(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992303
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】揮散剤容器
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20160901BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20160901BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-263450(P2012-263450)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-108201(P2014-108201A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
(72)【発明者】
【氏名】石塚 徹也
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−332971(JP,A)
【文献】
特開平11−155942(JP,A)
【文献】
特開2010−260587(JP,A)
【文献】
特表2003−510133(JP,A)
【文献】
特開2011−062272(JP,A)
【文献】
特開2007−068846(JP,A)
【文献】
特開2008−136558(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0061886(US,A1)
【文献】
特開平11−332970(JP,A)
【文献】
特開2010−131002(JP,A)
【文献】
特開2005−348627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/12
B65D 83/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部を開口させた口部を有し内容物として揮散剤を収容する容器本体と、該容器本体内の内容物を吸い上げる吸い上げ芯を該口部に保持するホルダーとを備える揮散剤容器において、
微小隙間をあけて積層した複数枚のシート材からなり、前記吸い上げ芯に接触させて内容物の毛細管現象にて該微小隙間に内容物を流動させる積層体を設け、
前記シート材のそれぞれを、メッシュにて形成し、
前記積層体は、ヒンジを介して連結し二つ折り可能となる一対の枠体部分を有する枠体を備え、該枠体は、各枠体部分に前記メッシュを固着するとともに少なくとも一方の枠体部分に前記吸い上げ芯に嵌まり込む環状部を備える揮散剤容器。
【請求項2】
上部を開口させた口部を有し内容物として揮散剤を収容する容器本体と、該容器本体内の内容物を吸い上げる吸い上げ芯を該口部に保持するホルダーとを備える揮散剤容器において、
微小隙間をあけて積層した複数枚のシート材からなり、前記吸い上げ芯に接触させて内容物の毛細管現象にて該微小隙間に内容物を流動させる積層体を設け、
該積層体は、波形に折り曲げて蛇腹状としたシート材を複数枚重ねたことを特徴とする揮散剤容器。
【請求項3】
前記シート材のそれぞれは、その表裏を貫く複数の孔を有する請求項1又は2に記載の揮散剤容器。
【請求項4】
前記積層体は、前記シート材を貫いて前記吸い上げ芯に嵌合保持される筒体を有するとともに該筒体に該シート材と該吸い上げ芯とを接触させる横穴を設けた保持体を備える請求項1〜3の何れかに記載の揮散剤容器。
【請求項5】
前記容器本体に着脱自在に装着される外装壁を有するとともに前記口部に保持される内筒を前記積層体の下方にて延在する連結壁を介して該外装壁に一体連結させたカバー本体と、該カバー本体に着脱自在に嵌め合わされ該積層体を覆う蓋体とを備える請求項1〜4の何れかに記載の揮散剤容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容した芳香剤や消臭剤等の内容物を揮散させる揮散剤容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香剤や消臭剤等の内容物を揮散させる容器として、例えば特許文献1には、揮散性薬剤を収容する容器本体1と、揮散性薬剤を揮散させるための揮散部材3と、容器本体1内の揮散性薬剤の吸い上げ部材2とを有し、揮散部材3と吸い上げ部材2とを当接させる押圧部材5を設けた薬剤揮散容器が示されている。揮散部材3は、吸い上げ部材2にて吸い上げられた薬剤をその内側に浸透させて、より広い面積で揮散させるものであり、薬剤の揮散効率を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−269188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような揮散部材の材料としては濾紙を用いることが一般的であるものの、価格が高く、揮散剤容器の原価削減の妨げになっていた。このため、濾紙を用いる揮散方式に代えてより安価な方法で内容物を揮散させることができる、新たな揮散剤容器が求められていた。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、従来の濾紙を用いる揮散方式に対してより安価となる、新規の揮散剤容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上部を開口させた口部を有し内容物として揮散剤を収容する容器本体と、該容器本体内の内容物を吸い上げる吸い上げ芯を該口部に保持するホルダーとを備える揮散剤容器において、
