(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のホイッスルは、バックルからの取り外しが容易な構成であるが、ベルト、およびベルトに固定されたバックルから突出した状態で、バックルに装着される構成である。このため、ユーザが、カバンなどの物品を身に付けているときに、ホイッスルが邪魔になることがある。
【0007】
特許文献2に記載のホイッスルの1つの形態では、ホイッスルが留め金部に一体的に固定され、吹き口が留め金部から突出する構成である。このため、ユーザがホイッスルを吹くときに、留め金部が邪魔になり、ユーザは吹き口から空気を充分に吹き込むことが困難である。また、特許文献2に記載のホイッスルの他の形態では、ホイッスルが留め金部またはメタルバンドに対して着脱自在に取り付ける構成である。このため、特許文献1に記載のホイッスルと同様に、ユーザが、腕時計などの物品を身に付けているときに、ホイッスルが邪魔になることがある。
【0008】
そこで、本発明は、ユーザが容易に吹くことができ、携帯しているときでも邪魔にならずにストラップに装着可能なホイッスル、およびホイッスル付きストラップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(第1の発明態様およびその具体的態様)
請求項1に記載の第1の発明態様は、所定の方向に延びる共鳴室が内部に形成され、共鳴室に連通する排気口を有する本体部と、前記所定の方向における前記本体部の一端側に開口して形成される吹き口と、前記吹き口から吹き込まれる空気が前記共鳴室に流入するように前記吹き口との間に間隙を空けて前記吹き口の内部に配置され、長尺状のストラップ部と連結される第1連結部と、前記所定の方向における前記本体部の他端側に形成され、長尺状のストラップ部と連結される第2連結部と、を備え、前記第1連結部が、長尺状のストラップ部に取り付けられる係止部と係脱可能に係合する係合部を含む構成である。
【0010】
本発明態様では、第2連結部は、離脱不能にストラップ部と連結される構成でも、第1連結部と同様に、ストラップ部に取り付けられる係止部と係脱可能に係合する係合部を含む構成でもよい。
【0011】
本発明態様では、第1および第2連結部は、1本のストラップ部に連結される構成でも、異なる2本のストラップ部にそれぞれ連結される構成でもよい。
【0012】
本発明態様では、第1連結部は、本体部の少なくとも一部と一体に成形される構成でも、本体部と別体に形成され、本体部に取り付けられる構成でもよい。
【0013】
本発明態様では、ストラップ部が長尺状のものであれば、ストラップ部の横断面形状は平板形状、円形状、楕円形状などいかなる形状でもよい。また、ストラップ部は、カバンなどのユーザが持ち運ぶ物品、またはネームタグなどのユーザが身に付ける物品に取り付けられる形態で使用される。
【0014】
本発明態様では、ストラップ部に取り付けられる係止部と、第1連結部の係合部とが、係脱可能に構成されるのであれば、両者が、互いに係合する凹部および凸部のいずれを含む構成でもよい。
【0015】
請求項2に記載の具体的態様では、前記係合部が、前記係止部の係止軸部と係脱可能に係合するために弾性変形可能な一対の弾性片を含む。
【0016】
請求項3に記載の具体的態様では、前記一対の弾性片の少なくとも一部が前記吹き口から突出するように、前記第1連結部が前記吹き口の内部に配置される。
【0017】
請求項4に記載の具体的態様では、前記一対の弾性片の少なくとも一方が、前記共鳴室に連通する通気口を含む。
【0018】
請求項5に記載の具体的態様では、前記第1連結部が、前記本体部と別体に構成され、係止突起および係止凹部が、互いに嵌合するように前記第1連結部および前記本体部にそれぞれ設けられる。
【0019】
具体的態様では、係止突起および係止凹部は、第1連結部および本体部のいずれに設けられてもよい。また、係止突起および係止凹部の個数は、1つでも、複数でもよい。
【0020】
請求項6に記載の具体的態様では、前記本体部が、前記排気口が形成される第1壁と、その第1壁と対向する第2壁と、第1および第2壁を連結する一対の連結壁とを有し、前記第1連結部が、前記第1壁との間に間隙を空けて前記第2壁に配置される。
【0021】
具体的態様では、第1壁、第2壁、および一対の連結壁は、平面でも、曲面でもよい。また、第1連結部と第1壁との間の間隙は、第1壁の少なくとも一部の面との間に形成されればよい。
【0022】
請求項7に記載の具体的態様では、前記第1壁が、前記第2壁より張り出して形成される。
