(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記雄ねじ部材を反対方向に回転させて前記押圧部材を半径方向内方へ移動させることにより、前記内部本体の前記外部本体に対する回り止め状態を解除することを特徴とする請求項1に記載の埋設筐。
前記雄ねじ部材を回転させて前記押圧部材の先端及び前記凸部を半径方向外方に移動させたときに、前記内部本体の外周面に配設される前記押圧部材及び前記凸部が押しつけられる前記外部本体の内周面上の複数の位置には、前記押圧部材及び前記凸部が嵌合する複数の溝が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の埋設筐。
前記内部本体の外周面上で円周方向に前記所定の間隔をおいて設けられた前記少なくとも1つの凸部に対応する、前記外部本体の内周面上の少なくとも1つの位置は、第2の位置及び第3の位置の2つの位置であって、前記第1の位置を含めた前記第1乃至第3の位置は、互いに前記外部本体の内周面の円周方向に120度毎に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の埋設筐。
前記外部本体の内周面上には、円周方向に60度毎に溝が設けられ、前記外部本体に対して前記内部本体を回転したときに、前記外部本体に対して前記内部本体を60度毎に回転移動して嵌合可能とすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の埋設筐。
【背景技術】
【0002】
地下には水道、ガス、電気等を供給するための布設管が埋設されている。これらの布設管には制水弁などの制御弁やコネクターやブレーカー等が適宜接続されており、これらの地下設備を地上から操作したり、保守点検したり、さらにはこれらを保護するとともに設置場所を明示する必要がある。この目的のために、中空構造の埋設筐が地中に設置されている。また、マンホールの場合にも同様の埋設筐が設定されている。
【0003】
埋設筐の上端開口部には鉄蓋を開閉可能に嵌合支持するための受け枠部が設けられている。この受け枠部は、埋設筐体と一体に設けられる場合や、別の部材で形成される場合がある。鉄蓋は、その上面が路面と略同一面となるようにして受け枠部の開口部に嵌合状態(閉じ状態)で支持される。この鉄蓋は、受け枠部に対して、蝶番や連結棒やチェーン等を介して開閉可能に取り付けられている。
【0004】
埋設筐として、地下に埋め込まれて内部に地下設備の収納空間を形成する外部本体と、上端部に鉄蓋を支持するための受け枠部を有する内部本体とを備え、上部本体を下部本体に対してねじ係合することにより高さ調節可能に接続する構成のものが使用されている。かかる埋設筐は、上部本体を回転させるだけで上端高さ(鉄蓋受け枠部の高さ)を調節できることから、施工時における高さ調節および使用により沈下したときの嵩上げに便利である。このような埋設筐は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、振動や衝撃による上部本体の高さ変動を防止することができ、施工や嵩上げに際して、地中に埋設した状態でも上部本体の上下位置を容易に調節することができる埋設筐が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような、ねじ係合された上部側の内部本体と下部側の外部本体からなる埋設筐では、施工時や使用状態で内部本体の高さ調節(嵩上げ、嵩下げ)を行う際に内部本体を回転させて所望の高さのところで回転を止めて高さ位置を固定するのに、外部本体に対して内部本体を回り止めするために回転の円周上に押圧機構を円周方向複数箇所(図示の例では3箇所、
図6参照)に配設して3箇所でねじ締めすることにより、安定的に回り止め状態を保持する構造としてある。このため、内部本体の円筒内空間(内部スペース)に3つの押圧機構を配置してあり、上部側の内部本体の上下位置を調節するのに、工具による3箇所のねじ締めの回転操作が必要となり、作業上の時間や労力を多く費やし、かつ内部本体の円筒内空間(内部スペース)が狭くなっていた。
