図5に対応するフローチャートである。
図8】本発明の他の実施形態に係る回転式重量選別機の概略構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る回転式重量選別機の概略構成を示す平面図である。
【0026】
この実施形態の回転式重量選別機1は、回転中心O回りに矢符A方向へ所定の回転速度で回転する回転台2を備え、この回転台2の周囲には、回転台2と一体に回転する複数、この例では16台の物品保持部S1〜S16が設けられており、回転台2上には、後述の第1制御部等を収納した制御ボックス21が設けられている。また、回転台2の外周の固定位置には、回転式重量選別機1に対する各種の設定操作を行うと共に、表示を行う後述の設定表示部等を収納した操作ボックス3が設けられている。
【0027】
各物品保持部S1〜S16は、各物品保持部S1〜S16の荷重を検出するロードセル(LC)等からなる荷重センサ51〜516によって回転台2の下部に支持されており、各物品保持部S1〜S16及び各荷重センサ51〜516によって、16台の計量器が構成される。
【0028】
海産物や農産物等、例えば、魚等の物品13は、供給コンベヤ4から物品保持部S1〜S16上に落下供給される。この供給コンベヤ4は、個別に物品13が載置される載置領域が桟等によって所定の間隔で仕切られており、矢符Bで示される方向へ物品13を搬送する。回転する物品保持部S1〜S16の1台と、供給コンベヤ4の載置領域の1個とが同期して動作し、個々の載置領域に載置された1個の物品13が、供給コンベヤ4の搬送終端の下方の供給位置に回転移動してきた各物品保持部S1〜S16へ順次供給される。
【0029】
図1に示す物品供給範囲において、供給コンベヤ4から物品保持部S1〜S16に供給された物品13は、回転しながらその重量が測定され、測定された重量値及び予め設定された境界重量値に基づいて、重量ランクが判定される。
【0030】
この実施形態では、8つの重量ランク(1)〜(8)のいずれかに判定される。重量ランクが判定された物品13は、図1に示される円周方向に沿う排出範囲の、判定された重量ランクに対応する振分け位置(1)〜(8)にて、物品保持部S1〜S16のゲートが開いて排出されて振分けられる。
【0031】
図2は、図1の回転式重量選別機1のブロック図である。
【0032】
上記回転台2は、駆動手段としてのモータ7によって回転駆動され、この回転台2と共に回転する回転部11には、後述の回転位置検出用の4つの光電センサ121〜124の出力が与えられるエンコーダ10と、このエンコーダ10の出力及び各荷重センサ51〜516からの荷重信号が与えられると共に、各物品保持部S1〜S16のゲートを開閉するための電磁弁141〜1416等を制御する第1制御部9とを備えている。
【0033】
第1制御部9は、エンコーダ10の出力に基づいて、各物品保持部S1〜S16の回転位置を判別すると共に、各荷重センサ51〜516からの荷重信号に基づいて、物品保持部S1〜S16に供給される物品13の重量値を算出し、予め設定された境界重量値と比較して物品13の重量ランクを判定し、重量ランクに対応する振分け位置で対応する電磁弁を駆動して物品保持部のゲートを開いて物品13を排出させる。
【0034】
この回転側の第1制御部9は、固定側の第2制御部6と通信可能にロータリコネクタ等を介して接続されている。第2制御部6には、重量ランク判定用の境界重量値や回転台2の回転速度等を設定する一方、第2制御部6からのデータ等を表示する入力手段としての設定表示部15が接続される。この実施形態では、設定表示部15は、タッチパネルで構成されている。第2制御部6は、モータコントローラ8を介してモータ7の駆動を制御する。
【0035】
図3に、物品保持部S1〜S16の回転位置を検出する検出手段としての回転位置検出器の要部の平面図を示す。この回転位置検出器16は、周方向に沿う円弧状のスリット17が複数形成された円盤18と、円盤18を挟んで固定位置に設置された投光及び受光素子からなる上述の4つの光電センサ121〜124とを備えている。
【0036】
円盤18は、回転台2の回転軸に取り付けられて回転台2と一体に回転する、したがって、各計量器の物品保持部S1〜S16と一体に回転する。
【0037】