【0023】
具体的態様では、第1壁が、第2壁だけでなく、第1連結部の係合部よりも張り出して形成されても、第1連結部の係合部よりは張り出さないように形成されてもよい。
【0024】
(第2の発明態様およびその具体的態様)
請求項8に記載の第2の発明態様は、少なくとも1つの長尺状のストラップ部と、前記ストラップ部に取り付けられる第1係止部と、ホイッスルと、を備え、前記ホイッスルが、所定の方向に延びる共鳴室が内部に形成され、共鳴室に連通する排気口を有する本体部と、前記所定の方向における前記本体部の一端側に開口して形成される吹き口と、前記吹き口から吹き込まれる空気が前記共鳴室に流入するように前記吹き口との間に間隙を空けて前記吹き口の内部に配置され、前記第1係止部と係脱可能に連結される第1連結部と、前記所定の方向における前記本体部の他端側に形成され、前記ストラップ部と連結される第2連結部と、を含む構成である。
【0025】
本発明態様でも、第1の発明態様と同様に、各構成要素を種々の形態で具現してもよい。たとえば、第2連結部は、第1係止部が取り付けられるストラップ部と同じストラップ部に連結される構成でも、異なるストラップ部に連結される構成でもよい。
【0026】
請求項9に記載の具体的態様では、前記ストラップ部に取り付けられる第2係止部を備え、前記第2連結部が、前記第2係止部と係脱可能に連結され、前記第1連結部と前記第1係止部との係止力が、前記第2連結部と前記第2係止部との係止力より小さい。
【0027】
具体的態様では、第1連結部と第1係止部との係止力、または第2連結部と第2係止部との係止力は、弾性手段の弾性力を基に発生する構成でも、互いに接触する面の表面粗さを基に発生する構成でも、弾性力および表面粗さの組み合わせを基に発生する構成でもよい。
【0028】
請求項10に記載の具体的態様では、前記第1係止部および前記第2連結部が、係止軸部を含み、前記第2係止部および前記第1連結部が、前記係止軸部と係脱可能に係合するために弾性変形可能な一対の弾性片を含み、前記係止軸部が延びる軸方向において、前記本体部と、前記第1係止部と、前記第2係止部とがほぼ同じ寸法である。
【0029】
具体的態様では、ほぼ同じ寸法とは、厳密に同じ寸法に設計される必要はなく、ユーザが、本体部と第1係止部と第2係止部とを見たときに、外観形状から、3つの部材が係止軸部の軸方向において同じ寸法であると認識することができる寸法であればよい。
【発明の効果】
【0030】
(第1の発明態様およびその具体的態様の効果)
請求項1に記載の発明態様では、第1連結部が、吹き口との間に間隙を空けて吹き口の内部に配置される。また、第1連結部の係合部が、ストラップ部に取り付けられる係止部と係脱可能に係合する。この結果、係合部が係止部と係合して第1連結部がストラップ部に連結された状態でも、吹き口が本体部から突出することがないことから、ユーザがストラップ部を身に付けたときでも、ホイッスルが邪魔にならない。しかも、ユーザは、係合部と係止部との係合を解除して第1連結部をストラップ部から離脱させることにより、吹き口から空気を吹き込むことが容易になる。
【0031】
請求項2に記載の具体的態様では、係合部の一対の弾性片が、係止部の係止軸部と係脱可能に係合する。仮に、係合部が軸部を含み、係止部がその軸部と係合する一対の弾性片を含む構成である場合、係合部が軸部の両端を支持するために軸部の軸方向における係合部の寸法が大きくなることから、第1連結部が内部に配置される吹き口自体を大きくする必要が生ずる。これに対し、本具体的態様では、係合部が一対の弾性片を含む構成であるので、吹き口を大きくすることなく、第1連結部を吹き口の内部に配置することができる。
【0032】
請求項3に記載の具体的態様では、一対の弾性片の少なくとも一部が吹き口から突出する。この結果、ユーザは、係止部の係止軸部を係合させるときに、一対の弾性片の位置を目で確認することが容易になり、第1連結部と係止部との連結が容易になる。
【0033】
請求項4に記載の具体的態様では、一対の弾性片の少なくとも一方が、共鳴室に連通する通気口を含む。この結果、ユーザは、通気口を通して充分な空気を共鳴室に吹き込むことが容易になり、ホイッスルを鳴らすことが容易になる。
【0034】
請求項5に記載の具体的態様では、係止突起および係止凹部が、別体に構成される第1連結部および本体部にそれぞれ設けられる。この結果、第1連結部を吹き口の内部に配置する複雑な構成を精度良く作製することができる。
【0035】
