(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992316
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】ハロゲン電球
(51)【国際特許分類】
H01K 1/18 20060101AFI20160901BHJP
H01K 1/28 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
H01K1/18 B
H01K1/28
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-275641(P2012-275641)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-120375(P2014-120375A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000168078
【氏名又は名称】江東電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074675
【弁理士】
【氏名又は名称】柳川 泰男
(72)【発明者】
【氏名】堀江 均
(72)【発明者】
【氏名】佐野 雄祐
【審査官】
植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】
実開平03−071553(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3089009(JP,U)
【文献】
特開2005−251418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01K 1/18
H01J 61/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部で気密封止された透光性バルブ、該基部に下端部が埋設された状態で上記バルブの内部に配置された一対の棒状導電性支持体、各々の棒状導電性支持体の下端部に電気的に接続され、上記バルブの外部に露出する電極端子、上記一対の棒状導電性支持体の間に張り渡されたフィラメント、および上記バルブに封入されたハロゲン化合物ガスを含むハロゲン電球であって、
上記の各々の棒状導電性支持体に支持固定され、上記バルブの周方向に沿って該支持体の両側に延びる、上記バルブの内周面に接触して該棒状導電性支持体の振動を抑制する振動抑制具、および少なくとも一方の振動抑制具の両端部の両外側に少なくとも一方の端部とは間隔をあけた位置にて上記バルブに形成された内側に突出する一対の突起を備え、これらの一対の突起により上記振動抑制具の最大の振れ幅が制限されていることを特徴とするハロゲン電球。
【請求項2】
一対の突起が、各々の振動抑制具の両端部の両外側に備えられている請求項1に記載のハロゲン電球。
【請求項3】
一対の突起のそれぞれが、振動抑制具の両端部のそれぞれと間隔をあけた位置にて上記バルブに形成されている請求項1もしくは2に記載のハロゲン電球。
【請求項4】
振動抑制具が金属製のワイヤからなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハロゲン電球。
【請求項5】
金属製ワイヤの両端部が、それぞれ円弧状もしくはリング状に曲げられている請求項4に記載のハロゲン電球。
【請求項6】
各々の振動抑制具が、棒状導電性支持体の上端部もしくはその近傍の部位に支持固定されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載のハロゲン電球。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舞台あるいは放送局のスタジオの照明器具に特に有利に用いることができるハロゲン電球に関する。
【背景技術】
【0002】
演劇やコンサートが行なわれる舞台、あるいは放送局のスタジオには、各種の照明器具が備えられている。これらの照明器具には、例えば、ハロゲン電球が用いられている。
【0003】
ハロゲン電球は、基部で気密封止された透光性バルブ、基部に下端部が埋設された状態で上記バルブの内部に配置された一対の棒状導電性支持体、各々の棒状導電性支持体の下端部に電気的に接続され、上記バルブの外部に露出する電極端子、および上記一対の棒状導電性支持体の間に張り渡されたフィラメントなどから構成されている。透光性バルブの内部には、長時間電球を点灯した場合のバルブやフィラメントの黒化を防止するため、ハロゲン化合物ガスが封入されている。
【0004】
一方、特許文献1には、漁船などの船舶において使用される船舶用集魚ランプが開示されている。船舶用集魚ランプは、バルブ(外囲器)内に発光管とこの発光管を固定したマウント部とを収容した構成を有している。発光管は、一対の電極を有しており、マウント部は、発光管の各電極に接続された導入線を有している。
