特許第5992601号(P5992601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローディア オペレーションズの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992601
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】次亜リン酸塩の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 25/165 20060101AFI20160901BHJP
   B01J 31/02 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   C01B25/165
   B01J31/02 102M
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-503725(P2015-503725)
(86)(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公表番号】特表2015-515439(P2015-515439A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】CN2012073582
(87)【国際公開番号】WO2013149396
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】メティビアー, パスカル
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジュインリー
(72)【発明者】
【氏名】ムー, アン
【審査官】 佐藤 哲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−037601(JP,A)
【文献】 米国特許第04450147(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0082995(US,A1)
【文献】 米国特許第05225052(US,A)
【文献】 特開昭58−185412(JP,A)
【文献】 米国特許第03888971(US,A)
【文献】 特表2004−503455(JP,A)
【文献】 米国特許第06238637(US,B1)
【文献】 特表2013−508249(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0208942(US,A1)
【文献】 特開平04−342405(JP,A)
【文献】 特開平01−313310(JP,A)
【文献】 特表2007−537341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 25/00 − 25/46
B01J 21/00 − 38/74
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
を、[COH]として定義される、水酸化物塩、または水酸化物塩前駆体;および触媒と反応させることによる[Cハイポホスファイト]として定義される次亜リン酸塩の製造方法であって、Cが[Cハイポホスファイト]塩のカチオン部分であり、前記触媒が第四級アンモニウム塩またはホスホニウム塩である、方法。
【請求項2】
前記方法が、次亜リン酸塩および亜リン酸塩を1.5を上回る次亜リン酸塩/亜リン酸塩のモル比で生成することを可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記触媒が、式(I):
【化1】

(式中:
− R、R、RおよびRは互いに独立して、有機炭化水素基を表し、
− Xは、有機または無機アニオンである)
の第四級アンモニウム塩である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
、R、RおよびRが互いに独立して、1〜18個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を表す、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
Xが、OH、ハロゲン原子、サルフェート、カーボネートまたはアルキレートであってもよい、有機もしくは無機アニオンである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物が、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化セトリモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、および水酸化テトラプロピルアンモニウムからなる群中で選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
