(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記冷却剤入口(19)及び前記冷却剤出口(20)は、前記構造体金属薄板(5)の少なくとも1つの側縁に、好ましくは互いに反対側に位置する2つの側縁に配置されていて、前記通路(6)は好ましくは蛇行状に延びている、請求項1記載の光起電力モジュール(100)。
前記構造体金属薄板(5)は、0.1mm〜3.0mmの厚さ、好ましくは0.3mm〜0.8mmの厚さを有しており、前記構造体金属薄板(5)の厚さは、好ましくは一定である、請求項1から3までのいずれか1項記載の光起電力モジュール(100)。
前記通路(6)は、0.5mm〜20mm、好ましくは2mm〜10mmの深さtを有し、かつ好ましくは2mm〜50mm、特に好ましくは5mm〜20mmの幅bを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の光起電力モジュール(100)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置を備えた光起電力モジュール、光起電力モジュールを製造する方法、並びに光起電力モジュールの使用に関する。
【0002】
光起電力モジュールは、この光起電力モジュールに入射する太陽光線のうちの一部を電気エネルギに変換することができる。この変換効率が光起電力モジュールの温度によって著しく左右されることは、周知である。最適な効果は、典型的には、約20℃〜約50℃の温度範囲において得られる。しかしながら直接的な太陽光の入射と、放射エネルギから電気エネルギへの変換時における部分的に大きな熱損失とによって、光起電力モジュールは運転時に、100℃までの温度に加熱されることがある。これによって電気エネルギの発生効率は顕著に減少する。
【0003】
光起電力モジュールの効率は、光起電力モジュールを冷却することによって高めることができる。このような冷却は例えば、光起電力モジュールの背面を通気することによって達成することができる。顕著に効果的な冷却は、液状の冷却剤を用いて得ることができる。
【0004】
独国特許出願公開第19747325号明細書に基づいて公知の光起電力モジュールは、液状の冷却剤によって満たされた金属タンクに取り付けられている。光起電力モジュールの冷却は、冷却剤への熱の放出と、金属タンク内における冷却剤の循環によって達成される。この場合の冷却作用は制限されている。なぜならば、この場合冷却剤のアクティブな冷却が行われないからである。さらにこのような解決策は、大きなスペースを必要とする。
【0005】
米国特許出願公開第2011/0168233号明細書に基づいて公知の光起電力モジュールでは、光起電力モジュールの背側に冷却装置が配置されている。この冷却装置はベースプレートと冷却プレートとを有している。冷却プレートには、冷却管が取り付けられ、この冷却管を通して液状の冷却剤が圧送される。しかしながらこの公知の構成では、冷却装置が多くのエレメントを有することに基づいて、光起電力モジュールの製造に大きな手間もしくはコストが掛かる。
【0006】
ゆえに本発明の課題は、簡単かつ安価に製造することができ、僅かなスペースしか必要とせず、しかも光起電力モジュールの効果的な冷却を可能にする、改善された冷却装置を備えた光起電力モジュールを提供することである。
【0007】
本発明の課題は、本発明によれば、独立請求項である請求項1に記載の冷却装置を備えた光起電力モジュールによって解決される。好適な態様は、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明に係る、冷却装置を備えた光起電力モジュールは、
互いに上下に配置された背側ガラスと光起電性の層システムと前側ガラスとから成る積層された複合体と、
前記背側ガラスの背面に配置された構造体金属薄板と、を少なくとも有しており、
前記構造体金属薄板に、冷却剤入口と冷却剤出口との間において延びる少なくとも1つの通路が形成されており、
前記構造体金属薄板の表面に、少なくとも2つの接触面が形成されていて、該接触面は、前記通路によって互いに隔てられていて、前記接触面を介して前記構造体金属薄板が前記背面に結合されており、
前記通路は少なくとも部分的に、液状の冷却剤によって満たされている。
【0009】
前側ガラスというのは、本発明では、光起電力モジュールの、光入射側に向けられたガラスを意味する。背側ガラスというのは、光入射側とは反対側に位置するガラスを意味する。前側ガラス及び背側ガラスはそれぞれ、前面と背面とを有している。前面というのは、本発明では、光入射側に向けられた側を意味する。背面というのは、光入射側とは反対の側を意味する。前側ガラスの背面と背側ガラスの前面とは、互いに向かい合っていて、中間層を介して積層によって互いに結合されている。
【0010】
1つのエレメントが少なくとも1つの材料を有している場合、この場合このことは、本発明では、当該エレメントがその材料から成っている場合を含む。
【0011】