請求項6に記載の具体的態様では、本体部が、排気口が形成される第1壁と、その第1壁と対向する第2壁とを有し、第1連結部が、第1壁との間に間隙を空けて第2壁に配置される。この結果、ユーザが吹き口から吹き込んだ空気は、第1壁との間の間隙を通して、第1壁の排気口から排気され易くなり、ユーザはホイッスルを鳴らすことが容易になる。
【0036】
請求項7に記載の具体的態様では、第1壁が、第2壁より張り出して形成される。この結果、第1壁の張り出し部分は、ユーザが吹き口から吹き込んだ空気を、第1壁との間の間隙に確実に案内するように作用し、ユーザはホイッスルを鳴らすことが一層容易になる。
【0037】
(第2の発明態様およびその具体的態様の効果)
請求項8に記載の第2の発明態様では、第1連結部が、吹き口との間に間隙を空けて吹き口の内部に配置され、第1係止部と係脱可能に連結される。この結果、第1連結部が第1係止部と連結された状態でも、吹き口が本体部から突出することがないことから、ユーザがストラップ部を身に付けたときでも、ホイッスルが邪魔にならない。しかも、ユーザは、第1連結部と第1係止部との連結を解除して第1連結部をストラップ部から離脱させることにより、吹き口から空気を吹き込むことが容易になる。
【0038】
請求項9に記載の具体的態様では、第1連結部と第1係止部との係止力が、第2連結部と第2係止部との係止力より小さい。この結果、緊急時に、ユーザは、第1連結部を第1係止部から離脱させ易くなり、第1連結部が配置される吹き口から空気を吹き込むことを迅速に行うことができる。
【0039】
請求項10に記載の具体的態様では、係止軸部が延びる軸方向において、本体部と、第1係止部と、第2係止部とがほぼ同じ寸法である。この結果、ユーザがストラップ部を身に付けているときに、本体部が第1および第2係止部から突出しないことから、ホイッスルが邪魔になることがなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
<実施形態>
以下に、本発明の一実施形態に係るホイッスル付きストラップについて、図面を参照して説明する。
図1は、ユーザがホイッスル付きストラップ1を首に掛けた状態を示す。
図2は、ホイッスル5が第1および第2係止クリップ3、4と連結された状態を拡大して示す。
図1において、ホイッスル付きストラップ1は、1本のストラップ部2と、第1係止クリップ3と、第2係止クリップ4と、ホイッスル5とを備える。ネームタグNTが、連結リングおよびフックなどを含む公知の取付手段によりストラップ部2に取り付けられる。
【0042】
本実施形態では、ストラップ2部は、横断面形状が平板形状である帯状に形成される。第1および第2係止クリップ3、4は、合成樹脂材料から成形され、ストラップ部2の両端2A、2Bに取り付けられる。
図2において、第1係止クリップ3は、係止軸部3Aと、ストラップ部2の一端2Aを挟持する挟持部3Bとを備える。第2係止クリップ4は、一対の弾性片4A、4Bと、ストラップ部2の他端2Bを挟持する挟持部4Cとを備える。第1および第2係止クリップ3、4は、挟持部3B、4Cが一体に形成されるヒンジを有することから、ヒンジ特性に優れた合成樹脂材料、たとえば、ポリプロピレンから成形される。
図2には、第2係止クリップ4の一対の弾性片4A、4Bのうち、上方に位置する弾性片4Aのみが示され、後述する
図8には、両弾性片4A、4Bが示される。第2係止クリップ4の一対の弾性片4A、4Bは、第1係止クリップ3の係止軸部3Aと係脱可能に構成されるとともに、後述のホイッスル5の第2連結部8の係止軸部9とも係脱可能に構成される。第1係止クリップ3の係止軸部3Aは、第2係止クリップ4の一対の弾性片4A、4Bと係脱可能に構成されるとともに、後述のホイッスル5の第1連結部7の一対の弾性片23A、23Bと係脱可能に構成される。第1および第2係止クリップ3、4の構成は、特許第3978092号公報などにより公知である。
【0043】
[ホイッスル5の詳細な構成]
ホイッスル5の詳細な構成について、図面を参照して説明する。
図3は、ホイッスル5の全体を示す斜視図である。
図3において、ホイッスル5は、本体部6と、第1連結部7と、第2連結部8とを有する。
図3に矢印で示す3つの方向を、上下方向、前後方向、および左右方向とし、
図3以降の他の図面でも同様に、各方向を示す。本体部6は、所定の方向である前後方向に延びて形成される。第1連結部7は、本体部6の前端に取り付けられる。第2連結部8は、本体部6の後端に形成される。
【0044】
(本体部6および第2連結部8の構成)
