特許第5992713号(P5992713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5992713メモリシステム、その制御方法及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992713
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】メモリシステム、その制御方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/06 20060101AFI20160901BHJP
   G06F 13/16 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   G06F12/06 550A
   G06F13/16 510A
   G06F12/06 515A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-82524(P2012-82524)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210985(P2013-210985A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 伸次
【審査官】 滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−524089(JP,A)
【文献】 特表2011−527064(JP,A)
【文献】 特開2004−005108(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0077157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/06
G06F 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層配置され、各チップを貫通しながら積層方向に延伸するアドレスバス、データバス及び制御バスにより、互いに電気的に接続される複数のメモリチップと、
複数のプロセッサに接続されるとともに、前記アドレスバス、前記データバス及び前記制御バスに接続され、さらに前記各メモリチップにチップセレクト信号を出力するためのチップセレクト信号線が接続されるメモリコントローラと、を含み、
各メモリチップは前記複数のプロセッサのいずれかに割り当てられ、
前記複数のプロセッサのうち少なくとも1つのデータバスの幅は、他のプロセッサの前記データバスの幅より小さく、
前記各メモリチップの前記データバスの幅は、前記他のプロセッサの前記データバスの幅と等しく、
前記メモリコントローラは、
前記データバスの幅の小さい前記プロセッサから出力されるデータ信号を、前記他のプロセッサの前記データバスの幅のデータ信号に変換し、
前記各プロセッサから出力されるアドレス信号を、前記チップセレクト信号及び前記アドレスバスに出力するアドレス信号の組に変換することにより、前記各プロセッサと前記各メモリチップとの間のデータ入出力を中継
前記各メモリチップに対して順次割り当てられた前記プロセッサからのアクセス要求を出力するとともに、当該割り当てられたプロセッサからのアクセス要求がない場合は、他のプロセッサからのアクセス要求を処理する、
ことを特徴とするメモリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のメモリシステムにおいて、
前記メモリコントローラは、前記複数のメモリチップと重ねて配置される、
ことを特徴とするメモリシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のメモリシステムにおいて、
前記メモリコントローラは、前記各メモリチップに対して順次アクセスする、
ことを特徴とするメモリシステム。
【請求項4】
請求項1または2に記載のメモリシステムにおいて、
前記メモリコントローラは、前記複数のプロセッサからのアクセス要求に応じて、前記各メモリチップに対してアクセスする、
ことを特徴とするメモリシステム。
【請求項5】
積層配置され、各チップを貫通しながら積層方向に延伸するアドレスバス、データバス及び制御バスにより、互いに電気的に接続される複数のメモリチップと、
複数のプロセッサに接続されるとともに、前記アドレスバス、前記データバス及び前記制御バスに接続され、さらに前記各メモリチップにチップセレクト信号を出力するためのチップセレクト信号線が接続されるメモリコントローラと、を含み、
各メモリチップは前記複数のプロセッサのいずれかに割り当てられ、
前記複数のプロセッサのうち少なくとも1つのデータバスの幅は、他のプロセッサの前記データバスの幅より小さく、
前記各メモリチップの前記データバスの幅は、前記他のプロセッサの前記データバスの幅と等しくなる、
メモリシステムの制御方法であって、
前記メモリコントローラが、
前記データバスの幅の小さい前記プロセッサから出力されるデータ信号を、前記他のプロセッサの前記データバスの幅のデータ信号に変換し、前記各プロセッサから出力されるアドレス信号を、前記チップセレクト信号及び前記アドレスバスに出力するアドレス信号の組に変換することにより、前記各プロセッサと前記各メモリチップとの間のデータ入出力を中継
