【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの問題は、少なくとも1つの導体が、太陽電池および/またはさらなる導体に、伝導性被覆材を用いて機械的にかつ電気的伝導性を持つように接続される太陽電池によって解決することができる。
【0010】
導体と太陽電池または太陽電池上の導体同士を互いに機械的かつ電気伝導性を持つように接続する伝導性被覆材は、好ましくは、溶液からの電解、すなわちガルバーニ電気的 (通電する)なまたは電気化学的 (通電しない)な堆積の結果であるか、または導体をプラズマ吹付けすることにより生成させる。
【0011】
プラズマ被覆とも呼ばれるプラズマ吹付けプロセスにおいて、直流電圧が通常印加され、陽極と陰極間にアークを生成し、プラズマトーチを通って流れるガスまたはガス混合物がアークを通過し、プロセス中でイオン化される。イオン化によって、正イオンおよび電子からなる、過熱状態(最高20,000K)の、電気的伝導性を持つガスを生成する。粉末(標準的な粒径分布:5〜120μm、特定のデバイスで、最低100nmの粒径が可能)がこのプラズマジェットの中に導入され、プラズマの高温のため、ここで粉末が溶ける。プラズマジェットは粉末化粒子を捉え、コーティングされる被加工物、この場合太陽電池および導体に粉末化粒子を飛ばす。ガス分子は、非常に短期間で早くも安定状態に戻る。したがって、プラズマ温度は、短距離後早くも低下する。プラズマ被覆は、周囲空気中、不活性雰囲気中(アルゴンなどの保護ガスの下)、真空中または水中でさえ実施される。速度、温度およびプラズマガスの組成は、層の品質に重要な要因である。
【0012】
本発明にしたがって太陽電池を製造する利点は、太陽電池と導体または導体と導体を接続する方法が、2つの構成要素のうちの1つを著しく加熱することなく、かつ接続される構成要素に著しく力を加えることなく使用されること、さらに直接の伝導構造がプロセス中で被覆として堆積されるという事実にある。したがって、電池および導体上に加わる歪みは、ハンダ付けまたは接着など従来型の接合技法によるより少なく、破損が少ない結果になる。このことは、ハンダが冷えて硬くなったときに機械的な歪みをもたらす、太陽電池と導体(例えば銅、銀)間の熱膨張係数の違いの問題も回避する。さらに、接着と対照的に、被覆を堆積した有利な方法を適用すると、接着剤が塗布され硬化されたときに生じる、溶剤の放出、接着剤の限界のある通電容量、機械的応力および歪みが回避される。
【0013】
他の知られた方法は、所定の位置に単に伝導性構造を置いて、定常的な圧力を印加することによって、伝導的な接続を作る。この方法での問題は、その定常的な圧力を確実に長年印加すること、および特に太陽電池は日光の下で膨張しその後再び縮むので、導体と太陽電池間に酸化物が形成される可能性があることである。
【0014】
本発明は、ほとんどの部分で、ガルバーニ電気的かつ電気化学的な、好ましくはガルバーニ電気的に製造された機械的でかつ電気的伝導性を持つ被覆材を参照することにより、以下で説明される。ガルバーニ電気的かつ電気化学的な、好ましくはガルバーニ電気的に製造された機械的でかつ電気伝導性を持つ被覆材は好ましい実施形態であるが、これらは、ほとんどの部分で同様にプラズマ吹付け被覆に変えることができる。
【0015】
導体/太陽電池および/または導体/導体および/または太陽電池/太陽電池が接触する一方被覆が堆積される、または導体/太陽電池および/または導体/導体および/または太陽電池/太陽電池がお互いに伝導性堆積、換言すれば、伝導性被覆材が、電解質またはプラズマ堆積工程中、機械的にかつ電気的伝導性を持つように接続されるような、短い距離に配置されると、導体と太陽電池間または導体間の機械的でかつ電気伝導性を持つ接続が形成される。相互堆積被覆によるこの接続は、正確に、導体と太陽電池または2つの導体が互いに電気的伝導性を持つように接触する、あるいは、近接する場所に生じる。したがって、方法は、狭いまたは広い表面積を有する材料間の接続に特に好適である。一方で、構成要素の表面は、機械的な接続および伝導性被覆材を避けるため部分的に絶縁することができ、他方で、伝導性シード層を有するシリコンウエハなど、非伝導材料上に正確に伝導性表面を設計することが可能である。伝導性被覆材によって作られる接続の別の利点は、伝導性被覆材がその組成、厚さおよび寸法に関して均一であり、そのため伝導性被覆材の伝導特性ならびに伝導性被覆材の機械的強度が均一かつ制御可能になる。