【0005】
同文献には、上記のような集魚ランプは、漁船が移動する際に波が船体にぶつかることで発生する比較的大きい振動、あるいは漁船に収容された発電機の振動などにより、マウント部がバルブ内で動いたり回転したりして破損するなど耐振性がよくないという問題を有すること、そしてこの問題の解決のため、バルブを固定しているマウント部を保持する保持部をバルブ(外囲器)の内側に突出して形成することにより、バルブとマウント部とが一体となって振動してバルブに対するマウント部の変位が抑制されるため、マウント部がバルブから外れ難くなるので耐振性が向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3089009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハロゲン電球は、厳密に品質検査を行なった上で十分に梱包して出荷されるものの、客先にて電球を点灯すると、短時間でフィラメントが断線し、その後に使用(点灯)することができなくなるとの初期不良の問題を生じることがある。そのような問題を生じたハロゲン電球を詳しく調べると、ハロゲン電球を輸送、特に船舶や航空機で輸送する際に加わる大きな衝撃により、フィラメントを支持している棒状導電性支持体が激しく振動し、この棒状導電性支持体の下端部が埋設されている透光性バルブの基部にクラックが発生し、このため透光性バルブの気密封止が破れることが判明した。透光性バルブの気密封止が破れると、透光性バルブ内に空気(酸素)が入り込み、ハロゲン電球を点灯後に短時間でフィラメントが酸化して断線する。
【0008】
従って、特許文献1に記載の船舶用集魚ランプの場合と同様にして、ハロゲン電球の透光性バルブに内側に突き出る保持部(突起)を形成して、この保持部によりバルブ内部に配置された部品(例、フィラメントを支持する棒状導電性支持体)を保持することにより、ハロゲン電球の耐振性は向上する。
【0009】
しかしながら、ハロゲン電球の透光性バルブに形成した保持部(突起)により、その内部に配置された部品を保持する構造を採用すると、その組み立ての際に、透光性バルブの内部に部品(例、フィラメントを支持する棒状導電性支持体)を挿入しながら、この部品を保持部に保持させるという煩雑な作業が必要になる。また、バルブに形成した保持部(突起)で部品を保持すると、電球の点灯と消灯とを繰り返した際に、保持部で保持した部品が膨張(熱膨張)と収縮とを繰り返すため、この部品から透光性バルブに繰り返し力が加わる。これにより透光性バルブの内面に僅かに傷が生じると、この傷を起点としてバルブが破損し易くなるため、ハロゲン電球の耐久性が低下する傾向にある。
【0010】
本発明の課題は、従来のハロゲン電球と同程度に良好な耐久性と簡単な組み立てを実現しながらも、電球が短時間で使用(点灯)できなくなるとの初期不良の問題を発生し難いハロゲン電球を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明者等が研究を進めた結果、ハロゲン電球を輸送、特に船舶や航空機で輸送する際にハロゲン電球に加わる衝撃は、ハロゲン電球の通常の使用状態では殆ど発生することのない大きなものであるため、そのような大きな衝撃がハロゲン電球に加わった際に、そのフィラメントを支持する棒状導電性支持体に発生する振動の最大の振れ幅を制限することにより、上記課題の解決が可能になることを見出した。
【0012】
従って、本発明は、基部で気密封止された透光性バルブ、この基部に下端部が埋設された状態で上記バルブの内部に配置された一対の棒状導電性支持体、各々の棒状導電性支持体の下端部に電気的に接続され、上記バルブの外部に露出する電極端子、上記一対の棒状導電性支持体の間に張り渡されたフィラメント、および上記バルブに封入されたハロゲン化合物ガスを含むハロゲン電球であって、上記の各々の棒状導電性支持体に支持固定され、上記バルブの周方向に沿って上記支持体の両側に延びる、上記バルブの内周面に接触して棒状導電性支持体の振動を抑制する振動抑制具、および少なくとも一方の振動抑制具の両端部の両外側に少なくとも一方の端部とは間隔をあけた位置にて上記バルブに形成された内側に突出する一対の突起を備え、これらの一対の突起により上記振動抑制具の最大の振れ幅が制限されていることを特徴とするハロゲン電球にある。
【0013】
本発明のハロゲン電球の好ましい態様は、次の通りである。
(1)一対の突起が、各々の振動抑制具の両端部の両外側に備えられている。
(2)一対の突起のそれぞれが、振動抑制具の両端部のそれぞれと間隔をあけた位置にて上記バルブに形成されている。
(3)振動抑制具が金属製のワイヤからなる。更に好ましくは、金属製ワイヤの両端部が、それぞれ円弧状もしくはリング状に曲げられている。
