特許第5992406号(P5992406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5992406再発した癌患者の治療におけるICAM−1に対する抗体の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992406
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】再発した癌患者の治療におけるICAM−1に対する抗体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20160901BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20160901BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20160901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160901BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20160901BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20160901BHJP
【FI】
   A61K39/395 E
   A61K39/395 T
   C07K16/18ZNA
   C07K19/00
   A61P35/00
   A61P35/02
   !C12N15/00 A
【請求項の数】12
【全頁数】59
(21)【出願番号】特願2013-519096(P2013-519096)
(86)(22)【出願日】2011年7月13日
(65)【公表番号】特表2013-539454(P2013-539454A)
(43)【公表日】2013年10月24日
(86)【国際出願番号】EP2011061983
(87)【国際公開番号】WO2012007516
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年4月25日
(31)【優先権主張番号】1011771.1
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506209743
【氏名又は名称】バイオインヴェント インターナショナル アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンソン、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】フレンデウス、ビョルン
【審査官】 六笠 紀子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−518052(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/116322(WO,A1)
【文献】 Clinical & Experimental Metastasis,2008年,25(5),p.517-529
【文献】 Drug Development Research,2008年,69,p.219-225
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00−39/44
WPI
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以前に癌の治療を受けたことがあり、前記治療に応答しなかったか、あるいは前記治療に以前に応答したが、その後再発したかのいずれかである患者の癌の治療のための医薬の製造における、ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体もしくはその抗原結合断片、またはICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体もしくは抗原結合断片のバリアント、融合体、もしくは誘導体の使用であって、
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列を含み、
前記バリアントは、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
治療すべき癌がリンパ増殖性障害である、使用。
【請求項2】
以前に癌の治療を受けたことがあり、前記治療に応答しなかったか、あるいは前記治療に以前に応答したが、その後再発したかのいずれかである患者の癌の治療のための医薬の製造における、ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体もしくはその抗原結合断片、またはICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体もしくは抗原結合断片のバリアント、融合体、もしくは誘導体の使用であって、
抗体またはその抗原結合断片が、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列を含み、
前記バリアントは、配列番号8のアミノ酸配列および配列番号10のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
治療すべき癌が多発性骨髄腫である、使用。
【請求項3】
治療すべき癌が、患者が以前に治療を受けていたのと同じ癌である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
ICAM−1が、形質細胞の表面に局在している、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、またはその誘導体の有効量が、前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、またはその誘導体の約0.1μg〜5gである、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
抗体もしくは抗原結合断片、またはそのバリアント、融合体、もしくは誘導体が、完全な抗体を含むか、あるいはそれからなる、請求項1〜のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
抗体もしくは抗原結合断片、またはそのバリアント、融合体、もしくは誘導体が、Fv断片;Fab断片;およびFab様断片からなる群から選択される抗原結合断片を含むか、あるいはそれからなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
Fv断片が、一本鎖Fv断片またはジスルフィド結合Fv断片である、請求項に記載の使用。
【請求項9】
Fab様断片が、Fab’断片またはF(ab)断片である、請求項に記載の使用。
【請求項10】
抗体が組換え抗体である、請求項1〜のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
抗体またはその抗原結合断片が、ヒト抗体またはヒト化抗体である、請求項1〜11いずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多発性骨髄腫(また、MMまたは骨髄腫とも称される)は、B細胞の悪性腫瘍であり、全体の血液悪性腫瘍の10%〜20%を占める。現在では、診断時の年齢中央値が65歳から70歳の不治の病であり、40歳未満で診断される患者は非常に少ない。多発性骨髄腫は、10万人につき4人の世界的な発生率を有し、米国では2番目に一般的な血液の悪性腫瘍である。米国では、19,920の多発性骨髄腫の新たな症例および10,000人を超える死亡が、2008年には骨髄腫に関連すると予測されている(American Cancer Society, 2008)。前記疾患は、僅かに男性に多く見られ、アフリカ系米国人でより頻繁に認められ、アジア系の人々では比較的一般的ではない(Kyle & Rajkumar, Blood. 2008 Mar 15;111(6):2962-72. Review)。
【0002】
骨髄腫と診断されると、極めて予後不良であり、現在利用できる治療では3〜4年の生存期間中央値である。しかし、その疾患の重篤な形態の患者は、最適な治療をしてもたった2年の生存期間中央値である(Kyle & Rajkumar, Blood. 2008 Mar 15;111(6):2962-72. Review)。
【0003】
骨髄腫の典型的な臨床像は、病気による骨折、特に胸郭又は脊柱における骨折による重度の痛みを有する患者である(Kyle & Rajkumar, 2004, N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1860-73. Review)。他の一般的な特徴は、腎不全、高カルシウム血症、貧血及び血小板減少症を伴う骨髄機能不全、並びに感染及び血栓塞栓性合併症、たとえば、血栓症及び肺塞栓症のリスクの増大である。臓器不全が、AL−アミロイドーシスと称される免疫グロブリン軽鎖の繊維状凝集の病的な沈着によって生じる場合がある。それが存在する際は、典型的には、心臓及び腎臓に影響を与えて、重度の心臓不整脈及び/又は心不全、並びに腎臓の機能不良及び腎不全の各々を生じさせる。
【0004】
多発性骨髄腫は、大きな医療ニーズが満たされていないことを特徴としている−多発性骨髄腫の治療のために現在利用可能な薬剤は、非治癒的であって、かなりの毒性と薬剤耐性の発生を伴う。多発性骨髄腫形質細胞は、通常、CD20を発現しないか、または弱い、異種のCD20の発現を示して、CD20標的治療がこの疾患に有効である可能性を低いものとしている(Kapoor et al. Haematol, 2008, 141:135-248)。
【0005】
多くのアプローチが多発性骨髄腫の個体を治療するために開発されてきており、それはメルファラン(およびシクロホスファミドなどの他のアルキル化剤);他の化学療法剤(例えば、アドリアマイシン、ビンクリスチンおよびシスプラチンなど);高ステロイド投薬;インターフェロン;ビスホスホネート(例えば、パミドロネートまたはゾレドロネートなど)の使用を含む。また、自家造血幹細胞移植および同種造血幹細胞移植が用いられてきた。
【0006】
多発性骨髄腫の治療または予防のための新規治療法の開発における最近の進歩にもかかわらず、患者の生存と生活の質に関するこれらの薬剤の実際の利点は、まだ限られている(Kumar et al, Blood, 2008, 111(5):2516-20)。さらに、現在の治療は、かなりの割合の患者において重篤な副作用を伴う。例えば、化学療法は、感染に対する感受性の増加、悪心、脱毛、および臓器障害をもたらす;ステロイド治療は、体重増加、糖尿病、感染に対する感受性の増加;骨粗しょう症および精神障害をもたらす;インターフェロン治療は、疲労、発熱、筋肉痛およびうつ病につながる可能性がある;そして、ビスホスホネート治療は、まれではあるが、時には腎臓障害や骨壊死をもたらす。幹細胞移植を展開する手順は、再発および移植関連の罹患率および死亡率の大きな割合と関係する。サリドマイド、ボルテゾミブおよびレナリドミドを含む新規な骨髄腫治療薬は、また、多くの患者でのその使用を制限する副作用を有する。
【0007】
近年では、多発性骨髄腫の病因及び分子メカニズムの理解において大幅な進展が為されている。遺伝学的研究によって、多数の異なる染色体の変化が生じ、この疾患と関連する予後予測因子をもたらす場合が多いことが明らかにされている。簡潔に述べると、これらの染色体転座は、免疫グロブリン(Ig)H遺伝子座(14q32.3)に関連する場合が多く、Igエンハンサーによって促進されるセグメントに各種のトランスフォーミング遺伝子を並置し、発現調節不全及び潜在的に悪性のトランスフォームを生じさせる(Hideshima et al. Nat Rev Cancer. 2007. 7(8): 585-598)。骨髄腫におけるボルテゾミブを用いたプロテアソーム阻害の治療効果は、インビトロで骨髄腫細胞において初めて実証され、おそらく直接的な細胞傷害の結果であり、かつ、接着分子並びに各種の増殖、生存、及び血管新生因子の発現低下の結果である(Kyle & Rajkumar N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1860-73. Review)。転写因子であるNFκBは、正常な調節因子タンパク質であるIκBのプロテアソームによる分解によって骨髄腫において活性が促進されており、ボルテゾミブはプロテアソーム活性を阻害することによってNFκBホメオスタシスを回復させる。
【0008】
破骨細胞、上皮細胞、骨髄幹細胞、及び細胞外マトリックスタンパク質からなる骨髄微環境は、多発性骨髄腫の発病に重要な役割を担っており(Hideshima et al.,Nat Rev Cancer. 2007. 7(8): 585-598)、悪性形質細胞の増殖、生存、及び薬剤耐性を媒介する因子を提供する。骨髄腫細胞によって発現される各種の接着分子、例えば、ICAM−1は、この相互作用に重要である。
【0009】
細胞間接着分子−1(ICAM−1)は、骨髄腫(Huang, et al. Hybridoma. 1993. 12(6): 661-675; Huang et al. Cancer Res. 1995. 55(3): 610-616; Smallshaw et al. Immunother 1997. 2004. 27(6): 419-424; Schmidmaier, Int J Biol Markers. 2006. 21(4): 218-222)、メラノーマ(Wang et al. Int J Cancer. 2006. 118(4): 932-941; Johnson et al., Immunobiology. 1988. 178(3): 275-284)、肺癌(Grothey et al. Br J Cancer. 1998. 77(5): 801-807)、胃癌(Maruo et al. Int J Cancer. 2002. 100(4): 486-490)、膀胱癌(Roche et al. Thromb Haemost. 2003. 89(6): 1089-1097)、乳癌(Rosette C, et al. Carcinogenesis. 2005. 26(5): 943-950)、前立腺癌(Aalinkeel R et al. Cancer Res 2004. 64(15): 5311-21)、及びリンパ腫(Horst et al. Leukemia. 1991. 5(10): 848-853)を含む、多数のタイプのヒト悪性腫瘍で高発現しており、かつ、それらの発症に関与している。ICAM−1の発現増大は、薬剤誘発性耐性(Schmidmaier et al. Int J Biol Markers. 2006. 21(4): 218-222)、腫瘍細胞攻撃性(Miele et al., Exp Cell Res 214 (1), 231 1994)、及び乏しい予後(Dowlati et al., Clin Cancer Res 14 (5), 1407 (2008))の進展に関連する。
【0010】
より若い患者(すなわち、65歳未満の年齢)における骨髄腫の標準的な治療は、ビンクリスチン−アドリアマイシン−デキサメタゾン、その後に、自己幹細胞のサポートとともに高用量のメルファランで調節することからなる。過去10年間の間に、この療法は、少数のみの患者の骨髄で完全寛解を達成するが、生存期間の中央値を約1年まで延長することが示された(Harousseau JL. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2008;2008:306-12)。高用量の治療に付随するリスクのために、高齢の患者は、プレドニソンとの併用で低用量のメルファランを用いた治療が主に提供されている。
【0011】
近年では、他の治療法が、再発性骨髄腫の治療に提案されている。これらの新規薬剤は、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブ(Velcade(登録商標){ベルケイド})、及び「免疫調節」薬であるサリドマイド及びレナリドマイド(Revlimid(登録商標))を含み、治療の選択肢の顕著な進展である。これらの薬剤を摂取した再発性骨髄腫患者の全奏功率は、通常、約30%であるが、前記薬剤を間欠的にデキサメタゾンと併用した際は一般的により高い。これらの知見に基づいて、デキサメタゾン及び/又は化学療法と併用した新規薬剤は、骨髄腫の一次治療として現在臨床試験中であり(http://clinicaltrials.gov/ct2/search)、暫定的な結果が期待される(American Society of Hematology, December 6-9, 2008)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kyle & Rajkumar, Blood. 2008 Mar 15;111(6):2962-72. Review
【非特許文献2】Kyle & Rajkumar, 2004, N Engl J Med. 2004 Oct 28;351(18):1860-73. Review
【非特許文献3】Kapoor et al. Haematol, 2008, 141:135-248
【非特許文献4】Kumar et al, Blood,2008, 111(5):2516-20
【非特許文献5】Hideshima et al. Nat Rev Cancer. 2007. 7(8): 585-598
【非特許文献6】Huang, et al. Hybridoma. 1993. 12(6): 661-675; Huang et al. Cancer Res. 1995. 55(3): 610-616
【非特許文献7】Smallshaw et al. Immunother 1997. 2004. 27(6): 419-424
【非特許文献8】Schmidmaier, Int J Biol Markers. 2006. 21(4): 218-222
【非特許文献9】Wang et al. Int J Cancer. 2006. 118(4): 932-941
【非特許文献10】Johnson et al., Immunobiology. 1988. 178(3): 275-284
【非特許文献11】Grothey et al. Br J Cancer. 1998. 77(5): 801-807
【非特許文献12】Maruo et al. Int J Cancer. 2002. 100(4): 486-490
【非特許文献13】Roche et al. Thromb Haemost. 2003. 89(6): 1089-1097
【非特許文献14】Rosette C, et al. Carcinogenesis. 2005. 26(5): 943-950
【非特許文献15】Aalinkeel R et al. Cancer Res 2004. 64(15): 5311-21
【非特許文献16】Horst et al. Leukemia. 1991. 5(10): 848-853
【非特許文献17】Miele et al., Exp Cell Res 214 (1), 231 1994
【非特許文献18】Dowlati et al., Clin Cancer Res 14 (5), 1407 (2008)
【非特許文献19】Harousseau JL. Hematology Am Soc Hematol Educ Program. 2008;2008:306-12
【非特許文献20】http://clinicaltrials.gov/ct2/search
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
再発性骨髄腫患者の従来の治療法と比較して、ボルテゾミブ、レナリドマイド、及びサリドマイドは生存に有益であることを示すが(Rajkumar Blood. 2005. 106(13): 4050-4053; Richardson et al. Blood. 2006. 108(10): 3458-3464; Richardson et al. N Engl J Med. 2005. 352(24): 2487-2498; Singhal et al. N Engl J Med. 1999. 341(21): 1565-1571)、長期生存期間の増大又は治癒という目標は未だ達成されていない。さらに、前記新規薬剤は、深刻な副作用、例えば、血栓塞栓症、神経障害、並びに免疫及び骨髄抑制のリスクの増大も有しており、このことが大多数の患者におけるそれらの使用を制限する。
【0014】
新規治療法の開発の最近の進歩にもかかわらず、患者の生存率や生活の質に対するこれらの薬剤の実際の利点は、効果がないか、あるいは薬剤耐性を生じて、その後再発した多くの患者で効果が穏やかであることであって、多発性骨髄腫と闘うための新規より効果的で賞賛に値する治療法の開発を必要とするものである。したがって、骨髄腫治療のための新しい潜在的な標的と薬剤は、特に現在の薬剤では応答しないか、あるいは最初は応答したが、その後再発した患者に使用するために必要とされる。
【0015】
過去20年間にわたる標的免疫療法と抗体系薬剤の進化は、癌や血液悪性腫瘍と闘うための医師の骨組みを著しく向上させた(1)。血液悪性腫瘍では、CD20特異的マウスヒトキメラモノクローナル抗体のリツキシマブは、治療用抗体の代表例を提供し、それは、単剤療法(2)、(3)として使用される場合、または従来の化学療法剤と組み合わされた場合(4−6)、非ホジキンリンパ腫患者の生存率を大幅に向上させた(7、8)。しかし、かなりの割合の血液障害患者は、CD20発現を欠如する腫瘍細胞のため、またはCD20治療に対する固有もしくは獲得耐性のために、抗CD20療法に対して不適応のままである(9)。したがって、これらの現在不治の癌に対して活性を有する新世代の抗体の開発は、臨床転帰を改善するために非常に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