前記各メモリチップに対して順次割り当てられた前記プロセッサからのアクセス要求を出力するとともに、当該割り当てられたプロセッサからのアクセス要求がない場合は、他のプロセッサからのアクセス要求を処理する、
ことを特徴とするメモリシステムの制御方法。
【請求項6】
複数のプロセッサと、
積層配置され、各チップを貫通しながら積層方向に延伸するアドレスバス、データバス及び制御バスにより、互いに電気的に接続される複数のメモリチップと、
前記各プロセッサに接続されるとともに、前記アドレスバス、前記データバス及び前記制御バスに接続され、さらに前記各メモリチップにチップセレクト信号を出力するためのチップセレクト信号線が接続されるメモリコントローラと、を含み、
各メモリチップは前記複数のプロセッサのいずれかに割り当てられ、
前記複数のプロセッサのうち少なくとも1つのデータバスの幅は、他のプロセッサの前記データバスの幅より小さく、
前記各メモリチップの前記データバスの幅は、前記他のプロセッサの前記データバスの幅と等しく、
前記メモリコントローラは、
前記データバスの幅の小さい前記プロセッサから出力されるデータ信号を、前記他のプロセッサの前記データバスの幅のデータ信号に変換し、前記各プロセッサから出力されるアドレス信号を、前記チップセレクト信号及び前記アドレスバスに出力するアドレス信号の組に変換することにより、前記各プロセッサと前記各メモリチップとの間のデータ入出力を中継
前記各メモリチップに対して順次割り当てられた前記プロセッサからのアクセス要求を出力するとともに、当該割り当てられたプロセッサからのアクセス要求がない場合は、他のプロセッサからのアクセス要求を処理する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメモリシステム、その制御方法及び情報処理装置に関し、特に、複数のプロセッサによりアクセスされるメモリシステム、その制御方法及びそれを用いた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理装置は、画像処理を担当するGPU(Graphics Processing Unit)や音声や画像のデータ圧縮及び伸張を担当するコーデック(Coder / Decoder)など、特定種類の演算を、CPU(Central Processing Unit)以外の専用プロセッサに担わせるようになっている。これにより、情報処理の高速化を図ることができる。
【0003】
図11は、こうした専用プロセッサを備える従来の情報処理装置の構成例を示す図である。同図に示すように、従来の情報処理装置300は、CPU304aを中心としたメインシステム304、及びGPUやコーデックなどの専用プロセッサであるサブプロセッサ306aを中心としたサブシステム306を含んでいる。メインシステム304にはメインメモリ308が接続されており、CPU304aはメインシステムバス304b及びメモリコントローラ304cを介してメインメモリ308にアクセスする。また、サブシステム306には専用のサブメモリ310が接続されており、サブプロセッサ306aはサブシステムバス306b及びメモリコントローラ306cを介してサブメモリ310にアクセスする。また、メインシステムバス304b及びサブシステムバス306b間には、図示しないバスブリッジが設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的にメインシステム304は動作速度が高い代わりにデータバス幅は狭い。一方、サブシステム306はデータバス幅が広い代わりに動作速度は低い。こうした事情により、メインメモリ308とサブメモリ310は動作周波数及びデータバス幅に大きな違いがあるのが一般的である。このため、従来の情報処理装置300は、複数種類のメモリが必要であり、部品コストの削減が困難でるという問題があった。また、メインシステム304とメインメモリ308との結線、及びサブシステム306とサブメモリ310との結線が別々に必要であり、製造コストが高くなってしまうという問題もあった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、コスト削減が容易なメモリシステム、その制御方法、及びそれを用いた情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るメモリシステムは、積層配置され、各チップを貫通しながら積層方向に延伸するアドレスバス、データバス及び制御バスにより、互いに電気的に接続される複数のメモリチップと、複数のプロセッサに接続されるとともに、前記アドレスバス、前記データバス及び前記制御バスに接続され、さらに前記各メモリチップにチップセレクト信号を出力するためのチップセレクト信号線が接続されるメモリコントローラと、を含み、前記メモリコントローラは、前記各プロセッサから出力されるアドレス信号を、前記チップセレクト信号及び前記アドレスバスに出力するアドレス信号の組に変換することにより、前記各プロセッサと前記各メモリチップとの間のデータ入出力を中継する、ことを特徴とする。
【0007】
ここで、前記メモリコントローラは、前記複数のメモリチップと重ねて配置されてよい。
【0008】
また、前記複数のプロセッサのうち少なくとも1つのデータバスは、前記複数のメモリチップの前記データバスの幅とは異なる幅を有してよい。この場合、前記メモリコントローラは、前記1つの前記プロセッサのデータ信号を前記複数のメモリチップの前記データバスの幅のデータ信号に変換してよい。
【0009】