(4)各々の振動抑制具が、棒状導電性支持体の上端部もしくはその近傍の部位に支持固定されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハロゲン電球では、フィラメントを支持する棒状導電性支持体に支持固定された振動抑制具の両端部の両外側に、透光性バルブの内側に突出する一対の突起が備えられている。一対の突起は、上記振動抑制具の少なくとも一方の端部とは間隔をあけた位置に配置されている。
【0015】
本発明のハロゲン電球では、例えば、船舶や航空機で輸送する際に大きな衝撃が加わっても、透光性バルブの一対の突起により、上記振動抑制具の最大の振れ幅が制限されるため、この振動抑制具を支持している棒状導電性支持体が激しく振動することはない。これにより、棒状導電性支持体の下端部が埋設されている透光性バルブの基部におけるクラックの発生が抑制される。従って、本発明のハロゲン電球は、輸送中に透光性バルブの気密状態が破れることが殆どないため、電球が短時間で使用(点灯)できなくなるとの初期不良の問題を発生し難い。
【0016】
本発明のハロゲン電球では、上記の一対の突起の間隔は、振動抑制具の両端部の間の長さよりも広くされている。従って、本発明のハロゲン電球は、透光性バルブの内部に、フィラメントと振動抑制具とを支持する棒状導電性支持体を挿入する際に、振動抑制具を透光性バルブの一対の突起の間に配置すればよく、振動抑制具を一対の突起に保持させる(一対の突起に接触した状態でバルブに対して移動することのないように仮固定する)必要がないため、従来のハロゲン電球(上記突起を持たないもの)と同様に、簡単に組み立てることができる。
【0017】
また、本発明のハロゲン電球では、その点灯と消灯とが繰り返され、振動抑制具が膨張(熱膨張)と収縮とを繰り返した場合であっても、この振動抑制具は一対の突起に保持されていないため、振動抑制具から一対の突起に殆ど力は加わらない。このため、透光性バルブ内面での傷の発生が抑制され、この傷を起点とするバルブの破損も生じ難くなる。従って、本発明のハロゲン電球は、従来のハロゲン電球(上記突起を持たないもの)と同程度に、良好な耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のハロゲン電球の構成例を示す一部切り欠き正面図である。
【
図2】
図1に示すハロゲン電球10の右側面図である。
【
図3】
図2に記入した切断線III−III線に沿って切断したハロゲン電球10の断面図である。但し、振動抑制具15a、15bを除き、ハロゲン電球10の図の紙面よりも奥側にある部分は記入していない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
先ず、本発明のハロゲン電球の代表的な実施態様について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明のハロゲン電球の構成例を示す一部切り欠き正面図である。
図2は、
図1に示すハロゲン電球10の右側面図である。そして
図3は、
図2に記入した切断線III−III線に沿って切断したハロゲン電球10の断面図である。但し、上記の
図3において、振動抑制具15a、15bを除き、ハロゲン電球10の図の紙面よりも奥側にある部分は記入していない。
【0021】
図1〜
図3に示すハロゲン電球10は、基部11aで気密封止された透光性バルブ11、基部11aに下端部が埋設された状態でバルブ11の内部に配置された一対の棒状導電性支持体12a、12b、各々の棒状導電性支持体の下端部に電気的に接続され、バルブ11の外部に露出する電極端子13a、13b、一対の棒状導電性支持体12a、12bの間に張り渡されたフィラメント14、およびバルブ11に封入されたハロゲン化合物ガスから構成されている。
【0022】
このハロゲン電球10は、棒状導電性支持体12a、12bの各々に支持固定され、バルブ11の周方向に沿って上記支持体の両側に延びる、バルブ11の内周面に接触して棒状導電性支持体12a、12bの振動を抑制する振動抑制具15a、15b、および各々の振動抑制具の両端部の両外側に各端部とは間隔をあけた位置にてバルブ11に形成された内側に突出する一対の突起16a、16bを備え、これらの一対の突起16a、16bにより振動抑制具15a、15bの最大の振れ幅が制限されていることに主な特徴がある。
【0023】
詳細には、輸送中のハロゲン電球10に大きな衝撃が加わり、振動抑制具15aを支持する棒状導電性支持体12aが振動した場合であっても、この振動抑制具15aは、その両端部(バルブの周方向における両端部)の両外側に備えられた一対の突起16a、16bの何れかに接触すると、それ以上は周方向に移動することができないため、その最大の振れ幅が制限される。このため、棒状導電性支持体12aが激しく振動することはない。
【0024】
同様に、振動抑制具15bを支持する棒状導電性支持体12bが振動した場合であっても、この振動抑制具15bは、その両端部(バルブの周方向における両端部)の両外側に備えられた一対の突起16a、16bの何れかに接触すると、それ以上は周方向に移動することができないため、その最大の振れ幅が制限される。このため、棒状導電性支持体12bもまた激しく振動することはない。
