特許第5992541号(P5992541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992541
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】一体構造の電気油圧弁
(51)【国際特許分類】
   F15B 13/044 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   F15B13/044 C
【請求項の数】25
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-558728(P2014-558728)
(86)(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公表番号】特表2015-511303(P2015-511303A)
(43)【公表日】2015年4月16日
(86)【国際出願番号】US2012065545
(87)【国際公開番号】WO2013126105
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2014年10月22日
(31)【優先権主張番号】61/602,583
(32)【優先日】2012年2月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501188177
【氏名又は名称】ムーグ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コップ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マズルキヴィッチ、クリストファー
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−527686(JP,A)
【文献】 特開平08−028717(JP,A)
【文献】 特開2011−256917(JP,A)
【文献】 国際公開第03/014577(WO,A1)
【文献】 特開昭59−047508(JP,A)
【文献】 米国特許第06199588(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 13/044
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接駆動サーボ弁であって、
伸長軸線を有する本体であって、該本体の一部分は前記本体軸線に対して実質的に垂直な軸線を有するチャンバを画定している本体と、
前記チャンバ内に可動に取り付けられた弁部材であって、前記チャンバ軸線に沿って中立位置からいずれの方向にも移動されるようになっており、それによって前記弁部材と前記チャンバとの間に画定される複数のポート間の流体の流れを選択的に制量する弁部材と、
前記本体軸線の周りで回転するように前記本体に取り付けられた回転子と、
前記本体と前記回転子との間で作用し、且つ前記回転子を前記本体に対して所望の角度方向に回転させるように選択的に動作可能であるモータと、
一方の角度方向への前記回転子と前記本体との間の相対回転が前記弁部材を前記チャンバ軸線に沿って中立位置から一方向に移動させて前記直接駆動サーボ弁を通る第1の流れを可能にするように、また反対の角度方向への前記回転子と前記本体との間の相対回転が前記弁部材を前記チャンバ軸線に沿って中立位置から反対の方向に移動させて前記直接駆動サーボ弁を通る第2の流れを可能にするように、前記回転子と前記弁部材との間で作用する伝達部材と
を有する直接駆動サーボ弁において
前記回転子が前記チャンバを包囲している、直接駆動サーボ弁。
【請求項2】
前記チャンバがシリンダである、請求項1に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項3】
前記弁部材が弁スプールである、請求項1に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項4】
前記弁部材がシャー・プレートである、請求項1に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項5】
前記弁部材が、実質的に平行な壁によって境界を画定されたスロットを有し、前記伝達部材が、前記回転子に取り付けられており、且つ前記スロットの壁と係合される丸みを帯びた周縁端部を有している、請求項1に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項6】
前記丸みを帯びた周縁端部は、前記回転子が前記本体に対して回転したとき、実質的に摩擦の無い転がり接触で前記スロットの壁と係合する、請求項5に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項7】
前記丸みを帯びた周縁端部が、前記スロットの壁と係合するように付勢される部分を有する、請求項5に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項8】
前記モータが、前記回転子及び前記本体のうちの一方に取り付けられたコイルを含み、且つ前記回転子及び前記本体のうちの他方に取り付けられた複数の磁石を含む、請求項1に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項9】