微小隙間をあけて積層した複数枚のシート材からなり、前記吸い上げ芯に接触させて内容物の毛細管現象にて該微小隙間に内容物を流動させる積層体を設け
、前記シート材のそれぞれを、メッシュにて形成し、前記積層体は、ヒンジを介して連結し二つ折り可能となる一対の枠体部分を有する枠体を備え、該枠体は、各枠体部分に前記メッシュを固着するとともに少なくとも一方の枠体部分に前記吸い上げ芯に嵌まり込む環状部を備える揮散剤容器である。
【0007】
また、本発明は、上部を開口させた口部を有し内容物として揮散剤を収容する容器本体と、該容器本体内の内容物を吸い上げる吸い上げ芯を該口部に保持するホルダーとを備える揮散剤容器において、
微小隙間をあけて積層した複数枚のシート材からなり、前記吸い上げ芯に接触させて内容物の毛細管現象にて該微小隙間に内容物を流動させる積層体を設け、該積層体は、波形に折り曲げて蛇腹状としたシート材を複数枚重ねたことを特徴とする揮散剤容器である。
【0008】
前記シート材のそれぞれは、その表裏を貫く複数の孔を有することが好ましい。
【0009】
前記積層体は、前記シート材を貫いて前記吸い上げ芯に嵌合保持される筒体を有するとともに該筒体に該シート材と該吸い上げ芯とを接触させる横穴を設けた保持体を備えることが好ましい。
【0012】
前記容器本体に着脱自在に装着される外装壁を有するとともに前記口部に保持される内筒を前記積層体の下方にて延在する連結壁を介して該外装壁に一体連結させたカバー本体と、該カバー本体に着脱自在に嵌め合わされ該積層体を覆う蓋体とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
揮散剤を収容する容器本体の口部に、内容物を吸い上げる吸い上げ芯を保持するホルダーを設けるとともに、微小隙間をあけて積層した複数枚のシート材からなり、吸い上げ芯に接触させて内容物の毛細管現象にて微小隙間に内容物を流動させる積層体を設けたので、内容物を、より広い面積となる積層体の外周縁から効果的に揮散させることができる。また浸透性のない通常のシート材を用いることができるので、濾紙を用いる揮散方式よりも安価になる。
【0014】
各シート材に、その表裏を貫く複数の孔を設ける場合は、これらの孔の周縁からも内容物を揮散させることができるので、揮散効率を高めることができる。また、各シート材を波形に折り曲げて蛇腹状シート材としても、シート材の縁部の面積を増やすことができるので揮散効率が高まる。
【0015】
シート材を貫いて吸い上げ芯に嵌合保持される筒体を有するとともにこの筒体にシート材と吸い上げ芯とを接触させる横穴を形成した保持体を設ける場合は、シート材を吸い上げ芯に確実に接触させることができ、またシート材を安定的に保持することができる。
【0016】
各シート材をメッシュにて形成する場合には、メッシュの網目に空気を通すことができるので、揮散効率を高めることが可能となる。
【0017】
ヒンジを介して連結し二つ折り可能となる一対の枠体部分を有する枠体を設け、更に、各枠体部分にメッシュを固着するとともに、少なくとも一方の枠体部分に吸い上げ芯に嵌まり込む環状部を設ける場合は、メッシュを吸い上げ芯に確実に接触させることができ、またメッシュを安定的に保持することができる。
【0018】
容器本体に着脱自在に装着される外装壁を有し、口部に保持される内筒を積層体の下方にて延在する連結壁を介して該外装壁に一体連結させたカバー本体と、カバー本体に着脱自在に嵌め合わされて積層体を覆う蓋体とを設ける場合は、カバー本体及び蓋体にて積層体への不用意な接触を防止することができるので、意図せずに積層体が吸い上げ芯からずれてしまうことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に従う揮散剤容器の一実施形態につき、その要部を示す側面図及び断面図であって、カバーキャップを口部から取り外す前の未開封状態を示す。
【
図2】
図1に示す状態からカバーキャップを取り外し、積層体を取り付けた状態を示す側面図及び断面図である。
【
図3】
図2に示すシート材(一枚)につき、複数の孔を設けた場合の平面図である。
【
図4】
図2に示す保持体につき、(a)は下面図であり、(b)は(a)のA−Aに沿う側面図及び断面図であり、(c)は(a)のB−Bに沿う側面図及び断面図である。
【
図5】
