(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992617
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】格子ランナーを縁トリムに取り付けるためのクリップ
(51)【国際特許分類】
E04B 9/14 20060101AFI20160901BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
E04B5/55 H
E04B5/52 U
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-520359(P2015-520359)
(86)(22)【出願日】2013年6月24日
(65)【公表番号】特表2015-522110(P2015-522110A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】US2013047286
(87)【国際公開番号】WO2014004363
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年6月10日
(31)【優先権主張番号】13/537,870
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512127109
【氏名又は名称】ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイブラハム・エム・アンダーコフラー
(72)【発明者】
【氏名】マーク・アール・ポールソン
(72)【発明者】
【氏名】ペダー・ジェイ・ガルブランドセン
【審査官】
河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】
特開平5−163794(JP,A)
【文献】
実開昭50−131114(JP,U)
【文献】
特開2003−213836(JP,A)
【文献】
米国特許第5572844(US,A)
【文献】
米国特許第4506856(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第994701(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/14
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り天井の格子ランナーの端部に長尺のトリム帯を設置するためのクリップであって、該クリップが、使用中に、平面視において、2つの交差する脚によって形成される直角構成を有し、前記脚の一方は格子ランナーの端部に横方向に接するよう適用され、前記脚の他方はトリム帯と係合するように適用され、
前記他方の脚は、
トリム帯の上部及び下部の対向するチャネルへの受け入れのための、前記一方の脚からオフセットして一体的に形成された逆方向に延出する上部グリップと下部グリップであって、互いに対して相対的に接近及び離間するよう移動可能なグリップと、
前記他方の脚に形成され、前記グリップを互いから離間するよう移動するトグル構成と、を有し、
前記トグル構成は、前記グリップが、対向するチャネル間を自由に通過可能となる後退位置を自己維持安定的に取ることを可能とし、
前記トグル構成は、前記他方の脚の部分がグリップのひとつの逆の動きに干渉するので、それによって前記グリップを延出位置において選択的に維持するよう手動で中央から強制的に構築及び配置され、延出位置においてグリップは、トリム帯の対向するチャネルに摩擦固定される、
クリップ。
【請求項2】
請求項1に記載のクリップであって、前記トグル構成が、手作業でトグルすることで周囲のクリップ構造との締まり嵌めを実現可能な、枢動可能に支持されるレバーを含む、クリップ。
【請求項3】
請求項1に記載のクリップであって、前記トグル構成がクリップ本体と一体的に形成されることにより、クリップが一体構造を有する、クリップ。
【請求項4】
請求項1に記載のクリップであって、前記トグル構成が、クリップを形成する板金から打ち抜かれたレバーを含み、該レバーが、支点とリビングヒンジとの両方として機能する部分によって本体に支持され、前記グリップの一方を形成する連結タブを有する、クリップ。
【請求項5】
請求項4に記載のクリップであって、前記レバーをロック位置にトグルするための、ネジ回しのマイナス刃を受け入れるスロットを含む、クリップ。
【請求項6】
請求項1に記載のクリップであって、前記一方の脚が、前記他方の脚から遠位にある屈曲可能なタブであって、格子ランナーのウェブに挿入され、その後屈曲されて前記一方の脚を前記格子ランナーに固定するためのタブを含む、クリップ。
【請求項7】
請求項6に記載のクリップであって、前記他方の脚が、前記タブによって前記一方の脚に固定される格子ランナーの終端接続部を受け入れるための垂直スロットを含む、クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吊り天井システムに関し、特に、天井縁トリムを装着するための装備に関する。
【背景技術】
【0002】
吊り天井の島(island)及び下端はしばしば、周縁又は端部において、吊り下げられた格子ランナーの端部及びタイルの端部を隠蔽して所望の視覚効果を得るために、長尺のトリム帯によって仕上げがされる。格子ランナーの端部をトリム帯に接続する目的で、クリップ又はブラケットが考案されてきた。米国特許第4,744,188号