出願人は、本明細書において、インビボでの異なる移植されたCD20発現およびCD20陰性ヒトB細胞腫瘍に対して現在利用可能な治療法に比べて、広範囲の非常に有効でかつ強力な抗腫瘍活性を有する、B11エピトープを標的とする新規ヒトICAM−1抗体を説明する。ICAM−1 B11抗体は、腫瘍B細胞のアップレギュレートされた表面受容体をその標的とすること、および特性を誘導するその競合的なプログラムされた細胞死に基づく差異的バイオパニングおよびプログラム細胞死(PCD)スクリーニングにより、ナイーブ抗体ライブラリーのn−CoDeR(登録商標)(Biolnvent社製)から分離された。我々の知る限り、これは、初めて機能的スクリーニング方法を成功裏に適用して、以前によく特徴付けられた受容体(ICAM−1)の新規な機能を特定する一方で、それと同時に、このような顕著な治療法としての可能性を有する、同じ標的に対する抗体を生成する。治療用抗体の発見へのこの「機能第一のアプローチ」は、したがって、組換え標的タンパク質または標的のトランスフェクトされた細胞に対するパンニングを利用する、より慣用的なアプローチに対する重要かつ補完的な戦略を構成し、ここで、選択された抗体プールは、事前に定義された1つ以上の標的受容体に対する特異性に限定される。
【0017】
IgG B11が、リツキシマブと比べて、CD20発現腫瘍に対して競合的なインビボ抗腫瘍活性を有するとの我々の知見は、異なるリンパ腫の亜型での明らかに頻繁なICAM−1の発現と共に、それがCD20発現リンパ腫の治療に適用可能であることを示している。全体的なリツキシマブは、単剤または化学療法と組み合わせて使用された場合、非ホジキンリンパ腫(NHL)患者の生存率をかなり改善したが(8)、再発または難治性のCD20濾胞性リンパ腫患者のかなりの割合がリツキシマブによる初期治療に応答せず(2)、以前にリツキシマブに応答していた半分を超える患者が耐性を獲得し、再治療の利益をもはや受けない(63)。したがって、CD20発現腫瘍に対するIgG B11抗腫瘍活性のさらなる前臨床研究が必要とされて、リツキシマブ耐性または難治性のNHL患者の臨床的に関連し、拡大する集団の治療に対するその適用性を示している。
【0018】
重要なことに、IgG B11が広範かつ強力なインビボ抗骨髄腫活性を有することが本明細書に示されている。CD20は、早期プレB細胞段階からB細胞の抗原曝露後まで、B細胞の発育の過程で広範囲に発現されるけれども、抗体分泌形質細胞および多発性骨髄腫を含むこの段階に由来する癌は、一般的に、CD20を発現しないか、あるいは低い、異種発現を示す。したがって、多発性骨髄腫は、リツキシマブのようなCD20標的療法で効果的に治療されそうにもない(23)。
【0019】
これとは対照的に、いくつかの観察は、ICAM−1が骨髄腫治療、特にIgG B11のような抗体を用いた標的治療に適した標的となり得ることを示唆している;第1に、最近の報告では、ICAM−1が、始原多発性骨髄腫形質細胞によって強く発現し、そしてICAM−1が、化学療法による治療に応答する患者で、特に化学療法に耐性を生じた患者(14、22)−多発性骨髄腫の現在避けられない末期患者(64)ではさらにアップレギュレートされていることを記述している。
【0020】
これらの観察と一致して、大多数の骨髄腫細胞がB11によって標的とされるエピトープを、患者の非骨髄腫リンパ球と比較して増加したレベルで発現したことが本明細書で実証される。
【0021】
悪性細胞上での高標的発現および同種標的発現は、病気が進行するにつれて、そして現在利用可能な治療の選択肢に対して耐性が生じるにつれてアップレギュレートされ、抗体ベースの治療に、特に癌細胞に対して直接の細胞障害性を与える抗体に適した標的の重要な特徴と考えられる。
【0022】
IgG B11の抗腫瘍活性について重要なメカニズムである直接の細胞障害性と一致して、IgG B11の抗腫瘍活性は、IgG結合と相関し、腫瘍細胞の飽和は、ICAM−1受容体を発現したことが示される。さらに、主要な作用様式である直接的な腫瘍細胞の細胞障害性と一致して、IgG B11は、特性を誘導するその報告されたプログラム細胞死に加えて(10)、Fc:FcγR−依存性の抗腫瘍活性をインビボおよびインビトロで付与した。証拠を蓄積することは、抗体定常ドメイン(Fc)とホストFcガンマ受容体(FcγR)間の相互作用がリツキシマブや他の癌抗体の臨床活性のために、少なくとも異なる患者群で助けになることを示唆している(52、53、65−67)。
【0023】
このように、独立した研究では、抗体定常Fcドメインに対して最も高い親和性を有するFcγRIIIa対立遺伝子のホモ接合型NHL患者は,リツキシマブによる治療に応答して少なくとも1つの低親和性FcγRIIIaの対立遺伝子を有する患者に比べて生存率の改善を示しており、リツキシマブのインビボ抗腫瘍活性は、抗体Fc:ホストFcγRの相互作用に非常に依存している(54)。
【0024】
多発性骨髄腫の治療のために承認された抗体は、今のところないが、Fc:FcγR接合型治療用抗体は、血液癌および固形癌が治療されている方法を変えてきた(1)。前臨床データは、骨髄腫治療薬として現在、使用され、開発されたImiDsが、Fc:FcγR−依存性の抗腫瘍活性を増強することを証明している(Wu et al (2008) Clin Cancer Res, 14 pp4650-7)。IMiDsは、炎症、自己免疫疾患および腫瘍性疾患の治療のための有望な新しいクラスの免疫調節剤を代表するサリドマイドの構造的および機能的類似体である。
【0025】
これらの観察により、適切な骨髄腫関連受容体とこれらの構造を標的とするFc:FcγR−接合型抗体を同定することができるならば、そのような標的に特異的な抗体は、骨髄腫治療や疾患の転帰を改善する可能性があることが示唆される(1)。したがって、入手可能な文献および本明細書に提示されるデータに基づいて、ICAM−1:IgG B11が骨髄腫治療のための魅力的な主軸を提供し得ることが示される。
【0026】
骨髄腫治療のICAM−1標的介入に対する更なる支持では、ICAM−1が複数のレベルで多発性骨髄腫の発症と薬剤耐性の発生に関与していることである(12、14、22)。多発性骨髄腫は、骨髄での悪性形質細胞の浸潤や増殖を特徴とし、骨髄腫細胞は、増殖、生存のために間質細胞との相互作用に依存している。ICAM−1は、そのリガンドであるインテグリンαLβ2、インテグリンαMβ2、およびmuc−1に結合することによって、細胞接着性事象に関与し、それは複数の細胞シグナル伝達経路を誘発し、多発性骨髄腫細胞の増加した増殖、遊走、PCDに対する耐性を促進し、細胞接着分子の開発が薬剤耐性を誘導した(12、68、69)。計画された研究では、scid−huのインビボ実験モデル(70)と骨芽細胞や破骨細胞との骨髄腫細胞の共培養(71)を用いて、ICAM−1依存性ヒト骨髄腫−ヒト間質細胞の相互作用に対するIgG B11の効果を調査することを目指す。
【0027】
リツキシマブおよびボルテソミブと比較した、IgG B11の改良された抗腫瘍活性は、メカニズムの観点から興味をそそられる。改良された抗腫瘍活性は、リツキシマブのエピトープと比較して、腫瘍細胞によって発現される多くのICAM−1のエピトープから生じなかったが、このことは、IgG B11が、リツキシマブと比較して、異なるシグナル伝達経路またはエフェクター経路によって、より強い死のシグナルを送達するか、あるいは細胞死を誘導するかのいずれかであることを示している。これらの薬剤に対する耐性を獲得した腫瘍を治療しようとするとき、リツキシマブおよびボルテゾミブの経路とは別の経路を経由して細胞死を誘発する能力は、特に重要となる可能性がある。
【0028】
治療用癌抗体は、顕著な抗腫瘍活性を発揮することに加えて、患者に安全であって、許容できるものでなければならない。ICAM−1は、正常な生理的状況下で限られた発現と組織分布を示し、組織損傷または炎症性ストレスに応答して、いくつかの細胞型でアップレギュレートされ、抗ICAM−1抗体を用いた治療についての安全上の懸念を引き起こす。しかし、独立した研究者によるこれまでの研究では、抗ICAM−1抗体は、異なる患者群で忍容性は良好であったことが実証された(75−79)。B11の我々の前臨床安全性評価は、それが安全かつ忍容性が良好であり、B11が重大な免疫細胞機能を増強または妨害するという証拠はないことを示している。
【0029】
薬理学的視点とその完全にヒトの性質のために、B11は以前に開発されたマウスまたはキメラのICAM−1抗体(80)に比べて、低免疫原性または非免疫原性であり、ヒトIgGに一般的な半減期(2〜3週間)を有すると予想される。したがって、その著しい前臨床抗骨髄腫活性と予想される安全なプロファイルに基づいて、多発性骨髄腫におけるIgG B11による臨床試験が、現在、米国で開始された。
【0030】
要約すると、多発性骨髄腫の前臨床モデルにおいて、ボルテゾミブ(ベルケード)、デキサメタゾン、レブラミドおよびアルケランを含む現在使用されている治療法に比べて、増強された抗骨髄腫活性を有するICAM−1抗体(IgG B11)を誘導する新規な細胞死を出願人は特定した。出願人は、また、そのような現在使用されている薬剤を用いてのインビボにおける治療の後に、集めた大半の多発性骨髄腫細胞が、ICAM−1(B11エピトープを含む)の発現を維持または増強したことを示し、このことは、そのようなICAM−1抗体が、応答しなかったか、あるいは他の薬剤による以前の治療から再発した患者にとって特に利益となることを示唆している。
【0031】
したがって、本発明の第一の態様が以下に提供される:
【0032】
ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体もしくはその抗原結合断片、またはICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体もしくは抗原結合断片のバリアント、融合体、もしくは誘導体、または前記バリアントもしくはその誘導体の融合体の、患者の癌の治療のための医薬の製造における使用であって、ここで、前記患者は、以前に癌の治療を受けており、前記治療に応答しなかったか、あるいは以前に前記治療に応答し、その後再発したかのいずれかである。
【0033】
再発は、早期に達成された治療応答(つまり病状の改善)後、症候性疾患に罹患した病気の進行と定義される。非応答は、治療過程での病気の進行または治療応答がないことと定義される。
【0034】
患者が、再発性であるか、または特定の治療に非応答であるかを特定することにおいて、臨床医によって考慮されるであろう様々な基準がある。これらの要因(ただし、これらに限定されない)は、次のものを含む;骨痛を伴う新たな骨折、低下したヘモグロビンまたは増加した腎不全による疲労、感染症、血球数、腫瘍の大きさまたは腫瘍の再増殖/再成長、新しい癌の発症(転移)。
【0035】
これらの要因のいずれかに対する実験室での試験は、標準的な臨床技術および実験技術ならびに装置を用いて行われる。
【0036】
1つの実施形態では、治療すべき癌は、患者が以前に治療を受けていたのと同じ癌である。
【0037】
さらなる実施形態では、治療すべき癌は、異なる癌であり、それから患者が以前に治療を受けていた癌である。
【0038】
本発明の第二の態様が以下に提供される:
【0039】
患者の癌の治療で使用するための、ICAM−1に対する結合特異性を有する抗体もしくはその抗原結合断片、またはICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体もしくは抗原結合断片のバリアント、融合体、もしくは誘導体、または前記バリアントもしくはその誘導体の融合体であって、ここに、前記患者は、以前に癌の治療を受けており、前記治療に応答しなかったか、あるいは以前に前記治療に応答し、その後再発したかのいずれかである。
【0040】
治療すべき癌は、患者が以前に治療を受けていたのと同じ癌である。
【0041】
さらなる実施形態では、治療すべき癌は、異なる癌であり、それから患者が以前に治療を受けていた癌である。
【0042】
本発明の第三の態様が以下に提供される:
【0043】
以前に癌の治療を受けて、前記治療に応答しなかったか、あるいは以前に前記治療に応答し、その後再発した患者の癌を治療する方法であって、前記方法は、ICAM−1に対する結合特異性を有する有効量の、抗体もしくはその抗原結合断片、またはICAM−1に対する結合特異性を有する、前記抗体もしくは抗原結合断片のバリアント、融合体、もしくは誘導体、または前記バリアントもしくはその誘導体の融合体を患者に投与する工程を含む。
【0044】
1つの実施形態では、治療すべき癌は、患者が以前に治療を受けていたのと同じ癌である。
【0045】
さらなる実施形態では、治療すべき癌は、異なる癌であり、それから患者が以前に治療を受けていた癌である。
【0046】
癌治療は、腫瘍細胞の増殖を阻害すること、血管新生(腫瘍の成長を支えるのに必要な新しい血管の成長)を阻害すること、および/または腫瘍細胞の運動性や侵襲性を減少させることにより転移を妨げることにより腫瘍退縮を促進させる。
【0047】
本発明の抗体は、固相腫瘍/悪性腫瘍、局所進行性腫瘍、ヒト軟部組織肉腫、リンパ性転移を含む転移癌、多発性骨髄腫、急性および慢性白血病、ならびにリンパ腫を含む血液細胞悪性腫瘍、口腔癌、喉頭癌、および甲状腺癌を含む頭頸部癌、小細胞癌および非小細胞癌を含む肺癌、小細胞癌および腺管癌を含む乳癌、食道癌、胃癌、直腸癌、結腸直腸癌、および結腸直腸の新生物を伴うポリープを含む消化器癌、膵臓癌、肝臓癌、膀胱癌および前立腺癌を含む泌尿器癌、卵巣癌、子宮(子宮内膜を含む)癌、および卵胞固形腫瘍を含む女性生殖器の悪性腫瘍、腎細胞癌を含む腎癌、内因性脳腫瘍を含む脳の癌、神経芽腫、星状細胞脳腫瘍、神経膠腫、中枢神経系への転移性腫瘍細胞浸潤、骨腫を含む骨癌、悪性黒色腫を含む皮膚癌、ヒト皮膚角化細胞の腫瘍進行、扁平上皮癌、基底細胞癌、血管外皮腫、ならびにカポジ肉腫を含む成人および小児の腫瘍に有効であり得る。
【0048】
治療用組成物は、治療的に有効な用量単独で、または手術、化学療法、放射線療法、温熱療法、およびレーザー治療などの補助癌療法と組み合わせて投与することができ、例えば、腫瘍の大きさを縮小させる、腫瘍成長を遅らせる、転移を阻害する、あるいは、そうでなければ必ずしも癌を根絶することなく、全体的な臨床症状を改善するなどの有益な効果を提供することが可能である。
【0049】
加えて、本発明の治療組成物は、癌の予防的治療のために使用することが可能である。癌を個体に生じやすくする遺伝状況および/または環境状態(例えば、発癌性物質への曝露)が、当該分野で知られている。このような状況下では、癌の発症のリスクを軽減するために、本発明の治療有効用量の抗体または抗原結合断片でこれらの個体を治療することは有益となり得る。
【0050】
インビトロのモデルは、強力な癌療法としての本発明の抗体または抗原結合断片の有効用量を決定するために使用することができる。こうしたインビトロのモデルは、それぞれ、培養腫瘍細胞の増殖アッセイ、軟寒天中での培養腫瘍細胞の成長(see Freshney, (1987) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, Wily-Liss, New York, NY Ch 18 and Ch 21)、GiovanellaらのJ.Natl.Can.Inst,52:921−30(1974)に記載されたヌードマウスでの腫瘍系、PilkingtonらのAnticancer Res.,17:4107−9(1997)に記載されたBoydenチャンバーアッセイにおける腫瘍細胞の移動性と浸潤能、およびRibattaらのIntl.J.Dev.Biol.,40:1189−97(1999)およびLiらのClin.Exp.Metastasis,17:423−9(1999)に記載されたニワトリ漿尿膜の血管新生誘導または血管内皮細胞遊走の誘導を含む。適切な腫瘍細胞株が、例えば、米国培養細胞系統保存機関のカタログから入手可能である。
【0051】
1つの実施形態では、治療すべき癌は、血液腫瘍である。
【0052】
血液腫瘍は、血液、骨髄、およびリンパ節に影響を与える。この3つは、免疫系を介して密接に関係しているので、この3つのいずれかに影響を与える疾患は、しばしば他にも同様に影響を与える:リンパ腫は、専門的にはリンパ節の疾患であるが、それはしばしば骨髄に広がり、血液に影響を与え、時折パラプロテインを産生する。
【0053】
血液悪性腫瘍は、2つの主要な血液細胞系統:骨髄系細胞株とリンパ系細胞株のいずれかに由来し得る。骨髄系細胞株は、通常、顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージ、および顆粒細胞を産生する;リンパ系細胞株は、B細胞、T細胞、NK細胞および形質細胞を産生する。リンパ腫、リンパ性白血病、および骨髄腫は、リンパ系由来であるのに対し、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および骨髄増殖性疾患は、骨髄起源である。
【0054】
1つの実施形態では、治療すべき癌は、リンパ増殖性疾患(LPD)である。
【0055】
リンパ増殖性疾患(LPD)は、リンパ球が過剰量に生産されるいくつかの病状を指す。それらは通常、免疫系を損なった患者に起こる。
【0056】
LPDの例としては、
・ 濾胞性リンパ腫
・ 慢性リンパ性白血病
・ 急性リンパ芽球性白血病
・ 有毛細胞白血病
・ リンパ腫
・ 多発性骨髄腫
・ Waldenstromマクログロブリン血症
・ Wiskott−Aldrich症候群
・ 移植後リンパ増殖性疾患
・ 自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)
・ 全身性エリテマトーデス(SLE)
が、挙げられる。
【0057】
1つの実施形態では、治療すべき癌は、リンパ腫または非ホジキンリンパ腫(NHL)である。
【0058】
リンパ腫は、免疫系のリンパ細胞に始まり、リンパ系細胞の固形腫瘍として現れる癌である。これらの悪性細胞は、多くの場合リンパ節に由来し、リンパ節の拡大(腫瘍)として現れる。リンパ腫は、リンパ様白血病と密接に関連し、それはまた、リンパ球に由来するが、典型的には、循環血液と骨髄(ここで、血液細胞は造血と呼ばれるプロセスで生成する)だけに関与し、通常は静的腫瘍を形成しない。リンパ腫には多くの種類があり、そして、リンパ腫は血液腫瘍と呼ばれる疾患の広範なグループの一部である。
【0059】
1つの実施形態では、治療すべき癌は、形質細胞障害(また、形質細胞悪液質として知られている)である。
【0060】
癌は障害の形(形質細胞悪液質)を取ることができる。形質細胞悪液質は、一般的にMタンパク質と呼ばれる単クローン性免疫グロブリンまたはパラプロテインの検出可能なレベルを分泌するか、あるいは分泌しない形質細胞の単クローン性集団の悪性増殖の結果として生成される。一般的な形質細胞悪液質としては、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、多発性骨髄腫、骨の孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫、Waldenstromマクログロブリン血症(WM)、原発性アミロイドーシス、および重鎖疾患が含まれる。
【0061】
さらなる実施形態では、治療すべき癌は、多発性骨髄腫である。
【0062】
1つの実施形態では、癌治療の方法はさらに、多発性骨髄腫の治療のためにルーチン的に使用されるさらなる抗癌剤を含む。
【0063】
「治療」には、被験者/患者の治療および予防的治療の両方を含む。用語「予防的」は、患者または被験者の癌(多発性骨髄腫など)の発生または進行の可能性を防止するか、または減少させるかのどちらかである、本明細書に記載されたポリペプチドまたは組成物の使用を包含するために使用される。
【0064】
本明細書で使用される、「治療有効量」または「有効量」または「治療的に有効な」は、与えられた条件および投与計画に対して治療効果を提供するその量を意味する。これは必須の添加剤と希釈剤(すなわち、担体または投与ビヒクル)と関連して、所望の治療効果を生じるように計算された活性物質の所定量である。さらに、ホストの活性、機能、および応答における臨床的に重大な欠点を減らすか、または防ぐのに充分な量を意味することを意図する。あるいは、治療有効量は、ホストにおける臨床的に重篤な状態の改善をもたらすのに十分な量である。
【0065】
好ましい実施形態では、本発明の第1および第2の態様の使用、ならびに本発明の第3の態様の方法は、抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体またはその誘導体の約0.02mg/kgから20mg/kgの量を、それを必要とする患者に投与する工程を含む。
【0066】
特に好ましい実施形態では、患者に投与される抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体または誘導体の量は、約0.02mg/kg〜0.10mg/kg;または0.10mg〜0.20mg/kg;または0.20mg〜0.30mg/kg;または0.30mg〜0.40mg/kg;または0.40mg〜0.50mg/kg;または0.50mg〜0.60mg/kg;または0.60mg〜0.70mg/kg;または0.70mg〜0.80mg/kg;または0.80mg〜0.90mg/kg;または0.90mg〜1.00mg/kg;または1.00mg〜1.10mg/kg;または1.10mg〜1.20mg/kg;または1.20mg〜1.30mg/kg;または1.30mg〜1.40mg/kg;または1.40mg〜1.50mg/kg;または1.50mg〜1.60mg/kg;または1.60mg〜1.70mg/kg;または1.70mg〜1.80mg/kg;または1.80mg〜1.90mg/kg;または1.90mg〜2.00mg/kg;または2.00mg/kg〜2.10mg/kg;または2.10mg〜2.20mg/kg;または2.20mg〜2.30mg/kg;または2.30mg〜2.40mg/kg;または2.40mg〜2.50mg/kg;または2.50mg〜2.60mg/kg;または2.60mg〜2.70mg/kg;または2.70mg〜2.80mg/kg;または2.80mg〜2.90mg/kg;または2.90mg〜3.00mg/kg;または3.00mg〜3.10mg/kg;または3.10mg〜3.20mg/kg;または3.20mg〜3.30mg/kg;または3.30mg〜3.40mg/kg;または3.40mg〜3.50mg/kg;または3.50mg〜3.60mg/kg;または3.60mg〜3.70mg/kg;または3.70mg〜3.80mg/kg;または3.80mg〜3.90mg/kg;または3.90mg〜4.00mg/kg;または4.00mg〜4.10mg/kg;または4.10mg〜4.20mg/kg;または4.20mg〜4.30mg/kg;または4.30mg〜4.40mg/kg;または4.40mg〜4.50mg/kg;または4.50mg〜4.60mg/kg;または4.60mg〜4.70mg/kg;または4.70mg〜4.80mg/kg;または4.80mg〜4.90mg/kg;または4.90mg〜5.00mg/kg;または5.00mg/kg〜6.00mg/kg;または6.00mg〜7.00mg/kg;または7.00mg〜8.00mg/kg;または8.00mg〜9.00mg/kg;または9.00mg〜10.00mg/kg;または10.00mg〜11.00mg/kg;または11.00mg〜12.00mg/kg;または12.00mg〜13.00mg/kg;または13.00mg〜14.00mg/kg;または14.00mg〜15.00mg/kg;または15.00mg〜16.00mg/kg;または16.00mg〜17.00mg/kg;または17.00mg〜18.00mg/kg;または18.00mg〜19.00mg/kg;または19.00mg〜20.00mg/kg.である。