触媒のモル割合が、Pのモルに対して、0.1〜40%で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第四級アンモニウム塩のモル割合が、Pのモルに対して、10〜40%で構成される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項9】
が、無機元素を表す[Cハイポホスファイト]塩のカチオン部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
モル比[COH]/Pが、0.5〜4で構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記次亜リン酸塩が、以下に定義されるような式(II):
[H−P(=O)−On+ (II)
(式中:
nは1〜5で構成され;
Cは、カチオンである)
の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
反応が、50〜150℃を含む温度で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記反応のpHが7を上回る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
a)出発次亜リン酸塩を、4〜11を含む調整された値のpH下に、少なくとも1回洗浄する工程であって、前記次亜リン酸塩が水溶液におよび/または固体状態にある工程であり;かつ最終的に前記次亜リン酸塩を、水と混和性の有機溶剤で少なくとも1回洗浄する工程と;
b)工程(a)の洗浄操作後に得られる次亜リン酸塩を減圧下に乾燥させて揮発性物質を除去する工程と
を含む、請求項1〜13のいずれか一項に従って得られた次亜リン酸塩の安定化方法。
【請求項15】
が、金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属第四級アンモニウム塩および第四級ホスホニウム塩からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項16】
[COH]および触媒が、請求項3に記載の式(I)の第四アンモニウム塩である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともP4および触媒を使用する次亜リン酸塩の製造方法に関する。使用することができる塩基は好ましくは、本発明の触媒としてもまた使用することができる水酸化物塩または水酸化物塩前駆体である。
【背景技術】
【0002】
次亜リン酸塩および、とりわけ、次亜リン酸カルシウムは、米国特許第5,225,052号明細書で教示されているように水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムおよび水とアルカリ性条件下で反応させられる白リン(P)からたとえば製造することができる。次亜リン酸と、中国特許第101332982号明細書によって教示されているようにカルシウム塩との反応によってまたは簡単に石灰とから次亜リン酸カルシウムを得ることもまた可能である。たとえば石灰懸濁液は、次亜リン酸で簡単に中和され、不純物は濾過によって除去され、生成物は、以前に記載されたのと同じ方法で単離される。次亜リン酸カルシウムを、イオン交換法によって他の金属次亜リン酸塩または酸から得ることもまた可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1実施形態では本発明は、少なくともP4および触媒を使用する次亜リン酸塩の製造方法に関する。本発明は次に、P4を、[COH]として定義される水酸化物塩、または水酸化物塩前駆体;および触媒と反応させることによる[Cハイポホスファイト]として定義される次亜リン酸塩の製造方法であって、Cが[Cハイポホスファイト]塩のカチオン部分である方法に関する。
【0004】
本発明の反応は、次の通り規定されてもよい:
[COH]+P4→[Cハイポホスファイト
【0005】
本方法はその結果、次亜リン酸塩を、しかしまた副生成物としてリン酸塩を生成することを可能にする。本発明によるかかる方法は、1.5を上回る;好ましくは1.6以上、より好ましくは1.7以上、とりわけ2.0以上の次亜リン酸塩/亜リン酸塩のモル比を得ることを可能にし;その反応の選択性を増加させることを可能にする。
【0006】
本発明はまた、本発明の方法によって得られやすい次亜リン酸塩とリン酸塩とのブレンドに関する。
【0007】
包括的定義によれば、塩は、酸と塩基との中和反応から生じるイオン性化合物である。正電荷を持つイオンであるカチオンと、負イオンであるアニオンとからなり;その結果生成物は電気的に中性である。
【0008】
は、6つのP−P単結合からなる、「白リン」とも呼ばれる、四リンである。
【0009】