図3および
図4を参照して、本体部6および第2連結部8の構成を説明する。
図4は、第1連結部7を取り外した状態において、
図3に示すA−A線に従う本体部6および第2連結部8の断面図である。本体部6は、第2連結部8と一体に合成樹脂材料から形成される。本体部6の表面には、所定の印刷が施される場合があることから、本体部6は、印刷が可能な合成樹脂材料、たとえば、ABS樹脂、またはポリカーボネートから成形される。本体部6に施される印刷の内容としては、ユーザに関する個人情報、たとえば、氏名、血液型などの緊急時に必要な情報が考えられる。
【0045】
第2連結部8は、係止軸部9と、一対の支持突部10A、10Bとを有する。両支持突部10A、10Bは、本体部6の後端から後方に突出し、係止軸部9の両端を支持する。係止軸部9は、第2係止クリップ4の一対の弾性片4A、4Bと係脱可能に形成される。
【0046】
本体部6は、上方壁11と、下方壁12と、右方壁13と、左方壁14と、後方壁15とを備える。
図4に示すように、上方壁11は、下方壁12より前方に張り出して形成される。上方壁11の張り出しに伴い、右方壁13および左方壁14の前端が、湾曲形状に切り欠かれて形成される。この右方壁13および左方壁14の切り欠きは、第1係止クリップ3の係止軸部3A、および、その係止軸部3Aを支持する部分を収容するための空間を形成する。
【0047】
図4において、吹き口16が、本体部6の前端に開口して形成される。排気口17が、上方壁11に開口して形成される。排気口17の後方端面17Aは、前方から後方に向かって上方に傾斜して形成される。共鳴室18が、本体部6の内部に形成され、排気口17の形成位置から本体部6の後方壁15まで延びる。収容室19が、吹き口16から共鳴室18の前端まで形成される。共鳴室18は、排気口17と連通するとともに、収容室19を通して吹き口16と連通する。収容室19は、第1連結部7を収容するための空間を有する。一対の係止凹部20A、20Bが、収容室19の内部において、右方壁13および左方壁14から下方壁12にわたって形成される。突部21が、上方壁11の前端に左右方向に延びて形成される。突部21は、ユーザがホイッスル5を咥えたときに、唇および歯からホイッスル5が落下することを防止する働きを有する。
【0048】
本体部6の左右方向の寸法、すなわち幅は、
図2に示すように、第1および第2係止クリップ3、4の幅とほぼ同一に設定され、本体部6の上下方向の寸法、すなわち厚さも、第1および第2係止クリップ3、4の厚さとほぼ同一に設定される。本体部6の前後方向の寸法、すなわち長さは、ホイッスル5からの音の周波数が人間にとって聞き易い3kHzとなるように設定される。ホイッスルの長さと、その発生音の周波数との関係は、特開平8−227292号公報などにより公知である。
【0049】
(第1連結部7の構成)
図5および
図6を参照して、第1連結部7の構成を説明する。
図5は、第1連結部7の全体を示す拡大斜視図である。
図6は、
図5に示すB−B線に従って切断された第1連結部7の断面図である。第1連結部7は、連結基体部22と、一対の弾性片23A、23Bとを有する。第1連結部7の全体が、合成樹脂材料から一体に成形される。第1連結部7は、耐久性、および靭性に優れた合成樹脂材料、たとえば、ポリアセタールから成形される。
【0050】
連結基体部22は、基台24と、一対の突出片25A、25Bと、一対の係止突起26A、26Bとを有する。連結基体部22は、本体部6の収容室19に挿入されるように形成される。基台24は、矩形形状を有する。
図6に示すように、基台24の上面24Aは、前方から後方に向かって上方に緩やかに傾斜する。一対の突出片25A、25Bは、基台24の左右両端から上方に突出し、前後方向に延びる。一対の係止突起26A、26Bは、基台24の左右両側面から左右方向に突出し、前方から後方に向かって突出量が小さくなるように傾斜する。連結基体部22が収容室19に挿入されたときに、両係止突起26A、26Bは、両係止凹部20A、20Bに嵌合する。
【0051】
一対の弾性片23A、23Bが、基台24の前端から前方に突出して形成され、弾性片23Aが、弾性片23Bより上方に配置される。両弾性片23A、23Bは、円弧状の横断面形状を有し、先端部において所定の間隔を空けて位置する。両弾性片23A、23Bは、第1係止クリップ3の係止軸部3Aと係合することができ、係止軸部3Aが先端部における所定の間隔を通過するときに、両弾性片23A、23Bは弾性変形する。この弾性変形により、両弾性片23A、23Bは係止軸部3Aと係脱可能に連結される。両弾性片23A、23Bは左右方向に延びて形成され、