【0067】
代替的な実施形態では、患者に投与される抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体、または誘導体の量は、約0.02mg/kg;または0.03mg/kg;または0.04mg/kg;または0.05mg/kg;または0.06mg/kg;または0.07mg/kg;または0.08mg/kg;または0.09mg/kg;または0.10mg/kg;または0.15mg/kg;または0.20mg/kg;または0.25mg/kg;または0.30mg/kg;または0.35mg/kg;または0.40mg/kg;または0.45mg/kg;または0.50mg/kg;または0.60mg/kg;または0.70mg/kg;または0.80mg/kg;または0.90mg/kg;または1.00mg/kg;または1.10mg/kg;または1.20mg/kg;または1.30mg/kg;または1.40mg/kg;または1.50mg/kg;または1.60mg/kg;または1.70mg/kg;または1.80mg/kg;または1.90mg/kg;または2.00mg/kg;または2.10mg/kg;または2.20mg/kg;または2.30mg/kg;または2.40mg/kg;または2.50mg/kg;または2.60mg/kg;または2.70mg/kg;または2.80mg/kg;または2.90mg/kg;または3.00mg/kg;または3.10mg/kg;または3.20mg/kg;または3.30mg/kg;または3.40mg/kg;または3.50mg/kg;または3.60mg/kg;または3.70mg/kg;または3.80mg/kg;または3.90mg/kg;または4.00mg/kg;または4.10mg/kg;または4.20mg/kg;または4.30mg/kg;または4.40mg/kg;または4.50mg/kg;または4.60mg/kg;または4.70mg/kg;または4.80mg/kg;または4.90mg/kg;または5.00mg/kg;または6.00mg/kg;または7.00mg/kg;または8.00mg/kg;または9.00mg/kg;または10.00mg/kg;または11.00mg/kg;または12.00mg/kg;または13.00mg/kg;または14.00mg/kg;または15.00mg/kg;または16.00mg/kg;または17.00mg/kg;または18.00mg/kg;または19.00mg/kg;または20.00mg/kgである。
【0068】
当業者に理解されるように、抗体を用いた治療は、癌細胞を標的とし、周囲組織を回避するそれらの能力において、低毒性である治療上の利点を提供することができる。忍容性は、ナチュラルキラー(NK)細胞媒介細胞死などの生理的メカニズムを利用して、あるいは腫瘍細胞の壊死ではなくアポトーシスを直接誘導して、免疫グロブリンの動的作用を反映している可能性がある。
【0069】
当業者に理解されるように、抗体またはその抗原結合断片の正確な量は、その特異的な活性に依存して異なる場合がある。適切な投与量は、必要な希釈剤と関連して所望の治療効果を生じるように計算された活性組成物の所定量を含有してもよい。本発明の組成物の製造のための方法および使用において、治療有効量の活性成分が提供される。治療有効量は、当該技術分野で周知のように、年齢、体重、性別、症状、合併症、他の疾患等の患者特性に基づいて、通常の熟練した医師または獣医によって決定することができる。
【0070】
さらなる実施形態では、本発明の使用、抗体または方法は、形質細胞の表面に局在するICAM−1を含む。
【0071】
さらなる実施形態では、本発明の使用、抗体または方法は、細胞表面に局在するICAM−1と特異的に結合することができ、その細胞のプログラム細胞死またはアポトーシスを誘導することができる、抗体もしくはその抗原結合断片、またはそのバリアント、融合体もしくは誘導体を含む。
【0072】
さらなる実施形態では、本発明の使用、抗体または方法は、抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体またはその誘導体の有効量が、約0.1μg〜5gである前記抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体またはその誘導体を含む。
【0073】
特に好ましい実施形態では、抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体またはその誘導体の有効量は、およそ次のとおりである:
0.10μg;または0.15μg;または0.20μg;または0.25μg;または0.30μg;または0.35μg;または0.40μg;または0.45μg;または0.50μg;または0.60μg;または0.70μg;または0.80μg;または0.90μg;または1.00μg;または1.10μg;または1.20μg;または1.30μg;または1.40μg;または1.50μg;または1.60μg;または1.70μg;または1.80μg;または1.90μg;または2.00μg;または2.10μg;または2.20μg;または2.30μg;または2.40μg;または2.50μg;または2.60μg;または2.70μg;または2.80μg;または2.90μg;または3.00μg;または3.10μg;または3.20μg;または3.30μg;または3.40μg;または3.50μg;または3.60μg;または3.70μg;または3.80μg;または3.90μg;または4.00μg;または4.10μg;または4.20μg;または4.30μg;または4.40μg;または4.50μg;または4.60μg;または4.70μg;または4.80μg;または4.90μg;または5.00μg;または6.00μg;または7.00μg;または8.00μg;または9.00μg;または10.00μg;または11.00μg;または12.00μg;または13.00μg;または14.00μg;または15.00μg;または16.00μg;または17.00μg;または18.00μg;または19.00μg;または20.00μg;または21.00μg;または22.00μg;または23.00μg;または24.00μg;または25.00μg;または26.00μg;または27.00μg;または28.00μg;または29.00μg;または30.00μg;または31.00μg;または32.00μg;または33.00μg;または34.00μg;または35.00μg;または36.00μg;または37.00μg;または38.00μg;または39.00μg;または40.00μg;または41.00μg;または42.00μg;または43.00μg;または44.00μg;または45.00μg;または46.00μg;または47.00μg;または48.00μg;または49.00μg;または50.00μg;または51.00μg;または52.00μg;または53.00μg;または54.00μg;または55.00μg;または56.00μg;または57.00μg;または58.00μg;または59.00μg;または60.00μg;または61.00μg;または62.00μg;または63.00μg;または64.00μg;または65.00μg;または66.00μg;または67.00μg;または68.00μg;または69.00μg;または70.00μg;または71.00μg;または72.00μg;または73.00μg;または74.00μg;または75.00μg;または76.00μg;または77.00μg;または78.00μg;または79.00μg;または80.00μg;または81.00μg;または82.00μg;または83.00μg;または84.00μg;または85.00μg;または86.00μg;または87.00μg;または88.00μg;または89.00μg;または90.00μg;または91.00μg;または92.00μg;または93.00μg;または94.00μg;または95.00μg;または96.00μg;または97.00μg;または98.00μg;または99.00μg;または100.00μg(0.10mg);または0.15mg;または0.20mg;または0.25mg;または0.30mg;または0.35mg;または0.40mg;または0.45mg;または0.50mg;または0.60mg;または0.70mg;または0.80mg;または0.90mg;または1.00mg;または1.10mg;または1.20mg;または1.30mg;または1.40mg;または1.50mg;または1.60mg;または1.70mg;または1.80mg;または1.90mg;または2.00mg;または2.10mg;または2.20mg;または2.30mg;または2.40mg;または2.50mg;または2.60mg;または2.70mg;または2.80mg;または2.90mg;または3.00mg;または3.10mg;または3.20mg;または3.30mg;または3.40mg;または3.50mg;または3.60mg;または3.70mg;または3.80mg;または3.90mg;または4.00mg;または4.10mg;または4.20mg;または4.30mg;または4.40mg;または4.50mg;または4.60mg;または4.70mg;または4.80mg;または4.90mg;または5.00mg;または6.00mg;または7.00mg;または8.00mg;または9.00mg;または10.00mg;または11.00mg;または12.00mg;または13.00mg;または14.00mg;または15.00mg;または16.00mg;または17.00mg;または18.00mg;または19.00mg;または20.00mg;または21.00mg;または22.00mg;または23.00mg;または24.00mg;または25.00mg;または26.00mg;または27.00mg;または28.00mg;または29.00mg;または30.00mg;または31.00mg;または32.00mg;または33.00mg;または34.00mg;または35.00mg;または36.00mg;または37.00mg;または38.00mg;または39.00mg;または40.00mg;または41.00mg;または42.00mg;または43.00mg;または44.00mg;または45.00mg;または46.00mg;または47.00mg;または48.00mg;または49.00mg;または50.00mg;または51.00mg;または52.00mg;または53.00mg;または54.00mg;または55.00mg;または56.00mg;または57.00mg;または58.00mg;または59.00mg;または60.00mg;または61.00mg;または62.00mg;または63.00mg;または64.00mg;または65.00mg;または66.00mg;または67.00mg;または68.00mg;または69.00mg;または70.00mg;または71.00mg;または72.00mg;または73.00mg;または74.00mg;または75.00mg;または76.00mg;または77.00mg;または78.00mg;または79.00mg;または80.00mg;または81.00mg;または82.00mg;または83.00mg;または84.00mg;または85.00mg;または86.00mg;または87.00mg;または88.00mg;または89.00mg;または90.00mg;または91.00mg;または92.00mg;または93.00mg;または94.00mg;または95.00mg;または96.00mg;または97.00mg;または98.00mg;または99.00mg;または100.00mg(0.10g);または0.15g;または0.20g;または0.25g;または0.30g;または0.35g;または0.40g;または0.45g;または0.50g;または0.60g;または0.70g;または0.80g;または0.90g;または1.00g;または1.10g;または1.20g;または1.30g;または1.40g;または1.50g;または1.60g;または1.70g;または1.80g;または1.90g;または2.00g;または2.10g;または2.20g;または2.30g;または2.40g;または2.50g;または2.60g;または2.70g;または2.80g;または2.90g;または3.00g;または3.10g;または3.20g;または3.30g;または3.40g;または3.50g;または3.60g;または3.70g;または3.80g;または3.90g;または4.00g;または4.10g;または4.20g;または4.30g;または4.40g;または4.50g;または4.60g;または4.70g;または4.80g;または4.90g;または5.00g
【0074】
特に好ましい実施形態では、抗体、抗原結合断片、バリアント、融合体または誘導体の有効量は、およそ次のとおりである:
0.10μg〜0.20μg;または0.20μg〜0.30μg;または0.30μg〜0.40μg;または0.40μg〜0.50μg;または0.50μg〜0.60μg;または0.60μg〜0.70μg;または0.70μg〜0.80μg;または0.80μg〜0.90μg;または0.90μg〜1.00μg;または1.00μg〜1.10μg;または1.10μg〜1.20μg;または1.20μg〜1.30μg;または1.30μg〜1.40μg;または1.40μg〜1.50μg;または1.50μg〜1.60μg;または1.60μg〜1.70μg;または1.70μg〜1.80μg;または1.80μg〜1.90μg;または1.90μg〜2.00μg;または2.00μg〜2.10μg;または2.10μg〜2.20μg;または2.20μg〜2.30μg;または2.30μg〜2.40μg;または2.40μg〜2.50μg;または2.50μg〜2.60μg;または2.60μg〜2.70μg;または2.70μg〜2.80μg;または2.80μg〜2.90μg;または2.90μg〜3.00μg;または3.00μg〜3.10μg;または3.10μg〜3.20μg;または3.20μg〜3.30μg;または3.30μg〜3.40μg;または3.40μg〜3.50μg;または3.50μg〜3.60μg;または3.60μg〜3.70μg;または3.70μg〜3.80μg;または3.80μg〜3.90μg;または3.90μg〜4.00μg;または4.00μg〜4.10μg;または4.10μg〜4.20μg;または4.20μg〜4.30μg;または4.30μg〜4.40μg;または4.40μg〜4.50μg;または4.50μg〜4.60μg;または4.60μg〜4.70μg;または4.70μg〜4.80μg;または4.80μg〜4.90μg;または4.90μg〜5.00μg;または5.00μg〜6.00μg;または6.00μg〜7.00μg;または7.00μg〜8.00μg;または8.00μg〜9.00μg;または9.00μg〜10.00μg;または10.00μg〜11.00μg;または11.00μg〜12.00μg;または12.00μg〜13.00μg;または13.00μg〜14.00μg;または14.00μg〜15.00μg;または15.00μg〜16.00μg;または16.00μg〜17.00μg;または17.00μg〜18.00μg;または18.00μg〜19.00μg;または19.00μg〜20.00μg;または20.00μg〜21.00μg;または21.00μg〜22.00μg;または22.00μg〜23.00μg;または23.00μg〜24.00μg;または24.00μg〜25.00μg;または25.00μg〜26.00μg;または26.00μg〜27.00μg;または27.00μg〜28.00μg;または28.00μg〜29.00μg;または29.00μg〜30.00μg;または30.00μg〜31.00μg;または31.00μg〜32.00μg;または32.00μg〜33.00μg;または33.00μg〜34.00μg;または34.00μg〜35.00μg;または35.00μg〜36.00μg;または36.00μg〜37.00μg;または37.00μg〜38.00μg;または38.00μg〜39.00μg;または39.00μg〜40.00μg;または40.00μg〜41.00μg;または41.00μg〜42.00μg;または42.00μg〜43.00μg;または43.00μg〜44.00μg;または44.00μg〜45.00μg;または45.00μg〜46.00μg;または46.00μg〜47.00μg;または47.00μg〜48.00μg;または48.00μg〜49.00μg;または49.00μg〜50.00μg;または50.00μg〜51.00μg;または51.00μg〜52.00μg;または52.00μg〜53.00μg;または53.00μg〜54.00μg;または54.00μg〜55.00μg;または55.00μg〜56.00μg;または56.00μg〜57.00μg;または57.00μg〜58.00μg;または58.00μg〜59.00μg;または59.00μg〜60.00μg;または60.00μg〜61.00μg;または61.00μg〜62.00μg;または62.00μg〜63.00μg;または63.00μg〜64.00μg;または64.00μg〜65.00μg;または65.00μg〜66.00μg;または66.00μg〜67.00μg;または67.00μg〜68.00μg;または68.00μg〜69.00μg;または69.00μg〜70.00μg;または70.00μg〜71.00μg;または71.00μg〜72.00μg;または72.00μg〜73.00μg;または73.00μg〜74.00μg;または74.00μg〜75.00μg;または75.00μg〜76.00μg;または76.00μg〜77.00μg;または77.00μg〜78.00μg;または78.00μg〜79.00μg;または79.00μg〜80.00μg;または80.00μg〜81.00μg;または81.00μg〜82.00μg;または82.00μg〜83.00μg;または83.00μg〜84.00μg;または84.00μg〜85.00μg;または85.00μg〜86.00μg;または86.00μg〜87.00μg;または87.00μg〜88.00μg;または88.00μg〜89.00μg;または89.00μg〜90.00μg;または90.00μg〜91.00μg;または91.00μg〜92.00μg;または92.00μg〜93.00μg;または93.00μg〜94.00μg;または94.00μg〜95.00μg;または95.00μg〜96.00μg;または96.00μg〜97.00μg;または97.00μg〜98.00μg;または98.00μg〜99.00μg;または99.00μg〜100.00μg;または100.00μg(0.10mg)〜0.20mg;または0.20mg〜0.30mg;または0.30mg〜0.40mg;または0.40mg〜0.50mg;または0.50mg〜0.60mg;または0.60mg〜0.70mg;または0.70mg〜0.80mg;または0.80mg〜0.90mg;または0.90mg〜1.00mg;または1.00mg〜1.10mg;または1.10mg〜1.20mg;または1.20mg〜1.30mg;または1.30mg〜1.40mg;または1.40mg〜1.50mg;または1.50mg〜1.60mg;または1.60mg〜1.70mg;または1.70mg〜1.80mg;または1.80mg〜1.90mg;または1.90mg〜2.00mg;または2.00mg〜2.10mg;または2.10mg〜2.20mg;または2.20mg〜2.30mg;または2.30mg〜2.40mg;または2.40mg〜2.50mg;または2.50mg〜2.60mg;または2.60mg〜2.70mg;または2.70mg〜2.80mg;または2.80mg〜2.90mg;または2.90mg〜3.00mg;または3.00mg〜3.10mg;または3.10mg〜3.20mg;または3.20mg〜3.30mg;または3.30mg〜3.40mg;または3.40mg〜3.50mg;または3.50mg〜3.60mg;または3.60mg〜3.70mg;または3.70mg〜3.80mg;または3.80mg〜3.90mg;または3.90mg〜4.00mg;または4.00mg〜4.10mg;または4.10mg〜4.20mg;または4.20mg〜4.30mg;または4.30mg〜4.40mg;または4.40mg〜4.50mg;または4.50mg〜4.60mg;または4.60mg〜4.70mg;または4.70mg〜4.80mg;または4.80mg〜4.90mg;または4.90mg〜5.00mg;または5.00mg〜6.00mg;または6.00mg〜7.00mg;または7.00mg〜8.00mg;または8.00mg〜9.00mg;または9.00mg〜10.00mg;または10.00mg〜11.00mg;または11.00mg〜12.00mg;または12.00mg〜13.00mg;または13.00mg〜14.00mg;または14.00mg〜15.00mg;または15.00mg〜16.00mg;または16.00mg〜17.00mg;または17.00mg〜18.00mg;または18.00mg〜19.00mg;または19.00mg〜20.00mg;または20.00mg〜21.00mg;または21.00mg〜22.00mg;または22.00mg〜23.00mg;または23.00mg〜24.00mg;または24.00mg〜25.00mg;または25.00mg〜26.00mg;または26.00mg〜27.00mg;または27.00mg〜28.00mg;または28.00mg〜29.00mg;または29.00mg〜30.00mg;または30.00mg〜31.00mg;または31.00mg〜32.00mg;または32.00mg〜33.00mg;または33.00mg〜34.00mg;または34.00mg〜35.00mg;または35.00mg〜36.00mg;または36.00mg〜37.00mg;または37.00mg〜38.00mg;または38.00mg〜39.00mg;または39.00mg〜40.00mg;または40.00mg〜41.00mg;または41.00mg〜42.00mg;または42.00mg〜43.00mg;または43.00mg〜44.00mg;または44.00mg〜45.00mg;または45.00mg〜46.00mg;または46.00mg〜47.00mg;または47.00mg〜48.00mg;または48.00mg〜49.00mg;または49.00mg〜50.00mg;または50.00mg〜51.00mg;または51.00mg〜52.00mg;または52.00mg〜53.00mg;または53.00mg〜54.00mg;または54.00mg〜55.00mg;または55.00mg〜56.00mg;または56.00mg〜57.00mg;または57.00mg〜58.00mg;または58.00mg〜59.00mg;または59.00mg〜60.00mg;または60.00mg〜61.00mg;または61.00mg〜62.00mg;または62.00mg〜63.00mg;または63.00mg〜64.00mg;または64.00mg〜65.00mg;または65.00mg〜66.00mg;または66.00mg〜67.00mg;または67.00mg〜68.00mg;または68.00mg〜69.00mg;または69.00mg〜70.00mg;または70.00mg〜71.00mg;または71.00mg〜72.00mg;または72.00mg〜73.00mg;または73.00mg〜74.00mg;または74.00mg〜75.00mg;または75.00mg〜76.00mg;または76.00mg〜77.00mg;または77.00mg〜78.00mg;または78.00mg〜79.00mg;または79.00mg〜80.00mg;または80.00mg〜81.00mg;または81.00mg〜82.00mg;または82.00mg〜83.00mg;または83.00mg〜84.00mg;または84.00mg〜85.00mg;または85.00mg〜86.00mg;または86.00mg〜87.00mg;または87.00mg〜88.00mg;または88.00mg〜89.00mg;または89.00mg〜90.00mg;または90.00mg〜91.00mg;または91.00mg〜92.00mg;または92.0