本発明で定義されるような触媒は、他の試薬に反して、反応それ自体によって消費されずに本発明の反応の速度を変化させる物質である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、触媒は好ましくは第四級アンモニウム塩またはホスホニウム塩である。
【0011】
より好ましくは、本発明の第四級アンモニウム塩触媒は、式(I)
(式中:
− R、R、RおよびRは互いに独立して、有機炭化水素基を表し、
− Xは、有機または無機アニオンである)
の第四級アンモニウム塩である。
【0012】
、R、RおよびRは互いに独立して好ましくは、1〜18個の炭素原子を有する、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基を表す。R、R、RおよびRは互いに独立してまた、6〜18個の炭素原子を有する、より好ましくは6〜10個の炭素原子を有するアリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基を表すこともできる。前記有機炭化水素基は、分岐または非分岐、飽和または不飽和であってもよい。前記基はとりわけ、脂肪族または芳香族基であり得る。
【0013】
好ましい実施形態では、R、R、RおよびRは互いに独立して好ましくは、メチル、エチル、プロピル、およびブチルなどの、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
【0014】
前に定義されたように、Xは、OH、ハロゲン原子、サルフェート、カーボネートまたはアルキレートであってもよい、有機もしくは無機アニオンである。ハロゲン原子は、たとえばF、Cl、BrまたはIであってもよい。アルキレートアニオンは、たとえばアセテートであってもよい。Xは好ましくは、OHまたはClもしくはBrなどのハロゲンである。
【0015】
式(I)の化合物は好ましくは、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化セトリモニウム、塩化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、および水酸化テトラプロピルアンモニウムからなる群中で選択される。
【0016】
触媒の好ましいモル割合は、P4のモルに対して、0.1〜40%で構成されてもよい。触媒の好ましいモル割合は、[COH]のモルに対して、0.1〜40%で構成されてもよい。第四級アンモニウム塩の好ましいモル割合は、P4に対して、10〜40%で構成される。
【0017】
は、[Cハイポホスファイト]塩のカチオン部分であり;それは、金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属などの無機元素または第四級アンモニウム塩もしくは第四級ホスホニウム塩を表してもよい。Cは好ましくは、CaもしくはMgなどのアルカリ土類金属、またはLi、NaもしくはKなどのアルカリ金属、第四級アンモニウム塩もしくは第四級ホスホニウム塩である。
【0018】
以前に定義されたように、[COH]の水酸化物塩前駆体が本発明の方法に使用されてもよい。かかる水酸化物塩前駆体は、水の存在下で、水酸化カルシウムを得ることを可能にする酸化カルシウムなどの、たとえば酸化物前駆体であり得る。
【0019】
[COH]は、たとえば式(I)の触媒としての第四級アンモニウム塩などの、本反応に使用される触媒であってもよいことが指摘されなければならない。
【0020】
好ましいモル比[COH]/P4は、0.5〜4、より好ましくは1.0〜2.0で構成される。
【0021】
本発明による組成物中に存在する次亜リン酸塩は好ましくは、以下に定義されるような式(II):
[H−P(=O)−On+ (II)
(式中:
nは1〜5、より好ましくは1、2または3で構成され;
Cは、カチオン、好ましくはCaもしくはMgなどのアルカリ土類金属、またはLi、NaもしくはKなどのアルカリ金属、第四級アンモニウム塩もしくは第四級ホスホニウム塩である)
の化合物である。
【0022】
次亜リン酸塩はより好ましくは、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸テトラブチルアンモニウム、次亜リン酸テトラメチルアンモニウム、次亜リン酸テトラメチルアンモニウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸アルミニウム、次亜リン酸ランタン、および次亜リン酸セシウムからなる群中で選択される。
【0023】
本発明の反応は、50〜150℃、好ましくは80〜120℃を含む温度で起こり得る。この反応中の圧力は、たとえば0.5〜1.5バールであってもよい。
【0024】
本発明の方法は、溶媒なしかまたはありで実施されてもよい。好ましい溶媒は、水またはアルコールなどの極性溶媒である。
【0025】
反応のpHは一般にアルカリ性であり、すなわち7を上回り;とりわけ7.1〜14を含む。
【0026】