図5に示すように、両弾性片23A、23Bの左右方向の寸法は、基台24の左右方向の寸法より小さい。
【0052】
通気口27が、弾性片23Aと基台24との連結領域に形成される。通気口27は、係止軸部3Aを収容されるために
図6において両弾性片23A、23Bにより画定される略円形状の空間に連通するとともに、基台24の上方に開口する。通気口27は、平坦面27Aと、傾斜面27Bとを有する。平坦面27Aは、略円形状の空間に近接して前後方向に延びる。傾斜面27Bは、平坦面27Aに連続して形成され、前方から後方に向かって上方に傾斜する。傾斜面27Bの後端は基台24の上面24Aに連結する。
【0053】
一対のリブ28A、28Bが、両突出片25A、25Bの内側の領域において通気口27の左右両側に近接して形成される。両リブ28A、28Bは、弾性片23Aから基台24の前方部分までの領域において前後方向に延びる。両リブ28A、28Bは、弾性片23Aが弾性変形したときの強度を増大させるために補強の働きを有する。
【0054】
本実施形態では、第1連結部7の両弾性片23A、23Bと第1係止クリップ3の係止軸部3Aとの間の係止力は、第2係止クリップ4の両弾性片4A、4Bと第2連結部8の係止軸部9との間の係止力より小さく設定される。ここで、係止力とは、各連結部と各係止クリップとを引っ張ったときに、両弾性片と係止軸部とを離脱させるために必要な引っ張り力を意味する。両弾性片23A、23Bと係止軸部3Aとの間の係止力は、通気口27および一対のリブ28A、28Bの形状に応じて、設定される。すなわち、両弾性片23A、23Bと係止軸部3Aとの間の係止力は、通気口27を形成することにより、小さくなり、両リブ28A、28Bを形成することにより、大きくなることから、通気口27および両リブ28A、28Bの形状を設計することにより、係止力が設定される。通常、係止力は、ストラップ部2が何かに引っ掛かってユーザの首を締め付ける異常事態が発生した場合、ユーザが呼吸をすることが困難になる前に、各連結部と各係止クリップとの係止が解除されるような強さ以下の係止力に設定される。
【0055】
(第1連結部7の本体部6への組み付け)
第1連結部7を本体部6に組み付ける方法、および両者が組み付けられた構成について、
図7および
図8を参照して説明する。
図7は、
図3に示すホイッスル5を前方から見た図面である。
図8は、第1および第2係止クリップ3、4の一部と、
図3に示すA−A線に従って切断されたホイッスル5とを示す。第1連結部7の連結基体部22を本体部6の収容室19に挿入し始めると、一対の突出片25A、25Bの上面が上方壁11の内面と係合し、基台24の下面が下方壁12の内面と係合する。また、両突出片25A、25Bの側面および基台24の両側面が、右方壁13の内面および左方壁14の内面にそれぞれ係合する。
【0056】
連結基体部22を収容室19に挿入し続けると、一対の係止突起26A、26Bの傾斜面が右方壁13の内面および左方壁14の内面と圧接した状態で係合する。この圧接した状態のまま、連結基体部22を収容室19に更に挿入すると、右方壁13および左方壁14が弾性変形して、両係止突起26A、26Bが一対の係止凹部20A、20Bに嵌合する。この嵌合により、第1連結部7が本体部6から抜け落ちることを防止できる。両突出片25A、25Bの上面および基台24の下面が上方壁11および下方壁12の内面と係合すること、両突出片25A、25Bおよび基台24の側面が右方壁13および左方壁14の内面に係合すること、両係止突起26A、26Bが両係止凹部20A、20Bに嵌合することにより、第1連結部7が本体部6の収容室19の内部における所定の位置に固定される。第1連結部を本体部6に組み付ける工程は、作業者の手作業により実行されても、組み立て機械により自動で実行されてもよい。
【0057】
第1連結部7が本体部6に組み付けられた状態において、間隙GVが、吹き口16の上方端縁、すなわち上方壁11の内面と、弾性片23Aの上方端縁との間に形成される。また、
図7において、間隙GH1が、吹き口16の右方端縁、すなわち右方壁13の内面と、弾性片23Aの右方端縁との間に形成され、間隙GH2が、吹き口16の左方端縁、すなわち左方壁14の内面と、弾性片23Aの左方端縁との間に形成される。
【0058】