前記回転子が前記モータの電機子である、請求項8に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項10】
前記回転子と前記本体との間で作用する少なくとも1つの軸受をさらに有する、請求項1に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項11】
前記サーボ弁が4方弁である、請求項1に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項12】
直接駆動サーボ弁であって、
その一部分が密閉チャンバを画定している本体と、
前記密閉チャンバと流体連通している第1のポート及び第2のポートと、
前記密閉チャンバ内に可動に取り付けられた弁部材であって、前記第1のポートと前記第2のポートとの間の流体の流れを選択的に制量するために、中立位置から第1の方向に沿って移動されるようになっている弁部材と、
固定子及び回転子を有する電気モータであって、前記固定子が前記本体に取り付けられて前記密閉チャンバの外側に配置され、前記回転子が前記密閉チャンバ内に配置された電気モータと、
一方向への前記回転子と前記本体との間の相対運動が前記弁部材を中立位置から移動させて前記直接駆動サーボ弁を通る第1の流れの制量を可能にするように、前記回転子と前記弁部材との間で作用する伝達部材と
を有する直接駆動サーボ弁。
【請求項13】
前記弁部材が可動に取り付けられ、且つ中立位置から第2の方向に沿って移動されるようになっており、それによって前記第1のポートと前記第2のポートとの間の流体の流れを選択的に制量し、また前記伝達部材は、第2の方向への前記回転子と前記本体との間の相対運動が前記弁部材を中立位置から移動させて前記直接駆動サーボ弁を通る第2の流れの制量を可能にするように前記回転子と前記弁部材との間で作用する、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項14】
前記モータが回転モータである、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項15】
前記弁部材が弁スプールであり、前記本体がシリンダを含み、前記弁スプールが前記シリンダ内に可動に取り付けられる、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項16】
前記弁部材がシャー・プレートである、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項17】
前記弁部材が、実質的に平行な壁によって境界を画定されたスロットを有し、前記伝達部材が、前記回転子に取り付けられており、且つ前記スロットの壁と係合される丸みを帯びた周縁端部を有している、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項18】
前記丸みを帯びた周縁端部は、前記回転子が前記本体に対して回転したとき、実質的に摩擦の無い転がり接触で前記スロットの壁に係合する、請求項17に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項19】
前記丸みを帯びた周縁端部が、前記スロットの壁と係合するように付勢される部分を有する、請求項17に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項20】
前記モータが、前記回転子及び固定子のうちの一方に取り付けられたコイルを含み、且つ前記回転子及び固定子のうちの他方に取り付けられた複数の磁石を含む、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項21】
前記回転子が前記モータの電機子である、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項22】
前記回転子と本体との間で作用する少なくとも1つの軸受をさらに有する、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項23】
前記サーボ弁が4方弁である、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項24】
前記サーボ弁が、前記固定子により前記回転子に印加される力と、前記伝達部材により前記弁部材に印加される力との間に力学機械的倍率を提供するように構成及び配置される、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【請求項25】
モータ磁束が、前記密閉チャンバの境界を通過する、請求項12に記載の直接駆動サーボ弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電気油圧サーボ弁(electro−hydraulic servo valve)の分野に関し、より詳細には、電動機駆動式回転子が弁スプールに直接結合されている、改良された直接駆動(ダイレクトドライブ)サーボ弁に関する。
【背景技術】
【0002】