次亜リン酸塩の品質は、ARC(Adiabatic Reaction Calorimeter(断熱反応熱量計))およびTGA(Thermal Gravimetric Analysis(熱重量分析))などの熱分析ツールを用いて残存不純物を検出することによって測定されてもよい。
【0027】
反応の終わりに、たとえば濾過、遠心分離、抽出、結晶化、蒸留または分別などの、精製方法のいくつかの方法によってある不純物または副生成物を除去することは完全に可能である。リン酸塩を濾過、次に結晶化によって除去することはとりわけ可能である。
【0028】
本発明の反応は、連続的、半連続的または非連続的方法で実施されてもよい。前記反応は、例として攪拌反応器、冷却器付きの攪拌反応器、管型反応器、またはプラグフロー反応器で行われてもよい。
【0029】
[COH]として定義される、塩基水酸化物塩の添加はバッチまたは連続的であり得ることが指摘されなければならない。
【0030】
本発明で製造されるような次亜リン酸塩は、とりわけプラスチックの分野での使用のために、さらに安定化させられてもよい。前記次亜リン酸塩の安定化方法は、
a)出発次亜リン酸塩を、4〜11、好ましくは5〜8を含む調整された値のpH下に、少なくとも1回、好ましくは2もしくは3回洗浄する工程であって、前記次亜リン酸塩が水溶液におよび/または固体状態にある工程であり;かつ最終的に次亜リン酸塩を、水と混和性の有機溶剤で少なくとも1回洗浄する工程と;
b)工程(a)の洗浄操作後に得られるような次亜リン酸塩を減圧下に乾燥させて揮発性物質を除去する工程と
を含んでもよい。
【0031】
第1の可能は実施形態によれば、工程a)に使用される出発次亜リン酸塩は、水溶液の形態にあり得るし、反応器に装入され、鉱酸もしくは有機酸と混合されて、そのpHが、4〜6.5、好ましくは5〜6の値に設定されるスラリーを得ることができる。これに関連して使用される酸は好ましくは、次亜リン酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、塩酸および硫酸からなる群から選択され、より好ましくは、この酸は次亜リン酸である。
【0032】
別の実施形態によれば、工程a)の出発次亜リン酸塩は、あるいは水溶液の形態にあってもよく、反応器に装入され、無機塩基または有機塩基と混合されて、そのpHが、7.5〜11、好ましくは8〜10の値に設定されるスラリーを得てもよい。その場合に塩基は好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択され、さらにより好ましくは、塩基は、水酸化カルシウムおよび/または酸化カルシウムである。
【0033】
次亜リン酸塩の安定化方法は、バッチ、連続的または半連続的であり得るし、不活性雰囲気下に閉鎖系または開放系で行うことができる。その不活性雰囲気は、たとえば二酸化炭素、アルゴン、または窒素であり得る。次亜リン酸塩の安定化方法は、大気圧下に、圧力下にまたは真空下に行うことができる。
【0034】
本発明に使用される熱安定化次亜リン酸塩の品質のチェック方法は、単独でかまたはプラスチックと混合された、生成物に関して高温で安定性試験を行い、この試験中に発生するホスフィンの量を測定することである。生成物がポリアミドなどのプラスチックと配合されるときに発生するホスフィンの量を測定することもまた可能である。
【0035】
本発明により製造される次亜リン酸塩は、ポリマー組成物中で、好ましくは熱可塑性ポリマー組成物中で難燃剤としてとりわけ使用されてもよい。本発明はその結果また、記載されたような本方法で製造されるような少なくとも次亜リン酸塩を含む熱可塑性組成物にも関する。
【0036】
典型的には、本発明の難燃性ポリマー組成物中に存在するポリマーは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、スチレン・アクリロニトリル(SAN)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)などのポリスチレン、PPOなどのポリフェニレンエーテル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのハロゲン化ポリマー、ならびにこれらのポリマーの混合物およびブレンドに存する群から選択される。ポリアミドは好ましくは、PA66、PA6、PA11、PA12、PA6.10、PPA、PA4.6、PA9T、PA66.6T、PA10T、PA6.6Tなどの高温ポリアミドならびに、PA/PET、PA/ABSまたはPA/PPなどの、ポリアミドのブレンドである。ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)であってもよい。
【0037】
次の実施例は、本発明の実施形態を例示するために含められる。次に続く実施例に開示される技術が本発明の実施に十分に機能するために本発明者によって発見された技術を表すことは、当業者によって十分理解されるべきである。
【実施例】
【0038】
実施例1:触媒としてのBuNOH
等モル割合のP、Ca(OH)およびHOを、異なる使用量のBuNOH(Pのモルとの関係で%モル)を使って反応させる。