、5,195,289号
、5,201,787号
、及び7,930,864号には、この目的で開発された従来技術のクリップの例が開示されている。最後に挙げた864号特許に示されるクリップは、隠蔽される側に取り付けチャネルを有するトリム帯と接続することを目的とした製品の一例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
トリムを定位置に位置決めするための止めネジを有する、この従来技術のクリップやその他の公知の設計は、該ネジを締めすぎるとトリム帯が不可逆的に変形されてしまうという問題を起こしうる。別の公知のクリップ構成は、独立した金属片を含み、ネジの力を広い面積にわたって分散させてトリムの歪みを最小限に抑える。止めネジを含むタイプのクリップは、独立した部品とその組み付けのために追加のコストを必要とする。特に天井グリッド設置者によって組み付けられる場合、該ネジが斜め締めされ得るおそれがある。さらに、複数の要素を一度に支持および配列しようとし、ネジを締めようとする設置者によってクリップ部品が落下され得る潜在的な問題もある。以上より、必要な部品の数を減らし、止めネジの締め過ぎの可能性を回避する、単純化されたクリップの必要性があることが理解され得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、トリム帯を、吊り天井の格子ランナーの端部に取り付けるための一体構造のクリップを提供する。該クリップは、複数の部品の組み立てに伴うコストと複雑さを回避する。設置者は、1つの要素、つまりクリップ、のみを扱えばよく、該クリップはまず、道具を使うことなく、トリム帯と組み付けられ得る。部品を配列した後、ネジ回しや類似の道具を用いて、簡易なレバー様の操作によって、クリップでトリムを定位置に固定させる。
【0005】
より具体的には、トリムを長さ方向に配置した後、一体的なレバー及びタブを操作して、対応する取り付けチャネルにきつく係合させることにより、クリップを強制的にロック位置に移動する。これは、ネジ回しや類似の道具を用いて、単純かつ素早く行われる。
【0006】
開示されるクリップは、格子ランナーと対応するその脚に、独立した固定器具を用いることなくクリップを格子ランナー端部に固定するためのタブを有する。タブは、格子ランナーのウェブ上に存在する穴へ挿入可能である。クリップの脚が格子ランナーに対して横に配置されているとき、タブを手動で屈曲して、クリップを格子ランナーに固定可能である。
【0007】
開示されるクリップは、独立したクリップ部品及び固定器具の必要性を排除することにより、格子ランナーへのトリムの素早い組み付けを容易にする。さらに、このクリップの取り付けにおいて、高品質の適合と仕上がりを得るために必要とされる器用さや技術は最小限で済む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明によって解釈されるクリップの斜視図である。
【
図5】トリム帯への組付けの第一段階におけるクリップの側面図である。
【
図6】第二段階完了後の、クリップとトリム帯との組付けを示すクリップの側面図 である。
【
図6A】レバー及び対応する脚の上部に位置する開口の領域の拡大断面図である。
【
図7】格子ランナーとトリム帯に組み付けられたクリップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するクリップ10は、垂直の脚11、12を有する直角のブラケットの概形を有する。クリップ10は
図4以外において、使用時における直立した向きで図示される。好ましくは、クリップ10は板金、例えば厚さ0.048インチの溶融亜鉛めっき鋼板、の一体型の剛直な打抜板である。一方の脚11は格子ランナー13と連結されるよう適合されている。脚11は概して平板であり、任意のネジ又はリベットを受け入れるための、平行方向に離間した一対の穴16を備える。脚11の遠位端には、平行折り曲げ線18から平行方向に延出する、相対的に幅狭のタブ17が形成されている。穴19は
平行折り曲げ線18を中断し、クリップ10の設置に際してタブ17の手作業による折り曲げを容易にする。
【0010】
脚11、12は垂直の角21において合流する。脚12は、島形天井の周縁、または下端において横方向に離間した平行の格子ランナー13とシーリングタイルの端部を隠蔽する周知の構造の長尺のトリム帯20を接続するよう適合されている。脚12は、補強要素として機能する垂直エンボス26、27によって中断される平板部23を備える主領域22を有する。スロット28、29とスリット31は、中央レバー32を形成及び包囲する。その反対側において、
中央レバー32は、後述の通り、支点及びリビングヒンジの組み合わせとして機能する領域又はウェブ33によって主領域22の他の部品に接続されている。
【0011】
中央レバー32の下端は前方向にオフセットされ、主領域22の前方に
レバー(ぶら下がり
)タブ34を形成する。脚12の上端に沿って、主領域22の前方、かつレバータブ34と同一平面上に直立タブ36が形成される。脚12には、角21に隣接して垂直スロット37が形成される。
【0012】