【0007】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、上部側の内部本体の上下位置を下部側の外部本体に対して調節する際に、1つの押圧機構を用いた構造で、工具によるねじ締めの回転操作の作業回数を少なくでき、かつ内部本体の円筒内空間(内部スペース)を広くすることができる埋設筐を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、地面と略同一高さの上端部に鉄蓋が装着される埋設筐において、内周面に雌ねじ部が形成された筒状の外部本体と、外周面に形成されて前記雌ねじ部とねじ係合可能な雄ねじ部を有するとともに上端部に鉄蓋受け枠部を有する筒状の内部本体と、前記鉄蓋受け枠部に支持される鉄蓋と、を備え、前記内部本体に形成された開口を通して半径方向に移動可能に該内部本体に装着された押圧部材と、前記押圧部材に形成された半径方向の傾斜面に沿って摺動することで半径方向斜め方向に移動可能に装着されるとともに、上下方向に貫通する雌ねじ孔を有する作動部材と、前記作動部材の雌ねじ孔にねじ係合するとともに前記内部本体に上下方向の移動を禁止された状態で回転可能に支持された雄ねじ部材と、を備える押圧機構と、前記内部本体の外周面に形成された前記雄ねじ部上に設けられた少なくとも1つの凸部であって、該少なくとも1つの凸部は前記内部本体の外周面上に装着された前記押圧部材の位置に対して該外周面上で円周方向に所定の間隔をおいて設けられている少なくとも1つの凸部と、を有し、前記雄ねじ部材を回転させて前記作動部材を上下方向に移動させることにより、前記傾斜面を介して前記押圧部材を半径方向に移動させる構成とし、前記雄ねじ部材を回転させて前記押圧部材を半径方向外方へ移動させ、該押圧部材を前記外部本体の内周面上の第1の位置に当接して押付けると同時に、押付けられた前記押圧部材の半径方向外方とは反対方向へ働く力に伴って、前記内部本体の外周面上で前記所定の間隔をおいて設けられた前記少なくとも1つの凸部が前記外部本体の内周面に設けられた前記雌ねじ部に当接して、該少なくとも1つの凸部を前記外部本体の内周面上における前記第1の位置とは反対側の少なくとも1つの位置に押付けることにより、前記内部本体を該外部本体に対して回り止め状態で保持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上部側の内部本体の上下位置を下部側の外部本体に対して調節する際に、1つの押圧機構を用いた構造で、工具によるねじ締めの回転操作の回数を少なくでき、かつ内部本体の円筒内空間(内部スペース)を広くすることができる埋設筐が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一または対応部分を示すものである。
図1は一実施形態に係る埋設筐の中央部縦断面図である。
図2は一実施形態に係る埋設筐を鉄蓋を省いて示す平面図である。
図3は
図1中の外部本体の中央部縦断面図である。
図4は
図3の平面図である。
図5は
図1中の内部本体の中央部縦断面図である。
図6は
図5の平面図である。
図7は押圧機構の押圧状態の縦断面図である。
図8は
図7中の線A−Aから見た押圧機構の正面図である。
図9は押圧機構の押圧解除状態の縦断面図である。
図10は一実施形態に係る埋設筐の押圧機構を操作するときの状態を鉄蓋を省いて示す中央部縦断面図である。
図11は
図1中の内部本体の詳細な正面図である。
図12は
図11の内部本体の外周面の雄ねじ部に設けた凸部を示す拡大図である。
図13は
図1中の外部本体の内周面の雌ねじ部に設けた溝を示す底面側から見た平面図である。
図14は
図13中の外部本体の内周面の雌ねじ部に設けた溝に対して押圧部材の先端側押圧部が嵌合した状態を示す拡大図である。
図15は一実施形態に係る埋設筐の押圧機構を操作したときの動作状態を鉄蓋を省いて示す底面側から見た平面図である。