電気油圧サーボ弁は、よく知られている。これらは、単一のステージか又は複数のステージを有するものとして考えられる場合がある。どちらの形態においても、弁スプールが、シリンダ内に摺動可能なように取り付けられて、それに沿って制御されて動く。弁スプールがシリンダ内で中央に即ち中立位置に位置するときには、制御出口と連通するポートを弁スプールの種々のランドが覆って、弁を通る流れが生じないようにする。中立位置から離れるスプールの運動の方向及び大きさが、弁を通る流れを制御する。単一ステージのサーボ弁の様々な形態が、米国特許第4,951,549号、米国特許第5,263,680号、米国特許第4,641,812号、及び米国特許第5,146,126号に代表して図示され且つ説明されており、これらの総合的な開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
単一ステージ又は直接駆動の弁は一般に、弁スプールに直接係合し且つスプールを選択的に中立位置から移動させる、モータ又は何ら他の機構を有する。複数ステージの弁は、第2のステージにおける弁スプールの運動を制御するパイロット・ステージを有しうる。パイロット・ステージは、電気的セクションであってもよく、第2のステージは、油圧によるセクションであってもよい。2ステージの電気油圧サーボ弁の一実例が、米国特許第3,228,423A号に図示され且つ説明されており、この総合的な開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,951,549号
【特許文献2】米国特許第5,263,680号
【特許文献3】米国特許第4,641,812号
【特許文献4】米国特許第5,146,126号
【特許文献5】米国特許第3,228,423A号
【特許文献6】米国特許第2,767,689号
【特許文献7】米国特許第2,920,650号
【特許文献8】米国特許第3,103,739号
【発明の概要】
【0005】
単に例示のためであって限定することを目的とするものではないが、開示された実施例の対応する部品、部分、又は表面に括弧内付記を用いると、改良された直接駆動サーボ弁が提供され、その第1の実施例(20)が図示され且つ説明される。
【0006】
改良されたサーボ弁は、概して、伸長軸線(y−y)を有する本体(21)であって、一部分が本体軸線(y−y)に対して実質的に垂直な軸線(x−x)を有するチャンバ(43)を画定している本体(21)と、チャンバ内に可動可能なように取り付けられ、且つ弁部材とチャンバとの間に画定された複数のポート間の流体の流れを選択的に制量(metering)するために、部材の軸線に沿って、中立位置からいずれの方向にも移動されるように構成された弁部材(44)と、本体軸線の周りで回転するように本体に取り付けられた回転子(58)と、本体と回転子との間で作用し、且つ回転子を本体に対して所望の角度方向に回転させるように選択的に動作可能であるモータ(69)と、一方の角度方向における回転子と本体との間の相対回転により、弁部材がチャンバの軸線に沿って中立位置から一方向に移動されて、弁を通る第1の流れの制量が可能になり、また反対の角度方向における回転子と本体との間の相対回転により、弁部材がチャンバの軸線に沿って中立位置から反対の方向に移動されて弁を通る第2の流れの制量が可能になるように回転子と弁部材との間で作用するクイル様伝達部材(64)とを含み、回転子は、チャンバを包囲する。
【0007】
チャンバは、シリンダとすることができる。弁部材は、弁スプール又はシャー・プレートとすることができる。
【0008】
スプールは、実質的に平行な壁(66、66)によって境界されたスロット(70)を有することができ、部材は、回転子に取り付けられ、且つスロットの壁と係合される丸みを帯びた周縁端部(65)を有する。
【0009】
丸みを帯びた周縁端部は、回転子が本体に対して回転するときに、実質的に摩擦の無い転がり接触でスロットの壁と係合することができる。
【0010】
丸みを帯びた周縁端部は、スロットの壁と係合するように付勢される部分(71、71)を有することができる。
【0011】
モータは、回転子及び本体のうちの一方に取り付けられたコイル(52)を含むことができ、且つ、回転子及び本体のうちの他方に取り付けられた複数の磁石(63、63)を含むことができる。
【0012】
回転子は、モータの電機子とすることができる。
【0013】
改良されたサーボ弁はさらに、回転子と本体との間で作用する少なくとも1つの軸受(62、62)を含むことができる。
【0014】
改良されたサーボ弁は、4方弁とすることができる。
【0015】
別の態様では、一部分が密閉チャンバを画定している本体と、密閉チャンバと流体連通している第1のポート及び第2のポートと、密閉チャンバ内に可動に取り付けられ、且つ、第1のポートと第2のポートとの間の流体の流れを選択的に制量するために、中立位置から第1の方向に沿って移動されるように構成及び配置された弁部材と、固定子及び回転子を有する電気モータであって、固定子が本体に取り付けられ、回転子が密閉チャンバ内に配置された電気モータと、一方向における回転子と本体との間の相対運動により弁部材が中立位置から移動されて弁を通る第1の流れの制量が可能になるように、回転子と弁部材との間で作用する伝達部材とを備える、直接駆動サーボ弁が提供される。
【0016】
固定子は、密閉チャンバの外側に配置することができる。
【0017】
