(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
以前に癌の治療を受けたことがあり、前記治療に応答しなかったか、あるいは前記治療に以前に応答したが、その後再発したかのいずれかである患者の癌の治療のための医薬の製造における、ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体もしくはその抗原結合断片、またはICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体もしくは抗原結合断片のバリアント、融合体、もしくは誘導体の使用であって、
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列を含み、
前記バリアントは、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
治療すべき癌がリンパ増殖性障害である、使用。
以前に癌の治療を受けたことがあり、前記治療に応答しなかったか、あるいは前記治療に以前に応答したが、その後再発したかのいずれかである患者の癌の治療のための医薬の製造における、ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体もしくはその抗原結合断片、またはICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体もしくは抗原結合断片のバリアント、融合体、もしくは誘導体の使用であって、
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列を含み、
前記バリアントは、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
治療すべき癌が多発性骨髄腫である、使用。
抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、またはその誘導体の有効量が、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、またはその誘導体の約0.1μg〜5gである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
抗体もしくは抗原結合断片、またはそのバリアント、融合体、もしくは誘導体が、Fv断片;Fab断片;およびFab様断片からなる群から選択される抗原結合断片を含むか、あるいはそれからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【実施例】
【0157】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を具体化している。本実施例で使用されている特異的抗体は、本発明の原理を説明するのに役立つものであり、その範囲を限定する意図ではないことが理解されるであろう。
【0158】
以下の実施例は、添付した図面を参照して説明される:
図1は、インビボでのCD20発現腫瘍に対する顕著な抗腫瘍活性を有する新規なICAM−1抗体が、組み合わされた差異的バイオパニングおよびプログラム細胞死スクリーニングによってどのように単離されるかを示す。(I)腫瘍関連受容体に特異的な抗体のための差異的バイオパニング、(II)プログラム細胞死(PCD)スクリーニング、(III)標的識別、(IV)インビボ抗腫瘍活性。
【0159】
図1(I)は、Bリンパ腫標的細胞に対する選択性を有する抗体が、競合的連続差異的バイオパニング法を用いてどのように取り出されたかを示し、ここでは、膜小胞の形態の過剰サブトラクター細胞抗原と共に全細胞の形態の標的細胞抗原が、一斉にナイーブなn−CoDeR(登録商標)抗体ファージライバラリーの対象となった。
【0160】
図1(II)は、ハイスループットプログラム細胞死スクリーニングが、複数のB細胞リンパ腫PCD誘導抗体を単離するためにどのように使用されたかを示す。B細胞リンパ腫細胞は、候補抗体の滴定濃度およびハイパー架橋の存在下で一晩培養し、アポトーシスは、アネキシンV−AF488とヨウ化プロピジウムの併用染色後にフローサイトメトリーを用いてモニタリングされた。
図1(II)(i)は、機能的に分離されたBI−505抗体により誘導された、それぞれ初期アポトーシス細胞と後期アポトーシス細胞の典型的な高分子への膜ブレビングと細胞膜の透過性を示している。
図1(II)(ii)のグラフは、アネキシンV−488陽性として測定された死んだ細胞の割合を示す。
【0161】
図1(III)は、標的識別が、全ヒトIgGの溶解および免疫沈降、次いでプロテインAセファロースで架橋させたRajiまたはRamosのBリンパ腫細胞上でどのように行われたかを示す。抗体特異的なバンドを切り出し、トリプシン消化に供し、MALDI−TOFによって分析した。BI−505により沈殿した単一のバンドは、ICAM−1として同定された。ICAM−1の確立された存在は、最大50倍モル過剰の可溶性組換えICAM−1やVCAMによるブロッキングの研究によって確認された。PC−3細胞へのBI−505のMFIは、フローサイトメトリーにより測定された。点線はネガティブ対照抗体を表し、灰色の実線のヒストグラムは、プレブロッキングがないBI−505のMFIを表している。BI−505は、組換えVCAMまたはICAM−1でプレブロッキングされた。
図1(III)(iii)は、ELISAプレートを組換えヒトICAM−1、ICAM−2、またはICAM−3で被覆し、ICAM−1へのBI−505の結合を、発光プロトコルを用いて検出したことを示す。抗ICAM−2およびαICAM−3抗体は、ICAM−2およびICAM−3をそれぞれ検出するための陽性対照として用いた。
図1(IV)は、PCD誘導ICAM−1抗体の治療の可能性をさらに調査するために、BI−505のインビボ抗腫瘍活性が、2種類の十分に特性化されたCD20発現腫瘍B細胞株ARH−77またはDaudiのいずれかを用いて移植された免疫不全scidマウスを含む腫瘍モデルでどのように評価されたかを示す。
【0162】
図2:BI−505は、SCID/ARH−77骨髄腫およびDaudi異種移植片モデルにおいて顕著なインビボ抗骨髄腫効果および効力を示す。
【0163】
腫瘍細胞をSCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。マウスは、20、2および/または0.2mg/kgの用量で腫瘍細胞接種の1日後から、BI−505、対照抗体またはリツキシマブを、週2回腹腔内注射を受けた。処置群あたり8匹〜10匹のマウスであった。(A)抗体用量の関数としての腫瘍体積。(B)抗体用量の関数としてのカプラン−マイヤー生存率グラフ。(C)フローサイトメトリーによって分析されたエピトープ発現。統計的有意性は、Graphpad InstatまたはPrismソフトウェアをそれぞれ使用するDunnの多重比較検定(腫瘍体積)またはログランク検定(マウスの生存率)によるクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて、対照の抗体処置と比べて計算された。統計的有意性は、
*p<0.05、
**p<0.01、および
***p<0.001を考慮した。
【0164】
図3:BI−505は、SCID/ARH−77骨髄腫異種移植片モデルにおいて顕著なインビボ抗骨髄腫効果および効力を示す。
【0165】
腫瘍細胞をSCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。腫瘍細胞接種後の翌日から、0.02〜20mg/kgの用量でBI−505を週2回マウスに腹腔内注射した。処置群あたり8匹〜10匹のマウスであった。(A)抗体用量の関数としての腫瘍体積。(B)抗体用量の関数としてのカプラン−マイヤー生存率グラフ。統計的有意性は、Graphpad InstatまたはPrismソフトウェアをそれぞれ使用するDunnの多重比較検定(腫瘍体積)またはログランク検定(マウスの生存率)によるクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて、対照の抗体処置と比べて、計算された。統計的有意性は、
*p<0.05、
**p<0.01、および
***p<0.001を考慮した。グラフは、実施したいくつかのうちの代表的な実験を示している。(C)腫瘍細胞株上のBI−505のエピトープ飽和は、BI−505濃度の関数としてプロットした。(D)DaudiのBリンパ腫細胞は、BI−505または対照抗体と架橋性2次Fab’2ヤギ抗ヒトFc抗体の存在下16時間インキュベーションされ、細胞死誘導がアネキシンV/ヨウ化プロピジウムで細胞染色後に測定された。BI−505による細胞死誘導は、濃度の関数としてプロットした。実験は3連行い、各実験を少なくとも5回繰り返した。グラフは、個々の実験(n=5×3)からプールされた正規化されたデータを示す。(E)血液サンプルは、インビボでの異種移植実験での過程での異なる時点で収集し、BI−505トラフ濃度を測定するためにELISA法により分析した。インビボ抗腫瘍活性は、トラフのBI−505血清濃度としてプロットし、5パラメータのlog−log曲線とXLfitソフトウェアを使用して適合させた。(F)インビトロ抗腫瘍活性およびBI−505エピトープ飽和間の相関関係。(G)インビボ抗腫瘍活性およびBI−505エピトープ飽和間の相関関係。
【0166】
図4は、多発性骨髄腫患者が、著しいBI−505エピトープ発現を有することを示している。(A)多発性骨髄腫の患者の特性およびBI−505エピトープ発現。(B)骨髄腫細胞対正常B細胞上のBI−505エピトープ。
【0167】
図5は、BI−505がインビボで広範囲の、ICAM−1依存性抗骨髄腫活性を有することを示す。
【0168】
NCI−H929、EJM、RPMI−8226、またはOPM−2骨髄腫細胞を、0日目にSCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。2mg/kgのBI−505または対照IgG1による抗体治療は、1日目に開始され、週2回腹腔内投与計画で継続した。腫瘍の大きさは、倫理的な限界に達したときにマウスを屠殺した。IgG B11は、ICAM−1陰性細胞株OPM−2を用いて異種移植された動物で腫瘍の成長に効果を有しなかったが、このことは、抗骨髄腫活性が、ICAM−1依存性であることを実証した。(A)は、実施された2つの実験(黒丸はBI−505処置を示し、白丸は対照IgG1処置を示す)のうち、1つの代表的実験からのデータを示している。(B)は、2つの独立した実験からプールされた正規化されたデータを示す(処置群あたりn=8〜10匹の動物。黒色バーは、BI−505処置群を示し、白色バーは、対照IgG1処置群を示す)。統計的有意性が、マン・ホイットニーのノンパラメトリック分析とGraph Pad Instatプログラムを使用して対照抗体処置と比較して計算された。統計的有意性は、
*p<0.05、
**p<0.01、および
***p<0.001を考慮した。
【0169】
図6:BI505は、進行した実験的な多発性骨髄腫に対して保護する。
【0170】
ARH−77細胞またはRPMI−8226をSCIDマウスに静脈内注射した。(A)ARH−77モデル。マウスは2mg/kgの抗体または0.5mg/kgのボルテゾミブ(ベルケード)を7日目、10日目、13日目、および16日目(グラフに矢印で示されている)に静脈注射された。(B)RPMI−8226モデル。BI−505または対照mAbを、8週間にわたって週2回、2mg/kgで静脈内投与し、ボルテゾミドを、8週間にわたって週1回、1mg/kgで投与し、レナリドミドを、治療の5日間と休薬の2日間からなる2サイクルの間、2mg/kgで経口投与し、メルファランを、8週間にわたって週1回、3mg/kgで静脈内投与し、デキサメタゾン(DXH)を、連続2週間、週3回、6mg/kg/注射で投与した。処置群あたり6〜10匹のマウスであった。統計的有意性は、ログランクGraphPad Prismソフトウェアを用いて計算し、