構造体金属薄板は、本発明によれば、冷却剤入口と冷却剤出口との間において延びる少なくとも1つの通路を備えて形成されている。この通路によって、構造体金属薄板の第1の表面には凹部が形成され、構造体金属薄板の、反対側に位置する第2の表面には、相応の隆起部が形成される。構造体金属薄板の第1の表面は、少なくとも2つの接触面を有していて、これらの接触面は1つの共通の平らな平面に配置されている。2つの接触面は、通路によって互いに隔てられていて、該通路に隣接している。構造体金属薄板は、接触面を介して、背側ガラスの背面に結合されている。構造体金属薄板における本発明に係る通路と背側ガラスの背面とによって、液状の冷却剤のための管路が形成される。通路は、冷却剤入口と冷却剤出口との間を延びていて、この冷却剤入口及び冷却剤出口は、管路の開口である。これらの開口を介して通路は、冷却剤供給路及び冷却剤戻し路に接続されることができる。これによって冷却剤を、通路を通して導き、吸収された熱を光起電力モジュールの外に適宜な手段によって再び放出することができる。
【0012】
通路は、好ましくは構造体金属薄板を変形させることによって形成されていて、構造体金属薄板の、背側ガラスに向けられた表面に凹部を形成し、構造体金属薄板の、背側ガラスとは反対側の表面に隆起部を形成している。
【0013】
構造体金属薄板は、簡単に製造可能で安価なかつ効果的な冷却装置を提供する。さらに構造体金属薄板は、使用箇所に光起電力モジュールを固定するための接合部を提供し、光起電力モジュールを補強又は補剛する。これによって、例えば光起電力モジュールの前側ガラス及び背側ガラスが僅かな厚さを有していて、補強が望まれているような場合でも、追加的な補強エレメントの装着は不要である。
【0014】
構造体金属薄板は、好ましくは0.1mm〜3.0mmの厚さ、特に好ましくは0.3mm〜0.8mmの厚さを有している。このことは、構造体金属薄板における本発明に係る通路の簡単な配設、構造体金属薄板の安定性及び補強作用に関して、特に好適である。構造体金属薄板は、好ましくは一定の厚さを有している。構造体金属薄板の厚さというのは、本発明では材料厚さを意味する。
【0015】
構造体金属薄板は原則的には、適宜な如何なる金属又は適宜な如何なる合金からも製造することができる。構造体金属薄板は、好ましくは少なくとも鋼及び/又はアルミニウムを含有している。このことは、構造体金属薄板の安価な製造と安定性に関して、特に有利である。
【0016】
構造体金属薄板における本発明に係る通路は、好ましくは0.5mm〜20mm、特に好ましくは2mm〜10mmの深さを有している。このことは、構造体金属薄板の冷却作用及び僅かな所要スペースに関して、特に有利である。本発明において通路の深さというのは、通路の領域における構造体金属薄板の、背側ガラスに向けられた表面と、接触面が配置されている平面との間の最大鉛直方向間隔である。通路の深さは、好ましくは該通路の広がり方向において一定である。
【0017】
通路は、好ましくは2mm〜50mm、特に好ましくは5mm〜20mmの幅を有している。このことは、構造体金属薄板と背側ガラスとの間における安定した結合及び冷却作用に関して有利である。通路の幅というのは、本発明では、接触面が配置されている平面における通路の幅を意味する。
【0018】
通路の広がり方向に対して垂直な横断面で見た該通路の断面形状は、本発明によれば特定の形状に制限されていない。通路の断面形状は、例えば方形、三角形、円の弓形、楕円の弓形又は台形の形状を有することができる。背側ガラスに対する間隔が大きくなるに連れて細くなる断面形状、例えば三角形、台形、円の弓形又は楕円の弓形は、有利であるということができる。なぜならば、このような形状は、冷却剤の量が等しい場合、例えば方形の断面形状に比べて、背側ガラスに向かって冷却剤の接触面積を増大させるからである。
【0019】
通路は、好ましくは構造体金属薄板にわたって蛇行状に延びている。これによって、特に好適な冷却作用が得られる。通路はこの場合、特に好ましくは互いに平行な部分を有していて、これらの部分は、研削部状の部分によって互いに結合されている。通路の互いに隣接した平行な部分は、好ましくは互いに5mm〜100mmの間隔を有している。これによって、冷却に関して特に良好な結果が得られる。
【0020】
通路は、好ましくは冷却剤によって完全に満たされている。これにより、特に有利な冷却作用が得られる。
【0021】
冷却剤入口及び冷却剤出口は、好ましくは構造体金属薄板の少なくとも1つの側縁に配置されている。このような態様は、本発明に係る構造体金属薄板の簡単な製造に関して特に好適である。なぜならば、冷却剤入口及び冷却剤出口を、通路の取付け時に、例えば穿孔のような他の方法ステップなしに準備することができるからである。この場合冷却液のための管路は、構造体金属薄板の少なくとも1つの側縁に2つの開口を有していて、両方の開口は、冷却剤供給路及び冷却剤戻し路に接続することができる。このような側部に設けられた接続部は、使用箇所において、構造体金属薄板の背面における接続部に比べて所要スペースを著しく減じることができる。なぜならば、光起電力モジュールを例えば建築物の屋根のような下地に対して僅かな間隔をおいて配置することができるからである。冷却剤入口及び冷却剤出口は、構造体金属薄板の同じ側縁に配置されていても、又は2つの異なった側縁に配置されていてもよい。