弁部材は、第1のポートと第2のポートとの間の流体の流れを選択的に制量するために、第2の方向に沿って中立位置から移動されるように、可動可能なように取付け及び構成することができ、また、伝達部材は、第2の方向における回転子と本体との間の相対運動により、弁部材が中立位置から移動されて弁を通る第2の流れの制量が可能になるように、回転子と弁部材との間で作用するように配置及び構成することができる。
【0018】
モータは、回転モータ又はリニア・モータとすることができる。モータは、トルク・モータ又はトロイダル・モータとすることができる。
【0019】
弁部材は、弁スプールとすることができ、本体は、シリンダを含むことができる。弁スプールは、シリンダ内に可動可能なように取り付けることができる。
【0020】
弁部材は、シャー・プレートとすることができる。
【0021】
弁スプールは、実質的に平行な壁によって境界されたスロットを有することができ、クイル様部材は、回転子に取り付けられ、且つ、スロットの壁と係合される丸みを帯びた周縁端部を有することができる。
【0022】
丸みを帯びた周縁端部は、回転子が本体に対して回転するときに、実質的に摩擦の無い転がり接触でスロットの壁に係合することができる。
【0023】
丸みを帯びた周縁端部は、スロットの壁と係合するように付勢される部分を有することができる。
【0024】
モータは、回転子及び固定子のうちの一方に取り付けられたコイルを含むことができ、また、回転子及び固定子のうちの他方に取り付けられた複数の磁石を含むことができる。
【0025】
回転子は、モータの電機子とすることができる。
【0026】
直接駆動サーボ弁はさらに、回転子と本体との間で作用する少なくとも1つの軸受を含むことができる。サーボ弁は、4方弁とすることができる。
【0027】
サーボ弁は、固定子により回転子に印加される力と、伝達部材により弁部材に印加される力との間に、力学機械的倍率を提供するように構成及び配置することができる。
【0028】
サーボ弁は、モータ磁束が密閉チャンバの境界を通過するように構成及び配置することができる。
【0029】
したがって、本発明の全般的な目的は、改良された直接駆動サーボ弁を提供することである。
【0030】
上記その他の利点は、前述の及び継続中の明細書、図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】改良された直接駆動サーボ弁の第1の形態の等角図である。
図2図1に示されるサーボ弁の底面図である。
図3図1に示されるサーボ弁の上面図である。
図4】各本体部品を互いに分解して示している、図1に示されるサーボ弁本体の断片的長手方向断面図である。
図5】回転子上に設置され且つ弁スプールに動作的に係合しているクイルを示している、図3の線5−5に概ね沿った、サーボ弁の断片的長手方向垂直断面図である。
図6】シリンダに対して中央に即ち中立位置に位置して弁を通る流れが生じないようにしている弁スプールを示している、図5の線6−6に概ね沿った、サーボ弁の断片的横水平断面図である。
図7】やはりシリンダに対して中央に即ち中立位置に位置するものとして弁スプールを示している、図6の線7−7に概ね沿った、サーボ弁の断片的長手方向垂直断面図である。
図8】全体的に図6に似ているが、図6に示される位置から反時計方向に約19°回転された回転子を示しており、この運動により中立位置から離れる弁スプールの随伴運動が生じて弁を通る流れが可能とされていることを示している、サーボ弁の断片的横水平断面図である。
図9図8の線9−9に概ね沿った図であり、また、回転子が図8に示される位置に回転されたときに非中立位置に移動された弁スプールを示している、サーボ弁の断片的長手方向垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に、同様の参照番号が、幾つかの図面にわたって一貫して同一の構造要素、部分、又は表面を特定するように意図されていることから、要素、部分、又は表面について、その詳細な説明が不可欠となる明細書全体でさらに論述又は説明することができるということは、明白に理解されるべきである。特に指示されていない限り、各図面は、明細書と併せて読まれる(例えば、断面線、部品配置、比率、度合い、等)ように意図されており、また、本発明の明細書全体の一部分と見なされるべきである。以下の説明において、「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」、及び「下」という用語、並びにそれらの形容詞及び副詞(例えば、「水平に」、「右方向に」、「上方に」、等)は、読者が特定の図面を見た場合の、図示された構造の向きを意味するにすぎない。同様に、「内方に」及び「外方に」という用語は一般に、長手軸線又は必要に応じて回転軸線に対する表面の向きを意味するものである。
【0033】
ここで図面を参照すると、本開示の実施例は概して、改良された直接駆動サーボ弁を提供し、その第1の実施例が全体として20で示されている。
【0034】
改良されたサーボ弁は、全体として21で示された組立体を有するものとして示されている。図4に最もよく示されるように、組立体は、下部又は基部部品22、中間又は中央部品23、及び上部又は頂部部品24を含む。
【0035】