***p<0.001で決定された。(C)ヒト細胞のICAM−1レベルを調べるために、異なる臓器由来の細胞を染色し、CD38+/mCD45−/BI−505+に対してゲートをかけた。左側のパネルは、CD38+/mCD45集団のBI−505陽性細胞のパーセンテージを示し、右側のパネルは、陽性細胞の平均蛍光強度を示す。
【0171】
図7は、BI−505のFcγR結合能が、インビトロおよびインビボ抗腫瘍活性と相関していることを示す。
【0172】
(A)ARH−77細胞をSCIDマウス(1群当たりn=8)の左脇腹に皮下注射した。マウスを週に2回、異なるBI−505アイソタイプで処置した。(B)異なる組換えFcγRsへのBI−505アイソタイプの結合を、Biacoreを用いて測定した。BI−505 IgG1(IgG4またはN297Q−変異体ではない)は、マウスFcγRIV、すなわちマウスのFc媒介活性に関与する主要なFc受容体へ強い結合を示した。(C)ADCCを、エフェクター細胞としての異なる比率でのナチュラルキラー細胞と、標的細胞としてのBリンパ腫細胞株(CL−01)を用いて検討した。予想されたように、BI−505のみが、腫瘍細胞のFcγRIIIA依存性ADCCを媒介した。(D)BI−505アイソタイプは、ヒトFcγRIIIA、すなわち、主要なヒトADCC媒介受容体に異なる親和性で結合したので、ADCC活性と抗腫瘍効果との相関関係が観察された。(E)処置マウスからのARH−77異種移植組織を染色し、BI−505処置マウスでの腫瘍組織のマクロファージ浸潤がリツキシマブおよび対照IgG処置マウスに比べて大幅に増加したことを示したF4/80陽性面積を定量した。バーは、40μmである。図は、測定された組織におけるF4/80陽性面積のパーセンテージを示している。統計的有意性は、Dunnの多重比較検定によるクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて、対照抗体処置に対して計算された。統計的有意性は、
*p<0.05、
**p<0.01、および
***p<0.001を考慮した。
【0173】
図8は、(A)ARH−77および(B)Daudi異種移植モデルでのリツキシマブと比較した、BI−505/IgG B11の高い有効性と効力を示す。
【0174】
図9は、BI−505、リツキシマブまたは対照のいずれかで処置された腫瘍が全て、類似のかなりの量のCD20およびICAM−1抗体標的エピトープを発現することを免疫組織化学的分析により示している。
【0175】
図10は、(A)MM骨髄細胞の免疫表現型染色パネルを示す。(B)は、モノクローナル発現を確認して、CD38、CD138およびCD56の高発現ならびにCD45欠損について選択するために使用されるフローサイトメトリー分析を示す。B11エピトープの発現は、その後、患者#7(+)、#8(++)および#10(+++)に対して測定した。(C)は、患者(1)、再発後(2)、および再発の処置後(3)の骨髄腫細胞におけるB11エピトープの発現を示す。
【0176】
図11は、BI−505の生成したアイソタイプ・スイッチ・バリアントの標的タンパク質の結合親和性に対する近似のEC
50値を示す。
【0177】
図12は、B細胞のアポトーシス、T細胞の増殖、抗体依存性細胞媒介性細胞障害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)およびサイトカイン放出(特にTNF−αおよびIL−8)は、B11処置により、全て著しい影響を受けないことを示す。
【0178】
図13は、BI−505が、対照処置マウス(p<0.001)と比較して、そして、4つの異なるSOC療法(レブリミドまたはベルケードと比較してp<0.05;デキサメタゾンまたはアルケランと比較してp<0.001)と比較して、播種性のMM異種移植片モデルにおける生存率を有意に増強することを示す。N=6〜10/グループ
【0179】
図14は、ケア薬剤の規格を有する播種性MM細胞で異種移植されたマウスの治療が、ICAM−1を発現するMM細胞の数(A)またはICAM−1発現レベル(B)のどちらにも影響を及ぼさないことを示す。
【0180】
図15は、B11の抗体可変重鎖(B11−VH)および可変軽鎖(B11−VL)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0181】
実施例1−本発明で使用される材料と方法
試薬、細胞、および動物
IgG
1 B11のいくつかのバッチは、CHO細胞から安定に発現させたか、あるいはHEK293細胞で一過性に発現させたかのいずれかであった。IgG
4 B11および297Q B11は、HEK293細胞で一過性に発現した。対照抗体IgG
1CT17またはIgG
1FITC−8GAは、HE293細胞で一過性に発現した。抗体のエンドトキシン濃度は、LAL−変形細胞試験で測定されるように<0.1IU/mLであることが分かった。リツキシマブ(Roche社製)ボルテゾミブ(Jannsen−Cilag社製)、レナリドミド(Celgene社製)、メルファラン(GlaxoSmithKline社製)およびデキサメタゾン(Mylan社製)は、地元の薬局(スウェーデンのルンドおよびフランスのディジョン)から購入した。ARH−77、RPMI−8226およびDaudi細胞株は、米国培養細胞系統保存機関(ATCC、スウェーデン)から得られ、NCI−H929、EJM、およびOPM−2細胞株は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ、ドイツ)から入手した。全ての細胞は、供給者が推奨する培養培地中で維持した。細胞の対数増殖は、異種移植用の細胞を採取する前に確実に行われた。CT.17系統の雌scidマウスは、デンマークのTaconic社から入手し、7〜8週齢でその後の研究に使用した。動物実験は、動物実験の倫理指針に従って行い、動物を使用する全ての手順は、地元のルンド/マルメ倫理委員会によって審査され、承認された。
【0182】
多発性骨髄腫患者の細胞ICAM−1発現の分析
インフォームドコンセントの後、地元の倫理委員会からの承認を得て、ルンドのSkanes大学病院の血液学科における多発性骨髄腫や関連疾患(形質細胞腫、形質細胞性白血病、アミロイド軽鎖アミロイドーシス)のために調査された18人の患者からの骨髄吸引物は、形質細胞を認識する4つの抗体パネルを用いたフローサイトメトリーによって分析した(実施例2を参照のこと)。臨床データは、患者チャートから得た(
図4A)。
【0183】
プログラム細胞死(PCD)アッセイ
標的細胞を2×10
6細胞/mLの培養培地濃度で96ウェル培養プレートに播種した。滴定濃度のIgG
1 B11または異なる陰性および陽性対照抗体は、架橋のための抗ヒトFab断片の非存在下または存在下(Jackson ImmunoResearch)において、細胞に添加した。次に、細胞を5%CO
2の加湿雰囲気中37℃で16時間インキュベートした。細胞を回収し、アネキシンV−488/ヨウ化プロピジウム(Invitrogen社製、スウェーデン)に対して染色し、フローサイトメーター(FACS Calibur、BD Bioscience社製)を用いて分析した。
【0184】
抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)
ヒトのドナーからのバフィーコート(ルンドのBlodcentralen社を通じて注文)は、末梢血単核細胞(PBMC)、その後NK細胞を分離するために使用された。簡単に説明すると、末梢血液成分は、Ficoll Paque PLUS(Amersham Biosciences社製、スウェーデン)を使用してLeucoSepチューブ(Greiner Bio−One社製)内に分離した。PBMC画分を除去し、氷冷DPBS(Invitrogen社製)で十分に洗浄後、陽性または陰性のNK細胞単離キットとMACS LSカラム(Miltenyi Biotec社製)を用いて、NK細胞集団を磁気標識し、分離した。得られたNK細胞画分の純度は、α−CD56抗体(BD Biosciences社製)で染色した後、フローサイトメトリーを用いて分析した。標的細胞を回収し、氷上で60分間それぞれの抗体(2μg/mL)の有無にかかわらず培地中でインキュベートした。細胞は、その後洗浄し、冷培地中に再懸濁後、FACSチューブに分注した。その後、分離されたNK細胞は、ADCC培地に希釈し、エフェクター/標的細胞の比を変えて(40:1、20:1、5:1および1:1)、それぞれの抗体コート標的細胞と一緒に分注した。全ての実験は3連行った。インキュベーション終了後、ToPo−Pro−3染料と計数ビーズ(Invitrogen社製)を添加し、フローサイトメトリーを用いて細胞の膜透過性について分析した。
【0185】
補体依存性細胞傷害(CDC)
標的細胞を採取し、5μg/mLあるいは0,01〜100μg/mLの滴定濃度の抗体を用いて、RPMI培地中、氷上で60分間インキュベートした。細胞を、その後洗浄し、冷培地中に再懸濁後、フローサイトメトリーチューブに分注した。治療は3連行った。正常または熱不活化のヒト血清(Sigma社製、スウェーデン)をチューブに添加し、サンプルを37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション終了後、ToPo−Pro−3を0.3μΜの最終濃度で添加し、フローサイトメトリーを用いて細胞の膜透過性について分析した。
【0186】
FcγRへ結合するBI−505アイソタイプバリアント
His−タグヒトFcγRIIIaまたはマウスFcγRIVを、付着性HEK293E細胞で一過性発現させ、Ni−NTAクロマトグラフィーを用いて精製し、SDS−PAGEおよび/またはBiacoreを用いて特性化した。表面プラズモン共鳴(SPR)測定は、Biacore3000機器を使用して実行した。ヤギα−ヒトF(ab)’2 F(ab)’2断片(Jackson laboratories社製)は、標準アミンカップリングプロトコルを使用してCM−5チップで固定化した。IgG
1 B11、IgG
4 B11、または297Q B11を、それぞれ15および60μg/mLに希釈し、その表面に3分間10μL/分で添加した。Hisタグ付ヒトFcγRIIIaまたはマウスFcγRIVをチップ表面に30μL/分で1分間添加する前に、2:1のモル比のα−HIS抗体(R&D Systems社製)を用いてプレインキュベートした。各サイクルの後、その表面をグリシン緩衝液pH1.7で2回再生した。
【0187】
腫瘍増殖
皮下移植:
マウスは、骨髄腫細胞接種前にセボフルランと酸素の混合物で麻酔し、その後、1〜5×10
6個の骨髄腫細胞を100μlの容量で左脇腹皮下に注射した。腹腔内(i.p.)注射での抗体による治療は、細胞接種(予防モデル)後の翌日、または腫瘍が約100mm
3のサイズに達したとき(確立されたモデル)のいずれかの日に開始した。抗体は200μl総容量のPBSで投与した。PBSまたはアイソタイプ対照による治療を対照として用いた。腫瘍は、デジタルキャリパーで測定し、腫瘍体積は、式:幅
2×長さ×0.52に従って算出した。腫瘍の大きさが1.5cmの倫理的な限界に達したときに動物を屠殺した。生き残ったマウスは最大5カ月後に屠殺した。大静脈から採取した血液サンプルは、血清を得るために15分間2500gで遠心分離し、サンプルを−20℃で保存した。腫瘍は、免疫組織化学のために切除し、急速凍結し、−85℃で保存した。