【0022】
本発明の好適な態様では、冷却剤入口及び冷却剤出口は、構造体金属薄板の互いに反対側に位置する2つの側縁に配置されている。このように構成されていると、通路と冷却剤供給路及び冷却剤戻し路との接続を、特に簡単にかつスペースを節減して行うことができる。なぜならば、冷却剤供給路及び冷却剤戻し路を、光起電力モジュールの互いに反対側に位置する側に配置することができるからである。特に、複数の本発明に係る光起電力モジュールを、同じ冷却剤供給路及び同じ冷却剤戻し路に簡単に並列に接続することができる。
【0023】
通路は、好ましくは、出発状態において平らな構造体金属薄板の変形によって、例えば深絞り又はスタンピングによって、構造体金属薄板に形成される。
【0024】
構造体金属薄板の接触面と背側ガラスとの間における結合は、好ましくは接着剤を用いて行われる。接着剤はこの場合、構造体金属薄板と背側ガラスとの、冷却剤に対してシール作用を有していて化学的かつ機械的に安定した結合部を提供するのに適していなくてはならない。適宜な接着剤は、例えばポリウレタン接着剤である。
【0025】
接触面は、好ましくは、構造体金属薄板の、背側ガラスに向けられた表面全体に、該表面全体から通路の領域を差し引いて形成されており、かつ接着剤によって完全に覆われている。このように構成されていると、構造体金属薄板と背側ガラスとの間における特に安定した結合部が得られ、有利である。
【0026】
別の好適な態様では、構造体金属薄板の、背側ガラスとは反対の側の表面に、単数又は複数の固定エレメントが配置されている。このような固定エレメントを用いて、光起電力モジュールを使用箇所に、例えばフレームに固定することができる。この場合固定は、固定エレメントのねじ結合、クランプ、接着によって、及び/又はレールへの固定エレメントの挿入によって行われる。固定エレメントは、好ましくは構造体金属薄板の縁部領域に配置されている。本発明に係る構造体金属薄板は、固定エレメントによって、使用箇所に光起電力モジュールを固定するための接合部を、好適に提供する。
【0027】
固定エレメントは例えば、L字形の横断面を有することができ、この場合背側ガラスの背面に対して平行に形成された平らな部分領域が、光起電力モジュールの側縁を越えて張り出している。固定エレメントは、例えば溶接、ろう接又は接着によって構造体金属薄板に取り付けることができる。択一的に、固定エレメントは構造体金属薄板と一体に形成されていてもよく、このような場合、出発状態において平らな構造体金属薄板の側縁、又は側縁の張り出している領域が、折り曲げられて固定エレメントを形成する。
【0028】
原則的には、十分な熱伝導性さえ有していれば、当業者に知られている適宜ないかなる冷却液をも、冷却剤として使用することができる。冷却剤は、例えば少なくとも水又は水-グリコール混合物を含有することができる。冷却剤は、添加剤、オイル又はガスを有することも可能である。
【0029】
前側ガラスは、好ましくは、プリテンション(予備張力)が掛けられていないガラス、部分的にプリテンションを掛けられたガラス、又はプリテンションを掛けられたガラス、又は硬化された、例えば熱によって又は化学的に硬化されたガラスを含む。前側ガラスは、好ましくはソーダ石灰ガラス、鉄分の少ないソーダ石灰ガラス又はホウケイ酸ガラスを含む。このことは、光起電力モジュールの安定性、機械的な損傷に対する光起電性の層システムの保護、及び前側ガラスを通る太陽光の透過性に関して、特に好適である。
【0030】
背側ガラスは、好適な態様では、プリテンション(予備張力)が掛けられていないガラス、部分的にプリテンションを掛けられたガラス、又はプリテンションを掛けられたガラス、又は硬化された、例えば熱によって又は化学的に硬化されたガラスを含む。背側ガラスは、好ましくはソーダ石灰ガラス、鉄分の少ないソーダ石灰ガラス又はホウケイ酸ガラスを含む。しかしながらまた択一的に背側ガラスは、例えばプラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリラート及び/又はこれらの混合物、ガラス繊維強化されたプラスチック、金属又は合金、例えばステンレススチールを含むことができる。
【0031】
前側ガラス及び背側ガラスはそれぞれ、好ましくは、0.1mm〜10mmの厚さ、例えば1.5mm〜5mmの厚さを有している。
【0032】
本発明の好適な態様では、前側ガラス及び/又は背側ガラスは、極めて僅かな厚さを有している。前側ガラス及び/又は背側ガラスは、好ましくは1mm〜6mmの厚さ、特に好ましくは2mm〜4mmの厚さを有している。このような光起電力モジュールは、好適に僅かな重量を有する。本発明に係る冷却装置は、特に、僅かなガラス厚さを有する光起電力モジュールのために有利である。なぜならば、本発明に係る構造体金属薄板によって、光起電力モジュールの補強及び補剛が達成され、その結果、追加的な補強エレメントを装備する必要はなくなる。