【0012】
水道、ガスあるいは電気などの布設管の途中に設けられる制御弁などの埋設機器(地下設備)の近傍にはコンクリートまたはレンガ等で作られた座台(不図示)が埋め込まれており、この座台上に筒状の外部本体11が支持されている。外部本体11は、地中に埋設されており、必要に応じて座台に対しボルト等で連結固定しても良い。外部本体11は上下方向の軸心を有する上下端開放の筒状の中空部材であり、その内周面には雌ねじ部12が形成されており、下端部には外側へ張り出したフランジ部13が形成されている。外部本体11の内部には、上下端開放の筒状の内部本体15が上下位置調節可能にねじ係合されている。すなわち、内部本体15の外周面の下半部の所定高さ範囲に形成された雄ねじ部16が外部本体11の雌ねじ部12にねじ係合され、治具等により内部本体15を外部本体11に対して回転することにより、内部本体15を上下方向に移動させることができる。
【0013】
内部本体15の上端部には、開口部18を有する鉄蓋受け枠部17(
図5参照)が形成されている。
図1に示すように、鉄蓋20は開口部18の周縁によって開閉可能に嵌合支持されている。図示の例では、鉄蓋20は両端で係合する棒状の連結部材21からなるヒンジを介して鉄蓋受け枠部17に開閉可能に自在連結されている。符号19は、鉄蓋20との連結するための鉄蓋受け枠部17に設けた連結部を示している。かかる棒状の連結部材21で連結することで、鉄蓋20を鉄蓋受け枠部17に連結したまま、開放状態にして作業を行うことができる。また、鉄蓋20の連結部材21と反対側の端部近傍には、揺動可能に支持された錘22が当接することにより自動閉塞される開放可能な治具挿入孔(開口)23が形成されている。治具または工具を開口23の周縁部に係合させて持ち上げることにより、鉄蓋20を開放させることができる。外部本体11の上端部には、内部本体15との間からの土砂流入を防止するための環状のゴム状弾性体からなる封止部材24が圧入嵌合または接着等により取り付けられている。
【0014】
内部本体15の雄ねじ部16が形成された高さ領域の内周面には、内部本体15を外部本体に対して回り止め状態で固定するための押圧機構30が設けられている。この押圧機構30は、
図6の例では、内部本体15の下端部側に設けられている。押圧機構30は、内部本体15の内周面の円周方向3等分の位置のうちの一箇所に設けられている。内部本体15の円周方向3等分の位置のうちの他の二箇所に相当する位置には、内部本体15の下端部側の外周面の雄ねじ部16のねじ山16a上に凸部50が設けられている。この凸部50は、前記内部本体15の外周面上に装着された前記押圧部材35の押圧部35aの位置に対して該外周面上で円周方向に120度間隔に1ずつ(即ち2つの箇所にそれぞれ)設けられている。凸部50については、詳しくは、後述する
図11及び
図12に示されている。
【0015】
次に、押圧機構30について説明する。
【0016】
内部本体15の内周面には、断面が長方形をした内壁面からなる半径方向のガイド面31を構成する水平方向の貫通空洞32を有するガイド部33が形成されている。貫通空洞32は、内部本体15を貫通して外部本体11の内部へ開口し(開口34)、内部本体15の内面へ連通している。前記貫通空洞32の内部には、半径方向のガイド面31に沿って移動可能な押圧部材35が装着されている。押圧部材35は、内部本体15の外周面の雄ねじ部16の内の内部本体1下端部側にあるねじ山とねじ山の間の谷部分に突没可能に形成されている。押圧部材35は、半径方向外方へ移動したとき、開口34を通して外部本体11内へ突出し、外部本体11の内面に押付けることが可能に装着されている。押圧機構30は、押圧部材35と、作動部材38と、雄ねじ部材42とを備えている。
【0017】