【0188】
多発性骨髄腫の播種モデル:
BI−505の抗骨髄腫効果は、多発性骨髄腫の播種モデルを用いて検討した。多発性骨髄腫の早期および進行播種モデルは、フランスディジョンのOncodesign社で行われた。簡単に説明すると:200μLのRPMI 1640中、1×10
6(早期)または5×10
6(進行)個のARH−77腫瘍細胞を雌scidマウス(0日目)の尾静脈内に静脈内注射(iv)した。腫瘍細胞の注射は、マウスの放射線全身照射(1.8Gy、
60Co、INRA、BRETENNIERES)後、24〜48時間実行した。治療は、10日目に投与されたアルケランを除き、5日目(RPMI−8226モデル)または7日目(ARG−77モデル)に開始された。BIIまたは対照mAbは、8週間にわたって週2回、2mg/kgで静脈内投与され、ボルテゾミブは、8週間にわたって週1回、1mg/kgで静脈内投与され、レナリドミドは、治療の5日間と休薬の2日間で構成される2サイクルの間、2mg/kgで経口投与され、メルファランは、8週間にわたり週1回、3mg/kgで静脈内投与され、そしてデキサメタゾンを、6mg/kgを2週間連続して注射した。
【0189】
統計分析
腫瘍成長阻害の統計分析は、図の説明文に記載されているように、Dunnの多重比較検定またはマン・ホイットニーのノンパラメトリック分析を用いたクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を使用して、対照抗体治療と比較して計算された。抗体媒介マウスの生存率の統計的分析は、ログランク検定とGraphpad Prismソフトウェアを用いて計算した。統計的有意性は、
*=p<0.05、
**=p<0.01、
***=p<0.001を考慮した。
【0190】
実施例2:組み合わされた差異的バイオパニングとプログラム細胞死スクリーニングにより単離された新規なICAM−1抗体は、インビボでのCD20発現腫瘍に対して競合的抗腫瘍活性を有する。
我々は、連続的な差異的バイオパニングとハイスループットなプログラム細胞死スクリーニング(実施例1を参照のこと)を適用して、異なる腫瘍細胞関連表面受容体を標的とする複数のB細胞リンパ腫プログラム細胞死(PCD)誘導抗体を、インビトロでCDRシャッフルされたナイーブヒト抗体ライブラリーn−CoDeR(Biolvent社製)から、
図1の中で要約されるように、単離した。単離された抗体のうち、我々は、ICAM−1に特異的な抗体を同定した−以前は抗体と関連付けられなかった受容体が腫瘍PCDを誘導した。抗ICAM−1抗体は、CD20発現腫瘍細胞株およびCD20陰性腫瘍細胞株の両方においてPCDを誘導したが、これは広範な治療適用性を示した。ICAM−1に対するIgG B11の高い特異性とDaudiリンパ腫細胞を発現するICAM−1における用量依存性のPCD誘導は、
図1に示される。
【0191】
さらにPCD誘導ICAM−1抗体の治療の可能性を検討するために、我々は、2つのよく特徴づけられた、CD20を発現するB細胞悪性腫瘍細胞株;ARH−77またはDaudi(
図1のパネルIV)のどちらかを移植した免疫不全scidマウスを含む腫瘍モデルにおいて、IgG B11のインビボ抗腫瘍活性を評価した。これらの細胞株は、それぞれ、多発性骨髄腫(24〜48)および非ホジキンリンパ腫(49、50)の異なるモデルでの効果や効力を調査し、特徴づけるために広範囲に利用されてきた。両細胞株は、CD20抗原を発現し、臨床的に検証されたCD20特異的抗体のリツキシマブによる抗腫瘍効果と効力の比較を可能とした。
【0192】
ARH−77細胞の皮下注射は、腫瘍細胞注入後12日〜14日の間に容易に触知される腫瘍を有するscidマウスで腫瘍細胞の迅速な定着と成長をもたらした。腫瘍細胞接種後1日目に開始して、IgG B11の20mg/kg用量の週2回の注射は、異種移植マウス(
図2Aの左パネル)で腫瘍の増殖を完全に防ぐことが示された。IgG B11に比べてそれほど有効でないけれども、CD20特異的陽性対照mAbのリツキシマブも有意な抗腫瘍活性を付与した。さらに、IgG B11は、リツキシマブに比べて10倍低用量(2mg/kg)で投与した場合でも、完全な生存率を付与した(
図2AおよびB、左のパネル)。したがって、この攻撃的なCD20陽性B細胞悪性腫瘍モデルでのIgG B11は、リツキシマブと比べて、抗腫瘍活性と生き残りを付与するのにより効果的で、より強力であった。
【0193】
我々は、Daudi非ホジキンリンパ腫異種移植片に対するIgG B11のインビボ抗腫瘍活性を調べることを進めた。また、このモデルでは、IgG B11は、リツキシマブと比べて著しくそして等しく効果的に腫瘍増殖を妨げ、腫瘍担持マウスの生存期間の延長をした(
図2AおよびB、右パネル)。IgG B11の増強された抗腫瘍活性は、リツキシマブエピトープに比べて、より多数のB11を発現する腫瘍細胞からはもたらされなかった。逆に、フローサイトメトリー分析は、ARH−77とDaudi細胞の両方が、リツキシマブエピトープに比べて大幅に少なくICAM−1を発現したことを明らかにした(
図2Cの左と右のパネル)。これらの結果は、IgG B11が、2つの異なる、よく特徴付けされたCD20発現腫瘍細胞株に対する著しいインビボ抗腫瘍活性を有することを証明した。
【0194】
次に我々は、scid/ARH−77モデル系を用いて、IgG B11のインビボでの効力と最大の抗腫瘍活性を達成するための最小用量を確立するために用量滴定実験を実施した。IgG B11は、滴定可能な抗腫瘍活性を示したが、これはS字状曲線をたどり、2mg/kgの用量でピークに達し、0.2mg/kgの用量でほとんど最大値を維持した(
図3A)。マウス血清抗体トラフ濃度は、実験の最後にELISAによって測定された。トラフ抗体濃度は、その後、最大のインビボ抗腫瘍活性の割合に対して、そして、インビトロで対応する抗体濃度での最大のICAM−1受容体の占有率と腫瘍細胞PCDの割合に対して、プロットした(
図3C、3D、3E、3Fおよび3G)。驚くべきことに、抗体濃度と、インビトロ腫瘍細胞受容体の占有率、インビトロ腫瘍細胞PCDおよびインビボ抗腫瘍活性との間のほとんど完全な相関関係が観察されたが、これは、インビボ抗腫瘍活性の基礎をなすICAM−1依存性直接細胞の細胞傷害性と一致した。
【0195】
IgG B11の高い有効性と効力は、類似しているが、より進行したscid/ARH−77異種移植モデルで確認された(
図8A)。触診可能なARH−77腫瘍を担持するscidマウスは、IgG B11、リツキシマブまたは対照抗体の異なる用量で治療された。このモデルにおいて、リツキシマブは、腫瘍の成長を減少させること、あるいは動物の生存率(p>0.05)を推進することができなかった。これとは対照的に、IgG B11は、100倍低い用量(0.2mg/kg)で投与される場合でも、リツキシマブ治療と比較して、腫瘍の成長を著しく妨げ、そして動物の生存を延長させた(
図8A)。進行腫瘍モデルにおけるリツキシマブの抗腫瘍効果の欠失は、腫瘍回避またはダウンレギュレートされた抗原発現の結果によるものではなかった。実験が終了した時点で、抗体治療マウスおよび対照治療マウスから採取した腫瘍組織の免疫組織化学的分析は、腫瘍が類似の、かなりの量のCD20およびICAM−1抗体標的エピトープを発現したことを、実験を通して明らかにした(
図9)。
【0196】
実施例3:多発性骨髄腫を含むリンパ増殖性障害において、ICAM−1およびB11エピトープは、広範囲に発現される。
ICAM−1 B11のIgGの非常に有効かつ強力なインビトロおよびインビボ抗腫瘍活性は、種々のリンパ増殖性障害におけるICAM−1の発現を、我々が総合的に評価するように促した。まず、慢性リンパ性白血病(CLL)、濾胞細胞リンパ腫(FCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)におけるICAM−1の発現は、組織マイクロアレイ免疫組織化学的分析により測定された(表1)。
【0197】
【表1】
ICAM−1は、陽性対照扁桃組織に比べて中から強の強度で、CLLの27%、FCLの95%、MCLの89%、およびDLBCLの98%で発現した(表1)。
【0198】
以前のレポートでは、多発性骨髄腫疾患の進行とICAM−1の強い関連性を説明したが、ICAM−1は、骨髄腫自体で高発現され、進行疾患や化学療法に難治性の多発性骨髄腫(MM)患者においてアップレギュレートされている(14、22、51)。
【0199】
これらの観察に基づいて、我々は多発性骨髄腫の患者および関連疾患(形質細胞腫、形質細胞性白血病、軽鎖アミロイドーシス)における骨髄細胞上のICAM−1 B11のエピトープ発現をフローサイトメトリーにより評価した(
図4)。骨髄腫細胞は、多発性骨髄腫の指針におけるマルチパラメーターフローサイトメトリーに関する欧州ネットワークに従ってCD38/CD138/CD45およびCD56の発現に基づいて同定された(Rawstron et al Haematologica (2008), 93, pp431-8)。
【0200】
フローサイトメトリー染色パネル
骨髄吸引物の約5〜7mlは、Skanes大学病院の血液学科におけるローカル・ルーチンに従って、局所麻酔(10mlキシロカイン)で腸骨稜から採取した。赤血球は、表Aに示されるように、メーカーの指示に従ったFACSlysis(Becton Dickinson社製、ストックホルム、スウェーデン)、続いて4抗体パネルを用いた染色により骨髄細胞から除去した(
図10)。パネル4では、表面染色の後に、Perm Fix、BDによる透過化および多発性骨髄腫細胞の単クローン性を確認するためにκおよびλ軽鎖に対する内部染色を続けた。
【0201】
多発性骨髄腫患者からの骨髄中の骨髄腫細胞の分析
染色された骨髄細胞をFACS Canto IIを使用するフローサイトメトリーにより分析した(
図10B)。骨髄腫細胞は、CD138とCD38の高発現に基づいてゲートをかけ、さらに高いCD56発現およびCD45欠失によって確認された。さらに、細胞内染色は、κおよびλ染色によりモノクローナル発現を確認するために使用された。BIIエピトープの発現は、患者#8、#7および#10に対応する(+)、(++)および(+++)を有するヒストグラム(右の位置)に示すように分類された。BII陰性細胞(−)は、患者#8からのB細胞である(
図10B)。
【0202】
多発性骨髄腫患者の疾患進行過程における骨髄腫細胞上のBIIエピトープ発現
骨髄形質細胞は、多発性骨髄腫の79歳の男性の診断(骨髄番号1)で採取した。治療は、主要な応答を有する連続的なサリドマイドとの併用で経口メルファランとデキサメタゾンパルス療法(6サイクル)で開始した。しかし、治療を終了した2カ月後に、患者は再発した(骨髄番号2)。今度は、患者はシクロホスファミドとデキサメタゾンのパルス療法の2サイクルを受け、続いて、骨髄(骨髄番号3)の新たな評価を受けた。骨髄腫細胞における平均的なBI−505発現は、最初の再発(ヒストグラム、右)(
図10)の後に2倍に増加した。
【0203】
全ての骨髄腫患者は、骨髄腫細胞上でICAM−1 B11のエピトープを発現した。
ICAM−1 B11発現のレベルは、患者の正常B細胞と比較して、骨髄腫細胞上で非常に高く、一般的に17倍超の平均発現レベルであった(
図4)。さらに、ICAM−1 B11のエピトープはまた、いくつかの異なる系統の治療を受けた再発患者の骨髄腫細胞上で非常に高発現しているようでもある。
【0204】
我々は、ICAM−1がFCLとDLBCLを含むいくつかのリンパ増殖性疾患で強く発現しており、そしてICAM−1 B11のエピトープが多発性骨髄腫形質細胞によって強く発現される、と結論付ける。