図8において、通気口27は、吹き口16の上方端縁との間で、間隙を形成する。具体的には、通気口27の平坦面27Aおよび傾斜面27Bと、吹き口16の上方端縁、すなわち上方壁11の内面との間で、間隙が形成される。間隙GV、間隙GH1、GH2、および、通気口27が形成する間隙は、ユーザが吹き口16から吹き込んだ空気を共鳴室18に流入させる。
【0059】
図8において、第1連結部7の弾性片23Aは、間隙GVの存在により、上方に向かって弾性変形することができる。また、第1連結部7の弾性片23Bは、下方壁12と干渉しない状態で配置されることから、下方に向かって弾性変形することができる。
【0060】
[実施形態の動作および作用]
図1、
図7、および
図8を参照して、ホイッスル付きストラップ1の動作および作用を説明する。ユーザが
図1に示すようにホイッスル付きストラップ1を首に掛けている状態において、火災などの緊急事態が発生した場合、ユーザは緊急事態の発生を周囲の人達に至急知らせる必要がある。この場合、ユーザは、第1係止クリップ3とホイッスル5の第1連結部7との係止を解除するために、第1係止クリップ3とホイッスル5とを引っ張ると、第1連結部7の弾性片23Aが、
図8において、間隙GVの存在により、上方に弾性変形することができる。また、第1連結部7の弾性片23Bが、下方壁12から前方に突出して配置されることから、下方壁12と干渉することなく、下方に弾性変形することができる。両弾性片23A、23Bが、上記のように弾性変形することにより、第1係止クリップ3の係止軸部3Aから離脱する。この離脱した状態で、ユーザは、ホイッスル5の第1連結部7を咥えて空気を吹き口16から吹き込む。
【0061】
吹き込まれた空気は、
図7に示す間隙GV、GH1、GH2、および通気口27から、ホイッスル5の中に流入する。間隙GV、GH1、GH2から流入した空気は、基台24の上面24Cを通って共鳴室18に送り込まれる。また、通気口27から流入した空気は、平坦面27Aおよび傾斜面27Bを通り、更に基台24の上面24Cを通って共鳴室18に送り込まれる。流入した空気の流速は、傾斜面27B、および傾斜した上面24Cにより、増加する。流速が増加した空気の一部が排気口27から流出することにより、流速が増加した空気の流れは排気口27の周辺で乱されて空気が振動し、3kHzの周波数の警報音が発生する。
【0062】
ホイッスル5の第1連結部7から空気を吹き込むときに、ホイッスル5の第2連結部8に連結されたストラップ部2が邪魔になる場合には、ユーザは、第2係止クリップ4とホイッスル5の第2連結部8との係止も解除するために、第2係止クリップ4とホイッスル5とを引っ張ると、第2連結部8の係止軸部9が、第2係止クリップ4の両弾性片4A、4Bから離脱する。ユーザは、ホイッスル5単体を手に持って、ホイッスル5の第1連結部7を咥えて空気を吹き口16から吹き込むことができる。
【0063】
緊急事態の発生を周囲の人達に知らせることができた後には、ユーザは、ホイッスル5の第1および第2連結部7、8を、第1および第2係止クリップ3、4に係止させて連結する。この連結した状態で、ユーザは、
図1に示すように、ホイッスル付きストラップ1を首に掛けることができる。
【0064】
[実施形態の効果]
本実施形態では、ホイッスル5が、
図2に示すように、第1および第2係止クリップ3、4と同一の幅で形成されていることから、ユーザは、ホイッスル付きストラップ1を首などに身に付けているときでも、ホイッスル5が邪魔になることはない。また、ユーザは、緊急事態の発生時に、ホイッスル5の第1連結部7を第1係止クリップ3から離脱させることにより、第1連結部7が組み付けられたホイッスル5の吹き口16から吹くことが容易になる。
【0065】
本実施形態では、第1連結部7が一対の弾性片23A、23Bを備え、第2連結部8が係止軸部9および一対の支持突部10A、10Bを備える構成であることから、第1連結部が係止軸部および一対の支持突部を備える構成に比べ、第1連結部7の左右方向の寸法である幅を小さくすることができる。この結果、吹き口16を大きくすることなく、第1連結部7を吹き口16に組み付けることができ、ホイッスル5の幅を小さくすることができる。
【0066】
本実施形態では、間隙GVが、空気を吹き込むための間隙として機能するとともに、第1連結部7の弾性片23Aが上方に弾性変形するための空間としても機能することから、ホイッスル5の吹き口16の周辺の上下方向の寸法を小さくすることができる。また、第1連結部7の弾性片23Bが下方壁12から前方に突出するように配置されることから、弾性片23Bが下方壁12に干渉することなく下方に弾性変形することができる。この結果、下方壁12が弾性片23Bの下方まで張り出す構成に比べ、本実施形態では、ホイッスル5の吹き口16の周辺の上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0067】