【0016】
本発明にしたがう太陽電池の製作に、光誘起またはレーザ誘起電気メッキを使用することが有利である。プロセス中で、意図した領域内の堆積は、温度の局所的上昇および/または光誘起化学励起により制御される。このことによって、シード層の全てまたは部分および絶縁圧力も置き換えられることが可能になる。例えば、レーザを電気メッキされる領域(導体/太陽電池)に沿って動かし、このことにより、堆積を非常に正確に活性化することができる。
【0017】
太陽電池の文脈で使用するとき、一般的に、用語、導体は、太陽電池によって生成される電気を消費者に伝導する、任意の形式の電気的伝導性を持つ接続のことを呼ぶ。従来型の導体は、ワイヤおよび印刷もしくはハンダ付けされた伝導性経路、または太陽電池上に広範囲にわたって電気メッキされた伝導性経路である。1つの好ましい実施形態において、本発明にしたがう太陽電池は、導体が接触指、コレクタ、好ましくはバスバー、より好ましくはバスバー導体(以下でより詳細に説明)および太陽電池接続導体からなる群から選択される太陽電池に関する。接触指などこれらの導体は、太陽電池において電気をタップすることができ、「かつ」電気を直接または好ましくはコレクタまたはバスバー/バスバー導体を介して消費者に伝導する一方、接続導体は、個別の太陽電池をお互いに電気的に接続する。特定の好ましい実施形態において、接触指、コレクタ、好ましくはバスバー、より好ましくはバスバー導体および/または太陽電池接続導体、好ましくは全てのこれらの接続導体などの導体は、導体ワイヤとして設計される。しかし、このことは必須でない。例えば、太陽電池が、太陽電池の表面および/または印刷されたもしくは場合によっては焼き付けた電気的伝導性を持つペーストまたは電気メッキされた伝導性トラックなどの接触指と接触するコレクタ/バスバーをすでに有する場合、太陽電池の表面領域に接触するこれらの導体でさえ、他の導体、特にワイヤ導体と伝導性被覆材の電解堆積またはプラズマ吹付けによって同様に接続することができる。例えば、表面領域が太陽電池と接触する任意の伝導性トラックは、伝導性被覆材の堆積(垂直接続、一方が他方の上にある)によって、または接触表面積を共有する2つのワイヤ導体間で電気的伝導性を持つシード層を電気メッキまたはプラズマ吹付けにより太陽電池に付与すること(水平接続、隣接)によってでさえ、ワイヤ導体によって接続することができる。換言すれば、本発明にしたがう太陽電池において、太陽電池と導体、または導体と導体、または水平に隣接する導体でさえ、一方を他方の上(垂直)に配置することによる、かつ伝導性被覆材上に堆積/吹付けすることによるようなやり方で、機械的かつ電気的伝導性を持つように接続することができる。垂直接続、すなわち、太陽電池と導体および/または導体同士が一方を他方の上に伝導性被覆材によって位置決めされることが、特に好ましい。ここで、接触指またはコレクタおよび接触表面積を有するバスバーの既成のガルバーニ電気的製作と、本発明にしたがって通常の電解で堆積したまたはプラズマ吹付けした被覆によって本発明にしたがって導体/太陽電池または導体/導体など2つの既存の構成要素を接続することを区別する必要がある。
【0018】
本発明にしたがう太陽電池は、任意の幾何形状、サイズおよび太陽電池の技術に適しており、特に結晶太陽電池および薄層太陽電池、好ましくは、シリコーンおよびガリウムヒ素など半導体材料に基づく太陽電池に適している。太陽電池は、本発明にしたがって、同様に有機ベースで製造することができる。
【0019】
1つの好ましい実施形態において、最も一般的な意味で本発明は、好ましくは半導体材料から作られ、特に好ましくはシリコーンまたはガリウムヒ素をベースとし、接点を表および/または裏に有して生成された電気を多くの接触指および少なくとも1つのバスバーによって伝導する太陽電池にも関し、バスバーのうちの少なくとも1つは、その導体が接触指に機械的にかつ電気的伝導性を持つように接続されるバスバー導体として実装される。バスバー導体は、上で記載された堆積被覆と異なり、好ましくは金属ワイヤまたは(特にバック接点電池に適する)通常金属から作られる導体を有する(好ましくは可撓性の)回路板など伝導性の固体物体であり、導体が堆積された伝導性被覆材とともに全体としてバスバー導体を形成し、さらに被覆が確実に太陽電池および/または他の導体と所望の機械的でかつ電気伝導性を持つ接触をする。