押圧部材35には、上下方向に貫通するとともに内部本体15の半径方向に傾斜したガイド面を構成する傾斜面を有する傾斜貫通孔36が形成されている。この傾斜貫通孔36は、断面が長方形であり、半径方向に下方外方へ傾斜している。傾斜貫通孔36には、同じ断面形状(長方形断面)を有するブロック状の作動部材38が摺動自在に嵌合装着されている。作動部材38は、半径方向内外面が傾斜貫通孔36の傾斜面(ガイド面)と同様に半径方向に傾斜しており、上下方向に移動すると同時に半径方向斜め方向に移動するように嵌合装着されている。図示の例では、作動部材38が上方へ移動すると押圧部材35が半径方向外方へ移動し、作動部材38が下方へ移動すると押圧部材35が半径方向内方へ移動するように構成されている。
【0018】
作動部材38には、雌ねじを有し上下方向に貫通する孔(雌ねじ孔と称する)39が形成されている。また、内部本体15の内周面に形成されたガイド部33には上下方向の貫通孔41が形成されている。この貫通孔41は、貫通空洞32が形成された部分を貫通しており、上部貫通孔41aと下部貫通孔41bで形成されている。そこで、作動部材38の雌ねじ孔39のねじにねじ係合するとともに、ガイド部33の上部貫通孔41aおよび下部貫通孔41bに挿通されたボルト状の雄ねじ部材42が取り付けられている。雄ねじ部材42は、その頭部43を上にし、その下部はガイド部33の下面から下方へ突出しており、下方突出部にナット44がねじ係合されている。ナット44は割りピン等の止めピン45により雄ねじ部材42に対して所定決めされている。
【0019】
また、雄ねじ部材42の頭部43とガイド部33の上面との間にワッシャ(座金)46aが装着され、ナット44とガイド部33の下面との間にワッシャ46bが装着されている。そして、ナット44は、ガイド部33を締め付けない位置に位置決め装着されており、組付け状態で雄ねじ部材42を工具等で回転させると該雄ねじ部材は自由に回転する。一方、雄ねじ部材42は作動部材38とねじ係合しており、従って、雄ねじ部材42を回転させることにより作動部材38を上下方向に移動させることができる。すなわち、雄ねじ部材42は、作動部材38の雌ねじ孔39にねじ係合されるとともに、内部本体15に上下方向の移動を禁止された状態で回転可能に支持されている。従って、雄ねじ部材42を一方へ回転させることにより作動部材38を上方へ移動させ、これにより、押圧部材35を貫通空洞32のガイド面31に沿って半径方向外方へ移動させ、開口34を通して外部本体11の内面の溝51に衝当させて押付けることができる。この溝51については、後述する
図13及び
図14に示されている。また、雄ねじ部材42を他方へ回転させることにより作動部材38を下方へ移動させ、これにより、押圧部材35を貫通空洞32のガイド面31に沿って半径方向内方へ(内部本体15の中心に向けて)移動させることができる。
【0020】
雄ねじ部材42を一方へ回転させ、押圧部材35を半径方向外方へ移動させて外部本体11に押付けることにより、内部本体15を外部本体11に対して回り止め状態で保持することができる。つまり、内部本体15を回り止め状態で押圧固定することができる。また、雄ねじ部材42を反対方向へ回転させ、押圧部材35を半径方向内方へ移動させることにより、内部本体15の外部本体11に対する回り止め状態を解除することができる。前述のように内部本体15には、以上説明した押圧機構30が円周方向の一箇所に設けられる。
図10に示すように、鉄蓋20を開放し、地上から専用工具(工具または治具でも可)70によって、押圧機構30の雄ねじ部材42を回転させることにより、内部本体15の外部本体11に対する回り止め状態を解除したり押圧固定していく。なお、内部本体15を外部本体11に対して回転操作して内部本体15の高さ位置を調節するときは、先ず内部本体15を外部本体11の内面に対して回転して所望の高さ位置になったことを確認し且つ外部本体11内の溝51の有る位置に対して内部本体15の(押圧機構30における)押圧部材35の位置を(回転調整して)位置決めしてから、工具70で(押圧機構30における)雄ねじ部材42のねじ締めを行って回り止め状態に保持するとよい。