また、各メモリチップは前記複数のプロセッサのいずれかに割り当てられてよい。この場合、前記メモリコントローラは、前記各メモリチップに対して順次アクセスしてよい。或いは、前記メモリコントローラは、前記複数のプロセッサからのアクセス要求に応じて、前記各メモリチップに対してアクセスしてよい。
【0010】
また、本発明に係るメモリシステムの制御方法は、積層配置され、各チップを貫通しながら積層方向に延伸するアドレスバス、データバス及び制御バスにより、互いに電気的に接続される複数のメモリチップと、複数のプロセッサに接続されるとともに、前記アドレスバス、前記データバス及び前記制御バスに接続され、さらに前記各メモリチップにチップセレクト信号を出力するためのチップセレクト信号線が接続されるメモリコントローラと、を含むメモリシステムの制御方法であって、前記メモリコントローラが、前記各プロセッサから出力されるアドレス信号を、前記チップセレクト信号及び前記アドレスバスに出力するアドレス信号の組に変換することにより、前記各プロセッサと前記各メモリチップとの間のデータ入出力を中継する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る情報処理装置は、複数のプロセッサと、積層配置され、各チップを貫通しながら積層方向に延伸するアドレスバス、データバス及び制御バスにより、互いに電気的に接続される複数のメモリチップと、前記各プロセッサに接続されるとともに、前記アドレスバス、前記データバス及び前記制御バスに接続され、さらに前記各メモリチップにチップセレクト信号を出力するためのチップセレクト信号線が接続されるメモリコントローラと、を含み、前記メモリコントローラは、前記各プロセッサから出力されるアドレス信号を、前記チップセレクト信号及び前記アドレスバスに出力するアドレス信号の組に変換することにより、前記各プロセッサと前記各メモリチップとの間のデータ入出力を中継する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の回路構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る情報処理装置の外観斜視図である。
図3】メモリコントローラの第1の構成例(メモリチップに対する交互アクセスの場合)を示す図である。
図4図3に示されるメモリコントローラによるメモリアクセスを説明するタイミング図である。
図5】メモリコントローラの第2の構成例(サブシステムによる優先アクセスの場合)を示す図である。
図6図5に示されるメモリコントローラによるメモリアクセスを説明するタイミング図である。
図7】メモリコントローラの第3の構成例(メインシステムによりアクセスされないタイミングをサブシステムが使用する場合)を示す図である。
図8】メモリコントローラの第4の構成例(一方のシステムによりアクセスされないタイミングを他方のシステムが使用する場合)を示す図である。
図9】メモリコントローラの第4の構成例(メモリ性能を最大限に引き出す構成例)を示す図である。
図10図9に示されるメモリコントローラによるメモリアクセスを説明するタイミング図である。
図11】従来の情報処理装置の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明に実施形態に係る情報処理装置を示す回路構成図である。同図に示すように、この情報処理装置1は、ロジックチップ10と積層DRAM(Dynamic Random Access Memory)18とを備えており、ロジックチップ10にはメインシステム12とサブシステム14とが形成されている。メインシステム12は、汎用のデータ演算回路であり、メインシステムバス12b及びそこに接続されたCPU12aを含んでいる。メインシステムバス12bには、さらにディスプレイインタフェース回路などの他の回路が接続されてよいのはもちろんである。一方、サブシステム14は、特定種類の演算を行うデータ演算回路であり、サブプロセッサ14aとサブシステムバス14bとを含んでいる。サブプロセッサ14aは、例えばGPUやコーデックである。CPU12aやサブシステム14は、複数のプロセッサコアを含むマルチコアプロセッサであってもよい。
【0015】
一方、積層DRAM18は、複数のメモリチップ18−1,18−2を積層配置してなり、各メモリチップには、多数の貫通電極(Through Silicon Via;TSV)が形成されている。そして、各メモリチップに形成された平面的に同じ位置にある貫通電極が上下に電気的に接触することにより、アドレスバス、データバス及び制御バスを含むバス20が形成される。これにより、バス20に対してメモリチップ18−1,18−2は並列に接続されることになる。なお、TSVは、近年注目されている3次元実装技術であり、半導体基板を貫通して形成する貫通電極により複数のチップ間を最短距離で接続することにより高速動作を実現するものである。
【0016】
また、メモリチップ18−1及びメモリチップ18−2には、メモリチップ18−2にチップセレクト信号を供給するためのチップセレクト信号線22を形成する貫通電極が設けられる。これらの貫通電極のうち、メモリチップ18−1に形成される貫通電極は同メモリチップ18−1の内部回路と絶縁されており、一方、メモリチップ18−2に形成される貫通電極は同メモリチップ18−2の内部回路と接続されている。これにより、メモリチップ18−1の表面側からメモリチップ18−2にチップセレクト信号を供給できる。さらに、メモリチップ18−1には同メモリチップ18−1にチップセレクト信号を供給するためのチップセレクト信号線22を形成する貫通電極も設けられる。この貫通電極はメモリチップ18−1の内部回路に接続されており、メモリチップ18−1の表面側からメモリチップ18−1にチップセレクト信号を供給できる。