従来型のガルバーニ電気的に製造されたバスバーでは、バスバー自体がガルバーニ電気的に堆積された塊(伝導性構成要素)であり、バスバー導体が少なくとも2つの構成要素、金属ワイヤなど純粋の導体、および例えば電気メッキされた被覆、電気化学的被覆、プラズマ吹付けした被覆またはハンダなど接触材料からなる。好ましい実施形態において、フロント接点すなわち接触指および/またはバスバー導体は、太陽に面する側に配置される。本発明にしたがうバスバー導体は、通例のハンダペーストおよび電気メッキされたバスバー設計とは対照的に、好ましくはワイヤ形状の導体、したがってワイヤ形状バスバー導体として形成される、接触表面積を有さないバスバーのバージョンである。
【0020】
新規のバスバー導体は、絶縁されない電気的な導体からなる。この導体は、好ましくは、太陽電池の格子構造の開始層またはシード層に電気的伝導性を持つように接続される。好ましくは、この接続は、すでに上で記載された、有利なガルバーニ電気的堆積方法、電気化学的堆積方法またはプラズマ吹付け堆積方法によって実装される。別法として、これらのバスバー導体太陽電池を、従来技術の印刷プロセスとその後に続くベーキングまたは焼成を介して塗布される電気的伝導性を持つペースト内に埋め込む可能性もある。しかし、導体を例えば太陽電池の電気的伝導性を持つシード層に電気メッキすることは、実装するのに技術的により容易で、より費用効果が高い。
【0021】
別の好ましい実施形態において、本発明は、したがってバスバー導体を有する太陽電池に関し、少なくとも1つのバスバー導体が、電気メッキされた被覆によって太陽電池に機械的にかつ電気的伝導性を持つように接続され、バスバー導体が好ましくはワイヤ形状である。
【0022】
別の好ましい実施形態において、本発明は、先に言及したような太陽電池に関し、接触指シード層に電気的伝導性を持つように接続される、少なくとも1つのバスバーシード層が、少なくとも1つのバスバー導体に機械的(好ましくはしっかりと)で、かつ電気的伝導性を持つ接続を有し、バスバーシード層とバスバー間のこの接続は、好ましくは、(i)電気メッキまたは(ii)伝導性ペースト内への埋込みおよびベーキングによって作られた。
【0023】
特に好ましい実施形態において、本発明にしたがう太陽電池の伝導性被覆材は、溶液から電解質的、すなわち電気化学的またはガルバーニ電気的に、またはプラズマ吹付けにより製造された被覆から選択される。好ましくは、本発明にしたがう太陽電池のための伝導性被覆材は、伝導性の金属または金属合金、好ましくは、銅、銀、ニッケルおよび/またはスズ、伝導性の炭化水素および/または炭素、例えばナノチューブおよびフラーレンに基づく伝導性の金属または金属合金からなる。
【0024】
本発明にしたがって使用される伝導性被覆材は、好ましくは、同一または異なる材料、好ましくは異なる伝導性材料から作られる1つまたは複数の被覆層からなる。例えば、ベース材料と互換性があるニッケル層または別の伝導性被覆材を、太陽電池と銅の間の直接接触を防止するために最初に堆積することができ、そうしてやっと、太陽電池構成要素への所望の大規模接続を構築するより安価な材料から作られる銅被覆または伝導性被覆材を、例えば銅ワイヤといった導体に良好な接続をするために堆積することができる。次に、銀、スズまたは別の材料からなる別の被覆層を、銅の酸化を防止するために堆積することができる。好ましくは、各層は、別個のデバイスを使用して施される。
【0025】
本発明に係る、導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体を有し、導体の長さが少なくとも一方の側で太陽電池の表面領域を超えて延在する太陽電池の一実施形態は、太陽電池上に残留して突出する自由な導体端を、後で、個別の太陽電池を電気的に相互接続するために使用して、標準的な太陽電池配置/モジュールを製造することができるという追加の利点を有する。従来技術にしたがって要求される金属帯のハンダ付けは、これらの電気的接続に必要でなく、このことにより、費用を低減し、接続リボンがハンダ付けされなければならない場合のように、個別の太陽電池が破損する危険を回避する。1つの好ましい実施形態において、少なくとも1つの導体、好ましくはコレクタ、より好ましくはバスバー導体が、太陽電池の少なくとも一方側で表面領域を超えて導体突起として好ましく突出し、太陽電池にとっての電気的接続を実現することになる。
【0026】