図2に示すように外部本体11の下端部には外側へ張り出したフランジ部13が形成されているので、内部本体15を外部本体11に対して円周方向の適宜の位置に位置決めするには、内部本体15を回転操作して押圧機構30をフランジ部13上の例えば図示Cに対応した外部本体11の内周面位置(溝の有る位置)に停止させる。この外部本体11の内周面上には
図13に示すように例えば60度毎に溝51が形成されているとすると、内部本体15に取り付けた押圧機構30を60度毎の溝51の形成位置のいずれかの位置で停止させてから、雄ねじ部材42のねじ締めを行えばよい。
【0021】
図11は
図1中の内部本体の詳細な正面図である。
図12は
図11の内部本体の外周面の雄ねじ部に設けた凸部を示す拡大図である。
図13は
図1中の外部本体の内周面の雌ねじ部に設けた溝を示す底面側から見た平面図である。
図14は
図13中の外部本体の内周面の雌ねじ部に設けた溝に対して押圧部材の先端側押圧部分が嵌合した状態を示す拡大図である。
図15は一実施形態に係る埋設筐の押圧機構を操作したときの動作状態を鉄蓋を省いて示す底面側から見た平面図である。
【0022】
図11において、において、内部本体15の上端部側には鉄蓋受け枠部17があり、これと連設して外周面に雄ねじ部16が螺旋状に形成された円筒状の本体部が設けられている。雄ねじ部16は断面が台形状に形成されており、その台形の基部は幅が広くそれより少し狭い幅のねじ山が帯状に円形に(螺旋を形成するように)湾曲して形成されている。内部本体15の下端部側における雄ねじ部16のねじ山の1ピッチ区間に相当する2箇所に凸部50が形成され、また、内部本体15の下端部側における雄ねじ部16のねじ山とねじ山の間に相当する谷部分の1箇所に押圧機構30の押圧部材35が半径方向に移動可能とされ、それによって押圧部材35が外周面の谷部分に突没可能となっている。この内部本体15の外周面の1箇所に設けた押圧部材35と、前記2箇所に形成された凸部50とは、外周面上で円周方に互いに120度の間隔をおいて配置されている。
【0023】
図12は、内部本体15を上から見た平面図の一部を拡大したものであって、内部本体15の外周面に形成されている雄ねじ部16のねじ山16a上に設けられた凸部50を拡大して示している。
【0024】
図13は、外部本体11の内周面の雌ねじ部12に設けた溝51を底面側から見た平面図を示している。この溝51は、外部本体11の内周面の雌ねじ部12に円周方向に等間隔に、例えば60度毎に設けられている状態を示している。
外部本体11に対して前記内部本体15が挿入さ れ且つ外部本体11に対して前記内部本体15がねじ係合され、しかも外部本体11の雌ねじ部12の前記複数の溝51のうちの1つの溝51に対して前記内部本体15の雄ねじ部16の押圧部材35の先端側押圧部が嵌合されたとき、同時に外部本体11の雌ねじ部12の前記複数の溝51のうちの他の2つの溝51に対して前記内部本体15の雄ねじ部16の前記2つの凸部50がそれぞれ嵌合される。溝51は外部本体11の内周面に形成されている雌ねじ部12の全ての雌ねじのねじ山に垂直方向に並ぶように該ねじ山の下方側斜面に形成されている(
図9の符号51参照)。なお、溝51については、内部本体15の凸部50を外部本体11の溝51に対して嵌合して位置決めするのに好都合であるが、押圧部材35の内周面に対する半径方向外方への押付けに対してその反対方向(半径方向内方)へ働く力が生じることによって内部本体15外周の凸部50が外部本体11の反対側の内周面に対して押付けられることにより、内部本体15を回り止め状態にすることも可能なため、溝51がない構成も可能である。
【0025】
図14は、外部本体11の内周面上の雌ねじ部12に設けた溝51に対して押圧部材35の先端側押圧部分が嵌合した状態を該内周面に対して垂直な方向から見た内面図の一部を拡大したものであって、外部本体11の内周面に形成されている雌ねじ部12のねじ山12aから下方側を切り欠いて(削って)溝51が設けられている。この溝51に対しては、前記押圧部材35の先端側の押圧部35aが嵌合する。これと同時に内部本体15の雄ねじ部16のねじ山16aに設けた前記2つの凸部50が外部本体11の内周面上の他の溝51に対して嵌合する構造となっている。