各光電センサ121〜124は、円盤18の上下に円盤18を挟んで対向するようにそれぞれ固定的に設置された取付け用の上下一対のバー19(図では上側のバー19のみ示されている)に、投光素子と受光素子とがそれぞれ対向するように取付けられて構成されている。これら4つの光電センサ121〜124は、円盤18の径方向(半径方向)に沿って配置されている。回転する円盤18の円弧状の各スリット17は、4つの各光電センサ121〜124のいずれかに対応する位置にそれぞれ形成されている。したがって、4つ全て光電センサ121〜124の位置に、スリット17が臨むときには、スリット17が径方向に沿って4列に並ぶことになる。
【0038】
円盤18のスリット17は、回転円周を16等分した区間毎に、すなわち、16台の各物品保持部S1〜S16にそれぞれ対応するように、4つの光電センサ121〜124の位置における、スリット17の有無について16通りの組合せが成立するように形成されている。
【0039】
円盤18が回転してスリット17が、光電センサ121〜124の位置を通過するときには、光電センサ121〜124の投光素子からの投光が、円盤18で遮られることなく受光素子で受光される一方、円盤18のスリット17が形成されていない部分が、光電センサ121〜124の位置を通過するときには、光電センサ121〜124の投光素子からの投光が、円盤18で遮られて受光素子で受光することができない。
【0040】
上記のように円盤18のスリット17は、回転円周を16等分した区間毎に、4つの光電センサ121〜124の位置における、スリット17の有無について16通りの組合せが成立するように形成されているので、16台の各物品保持部S1〜S16が、4つの光電センサ121〜124の位置をそれぞれ通過する毎に、4つの光電センサ121〜124の出力の組合せを異ならせることができ、物品保持部S1〜S16の回転位置を検出することができる。
【0041】
なお、他の実施形態として、円盤18を固定位置とし、光電センサ121〜124が取付けられた上下一対のバー19の内周側の端部を、回転台2の回転軸に取付けて光電センサ121〜124を回転させてもよい。
【0042】
4つの光電センサ121〜124の出力は、図2のエンコーダ10によって4ビットのデジタルデータとして読取られ、この例では、外周側の光電センサ121の出力を最下位ビットとしている。
【0043】
この実施形態では、16台の計量器の保守点検作業を効率的に行えるようにするために、保守点検作業時には、点検対象の計量器を、予め設定した操作位置まで自動的に回転移動させるようにしている。
【0044】
次に、この保守点検作業のための構成を、図4に基づいて説明する。
【0045】
この実施形態では、図4に示すように、16台の物品保持部S1〜S16の回転円周を仮想的に16等分し、その境界位置を、第1〜第16境界位置1〜16としており、第1境界位置1を原点位置としている。また、16台の物品保持部S1〜S16の内、第1の物品保持部S1を基準の物品保持部としている。
【0046】
図4では、基準の物品保持部である第1の物品保持部S1の回転方向の先端が原点位置である第1境界位置1にある状態を示している。なお、図4では、図1の供給コンベヤ4の位置を破線で示し、操作ボックス3内の上述の設定表示部15を操作する操作位置20を示している。
【0047】
この実施形態では、第1の物品保持部S1の回転方向の先端が、第1境界位置1に達したとき、第2境界位置2に達したとき、第3境界位置3に達したとき、第4境界位置4に達したとき、…………、第15境界位置15に達したとき、第16境界位置16に達したときに、それぞれ対応する4ビットのデジタル値が得られるように、上述の回転位置検出器16が設置されている。
【0048】
すなわち、第1の物品保持部S1の回転方向の先端が、図4に示されるように、第1境界位置1に達したときには、4ビットのデジタルデータの値は、「0」となり、第2境界位置2に達したときには、4ビットのデジタルデータの値は、「1」となり、第3境界位置3に達したときには、4ビットのデジタルデータの値は、「2」となり、第4境界位置4に達したときには、4ビットのデジタルデータの値は、「3」となり、以下同様にして、第16境界位置16に達したときには、4ビットのデジタルデータの値は、「15」となる。この例では、4ビットのデジタルデータの値に1を加算して、第1の物品保持部S1の回転方向の先端が達した境界位置1〜16の番号と、4ビットのデジタルデータの値「1」〜「16」とが一致するようにしている。
【0049】