本実施形態では、通気口27が、第1連結部7の弾性片23Aから基台24の前方部分にわたって形成されることから、間隙GV、GH1、GH2を大きくすることなく、ユーザは、両弾性片23A、23Bの間に形成される略円形の空間を通して通気口27に充分な空気を吹き込むことができる。この結果、ホイッスル5の吹き口16の周辺の上下方向および左右方向の寸法を小さくすることができるとともに、ユーザは、ホイッスル5から強い警報音を鳴らすことができる。
【0068】
本実施形態では、第1連結部7の両弾性片23A、23Bの先端部分が、上方壁11より前方に突出するように配置されることから、ユーザは、両弾性片23A、23Bの配置位置を確認することが容易になり、両弾性片23A、23Bを第1係止クリップ3の係止軸部3Aに係合させることが容易になる。
【0069】
本実施形態では、第1係止クリップ3の係止軸部3A、および第2係止クリップ4の一対の弾性片4A、4Bが、互いに係脱可能に構成されるとともに、ホイッスル5の第1連結部7の一対の弾性片23A、23B、および第2連結部8の係止軸部9に対して、係脱可能に構成される。この結果、ユーザは、第1および第2係止クリップ3、4が固定されたストラップ部2を、ホイッスル5を装着しない通常のストラップとして使用することができるとともに、ホイッスル付きストラップ1にも使用することができる。
【0070】
本実施形態では、両突出片25A、25Bの上面および基台24の下面が上方壁11および下方壁12の内面と係合することにより、第1連結部7が上下方向において本体部6の収容室19の内部に位置決めされる。両突出片25A、25Bおよび基台24の側面が右方壁13および左方壁14の内面に係合することにより、第1連結部7が左右方向において本体部6の収容室19の内部に位置決めされる。両係止突起26A、26Bが両係止凹部20A、20Bに嵌合することにより、第1連結部7が前後方向において本体部6の収容室19の内部に位置決めされる。3つの方向における位置決めの結果、第1連結部7が本体部6の収容室19の内部における所定の位置に常に固定される。この所定の位置に固定されることにより、間隙GV、GH1、GH2が所定の間隙に常に設定されることから、ユーザは、ホイッスル5から、所定の周波数および所定の強さの警報音を発生させることができる。
【0071】
本実施形態では、第1連結部7の両弾性片23A、23Bと第1係止クリップ3の係止軸部3Aとの間の係止力は、第2係止クリップ4の両弾性片4A、4Bと第2連結部8の係止軸部9との間の係止力より小さく設定される。この結果、ユーザが、ストラップ部2の両端2A、2Bを持って引っ張ったときに、両弾性片23A、23Bと係止軸部3Aとの係止が、両弾性片4A、4Bと係止軸部9との係止より先に解除される。この結果、ユーザは、離脱した第1連結部7の配置側から、ホイッスル5を素早く吹くことができる。また、ユーザが、ストラップ部2の一端2Aとホイッスル5とを持って引っ張ったときにも、両弾性片23A、23Bと係止軸部3Aとの係止を容易に解除することができる。
【0072】
<構成の対応関係>
ホイッスル付きストラップ1、およびホイッスル5は、本発明のホイッスル付きストラップ、およびホイッスルの一例である。ストラップ部2、本体部6、第1連結部7、および第2連結部8が、本発明のストラップ部、本体部、第1連結部、および第2連結部の一例である。吹き口16、排気口17、および共鳴室18が、本発明の吹き口、排気口、および共鳴室の一例である。第1連結部7の一対の弾性片23A、23Bが、本発明の係合部、および一対の弾性片の一例である。第1係止クリップ3の係止軸部3Aが、本発明の係止部、および第1係止部の一例である。通気口17が、本発明の通気口の一例である。一対の係止突起26A、26B、および一対の係止凹部20A、20Bが、本発明の係止突起、および係止凹部の一例である。上方壁11、下方壁12、右方壁13、および左方壁14が、本発明の第1壁、第2壁、および一対の連結壁の一例である。第2係止クリップ4の一対の弾性片4A、4Bは、本発明の第2係止部の一例である。第2連結部8の係止軸部9が、本発明の第2連結部の係止軸部の一例である。前後方向が、本発明の所定の方向の一例であり、左右方向が、本発明の係止軸部が延びる軸方向の一例である。
【0073】
<変形例>