【0205】
実施例4:IgG B11は、広範なインビボ抗骨髄腫活性を有する
多発性骨髄腫におけるB11エピトープの観察された高発現、以前に報告されたICAM−1と多発性骨髄腫および現在利用可能な治療に対する耐性との関連、ならびにCD20発現悪性B細胞腫瘍に対するB11の明らかに有意なインビボ抗腫瘍活性に基づいて、我々は、4つの異なる十分に特徴付けられた多発性骨髄腫細胞株を含むscid/異種移植モデルでのIgG B11インビボ抗骨髄腫活性を評価することを進めた。これらの細胞株は、骨髄腫マーカーCD38とCD138を発現するが、CD20を発現しない。IgG B11の2mg/kgの週2回投与は、ICAM−1発現細胞株EJM、RPMI−8226、およびNCI−H929による異種移植マウスにおける骨髄腫の腫瘍成長をそれぞれ98%、96%、および99%減少させた(
図5AおよびB、p
EJM<0.000009、p
RPMI−8226<0.0037、p
NCI−H929<0.0002)。これとは対照的に、IgG B11は、ICAM−1陰性細胞株OPM−2で異種移植されたマウスにおける腫瘍成長に影響を及ぼさなかった(
図5AおよびB、p
OPM−2>0.05)。まとめると、これらの研究は、IgG B11の非常に有効な、広範囲の、そしてICAM−1依存性のインビボ抗骨髄腫活性を示した。
【0206】
実施例5:IgG B11は、進行多発性骨髄腫の播種実験モデルで、現在使用されている治療法に比べて増強された生存率を付与する
scid/ARH−77の播種モデルは、多くの点でヒト多発性骨髄腫疾患の進行や疾患症状に似ている十分に確立された実験モデルである(33)。我々は、このモデルを利用してさらにIgG B11抗骨髄腫活性を特徴づけた(
図6A)。放射線照射したscidマウスへの1×10
6個のARH−77細胞による静脈内注射は、マウス骨髄においてその播種および定着をもたらし、溶骨性骨病変と高カルシウム血症を引き起こし、最終的には、動物の麻痺や呼吸困難となり、その時点で動物はすぐに屠殺されたことが以前に示された。
【0207】
骨髄腫細胞の静脈注射後の7日目から始めて、動物は、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(「ベルケード」)、IgG B11、ctrl IgGまたは生理食塩水の4つの連続した治療を受けた。腫瘍細胞注射後22日目に、対照治療動物は、3日間にわたって体重減少(>15%または麻痺のどちらかを見せ始め、屠殺しなければならなかった(
図6A)。対照治療マウスは、次第に多発性骨髄腫の徴候を現して、腫瘍細胞注射後、39日過ぎまで生存しなかった。プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(ベルケード)での治療は、対照治療群(p
BZB対生理食塩水<0.554、p
BZB対ctrl IgG<0.2509)に比べ、わずかに疾患の発症を遅らせ、動物の生存率を大幅に増強しなかった。対照的に、IgG B11による治療は、対照治療群またはベルケード治療(p
BZB対生理食塩水<0.0001、p
BZB対ctrl IgG<0.0001)に比べて、劇的な抗腫瘍効果を示し、症候性疾患の発症までの時間を2倍にし、平均生存時間を増加した。これらのp値は、治療間の動物の生き残りの腫瘍成長の統計的な有意差を示す。
【0208】
現在使用されている治療法と比較して、IgG B11の抗骨髄腫活性は、RPMI−8226骨髄腫細胞を含む類似した進行播種性多発性骨髄腫モデルで検討された(
図6B)。このモデルでは、IgG B11による治療は、ボルテゾミブによる治療と比較して、およびデキサメタゾンによる治療と比較して、大幅に生存率を高め、疾患の発症を遅らせ、臨床的に関連する用量で投与されたこの両薬剤は、最大のインビボ治療効果を示し、明らかな毒性を有しない。さらに、免疫調節薬レブリミドで治療されたマウスに比べて、IgG B11で治療されたマウスでは、生存率の改善傾向があった。
【0209】
ヒト細胞上のICAM−1のレベルを調べるために、異なる器官からの細胞を染色し、CD38+/mCD45−/BI−505+にゲートをかけた。
図6Cは、CD38+/mCD45集団のBI−505陽性細胞の割合と陽性細胞の平均蛍光強度を示す。
【0210】
骨髄腫細胞上のICAM−1発現の検出
FACS分析のための臓器を、マウスの乱切時に採取し、組織からの細胞を、機械的解離とディスパーゼ/コラゲナーゼ酵素(Gibco社製、フランス)消化により調製した。細胞を抗ヒトCD38抗体(PerCP−Cy5、Becton Dickinson社製)、抗マウスCD45(PE、Becton Dickinson社製)およびヒトICAM−1(BI−505 IgG1 AF647、BioInvent社製)で染色し、室温で15分間、暗室内でインキュベートした。インキュベーション後、細胞を2回洗浄し、細胞の表面の蛍光は、ブルゴーニュ大学のフローサイトメトリー施設でのフローサイトメーター装置(LSRII)を用いて分析した。
【0211】
実施例6:IgG B11のインビボおよびインビトロ抗腫瘍活性は、Fc依存性であり、マウスおよびヒトFcγ受容体への結合と相関する
以前の研究では、B細胞悪性細胞株の広いパネルにおいて、IgG B11の広範かつ強力なPCD誘導特性を示した(10)。細胞のエフェクターメカニズムに関与するその能力は、しかし、以前は調査されなかった。非常に強力かつ効果的なB11 IgGのインビボ抗腫瘍活性、ならびにリツキシマブを含む臨床的に検証された癌のmAbの臨床およびインビボの治療活性についてのFcγR媒介抗腫瘍メカニズムの重要性を考えて(52)、(53)、(54)、我々は、次に抗体Fcの貢献:IgG B11治療活性に対するホストFcγR依存性のメカニズムに取り組んだ。
【0212】
この目的を達成するために、我々は、文書化された、ヒトFcγRs(55)に対して異なる親和性およびヒトFcγR依存性の抗腫瘍活性(56)に関与するための差異的能力を有する、ヒトIgG1、IgG4およびFcγR結合欠損変異体IgG1(N297Q IgG1)アイソタイプ・スイッチ・バリアントを生成させ、それらのFcγR結合特性に関するそれらのそれぞれのインビボ治療効果を検討した。生成したアイソタイプ・スイッチ・バリアントの標的抗原に対する保持された親和性は、組換えまたは細胞表面発現標的タンパク質への結合に対するそれらのほとんど同一のEC
50値によって実証された(
図11)。
【0213】
驚くべきことに、IgG B11アイソタイプ・スイッチ・バリアントの抗腫瘍活性は、mFcγRIV−ヒトFcgRIIIaの構造的および機能的相同体への結合と完全に相関し、そして、抗体を付与する主要なネズミFcγRは、インビボで細胞傷害性を媒介し、IgG1
N297Q<IgG4<IgG1(
図7AおよびBの上方パネル)の順に増加した。重要なのは、B11のIgG
1、IgG
4、またはIgG
1 N297Qバリアント抗体で知蝋されたマウスは、実験の終わりには、類似した血清抗体価を有していた(表2)が、このことは、異なる抗体バリアントは、同様のインビボ半減期を有したことを示し、異なる抗腫瘍活性は、薬物動態の違いから生じなかったことを実証した。
【0214】
【表2】
【0215】
また、腫瘍組織の免疫組織化学的分析は、対照IgG治療または未治療マウスに比べて、そして興味深いことにリツキシマブ治療マウスに比べて、IgG B11治療においてF4/80
+の宿主エフェクター細胞の大量流入を示した(
図7E)。これらの知見は、Fc:FcγR−依存性の宿主エフェクター細胞媒介メカニズムが、インビボでのIgG B11抗腫瘍活性に著しく貢献したことを示した。
【0216】
IgG B11抗腫瘍活性におけるFc:FcγR−依存性のメカニズムの役割を確認するために、我々は、ヒト標的腫瘍細胞の抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)を媒介する能力を調べた。予想されたように、IgG B11 IgG
1は、ヒトFcγRIIIaに結合し、ヒトナチュラルキラーエフェクター細胞の存在下で、標的腫瘍細胞のADCCを媒介した(
図7C。これに対して、B11 IgG
4とIgG1
N297Qバリアントは、ヒトFcγRIIIaに結合せず、そして標的腫瘍細胞のADCCを媒介しなかった。したがって、インビボの設定に類似して、IgG B11は、インビトロでのADCCを媒介し、Fc依存性であり、主要なヒトADCC媒介受容体FcγRIIIAへの結合と相関した(
図7D)。癌のmAbのFc依存性抗腫瘍活性は、Fc:FcγR−依存性の抗腫瘍メカニズムの他に、いわゆる補体依存性細胞傷害(CDC)による補体カスケードの活性化から生じる。したがって、我々は、腫瘍細胞株を発現するICAM−1のパネルでCDCを誘導するために、IgG B11の能力を調べた。IgG B11は、モニターした腫瘍細胞株のいずれにおいてもCDCを誘導しなかった。それとは対照的に、そして、以前に報告したように、陽性対照リツキシマブによる治療は、効果的にCDCを誘導した(57−59)。
【0217】
実施例7:IgG B11は、インビトロでの正常ICAM−1発現細胞に対して細胞障害性ではない
正常な生理的状況下では、ICAM−1は、血管内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、角化細胞、白血球、ならびに従来の抗原提示細胞(APC)上に低レベルで構成的に発現される(60)。しかし、ICAM−1発現は、外傷に応答して、あるいは炎症応答の過程で放出される、IFN−γ、TNF−α、リポ多糖(LPS)、酸素ラジカルおよび低酸素を含むいくつかのサイトカイン類および炎症促進剤によってアップレギュレートされ(60、61)、IgG B11のような抗ICAM−1抗体を用いた治療についての安全性の懸念を高めている。
【0218】
プログラム細胞死および悪性B細胞のADCCを付与するIgG B11の文書化された能力、ならびに抗体忍容性(Limら、(2010 Haematalogica 95、pp135−143)に関する補体活性化のための提案された一般的な否定的役割に基づいて、我々は、そのためにプログラムされた細胞死を誘導する、IgG B11のADCCまたはCDC効果を、ICAM−1を発現する正常(形質転換されていない)ヒト末梢血B細胞および内皮細胞において検討した(
図12)。末梢血B細胞およびナイーブB細胞は、ICAM−1の低い内因性発現を示したのに対し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)とヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)は、フローサイトメトリー分析によって測定されるようにIFN−γ刺激に応答して、さらにアップレギュレートされた著しいICAM−1発現を示した。
【0219】
しかし、IgG B11は、検討された静止型または活性型の正常ICAM−1発現細胞型のいずれでもPCDを誘導しなかった(
図12)。対照的に、そして予想通りに、パクリタキセルによる内皮細胞の治療と、陽性対照抗HLA−DRまたは抗CD20抗体によるB細胞の治療は、内皮細胞とB細胞のそれぞれ有意なプログラム細胞死を誘導した。同様に、IgG B11は、HUVEC、HMVECまたは末梢血B細胞の、ADCCまたはCDCを付与しなかった(
図12)。
【0220】
実施例8:IgG B11は、インビトロでの末梢血単核細胞(PBMC)のサイトカイン放出またはT細胞の増殖を調節しない