上で記載したような導体が例えば打抜き、エッチングまたは切断により製造された場合、導体突起には、特に、太陽モジュール内の後続の電気的接続に関して、様々な設計上の可能性が存在する。
【0027】
本発明に係るバスバーの好ましいワイヤ形状の導体は、導体の形状および断面に関して、自由に選択可能である。バスバー導体の断面形状は、好ましくは円形、長円形または多角形であり、好ましくは導体断面が(好ましくは、太陽電池の表面積および導体の材料に依存して)、0.0002mm
2と10mm
2の間、好ましくは0.001mm
2から1mm
2、より好ましくは導体断面が0.02mm
2から10mm
2、好ましくは0.1mm
2から1mm
2を有し、ここでバスバー導体は、好ましくは可撓性かつ展性である。バスバー導体は、標準的な印刷および/または電気メッキされたバスバーよりも、大きく、したがってより低い抵抗を有することができる。それにもかかわらず、比較すると遮光がより少ない。例えば0.4mmの直径を有する丸い銅ワイヤは、例えば銀の伝導性ペーストからなる2mm幅のバスバーより著しく小さな線路抵抗を有し、さらに銀の伝導性ペーストは、銅ワイヤよりもなお一層高価である。
【0028】
1つの好ましい実施形態において、本発明にしたがう太陽電池内の導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体は、バスバーシード層または伝導性ペースト内に埋め込まれることなしに、多数の、好ましくは全ての接触指に、導体、好ましくはバスバー導体の(当然信頼できる)電気的接点を介して接触指上に電気メッキされる。
【0029】
シード層は、通常、太陽電池上の薄く電気的伝導性を持つ層であり、この層は、好ましくは電気的伝導性を持つペースト印刷、または吹付けられた電気的伝導性を持つ粒子、伝導性インク、もしくは伝導性を持つ領域(例えば、TCO[透明導電酸化物]層の領域)、または太陽電池上の核形成領域である。例えば、パラジウム、チタン、チタン/タングステンなどから作られ、シード形成機能を有する、非伝導性シード層も、太陽電池の表面層を活性化することおよび堆積前の導体として好適である。核生成によって、このやり方で活性化された領域内に伝導性被覆材を優先的に堆積させ、このことにより、核生成シード層を完全に被覆する伝導性シード層を生成し、ここで導体/太陽電池/他の太陽電池構成要素を伝導性被覆材の堆積によって電気的に接続することができる。
【0030】
本発明にしたがう太陽電池ならびにそのような太陽電池からなる完成した太陽モジュールにとって高レベルの効率を達成するため、太陽電池の導体、好ましくはコレクタ、より好ましくはバスバー導体のうちの1つまたはいくつかを、薄く、電気的伝導性を持つ管として設計することができる。流体またはガス状の冷却媒体をこの細管を通して移送することができ、このことによって、電気的な導体、好ましくはコレクタ、より好ましくはバスバー導体および太陽電池または太陽モジュールを取り囲む全ての領域を冷却することを可能にする。したがって、1つの好ましい実施形態において、本発明にしたがう太陽電池の、導体のうちの少なくとも1つ、好ましくはコレクタ、より好ましくはバスバー導体は管状であり、したがって冷却媒体が導体のうちの少なくとも1つを通って配管され、電気的な伝導性の効率を増加させることができる。
【0031】
導体の最も簡易な実施形態において、導体は、例えば、銅もしくは銀で作られるまたは銅もしくは銀ベースの、光沢のある配線されたワイヤである。例えば、ニッケルまたはスズからなる銅拡散バリア層を有する銅コアは有利である。より低い伝導度が要求される場合は、鉄-ニッケル合金を同様に使用することができる。導体は、温度の差がより大きいとき、シリコーンと金属間の機械的な張力を均等化するため、記載されるように波状であっても良い。導体は、例えばシートメタルなど好適な半製品から、同様に他の手段により、例えば打抜き、形状エッチングおよび切断により製造することができる。このことによって、温度における差を均等化することに関し、特に汎用性のある形状を製造することが可能になる。より大きな断面積を有する細長い導体について、熱膨張係数がシリコーンまたは半導体材料の熱膨張係数に適合する合金が、同様に好適である。一例は、Kovarという商品名で入手可能な材料である。しかし、Kovarの電気伝導度は、例えば銅の電気伝導度よりもかなり小さい。1つの特に好ましい実施形態において、太陽電池の導体のうちの少なくとも1つ、特に、本発明にしたがう太陽電池のコレクタまたはバスバー導体が細長くまたは蛇行、三角または正弦曲線の形状を有し、太陽電池の導体のうちの少なくとも1つは、ワイヤまたは打抜かれた、エッチングされたもしくは切断された部分により優先的に形成される。