このように4つの光電センサ121〜124の出力に基づく4ビットのデジタルデータによって、基準となる第1の物品保持部S1の回転位置を認識することができ、また、第1の物品保持部S1との関係で他の物品保持部S2〜S16の回転位置も規定される。
【0050】
計量器の保守点検作業を行う場合の操作位置としては、上述の設定表示部15が収納された図1の操作ボックス3が配置されている操作位置20に対応する第14境界位置14が初期設定されている。なお、この初期設定の値は、設定表示部15によって変更することができ、他の位置を操作位置として設定してもよい。
【0051】
第14境界位置14が操作位置20として初期設定されている状態において、点検対象の計量器を、操作位置20に自動的に回転移動させて保守点検作業を行う場合には、設定表示部15を操作して点検対象の計量器を指定する。これによって、制御手段としての上述の第1,第2制御部9,6は、基準となる第1の物品保持部S1に対応する計量器の回転位置に基づいて、指定された計量器が、目標回転位置である操作位置20に到達するまで回転台2を回転させて自動的に停止させる。
【0052】
図5は、この保守点検作業の動作を示す参考例のフローチャートである。
【0053】
ステップS1では、設定表示部15を操作して、図6に示す保守点検作業の操作画面を表示させる。この操作画面には、物品保持部S1〜S16に対応する計量器である秤1〜16を指定する16個のボタン31と、点検対象の秤を、保守点検位置である操作位置20へ移動させるボタン32とが表示されており、その他、秤を、+1(秤1台分)移動させるボタン33、使用分銅の重量を指定するボタン34等が表示される。ステップS1では、点検対象の計量器を操作位置へ移動させるために、点検対象の秤1〜16をボタン31によって選択し、選択した秤を操作位置へ移動させるボタン32を操作する。
【0054】
図5のステップS2では、秤の現在の回転位置を取得する。この実施形態では、基準となる第1の物品保持部S1に対応する秤1の現在位置を、4ビットのデジタルデータに基づいて上述のように取得する。
【0055】
次に、ステップS3では、目標位置を算出する。ここで、目標位置とは、指定された秤を、操作位置20まで回転移動させるには、基準となる第1の物品保持部S1に対応する秤1の先端を、図4の第1〜第16境界位置1〜16のどの位置に到達させればよいかを示すものである。
【0056】
この目標位置は次式により算出する。
【0057】
目標位置=(a+b+M−1)mod M
a:操作位置
b:点検対象の秤の番号
M:全秤数
例えば、図4に示す秤1を操作位置20である第14境界位置14に移動させるとすると、すなわち、点検対象の秤として秤1を選択したとすると、目標位置は、
目標位置=(14+1+16−1)mod 16=14となり、秤1の回転方向の先端が、図4の第14境界位置14に達するまで、したがって、上述の4ビットのデジタルデータの値に1を加算した値が、境界位置の番号「14」となる位置まで移動させればよい。
【0058】
また、例えば、物品保持部S8に対応する秤8を点検対象の秤として選択したとすると、
目標位置=(14+8+16−1)mod 16=5となり、秤1の回転方向の先端が、図4の第5境界位置5に達するまで、したがって、上述の4ビットのデジタルデータの値に1を加算した値が、境界位置の番号「5」となる位置まで移動させればよい。
【0059】
図4において、基準となる物品保持部S1が、第5境界位置5に達するときには、指定された秤8に対応する第8の物品保持部S8は、図4の操作位置20に達することになる。
【0060】
このように、基準となる物品保持部S1の先端が、いずれの境界位置1〜16のあるかを示す4ビットのデジタルデータの値に基づいて、指定された秤が、操作位置に達するように、回転台2を回転させるものである。
【0061】
ステップS4では、モータ7の駆動を開始して回転台2を回転させる。
【0062】
ステップS5では、ステップS2と同様にして基準となる秤1の現在位置を取得する。
【0063】
次に、ステップS6では、取得した秤1の現在位置が、ステップS3を算出した目標位置に達したか否か、すなわち、指定された秤が目標回転位置である操作位置20に達したか否かを判断し、達したときには、ステップS7に進み、達していないときにステップS8に進む。
【0064】
ステップS7では、モータ7の回転を停止させて処理を終了する。
【0065】