我々は、次に、PBMCのサイトカイン放出と細胞増殖に対するIgG B11の効果を評価した。IgG B11の任意のPBMCアゴニスト特性を識別する可能性を最大限にするために、我々は先に記述したように抗体がハイパー架橋されている2つの異なる抗体コーティング・プロトコルを使用した(62)。どちらかのプロトコルにより固定化されたIgG B11は、Daudiリンパ腫細胞のプログラムされた細胞死を誘導し、その生物学的活性が固定化された後も保持されていたことを実証した。しかし、IgG B11は、PBMCのサイトカイン放出を誘導せず、固定化プロトコルによって、あるいは架橋試薬の存在下または非存在下に溶液で添加された場合のいずれかによっても細胞増殖を誘導しなかった(
図12)。
【0221】
これとは対照的に、そして、予想通りに、PBMCと固定化された陽性対照抗CD3抗体とのインキュベーションは、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−8、TNF−αおよびIFN−γの著しいPBMC放出をもたらした(
図12)。類似の実験では、溶液で添加されたIgG B11は、静止PBMCまたはリポ多糖事前刺激PBMCからのサイトカイン放出を誘導または増強せず、細胞増殖を誘導しなかったことを実証した(
図12)。
【0222】
実施例9−抗ICAM−1抗体は、標準的な治療と比べて、インビボにおける播種性多発性骨髄腫に優れた効果があり、ICAM−1の発現自体は、このような標準的な治療による影響を受けない
【0223】
細胞株
RPMI 8226は、Pharmacell(フランス)から入手し、ARH−77は、ATCCから入手した。腫瘍細胞は、懸濁液中、37℃、加湿雰囲気下(5%CO
2、95%空気)で増殖させた。両細胞株のための培養培地は、10%ウシ胎児血清を補充した2mM L−グルタミンを含むRPMI 1640であった。ARH−77に対しては、培養培地はまた、25mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウムおよび4.5g/Lの最終濃度になるようにグルコースが補充された。インビボ腫瘍の研究のために、細胞を増殖状態にあるときに採取し、そして生存率は0.25%トリパンブルー排除法を使用してチェックされた。
【0224】
動物
6〜8週齢の雌CB−17 SCID scid/scidマウスは、CHARLES RIVER(ラルブレル、フランス)またはTaconic(デンマーク)から入手して、餌料と水を自由に摂取させてSPF施設内で飼育した。全ての動物実験は、倫理的なガイドラインに従って行った。マウスは、実験開始前に最低7日間観察された。
【0225】
播種性RPMI−8226インビボモデル
10×10
6個のRPMI 8226腫瘍細胞を含む200μlを雌SCIDマウスの尾静脈に静脈内注射した。マウスは、細胞注射の24〜72時間前に全身放射線照射(1.8Gy、
60Co、BioMEP)に曝された。1日目に、腫瘍を注射したマウスは、個々の体重に応じて無作為化された。全ての治療は、10日目に開始したアルケラン(登録商標)を除き、腫瘍細胞投与後5日目に開始した。全ての治療は、10ml/kg/注射の投薬容量で注入した。マウスは、次の治療のいずれかを受けた:
【0226】
モノクローナル抗ICAM mAbまたは対照mAbは、8週連続で週2回、2mg/kgを含むPBS溶液で静脈内投与された。
【0227】
ベルケード(登録商標)(ボルテゾミブ、3.5mg、Janssen−Cilag社製)を0.9%NaClに溶解し、その後、小分けして−20℃に保った。1バイアルを注射する直前に解凍し、その後廃棄した。マウスは、8週連続で週1回、0.5、1または2mg/kgの静脈内注射を受けた。
【0228】
レブラミド(登録商標)(レナリドミド、5mg/カプセル、Celegene社製)カプセル剤は、まず、DMSOに溶解し、その後5%DMSO、0.2%HCl1N(Sigma社製)、5%Tween80(Sigma社製)および89.8%NaCl0.9%の最終濃度に希釈した。前記溶液は、治療日毎に新たに調製した。マウスは、治療の5日間と休薬の2日間で構成される2サイクルの間、1、2または3mg/kgを経口投与した。
【0229】
アルケラン(登録商標)(メルファラン、50mg、GlaxoSmithKline社製)は、50mgのアルケラン(登録商標)を含有するバイアルを供給ビヒクルと混合して調製し、その後は小分けして−20℃に保った。各投与前に、1アリコートを解凍し、NaCl0.9%に希釈し、8週連続で週に1回、3、6または12mg/kgで静脈内注射した。
【0230】
デキサメタゾン(登録商標)(4mg/ml、Mylan社製)をNaCl0.9%で希釈した。新鮮な作業溶液は、治療日毎に調製した。マウスは、2週連続で週に3回、2、4、および6mg/kg/注射を投与された。
【0231】
終了、ICAM−1発現
マウスの健康状態および挙動は、毎日記録され、マウスの体重は週に2度記録された。マウスが、悪液質の兆候、化合物の毒性、後肢の麻痺あるいは重度の体重減少を示した場合、そのマウスは終了させた。終了時には、骨髄、脊髄、副腎、および腎臓が収集され、腫瘍細胞でのICAM−1発現について検討した。ヒト対マウス由来の細胞を区別するために、抗マウスCD45 mAbは使用済みCD45であった。したがって、MM細胞は、CD38
+/mCD45
−(Becton Dickinson社製)として定義された。加えて、細胞はAF647コンジュゲート抗ICAM−1 mAbを用いて染色し、その後、FACS LSRIIで分析した。骨髄は、単一細胞懸濁液に機械的に解離させたのに対し、副腎、腎臓、および脊髄の細胞は、機械的解離とディスパーゼ/コラゲナーゼ消化(Gibco社、フランス)の組み合わせを用いて調製した。実験前に、ディスパーゼとコラゲナーゼによる治療は、MM細胞株上のICAM−1のレベルに影響を与えないことが示された。
【0232】
皮下の、確立したARH−77インビボモデル
5×10
6個のARH−77細胞を含む100μlを、雌SCIDマウスの脇腹に皮下注射した。腫瘍体積は、腫瘍細胞注入後、実験を通して週に3回測定した。100mm
3の平均値に近づいたときに(12日目)、マウスは腫瘍体積および治療開始に応じて無作為化された。
【0233】
マウスは、抗ICAM mAbまたはレブラミド(登録商標)もしくはベルケード(登録商標)のいずれかを投与された。
対照マウスには、対照mAbが投与された。
【0234】
モノクローナル抗ICAM mAbまたは対照mAbを、実験を通して週2回、2mg/kgを含む200μlのPBS溶液で腹腔内投与した。
【0235】
ベルケード(登録商標)(ボルテゾミブ、3.5mg、Janssen−Cilag社製)は、記載されたように調製し、実験を通して週2回、0.5または1mg/kgで200μlが腹腔内投与された。
【0236】
レブラミド(登録商標)(レナリドミド、5mg/カプセル、Celgene社製)は、記載されたように調製し、実験を通して週5回、1または2mg/kgで200μlが経口投与された。
【0237】
マウスの健康状態および挙動を、毎日記録した。マウスが、悪液質の兆候、化合物の毒性、重度の体重減少を示したか、あるいは腫瘍が直径1.5cmの大きさに達した場合、そのマウスは実験を終了させた。
【0238】
結果
播種性MMインビボモデルにおける抗ICAM−1の優れた効果
BI−505および4つの異なる標準(SOC)ケア療法で治療された播種性異種移植モデル(多発性骨髄腫細胞株RPMI−8226)は、アイソタイプ対照治療群に比べて、高い生存率の改善を示す(
図13を参照のこと)。加えて、抗ICAM−1 mAbは、他のSOC単剤療法と比較して、急性毒性ではない用量で、より効果的である(
図13を参照のこと)。
【0239】
インビボでのMM ICAM−1発現は、様々な治療法の影響を受けない。
治療したマウスから腫瘍細胞を分離する場合、ICAM−1は、標準ケア療法(アルケラン(登録商標)、レブラミド(登録商標)、デキサメタゾン(登録商標)またはベルケード(登録商標))で治療したマウスから採取した腫瘍細胞上で不変の高レベルでなお発現する(
図14を参照のこと)。
【0240】
実施例10−好ましい医薬製剤ならびに投与の様式および用量
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、注射可能な持続放出薬剤送達系を使用して送達されてよい。これらは、注射の頻度を低減するように特に設計される。そのような系の例は、ニュートロピン・デポであって、これは組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を生物分解性のミクロスフェアにカプセル封入したもので、一旦注射するとrhGHを持続期間にわたって徐々に放出する。
【0241】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、手術により移植されるデバイスにより投与して、薬物を所要の部位へ直接放出することができる。例えば、ビトラサートは、ガンシクロビルを眼に直接放出して、CMV網膜炎を治療する。この毒性薬剤の疾患部位への直接適用は、薬物の顕著な全身の副作用を起こすこと無く、効果的な治療を達成する。
【0242】
エレクトロポレーション療法(EPT)システムも、投与するために使うことができる。パルス電場を細胞に送達するデバイスは、細胞膜の薬物に対する透過性を増加し、細胞内薬物送達の著しい増加をもたらす。
【0243】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、また、エレクトロインコーポレーション(EI)により送達することもできる。EIは、皮膚表面での直径が最大30ミクロンの小粒子がエレクトロポレーションに使われるのと同じかまたは類似の電気パルスを受けたときに起こる。EIにおいて、これらの粒子は、角質層を通って皮膚のさらに深い層内に駆動される。粒子は薬物または遺伝子を充填するかまたは被覆することができ、または単純に「弾丸」として作用し、薬物が貫入できる孔を皮膚に開けることもできる。
【0244】
投与の代替的な方法は、感熱性のReGelの注入可能な系である。ReGelは、体温より低いとき注入可能な液体であるが、体温のときには直ちにゲルリザーバーを形成して徐々に浸食されて公知の安全な生物分解性ポリマーに溶解する。活性物質はバイオポリマーが溶解するにつれて徐々に送達される。
【0245】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、「トロイのペプチド」によって細胞に導入することができる。これらは、転座特性を有しており、原形質膜を越えて親水性化合物を運ぶことができ、ペネトラチンと呼ばれているポリペプチドのクラスである。この系は、細胞質および核への抗体またはその抗原結合断片の直接の標的化を可能にし、非細胞型の特異性があり、かつ、非常に効率的である(Derossi et al., 1998, Trends Cell Biol., 8, 84-87)。
【0246】
好ましくは、本発明の医薬製剤は、活性成分の1日用量または単位、1日サブ用量またはその適切な分画物を含有する単位投与製剤である。
【0247】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、任意の非経口経路で、活性成分を含む医薬製剤の形態で、場合により、無毒の有機もしくは無機の酸または塩基の付加塩の形態で製薬上許容される投与剤形で投与することができる。治療する疾患および患者ならびに投与経路に応じて、組成物は様々な用量で投与することが可能である。
【0248】
ヒトの治療において、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、単独で投与することができるが、意図された投与経路および標準的な薬務に関連して選択される適当な医薬賦形希釈剤または担体と混合して一般的に投与される。