0mg〜93.00mg;または93.00mg〜94.00mg;または94.00mg〜95.00mg;または95.00mg〜96.00mg;または96.00mg〜97.00mg;または97.00mg〜98.00mg;または98.00mg〜99.00mg;または99.00mg〜100.00mg;または100.00mg(0.10g)〜0.20g;または0.20g〜0.30g;または0.30g〜0.40g;または0.40g〜0.50g;または0.50g〜0.60g;または0.60g〜0.70g;または0.70g〜0.80g;または0.80g〜0.90g;または0.90g〜1.00g;または1.00g〜1.10g;または1.10g〜1.20g;または1.20g〜1.30g;または1.30g〜1.40g;または1.40g〜1.50g;または1.50g〜1.60g;または1.60g〜1.70g;または1.70g〜1.80g;または1.80g〜1.90g;または1.90g〜2.00g;または2.00g〜2.10g;または2.10g〜2.20g;または2.20g〜2.30g;または2.30g〜2.40g;または2.40g〜2.50g;または2.50g〜2.60g;または2.60g〜2.70g;または2.70g〜2.80g;または2.80g〜2.90g;または2.90g〜3.00g;または3.00g〜3.10g;または3.10g〜3.20g;または3.20g〜3.30g;または3.30g〜3.40g;または3.40g〜3.50g;または3.50g〜3.60g;または3.60g〜3.70g;または3.70g〜3.80g;または3.80g〜3.90g;または3.90g〜4.00g;または4.00g〜4.10g;または4.10g〜4.20g;または4.20g〜4.30g;または4.30g〜4.40g;または4.40g〜4.50g;または4.50g〜4.60g;または4.60g〜4.70g;または4.70g〜4.80g;または4.80g〜4.90g;または4.90g〜5.00g
【0075】
さらなる実施形態では、本発明の使用、抗体または方法の、抗体または抗原結合断片、またはバリアント、融合体もしくはその誘導体は、完全な抗体を含むか、あるいは完全な抗体からなる。
【0076】
「抗体」は、実質的にインタクトな抗体分子、並びにキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体(少なくとも1つのアミノ酸が天然ヒト抗体に対して変異している)、単鎖抗体、二重特異性抗体、抗体重鎖、抗体軽鎖、抗体重鎖及び/又は抗体軽鎖のホモ二量体及びヘテロ二量体、並びに抗原結合断片及びその誘導体を含む。
【0077】
用語「抗体」は、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEを含む全てのクラスの抗体も含む。かくして、前記抗体は、IgG分子であってよく、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4分子であってよい。好ましくは、本発明の抗体は、IgG分子、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体である。
【0078】
本発明の使用、抗体または方法の1つの実施態様では、前記抗体は、インタクトな抗体を含むか又はインタクトな抗体からなる。代替的には、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、インタクトな抗体から本質的になってよい。「本質的になる」は、前記抗体、又はその抗原結合断片、バリアント、融合体、若しくは誘導体が、ICAM−1に対する結合特異性を示すのに十分なインタクトな抗体の一部からなることを意味する。
【0079】
本発明の使用、抗体または方法の1つの実施態様では、前記抗体は、非天然の抗体である。言うまでも無く、前記抗体が天然抗体である場合は、単離された形態(すなわち、天然で認められるものとは異なる)で提供される。
【0080】
抗体の重鎖可変ドメイン(V)及び軽鎖可変ドメイン(V)は、抗原認識に関与し、この事実は、過去のプロテアーゼ消化実験によって認識された。さらなる確認は、げっ歯類抗体の「ヒト化」によって認められた。げっ歯類起源の可変ドメインは、得られる抗体がげっ歯類の親抗体の抗原特異性を保持するように、ヒト起源の定常ドメインに融合し得る(Morrison et al (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 6851-6855)。
【0081】
全てが1つ又は複数の可変ドメインを含む抗体断片の細菌発現を含む実験から知られているとおり、抗原特異性は可変ドメインによって与えられ、定常ドメインからは独立している。これらの分子は、Fab様分子(Better et al (1988) Science 240, 1041);Fv分子(Skerra et al (1988) Science 240, 1038);V及びVパートナードメインがフレキシブルなオリゴペプチドで結合している単鎖Fv(ScFv)分子(Bird et al (1988) Science 242, 423; Huston et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5879);及び単離されたVドメインを含むシングルドメイン抗体(dAb)(Ward et al (1989) Nature 341, 544)を含む。特異的な結合部位を保持する抗体断片の合成に関わる技術の一般的な概説は、Winter & Milstein (1991) Nature 349, 293-299に認められる。
【0082】
かくして、「抗原結合断片」は、ICAM−1に結合することができる抗体の機能的断片を意味する。
【0083】
例示の抗原結合断片は、Fv断片(例えば、単鎖Fv及びジスルフィド結合したFv)、及びFab様断片(例えば、Fab断片、Fab’断片、及びF(ab)断片)からなる群から選択されてよい。
【0084】
本発明の使用、抗体または方法の1つの実施形態では、抗原結合断片は単鎖Fv(scFv)またはジスルフィド結合Fvである。
【0085】
好都合には、抗原結合断片はFab’断片またはF(ab)である。
【0086】
抗体全体ではなく抗体断片を使用する利点は大きい。前記断片のより小さなサイズは、薬理特性の改善、例えば、固形組織の浸透をもたらし得る。さらに、Fab、Fv、ScFv、及びdAb抗体断片などの抗原結合断片は、大腸菌で発現させるか又は大腸菌から分泌させることができ、かくして、前記断片の容易な大量生産が可能である。
【0087】
例えば、ポリエチレングリコール又は他の適切なポリマーの共有結合によって修飾された、修飾された態様の抗体及びその抗原結合断片も、本発明の範囲内である。
【0088】
抗体及び抗体断片の製造方法は当該技術分野でよく知られている。例えば、抗体は、抗体分子のインビボ生産の誘導、免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング(Orlandi. et al, 1989. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86:3833-3837; Winter et al., 1991, Nature 349:293-299)、培養細胞株によるモノクローナル抗体分子の生産を使用する幾つかの方法のいずれか1つによって生産してよい。これらは、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術、及びエプスタイン−バーウイルス(EBV)−ハイブリドーマ技術(Kohler et al., 1975. Nature 256:4950497; Kozbor et al., 1985. J. Immunol. Methods 81:31-42; Cote et al., 1983. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026-2030; Cole et al., 1984. Mol. Cell. Biol. 62:109-120)を含むが、それらに限らない。
【0089】
好都合には、本発明は、組換え抗体である(すなわち、組換え法によって生産される)抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体を提供する。
【0090】
本発明の使用、抗体および方法の好ましい実施形態では、前記抗体はモノクローナル抗体である。
【0091】
選択した抗原に対する適切なモノクローナル抗体は、既知の技術、例えば、参照によって本明細書に取込む“Monoclonal Antibodies: A manual of techniques”, H Zola (CRC Press, 1988) and in “Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications”, J G R Hurrell (CRC Press, 1982)に開示されているものによって調製されてよい。
【0092】
抗体断片は、当該技術分野においてよく知られた方法(例えば、参照によって本明細書に取込むHarlow & Lane, 1988, “Antibodies: A Laboratory Manual”, Cold Spring Harbor Laboratory, New Yorkを参照のこと)を使用して得られてもよい。例えば、本発明の方法及び使用で使用するための抗体断片は、抗体のタンパク質分解性加水分解によって、又は断片をコードするDNAの大腸菌若しくは哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞培養若しくは他のタンパク質発現系)における発現によって調製することができる。代替的には、抗体断片は、従来の方法による抗体全体のペプシン又はパパイン消化によって得ることができる。
【0093】
好ましくは、本発明は、抗体またはその抗原結合断片がヒト抗体またはヒト化抗体である、使用、方法、組成物またはシステムを提供する。
【0094】
ヒト化抗体がヒトの治療又は診断に使用され得ることは当業者に理解されるであろう。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、一般的には、非ヒト抗体由来の部分を最小限有する、遺伝子組換えキメラ抗体又は抗体断片である。ヒト化抗体は、ヒト抗体の相補性決定領域(レシピエント抗体)が、所望の機能性を有するマウス、ラット、又はウサギなどの非ヒトの種の相補性決定領域(ドナー抗体)由来の残基に置換されている抗体を含む。ある場合には、ヒト抗体のFvフレームワーク残基を対応する非ヒト残基で置換する。ヒト化抗体は、レシピエント抗体及び取込んだ相補性決定領域又はフレームワーク配列のいずれにも認められない残基を含んでもよい。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、相補性決定領域の全て又は実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、かつ、フレームワーク領域の全て又は実質的に全てが関連するヒトのコンセンサス配列のものに対応するであろう。ヒト化抗体は、最適には、典型的にはヒト抗体に由来するFc領域などの抗体定常領域の少なくとも一部も含む(例えば、参照によって本明細書に取込むJones et al., 1986. Nature 321:522-525; Riechmann et al., 1988, Nature 332:323-329; Presta, 1992, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596を参照のこと)。
【0095】
非ヒト抗体をヒト化する方法は、当該技術分野において知られている。一般的には、前記ヒト化抗体は、非ヒトの起源から導入した1つ又は複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、移入残基と称されることが多く、典型的には、移入可変ドメインから得られる。ヒト化は、本質的には、ヒト相補性決定領域を対応するげっ歯類の相補性決定領域で置換することによって、開示されているとおりに実施することができる(例えば、参照によって本明細書に取込むJones et al., 1986, Nature 321:522-525; Reichmann et al., 1988. Nature 332:323-327; Verhoeyen et al., 1988, Science 239:1534-1536l; US 4,816,567を参照のこと)。したがって、そのようなヒト化抗体はキメラ抗体であり、実質的に完全ではないヒト可変ドメインが、非ヒトの種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、典型的には、幾つかの相補性決定領域残基及びおそらくいくつかのフレームワーク残基が、げっ歯類抗体の類似部位由来意の残基によって置換されているヒト抗体であってよい。
【0096】
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー(参照によって本明細書に取込むHoogenboom & Winter, 1991, J. Mol. Biol. 227:381; Marks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222:581; Cole et al., 1985, In: Monoclonal antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, pp. 77; Boerner et al., 1991. J. Immunol. 147:86-95, Soderlind et al., 2000, Nat Biotechnol 18:852-6 and WO 98/32845を参照のこと)を含む、当該技術分野において既知の各種の技術を使用して同定することもできる。
【0097】
適切な抗体が得られたら、それらは活性、例えば、抗体の結合特異性又は生物学的活性について、例えば、ELISA、免疫組織化学、フローサイトメトリー、免疫沈降、ウエスタンブロットなどによって試験してよい。生物学的活性は、特定の特徴について読み出す異なるアッセイにおいて試験してよい。
【0098】
好都合なことに、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、以下のアミノ酸配列(CDR領域):
FSNAWMSWVRQAPG (配列番号1) および/または
AFIWYDGSNKYYADSVKGR (配列番号2) および/または
ARYSGWYFDY (配列番号3) および/または
CTGSSSNIGAGYDVH (配列番号4) および/または
DNNNRPS (配列番号5) および/または
CQSYDSSLSAWL (配列番号6)
の1つ以上を含む。
【0099】
あるいは、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、図15に示す可変領域の1つ以上を含む。
【0100】
本明細書で使用する用語「アミノ酸」は、標準的な20の遺伝子にコードされるアミノ酸を含み、それらの対応する(天然の「L」型と比較して)「D」型の立体異性体、オメガアミノ酸、他の天然アミノ酸、特殊アミノ酸(例えば、α,α−ジスルフィドアミノ酸、N−アルキルアミノ酸など)、及び化学的に誘導体化したアミノ酸(下記参照)を含む。
【0101】
「アラニン」又は「Ala」又は「A」などと、アミノ酸が具体的に列挙される際は、前記用語は、そうでないと明記していないかぎり、L−アラニンとD−アラニンの双方を示す。他の特殊なアミノ酸も、所望の機能特性がポリペプチドによって保持されるかぎり、本発明のポリペプチドの適切な成分であり得る。提示するペプチドについて、コードされる各アミノ酸残基は、適当な場合には、従来のアミノ酸の慣用名に対応する一文字表記で表わす。
【0102】
1つの実施態様では、本明細書に記載のポリペプチドは、L−アミノ酸を含むか又はからなる。
【0103】
本発明の方法及び使用は、ICAM−1に対する結合特異性を有するという条件で、所定のポリペプチドのバリアント、融合体、及び誘導体、並びに前記バリアント又は誘導体の融合体を含むことが、当業者に解されるであろう。
【0104】
バリアントは、組換えポリヌクレオチドを使用して、当該技術分野でよく知られたタンパク質工学及び部位特異的突然変異誘発の方法を使用して作製してよい(例えば、参照によって本明細書に取込むMolecular Cloning: a Laboratory Manual, 3rd edition, Sambrook & Russell, 2001, Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと)。
【0105】
前記ポリペプチドの「融合体」は、任意の他のポリペプチドに融合させたポリペプチドを含む。例えば、前記ポリペプチドは、前記ポリペプチドの精製を容易にするために、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GTS)又はタンパク質Aなどのポリペプチドに融合させてよい。その様な融合体の例は、当業者によく知られている。同様に、前記ポリペプチドは、His6などのオリゴヒスチジンタグ又はよく知られているMycタグエピトープなどの抗体によって認識されるエピトープに融合させてよい。前記ポリペプチドの任意のバリアント又は誘導体に対する融合体も本発明の範囲に含まれる。所望の特性を保持する、例えば、ICAM−1に対する結合特異性を有する融合体(又はそのバリアント若しくは誘導体)が好ましいと解されるであろう。
【0106】
前記融合体は、本発明の前記ポリペプチドに対して所望の特徴を与える、さらなる部分を含んでよい。例えば、前記部分は、ポリペプチドの検出若しくは単離、又はポリペプチドの細胞の取り込みの促進に有用であってよい。前記部分は、例えば、当業者によく知られている、ビオチン部分、放射活性部分、蛍光部分、例えば、小さい蛍光又は緑色蛍光タンパク質(GFP)フルオロフォアであってよい。前記部分は、当業者に知られている、免疫原性タグ、例えば、Mycタグであってよく、又は当業者に知られている、ポリペプチドの細胞の取り込みを促進することができる親油性分子又はポリペプチドドメインであってよい。
【0107】
ポリペプチドの「バリアント」は、挿入、欠失、及び置換を含み、保存的であるか又は非保存的である。特に、そのような変化が前記ペプチドの活性を実質的に変化させない、ポリペプチドのバリアントを含む。特に、そのような変化がICAM−1に対する結合特異性を実質的に変化させない、ポリペプチドのバリアントを含む。
【0108】
前記ポリペプチドのバリアントは、上記のアミノ酸配列の1つ又は複数に対して少なくとも75%の同一性、例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を上記のアミノ酸配列の1つ又は複数に対して有するアミノ酸配列を有してよい。
【0109】
2つのポリペプチド間の配列同一性の割合は、適切なコンピュータプログラム、例えば、University of Wisconsin Genetic Computing GroupのGAPプログラムを使用して決定してよく、最適にアラインメントした配列のペプチドに関して同一性の割合が計算させると解されるであろう。
【0110】
アラインメントは、代替的には、Clustal Wプログラムを使用して実施してよい(参照によって本明細書に取込むThompson et al., 1994, Nuc. Acid Res. 22:4673-4680に記載されているとおりに)。
【0111】
使用するパラメータは、以下のとおりであってよい:
− Fast pairwise alignment parameters: K-tuple(word) size; 1, window size; 5, gap penalty; 3, number of top diagonals; 5. Scoring method: x percent.
− Multiple alignment parameters: gap open penalty; 10, gap extension penalty; 0.05.