ステップS8では、例えば、500msec待ち、ステップS5へ戻る。すなわち、500msecの間隔で点検対象の秤が、操作位置20に到達したか否かを判断することになる。こうして、ステップS6にて点検対象の秤が操作位置20に達するまで繰り返す。
【0066】
点検対象の秤、すなわち、点検対象の計量器が操作位置20に達すると、点検対象の計量器の保守点検作業を行う。保守点検は、例えば、点検対象の計量器の物品保持部S1〜S16に所定の重さの分銅を載せ、設定表示部5を操作して調整を行う。
【0067】
以上のように、計量器の保守点検作業時には、操作位置20で設定表部15を操作することによって、点検対象の計量器が、操作位置20まで自動的に回転移動して停止されるので、従来のように、作業者が点検対象の計量器と操作位置との間を行き来するといった必要がなく、保守点検作業を効率的に行うことができる。
【0068】
7は、本発明の実施形態の図5に対応するフローチャートであり、図5のステップS5以降の処理を示している。
【0069】
図7のステップS5及びステップS6では、上述の参考例と同様に、秤1の現在位置を取得し、目標位置に達したか否かを判断する。
【0070】
ステップS6において、基準となる秤1が、目標位置に達していないとき、すなわち、指定された秤が操作位置20に達していないときには、ステップS9に進む。ステップS9では、秤1の現在位置から目標位置までの距離が、設定された距離である閾値より小さいか否かを判断する。
【0071】
秤1の現在位置から目標位置までの距離が、閾値より小さくないときには、モータ7を高速で回転させてステップS12に進み(ステップS11)、閾値より小さいときには、モータを低速回転させてステップS12に進む(ステップS10)。ステップS12では、500msec待ってステップS5へ戻る。
【0072】
高速回転と低速回転の各回転速度は任意に設定すればよい。例えば、設定表示部15から具体的数値を入力する。
【0073】
このように点検対象の計量器の現在位置が操作位置から設定距離以上離れている期間は、回転台2を高速回転させて点検対象の計量器が操作位置に達するまでの時間を短くできるとともに、点検対象の計量器が操作位置に近づくと回転台2を低速回転させて点検対象の計量器を操作位置に正確に停止させることができる。
【0075】
(実施形態
図8は、本発明の他の実施形態の概略構成を示す平面図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0076】
この実施形態では、操作位置20で作業を行う作業者の死角となる領域であって、回転式重量選別機1の周囲の領域への他の作業者の進入を検知する二組のエリアセンサ41,42;43,44を設置している。
【0077】
各組のエリアセンサ41,42;43,44は、作業者を検知できるように所要の高さを有しており、一方のセンサ41,43から光をそれぞれ照射し、他方のセンサ42,44で検知領域を通過した光を受光するものであり、これら他方のセンサ42,44の検出出力は、上述の図2の第2制御部6に与えられる。
【0078】
この実施形態では、他の作業者が、エリアセンサ41,42;43,44のいずれか検知領域に進入すると、エリアセンサ41,42;43,44の検出出力に基づいて、第2制御部6は、回転台2の回転を禁止し、あるいは、回転中であるときには、直ちに回転台2の回転を停止させる。また、同時に、設定表示部15にその旨の表示、例えば、「人を検知しました。動かせません」といったポップアップ画面を表示する。
【0079】
この実施形態によると、操作位置の作業者が計量器を回転移動させようとした場合に、作業者の死角となる計量器の周囲に他の作業者が進入したときには、計量器の回転が禁止され、回転中の場合には、直ちに回転を停止させることができ、保守点検作業の安全性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、農水産物等の物品を重量で振分ける回転式重量選別機として有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 回転式重量選別機
2 回転台(回転体)
3 操作ボックス
4 供給コンベヤ
1〜516 荷重センサ
6 第2制御部
7 モータ
8 モータコントローラ
9 第1制御部
10 エンコーダ
15 設定表示部
16 回転位置検出器
17 スリット
18 円盤
S1〜S16 物品保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8