【0033】
前側ガラス及び背側ガラスの面積は、100cm
2〜18m
2、好ましくは0.5m
2〜3m
2であってよい。前側ガラス及び背側ガラスは、平らでも曲がっていてもよい。
【0034】
光起電性の層システムは、放射エネルギを電気エネルギに変換するために必要な電荷単体分離を生ぜしめる。光起電性の層システムは、好ましくは、少なくとも1つの光起電に関して活性の吸収層を前側電極層と背側電極層との間に有している。この場合前側電極層は、吸収層の、光入射側に向けられた側に配置されている。背側電極層は、吸収層の、光入射側とは反対の側に配置されている。
【0035】
光起電に関して活性の吸収層は、本発明によれば、特定の型式に制限されていない。吸収層は、例えば単結晶のケイ素、多結晶のケイ素、微細構造のケイ素又は非晶質のケイ素、半導体の有機ポリマ又はオリゴマ、テルル化カドミウム(CdTe)又はガリウムヒ素(GaAs)又はセレン化カドミウム(CdSe)を含むことができる。
【0036】
本発明の好適な態様では、吸収層は、銅-インジウム-硫黄/セレン(CIS)の群の化合物、例えば銅インジウムジセレナイド(CuInSe
2)のような、又は銅-インジウム-ガリウム-硫黄/セレン(CIGS)の群の化合物、例えばCu(InGa)(SSe)
2のような、p伝導型の黄銅鉱半導体を含有している。(CI(G)S)をベースとする吸収層を備えた起電性モジュールは、特に高い温度係数を有しており、つまり温度上昇と共に効率が特に強く減じられる。出力に関する温度係数は、ほぼ−0.35%/℃〜−0.5%/℃の範囲に位置している。従って効率の温度関連性は、例えば、非晶質のケイ素(−0.18%/℃〜−0.23%/℃)又はテルル化カドミウム(−0.18%/℃〜−0.25%/℃)をベースとする吸収層を備えた起電性モジュールにおけるよりも、著しく強い。従ってこのような光起電力モジュールでは、本発明に係る冷却装置によって特に良好な結果が得られる。
【0037】
本発明の択一的な好適な態様では、吸収層は、多結晶のケイ素を含有している。このような吸収層を備えた光起電力モジュールも、約−0.32%/℃〜−0.51%/℃の範囲における高い温度係数を有している。本発明に係る冷却装置によって、効率を特に好適に上昇させることができる。
【0038】
単結晶のケイ素をベースとする光起電力モジュールもまた、約−0.32%/℃〜−0.51%/℃の範囲における高い温度係数を有している。本発明に係る冷却装置によって、効率を特に好適に上昇させることができる。
【0039】
温度係数に対する上記の値は、下記の刊行物に記載されている:Volker Quaschning 著、「再生エネルギシステム」(Regenerative Energiesysteme)、Carl Hanser 出版 2009年, 第190頁(ISBN978−3446421516)。
【0040】
吸収層は、好ましくは500nm〜5μmの層厚さ、特に好ましくは1μm〜3μmの層厚さを有している。吸収層は、金属、好ましくはナトリウムをドーピングされていてよい。
【0041】
光起電性の層システムは、背側ガラスの前面に被着されていてよい(基板-配置構成)。択一的に、光起電性の層システムは前側ガラスの背面に被着されてもよい(表板-配置構成)。基板-配置構成及び表板-配置構成は、特に薄膜光起電力モジュールにおいて汎用である。
【0042】
しかしながらまた択一的に、光起電性の層システムは、特に結晶質の吸収層を備えた起電性モジュールにおいて汎用であるように、中間層の第1の膜と第2の膜との間に配置されていてもよい。この場合本発明では、起電性の層システムは、中間層に配置されている。
【0043】
好適な態様では、本発明に係る光起電力モジュールは、基板-配置構成を有している。この場合、光起電性構造体の特に効果的な冷却は、背側ガラスの背面における本発明に係る構造体金属薄板によって達成される。
【0044】
背側電極層は、例えば少なくとも1つの金属、好ましくはモリブデン、チタン、タングステン、ニッケル、チタン、クロム及び/又はタンタルを含有することができる。背側電極層は、好ましくは300nm〜600nmの層厚さを有している。背側電極層は、種々異なった個別層の積層体を有することができる。積層体は、例えば基板から光起電に関して活性の吸収層へのナトリウムの拡散を阻止するために、好ましくは、例えば窒化シリコン製の拡散防止層を有している。
【0045】
前側電極層は、吸収層が敏感であるスペクトル範囲において透明である。前側電極層は、例えばn伝導型の半導体、好ましくは、アルミニウムをドーピングされた酸化亜鉛又はインジウム-酸化亜鉛を有することができる。前側電極層は、好ましくは500nm〜2μmの層厚さを有している。
【0046】
電極層は、また銀、金、銅、ニッケル、クロム、タングステン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、窒化ケイ素及び/又はこれらの組合せ並びに混合物を含有することができる。
【0047】