− Scoring matrix: BLOSUM
【0112】
代替的には、BESTFITプログラムを使用して、局所的な配列のアラインメントを決定してよい。
【0113】
本発明の方法又は使用で使用するポリペプチド、バリアント、融合体、又は誘導体は、修飾又は誘導体化されている1つ又は複数のアミノ酸を含んでよい。
【0114】
1つ又は複数のアミノ酸の化学的な誘導体は、官能側基との反応によって達成されてよい。そのような誘導体化された分子は、例えば、遊離のアミノ基が誘導体化されて、アミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボキシベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基、又はホルミル基を形成しているものを含む。遊離のカルボキシル基が誘導体化されて、塩、メチル及びエチルエステル又は他のタイプのエステル、並びにヒドラジドを形成してよい。遊離のヒドロキシル基が誘導体化されて、O−アシル又はO−アルキル誘導体が形成されてよい。20の標準アミノ酸の天然のアミノ酸誘導体を含むペプチドも化学的な誘導体として含む。例えば、4−ヒドロキシプロリンがプロリンに対して置換されてよく;5−ヒドロキシリジンがリジンに対して置換されてよく;3−メチルヒスチジンがヒスチジンに対して置換されてよく;ホモセリンがセリンに対して置換されてよく;オルニチンがリジンに対して置換されてよい。誘導体は、必要な活性が維持されている限りにおいて、1つ又は複数の付加又は欠失を含むペプチドも含む。他の含まれる修飾は、アミド化、アミノ末端アシル化(例えば、アセチル化又はチオグリコール酸アミド化)、末端カルボキシルアミド化(例えば、アンモニア又はメチルアミンを使用して)、及び同様の末端修飾である。
【0115】
ペプチド摸倣化合物も有用であることが、当業者によってさらに解されるであろう。かくして、「ポリペプチド」は、ICAM−1に結合することができるペプチド摸倣化合物を含む。用語「ペプチド摸倣薬」は、治療剤としての、特定のペプチドの立体構造及び所望の特徴を摸倣した化合物を示す。
【0116】
例えば、本発明のポリペプチドは、アミノ酸残基がペプチド結合(−CO−NH−)で結合している分子だけでなく、ペプチド結合が反転している分子も含む。そのようなレトロ−インベルソ(retro-inverso)ペプチド摸倣薬は、当該技術分野で既知の方法、例えば、参照によって本明細書に取込むMeziere et al. (1997) J. Immunol. 159, 3230-3237に開示されているものを使用して作製されてよい。この方法は、側鎖の配向ではなく、主鎖の変化を含む偽ペプチドの作製を伴う。CO−NHペプチド結合の代わりにNH−CO結合を含むレトロ−インベルソペプチドは、タンパク質分解に対してより耐性を有する。代替的には、本発明のポリペプチドは、1つ又は複数のアミノ酸残基が従来のアミド結合の代わりに−y(CHNH)−結合によって結合しているペプチド摸倣化合物であってよい。
【0117】
さらに代替的には、アミノ酸残基の炭素原子間の空間を保持する適当なリンカー部分が使用される条件で、ペプチド結合を完全に無くしてよい。リンカー部分が同じ電荷分布を実質的に有し、ペプチド結合と実質的に同じ平面性を有することが有利である可能性がある。
【0118】
前記ポリペプチドは、エキソタンパク質分解(exoproteolytic)消化に対する感受性を低くするように、N末端又はC末端で好都合にブロックされてよいと解されるであろう。
【0119】
各種の非コード又は修飾アミノ酸、例えば、D−アミノ酸及びN−メチルアミノ酸を使用して、哺乳動物ペプチドを修飾してもよい。加えて、推定の生物活性立体構造は、結晶化などの共有結合修飾又はラクタム若しくは他のタイプの架橋を組み込むことによって安定化されてよい。例えば、参照によって本明細書に取込むVeber et al., 1978, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:2636及びThursell et al., 1983, Biochem. Biophys. Res. Comm. 111:166を参照のこと。
【0120】
多数の合成ストラテジーの間の共通のテーマは、ペプチド系フレームワークへの幾つかの環状部分の導入であった。前記環状部分は、ペプチド構造の立体構造上の空間を制限し、これによって、特定の生物学的受容体に対するペプチドの特異性の増大をもたらす場合が多い。このストラテジーによって加わる利点は、環状部分のペプチドへの導入が細胞のペプチダーゼに対する感受性が低下したペプチドをもたらし得ることもある。
【0121】
かくして、本発明の方法及び使用に有用な例示のポリペプチドは、末端システインアミノ酸を含む。そのようなポリペプチドは末端システインアミノ酸中のメルカプチド基のジスルフィド結合形成によりヘテロデチック(heterodetic)環で、又は末端アミノ酸間のアミドペプチド結合形成によりホモデチック(homodetic)環で存在してよい。以上に示したとおり、小ペプチドをジスルフィド又はアミド結合を介してN及びC末端システイン間を環化することにより、タンパク質分解を低減し、かつ、構造の硬直性を増加して、より高い特異性の化合物を得ることによって、直鎖ペプチドで観察される場合がある特異性と半減期の問題を回避することができる。ジスルフィド結合により環化したポリペプチドは遊離アミノ及びカルボキシ末端を有してなおタンパク質分解性分解に感受性がある一方、N−末端アミンとC−末端カルボキシルとの間でアミド結合形成により環化したペプチドはもはや遊離アミノ又はカルボキシ末端を有しない。かくして、本発明のペプチドはC−N結合又はジスルフィド結合のいずれかによって連結し得る。
【0122】
本発明は決してペプチドの環化方法に限定されるものでなく、任意の好適な合成方法により達成してよい環状構造のペプチドを包含する。かくして、ヘテロデチック結合は、ジスルフィド、アルキレン、又はスルフィド架橋を介する形成も含み得るが、それらに限らない。ジスルフィド、スルフィド、及びアルキレン架橋を含む環状ホモデチックペプチド及び環状ヘテロデチックペプチドの合成方法は、参照によって本明細書に取込むUS 5,643,872に開示されている。その他の環化方法の例は、参照によって本明細書に組み込むUS 6,008,058に考察され、かつ、開示されている。
【0123】
環状の安定化ペプチド摸倣化合物を合成するさらなる方法は閉環メタセシス(RCM)である。この方法は、ペプチド前駆体を合成する工程、及びそれをRCM触媒と接触させて立体構造の制限されたペプチドを得る工程を伴う。適切なペプチド前駆体は二以上の不飽和C−C結合を含有してよい。この方法は、固相ペプチド合成技術を使用して実施してよい。この実施態様では、固体支持体に固定された前駆体をRCM触媒と接触させ、その生成物を次いで固体支持体から切断して立体構造の制限されたペプチドを得る。
【0124】
参照によって本明細書に取込むD. H. Rich, Protease Inhibitors, Barrett and Selveson, eds., Elsevier (1986)に開示された他の方法は、酵素インヒビター設計における遷移状態類似体の概念を応用してペプチド模倣体を設計することにある。例えば、スタチンの二級アルコールがペプシン基質の切断可能なアミド結合の四面体遷移状態を模倣することが知られている。
【0125】
要するに、よく知られているとおり、末端修飾はプロテイナーゼ消化による感受性を低下させ、従って、溶液、特にプロテアーゼが存在し得る生物体液中のペプチドの半減期を延長するのに有用である。ポリペプチド環化も、環化により形成される安定構造のため、かつ、環状ペプチドについて観察される生物学的活性の観点から、有用な修飾である。
【0126】
かくして、1つの実施態様では、本発明の使用、方法、組成物及びシステムで使用するポリペプチドは環状である。しかしながら、代替的な好ましい実施形態では、ポリペプチドは直鎖である。
【0127】
本発明の使用、抗体または方法の好ましい実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞の増殖を阻害及び/又は予防することができる。
【0128】
代替的な実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞のアポトーシスを誘導することができる。
【0129】
代替的な実施態様では、前記抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体は、細胞表面に局在するICAM−1に特異的に結合することができ、かつ、その細胞に対する抗体依存性細胞傷害を誘導することができる。
【0130】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、注射可能な持続放出薬剤送達系を使用して送達されてよい。これらは、注射の頻度を低減するように特に設計される。そのような系の例は、ニュートロピン(Nutropin)デポーであって、これは組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を生物分解性のミクロスフェアにカプセル封入したもので、注射するとrhGHを持続期間にわたって徐々に放出する。好ましくは、送達は、筋肉内(i.m)、及び/又は皮下(s.c)、及び/又は静脈内(i.v.)で実施する。
【0131】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、手術により移植するデバイスにより投与して、薬物を所要の部位へ直接放出することができる。例えば、Vitrasertは、ガンシクロビルを眼に直接放出して、CMV網膜炎を治療する。この毒物の疾患部位への直接適用は、薬物の顕著な全身の副作用を起こすこと無く、効果的な治療を達成する。
【0132】
エレクトロポレーション療法(EPT)システムも、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、医薬、並びに医薬組成物を投与するために使うことができる。パルス電場を細胞に送達するデバイスは細胞膜の薬物に対する透過性を増加し、細胞内薬物送達の著しい増加をもたらす。
【0133】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、エレクトロインコーポレーション(EI)により送達することもできる。EIは、皮膚表面上の直径30ミクロン以下の小粒子がエレクトロポレーションに使われるのと同じか又は類似の電気パルスを受けたときに起こる。EIにおいて、これらの粒子は角質層を通って皮膚のさらに深い層内に駆動される。粒子は薬物又は遺伝子を充填されるか又は被覆されていてよく、又は単純に「弾丸」として作用し、薬物が貫入できる孔を皮膚に開けてもよい。
【0134】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬の送達の代替的な方法は、感熱性であるReGel(登録商標)という注入可能な系である。体温より低いと、ReGelは注入可能な液体である一方、体温ではただちにゲルリザーバーを形成して徐々に浸食されて公知の安全な生物分解性ポリマーに溶解する。活性物質はバイオポリマーが溶解する時間にわたって送達される。
【0135】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、経口で送達することもできる。そのプロセスは、体内のビタミンB12及び/又はビタミンDを経口摂取する自然のプロセスを利用して、タンパク質とポリペプチドを同時送達する。ビタミンB12及び/又はビタミンD摂取系に載せることによって、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬を腸壁に移動されることができる。複合体のビタミンB12部分/ビタミンD部分の内因子(IF)に対する顕著な親和性と複合体の活性物質の顕著な生物活性との両方を保持する、ビタミンB12類似体及び/又はビタミンD類似体と薬物との間の複合体を合成する。
【0136】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、「Trojan peptides(トロイのペプチド)」によって細胞に導入することができる。これらは、転位特性を有しており、原形質膜を越えて親水性化合物を運ぶことができ、ペネトラチン(penetratin)と呼ばれているポリペプチドのクラスである。この系は、細胞質及び核へのオリゴペプチドの直接の標的化を可能にし、非細胞型の特異性があり、かつ、非常に効率的である。Derossi et al. (1998), Trends Cell Biol 8, 84-87を参照のこと。
【0137】
好ましくは、本発明の医薬は、活性成分の1日用量又は単位、1日サブ用量又はその適当な画分を含有する単位投与製剤である。
【0138】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに/又は医薬は、通常、経口で又は非経口で、活性成分を含む医薬組成物の形態で、任意に、無毒の有機又は無機酸又は塩基の付加塩の形態で、製薬上許容される投与剤形で投与される。治療する疾患及び患者並びに投与経路に応じて、組成物は様々な用量で投与することができる。
【0139】
ヒトの療法においては、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬を単独で投与することができるが、一般には、意図する投与経路及び標準の医薬実施要領の関係で選択した適切な医薬賦形剤、希釈剤、又は担体と混合して投与されるであろう。
【0140】
例えば、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、経口、頬側、又は舌下に、錠剤、カプセル、卵形剤、エリキシル剤、溶液、又は懸濁液の形態で投与することができ、それらは香料又は着色剤を含有してよく、即時型、遅延型又は制御放出型で施用してもよい。本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、空洞内注射によって投与してもよい。
【0141】
そのような錠剤は、賦形剤、例えば、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、及びグリシン;崩壊剤、例えば、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及びある複合ケイ酸塩;並びに造粒バインダー、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン、及びアカシアを含有してもよい。さらに、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルクを含んでもよい。
【0142】
類似のタイプの固体組成物をゼラチンカプセル中のフィラーとして使用してもよい。この関係の好ましい賦形剤には、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、又は高分子量ポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液及び/又はエリキシル剤については、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、医薬、並びに医薬組成物を様々な甘味剤若しくは香料、着色物質若しくは染料と、乳濁化剤及び/若しくは懸濁化剤と、並びに水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン、並びにそれらの組み合わせなどの希釈剤と組み合わせてよい。
【0143】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、非経口で、例えば、静脈内、関節内、腹腔内、髄腔内、脳室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、若しくは皮下に投与することができ、又は点滴技術により投与してもよい。最良の使用法は、溶液を血液と等張にするために十分な他の物質、例えば、塩又はグルコースを含有し得る滅菌水溶液の形態である。水溶液は、必要であれば、適切に緩衝化すべきである(好ましくは3〜9のpH)。滅菌条件下の適切な非経口製剤の調製は、当業者によく知られた標準の製薬技法により容易に実施することができる。
【0144】
非経口投与用に適切な医薬及び医薬組成物としては、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、及び製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有してもよい水性及び非水性滅菌注入溶液;並びに懸濁化剤及び増粘剤を含んでもよい水性及び非水性滅菌懸濁液が含まれる。医薬及び医薬組成物は単位用量又は多用量容器、例えば、封入したアンプル及びバイアルに入れて提示してもよく、凍結乾燥状態で貯蔵して使用直前に滅菌の液担体、例えば注入用水を加えることを必要としてもよい。用事調製の注入溶液及び懸濁液は、先に記載した種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製してよい。
【0145】
本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、鼻腔内に又は吸入により投与することもでき、好都合には、乾燥粉末吸入器又は加圧容器、ポンプ、スプレー、又は噴霧器からのエアロゾルスプレー送達の形態で、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134A3)若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA3)などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素、又は他の適切なガスを利用して送達する。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、一定量を送達するバルブを提供することによって決定してもよい。加圧容器、ポンプ、スプレー、又は噴霧器は、例えば、エタノールと噴霧剤の混合物を溶媒として用いる活性化合物の溶液又は懸濁液を含有してもよく、これはさらに、潤滑剤、例えば、ソルビタントリオレートを含有してもよい。吸入器又は吹送器で使用する(例えば、ゼラチンから作られた)カプセル及びカートリッジは、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアントとラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤を含有するように製剤することができる。
【0146】
エアロゾル又は乾燥粉末製剤は、好ましくは、それぞれの一定用量又は「パフ」が、患者に送達するための本発明の薬剤又はポリヌクレオチドの有効量を含有するように手配される。エアロゾルの全体の日用量は患者毎に変わり得るのであって、単一用量又はより一般的には1日を通して分割した用量で投与することができる。
【0147】
代替的には、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、坐剤又は膣座薬の剤形で投与することができ、又は局所にローション、溶液、クリーム、軟膏、又は散布パウダーの剤形で施用してもよい。本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬はまた、経皮的に、例えば、皮膚パッチを用いて投与してもよい。これらはまた、特に眼の疾患の治療のために、眼の経路により投与してもよい。
【0148】
眼科に用いる場合、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、等張のpH調節した滅菌生理食塩水中の微粒化懸濁液として、又は好ましくは、等張のpH調節した滅菌生理食塩水中の溶液として、任意に、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤と組み合わせて製剤することができる。代替的には、これらはワセリンなどの軟膏に入れて製剤することができる。
【0149】
皮膚へ局所的に施用する場合、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は、例えば、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、及び水の1以上との混合物に懸濁又は溶解した活性化合物を含有する好適な軟膏として製剤することができる。代替的には、これらは、例えば、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、液体パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水のうちの1つ又は複数の混合物に懸濁又は溶解した適切なローション又はクリームとして製剤することができる。
【0150】
口への局所投与のために適切な製剤としては、有効成分を香味のある基剤、通常はショ糖及びアカシア又はトラガカントの中に含むロゼンジ、有効成分を不活性な基剤、例えばゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシアに含むトローチ、並びに有効成分を適当な液状担体に含む洗口液が含まれる。
【0151】
ヒトでは、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、医薬、並びに医薬組成物の経口又は非経口投与が好ましい経路であり、最も好都合である。
【0152】
獣医学用の場合、本発明の抗体、抗原結合断片、及び/又はその融合体、誘導体、若しくはバリアント、並びに医薬は通常の獣医学の慣習に従って適切な許容される製剤で投与され、獣医師は特定の動物に対して最も適当である投与計画及び投与経路を決定するであろう。