【0032】
導体が太陽電池の熱機械的歪みに適合することがより可能となるように、ソフトアニーリングによって、導体が作られる材料の固体性が減少する場合も有利である。
【0033】
1つの好ましい実施形態において、本発明にしたがう太陽電池は、好ましくは半導体材料または薄層材料からなり、より好ましくはシリコーンもしくはガリウムヒ素または他の半導体ベースであり、導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体の熱膨張係数は、例えば、合金の使用によりまたは物理的処理により、太陽電池ウエハの熱膨張係数に適合する。
【0034】
銀からなる、既知の完全に電気メッキされたフロント接点と比較して、電解質堆積時間、特に電気メッキ時間を、本発明にしたがう太陽電池にとってかなり減少させることができる。なぜならば、導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体は、例えば太陽電池のシード層に、薄層のみを使用して電気メッキしなければならないからである。従来型の電気メッキされたバスバーは、20μm以上の層厚さを有する。しかし、本発明では、例えば5μmの層厚さを有するバスバー導体で十分である。薄い接触指における層厚さは、バスバー領域で使用される5μmよりも厚い、例えば10μmである。なぜならば、接触指は、力線が集中し、電流密度がより高い場所だからである。
【0035】
本発明にしたがうバスバー導体は、その長さが少なくとも一方側で太陽電池の表面領域を超えて延在する場合、別の非常に重要な利点を有する。この、バスバー当たり少なくとも1つの自由な導体端は、太陽電池上に残留する一方、個別の太陽電池を相互接続することにより、通例の太陽モジュールに電気的なリレーを構築するために後で使用することができる。従来技術と対照的に、これらの電気接続を作るため、金属帯をハンダ付けする必要が全くない。このことは費用を減少させるだけでなく、接続リボンがハンダ付けされなければならない場合のように、個別の太陽電池が破損する危険もなくす。上で記載したような導体が打抜き、エッチングまたは切断により製造される場合、導体突起には、特に、太陽モジュール内の後続の電気的接続に関して、様々な設計上の可能性が存在する。さらに、できるだけ有効にかつ費用効果が高く、本発明にしたがう太陽電池配置を製造するために、いくつかの電池を同一の電気メッキプロセス内で相互接続することができる。例えば、DE102007022877A1で示される太陽電池配置など、本発明にしたがう太陽電池配置は、(太陽電池接続導体のように)弾性の、メッシュ様導体ワイヤシステムによって製造し、個別の太陽電池を、直接またはコレクタ接点もしくはバスバー導体接点を介してのいずれかで接続することができる。本発明にしたがう太陽電池の1つの特に好ましい実施形態において、太陽電池接続導体は、1つの方向、すなわち太陽電池の長さまたは幅、好ましくは電流の方向に、少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、最も好ましくは80%を超えて延在する。
【0036】
電気メッキによって伝導性被覆材を製造する別の利点は、電気メッキのために使用される電源との接点自身は電気メッキされず、そのため定期的に洗浄または交換さえする必要がない。
【0037】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの導体によって太陽電池を接続する、かつ/または太陽電池上の導体を互いに接続する方法に関し、少なくとも1つの電気的に伝導性の導体が、溶液から太陽電池上にかつ/または少なくとも1つのさらなる導体上に伝導性被覆材を堆積することによって、機械的かつ電気的に接続される。好ましくは、伝導性被覆材は、電解質的、ガルバーニ電気的、またはプラズマ吹付けにより製造される被覆から選択される。伝導性被覆材が、伝導性の金属または金属合金、好ましくは、銅、銀、ニッケルおよび/またはスズ、アルミニウム、伝導性の炭化水素および/または炭素に基づく金属または金属合金から選択されることがさらに好ましい。さらには、伝導性被覆材は、好ましくは異なる伝導材料で作られる、好ましくは1つまたはいくつかの層の被覆からなる。