【0249】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、また、非経口で、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下腔内、脳室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、もしくは皮下に投与することができ、または点滴技術により投与してもよい。最良の使用法は、溶液を血液と等張にするために他の物質、例えば、十分な塩またはグルコースを含有し得る滅菌水溶液の形態である。水溶液は、必要であれば、適切に緩衝化すべきである(好ましくは3〜9のpH)。滅菌条件下の適切な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技法により容易に実施することができる。
【0250】
非経口投与用に適切な製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性および非水性滅菌注入溶液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は単位用量または多用量容器、例えば、封入したアンプルおよびバイアルに入れて提供してもよく、凍結乾燥状態で貯蔵して使用直前に滅菌液担体、例えば注入用水を加えることを必要としてもよい。用事調製の注入溶液および懸濁液は、先に記載した種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製してよい。
【0251】
一般に、ヒトでは、本発明の抗体の経口または非経口投与は、好ましい経路であり、最も好都合である。
【0252】
獣医学用の場合、本発明の抗体または抗原結合断片は、通常の獣医学の慣習に従って適切な許容される製剤で投与され、獣医外科医は特定の動物に対して最も適切である投与計画および投与経路を決定するであろう。
【0253】
本発明の医薬組成物の製剤は、好都合には、単位剤形で提供することができ、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。このような方法は、1つ以上の補助成分を構成する担体と有効成分を組み合わせる工程を含む。一般的に、製剤は、均一かつ密接に活性成分を液体担体もしくは微粉化した固体担体またはその両方と組み合わせ、次に必要に応じて製品を成形することによって調製される。
【0254】
好ましくは、単位用量製剤は、活性成分の1日用量または単位、1日サブ用量またはその適切な分画物を含有する製剤である。
【0255】
本発明の好適な送達システムは、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、および抗体を含浸させたハイドロゲルを含んでもよく、このゲルは、好ましくはタンポンで運ばれ、それは子宮頸部に挿入され、女性の生殖系への適切な子宮頚管熟化または他の望ましい影響が一旦発生したら、抜き取ることができる。
【0256】
特に上記の成分に加えて、本発明の製剤は、目的の製剤の種類を考慮して、当該分野の従来の他の薬剤を含み得ることを理解すべきである。
【0257】
実施例11−代表的な医薬製剤
本発明の抗体は、単独で投与することができるが、1つ以上の許容される担体とともに、医薬製剤として提供することが好ましい。1つ以上の担体は、本発明の化合物と適合性があり、かつ、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。典型的には、前記担体は、滅菌され、そしてパイロジェンフリーの水または生理食塩水である。
【0258】
以下の実施例は、活性成分が本発明の化合物である、本発明の医薬組成物を示す。
【0259】
実施例11A:注射用製剤
活性成分 0.200g
滅菌されたパイロジェンフリーのリン酸緩衝液(pH7.0) 10mlまでの残部
【0260】
前記活性成分は、リン酸緩衝液の大半に溶解し(35から40℃)、容量を調整して、滅菌ミクロポアフィルターで滅菌10mlアンバーガラスバイアル(タイプ1)に濾過し、滅菌封鎖およびオーバーシールによって密封する。
【0261】
実施例11B:筋肉内注射
活性成分 0.20g
ベンジルアルコール 0.10g
グリコフロール75(登録商標) 1.45g
注射用水 3.00mlまでの適量
【0262】
活性成分はグリコフロールに溶解する。次いで、ベンジルアルコールを添加し、溶解して、水を3mlまで添加する。次いで、混合物を滅菌ミクロポアフィルターで濾過し、滅菌3mlのガラスバイアル(タイプ1)中で密封する。
【0263】
実施例11C:錠剤
活性成分 100mg
ラクトース 200mg
デンブン 50mg
ポリビニルピロリドン 5mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
359mg
錠剤は、上記成分を湿式造粒し、続いて圧縮することによって製造する。
【0264】
参考文献:
1. Weiner, L.M., Surana, R., and Wang, S. Monoclonal antibodies: versatile platforms for cancer immunotherapy. Nat Rev Immunol 10:317-327.
2. McLaughlin, P., Grillo-Lopez, A.J., Link, B.K., Levy, R., Czuczman, M.S., Williams, M.E., Heyman, M.R., Bence-Bruckler, I., White, C.A., Cabanillas, F., et al. 1998. Rituximab chimeric anti-CD20 monoclonal antibody therapy for relapsed indolent lymphoma: half of patients respond to a four-dose treatment program. J Clin Oncol 16:2825-2833.
3. Davis, T.A., White, C.A., Grillo-Lopez, A.J., Velasquez, W.S., Link, B., Maloney, D.G., Dillman, R.O., Williams, M.E., Mohrbacher, A., Weaver, R., et al. 1999. Single-agent monoclonal antibody efficacy in bulky non-Hodgkin's lymphoma: results of a phase II trial of rituximab. J Clin Oncol 17:1851-1857.
4. Hiddemann, W., Kneba, M., Dreyling, M., Schmitz, N., Lengfelder, E., Schmits, R., Reiser, M., Metzner, B., Harder, H., Hegewisch-Becker, S., et al. 2005. Frontline therapy with rituximab added to the combination of cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisone (CHOP) significantly improves the outcome for patients with advanced-stage follicular lymphoma compared with therapy with CHOP alone: results of a prospective randomized study of the German Low-Grade Lymphoma Study Group. Blood 106:3725-3732.
5. Herold, M., Haas, A., Srock, S., Neser, S., Al-Ali, K.H., Neubauer, A., Dolken, G., Naumann, R., Knauf, W., Freund, M., et al. 2007. Rituximab added to first-line mitoxantrone, chlorambucil, and prednisolone chemotherapy followed by interferon maintenance prolongs survival in patients with advanced follicular lymphoma: an East German Study Group Hematology and Oncology Study. J Clin Oncol 25:1986-1992.
6. Marcus, R., Imrie, K., Solal-Celigny, P., Catalano, J.V., Dmoszynska, A., Raposo, J.C., Offner, F.C., Gomez-Codina, J., Belch, A., Cunningham, D., et al. 2008. Phase III study of R-CVP compared with cyclophosphamide, vincristine, and prednisone alone in patients with previously untreated advanced follicular lymphoma. J Clin Oncol 26:4579-4586.
7. Coiffier, B. 2007. Rituximab therapy in malignant lymphoma. Oncogene 26:3603-3613.
8. Cheson, B.D., and Leonard, J.P. 2008. Monoclonal antibody therapy for B-cell non-Hodgkin's lymphoma. N Engl J Med 359:613-626.
9. Smith, M.R. 2003. Rituximab (monoclonal anti-CD20 antibody): mechanisms of action and resistance. Oncogene 22:7359-7368.
10. Fransson, J., Tornberg, U.C., Borrebaeck, C.A., Carlsson, R., and Frendeus, B. 2006. Rapid induction of apoptosis in B-cell lymphoma by functionally isolated human antibodies. Int J Cancer 119:349-358.
11. Horst, E., Radaszkiewicz, T., Hooftman-den Otter, A., Pieters, R., van Dongen, J.J., Meijer, C.J., and Pals, S.T. 1991. Expression of the leucocyte integrin LFA-1 (CD11a/CD18) and its ligand ICAM-1 (CD54) in lymphoid malignancies is related to lineage derivation and stage of differentiation but not to tumor grade. Leukemia 5:848-853.