【0039】
フラスコに、アルゴンの流れ下に冷却凝縮器および磁気攪拌器を備え付け、アウトガスをガス袋で集めた。アルゴン保護下に、このフラスコに1.52g(0.049モル)のP4および1.93gのHOを装入した。次に4.92g(0.066モル)のCa(OH)および19.12g(0.007モル)のBuNOH(10%水溶液)を加え、生じた混合物を、発生ホスフィンをガス袋で集めながら95℃に4時間加熱した。反応が完了したとき、反応混合物を冷却した。濃HClを使用してすべての固体を溶解させた後、0.4gのHPO(85%)を、P−NMRの内部標準として加えた。P−NMR分析は、この混合物が1.8の比で33.9%の次亜リン酸塩および19.2%のリン酸塩を含有することを示した。
P−NMR(300MHz、DO、デカップリング):δ 11.98(次亜リン酸塩),4.52(亜リン酸塩),−0.414(リン酸塩)
【0040】
フラスコに、アルゴンの流れ下に冷却凝縮器および磁気攪拌器を備え付け、アウトガスをガス袋で集めた。アルゴン保護下に、このフラスコに1.52g(0.049モル)のP4および3.82gのHOを装入した。次に4.31g(0.058モル)のCa(OH)および37.7g(0.015モル)のBuNOH(10%水溶液)を加え、生じた混合物を、発生ホスフィンをガス袋で集めながら95℃に4時間加熱した。反応が完了したとき、反応混合物を冷却した。濃HClを使用してすべての固体を溶解させた後、0.4gのHPO(85%)を、P−NMRの内部標準として加えた。P−NMR分析は、この混合物が2.1の比で38.4%の次亜リン酸塩および18.5%のリン酸塩を含有することを示した。
P−NMR(300MHz,DO、デカップリング):δ 11.98(次亜リン酸塩)、4.52(亜リン酸塩)、−0.414(リン酸塩)
【0041】
結果を表1に示す。
【0042】
【0043】
その結果、反応での触媒の使用が次亜リン酸塩/亜リン酸塩比を増加させることを可能にするように思われる。
【0044】
実施例2:触媒としてのおよび反応剤としてのBuNOH
ある割合のP、BuNOHおよびHOを触媒としてのBuNOHを使って反応させる。
【0045】
フラスコに、アルゴンの流れ下に冷却凝縮器および磁気攪拌器を備え付け、アウトガスをガス袋で集めた。アルゴン保護下に、このフラスコに0.15g(0.005モル)のP4および42.9gのH2Oを装入した。次に1.88g(0.007モル)のBuNOH(10%水溶液)を加え、生じた混合物を、発生ホスフィンをガス袋で集めながら95℃に4時間加熱した。反応が完了したとき、反応混合物を冷却した。濃HClを使用してすべての固体を溶解させた後、0.4gのHPO(85%)を、P−NMRの内部標準として加えた。P−NMR分析は、この混合物が2.3の比で43.5%の次亜リン酸塩および18.9%のリン酸塩を含有することを示した。
P−NMR(300MHz、DO、デカップリング):δ 11.98(次亜リン酸塩),4.52(亜リン酸塩),−0.414(リン酸塩)
【0046】
フラスコに、アルゴンの流れ下に冷却凝縮器および磁気攪拌器を備え付け、アウトガスをガス袋で集めた。アルゴン保護下に、このフラスコに0.66g(0.021モル)のP4および30.4gのH2Oを装入した。次に3.38g(0.013モル)のBuNOH(10%水溶液)を加え、生じた混合物を、発生ホスフィンをガス袋で集めながら95℃に4時間加熱した。反応が完了したとき、反応混合物を冷却した。濃HClを使用してすべての固体を溶解させた後、0.4gのHPO(85%)を、P−NMRの内部標準として加えた。P−NMR分析は、この混合物が2.43の比で22.6%の次亜リン酸塩および9.3%のリン酸塩を含有することを示した。
P−NMR(300MHz、DO、デカップリング):δ 11.98(次亜リン酸塩)、4.52(亜リン酸塩)、−0.414(リン酸塩)
【0047】
フラスコに、アルゴンの流れ下に冷却凝縮器および磁気攪拌器を備え付け、アウトガスをガス袋で集めた。アルゴン保護下に、このフラスコに0.38g(0.012モル)のP4および9.43gのHOを装入した。次に4.9g(0.019モル)のBuNOH(10%水溶液)を加え、生じた混合物を、発生ホスフィンをガス袋で集めながら95℃に4時間加熱した。反応が完了したとき、反応混合物を冷却した。濃HClを使用してすべての固体を溶解させた後、0.4gのHPO(85%)を、P−NMRの内部標準として加えた。P−NMR分析は、この混合物が2.89の比で34.1%の次亜リン酸塩および11.8%のリン酸塩を含有することを示した。
P−NMR(300MHz、DO、デカップリング):δ 11.98(次亜リン酸塩)、4.52(亜リン酸塩)、−0.414(リン酸塩)
【0048】
結果を表2に示す。
【0049】
【0050】
その結果、反応での水酸化物塩および触媒としての化合物の使用が次亜リン酸塩/亜リン酸塩比を増加させることを可能にするように思われる。