図3のシート材と
図4の保持体を組み合わせた積層体につき、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−Cに沿う側面図及び断面図である。
【
図6】
図5に示す積層体の変形例を示す、側面図及び断面図である。
【
図7】本発明に従う揮散剤容器の他の実施形態を示す、側面図及び断面図である。
【
図8】
図7に示す積層体につき、(a)は積層体を二つ折りする前の平面図であり、(b)は二つ折り後の断面図(破線は二つ折り途中の状態)である。
【0020】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う揮散剤容器の一実施形態につき、その要部を示す側面図及び断面図であって、
図2は、
図1に示す状態からカバーキャップを取り外し、積層体を取り付けた状態を示す側面図及び断面図であって、
図3は、
図2に示すシート材(一枚)につき、複数の孔を設けた場合の平面図であって、
図4は、
図2に示す保持体につき、(a)は下面図であり、(b)は(a)のA−Aに沿う側面図及び断面図であり、(c)は(a)のB−Bに沿う側面図及び断面図であって、
図5は、
図3のシート材と
図4の保持体を組み合わせた積層体につき、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−Cに沿う側面図及び断面図であって、
図6は、
図5に示す積層体の変形例を示す、側面図及び断面図である。
【0021】
図1において、符号10は容器本体である。本実施形態において容器本体10は、有底筒状となる胴部11に肩部12を介して口部13を一体連結していて、その内側に芳香剤や消臭剤等の揮散剤を収容可能としている。また口部13の外周面には、ねじ部14を設けるとともにその下方にリング部15を設けている。
【0022】
符号20は、容器本体10内の内容物を吸い上げる吸い上げ芯である。吸い上げ芯20は、例えばフェルト材やパルプ材、合成樹脂製の多孔質体、繊維束体にて棒状に形成され、図示は省略するが、その下端は容器本体の底部まで延びている。これにより、容器本体10内の揮散剤は吸い上げ芯20に浸透し、吸い上げ芯20の上端まで吸い上げられる。
【0023】
符号30は、吸い上げ芯20を保持するホルダーである。ホルダー30は、吸い上げ芯20が落下しない程度に係合可能な係合筒31と、係合筒31と連結し、本実施形態では上方に向けて傾斜するとともにその後は垂直に起立する形状となる連結部32と、連結部32につながるとともに口部13の開口を覆う水平壁33とを備えていて、水平壁33の下面には口部13に気密に当接するシール筒34を設けている。これにより吸い上げ芯20は、その先端部を口部13より上方に突出させて起立状態で保持される。また、連結部32には、容器本体10内の圧力が過度に上昇することを防止する貫通孔32aを設けている。
【0024】
符号40は、容器本体10に取り付けられて未開封状態を維持するカバーキャップである。カバーキャップ40は、口部13を取り囲む周壁41と、周壁41に一体連結するとともに吸い上げ芯20を覆う天壁42とを備えている。周壁41の内周面にはねじ部43を設けていて、カバーキャップ40は口部13にねじ止め保持される。本実施形態において天壁42は、吸い上げ芯20の先端部を取り囲む有頂筒状の膨出部42aと、膨出部42aの縁部につながるドーナツ板状の水平部42bにて形成されている。更に、膨出部42aの中央部には上方に向けて起立する環状壁42cを設けている。また、天壁42の下面には、ねじ止めによって連結部32と気密に当接する環状のシール壁44を設けていて、カバーキャップ40を取り除くまでは容器本体10を未開封状態で維持することができる。
【0025】
また、
図2に示す符号50Aは、カバーキャップ40を取り除いた後に吸い上げ芯20に取り付けられる積層体である。本実施形態において積層体50Aは、シート材60Aを重ね合わせるとともに、これを保持体70Aに取り付けたものである。
【0026】
シート材60Aは、例えば合成樹脂にて形成されて薄板状となるものであって、本実施形態では
図3に示すように円板状をなしている。またその中央部には、保持体70Aに嵌合保持される矩形状の嵌合孔61Aを設けている。更に、嵌合孔61Aの径方向外側には、シート材60Aの表裏を貫く円形状の複数の孔62Aを設けている。なお、孔62Aを設ける位置は、それぞれのシート材60Aで異なっていてもよい。
【0027】
図4(a)〜(c)に示すように保持体70Aは、本実施形態では円筒状となる筒体71Aを有し、筒体71Aの軸線方向中程には、円板状となるフランジ72Aを備えている。また、フランジ72Aの直下には、筒体71Aの軸心に対して対向して設けられ、筒体71Aを切り欠く一対の横穴73Aを設けている。更に、筒体71Aの外周面には、横穴73Aに対し、筒体71Aの軸心を中心として90度ずれた部位に一対の凸部74Aを設けている。
【0028】
そして、