本発明は、本実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0074】
(1)本実施形態では、本体部6および第2連結部8が一体に成形され、第1連結部7が本体部6と別体に成形される構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、本体部を上下方向に分割して形成し、第1および第2連結部が本体部の一方の分割部分と一体に成形される構成でもよい。
【0075】
(2)本実施形態では、第1連結部7は一対の弾性片23A、23Bを有し、第1係止クリップ3が係止軸部3Aを有し、両弾性片23A、23Bが係止軸部に係合する構成であるが、第1連結部が第1係止クリップと係脱可能に連結される構成であれば、この構成に限定されない。たとえば、第1連結部が係止軸部を有し、第1係止クリップが一対の弾性片を有する構成でもよい。この変形例では、第2連結部は、係止軸部に代えて一対の弾性片を有する構成となる。また、特許文献1の
図2および
図8に示すように、第1連結部および第1係止クリップが、雌レセプタクル、および一対のフックを有する雄ラッチのいずれかを備える構成でもよい。同様に、第2連結部および第2係止クリップが、雌レセプタクル、および一対のフックを有する雄ラッチのいずれかを備える構成でもよい。雌レセプタクルおよび雄ラッチを使用する構成においては、ユーザが一対のフックの係止を解除する操作を行う構成でも、両フックの弾性係止力に抗して雌レセプタクルと雄ラッチとを離脱させる構成でもよい。
【0076】
(3)本実施形態では、上方壁11、右方壁13、および左方壁14と、弾性片23A、および基台24との間に間隙GV、GH1、GH2を有するとともに、通気口27が間隙として弾性片23Aおよび基台24に形成される構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、弾性片および基台と各壁との間に間隙を有しないで、通気口のみを形成する構成でも、反対に、通気口を形成しないで、弾性片および基台と各壁との間に間隙のみを有する構成でもよい。
【0077】
(4)本実施形態では、ホイッスル付きストラップ1が1本のストラップ部2を備える構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、ホイッスル付きストラップが2本のストラップ部を備え、2本のストラップ部の一端が公知の取付手段によりネームタグにそれぞれ取り付けられ、ホイッスルの第1および第2連結部が、2本のストラップ部の他端にそれぞれ固定された第1および第2係止クリップと着脱可能に連結される構成でもよい。
【0078】
(5)本実施形態では、両弾性片23A、23Bと第1係止クリップ3の係止軸部3Aとの間の係止力は、第2係止クリップ4の両弾性片4A、4Bと第2連結部8の係止軸部9との間の係止力より小さく設定される。両弾性片23A、23Bと第1係止軸部3Aとの間の係止力は、通気口27および一対のリブ28A、28Bの形状に応じて設定される構成であるが、この構成に限定されない。たとえば、通気口27および両リブ28A、28Bの形状に代えてまたは加えて、第1連結部が、第2係止クリップより弾性力の小さい材料から形成される構成でも、第1連結部の両弾性片の肉厚が、第2係止クリップの両弾性片の肉厚より薄く形成する構成でもよい。更に、通気口27および両リブ28A、28Bの形状に代えてまたは加えて、第1係止クリップ3の係止軸部3Aの直径より、第2連結部8の係止軸部9の直径を大きくする構成でもよい。
【0079】
(6)本実施形態では、両突出片25A、25Bの上面および基台24の下面が上方壁11および下方壁12の内面と係合することにより、第1連結部7が上下方向において本体部6の収容室19の内部に位置決めされる。両突出片25A、25Bおよび基台24の側面が右方壁13および左方壁14の内面に係合することにより、第1連結部7が左右方向において本体部6の収容室19の内部に位置決めされる。両係止突起26A、26Bが両係止凹部20A、20Bに嵌合することにより、第1連結部7が前後方向において本体部6の収容室19の内部に位置決めされる。しかし、この構成に限定されることはなく、たとえば、両突出片25A、25Bの上面が上方壁11の内面と係合する構成に代えて、両係止突起の上面が両係止凹部の上方内面に係合した状態で、両係止突起が両係止凹部に嵌合することにより、第1連結部が上下方向および前後方向において本体部の収容室の内部に位置決めされる構成でもよい。