【0038】
1つの好ましい実施形態において、導体は、接触指、コレクタ、バスバー導体および太陽電池接続導体からなる群から選択される。
【0039】
特に好ましい実施形態において、本発明は、電解槽中の太陽電池を電気メッキする方法に関し、少なくとも1つの電気的伝導性を持つ導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体が、電気メッキ電流を供給するため、電気メッキされる太陽電池の表面と少なくとも部分的に電気的に接触し、そのためこの導体が、太陽電池に電気メッキによって機械的かつ電気的に永久接続される。
【0040】
好ましい実施形態における本発明にしたがう方法、特に直ぐ上で記載された方法にとって、太陽電池の長さを超えて延在するピックアップまたはキャリアにおける少なくとも1つの導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体は、電気メッキプロセス期間に、電解槽内の太陽電池を支持し、好ましく配置し、好ましく太陽電池をある高さに搬送し、そのため電気メッキされる太陽電池の下側のみが電解
液中に位置決めされる。
【0041】
本発明にしたがう方法の期間、特に直ぐ上に記載の方法の期間に導体と太陽電池の間に接点を形成するため、導体のうちの少なくとも1つ、好ましくはコレクタまたはバスバー導体は、太陽電池に対して、好ましくは、電気メッキされる太陽電池のシード層に対して、導体のうちの少なくとも1つ、好ましくはコレクタまたはバスバー導体を太陽電池の一方側に当てて置くことにより、かつ力を、好ましくは重さの力、加圧力、流体により加えられる動圧、またはスプリング力または太陽電池の反対側の磁石、または流体吸引を加えることにより、押圧または引き込まれる。
【0042】
本発明にしたがう方法ための好ましい実施形態において、電気メッキが使用されるバージョンでは、電気メッキの電流は、電解
液の外側の少なくとも1つの導体突起上の、電解
液レベルの上に突き出る導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体の中に、給電される。
【0043】
本発明にしたがう方法は、連続フローシステム、浸漬浴システムまたはカッププレータ内で、特に効率的にそれゆえ好ましく実装され、そのため、太陽電池上に電気メッキされたまたは電気化学的に堆積されたまたはプラズマ吹付けによって堆積された導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体は太陽電池上に残り、いかなる後続の脱金属化の必要もなく、完了した太陽電池をさらに処理するために使用することができる。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明にしたがう方法は、接触指、コレクタおよび/またはバスバー導体などの導体を太陽電池と接続するため、または導体を相互接続するため使用される。
【0045】
方法は、太陽電池の製造、好ましくは上で言及した本発明にしたがう太陽電池に特に好適である。しかし、本発明にしたがう被覆堆積方法は、任意の形式の電気的な導体を接続するため基本的に好適であり、特にワイヤ、および電気的伝導性であるまたは基板として電気的伝導性にされた材料を有する伝導性被覆材によって、機械的かつ電気的伝導性である接続経路の形式で好適であることが強調される。
【0046】
別の好ましい実施形態において、本発明は、本発明にしたがう太陽電池および本発明にしたがう太陽電池を製造する方法に関し、太陽電池は、コレクタまたはバスバー導体なしで実装または製作される。特に好ましいのは、(i)伝導性被覆材によって接続されるワイヤが接触指上に位置決めされ、かつ/または(ii)伝導性被覆材によって接続されるワイヤが接触指を横切ることである。
【0047】
追加の好ましい実施形態は、本発明にしたがう太陽電池および本発明にしたがう太陽電池を製造する方法に焦点を当てており、太陽電池が、コレクタまたはバスバー導体がなく、かつ接触指もなく実装または製作され、伝導性被覆材によって接続されるワイヤが、例えばシード層または核生成層といった太陽電池の活性堆積領域上に位置決めされる。
【0048】