図1図3に最もよく示されるように、本体基部部分22は、25で個別に示された、環状に離間した4つの耳を有するものとして示されている。これらの耳のそれぞれに取付け穴26が設けられ、この取付け穴26により、改良されたサーボ弁を他の構造(図示せず)に動作的に取り付けることができる。28、29でそれぞれ個別に示された、環状に離間した他の耳が、基部中間部品及び頂部部品からそれぞれ外方に延在する。これらの耳は、30で個別に示された締結具を受け入れ且つ収容するための穴(図示せず)を有し、この締結具により基部を組み立てることができる。図1図3には種々の耳が示されているが、他の図面には示されていない。
【0036】
図2に最もよく示されるように、本体基部部品は、圧力Ps、流体リターンR、及び2つの制御ポートC1、C2をそれぞれ提供するための動作的接続を有する。したがって、4つの流体接続が存在するので、この弁は4方サーボ弁である。しかし、実施例は4方弁に限定されるものではなく、所望に応じて3方弁や何か他の形態に容易に適応させられることが、明確に理解されるべきである。
【0037】
次に図4を参照すると、本体基部部品22は、平坦な底面31を有する特別構成の垂直方向に細長い部材であることが示されている。32で個別に示された複数の環状溝が、本体基部部品の底面31から本体基部部品内へと上方に延在して、種々の流体入口及び出口を取り囲む。これらの溝は、Oリング(図示せず)を受け入れるように構成され、このOリングにより、本体基部部品を他の構造(図示せず)に密閉的に(sealingly)取り付けることができる。本体基部部品は、基部面31の外側縁から上方に延在している外方に面した垂直円筒面34と、面34の上縁から内方に延在している上方に面した環状水平面35と、外方に面した垂直円筒面36と、上方に面した水平環状面38と、内方に面した垂直円筒面39と、上方に面した特別構成の底面40と、そこから上方に立ち上がっている外方に面した垂直円筒面41と、そこから軸線方向上方に立ち上がっているメサ(mesa;台地)様部分37とを、順次含むものとして示されている。基部部品は、最上部の平坦な水平面42を有する。このメサ様部分には、全体として43で示された水平貫通孔が設けられ、この水平貫通孔は、全体として44で示された弁部材(図5図9)の摺動運動を受け入れ且つ収容するためのチャンバを形成する。この実施例では、貫通孔は、チャンバがシリンダであるように、円形断面を有する。しかし、貫通孔は、チャンバを矩形角柱や他の類似形状などの非円筒状の形状にする、非円形の断面を有してもよい。この実施例における弁部材は、円筒形の弁スプールである。しかし、弁部材は、シャー・プレートを形成する矩形角柱などの代替的な形状を有してもよい。したがって、組み立てられた基部、及びその構成部品のそれぞれは、垂直長手軸線y−yを有するものとして示されており、シリンダは、水平長手軸線x−xを有するものとして示されている。図4に最もよく示されるように、環状溝45が、Oリング(図示せず)を受け入れ且つ収容するために、面36から本体基部部品内へ水平に延在し、このOリングにより、本体中間部品を本体基部部品に密閉的に取り付けることができる。
【0038】
示された実施例では、弁スプールは、シリンダ43の内部に直接取り付けられる。しかし、基部貫通孔内にブッシュ(図示せず)を設けて、そのブッシュ内に弁スプールを取り付けてもよいことが、当業者には容易に理解されるであろう。(本体の内部に設けられたブッシュ内に取り付けられている弁スプールの代表的な例示として、例えば米国特許第2,767,689号、米国特許第2,920,650号、及び米国特許第3,103,739号を参照されたい。これらの総合的な開示内容が参照により本明細書に組み込まれる。)
【0039】
なおも図4を主に参照すると、本体中間部品23は、本体基部部品の上面35に面し且つ係合するように構成された下方に面した環状水平底面46を有する特別構成の垂直方向に細長い環状部材であることが、また、本体下部部品の面36に面するように、基部面46の内側縁から上方に立ち上がっている内方に面した垂直円筒面48を有するものとして示されている。基部中間部品の面48は、本体の面36の上に延在する。本体中間部品は、全体として52で示された環状コイル(図5図7、及び図9)を受け入れ且つ収容するための、上方に面した環状水平面49及び外方に面した垂直円筒面50によって画定された、上方及び外方に面した環状ノッチを有する。本体中間部品はまた、頂部51を有する。
【0040】
本体上部部品24は、コイル52を保護するように包囲し且つ覆うカバーの性質を持つものとして示されている。この本体中間部品は、中間部品の面49と係合するように構成された最下部環状水平面53と、そこから上方に連続している円筒状部分54と、中心軸線通り穴56で終わっている内転された上方部分55とを有する。前述のように、本体上部部品24は、本体中間部分上に取り付けられるカバー、及びコイル52を包囲し且つ保護するように封入するカバーの性質を持つものである。
【0041】