【0153】
本発明の抗体、又は抗原結合断片、又はそのバリアント、融合体、若しくは誘導体、並びに医薬は、後述の実施例に記載のとおりに製剤されてよい。
【0154】
上述のとおり、本発明の方法及び使用によって投与する際は、本明細書に記載の抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はそのバリアント、融合体、又は誘導体が、癌及び/又は腫瘍細胞(例えば、CD20−陽性及びCD20−陰性多発性骨髄腫癌細胞及び腫瘍)のアポトーシスを誘導でき、及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を向けることができる。加えて、前記抗体、及び/又は抗原結合断片、及び/又はバリアント、融合体、若しくは誘導体が、可溶性細胞間接着分子1(sICAM−1)に結合し、それによって血管新生、細胞接着媒介薬剤耐性、及び免疫監視を腫瘍細胞が回避することを阻害することができる。
【0155】
添付の実施例は、本明細書に定義された例示の抗体(抗体「B11」は、また、「BI−505」としても知られている)が、本発明の方法および使用によって投与される際に、顕著なインビボおよびインビトロ抗腫瘍活性を有することを示す。その顕著で直接的な抗骨髄腫活性に加えて、B11は、また、血管新生駆動腫瘍成長を阻害し、免疫監視を腫瘍が回避することを阻止するために作用することも可能である。
【0156】
本明細書で使用する単数形の「a」、「and」、及び「the」は、文脈がそうではないと明示していないかぎり、複数のものを含む。かくして、例えば、「抗体(an antibody)」という記載はそのような抗体の複数を含み、「用量(the dosage)」は、1又は複数の用量及び当業者に既知の均等物などを含む。
【実施例】
【0157】
以下の実施例は、本発明の様々な態様を具体化している。本実施例で使用されている特異的抗体は、本発明の原理を説明するのに役立つものであり、その範囲を限定する意図ではないことが理解されるであろう。
【0158】
以下の実施例は、添付した図面を参照して説明される:
図1は、インビボでのCD20発現腫瘍に対する顕著な抗腫瘍活性を有する新規なICAM−1抗体が、組み合わされた差異的バイオパニングおよびプログラム細胞死スクリーニングによってどのように単離されるかを示す。(I)腫瘍関連受容体に特異的な抗体のための差異的バイオパニング、(II)プログラム細胞死(PCD)スクリーニング、(III)標的識別、(IV)インビボ抗腫瘍活性。
【0159】
図1(I)は、Bリンパ腫標的細胞に対する選択性を有する抗体が、競合的連続差異的バイオパニング法を用いてどのように取り出されたかを示し、ここでは、膜小胞の形態の過剰サブトラクター細胞抗原と共に全細胞の形態の標的細胞抗原が、一斉にナイーブなn−CoDeR(登録商標)抗体ファージライバラリーの対象となった。
【0160】
図1(II)は、ハイスループットプログラム細胞死スクリーニングが、複数のB細胞リンパ腫PCD誘導抗体を単離するためにどのように使用されたかを示す。B細胞リンパ腫細胞は、候補抗体の滴定濃度およびハイパー架橋の存在下で一晩培養し、アポトーシスは、アネキシンV−AF488とヨウ化プロピジウムの併用染色後にフローサイトメトリーを用いてモニタリングされた。図1(II)(i)は、機能的に分離されたBI−505抗体により誘導された、それぞれ初期アポトーシス細胞と後期アポトーシス細胞の典型的な高分子への膜ブレビングと細胞膜の透過性を示している。図1(II)(ii)のグラフは、アネキシンV−488陽性として測定された死んだ細胞の割合を示す。
【0161】
図1(III)は、標的識別が、全ヒトIgGの溶解および免疫沈降、次いでプロテインAセファロースで架橋させたRajiまたはRamosのBリンパ腫細胞上でどのように行われたかを示す。抗体特異的なバンドを切り出し、トリプシン消化に供し、MALDI−TOFによって分析した。BI−505により沈殿した単一のバンドは、ICAM−1として同定された。ICAM−1の確立された存在は、最大50倍モル過剰の可溶性組換えICAM−1やVCAMによるブロッキングの研究によって確認された。PC−3細胞へのBI−505のMFIは、フローサイトメトリーにより測定された。点線はネガティブ対照抗体を表し、灰色の実線のヒストグラムは、プレブロッキングがないBI−505のMFIを表している。BI−505は、組換えVCAMまたはICAM−1でプレブロッキングされた。図1(III)(iii)は、ELISAプレートを組換えヒトICAM−1、ICAM−2、またはICAM−3で被覆し、ICAM−1へのBI−505の結合を、発光プロトコルを用いて検出したことを示す。抗ICAM−2およびαICAM−3抗体は、ICAM−2およびICAM−3をそれぞれ検出するための陽性対照として用いた。図1(IV)は、PCD誘導ICAM−1抗体の治療の可能性をさらに調査するために、BI−505のインビボ抗腫瘍活性が、2種類の十分に特性化されたCD20発現腫瘍B細胞株ARH−77またはDaudiのいずれかを用いて移植された免疫不全scidマウスを含む腫瘍モデルでどのように評価されたかを示す。
【0162】
図2:BI−505は、SCID/ARH−77骨髄腫およびDaudi異種移植片モデルにおいて顕著なインビボ抗骨髄腫効果および効力を示す。
【0163】
腫瘍細胞をSCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。マウスは、20、2および/または0.2mg/kgの用量で腫瘍細胞接種の1日後から、BI−505、対照抗体またはリツキシマブを、週2回腹腔内注射を受けた。処置群あたり8匹〜10匹のマウスであった。(A)抗体用量の関数としての腫瘍体積。(B)抗体用量の関数としてのカプラン−マイヤー生存率グラフ。(C)フローサイトメトリーによって分析されたエピトープ発現。統計的有意性は、Graphpad InstatまたはPrismソフトウェアをそれぞれ使用するDunnの多重比較検定(腫瘍体積)またはログランク検定(マウスの生存率)によるクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて、対照の抗体処置と比べて計算された。統計的有意性は、p<0.05、**p<0.01、および***p<0.001を考慮した。
【0164】
図3:BI−505は、SCID/ARH−77骨髄腫異種移植片モデルにおいて顕著なインビボ抗骨髄腫効果および効力を示す。
【0165】
腫瘍細胞をSCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。腫瘍細胞接種後の翌日から、0.02〜20mg/kgの用量でBI−505を週2回マウスに腹腔内注射した。処置群あたり8匹〜10匹のマウスであった。(A)抗体用量の関数としての腫瘍体積。(B)抗体用量の関数としてのカプラン−マイヤー生存率グラフ。統計的有意性は、Graphpad InstatまたはPrismソフトウェアをそれぞれ使用するDunnの多重比較検定(腫瘍体積)またはログランク検定(マウスの生存率)によるクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて、対照の抗体処置と比べて、計算された。統計的有意性は、p<0.05、**p<0.01、および***p<0.001を考慮した。グラフは、実施したいくつかのうちの代表的な実験を示している。(C)腫瘍細胞株上のBI−505のエピトープ飽和は、BI−505濃度の関数としてプロットした。(D)DaudiのBリンパ腫細胞は、BI−505または対照抗体と架橋性2次Fab’2ヤギ抗ヒトFc抗体の存在下16時間インキュベーションされ、細胞死誘導がアネキシンV/ヨウ化プロピジウムで細胞染色後に測定された。BI−505による細胞死誘導は、濃度の関数としてプロットした。実験は3連行い、各実験を少なくとも5回繰り返した。グラフは、個々の実験(n=5×3)からプールされた正規化されたデータを示す。(E)血液サンプルは、インビボでの異種移植実験での過程での異なる時点で収集し、BI−505トラフ濃度を測定するためにELISA法により分析した。インビボ抗腫瘍活性は、トラフのBI−505血清濃度としてプロットし、5パラメータのlog−log曲線とXLfitソフトウェアを使用して適合させた。(F)インビトロ抗腫瘍活性およびBI−505エピトープ飽和間の相関関係。(G)インビボ抗腫瘍活性およびBI−505エピトープ飽和間の相関関係。
【0166】
図4は、多発性骨髄腫患者が、著しいBI−505エピトープ発現を有することを示している。(A)多発性骨髄腫の患者の特性およびBI−505エピトープ発現。(B)骨髄腫細胞対正常B細胞上のBI−505エピトープ。
【0167】
図5は、BI−505がインビボで広範囲の、ICAM−1依存性抗骨髄腫活性を有することを示す。
【0168】
NCI−H929、EJM、RPMI−8226、またはOPM−2骨髄腫細胞を、0日目にSCIDマウスの左脇腹に皮下注射した。2mg/kgのBI−505または対照IgG1による抗体治療は、1日目に開始され、週2回腹腔内投与計画で継続した。腫瘍の大きさは、倫理的な限界に達したときにマウスを屠殺した。IgG B11は、ICAM−1陰性細胞株OPM−2を用いて異種移植された動物で腫瘍の成長に効果を有しなかったが、このことは、抗骨髄腫活性が、ICAM−1依存性であることを実証した。(A)は、実施された2つの実験(黒丸はBI−505処置を示し、白丸は対照IgG1処置を示す)のうち、1つの代表的実験からのデータを示している。(B)は、2つの独立した実験からプールされた正規化されたデータを示す(処置群あたりn=8〜10匹の動物。黒色バーは、BI−505処置群を示し、白色バーは、対照IgG1処置群を示す)。統計的有意性が、マン・ホイットニーのノンパラメトリック分析とGraph Pad Instatプログラムを使用して対照抗体処置と比較して計算された。統計的有意性は、p<0.05、**p<0.01、および***p<0.001を考慮した。
【0169】
図6:BI505は、進行した実験的な多発性骨髄腫に対して保護する。
【0170】
ARH−77細胞またはRPMI−8226をSCIDマウスに静脈内注射した。(A)ARH−77モデル。マウスは2mg/kgの抗体または0.5mg/kgのボルテゾミブ(ベルケード)を7日目、10日目、13日目、および16日目(グラフに矢印で示されている)に静脈注射された。(B)RPMI−8226モデル。BI−505または対照mAbを、8週間にわたって週2回、2mg/kgで静脈内投与し、ボルテゾミドを、8週間にわたって週1回、1mg/kgで投与し、レナリドミドを、治療の5日間と休薬の2日間からなる2サイクルの間、2mg/kgで経口投与し、メルファランを、8週間にわたって週1回、3mg/kgで静脈内投与し、デキサメタゾン(DXH)を、連続2週間、週3回、6mg/kg/注射で投与した。処置群あたり6〜10匹のマウスであった。統計的有意性は、ログランクGraphPad Prismソフトウェアを用いて計算し、***p<0.001で決定された。(C)ヒト細胞のICAM−1レベルを調べるために、異なる臓器由来の細胞を染色し、CD38+/mCD45−/BI−505+に対してゲートをかけた。左側のパネルは、CD38+/mCD45集団のBI−505陽性細胞のパーセンテージを示し、右側のパネルは、陽性細胞の平均蛍光強度を示す。
【0171】
図7は、BI−505のFcγR結合能が、インビトロおよびインビボ抗腫瘍活性と相関していることを示す。
【0172】
(A)ARH−77細胞をSCIDマウス(1群当たりn=8)の左脇腹に皮下注射した。マウスを週に2回、異なるBI−505アイソタイプで処置した。(B)異なる組換えFcγRsへのBI−505アイソタイプの結合を、Biacoreを用いて測定した。BI−505 IgG1(IgG4またはN297Q−変異体ではない)は、マウスFcγRIV、すなわちマウスのFc媒介活性に関与する主要なFc受容体へ強い結合を示した。(C)ADCCを、エフェクター細胞としての異なる比率でのナチュラルキラー細胞と、標的細胞としてのBリンパ腫細胞株(CL−01)を用いて検討した。予想されたように、BI−505のみが、腫瘍細胞のFcγRIIIA依存性ADCCを媒介した。(D)BI−505アイソタイプは、ヒトFcγRIIIA、すなわち、主要なヒトADCC媒介受容体に異なる親和性で結合したので、ADCC活性と抗腫瘍効果との相関関係が観察された。(E)処置マウスからのARH−77異種移植組織を染色し、BI−505処置マウスでの腫瘍組織のマクロファージ浸潤がリツキシマブおよび対照IgG処置マウスに比べて大幅に増加したことを示したF4/80陽性面積を定量した。バーは、40μmである。図は、測定された組織におけるF4/80陽性面積のパーセンテージを示している。統計的有意性は、Dunnの多重比較検定によるクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて、対照抗体処置に対して計算された。統計的有意性は、p<0.05、**p<0.01、および***p<0.001を考慮した。
【0173】
図8は、(A)ARH−77および(B)Daudi異種移植モデルでのリツキシマブと比較した、BI−505/IgG B11の高い有効性と効力を示す。
【0174】
図9は、BI−505、リツキシマブまたは対照のいずれかで処置された腫瘍が全て、類似のかなりの量のCD20およびICAM−1抗体標的エピトープを発現することを免疫組織化学的分析により示している。
【0175】
図10は、(A)MM骨髄細胞の免疫表現型染色パネルを示す。(B)は、モノクローナル発現を確認して、CD38、CD138およびCD56の高発現ならびにCD45欠損について選択するために使用されるフローサイトメトリー分析を示す。B11エピトープの発現は、その後、患者#7(+)、#8(++)および#10(+++)に対して測定した。(C)は、患者(1)、再発後(2)、および再発の処置後(3)の骨髄腫細胞におけるB11エピトープの発現を示す。
【0176】
図11は、BI−505の生成したアイソタイプ・スイッチ・バリアントの標的タンパク質の結合親和性に対する近似のEC50値を示す。
【0177】
図12は、B細胞のアポトーシス、T細胞の増殖、抗体依存性細胞媒介性細胞障害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)およびサイトカイン放出(特にTNF−αおよびIL−8)は、B11処置により、全て著しい影響を受けないことを示す。
【0178】
図13は、BI−505が、対照処置マウス(p<0.001)と比較して、そして、4つの異なるSOC療法(レブリミドまたはベルケードと比較してp<0.05;デキサメタゾンまたはアルケランと比較してp<0.001)と比較して、播種性のMM異種移植片モデルにおける生存率を有意に増強することを示す。N=6〜10/グループ
【0179】
図14は、ケア薬剤の規格を有する播種性MM細胞で異種移植されたマウスの治療が、ICAM−1を発現するMM細胞の数(A)またはICAM−1発現レベル(B)のどちらにも影響を及ぼさないことを示す。
【0180】
図15は、B11の抗体可変重鎖(B11−VH)および可変軽鎖(B11−VL)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
【0181】
実施例1−本発明で使用される材料と方法
試薬、細胞、および動物
IgG B11のいくつかのバッチは、CHO細胞から安定に発現させたか、あるいはHEK293細胞で一過性に発現させたかのいずれかであった。IgG B11および297Q B11は、HEK293細胞で一過性に発現した。対照抗体IgGCT17またはIgGFITC−8GAは、HE293細胞で一過性に発現した。抗体のエンドトキシン濃度は、LAL−変形細胞試験で測定されるように<0.1IU/mLであることが分かった。リツキシマブ(Roche社製)ボルテゾミブ(Jannsen−Cilag社製)、レナリドミド(Celgene社製)、メルファラン(GlaxoSmithKline社製)およびデキサメタゾン(Mylan社製)は、地元の薬局(スウェーデンのルンドおよびフランスのディジョン)から購入した。ARH−77、RPMI−8226およびDaudi細胞株は、米国培養細胞系統保存機関(ATCC、スウェーデン)から得られ、NCI−H929、EJM、およびOPM−2細胞株は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ、ドイツ)から入手した。全ての細胞は、供給者が推奨する培養培地中で維持した。細胞の対数増殖は、異種移植用の細胞を採取する前に確実に行われた。CT.17系統の雌scidマウスは、デンマークのTaconic社から入手し、7〜8週齢でその後の研究に使用した。動物実験は、動物実験の倫理指針に従って行い、動物を使用する全ての手順は、地元のルンド/マルメ倫理委員会によって審査され、承認された。
【0182】
多発性骨髄腫患者の細胞ICAM−1発現の分析
インフォームドコンセントの後、地元の倫理委員会からの承認を得て、ルンドのSkanes大学病院の血液学科における多発性骨髄腫や関連疾患(形質細胞腫、形質細胞性白血病、アミロイド軽鎖アミロイドーシス)のために調査された18人の患者からの骨髄吸引物は、形質細胞を認識する4つの抗体パネルを用いたフローサイトメトリーによって分析した(実施例2を参照のこと)。臨床データは、患者チャートから得た(図4A)。
【0183】
プログラム細胞死(PCD)アッセイ
標的細胞を2×10細胞/mLの培養培地濃度で96ウェル培養プレートに播種した。滴定濃度のIgG B11または異なる陰性および陽性対照抗体は、架橋のための抗ヒトFab断片の非存在下または存在下(Jackson ImmunoResearch)において、細胞に添加した。次に、細胞を5%COの加湿雰囲気中37℃で16時間インキュベートした。細胞を回収し、アネキシンV−488/ヨウ化プロピジウム(Invitrogen社製、スウェーデン)に対して染色し、フローサイトメーター(FACS Calibur、BD Bioscience社製)を用いて分析した。
【0184】
抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)
ヒトのドナーからのバフィーコート(ルンドのBlodcentralen社を通じて注文)は、末梢血単核細胞(PBMC)、その後NK細胞を分離するために使用された。簡単に説明すると、末梢血液成分は、Ficoll Paque PLUS(Amersham Biosciences社製、スウェーデン)を使用してLeucoSepチューブ(Greiner Bio−One社製)内に分離した。PBMC画分を除去し、氷冷DPBS(Invitrogen社製)で十分に洗浄後、陽性または陰性のNK細胞単離キットとMACS LSカラム(Miltenyi Biotec社製)を用いて、NK細胞集団を磁気標識し、分離した。得られたNK細胞画分の純度は、α−CD56抗体(BD Biosciences社製)で染色した後、フローサイトメトリーを用いて分析した。標的細胞を回収し、氷上で60分間それぞれの抗体(2μg/mL)の有無にかかわらず培地中でインキュベートした。細胞は、その後洗浄し、冷培地中に再懸濁後、FACSチューブに分注した。その後、分離されたNK細胞は、ADCC培地に希釈し、エフェクター/標的細胞の比を変えて(40:1、20:1、5:1および1:1)、それぞれの抗体コート標的細胞と一緒に分注した。全ての実験は3連行った。インキュベーション終了後、ToPo−Pro−3染料と計数ビーズ(Invitrogen社製)を添加し、フローサイトメトリーを用いて細胞の膜透過性について分析した。
【0185】
補体依存性細胞傷害(CDC)
標的細胞を採取し、5μg/mLあるいは0,01〜100μg/mLの滴定濃度の抗体を用いて、RPMI培地中、氷上で60分間インキュベートした。細胞を、その後洗浄し、冷培地中に再懸濁後、フローサイトメトリーチューブに分注した。治療は3連行った。正常または熱不活化のヒト血清(Sigma社製、スウェーデン)をチューブに添加し、サンプルを37℃で2時間インキュベートした。インキュベーション終了後、ToPo−Pro−3を0.3μΜの最終濃度で添加し、フローサイトメトリーを用いて細胞の膜透過性について分析した。
【0186】
FcγRへ結合するBI−505アイソタイプバリアント
His−タグヒトFcγRIIIaまたはマウスFcγRIVを、付着性HEK293E細胞で一過性発現させ、Ni−NTAクロマトグラフィーを用いて精製し、SDS−PAGEおよび/またはBiacoreを用いて特性化した。表面プラズモン共鳴(SPR)測定は、Biacore3000機器を使用して実行した。ヤギα−ヒトF(ab)’2 F(ab)’2断片(Jackson laboratories社製)は、標準アミンカップリングプロトコルを使用してCM−5チップで固定化した。IgG B11、IgG B11、または297Q B11を、それぞれ15および60μg/mLに希釈し、その表面に3分間10μL/分で添加した。Hisタグ付ヒトFcγRIIIaまたはマウスFcγRIVをチップ表面に30μL/分で1分間添加する前に、2:1のモル比のα−HIS抗体(R&D Systems社製)を用いてプレインキュベートした。各サイクルの後、その表面をグリシン緩衝液pH1.7で2回再生した。
【0187】
腫瘍増殖
皮下移植:
マウスは、骨髄腫細胞接種前にセボフルランと酸素の混合物で麻酔し、その後、1〜5×10個の骨髄腫細胞を100μlの容量で左脇腹皮下に注射した。腹腔内(i.p.)注射での抗体による治療は、細胞接種(予防モデル)後の翌日、または腫瘍が約100mmのサイズに達したとき(確立されたモデル)のいずれかの日に開始した。抗体は200μl総容量のPBSで投与した。PBSまたはアイソタイプ対照による治療を対照として用いた。腫瘍は、デジタルキャリパーで測定し、腫瘍体積は、式:幅×長さ×0.52に従って算出した。腫瘍の大きさが1.5cmの倫理的な限界に達したときに動物を屠殺した。生き残ったマウスは最大5カ月後に屠殺した。大静脈から採取した血液サンプルは、血清を得るために15分間2500gで遠心分離し、サンプルを−20℃で保存した。腫瘍は、免疫組織化学のために切除し、急速凍結し、−85℃で保存した。