【0026】
図15は、押圧機構30を操作したときの動作状態を鉄蓋20を省いて底面側から見た平面図を示している。
【0027】
前記雄ねじ部材42を回転させて前記押圧部材35を半径方向外方へ移動させ、該押圧部材35の押圧部を前記外部本体11の内周面上の第1の位置に当接して押付けると同時に、押付けられた前記押圧部材35の半径方向外方とは反対方向(図示実線矢印Bにて示す半径方向内方)へ働く力に伴って、内部本体15が移動し(ずれて)、前記内部本体15の外周面上で120度の間隔をおいて設けられた2つの凸部50が前記外部本体11の内周面の前記雌ねじ部12(図示略)の谷部分(ねじ山とねじ山の中間部分)の(下方側の)位置に当接することで、該2つの凸部50を前記外部本体11の内周面上における前記第1の位置とは略反対側の2つの位置に押付けることにより、前記内部本体15を該外部本体11に対してガタつきなく回り止め状態で保持することができる。
【0028】
なお、外部本体11の内周面上には、円周方向に60度毎に溝51が設けられ、前記外部本体11に対して前記内部本体15を回転したときに、前記外部本体11に対して前記内部本体15を60度毎に回転移動して嵌合することができる。これにより、ねじのピッチを例えば40mmとすると、前記外部本体11に対して前記内部本体15を60度、即ち1回転に対して1/6回転したときには、前記内部本体15を6〜7mmだけ嵩上げ又は嵩下げすることができる。
【0029】
これにより、内部本体15の一箇所だけに設けた1つの押圧機構30の雄ねじ部材42を回転操作するだけで内部本体15を外部本体11に対して回り止め状態にしたり、その回り止め状態を解除したりすることができ、振動や衝撃による内部本体の高さ変動を防止するとともに、施工および嵩上げに際して、地中に埋設した状態でも内部本体の上下位置を容易に調節することが可能となる。
【0030】
さらに、上部側の内部本体の上下位置を下部側の外部本体に対して調節する際に、従来例のように3つの押圧機構を回転操作することなく、1つの押圧機構を回転操作するだけでよい構造となっているので、内部本体の円筒内空間(内部スペース)を広くすることができると共に、作業者の工具によるねじ締めの回転操作の作業回数を少なくでき、作業時間及び労力を節減できる。
【0031】
なお、前記凸部の数は、前記押圧部材に対して円周方向に120度毎に2箇所設けなくとも1箇所だけであっても機能するが、外部本体に対して内部本体をがたつきなく安定的に回り止めするには押圧部材の押圧部と2箇所の凸部50も含めて3箇所で固定するのが好ましいと言える。
【0032】
以上説明した実施形態によれば、雄ねじ部材42を回転させて作動部材38を上下方向に変位させることにより、傾斜面(傾斜貫通孔36)を介して押圧部材35を半径方向に移動させるように構成されている。従来例に比べて、内部本体15を外部本体11に対して回り止めするための押圧機構が一箇所とされるので、雄ねじ部材42による回転操作が簡単となる。そして、一箇所の雄ねじ部材42を回転させて押圧部材35を半径方向外方へ移動させ、押圧部材35を外部本体11に押付けることにより、内部本体15を外部本体11に対して回り止め状態で保持できる。さらに、一箇所の雄ねじ部材42を反対方向に回転させて押圧部材35を半径方向内方へ移動させることにより、内部本体15の外部本体11に対する回り止め状態を解除できる。かかる構成によれば、前述のように、振動や衝撃による内部本体の高さ変動を防止することができ、施工や嵩上げに際して、地中に埋設した状態でも内部本体の上下位置を容易に調節することができる埋設筐が提供できると共に、一箇所の押圧機構30における一箇所の雄ねじ部材42の回転操作のみで内部本体15を外部本体11に対して回り止め状態にしたり、その回り止め状態を解除したりすることができ、作業者による調節作業の時間及び労力を節減でき、さらに内部本体の円筒内空間(内部スペース)を広くすることができる。