追加の好ましい実施形態は、本発明にしたがう太陽電池および本発明にしたがう太陽電池を製造する方法に焦点を当てており、太陽電池が、コレクタまたはバスバー導体がなく、かつ接触指もなく実装または製作され、伝導性被覆材によって、太陽電池に接続され、かつ/またはお互いに相互接続される多数の小さいワイヤを介して、電気が伝導される。このことによって、導体の総断面積が多数のワイヤにわたって分割され、これによって抵抗損を最小化することが可能となる。太陽電池の特殊な実施形態において、バスバーおよび指を完全に省くことができ、このことによって、遮光を減少させ、電気の伝達を、表面積にわたって均一に分布させる。
【0049】
電気メッキ法、電気化学的方法およびプラズマ吹付け法における堆積活性領域は、太陽電池の部分または電池の全面でさえあって良い。堆積活性領域は、特に、両極性が一方側に位置決めされ、それぞれの場合で1つのワイヤが1つの極性を担当し、しかし伝導性被覆材が堆積されると両極性が同時に補強される太陽電池用に、一方側に太陽電池の両極性を備えることもできる。
【0050】
伝導性被覆材を堆積するための本発明にしたがう方法、特に電気メッキによる方法が同様に好ましく、極性のうちの第1の極性が堆積または電気メッキされ、次いで新規のワイヤを装備し、次いで第2の極性が堆積または電気メッキされる。代替の実施形態において、本発明にしたがう太陽電池のワイヤは、(例えば金属化によって)部分的に伝導性にされる絶縁されたコアとして、配線を有する回路板と同様に、連続的に伝導性であることができない。
【0051】
本発明にしたがう方法は、太陽電池および導体がお互いの間で機械的かつ電気的伝導性を持つように接続することのためだけに使用できるのではなく、例えば、太陽活性ではない、バイパス機能、保護機能および/または接続機能を有する構成要素など、特殊な要素を有する太陽電池および/または導体が機械的かつ電気的伝導性を持つように接続することのためにも使用できる。さらなる実施形態として、太陽電池を非常に空間的に近接させることができるので、被覆を堆積することによって伝導性接続を形成することができる場合、本発明にしたがう伝導性被覆材によって、太陽電池でさえ、他の太陽電池上に直接接続することができる。
【0052】
第3の態様において、本発明は、電解槽中で太陽電池を電気メッキするデバイスに焦点を当てており、デバイスは、電解槽の電解
液内の太陽電池と、電気メッキされる表面で、好ましくは電気的接触を可能とする、少なくとも部分的な接触をする少なくとも1つの導体、好ましくはコレクタまたはバスバー導体、好ましくはシード層を受けるための手段を備え、好ましくは同時に太陽電池を支持し、導体突起が好ましくは電解
液レベルを超えて延在し、電気メッキ整流器を接続する。
【0053】
好ましくは、そのようなデバイスは、少なくとも、電解槽の電解
液内に位置決めされる伝導物の領域上に、張力を加えるための手段としてピックアップを含む。
【0054】
好ましい実施形態において、本発明にしたがうデバイスは、導体とバッキング層を有する太陽電池またはバッキング層を有さない太陽電池の間に、引張力または押圧力を、好ましくは加圧力、重さの力、磁力、弾性力または吸引として加える手段も含む。
【0055】
本発明にしたがうデバイスが、電解
液レベルが単に太陽電池の下側を超えないところに到達するよう、太陽電池を処理容器内に配置するための手段を含むことがさらに好ましい。
【0056】
本発明にしたがう方法は、太陽電池の太陽に曝される側または表側、裏側または両側さえ、太陽電池の電解処理およびプラズマ吹付け処理に好適である。これを達成するため、処理される側は、電解
液またはプラズマと接触する必要があることになる。
【0057】
以下の実施形態は、限定ではなく例として、電気メッキによって本発明にしたがう方法に関する。
【0058】
本発明にしたがう方法、特にカッププレータを使用する方法において、上を向く、未処理の側は、好ましくは乾いたままとなる。したがって、電解
液に反応する、太陽電池の裏側は、損傷から保護される。電気的接触は、電気的に導電性のシード層が通常備えられる構造化された表面上で直接電解
液の中で生じる。プロセスにおいて、電解槽内で、電解
液中に位置決めされる、陰極接点作用物は、同様にガルバーニ電気的に金属化される。この金属化を、本発明にしたがって使用して、さもなければ慣例である脱金属化プロセスを、完全に省略することができる。本発明にしたがう接点作用物は、少なくとも1つの好ましくはワイヤ形状の、絶縁されない電気的な導体からなる。電気メッキ設備が充填されると、電気メッキされる太陽電池は、少なくとも1つの延在する(好ましくは細長い)導体と接触させられる。プロセスにおいて、太陽電池に設けられた導体、好ましくはコレクタまたはバスバーの経路が、ワイヤ形状の接点作用物の経路と適合するように太陽電池が配置される。太陽電池は、こうして、好ましくは2つの延在する(細長い)導体の上部に載る。これらの導体は、導体および処理される太陽電池の側、好ましくは太陽電池の表側のみが電解