12. Hideshima, T., Mitsiades, C., Tonon, G., Richardson, P.G., and Anderson, K.C. 2007. Understanding multiple myeloma pathogenesis in the bone marrow to identify new therapeutic targets. Nat Rev Cancer 7:585-598.
13. Huang, Y.W., Richardson, J.A., and Vitetta, E.S. 1995. Anti-CD54 (ICAM-1) has antitumor activity in SCID mice with human myeloma cells. Cancer Res 55:610-616.
14. Schmidmaier, R., Morsdorf, K., Baumann, P., Emmerich, B., and Meinhardt, G. 2006. Evidence for cell adhesion-mediated drug resistance of multiple myeloma cells in vivo. Int J Biol Markers 21:218-222.
15. Johnson, J.P., Stade, B.G., Hupke, U., Holzmann, B., and Riethmuller, G. 1988. The melanoma progression-associated antigen P3.58 is identical to the intercellular adhesion molecule, ICAM-1. Immunobiology 178:275-284.
16. Johnson, J.P., Lehmann, J.M., Stade, B.G., Rothbacher, U., Sers, C., and Riethmuller, G. 1989. Functional aspects of three molecules associated with metastasis development in human malignant melanoma. Invasion Metastasis 9:338-350.
17. Grothey, A., Heistermann, P., Philippou, S., and Voigtmann, R. 1998. Serum levels of soluble intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1, CD54) in patients with non-small-cell lung cancer: correlation with histological expression of ICAM-1 and tumour stage. Br J Cancer 77:801-807.
18. Maruo, Y., Gochi, A., Kaihara, A., Shimamura, H., Yamada, T., Tanaka, N., and Orita, K. 2002. ICAM-1 expression and the soluble ICAM-1 level for evaluating the metastatic potential of gastric cancer. Int J Cancer 100:486-490.
19. Roche, Y., Pasquier, D., Rambeaud, J.J., Seigneurin, D., and Duperray, A. 2003. Fibrinogen mediates bladder cancer cell migration in an ICAM-1-dependent pathway. Thromb Haemost 89:1089-1097.
20. Rosette, C., Roth, R.B., Oeth, P., Braun, A., Kammerer, S., Ekblom, J., and Denissenko, M.F. 2005. Role of ICAM1 in invasion of human breast cancer cells. Carcinogenesis 26:943-950.
21. Aalinkeel, R., Nair, M.P.N., Sufrin, G., Mahajan, S.D., Chadha, K.C., Chawda, R.P., and Schwartz, S.A. 2004. Gene Expression of Angiogenic Factors Correlates with Metastatic Potential of Prostate Cancer Cells. Cancer Res 64:5311-5321.
22. Migkou, M., Terpos, E., Christoulas, M., Gavriatopoulou, M., Boutsikas, M., Gkotzamanidou, M., Iakovaki, M., Kastritis, M., Papatheodorou, M., and Dimopoulos, M.A. 2009. Increased levels of Vascular Cell Adhesion Molecule-1 (VCAM-1) and Inter-Cellular Adhesion Molecule-1 (ICAM-1) Correlate with Advanced Disease Features and Poor Survival in Newly Diagnosed Patients with Multiple Myeloma. Reduction Post-Bortezomib- and Lenalidomide-Based Regimens
In 51st ASH annual meeting and exposition. New Orleans, LA.
23. Kapoor, P., Greipp, P.T., Morice, W.G., Rajkumar, S.V., Witzig, T.E., and Greipp, P.R. 2008. Anti-CD20 monoclonal antibody therapy in multiple myeloma. Br J Haematol 141:135-148.
24. Tai, Y.-T., Catley, L.P., Mitsiades, C.S., Burger, R., Podar, K., Shringpaure, R., Hideshima, T., Chauhan, D., Hamasaki, M., Ishitsuka, K., et al. 2004. Mechanisms by which SGN-40, a Humanized Anti-CD40 Antibody, Induces Cytotoxicity in Human Multiple Myeloma Cells: Clinical Implications. Cancer Res 64:2846-2852.
25. Treon, S.P., Pilarski, L.M., Belch, A.R., Kelliher, A., Preffer, F.I., Shima, Y., Mitsiades, C.S., Mitsiades, N.S., Szczepek, A.J., Ellman, L., et al. 2002. CD20-directed serotherapy in patients with multiple myeloma: biologic considerations and therapeutic applications. J Immunother 25:72-81.
26. Mitsiades, C.S., Treon, S.P., Mitsiades, N., Shima, Y., Richardson, P., Schlossman, R., Hideshima, T., and Anderson, K.C. 2001. TRAIL/Apo2L ligand selectively induces apoptosis and overcomes drug resistance in multiple myeloma: therapeutic applications. Blood 98:795-804.
27. Treon, S.P., Mitsiades, C., Mitsiades, N., Young, G., Doss, D., Schlossman, R., and Anderson, K.C. 2001. Tumor Cell Expression of CD59 Is Associated With Resistance to CD20 Serotherapy in Patients With B-Cell Malignancies. J Immunother 24:263-271.
28. Ralph, P. 1985. The human B-cell lineage cell line ARH-77. Cancer 56:2544-2545.
29. Huang, Y.W., Richardson, J.A., Tong, A.W., Zhang, B.Q., Stone, M.J., and Vitetta, E.S. 1993. Disseminated growth of a human multiple myeloma cell line in mice with severe combined immunodeficiency disease. Cancer Res 53:1392-1396.
30. Tong, A.W., Huang, Y.W., Zhang, B.Q., Netto, G., Vitetta, E.S., and Stone, M.J. 1993. Heterotransplantation of human multiple myeloma cell lines in severe combined immunodeficiency (SCID) mice. Anticancer Res 13:593-597.
31. Lokhorst, H.M., Lamme, T., de Smet, M., Klein, S., de Weger, R.A., van Oers, R., and Bloem, A.C. 1994. Primary tumor cells of myeloma patients induce interleukin-6 secretion in long-term bone marrow cultures. Blood 84:2269-2277.
32. Tong, A.W., Zhang, B.Q., Mues, G., Solano, M., Hanson, T., and Stone, M.J. 1994. Anti-CD40 antibody binding modulates human multiple myeloma clonogenicity in vitro. Blood 84:3026-3033.
33. Alsina, M., Boyce, B.F., Mundy, G.R., and Roodman, G.D. 1995. An in vivo model of human multiple myeloma bone disease. Stem Cells 13 Suppl 2:48-50.
34. Bellamy, W.T., Mendibles, P., Bontje, P., Thompson, F., Richter, L., Weinstein, R.S., and Grogan, T.M. 1996. Development of an orthotopic SCID mouse-human tumor xenograft model displaying the multidrug-resistant phenotype. Cancer Chemother Pharmacol 37:305-316.
35. Chauhan, D., Uchiyama, H., Akbarali, Y., Urashima, M., Yamamoto, K., Libermann, T.A., and Anderson, K.C. 1996. Multiple myeloma cell adhesion-induced interleukin-6 expression in bone marrow stromal cells involves activation of NF-kappa B. Blood 87:1104-1112.
36. Urashima, M., Chen, B.P., Chen, S., Pinkus, G.S., Bronson, R.T., Dedera, D.A., Hoshi, Y., Teoh, G., Ogata, A., Treon, S.P., et al. 1997. The development of a model for the homing of multiple myeloma cells to human bone marrow. Blood 90:754-765.
37. Kobune, M., Chiba, H., Kato, J., Kato, K., Nakamura, K., Kawano, Y., Takada, K., Takimoto, R., Takayama, T., Hamada, H., et al. 2007. Wnt3/RhoA/ROCK signaling pathway is involved in adhesion-mediated drug resistance of multiple myeloma in an autocrine mechanism. Mol Cancer Ther 6:1774-1784.
38. Nadav, L., Katz, B.Z., Baron, S., Cohen, N., Naparstek, E., and Geiger, B. 2006. The generation and regulation of functional diversity of malignant plasma cells. Cancer Res 66:8608-8616.
39. Kawai, S., Yoshimura, Y., Iida, S., Kinoshita, Y., Koishihara, Y., Ozaki, S., Matsumoto, T., Kosaka, M., and Yamada-Okabe, H. 2006. Antitumor activity of humanized monoclonal antibody against HM1.24 antigen in human myeloma xenograft models. Oncol Rep 15:361-367.
40. Ural, A.U., Yilmaz, M.I., Avcu, F., Pekel, A., Zerman, M., Nevruz, O., Sengul, A., and Yalcin, A. 2003. The bisphosphonate zoledronic acid induces cytotoxicity in human myeloma cell lines with enhancing effects of dexamethasone and thalidomide. Int J Hematol 78:443-449.
41. Drucker, L., Uziel, O., Tohami, T., Shapiro, H., Radnay, J., Yarkoni, S., Lahav, M., and Lishner, M. 2003. Thalidomide down-regulates transcript levels of GC-rich promoter genes in multiple myeloma. Mol Pharmacol 64:415-420.
42. Choi, S.J., Oba, T., Callander, N.S., Jelinek, D.F., and Roodman, G.D. 2003. AML-1A and AML-1B regulation of MIP-1alpha expression in multiple myeloma. Blood 101:3778-3783.
43. Tian, J.Y., Hu, W.X., Tian, E.M., Shi, Y.W., Shen, Q.X., Tang, L.J., and Jiang, Y.S. 2003. Cloning and sequence analysis of tumor-associated gene hMMTAG2 from human multiple myeloma cell line ARH-77. Sheng Wu Hua Xue Yu Sheng Wu Wu Li Xue Bao (Shanghai) 35:143-148.
44. Tong, A.W., Seamour, B., Chen, J., Su, D., Ordonez, G., Frase, L., Netto, G., and Stone, M.J. 2000. CD40 ligand-induced apoptosis is Fas-independent in human multiple myeloma cells. Leuk Lymphoma 36:543-558.
45. Feinman, R., Koury, J., Thames, M., Barlogie, B., Epstein, J., and Siegel, D.S. 1999. Role of NF-kappaB in the rescue of multiple myeloma cells from glucocorticoid-induced apoptosis by bcl-2. Blood 93:3044-3052.
46. Thomas, X., Anglaret, B., Magaud, J.P., Epstein, J., and Archimbaud, E. 1998. Interdependence between cytokines and cell adhesion molecules to induce interleukin-6 production by stromal cells in myeloma. Leuk Lymphoma 32:107-119.