【0188】
多発性骨髄腫の播種モデル:
BI−505の抗骨髄腫効果は、多発性骨髄腫の播種モデルを用いて検討した。多発性骨髄腫の早期および進行播種モデルは、フランスディジョンのOncodesign社で行われた。簡単に説明すると:200μLのRPMI 1640中、1×10(早期)または5×10(進行)個のARH−77腫瘍細胞を雌scidマウス(0日目)の尾静脈内に静脈内注射(iv)した。腫瘍細胞の注射は、マウスの放射線全身照射(1.8Gy、60Co、INRA、BRETENNIERES)後、24〜48時間実行した。治療は、10日目に投与されたアルケランを除き、5日目(RPMI−8226モデル)または7日目(ARG−77モデル)に開始された。BIIまたは対照mAbは、8週間にわたって週2回、2mg/kgで静脈内投与され、ボルテゾミブは、8週間にわたって週1回、1mg/kgで静脈内投与され、レナリドミドは、治療の5日間と休薬の2日間で構成される2サイクルの間、2mg/kgで経口投与され、メルファランは、8週間にわたり週1回、3mg/kgで静脈内投与され、そしてデキサメタゾンを、6mg/kgを2週間連続して注射した。
【0189】
統計分析
腫瘍成長阻害の統計分析は、図の説明文に記載されているように、Dunnの多重比較検定またはマン・ホイットニーのノンパラメトリック分析を用いたクラスカル−ウォリス検定(ノンパラメトリックANOVA)を使用して、対照抗体治療と比較して計算された。抗体媒介マウスの生存率の統計的分析は、ログランク検定とGraphpad Prismソフトウェアを用いて計算した。統計的有意性は、=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001を考慮した。
【0190】
実施例2:組み合わされた差異的バイオパニングとプログラム細胞死スクリーニングにより単離された新規なICAM−1抗体は、インビボでのCD20発現腫瘍に対して競合的抗腫瘍活性を有する。
我々は、連続的な差異的バイオパニングとハイスループットなプログラム細胞死スクリーニング(実施例1を参照のこと)を適用して、異なる腫瘍細胞関連表面受容体を標的とする複数のB細胞リンパ腫プログラム細胞死(PCD)誘導抗体を、インビトロでCDRシャッフルされたナイーブヒト抗体ライブラリーn−CoDeR(Biolvent社製)から、図1の中で要約されるように、単離した。単離された抗体のうち、我々は、ICAM−1に特異的な抗体を同定した−以前は抗体と関連付けられなかった受容体が腫瘍PCDを誘導した。抗ICAM−1抗体は、CD20発現腫瘍細胞株およびCD20陰性腫瘍細胞株の両方においてPCDを誘導したが、これは広範な治療適用性を示した。ICAM−1に対するIgG B11の高い特異性とDaudiリンパ腫細胞を発現するICAM−1における用量依存性のPCD誘導は、図1に示される。
【0191】
さらにPCD誘導ICAM−1抗体の治療の可能性を検討するために、我々は、2つのよく特徴づけられた、CD20を発現するB細胞悪性腫瘍細胞株;ARH−77またはDaudi(図1のパネルIV)のどちらかを移植した免疫不全scidマウスを含む腫瘍モデルにおいて、IgG B11のインビボ抗腫瘍活性を評価した。これらの細胞株は、それぞれ、多発性骨髄腫(24〜48)および非ホジキンリンパ腫(49、50)の異なるモデルでの効果や効力を調査し、特徴づけるために広範囲に利用されてきた。両細胞株は、CD20抗原を発現し、臨床的に検証されたCD20特異的抗体のリツキシマブによる抗腫瘍効果と効力の比較を可能とした。
【0192】
ARH−77細胞の皮下注射は、腫瘍細胞注入後12日〜14日の間に容易に触知される腫瘍を有するscidマウスで腫瘍細胞の迅速な定着と成長をもたらした。腫瘍細胞接種後1日目に開始して、IgG B11の20mg/kg用量の週2回の注射は、異種移植マウス(図2Aの左パネル)で腫瘍の増殖を完全に防ぐことが示された。IgG B11に比べてそれほど有効でないけれども、CD20特異的陽性対照mAbのリツキシマブも有意な抗腫瘍活性を付与した。さらに、IgG B11は、リツキシマブに比べて10倍低用量(2mg/kg)で投与した場合でも、完全な生存率を付与した(図2AおよびB、左のパネル)。したがって、この攻撃的なCD20陽性B細胞悪性腫瘍モデルでのIgG B11は、リツキシマブと比べて、抗腫瘍活性と生き残りを付与するのにより効果的で、より強力であった。
【0193】
我々は、Daudi非ホジキンリンパ腫異種移植片に対するIgG B11のインビボ抗腫瘍活性を調べることを進めた。また、このモデルでは、IgG B11は、リツキシマブと比べて著しくそして等しく効果的に腫瘍増殖を妨げ、腫瘍担持マウスの生存期間の延長をした(図2AおよびB、右パネル)。IgG B11の増強された抗腫瘍活性は、リツキシマブエピトープに比べて、より多数のB11を発現する腫瘍細胞からはもたらされなかった。逆に、フローサイトメトリー分析は、ARH−77とDaudi細胞の両方が、リツキシマブエピトープに比べて大幅に少なくICAM−1を発現したことを明らかにした(図2Cの左と右のパネル)。これらの結果は、IgG B11が、2つの異なる、よく特徴付けされたCD20発現腫瘍細胞株に対する著しいインビボ抗腫瘍活性を有することを証明した。
【0194】
次に我々は、scid/ARH−77モデル系を用いて、IgG B11のインビボでの効力と最大の抗腫瘍活性を達成するための最小用量を確立するために用量滴定実験を実施した。IgG B11は、滴定可能な抗腫瘍活性を示したが、これはS字状曲線をたどり、2mg/kgの用量でピークに達し、0.2mg/kgの用量でほとんど最大値を維持した(図3A)。マウス血清抗体トラフ濃度は、実験の最後にELISAによって測定された。トラフ抗体濃度は、その後、最大のインビボ抗腫瘍活性の割合に対して、そして、インビトロで対応する抗体濃度での最大のICAM−1受容体の占有率と腫瘍細胞PCDの割合に対して、プロットした(図3C、3D、3E、3Fおよび3G)。驚くべきことに、抗体濃度と、インビトロ腫瘍細胞受容体の占有率、インビトロ腫瘍細胞PCDおよびインビボ抗腫瘍活性との間のほとんど完全な相関関係が観察されたが、これは、インビボ抗腫瘍活性の基礎をなすICAM−1依存性直接細胞の細胞傷害性と一致した。
【0195】
IgG B11の高い有効性と効力は、類似しているが、より進行したscid/ARH−77異種移植モデルで確認された(図8A)。触診可能なARH−77腫瘍を担持するscidマウスは、IgG B11、リツキシマブまたは対照抗体の異なる用量で治療された。このモデルにおいて、リツキシマブは、腫瘍の成長を減少させること、あるいは動物の生存率(p>0.05)を推進することができなかった。これとは対照的に、IgG B11は、100倍低い用量(0.2mg/kg)で投与される場合でも、リツキシマブ治療と比較して、腫瘍の成長を著しく妨げ、そして動物の生存を延長させた(図8A)。進行腫瘍モデルにおけるリツキシマブの抗腫瘍効果の欠失は、腫瘍回避またはダウンレギュレートされた抗原発現の結果によるものではなかった。実験が終了した時点で、抗体治療マウスおよび対照治療マウスから採取した腫瘍組織の免疫組織化学的分析は、腫瘍が類似の、かなりの量のCD20およびICAM−1抗体標的エピトープを発現したことを、実験を通して明らかにした(図9)。
【0196】
実施例3:多発性骨髄腫を含むリンパ増殖性障害において、ICAM−1およびB11エピトープは、広範囲に発現される。
ICAM−1 B11のIgGの非常に有効かつ強力なインビトロおよびインビボ抗腫瘍活性は、種々のリンパ増殖性障害におけるICAM−1の発現を、我々が総合的に評価するように促した。まず、慢性リンパ性白血病(CLL)、濾胞細胞リンパ腫(FCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)におけるICAM−1の発現は、組織マイクロアレイ免疫組織化学的分析により測定された(表1)。
【0197】
【表1】
ICAM−1は、陽性対照扁桃組織に比べて中から強の強度で、CLLの27%、FCLの95%、MCLの89%、およびDLBCLの98%で発現した(表1)。
【0198】
以前のレポートでは、多発性骨髄腫疾患の進行とICAM−1の強い関連性を説明したが、ICAM−1は、骨髄腫自体で高発現され、進行疾患や化学療法に難治性の多発性骨髄腫(MM)患者においてアップレギュレートされている(14、22、51)。
【0199】
これらの観察に基づいて、我々は多発性骨髄腫の患者および関連疾患(形質細胞腫、形質細胞性白血病、軽鎖アミロイドーシス)における骨髄細胞上のICAM−1 B11のエピトープ発現をフローサイトメトリーにより評価した(図4)。骨髄腫細胞は、多発性骨髄腫の指針におけるマルチパラメーターフローサイトメトリーに関する欧州ネットワークに従ってCD38/CD138/CD45およびCD56の発現に基づいて同定された(Rawstron et al Haematologica (2008), 93, pp431-8)。
【0200】
フローサイトメトリー染色パネル
骨髄吸引物の約5〜7mlは、Skanes大学病院の血液学科におけるローカル・ルーチンに従って、局所麻酔(10mlキシロカイン)で腸骨稜から採取した。赤血球は、表Aに示されるように、メーカーの指示に従ったFACSlysis(Becton Dickinson社製、ストックホルム、スウェーデン)、続いて4抗体パネルを用いた染色により骨髄細胞から除去した(図10)。パネル4では、表面染色の後に、Perm Fix、BDによる透過化および多発性骨髄腫細胞の単クローン性を確認するためにκおよびλ軽鎖に対する内部染色を続けた。
【0201】
多発性骨髄腫患者からの骨髄中の骨髄腫細胞の分析
染色された骨髄細胞をFACS Canto IIを使用するフローサイトメトリーにより分析した(図10B)。骨髄腫細胞は、CD138とCD38の高発現に基づいてゲートをかけ、さらに高いCD56発現およびCD45欠失によって確認された。さらに、細胞内染色は、κおよびλ染色によりモノクローナル発現を確認するために使用された。BIIエピトープの発現は、患者#8、#7および#10に対応する(+)、(++)および(+++)を有するヒストグラム(右の位置)に示すように分類された。BII陰性細胞(−)は、患者#8からのB細胞である(図10B)。
【0202】
多発性骨髄腫患者の疾患進行過程における骨髄腫細胞上のBIIエピトープ発現
骨髄形質細胞は、多発性骨髄腫の79歳の男性の診断(骨髄番号1)で採取した。治療は、主要な応答を有する連続的なサリドマイドとの併用で経口メルファランとデキサメタゾンパルス療法(6サイクル)で開始した。しかし、治療を終了した2カ月後に、患者は再発した(骨髄番号2)。今度は、患者はシクロホスファミドとデキサメタゾンのパルス療法の2サイクルを受け、続いて、骨髄(骨髄番号3)の新たな評価を受けた。骨髄腫細胞における平均的なBI−505発現は、最初の再発(ヒストグラム、右)(図10)の後に2倍に増加した。
【0203】
全ての骨髄腫患者は、骨髄腫細胞上でICAM−1 B11のエピトープを発現した。
ICAM−1 B11発現のレベルは、患者の正常B細胞と比較して、骨髄腫細胞上で非常に高く、一般的に17倍超の平均発現レベルであった(図4)。さらに、ICAM−1 B11のエピトープはまた、いくつかの異なる系統の治療を受けた再発患者の骨髄腫細胞上で非常に高発現しているようでもある。
【0204】
我々は、ICAM−1がFCLとDLBCLを含むいくつかのリンパ増殖性疾患で強く発現しており、そしてICAM−1 B11のエピトープが多発性骨髄腫形質細胞によって強く発現される、と結論付ける。
【0205】
実施例4:IgG B11は、広範なインビボ抗骨髄腫活性を有する
多発性骨髄腫におけるB11エピトープの観察された高発現、以前に報告されたICAM−1と多発性骨髄腫および現在利用可能な治療に対する耐性との関連、ならびにCD20発現悪性B細胞腫瘍に対するB11の明らかに有意なインビボ抗腫瘍活性に基づいて、我々は、4つの異なる十分に特徴付けられた多発性骨髄腫細胞株を含むscid/異種移植モデルでのIgG B11インビボ抗骨髄腫活性を評価することを進めた。これらの細胞株は、骨髄腫マーカーCD38とCD138を発現するが、CD20を発現しない。IgG B11の2mg/kgの週2回投与は、ICAM−1発現細胞株EJM、RPMI−8226、およびNCI−H929による異種移植マウスにおける骨髄腫の腫瘍成長をそれぞれ98%、96%、および99%減少させた(図5AおよびB、pEJM<0.000009、pRPMI−8226<0.0037、pNCI−H929<0.0002)。これとは対照的に、IgG B11は、ICAM−1陰性細胞株OPM−2で異種移植されたマウスにおける腫瘍成長に影響を及ぼさなかった(図5AおよびB、pOPM−2>0.05)。まとめると、これらの研究は、IgG B11の非常に有効な、広範囲の、そしてICAM−1依存性のインビボ抗骨髄腫活性を示した。
【0206】
実施例5:IgG B11は、進行多発性骨髄腫の播種実験モデルで、現在使用されている治療法に比べて増強された生存率を付与する
scid/ARH−77の播種モデルは、多くの点でヒト多発性骨髄腫疾患の進行や疾患症状に似ている十分に確立された実験モデルである(33)。我々は、このモデルを利用してさらにIgG B11抗骨髄腫活性を特徴づけた(図6A)。放射線照射したscidマウスへの1×10個のARH−77細胞による静脈内注射は、マウス骨髄においてその播種および定着をもたらし、溶骨性骨病変と高カルシウム血症を引き起こし、最終的には、動物の麻痺や呼吸困難となり、その時点で動物はすぐに屠殺されたことが以前に示された。
【0207】
骨髄腫細胞の静脈注射後の7日目から始めて、動物は、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(「ベルケード」)、IgG B11、ctrl IgGまたは生理食塩水の4つの連続した治療を受けた。腫瘍細胞注射後22日目に、対照治療動物は、3日間にわたって体重減少(>15%または麻痺のどちらかを見せ始め、屠殺しなければならなかった(図6A)。対照治療マウスは、次第に多発性骨髄腫の徴候を現して、腫瘍細胞注射後、39日過ぎまで生存しなかった。プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(ベルケード)での治療は、対照治療群(pBZB対生理食塩水<0.554、pBZB対ctrl IgG<0.2509)に比べ、わずかに疾患の発症を遅らせ、動物の生存率を大幅に増強しなかった。対照的に、IgG B11による治療は、対照治療群またはベルケード治療(pBZB対生理食塩水<0.0001、pBZB対ctrl IgG<0.0001)に比べて、劇的な抗腫瘍効果を示し、症候性疾患の発症までの時間を2倍にし、平均生存時間を増加した。これらのp値は、治療間の動物の生き残りの腫瘍成長の統計的な有意差を示す。
【0208】
現在使用されている治療法と比較して、IgG B11の抗骨髄腫活性は、RPMI−8226骨髄腫細胞を含む類似した進行播種性多発性骨髄腫モデルで検討された(図6B)。このモデルでは、IgG B11による治療は、ボルテゾミブによる治療と比較して、およびデキサメタゾンによる治療と比較して、大幅に生存率を高め、疾患の発症を遅らせ、臨床的に関連する用量で投与されたこの両薬剤は、最大のインビボ治療効果を示し、明らかな毒性を有しない。さらに、免疫調節薬レブリミドで治療されたマウスに比べて、IgG B11で治療されたマウスでは、生存率の改善傾向があった。
【0209】
ヒト細胞上のICAM−1のレベルを調べるために、異なる器官からの細胞を染色し、CD38+/mCD45−/BI−505+にゲートをかけた。図6Cは、CD38+/mCD45集団のBI−505陽性細胞の割合と陽性細胞の平均蛍光強度を示す。
【0210】
骨髄腫細胞上のICAM−1発現の検出
FACS分析のための臓器を、マウスの乱切時に採取し、組織からの細胞を、機械的解離とディスパーゼ/コラゲナーゼ酵素(Gibco社製、フランス)消化により調製した。細胞を抗ヒトCD38抗体(PerCP−Cy5、Becton Dickinson社製)、抗マウスCD45(PE、Becton Dickinson社製)およびヒトICAM−1(BI−505 IgG1 AF647、BioInvent社製)で染色し、室温で15分間、暗室内でインキュベートした。インキュベーション後、細胞を2回洗浄し、細胞の表面の蛍光は、ブルゴーニュ大学のフローサイトメトリー施設でのフローサイトメーター装置(LSRII)を用いて分析した。
【0211】
実施例6:IgG B11のインビボおよびインビトロ抗腫瘍活性は、Fc依存性であり、マウスおよびヒトFcγ受容体への結合と相関する
以前の研究では、B細胞悪性細胞株の広いパネルにおいて、IgG B11の広範かつ強力なPCD誘導特性を示した(10)。細胞のエフェクターメカニズムに関与するその能力は、しかし、以前は調査されなかった。非常に強力かつ効果的なB11 IgGのインビボ抗腫瘍活性、ならびにリツキシマブを含む臨床的に検証された癌のmAbの臨床およびインビボの治療活性についてのFcγR媒介抗腫瘍メカニズムの重要性を考えて(52)、(53)、(54)、我々は、次に抗体Fcの貢献:IgG B11治療活性に対するホストFcγR依存性のメカニズムに取り組んだ。
【0212】
この目的を達成するために、我々は、文書化された、ヒトFcγRs(55)に対して異なる親和性およびヒトFcγR依存性の抗腫瘍活性(56)に関与するための差異的能力を有する、ヒトIgG1、IgG4およびFcγR結合欠損変異体IgG1(N297Q IgG1)アイソタイプ・スイッチ・バリアントを生成させ、それらのFcγR結合特性に関するそれらのそれぞれのインビボ治療効果を検討した。生成したアイソタイプ・スイッチ・バリアントの標的抗原に対する保持された親和性は、組換えまたは細胞表面発現標的タンパク質への結合に対するそれらのほとんど同一のEC50値によって実証された(図11)。
【0213】
驚くべきことに、IgG B11アイソタイプ・スイッチ・バリアントの抗腫瘍活性は、mFcγRIV−ヒトFcgRIIIaの構造的および機能的相同体への結合と完全に相関し、そして、抗体を付与する主要なネズミFcγRは、インビボで細胞傷害性を媒介し、IgG1N297Q<IgG4<IgG1(図7AおよびBの上方パネル)の順に増加した。重要なのは、B11のIgG、IgG、またはIgG N297Qバリアント抗体で知蝋されたマウスは、実験の終わりには、類似した血清抗体価を有していた(表2)が、このことは、異なる抗体バリアントは、同様のインビボ半減期を有したことを示し、異なる抗腫瘍活性は、薬物動態の違いから生じなかったことを実証した。
【0214】
【表2】
【0215】
また、腫瘍組織の免疫組織化学的分析は、対照IgG治療または未治療マウスに比べて、そして興味深いことにリツキシマブ治療マウスに比べて、IgG B11治療においてF4/80の宿主エフェクター細胞の大量流入を示した(図7E)。これらの知見は、Fc:FcγR−依存性の宿主エフェクター細胞媒介メカニズムが、インビボでのIgG B11抗腫瘍活性に著しく貢献したことを示した。
【0216】
IgG B11抗腫瘍活性におけるFc:FcγR−依存性のメカニズムの役割を確認するために、我々は、ヒト標的腫瘍細胞の抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)を媒介する能力を調べた。予想されたように、IgG B11 IgGは、ヒトFcγRIIIaに結合し、ヒトナチュラルキラーエフェクター細胞の存在下で、標的腫瘍細胞のADCCを媒介した(図7C。これに対して、B11 IgGとIgG1N297Qバリアントは、ヒトFcγRIIIaに結合せず、そして標的腫瘍細胞のADCCを媒介しなかった。したがって、インビボの設定に類似して、IgG B11は、インビトロでのADCCを媒介し、Fc依存性であり、主要なヒトADCC媒介受容体FcγRIIIAへの結合と相関した(図7D)。癌のmAbのFc依存性抗腫瘍活性は、Fc:FcγR−依存性の抗腫瘍メカニズムの他に、いわゆる補体依存性細胞傷害(CDC)による補体カスケードの活性化から生じる。したがって、我々は、腫瘍細胞株を発現するICAM−1のパネルでCDCを誘導するために、IgG B11の能力を調べた。IgG B11は、モニターした腫瘍細胞株のいずれにおいてもCDCを誘導しなかった。それとは対照的に、そして、以前に報告したように、陽性対照リツキシマブによる治療は、効果的にCDCを誘導した(57−59)。
【0217】
実施例7:IgG B11は、インビトロでの正常ICAM−1発現細胞に対して細胞障害性ではない
正常な生理的状況下では、ICAM−1は、血管内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、角化細胞、白血球、ならびに従来の抗原提示細胞(APC)上に低レベルで構成的に発現される(60)。しかし、ICAM−1発現は、外傷に応答して、あるいは炎症応答の過程で放出される、IFN−γ、TNF−α、リポ多糖(LPS)、酸素ラジカルおよび低酸素を含むいくつかのサイトカイン類および炎症促進剤によってアップレギュレートされ(60、61)、IgG B11のような抗ICAM−1抗体を用いた治療についての安全性の懸念を高めている。
【0218】