液レベルの下に位置決めされるように、導体の上部に置かれる太陽電池の高さを配置する、電気的に絶縁されたキャリアまたはピックアップによって位置決めされる。連続フローシステムにおいて、キャリアまたはピックアップは、連続フローシステムを通して太陽電池を搬送するためにも使用することができる。カッププレータにおいて、キャリアは、優先的にはこのカップの一体化した構成要素である。導体の端部は、好ましくは太陽電池の縁部を超えて延在するが、キャリアまたはピックアップにおいて上向きに曲げられ、その結果、導体の端部は、電解
液レベルを超えて、導体突起として突出する。したがって、導体の端部は乾いたままとなり、この領域内でメッキされ得ない。同じことが、整流器から電解
液を超えて突出するこれらの導体突起に伝導性の導管を形成する、電気接続にも当てはまる。電気接続は、金属層でコーティングされない。カッププレータの中でさえ、導体の端部は乾いたままである。太陽電池上に配置されるコレクタまたはバスバーに沿う導体は、本発明にしたがって、好ましくは存在するシード層上に電気メッキされる。したがって、導体は、お互いに機械的に強固で電気的に導電性で接続される。好ましく突出する導体の端部と組み合わせて、導体は、永続的な単位を形成する。したがって、接点作用物は、脱金属化する必要がない。導体の突出する端部または導体突起は、有利なことに、後で、太陽モジュール内の太陽電池の電気的な相互接続に使用することができる。接続するまたは拡張する導体のハンダ付けは、以前は、そのために必要であったが、本発明にしたがう方法では完全に不必要である。
【0059】
壊れやすい太陽電池は、本発明にしたがう電気メッキシステム内で導体上に位置決めされ、これらの導体にガルバーニ電気的に付着されるので、壊れやすい太陽電池を、連続フローシステムを通して、非常に安全かつ穏やかに、すなわち破損することなく搬送することができる。電気メッキされる表面をグリッド構造上に直接電気的に接続することも、太陽電池を電気メッキ電流のために低抵抗にするための、電解
液内の強度の光源によって、よく知られたLIP法(光誘起電気メッキ)で使用される照明を必要としない。このことによって、本発明にしたがう太陽電池の製造で、かなりの量のエネルギーを節約する。
【0060】
コレクタおよびバスバー、好ましくはバスバー導体の断面を、導電性要件に適合させることができる。スクリーン印刷法を使用して塗布された導電性ペーストまたは電気化学的に金属化したバスバーと比較して、有利なことに、断面が著しく大きな寸法を有する場合でさえ、導電性ワイヤが電気メッキされる場所で、太陽電池上の遮光される領域が著しく減少する。本発明にしたがう電気メッキ法は、フロント接点の従来型の完全な電気メッキと比較して、より短い露出時間も可能になる。好ましいシード層との、コレクタまたはバスバーなど本発明にしたがう機械的かつ電気的に接続する導体には、わずか約5μmの層厚さが要求される。これは、よく知られた電気メッキ法の層厚さの約20%という量になる。露出時間は、相応してより短くなる。
【0061】
他の利点、特徴および詳細が、少なくとも一実施形態が図面を参照して詳細に記載される以下の記載に見られる。記載される、かつ/または描かれる特徴は、それ自体が、または任意の有用な組合せが、適用可能な場合、特許請求の範囲とは無関係に、本発明の主題を形成し、具体的にかつ加えて、1つまたは複数の別個の発明の主題でもあり得る。同一、類似および/または機能的に均等な部分は、同一の引用符号を備える。
【0062】
わかりやすくするために、以下の記載は、バスバー導体と太陽電池の間の接続のみが電気メッキ被覆によって形成される実施形態に限定される。この形式の機械的かつ電気的伝導性を持つ接続は、当然、太陽電池と接触指および太陽電池接続導体など他の導体の間の接続、および接触指とバスバーまたはバスバー導体の間など、導体自身間の導体相互接続に、同様に移すことができる。さらに、本発明は、例として、表側(太陽に曝される側)接点および導体実装用に以下で記載される。しかし、本発明にしたがって、対応する裏側への実装も、同様に意図される。