光起電性の層システムは、縁部における固定エレメントによる湿気の侵入又は陰影形成を防止するために、光起電力モジュールの外縁部に対して、好ましくは5mm〜20mm、特に好ましくは10mm〜15mmの周囲間隔を有している。
【0048】
前側ガラスの背面は、少なくとも1つの中間層を介して背側ガラスの前面に結合されている。前側ガラスと背側ガラスとの間における結合は、光起電性の層システムにわたって全面的に行われる。中間層は、好ましくは、ポリビニルブチラール(PVB)及び/又はエチレンビニルアセテート(EVA)又はこれらの複数の層のような熱可塑性プラスチックであって、好ましくは0.3mm〜0.9mmの厚さを有する熱可塑性プラスチックを含んでいる。中間層はまた、ポリウレタン(PU)、ポリプロピレン(PP)、ポリアクリレート、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート樹脂、注型用樹脂、アクリレート、フッ化エチレンプロピレン、ポリビニルフルオライド、エチレン-テトラフルオロエチレン、コポリマ及び/又はこれらの混合物を含有することができる。
【0049】
前側電極層と背側電極層とは、自体公知のエレメントによって、例えばバスバー(Sammelleitung)及びシート導体(Folienleiter)を用いて、電気的に接触接続されている。シート導体は例えば、中間層の領域で側部において、又は構造体金属薄板の接触面の領域において背側ガラスにおける少なくとも1つの孔を通して、光起電力モジュールから外に案内されていてよい。
【0050】
前側ガラス及び/又は背側ガラスは、自体公知の被覆層、例えば反射防止層、固着防止層、傷防止層及び/又は拡散防止層を有することができる。光起電力モジュールは、固定手段、フレーム及び/又は金具のような自体公知の他のエレメントを有することができる。
【0051】
本発明に係る光起電力モジュールは、好ましくは、装置の内部において運転される。光起電力モジュールを冷却するための本発明に係る装置は、以下に記載の特徴、すなわち、
少なくとも1つの本発明に係る光起電力モジュールと、
光起電力モジュールの構造体金属薄板の冷却剤入口に接続された冷却剤供給路と、
光起電力モジュールの構造体金属薄板の冷却剤出口に接続された冷却剤戻し路と、
少なくとも1つの冷却剤入口及び少なくとも1つの冷却剤出口を備えた冷却剤冷却装置であって、該冷却剤冷却装置の冷却剤入口は冷却剤戻し路に接続され、かつ冷却剤冷却装置の冷却剤出口は冷却剤供給路に接続されている、冷却剤冷却装置と、
構造体金属薄板の通路内、冷却剤供給路内、冷却剤戻し路内及び冷却剤冷却装置内の液状の冷却剤と、
を少なくとも有している。
【0052】
構造体金属薄板における通路と背側ガラスの背面とによって形成された管路、冷却剤供給路、冷却剤冷却装置及び冷却剤戻し路は、閉じられた冷却剤回路を形成している。光起電力モジュールの領域において加熱された冷却剤は、冷却剤戻し路を介して冷却剤冷却装置に供給され、この冷却剤冷却装置において冷却剤は熱を放出し、この際に低い温度に冷却される。冷却された冷却剤は、冷却剤供給路を介して、再び構造体金属薄板の通路内に導入される。冷却剤冷却装置によって、光起電力モジュールに対して特に効果的な冷却作用が得られる。
【0053】
冷却剤供給路及び冷却剤戻し路は、例えば管及び/又はホース管路として構成されていてよい。構造体金属薄板の通路と冷却剤供給路もしくは冷却剤戻し路との間における接続は、例えば接続管のような接続部材を介して行うことができ、この接続部材は、シール作用をもって構造体金属薄板に接着、ねじ結合、溶接又はろう接される。通路と冷却剤供給路もしくは冷却剤戻し路との間における接続部をシールするために、適宜なシール手段を使用することも可能である。
【0054】
好適な態様では、光起電力モジュールを冷却するための当該装置は、さらにポンプを有していて、該ポンプは、冷却剤を、閉じられた冷却剤回路を通して圧送するのに適している。冷却剤回路における冷却剤の循環は、ポンプを用いて活性化され、これによって特に効果的な冷却作用が得られる。しかしながらまた択一的に、冷却剤の循環は、冷却剤供給路、冷却剤戻し路、冷却剤冷却装置及び光起電力モジュールが適宜に位置決めされている場合には、加熱された冷却剤によって惹起される対流によっても達成することができる。
【0055】
冷却剤冷却装置は、好適な態様では、空冷式冷却装置として構成されている。このような構成は、装置を僅かな所要スペースで簡単かつ安価に製造できること及び装置の保守に掛かる手間が僅かであることに関して、特に有利である。この場合冷却剤冷却装置は、好ましくは、冷却剤供給路と冷却剤戻し路との間を延びる少なくとも1つの管を有している。この管は、好ましくは、高い熱伝導率を有していて、例えば少なくとも銅、アルミニウム、鋼又はその他の適宜な材料を含有している。管は、直線的に延びていても、又は例えばループ状又は蛇行状に冷却剤戻し路から冷却剤供給路に向かって延びていてもよい。また複数の管が、冷却剤供給路及び冷却剤戻し路に並列に接続されているような構成も可能である。
【0056】