図6及び図8に最もよく示されるように、回転子58が、基部垂直軸線y−yの周りで回転するように、組み立てられた基部に回転可能に取り付けられる。この回転子は、本体中間部品の面48、50の間に画定された薄肉ウェブに対して離間して面するように配置される外方に面した垂直円筒面59と、反対側の内方に面した垂直円筒面60と、環状水平上面61と、環状水平下面62とを有する、特別構成のC形円板様部材であるとして示されている。環状溝が、軸受62を受け入れ且つ収容するために、回転子の上面61から回転子内へと下方に延在し、この軸受62により、回転子が基部頂上部分に回転可能に嵌合される。別の溝が、やはり62で示された別の軸受を受け入れ且つ収容するために、面38から基部下部部品内へと下方に延在し、この別の軸受により、回転子が基部下方部分に回転可能に嵌合される。63で個別に示された、分割された1対の環状永久磁石が、回転子の外周に設けられた凹部内に取り付けられて、励磁されたときにコイル52と相互に作用する。全体として64で示されたクイル様部材が、回転子に動作的に取り付けられる。この部材は、弁スプール44に設けられている、66で個別に示された向かい合った2つの平面壁の間に受け入れられる、丸みを帯びた遠位端部65を有する。
【0042】
図6図9に最もよく示されるように、弁スプール44は、その長手方向の大きさに沿って通常の方法で複数のランド及び溝を有し、また、シリンダ内で図7に示される中立位置から、所望に応じて、右方向か左方向に選択的且つ制御可能にシフトされるように構成される。中立位置では、弁スプール上のそれぞれのランドが、制御開口部C1、C2と連通する適切なポートを覆って、弁を通る流れが生じないようになっている。
【0043】
コイルは、回転子を基部軸線y−yの周りで時計方向か又は反時計方向に回転させるために、適切な大きさ及び極性の電流を供給することによって、選択的に励磁することができる。回転子の運動方向は、供給される電流の極性によって決定される。回転子の運動角度の大きさは、供給される電流の大きさによって決定される。図8では、回転子は、図6に示される位置から反時計方向に約19°移動したものとして示されている。このことが起こるにつれて、クイルは、弁スプールをシリンダ内で1つの軸線方向に移動させる。このことは図9に示されており、図9は、弁スプールを、出口C1及びC2と連通する制御ポートを露出させるために、中立位置から右へ移動されたものとして示している。したがって、このスプールの変位された状態は、流体が弁を通って流れることを可能にする。供給される電流の極性を逆にすると、スプールを中立位置から時計方向に移動させてスプールをシリンダに対して反対方向に変位させることができる。
【0044】
したがって、改良されたサーボ弁は、概して、伸長軸線y−yを有する本体21であって、一部分が本体軸線y−yに実質的に垂直な軸線x−xを有するチャンバ43を画定している本体21と、チャンバ内に可動に取り付けられ、且つ弁部材とチャンバとの間に画定された複数のポート間の流体の流れを選択的に制量するために、シリンダ軸線に沿って中立位置からいずれの方向にも移動されるように構成された弁部材44と、本体軸線の周りで回転するように本体に取り付けられた回転子58と、本体と回転子との間で作用し、且つ回転子を本体に対して所望の角度方向で回転させるように選択的に動作可能であるモータ69と、一方の角度方向における回転子と本体との間の相対回転により、弁部材がシリンダ軸線に沿って中立位置から一方向に移動されて弁を通る第1の流れの制量が可能になり、また反対の角度方向における回転子と本体との間の相対回転により、弁部材がチャンバの軸線に沿って中立位置から反対の方向に移動されて弁を通る第2の流れの制量が可能になるように、回転子と弁部材との間で作用するクイル様部材64とを含み、回転子は、チャンバを包囲する。
【0045】
回転子、コイル、及び永久磁石は、モータ69を形成し、このモータ69は、弁部材を中立位置から選択的に変位させるために、回転子を本体に対して適切な角度方向にまた適切な量だけ制御可能に回転させるように、選択的に動作させることができる。
【0046】
本発明は、多くの変更及び修正がなされうることを明確に意図する。
【0047】
例えば、添付の特許請求の範囲に組み込まれている場合を除き、種々の部品のサイズ、形状、及び構成は、重大な意味を持つと考えられるものではない。構造物の材料もまた、重大な意味を持つと考えられるものではない。前述のように、弁スプールは、基部に直接に摺動可能なように取り付けられてもよいし、基部に設けられた通り穴に挿入されたブッシュ内に摺動可能なように取り付けられてもよい。クイルは、回転子と一緒に動くように回転子に固定された1つの周縁端部を有し、且つ、丸みを帯びた頭部を備えた遠位の周縁端部を有する。1つの実施例では、頭部は、丸みを帯びた頭部が取り付けられる弁スプールの壁との摩擦の無い転がり接触を維持するために、互いに離れる方向に付勢される2つの部分で丸みを帯びた頭部が構成されるように、分割される。磁石及びコイルの位置は、必要に応じて逆にすることができる。必要に応じて、コイルが励磁されていないときにスプールを中立位置に戻すように付勢するために、スプール・エンド・チャンバ内に複心ばねを配置することができる。
【0048】
回転子を本体に対して回転させるために、トロイダル・モータ、トルク・モータ、又は他の類似のモータなどの、他のタイプのモータを使用することができる。
【0049】
したがって、改良された直接駆動サーボ弁の目下好ましい形態について、図示し且つ説明してきたが、また、その幾つかの修正形態について論じてきたが、以下の特許請求の範囲によって定義され且つ区別された本発明の精神から逸脱することなく、様々な追加の変更及び修正がなされうることを、当業者は容易に理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9