【0025】
従って、ハロゲン電球10においては、棒状導電性支持体12a、12bの下端部が埋設されている透光性バルブ11の基部11aにおけるクラックの発生が抑制される。このため、ハロゲン電球10は、輸送中に透光性バルブ11の気密状態が破れることが殆どないため、電球が短時間で使用(点灯)できなくなるとの初期不良の問題を発生し難い。
【0026】
図2及び
図3に示されているように、ハロゲン電球10の場合、透光性バルブ11が備える一対の突起16a、16bは、両者の間に配置されている振動抑制具(振動抑制具15aもしくは振動抑制具15b)の各端部とは間隔をあけた位置に配置されている。すなわち、ハロゲン電球10では、上記の一対の突起16a、16bの間隔は、両者の間に配置されている振動抑制具の両端部の間の長さよりも広くされている。従って、ハロゲン電球10は、透光性バルブ11の内部に、フィラメント14と振動抑制具15a、15bとを支持する棒状導電性支持体12a、12bを挿入する際に、振動抑制具15a、15bをそれぞれ透光性バルブ11の一対の突起16a、16bの間に配置すればよく、振動抑制具15a、15bを一対の突起16a、16bに保持させる(一対の突起に接触した状態でバルブに対して移動することのないように仮固定する)必要がないため、従来のハロゲン電球(上記突起を持たないもの)と同様に、簡単に組み立てることができる。
【0027】
また、ハロゲン電球10では、その点灯と消灯とが繰り返され、上記振動抑制具15a、15bが膨張(熱膨張)と収縮とを繰り返した場合であっても、各々の振動抑制具は一対の突起16a、16bに保持されていないため、各々の振動抑制具から一対の突起16a、16bに殆ど力は加わらない。このため、透光性バルブ11の内面での傷の発生が抑制され、この傷を起点とする透光性バルブ11の破損も生じ難くなる。従って、ハロゲン電球10は、従来のハロゲン電球(上記突起を持たないもの)と同程度に、良好な耐久性を示す。
【0028】
以下では、本願発明のハロゲン電球の構成と好ましい実施態様とを、
図1〜
図3に示すハロゲン電球10を代表例として、詳細に説明する。
【0029】
透光性バルブ11は、その基部11aで気密封止されている。透光性バルブ11は、例えば、石英ガラスから形成される。
【0030】
棒状導電性支持体12a、12bは、上記バルブ11の内部に配置され、各々の下端部は、透光性バルブ11の基部11aに埋設されている。棒状導電性支持体12a、12bの各々は、例えば、タングステンなどの金属材料から形成される。
【0031】
電極端子13a、13bは、それぞれ棒状導電性支持体12a、12bの下端部に電気的に接続され、バルブ11の外部に露出している。電極端子13a、13bは、例えば、真鍮などの金属材料から形成される。
【0032】
フィラメント14は、一対の棒状導電性支持体12a、12bの間に張り渡されている。フィラメント14は、例えば、タングステンから形成される。
【0033】
フィラメント14を支持するため、棒状導電性支持体12a、12bの間には、電気的に絶縁性の支持梁17a、17bを付設することができる。支持梁17a、17bは、例えば、石英ガラスから形成される。フィラメント14は、支持梁17aに埋設された四本のワイヤ18aと、支持梁17bに埋設された三本のワイヤ18bによって、支持梁17a、17bの間に支持されている。
【0034】
透光性バルブ11には、ハロゲン化合物のガス(例、CH
2Br
2、CH
2Cl
2、あるいはCH
2Br
2及びCH
2Cl
2)のガスが封入される。ハロゲン化合物ガスには、ハロゲン電球10が点灯してバルブ11が高温である場合にはガス(気体)の状態にあり、電球が消灯してバルブが低温(例えば、室温)である場合には固体の状態にあるものを含む。透光性バルブ11には、ハロゲン化合物ガスの他にも、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガスなどを封入することもできる。
【0035】
本発明のハロゲン電球は、各々の棒状導電性支持体に支持固定された振動抑制具を備えている。振動抑制具は、バルブの周方向に沿って棒状導電性支持体の両側に延びている。振動抑制具は、バルブの内周面に接触し、これにより振動抑制具とバルブとの間に発生する摩擦により、棒状導電性支持体の振動(ハロゲン電球の通常の使用状態において発生する振動)を抑制する。
【0036】
棒状導電性支持体の振動を効果的に抑制するため、振動抑制具は、棒状導電性支持体の両側のそれぞれの部分(好ましくは各端部)において、バルブの内周面に接触していることが好ましい。
【0037】
振動抑制具は、例えば、タングステンに代表される金属材料から形成される。
【0038】
振動抑制具としては、例えば、バルブの周方向に沿って湾曲させた又は折り曲げた板材や棒材を用いることができる。バルブの周方向に沿って湾曲させたり、あるいは折り曲げたりすることが容易であることから、振動抑制具としては、棒材(代表例、ワイヤ)を用いることが好ましい。