図示されるトリム帯20は公知であり、天井の設計者によって選択される様々な断面形状のうちの代表的なものである。トリム帯20はアルミ押出材であり、典型的には長さが10フィートであり、背面38に、使用時には隠蔽される、長さ方向に延びて互いに対向する一対のチャネル39、41が設けられている。
【0013】
図示される格子ランナー13はクロスランナーであり、従来通りの逆T字型の断面形状を有し、一般的に格子ティー(grid tee)と呼ばれる。その他の断面構成を有する格子ランナーも、クリップ10と共に用いることができる。図示される格子ランナー13は、上方強化バルブ46と、該バルブからぶら下がる垂直ウェブ47と、該ウェブの下部の水平フランジ48を有する。格子ランナー13は、通常は主ランナーの共有スロット内で、他のクロスランナーの同一の接続部と結合するために一般的に用いられる公知の構造の端部接続部49を含む。図示されるクロスランナーは、接続部49の後部に、インデックス穴51を含む。クロスランナーは通常、2フィート又は4フィート、もしくは業界における同等の寸法基準、の中心材において平行な整列状態で離間する。クリップ10は各クロスランナー
の端部に装着され、集合的にトリム帯20を支持する。最も単純な場合、クリップ10は、その端部接続部49を垂直スロット37に、またタブ17をインデックス穴51に挿入し、脚11を格子ランナー
13のウェブ47の側部に接触させることで格子ランナー13に装着される。クリップ10は、
図7に示すようにタブ17を上向きに屈曲させることで格子ランナー13上の位置に固定される。脚11の垂直方向高さは、格子ランナー
13の
上方強化バルブ46の下部と格子ランナー
13の
水平フランジ48の上部との間にぴったり嵌合し、クリップが格子ランナー13に対して正確に位置決め又はインデックスされるように設定される。
【0014】
トリム帯20は、2段階のプロセスでクリップ10に装着されることができる。トリム帯20はまず、上方装着チャネル39を、
直立タブ(上方クリップタブ又はグリップ
)36まで引き下げることで、クリップ10に引っ掛けられる。この最初の工程の間、中央レバー32は
図5に示す位置にあり、上端53は脚12の主領域22の後側に移動される。
レバータブ(ぶら下がりタブ又はグリップ
)34によって代表される
中央レバー32の下端は、
直立タブ(上方タブ
)36と同一の垂直平面上となる最終位置から前方及び上方にあり、かつ、上方タブから垂直方向に最も遠い。クリップ10は、
中央レバー32が
図5に示す変位位置にある状態で製造者から提供され得る。
【0015】
直立タブ(上方タブ
)36が上方トリム帯チャネル39に位置している状態で、
中央レバー32は、領域33の上方でレバーの中央が押圧されるよう、上端53がスリット31の上方に位置する脚12の一部に接触するまで、例えばネジ回しを接触させて手動で押され得る。
中央レバー32のこの動作は、下方トリム帯チャネル41に向けて
レバータブ(下方タブ
)34を揺動させて、トリム帯20をクリップ10に一時的に固定する。
トリム帯20の長手方向の調整は、このときに行われることができる。
トリム帯20の長手方向の位置が正しい場合、
中央レバー32は脚12の主領域22の平面へと強制的に戻され、それにより、
レバータブ(下方タブ
)34は、
直立タブ(上方タブ
)36から離間するように垂直に下方に移動され、それぞれのチャネル41、39にタブを締まり嵌めで摩擦固定する。
図6Aはスリット31の形状の拡大断面図である。スリット31は、
図6Aにやや誇張して示されているように、クリップの脚12の背面から全面に向けて、上向きに傾斜していることが好ましい。
中央レバー32は領域33上で旋回し、領域はリビングヒンジとして機能する。スリット31の切り下げ又は傾斜した形状は、クリップをチャネル同士のサイズよりも大きめに設定することで引き起こされる締まり嵌めと併せて、レバーが意図せず初期位置に戻って、レバーが主領域22の平面を外れてしまうことを防止する。初期の平面から外れた状態から、主領域22の他の部分と同一平面になる最終位置へと、レバーをトグル又は移動させるには、マイナスネジ回し(図示せず)を用いることが出来る。ネジ回しの刃は、中央スロット29に挿入されることで、この移動動作を可能にする。領域33は、リビングヒンジとして機能する以外にも、支点として動作し、
レバータブ(ぶら下がりタブ
)34として表されるレバーの下部を、下方トリム帯チャネル41に向けて揺動させる。
中央レバー32の上端53が、脚12の主要部又は平面部のスリット表面の中央から強制的に外されると、スリットの形状によって引き起こされる干渉が、レバーの逆戻り、又はロック解除動作を強力に抵抗する。
【0016】
クリップ10は、全長に満たず、端部の細部が上述の通りでない
メインランナー又はクロスランナーに用いることが出来る。この場合、タブ17は脚11の残りの部分の表面として曲げ戻されてよく、穴16はセルフタッピングネジ又はリベットを受け入れて脚11をこのような格子ランナー
13のウェブに固定してよい。
レバータブ34、
直立タブ36に小さな突起54を設けて、トリム帯20におけるクリップ10の保持力を向上させてもよい。
【0017】
本開示は例示を目的としたもので、細部の追加、変形、又は削除によって、本開示に含まれる教示の妥当な範囲を超えることなく多様な変更が行われ得ることは明白である。本発明はしたがって、以下の請求の範囲が必然的に限定される程度を除いて、本開示の特定の細部に限定されない。