しかしながらまた冷却剤冷却装置を、二次冷却回路を備えた熱交換器によって実現することも可能である。
【0057】
好適な態様では、複数の光起電力モジュール、例えば2〜40の光起電力モジュールが、冷却剤供給路及び冷却剤戻し路に接続されている。この場合複数の光起電力モジュールの冷却は、同じ冷却剤回路によって達成される。特に好適な冷却は、複数の光起電力モジュールが冷却剤供給路及び冷却剤戻し路に並列に接続されている態様によって得られる。しかしながらまた原則的には、複数の光起電力モジュールが冷却剤供給路及び冷却剤戻し路に直列に接続されている構成も可能である。
【0058】
冷却剤回路は、当業者にとって適宜であると思われる別のエレメント、例えば遮断コック、弁、例えば空気抜き弁、又は冷却剤の充填及び交換のための閉鎖可能な開口のようなエレメントを有していてよい。
【0059】
本発明の課題は、さらに本発明に係る光起電力モジュールを製造する方法によっても解決され、この方法は、
(a)冷却剤入口と冷却剤出口との間において延びる少なくとも1つの通路を、構造体金属薄板内に形成するステップと、
(b)構造体金属薄板を、通路によって互いに隔てられている少なくとも2つの接触面を介して、背側ガラスの背面に結合するステップと、
(c)通路を少なくとも部分的に液状の冷却剤によって満たすステップと、
を少なくとも有する。
【0060】
通路は、好ましくは、出発状態において平らな構造体金属薄板における変形、例えば深絞り又はスタンピングによって、形成される。
【0061】
互いに上下に配置された背側ガラス、起電性の層システム及び前側ガラスから成る積層された複合体を準備するために、起電性の層システムは、背側ガラスの前面又は前側ガラスの背面に被着されるか又は中間層に挿入される。その後で背側ガラスの前面は、中間層を介して前側ガラスの背面に、熱、真空及び/又は圧力の作用下で、例えばオートクレーブ法、真空ザック法、真空リング法、カレンダ法、真空ラミネータ又はこれらの組合せによって結合される。
【0062】
起電性モジュールが薄膜光起電力モジュールである場合には、起電性の層システムの個々の層は、好ましくは陰極スパッタリング、蒸着又は化学気相成長(chemical vapor deposition, CVD)によって被着される。中間層内への光起電性の層システムの挿入は、中間層の第1の層と第2の層との間における光起電性の層システムの配置を含む。
【0063】
互いに上下に配置された背側ガラス、起電性の層システム及び前側ガラスから成る積層された複合体の準備と、構造体金属薄板内への通路の挿入は、任意の時系列で行うことができる。構造体金属薄板と背側ガラスとの結合は、時間的に、互いに上下に配置された背側ガラス、光起電性の層システム及び前側ガラスから成る積層された複合体の準備後に行われる。
【0064】
構造体金属薄板と背側ガラスとの結合は、好ましくは接着によって行われる。
【0065】
電気的な接触接続のために背側電極層及び/又は前側電極層は、好ましくは、光起電性の層システムの被着後でかつ前側ガラス及び背側ガラスの結合前に、例えばシート導体と導電接続される。この導電接続は、例えば溶接、ボンディング、ろう接、クランプ又は、導電性の接着剤を用いた接着によって行われる。
【0066】
シート導体と背側電極層及び/又は前側電極層との接続は、バスバーを介して行うこともできる。
【0067】
方法は、自体公知の別のステップ、例えば、層システムの層を個々の層又は個々のグループに切ることによる、光起電に関して活性の個々の領域(いわゆる太陽電池)への光起電性の層システムの分割、又は被覆層を有しない縁部領域の形成といった、自体公知の別のステップを有することができる。
【0068】
好適な態様では、時間的に、方法ステップ(b)と方法ステップ(c)との間において、冷却剤供給路を構造体金属薄板の冷却剤入口に接続し、冷却剤戻し路を構造体金属薄板の冷却剤出口に接続する。さらに冷却剤供給路を、冷却剤冷却装置の冷却剤出口に接続し、かつ冷却剤戻し路を、冷却剤冷却装置の冷却剤入口に接続する。その後で、通路、冷却剤供給路、冷却剤戻し路及び冷却剤冷却装置を、例えば閉鎖可能な開口を介して、液状の冷却剤によって少なくとも部分的に満たす。
【0069】
本発明の別の観点は、水上、陸上又は空中における移動のための車両又は建築物の屋根、又は建築物のファサード又は屋外における、冷却装置を備えた本発明に係る光起電力モジュールの使用に関する。
【0070】
本発明はさらに、光起電性の層システムを好ましくは20℃〜50℃の温度に冷却するための、光起電力モジュールの背側ガラスの背面における、本発明に係る構造体金属薄板の使用に関する。
【0071】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳説する。図面は概略図であり、忠実な寸法を表すものではない。また本発明は図示の実施の形態に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【
図1】冷却装置を備えた本発明に係る光起電力モジュールの、光入射側とは反対の側を示す平面図である。
【
図2】