【0039】
振動抑制具は、金属製のワイヤから構成することが好ましい。振動抑制具を構成する金属製のワイヤの両端部は、それぞれL字状、円弧状もしくはリング状に曲げられていることが更に好ましい。これにより、ハロゲン電球の点灯中にフィラメントが断線した場合に、一方の棒状導電性支持体が備える振動抑制具の端部と他方の棒状導電性支持体が備える振動抑制具の端部との間での放電の発生を抑制することができる。このような放電が頻繁に発生すると、放電の高温によってバルブが変形あるいは破損することがある。
【0040】
図1〜
図3に示すハロゲン電球10では、振動抑制具15a、15bが、金属製のワイヤから構成されていて、このワイヤの両端部が、それぞれリング状に曲げられている。
【0041】
図1〜3に示すように、振動抑制具15a、15bの各々は、それぞれ棒状導電性支持体12a、12bの上端部もしくはその近傍の部位に支持固定されていることが好ましい。振動抑制具15a、15bの各々とその両端部の両外側に備えられた一対の突起16a、16bとの隙間を所定の間隔に設定した場合に、振動抑制具15a、15bを棒状導電性支持体12a、12bのなるべく上方の位置に固定するほうが、各々の棒状導電性支持体の根本部分(バルブ11の内側に突き出ている部分のうちで、バルブ11の基部11aの側の部分)の振動の振幅を小さくすることができる。なお、棒状導電性支持体の上端の近傍の部位とは、棒状導電性支持体のバルブの内側に突き出ている部分のうちで、その上端からバルブの軸方向に沿う長さの1/3の長さまでの部分を意味する。
【0042】
本発明のハロゲン電球は、少なくとも一方の振動抑制具の両端部の両外側に少なくとも一方の端部とは間隔をあけた位置にてバルブに形成された内側に突出する一対の突起を備えている。
【0043】
なお、
図3に示す透光性バルブ11は、一対の突起16a、16bと対応する位置において、バルブ11の外周面に窪みが形成されている。透光性バルブは、外周面に窪みが形成されていなくともよい(外周面が円筒面であってもよい)。
【0044】
上記の一対の突起は、各々の振動抑制具の両端部の両外側に備えられていることが好ましい。
図3に示すハロゲン電球10では、振動抑制具15aの両端部の両外側に一対の突起16a、16bが形成されていて、そして振動抑制具15bの両端部の両外側にも一対の突起16a、16bが形成されている。これにより、棒状導電性支持体12a、12bの振動が効果的に抑制される。
【0045】
上記の一対の突起のそれぞれは、振動抑制具の両端部のそれぞれと間隔をあけた位置にて上記バルブに形成されていることが好ましい。例えば、
図3に示す振動抑制具15aの両外側には、上記の一対の突起16a、16bが、振動抑制具15aの両端部のそれぞれと間隔をあけた位置にてバルブ11に形成されている。これにより、電球の点灯と消灯とが繰り返され、振動抑制具15aが膨張(熱膨張)と収縮とを繰り返した場合であっても、振動抑制具から一対の突起16a、16bに力が加わることがない。従って、ハロゲン電球10が更に良好な耐久性を示す。
【0046】
図3に示すように、バルブの中心と、一対の突起16a、16bの各突起の頂点とにより形成される角度αを調節することにより、突起16a、16bの側面に対して、振動抑制具がなるべく垂直に近い角度にて接触するように構成することも好ましい。これにより、輸送中のハロゲン電球に大きな衝撃が加わり、振動抑制具15a、15bを支持する棒状導電性支持体12a、12bが激しく振動した場合に、振動抑制具15a、15bが、突起を乗り越え難くなる。このため、振動抑制具の最大の振れ幅を確実に制限することができる。
【0047】
図3に示すハロゲン電球10では、上記の角度αが、100度に設定されている。角度αは、通常は70〜130度、好ましくは80〜110度の範囲内に設定される。
【0048】
本発明のハロゲン電球は、舞台あるいは放送局のスタジオの照明器具に特に有利に用いることができる。このような照明装置には、大型のハロゲン電球が用いられる。大型のハロゲン電球は、一対の棒状導電性支持体が質量の大きいフィラメントを支持しているため、輸送中に大きな衝撃が加わると、棒状導電性支持体が激しく振動して、この棒状導電性支持体の下端部が埋設されている透光性バルブの基部にクラックが特に発生し易い。このため、大型のハロゲン電球では、透光性バルブの気密封止が破れ、電球が短時間で使用(点灯)できなくなるとの初期不良を発生し易い。本発明のハロゲン電球を用いると、このような初期不良の発生を効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 ハロゲン電球
11 透光性バルブ
11a 基部
12a、12b 棒状導電性支持体
13a、13b 電極端子
14 フィラメント
15a、15b 振動抑制具
16a、16b 突起
17a、17b 支持梁
18a、18b ワイヤ