プログラム細胞死および悪性B細胞のADCCを付与するIgG B11の文書化された能力、ならびに抗体忍容性(Limら、(2010 Haematalogica 95、pp135−143)に関する補体活性化のための提案された一般的な否定的役割に基づいて、我々は、そのためにプログラムされた細胞死を誘導する、IgG B11のADCCまたはCDC効果を、ICAM−1を発現する正常(形質転換されていない)ヒト末梢血B細胞および内皮細胞において検討した(図12)。末梢血B細胞およびナイーブB細胞は、ICAM−1の低い内因性発現を示したのに対し、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)とヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)は、フローサイトメトリー分析によって測定されるようにIFN−γ刺激に応答して、さらにアップレギュレートされた著しいICAM−1発現を示した。
【0219】
しかし、IgG B11は、検討された静止型または活性型の正常ICAM−1発現細胞型のいずれでもPCDを誘導しなかった(図12)。対照的に、そして予想通りに、パクリタキセルによる内皮細胞の治療と、陽性対照抗HLA−DRまたは抗CD20抗体によるB細胞の治療は、内皮細胞とB細胞のそれぞれ有意なプログラム細胞死を誘導した。同様に、IgG B11は、HUVEC、HMVECまたは末梢血B細胞の、ADCCまたはCDCを付与しなかった(図12)。
【0220】
実施例8:IgG B11は、インビトロでの末梢血単核細胞(PBMC)のサイトカイン放出またはT細胞の増殖を調節しない
我々は、次に、PBMCのサイトカイン放出と細胞増殖に対するIgG B11の効果を評価した。IgG B11の任意のPBMCアゴニスト特性を識別する可能性を最大限にするために、我々は先に記述したように抗体がハイパー架橋されている2つの異なる抗体コーティング・プロトコルを使用した(62)。どちらかのプロトコルにより固定化されたIgG B11は、Daudiリンパ腫細胞のプログラムされた細胞死を誘導し、その生物学的活性が固定化された後も保持されていたことを実証した。しかし、IgG B11は、PBMCのサイトカイン放出を誘導せず、固定化プロトコルによって、あるいは架橋試薬の存在下または非存在下に溶液で添加された場合のいずれかによっても細胞増殖を誘導しなかった(図12)。
【0221】
これとは対照的に、そして、予想通りに、PBMCと固定化された陽性対照抗CD3抗体とのインキュベーションは、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−8、TNF−αおよびIFN−γの著しいPBMC放出をもたらした(図12)。類似の実験では、溶液で添加されたIgG B11は、静止PBMCまたはリポ多糖事前刺激PBMCからのサイトカイン放出を誘導または増強せず、細胞増殖を誘導しなかったことを実証した(図12)。
【0222】
実施例9−抗ICAM−1抗体は、標準的な治療と比べて、インビボにおける播種性多発性骨髄腫に優れた効果があり、ICAM−1の発現自体は、このような標準的な治療による影響を受けない
【0223】
細胞株
RPMI 8226は、Pharmacell(フランス)から入手し、ARH−77は、ATCCから入手した。腫瘍細胞は、懸濁液中、37℃、加湿雰囲気下(5%CO、95%空気)で増殖させた。両細胞株のための培養培地は、10%ウシ胎児血清を補充した2mM L−グルタミンを含むRPMI 1640であった。ARH−77に対しては、培養培地はまた、25mMのHEPES、1mMのピルビン酸ナトリウムおよび4.5g/Lの最終濃度になるようにグルコースが補充された。インビボ腫瘍の研究のために、細胞を増殖状態にあるときに採取し、そして生存率は0.25%トリパンブルー排除法を使用してチェックされた。
【0224】
動物
6〜8週齢の雌CB−17 SCID scid/scidマウスは、CHARLES RIVER(ラルブレル、フランス)またはTaconic(デンマーク)から入手して、餌料と水を自由に摂取させてSPF施設内で飼育した。全ての動物実験は、倫理的なガイドラインに従って行った。マウスは、実験開始前に最低7日間観察された。
【0225】
播種性RPMI−8226インビボモデル
10×10個のRPMI 8226腫瘍細胞を含む200μlを雌SCIDマウスの尾静脈に静脈内注射した。マウスは、細胞注射の24〜72時間前に全身放射線照射(1.8Gy、60Co、BioMEP)に曝された。1日目に、腫瘍を注射したマウスは、個々の体重に応じて無作為化された。全ての治療は、10日目に開始したアルケラン(登録商標)を除き、腫瘍細胞投与後5日目に開始した。全ての治療は、10ml/kg/注射の投薬容量で注入した。マウスは、次の治療のいずれかを受けた:
【0226】
モノクローナル抗ICAM mAbまたは対照mAbは、8週連続で週2回、2mg/kgを含むPBS溶液で静脈内投与された。
【0227】
ベルケード(登録商標)(ボルテゾミブ、3.5mg、Janssen−Cilag社製)を0.9%NaClに溶解し、その後、小分けして−20℃に保った。1バイアルを注射する直前に解凍し、その後廃棄した。マウスは、8週連続で週1回、0.5、1または2mg/kgの静脈内注射を受けた。
【0228】
レブラミド(登録商標)(レナリドミド、5mg/カプセル、Celegene社製)カプセル剤は、まず、DMSOに溶解し、その後5%DMSO、0.2%HCl1N(Sigma社製)、5%Tween80(Sigma社製)および89.8%NaCl0.9%の最終濃度に希釈した。前記溶液は、治療日毎に新たに調製した。マウスは、治療の5日間と休薬の2日間で構成される2サイクルの間、1、2または3mg/kgを経口投与した。
【0229】
アルケラン(登録商標)(メルファラン、50mg、GlaxoSmithKline社製)は、50mgのアルケラン(登録商標)を含有するバイアルを供給ビヒクルと混合して調製し、その後は小分けして−20℃に保った。各投与前に、1アリコートを解凍し、NaCl0.9%に希釈し、8週連続で週に1回、3、6または12mg/kgで静脈内注射した。
【0230】
デキサメタゾン(登録商標)(4mg/ml、Mylan社製)をNaCl0.9%で希釈した。新鮮な作業溶液は、治療日毎に調製した。マウスは、2週連続で週に3回、2、4、および6mg/kg/注射を投与された。
【0231】
終了、ICAM−1発現
マウスの健康状態および挙動は、毎日記録され、マウスの体重は週に2度記録された。マウスが、悪液質の兆候、化合物の毒性、後肢の麻痺あるいは重度の体重減少を示した場合、そのマウスは終了させた。終了時には、骨髄、脊髄、副腎、および腎臓が収集され、腫瘍細胞でのICAM−1発現について検討した。ヒト対マウス由来の細胞を区別するために、抗マウスCD45 mAbは使用済みCD45であった。したがって、MM細胞は、CD38/mCD45(Becton Dickinson社製)として定義された。加えて、細胞はAF647コンジュゲート抗ICAM−1 mAbを用いて染色し、その後、FACS LSRIIで分析した。骨髄は、単一細胞懸濁液に機械的に解離させたのに対し、副腎、腎臓、および脊髄の細胞は、機械的解離とディスパーゼ/コラゲナーゼ消化(Gibco社、フランス)の組み合わせを用いて調製した。実験前に、ディスパーゼとコラゲナーゼによる治療は、MM細胞株上のICAM−1のレベルに影響を与えないことが示された。
【0232】
皮下の、確立したARH−77インビボモデル
5×10個のARH−77細胞を含む100μlを、雌SCIDマウスの脇腹に皮下注射した。腫瘍体積は、腫瘍細胞注入後、実験を通して週に3回測定した。100mmの平均値に近づいたときに(12日目)、マウスは腫瘍体積および治療開始に応じて無作為化された。
【0233】
マウスは、抗ICAM mAbまたはレブラミド(登録商標)もしくはベルケード(登録商標)のいずれかを投与された。
対照マウスには、対照mAbが投与された。
【0234】
モノクローナル抗ICAM mAbまたは対照mAbを、実験を通して週2回、2mg/kgを含む200μlのPBS溶液で腹腔内投与した。
【0235】
ベルケード(登録商標)(ボルテゾミブ、3.5mg、Janssen−Cilag社製)は、記載されたように調製し、実験を通して週2回、0.5または1mg/kgで200μlが腹腔内投与された。
【0236】
レブラミド(登録商標)(レナリドミド、5mg/カプセル、Celgene社製)は、記載されたように調製し、実験を通して週5回、1または2mg/kgで200μlが経口投与された。
【0237】
マウスの健康状態および挙動を、毎日記録した。マウスが、悪液質の兆候、化合物の毒性、重度の体重減少を示したか、あるいは腫瘍が直径1.5cmの大きさに達した場合、そのマウスは実験を終了させた。
【0238】
結果
播種性MMインビボモデルにおける抗ICAM−1の優れた効果
BI−505および4つの異なる標準(SOC)ケア療法で治療された播種性異種移植モデル(多発性骨髄腫細胞株RPMI−8226)は、アイソタイプ対照治療群に比べて、高い生存率の改善を示す(図13を参照のこと)。加えて、抗ICAM−1 mAbは、他のSOC単剤療法と比較して、急性毒性ではない用量で、より効果的である(図13を参照のこと)。
【0239】
インビボでのMM ICAM−1発現は、様々な治療法の影響を受けない。
治療したマウスから腫瘍細胞を分離する場合、ICAM−1は、標準ケア療法(アルケラン(登録商標)、レブラミド(登録商標)、デキサメタゾン(登録商標)またはベルケード(登録商標))で治療したマウスから採取した腫瘍細胞上で不変の高レベルでなお発現する(図14を参照のこと)。
【0240】
実施例10−好ましい医薬製剤ならびに投与の様式および用量
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、注射可能な持続放出薬剤送達系を使用して送達されてよい。これらは、注射の頻度を低減するように特に設計される。そのような系の例は、ニュートロピン・デポであって、これは組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を生物分解性のミクロスフェアにカプセル封入したもので、一旦注射するとrhGHを持続期間にわたって徐々に放出する。
【0241】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、手術により移植されるデバイスにより投与して、薬物を所要の部位へ直接放出することができる。例えば、ビトラサートは、ガンシクロビルを眼に直接放出して、CMV網膜炎を治療する。この毒性薬剤の疾患部位への直接適用は、薬物の顕著な全身の副作用を起こすこと無く、効果的な治療を達成する。
【0242】
エレクトロポレーション療法(EPT)システムも、投与するために使うことができる。パルス電場を細胞に送達するデバイスは、細胞膜の薬物に対する透過性を増加し、細胞内薬物送達の著しい増加をもたらす。
【0243】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、また、エレクトロインコーポレーション(EI)により送達することもできる。EIは、皮膚表面での直径が最大30ミクロンの小粒子がエレクトロポレーションに使われるのと同じかまたは類似の電気パルスを受けたときに起こる。EIにおいて、これらの粒子は、角質層を通って皮膚のさらに深い層内に駆動される。粒子は薬物または遺伝子を充填するかまたは被覆することができ、または単純に「弾丸」として作用し、薬物が貫入できる孔を皮膚に開けることもできる。
【0244】
投与の代替的な方法は、感熱性のReGelの注入可能な系である。ReGelは、体温より低いとき注入可能な液体であるが、体温のときには直ちにゲルリザーバーを形成して徐々に浸食されて公知の安全な生物分解性ポリマーに溶解する。活性物質はバイオポリマーが溶解するにつれて徐々に送達される。
【0245】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、「トロイのペプチド」によって細胞に導入することができる。これらは、転座特性を有しており、原形質膜を越えて親水性化合物を運ぶことができ、ペネトラチンと呼ばれているポリペプチドのクラスである。この系は、細胞質および核への抗体またはその抗原結合断片の直接の標的化を可能にし、非細胞型の特異性があり、かつ、非常に効率的である(Derossi et al., 1998, Trends Cell Biol., 8, 84-87)。
【0246】
好ましくは、本発明の医薬製剤は、活性成分の1日用量または単位、1日サブ用量またはその適切な分画物を含有する単位投与製剤である。
【0247】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、任意の非経口経路で、活性成分を含む医薬製剤の形態で、場合により、無毒の有機もしくは無機の酸または塩基の付加塩の形態で製薬上許容される投与剤形で投与することができる。治療する疾患および患者ならびに投与経路に応じて、組成物は様々な用量で投与することが可能である。
【0248】
ヒトの治療において、本発明の抗体またはその抗原結合断片は、単独で投与することができるが、意図された投与経路および標準的な薬務に関連して選択される適当な医薬賦形希釈剤または担体と混合して一般的に投与される。
【0249】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、また、非経口で、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下腔内、脳室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、もしくは皮下に投与することができ、または点滴技術により投与してもよい。最良の使用法は、溶液を血液と等張にするために他の物質、例えば、十分な塩またはグルコースを含有し得る滅菌水溶液の形態である。水溶液は、必要であれば、適切に緩衝化すべきである(好ましくは3〜9のpH)。滅菌条件下の適切な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な製薬技法により容易に実施することができる。
【0250】
非経口投与用に適切な製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および製剤を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性および非水性滅菌注入溶液;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は単位用量または多用量容器、例えば、封入したアンプルおよびバイアルに入れて提供してもよく、凍結乾燥状態で貯蔵して使用直前に滅菌液担体、例えば注入用水を加えることを必要としてもよい。用事調製の注入溶液および懸濁液は、先に記載した種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製してよい。
【0251】
一般に、ヒトでは、本発明の抗体の経口または非経口投与は、好ましい経路であり、最も好都合である。
【0252】
獣医学用の場合、本発明の抗体または抗原結合断片は、通常の獣医学の慣習に従って適切な許容される製剤で投与され、獣医外科医は特定の動物に対して最も適切である投与計画および投与経路を決定するであろう。
【0253】
本発明の医薬組成物の製剤は、好都合には、単位剤形で提供することができ、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製することができる。このような方法は、1つ以上の補助成分を構成する担体と有効成分を組み合わせる工程を含む。一般的に、製剤は、均一かつ密接に活性成分を液体担体もしくは微粉化した固体担体またはその両方と組み合わせ、次に必要に応じて製品を成形することによって調製される。
【0254】
好ましくは、単位用量製剤は、活性成分の1日用量または単位、1日サブ用量またはその適切な分画物を含有する製剤である。
【0255】
本発明の好適な送達システムは、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、および抗体を含浸させたハイドロゲルを含んでもよく、このゲルは、好ましくはタンポンで運ばれ、それは子宮頸部に挿入され、女性の生殖系への適切な子宮頚管熟化または他の望ましい影響が一旦発生したら、抜き取ることができる。
【0256】
特に上記の成分に加えて、本発明の製剤は、目的の製剤の種類を考慮して、当該分野の従来の他の薬剤を含み得ることを理解すべきである。
【0257】
実施例11−代表的な医薬製剤
本発明の抗体は、単独で投与することができるが、1つ以上の許容される担体とともに、医薬製剤として提供することが好ましい。1つ以上の担体は、本発明の化合物と適合性があり、かつ、そのレシピエントに有害でないという意味で「許容される」ものでなければならない。典型的には、前記担体は、滅菌され、そしてパイロジェンフリーの水または生理食塩水である。
【0258】
以下の実施例は、活性成分が本発明の化合物である、本発明の医薬組成物を示す。
【0259】
実施例11A:注射用製剤
活性成分 0.200g
滅菌されたパイロジェンフリーのリン酸緩衝液(pH7.0) 10mlまでの残部
【0260】
前記活性成分は、リン酸緩衝液の大半に溶解し(35から40℃)、容量を調整して、滅菌ミクロポアフィルターで滅菌10mlアンバーガラスバイアル(タイプ1)に濾過し、滅菌封鎖およびオーバーシールによって密封する。
【0261】
実施例11B:筋肉内注射
活性成分 0.20g
ベンジルアルコール 0.10g
グリコフロール75(登録商標) 1.45g
注射用水 3.00mlまでの適量
【0262】
活性成分はグリコフロールに溶解する。次いで、ベンジルアルコールを添加し、溶解して、水を3mlまで添加する。次いで、混合物を滅菌ミクロポアフィルターで濾過し、滅菌3mlのガラスバイアル(タイプ1)中で密封する。
【0263】
実施例11C:錠剤
活性成分 100mg
ラクトース 200mg
デンブン 50mg
ポリビニルピロリドン 5mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
359mg
錠剤は、上記成分を湿式造粒し、続いて圧縮することによって製造する。
【0264】
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【図面の簡単な説明】
【0265】
図1】インビボでのCD20発現腫瘍に対する顕著な抗腫瘍活性を有する新規なICAM−1抗体が、組み合わされた差異的バイオパニングおよびプログラム細胞死スクリーニングによってどのように単離されるかを示す図である。(I)腫瘍関連受容体に特異的な抗体のための差異的バイオパニング、(II)プログラム細胞死(PCD)スクリーニング、(III)標的識別、(IV)インビボ抗腫瘍活性。
図2】BI−505は、SCID/ARH−77骨髄腫およびDaudi異種移植片モデルにおいて顕著なインビボ抗骨髄腫効果および効力を示す。
図3】BI−505は、SCID/ARH−77骨髄腫異種移植片モデルにおいて顕著なインビボ抗骨髄腫効果および効力を示す。
図4】多発性骨髄腫患者が、著しいBI−505エピトープ発現を有することを示す。(A)多発性骨髄腫の患者の特性およびBI−505エピトープ発現。(B)骨髄腫細胞対正常B細胞上のBI−505エピトープ。
図5】BI−505がインビボで広範囲の、ICAM−1依存性抗骨髄腫活性を有することを示す。
図6】BI505は、進行した実験的な多発性骨髄腫に対して保護する。
図7】BI−505のFcγR結合能が、インビトロおよびインビボ抗腫瘍活性と相関していることを示す。
図8】(A)ARH−77および(B)Daudi異種移植モデルでのリツキシマブと比較した、BI−505/IgG B11の高い有効性と効力を示す。
図9】BI−505、リツキシマブまたは対照のいずれかで処置された腫瘍が全て、類似のかなりの量のCD20およびICAM−1抗体標的エピトープを発現することを免疫組織化学的分析により示している。
図10】(A)MM骨髄細胞の免疫表現型染色パネルを示す。(B)は、モノクローナル発現を確認して、CD38、CD138およびCD56の高発現ならびにCD45欠損について選択するために使用されるフローサイトメトリー分析を示す。(C)は、患者(1)、再発後(2)、および再発の処置後(3)の骨髄腫細胞におけるB11エピトープの発現を示す。
図11】BI−505の生成したアイソタイプ・スイッチ・バリアントの標的タンパク質の結合親和性に対する近似のEC50値を示す。
図12】B細胞のアポトーシス、T細胞の増殖、抗体依存性細胞媒介性細胞障害作用(ADCC)、補体依存性細胞傷害作用(CDC)およびサイトカイン放出(特にTNF−αおよびIL−8)は、B11処置により、全て著しい影響を受けないことを示す。
図13】BI−505が、対照処置マウス(p<0.001)と比較して、そして、4つの異なるSOC療法(レブリミドまたはベルケードと比較してp<0.05;デキサメタゾンまたはアルケランと比較してp<0.001)と比較して、播種性のMM異種移植片モデルにおける生存率を有意に増強することを示す。
図14】ケア薬剤の規格を有する播種性MM細胞で異種移植されたマウスの治療が、ICAM−1を発現するMM細胞の数(A)またはICAM−1発現レベル(B)のどちらにも影響を及ぼさないことを示す。
図15】B11の抗体可変重鎖(B11−VH)および可変軽鎖(B11−VL)のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を示す。
図1I
図1II
図1III
図1IV
図2A-C】
図3A-G】
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A-D】
図7E
図8A
図8B
図9
図10A
図10B-C】
図11
図12(1)】
図12(2)】
図12(3)】
図13
図14A-B】
図15
図15(1)】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]