図1に示した光起電力モジュールを
図1のA−A′線に沿って断面して示す断面図である。
【
図2a】
図2の破線で囲った領域Zを示す拡大図である。
【
図3】
図1に示した光起電力モジュールを
図1のB−B′線に沿って断面して示す断面図である。
【
図4】光起電力モジュールを冷却する本発明に係る装置を概略的に示す図である。
【
図5】本発明に係る方法の1実施形態を示すフローチャートである。
【0073】
図1、
図2、
図2a及び
図3には、本発明に係る、冷却装置を備えた光起電力モジュール100がそれぞれ詳細に示されている。光起電力モジュール100は、前面I及び背面IIを備えた前側ガラス1と、前面III及び背面IVを備えた背側ガラス2とを有している。前側ガラス1の前面Iは、光入射側に向けられている。背側ガラス2の前面IIIには、光起電性の層システム3が被着されている。背面IIと前面IIIとは大面積で、光起電性の層システム3を介して中間層4を用いて互いに結合されている。前側ガラス1と背側ガラス2と光起電性の層システム3と中間層4とは、多層の複合体101を形成している。前側ガラス1は、太陽光のために透明であり、僅かな鉄を含有する硬化されたエクストラホワイトガラスから成っている。背側ガラス2は、ソーダ石灰ガラスから成っている。前側ガラス1及び背側ガラス2は、2.85mmの厚さを有している。光起電力モジュール100は、1.6m×0.7mの大きさを有している。中間層4は、ポリビニルブチラール(PVB)を含有し、0.76mmの層厚さを有している。
【0074】
光起電力モジュール100は、基板配置構成(Substrat-Konfiguration)のCIS薄膜光起電力モジュールである。光起電性の層システム3は、背側ガラス2の前面IIIに配置された背側電極層10を有していて、この背側電極層10はモリブデンを含有し、約300nmの層厚さを有している。光起電性の層システム3はさらに、光起電に関して活性の吸収層11を有しており、この吸収層11は、ナトリウムをドーピングされたCu(InGa)(SSe)
2を含有し、約2μmの層厚さを有している。光起電性の層システム3はさらに、前側電極層12を有しており、この前側電極層12は、アルミニウムをドーピングされた酸化スズ(AZO)を含有し、約1μmの層厚さを有している。前側電極層12と吸収層11との間には、緩衝層13が配置されており、この緩衝層13は、単層の硫化カドミウム(CdS)と単層の真性(intrinsisch)の酸化亜鉛(i-ZnO)とを有している。緩衝層13は、吸収層11と前側電極層12との間における電気的な適合を生ぜしめる。光起電性の層システム3は、薄膜光起電力モジュールを製造する自体公知の方法によって、光起電に関して活性の個々の領域に、つまり太陽電池に分割され、これらの太陽電池は、背側電極層10の領域を介して互いに直列接続されている。光起電性の層システム3は、背側ガラス2の縁部領域において15mmの幅で機械式に研磨によって層を除去されている。前側電極層12と背側電極層10とは、図示されていないフィルム導体を介して、自体公知の形式で電気的に接触接続されている。
【0075】
背側ガラス2の背面IVには、構造体金属薄板5が配置されている。この構造体金属薄板5は、鋼から成っていて、0.8mmの厚さを有している。構造体金属薄板5には深絞りによって通路6が形成されている。構造体金属薄板5の、互いに反対側に位置する2つの側縁には、通路6によって冷却剤入口19と冷却剤出口20とが形成されている。通路6は、互いに平行に配置された真っ直ぐな部分を有しており、互いに隣接した真っ直ぐな部分は、ループ状の部分によって互いに接続されている。通路6の幅bは、図面を見易くするために極めて大きく示されている。実際の構成において、通路6は例えば20mmの幅bを有していて、相応に明らかに多数の蛇行状の曲折部を有している。通路6の互いに隣接した真っ直ぐな部分は、例えば互いに20mmの間隔を有している。
【0076】
構造体金属薄板5の、背側ガラス2に向いた表面には、2つの接触面7,7′が形成されており、両接触面7,7′は通路6によって互いに隔てられている。接触面7,7′は1つの平らな平面に配置されている。構造体金属薄板5は、接触面7,7′を介して背側ガラス2の背面IVと接着剤18を用いて結合されている。通路6と背面IVとによって冷却剤管路Lが形成されており、この冷却剤管路Lは、図面には示されていない冷却剤によって満たされている。ポリウレタン接着剤である接着剤18によって、持続的に安定しかつ冷却剤に対して密な結合部が、構造体金属薄板5と背側ガラス2との間に形成される。冷却剤入口19と冷却剤出口20とは、管路Lの開口を提供しており、これらの開口は、冷却剤供給路と冷却剤戻し路とを接続するために冷却回路内に設けられている。
【0077】
通路6はその広がり方向に対して垂直な横断面で見て、台形の形状を有している。側縁の領域においてだけ横断面は丸く形成されており、これによって、冷却剤供給路もしくは冷却剤戻し路とのより簡単な結合が可能になる。通路6は5mmの深さtを有している。
【0078】