図5(a)、(b)に示すように、シート材60Aを複数枚重ね合わせた状態で嵌合孔61Aに筒体71Aの下端を挿入し、横穴73Aまで引き上げる。これにより、複数枚のシート材60Aは、凸部74Aにて保持体70Aに嵌合保持される。なお、シート材60Aを重ね合わせた際、各シート材60Aの孔62Aの位置は完全に揃っている必要はないが、最上面に位置するシート材60Aの孔62Aから最下面に位置するシート材60Aの孔62Aまで全て連通していれば、これらの孔62A内を空気がスムーズに流れるので、揮散効率を高める上でより好ましい。
【0029】
また、
図1及び
図2に示す符号80は、容器本体10上に設けられるカバー本体である。カバー本体80は、容器本体10の肩部12に、例えばアンダーカットの如き係合手段にて着脱自在に装着される環状の外装壁81を備えている。また外装壁81の上縁には、水平方向内側に向けて延びる連結壁82を一体連結していて、更に連結壁82の内縁には、口部13のリング部15に押し当たって保持される内筒83を連結している。本実施形態においては、内筒83を縦方向に切り欠くスリット83aを設けて、内筒83を径方向外側に撓み変形できるようにしている。また、外装壁81には、その内外を連通させる揮散孔84を設けている。
【0030】
符号90は、吸い上げ芯20を覆うとともにカバー本体80に着脱自在に装着される蓋体である。また蓋体90は、その内外を連通させる揮散孔91を備えている。
【0031】
上記のような構成となる揮散剤容器を使用するに当たっては、カバーキャップ40及び蓋体90を取り外し、複数枚のシート材60Aを取り付けた保持体70Aを、吸い上げ芯20に挿入する。これにより吸い上げ芯20が、保持体70Aの横穴73Aを介してシート材60Aの嵌合孔61Aに接触する。そして、吸い上げ芯20にて吸い上がった内容物は、毛細管現象にて積層したシート材60A間の微小隙間を流動し、シート材60Aの外周縁及び孔62Aの周縁から揮発して、カバー本体80及び蓋体90の揮散孔84、91を通して外界に放出される。
【0032】
なお、例えばシート材60Aの表面に局所的に突起を形成することや、シート材60Aの表面を粗面化することで、シート材60A間の微小隙間が確実に形成されるようになる。また、孔62Aを設けずに、シート材60Aの外周縁のみから揮発させてもよい。更に、保持体70Aを用いることなく、複数枚のシート材60Aを直接吸い上げ芯20に取り付けてもよい。
【0033】
また、前述の積層体50Aに代えて、
図6に示す積層体50Bを用いることも可能である。ここで積層体50Bは、波形に折り曲げられたシート材60Bを複数枚重ね合わせるとともに、これを前述の保持体70Aと同様の構造となる保持体70Bに取り付けたものである。なお、シート材60Bに、シート材60Aと同様の孔を設けてもよい。
【0034】
更に本発明は、
図7及び
図8に示す、他の実施形態とすることも可能である。
図7、
図8の実施形態は、前述の積層体50Aに代えて積層体50Cを用いるものであり、その他の構成は前述の通りであるので、ここでは説明を省略する。
【0035】
図8に示すように積層体50Cは、シート材としてメッシュ60Cを用いている。本実施形態では、2枚のメッシュ60Cを枠体70Cに固着している。ここで枠体70Cは、各メッシュ60Cをインサート成形にて固着した一対の枠体部分71Cと、これらの枠体部分71Cを折り曲げ可能に連結するヒンジ72Cを備えていて、ヒンジ72Cに対向するそれぞれの縁部に突起73Cと爪部74Cとを設けている。これにより枠体70Cは、2枚のメッシュ60C間に微小隙間を持たせつつ、突起73Cと爪部74Cとの係合にて、二つ折り姿勢を維持している。また、枠体70Cの1つには、環状部75Cを設けている。
【0036】
そして、
図7に示すように吸い上げ芯20に環状部75Cを嵌め込むことで、吸い上げ芯20の先端がメッシュ60Cに接触し、内容物は、積層したメッシュ60C間の微小隙間を毛細管現象にて流動して、メッシュ60Cの外周縁から揮散する。また、メッシュ60Cの網目には空気が流れるので、網目からも内容物を揮散させることができ、揮散効率をより高めることができる。また、網目の粗さを変えるだけで揮散効率を変化させることができるので、内容物に応じた揮散効率の最適化が容易に行えるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によれば、揮散効果を損なうことなく従来の濾紙を用いる揮散方式よりも安価となる、新たな揮散剤容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0038】
10 容器本体
13 口部
20 吸い上げ芯
30 ホルダー
50A、50B、50C 積層体
60A シート材
60B シート材(蛇腹状シート材)
60C シート材(メッシュ)
62A 孔
70A、70B 保持体
70C 枠体
71A 筒体
71C 枠体部分
72C ヒンジ
73A 横穴
75C 環状部
80 カバー本体
81 外装壁
82 連結壁
83 内筒
90 蓋体