47. Roodman, G.D. 1997. Mechanisms of bone lesions in multiple myeloma and lymphoma. Cancer 80:1557-1563.
48. Ozaki, S., Kosaka, M., Wakatsuki, S., Abe, M., Koishihara, Y., and Matsumoto, T. 1997. Immunotherapy of multiple myeloma with a monoclonal antibody directed against a plasma cell-specific antigen, HM1.24. Blood 90:3179-3186.
49. Lopes de Menezes, D.E., Denis-Mize, K., Tang, Y., Ye, H., Kunich, J.C., Garrett, E.N., Peng, J., Cousens, L.S., Gelb, A.B., Heise, C., et al. 2007. Recombinant interleukin-2 significantly augments activity of rituximab in human tumor xenograft models of B-cell non-Hodgkin lymphoma. J Immunother (1997) 30:64-74.
50. de Bont, E.S., Guikema, J.E., Scherpen, F., Meeuwsen, T., Kamps, W.A., Vellenga, E., and Bos, N.A. 2001. Mobilized human CD34+ hematopoietic stem cells enhance tumor growth in a nonobese diabetic/severe combined immunodeficient mouse model of human non-Hodgkin's lymphoma. Cancer Res 61:7654-7659.
51. Sampaio, M.S., Vettore, A.L., Yamamoto, M., Chauffaille Mde, L., Zago, M.A., and Colleoni, G.W. 2009. Expression of eight genes of nuclear factor-kappa B pathway in multiple myeloma using bone marrow aspirates obtained at diagnosis. Histol Histopathol 24:991-997.
52. Weng, W.K., and Levy, R. 2003. Two immunoglobulin G fragment C receptor polymorphisms independently predict response to rituximab in patients with follicular lymphoma. J Clin Oncol 21:3940-3947.
53. Musolino, A., Naldi, N., Bortesi, B., Pezzuolo, D., Capelletti, M., Missale, G., Laccabue, D., Zerbini, A., Camisa, R., Bisagni, G., et al. 2008. Immunoglobulin G fragment C receptor polymorphisms and clinical efficacy of trastuzumab-based therapy in patients with HER-2/neu-positive metastatic breast cancer. J Clin Oncol 26:1789-1796.
54. Clynes, R.A., Towers, T.L., Presta, L.G., and Ravetch, J.V. 2000. Inhibitory Fc receptors modulate in vivo cytoxicity against tumor targets. Nat Med 6:443-446.
55. Bruhns, P., Iannascoli, B., England, P., Mancardi, D.A., Fernandez, N., Jorieux, S., and Daeron, M. 2009. Specificity and affinity of human Fcgamma receptors and their polymorphic variants for human IgG subclasses. Blood 113:3716-3725.
56. Carter, P.J. 2006. Potent antibody therapeutics by design. Nat Rev Immunol 6:343-357.
57. Cragg, M.S., Morgan, S.M., Chan, H.T., Morgan, B.P., Filatov, A.V., Johnson, P.W., French, R.R., and Glennie, M.J. 2003. Complement-mediated lysis by anti-CD20 mAb correlates with segregation into lipid rafts. Blood 101:1045-1052.
58. Manches, O., Lui, G., Chaperot, L., Gressin, R., Molens, J.P., Jacob, M.C., Sotto, J.J., Leroux, D., Bensa, J.C., and Plumas, J. 2003. In vitro mechanisms of action of rituximab on primary non-Hodgkin lymphomas. Blood 101:949-954.
59. Cragg, M.S., and Glennie, M.J. 2004. Antibody specificity controls in vivo effector mechanisms of anti-CD20 reagents. Blood 103:2738-2743.
60. Smith, M.E., and Thomas, J.A. 1990. Cellular expression of lymphocyte function associated antigens and the intercellular adhesion molecule-1 in normal tissue. J Clin Pathol 43:893-900.
61. Roebuck, K.A., and Finnegan, A. 1999. Regulation of intercellular adhesion molecule-1 (CD54) gene expression. J Leukoc Biol 66:876-888.
62. Stebbings, R., Findlay, L., Edwards, C., Eastwood, D., Bird, C., North, D., Mistry, Y., Dilger, P., Liefooghe, E., Cludts, I., et al. 2007. "Cytokine storm" in the phase I trial of monoclonal antibody TGN1412: better understanding the causes to improve preclinical testing of immunotherapeutics. J Immunol 179:3325-3331.
63. Davis, T.A., Grillo-Lopez, A.J., White, C.A., McLaughlin, P., Czuczman, M.S., Link, B.K., Maloney, D.G., Weaver, R.L., Rosenberg, J., and Levy, R. 2000. Rituximab anti-CD20 monoclonal antibody therapy in non-Hodgkin's lymphoma: safety and efficacy of re-treatment. J Clin Oncol 18:3135-3143.
64. Kyle, R.A., and Rajkumar, S.V. 2004. Multiple myeloma. N Engl J Med 351:1860-1873.
65. Zhang, W., Gordon, M., Schultheis, A.M., Yang, D.Y., Nagashima, F., Azuma, M., Chang, H.M., Borucka, E., Lurje, G., Sherrod, A.E., et al. 2007. FCGR2A and FCGR3A polymorphisms associated with clinical outcome of epidermal growth factor receptor expressing metastatic colorectal cancer patients treated with single-agent cetuximab. J Clin Oncol 25:3712-3718.
66. Lejeune, J., Thibault, G., Ternant, D., Cartron, G., Watier, H., and Ohresser, M. 2008. Evidence for linkage disequilibrium between Fcgamma RIIIa-V158F and Fcgamma RIIa-H131R polymorphisms in white patients, and for an Fcgamma RIIIa-restricted influence on the response to therapeutic antibodies. J Clin Oncol 26:5489-5491; author reply 5491-5482.
67. Bibeau, F., Lopez-Crapez, E., Di Fiore, F., Thezenas, S., Ychou, M., Blanchard, F., Lamy, A., Penault-Llorca, F., Frebourg, T., Michel, P., et al. 2009. Impact of Fc{gamma}RIIa-Fc{gamma}RIIIa polymorphisms and KRAS mutations on the clinical outcome of patients with metastatic colorectal cancer treated with cetuximab plus irinotecan. J Clin Oncol 27:1122-1129.
68. Schmidmaier, R., Baumann, P., Simsek, M., Dayyani, F., Emmerich, B., and Meinhardt, G. 2004. The HMG-CoA reductase inhibitor simvastatin overcomes cell adhesion-mediated drug resistance in multiple myeloma by geranylgeranylation of Rho protein and activation of Rho kinase. Blood 104:1825-1832.
69. Urashima, M., Chauhan, D., Hatziyanni, M., Ogata, A., Hollenbaugh, D., Aruffo, A., and Anderson, K.C. 1996. CD40 ligand triggers interleukin-6 mediated B cell differentiation. Leuk Res 20:507-515.
70. Yaccoby, S., Barlogie, B., and Epstein, J. 1998. Primary myeloma cells growing in SCID-hu mice: a model for studying the biology and treatment of myeloma and its manifestations. Blood 92:2908-2913.
71. Yaccoby, S., Wezeman, M.J., Henderson, A., Cottler-Fox, M., Yi, Q., Barlogie, B., and Epstein, J. 2004. Cancer and the microenvironment: myeloma-osteoclast interactions as a model. Cancer Res 64:2016-2023.
72. Mitsiades, N., Mitsiades, C.S., Poulaki, V., Chauhan, D., Richardson, P.G., Hideshima, T., Munshi, N.C., Treon, S.P., and Anderson, K.C. 2002. Apoptotic signaling induced by immunomodulatory thalidomide analogs in human multiple myeloma cells: therapeutic implications. Blood 99:4525-4530.
73. Chauhan, D., Pandey, P., Hideshima, T., Treon, S., Raje, N., Davies, F.E., Shima, Y., Tai, Y.T., Rosen, S., Avraham, S., et al. 2000. SHP2 mediates the protective effect of interleukin-6 against dexamethasone-induced apoptosis in multiple myeloma cells. J Biol Chem 275:27845-27850.
74. Hideshima, T., Chauhan, D., Shima, Y., Raje, N., Davies, F.E., Tai, Y.T., Treon, S.P., Lin, B., Schlossman, R.L., Richardson, P., et al. 2000. Thalidomide and its analogs overcome drug resistance of human multiple myeloma cells to conventional therapy. Blood 96:2943-2950.
75. Schneider, D., Berrouschot, J., Brandt, T., Hacke, W., Ferbert, A., Norris, S.H., Polmar, S.H., and Schafer, E. 1998. Safety, pharmacokinetics and biological activity of enlimomab (anti-ICAM-1 antibody): an open-label, dose escalation study in patients hospitalized for acute stroke. Eur Neurol 40:78-83.
76. Salmela, K., Wramner, L., Ekberg, H., Hauser, I., Bentdal, O., Lins, L.E., Isoniemi, H., Backman, L., Persson, N., Neumayer, H.H., et al. 1999. A randomized multicenter trial of the anti-ICAM-1 monoclonal antibody (enlimomab) for the prevention of acute rejection and delayed onset of graft function in cadaveric renal transplantation: a report of the European Anti-ICAM-1 Renal Transplant Study Group. Transplantation 67:729-736.
77. Mileski, W.J., Burkhart, D., Hunt, J.L., Kagan, R.J., Saffle, J.R., Herndon, D.N., Heimbach, D.M., Luterman, A., Yurt, R.W., Goodwin, C.W., et al. 2003. Clinical effects of inhibiting leukocyte adhesion with monoclonal antibody to intercellular adhesion molecule-1 (enlimomab) in the treatment of partial-thickness burn injury. J Trauma 54:950-958.
78. Kavanaugh, A.F., Davis, L.S., Nichols, L.A., Norris, S.H., Rothlein, R., Scharschmidt, L.A., and Lipsky, P.E. 1994. Treatment of refractory rheumatoid arthritis with a monoclonal antibody to intercellular adhesion molecule 1. Arthritis Rheum 37:992-999.
79. Kavanaugh, A.F., Davis, L.S., Jain, R.I., Nichols, L.A., Norris, S.H., and Lipsky, P.E. 1996. A phase I/II open label study of the safety and efficacy of an anti-ICAM-1 (intercellular adhesion molecule-1; CD54) monoclonal antibody in early rheumatoid arthritis. J Rheumatol 23:1338-1344.
80. Kavanaugh, A.F., Schulze-Koops, H., Davis, L.S., and Lipsky, P.E. 1997. Repeat treatment of rheumatoid arthritis patients with a murine anti-intercellular adhesion molecule 1 monoclonal antibody. Arthritis Rheum 40:849-853.