構造体金属薄板5の、背側ガラス2とは反対側の表面の縁部領域には、固定エレメント8が溶接されている。これらの固定エレメント8は、鋼から成っていて、L字形の形状を有しており、この場合各固定エレメント8の1つの領域が、光起電力モジュール100の側縁を越えて突出している。固定エレメント8の突出している領域を介して、光起電力モジュール100はフレームに、例えば支持レールへの押込み又はねじ結合によって固定することができる。
【0079】
本発明に係る構造体金属薄板5によって、簡単かつ安価に製造可能でかつスペースを節減する、液体冷却剤のための管路Lが提供される。光起電力モジュール100の冷却によって、光起電性の層システム3の温度は、運転時に、約20℃〜50℃の範囲に保つことができる。これによって放射エネルギから電気エネルギへの変換効率が、大幅に高められる。このような冷却は、特にCIS薄膜光起電力モジュールにおいてその高い温度係数に基づいて特に有利である。構造体金属薄板5によって形成された管路の側部における開口は、光起電力モジュール100の側縁の領域における冷却剤供給路及び冷却剤戻し路の接続を可能にする。このような側部における接続は、構造体金属薄板5の背面を介して行われる接続に比べて、使用箇所において明らかにスペースを節減することができる。なぜならば、光起電力モジュール100を例えば建物の屋根である下地に対して僅かな間隔をもって配置することができるからである。さらに構造体金属薄板5によって、光起電力モジュール100を補強及び補剛することができ、このことは、前側ガラス1及び背側ガラス2の僅かな厚さに基づいて有利である。追加的な補強エレメントは不要である。さらに構造体金属薄板5は、固定エレメント8によって、光起電力モジュール100を使用箇所に固定するための接合部である。このことは、本発明の大きな利点である。
【0080】
図4には、光起電力モジュールを冷却するための本発明に係る配置形態が略示されている。この配置形態は、例として、本発明に係る3つの光起電力モジュール100を有している。各光起電力モジュール100の構造体金属薄板5の通路6は、冷却剤入口19を介して冷却剤供給路14に接続されている。各光起電力モジュール100の構造体金属薄板5の通路6は、冷却剤出口20を介して冷却剤戻し路15に接続されている。光起電力モジュール100は、互いに並列に冷却剤供給路14及び冷却剤戻し路15に接続されているので、冷却剤は冷却剤供給路14と冷却剤戻し路15との間においてそれぞれ1つの光起電力モジュール100だけを通過する。冷却剤供給路14及び冷却剤戻し路15は、鋼製の管として形成されている。通路6と冷却剤入口19もしくは冷却剤出口20との間における接続は、それぞれ接続部材9を介して行われる。各接続部材9は、2つの短い金属管と、両金属管の間に配置されていて該金属管にクランプ結合されているホースを有している。一方の金属管は、冷却剤入口19(もしくは冷却剤出口20)の領域において構造体金属薄板5に溶接されていて、他方の金属管は、冷却剤供給路14(もしくは冷却剤戻し路15)に、例えばねじ山を用いた螺合によって結合されている。この配置形態はさらに、冷却剤供給路14の2つの部分の間に配置されたポンプ16を有している。
【0081】
冷却剤供給路14と冷却剤戻し路15とは、光起電力モジュール100とは反対の側において冷却剤冷却装置17を介して互いに接続されている。この冷却剤冷却装置17は、空冷装置であり、鋼製の4つの管23を有しており、これらの管23は、互いに平行に冷却剤供給路14と冷却剤戻し路15との間において延びている。冷却剤冷却装置17の各管23は、冷却剤入口21と冷却剤出口22とを有している。この場合冷却剤入口21は冷却剤戻し路15に、かつ冷却剤出口22は冷却剤供給路14に、例えばねじ山を用いた螺合によって結合されている。
【0082】
構造体金属薄板5の通路6と背側ガラス2とによって形成された管路L、ポンプ16を備えた冷却剤供給路14、冷却剤戻し路15、接続部材9及び冷却剤冷却装置17は、1つの閉じられた冷却剤回路を形成している。この冷却剤回路は、例えば冷却剤としての水によって満たされている。冷却剤は、ポンプ16によって冷却剤回路を通して圧送される。光起電力モジュール100の領域において冷却剤は、光起電力モジュール100から熱を吸収し、これによって光起電性の層システム3の温度を低下させる。加熱された冷却剤は、熱を冷却剤冷却装置17によって周囲空気へと放出する。これによって光起電性の層システム3の温度は、持続的に20℃〜50℃の範囲に保つことができる。
【0083】
図5には、冷却装置を備えた光起電力モジュールを製造する、本発明に係る方法の1例が示されている。
【0084】
当業者にとって予期しない驚くべきことであったが、本発明に係る構造体金属薄板によって、スペースを節減して簡単かつ安価に、光起電力モジュールの光起電性の層システムの効果的な冷却を達成することができる。さらに当業者にとって予期しない驚くべきことであったが、本発明に係る構造体金属薄板によって同時に、光起電力モジュールの補強及び補剛並びに光起電力モジュールを固定するための接合部を得ることができる。