【0017】
なお、メモリチップ18−1,18−2としては、高密度であって、データバス幅が広く、比較的動作速度の低い、例えば「WIDE I/O」に準拠したDRAMチップが好適である。そうすれば、情報処理装置1の消費電力を抑えることができ、例えばモバイル用途にも好適となる。
【0018】
ロジックチップ10にはメモリコントローラ16も形成されており、このメモリコントローラ16はメインシステムバス12bに接続されるとともに、サブシステムバス14bにも接続されている。また、メモリコントローラ16は積層DRAM18にも接続されている。具体的には、メモリロジックチップの表面には多数のバンプが形成されており、これらのバンプがメモリチップ18−1の表面の貫通電極と接触することにより、メモリコントローラ16にはバス20及びチップセレクト信号線22が接続される。これにより、メモリコントローラ16は、CPU12aと積層DRAM18との間におけるデータ入出力を中継し、またサブプロセッサ14aと積層DRAM18との間におけるデータ入出力を中継することができる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理装置の外観斜視図である。同図に示すように、ロジックチップ10の表面にはメモリコントローラ16に接続されたバンプが多数形成されている。この上に積層DRAM18が、メモリチップ18−1が下側に位置するようにして重ねられ、貫通電極群とバンプ群が接触することにより、ロジックチップ10及び積層DRAM18とが電気的に接続される。ロジックチップ10は積層DRAM18が重ねあわされて接合された状態でパッケージインターポーザ24に接合される。パッケージインターポーザ24とロジックチップ10との間はバンプにより電気的に接続される。なお、図示しないが、ロジックチップ10と積層DRAM18とは樹脂材料によりモールドされる。このように、本実施形態によればワイヤボンディングによることなく、メインシステム12及びサブシステム14の両者のために用意された積層DRAM18を貫通電極及びバンプにより電気的に接続することができるので、製造工程を容易化できる。また、メインシステム12及びサブシステム14のために共通の積層DRAM18を用いるので、部品コストの削減が容易となる。
【0020】
ここで、メモリコントローラ16の詳細について説明する。以下では、メインシステム12によるメモリアクセスのレートを1とすると、サブシステム14のメモリアクセスのレートは1/2であるものとする。一方、メインシステム12によるメモリアクセス時のデータ幅を1とすると、サブシステム14のメモリアクセス時のデータ幅は2であるものとする。また、積層DRAM18の動作レートはメインシステム12によるメモリアクセスのレートと等しく、そのデータ幅はサブシステム14のデータ幅と等しいものとする。さらに、メインシステム12にはメモリチップ18−1が割り当てられ、サブシステム14にはメモリチップ18−2が割り当てられているものとする。すなわち、メモリチップ18−1にはメインシステム12のみがアクセスし、メモリチップ18−2にはサブシステム14のみがアクセスする。もちろん、CPU12aが、メインシステムバス12b、サブシステムバス14b及び図示しないバスブリッジを介して、メモリチップ18−2にアクセスしてもよい。同様に、サブプロセッサ14aが、サブシステムバス14b、メインシステムバス12b及び図示しないバスブリッジを介して、メモリチップ18−1にアクセスしてもよい。
【0021】
図3は、メモリコントローラ16の第1の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、メモリコントローラ16はデータ幅変換部162、アドレス変換部163,165、データ幅逆変換部164、制御回路166を含んでいる。これらは論理回路により実現される。データ幅変換部162は、メインシステムバス12bから受け取ったメモリアクセス要求を順に記憶するFIFO(First In First Out)式の記憶手段を含んでおり、メインシステムバス12bから受け取った、連続するアドレスに格納されるべき2つのデータ信号を連結して2倍のデータ幅のデータ信号を生成する回路である。ここで、メモリアクセス要求には、アドレス信号、データ信号(ライト時)、制御信号が含まれる。アドレス変換回路163は、メインシステムバス12bから受け取ったアドレス信号を、メモリチップ18−1のアドレス空間によるアドレス信号に変換する回路である。この変換後のアドレス信号は、チャネル切替信号、バンク切替信号、ロウアドレス信号、カラムアドレス信号を含む。同様に、アドレス変換回路165は、サブシステムバス14bから受け取ったアドレス信号を、メモリチップ18−2のアドレス空間によるアドレス信号に変換する回路である。この変換後のアドレス信号も、チャネル切替信号、バンク切替信号、ロウアドレス信号、カラムアドレス信号を含む。また、データ幅逆変換部164は、メモリチップ18−1から読み出したデータを分割して半分のデータ幅の信号を2つ生成する回路である。その出力はメインシステムバス12bに供給される。
【0022】
制御部166は、各メモリチップ18−1,18−2にアドレス信号、データ信号(ライト時)、制御信号、チップセレクト信号を供給する回路である。特に、制御部166は交互出力回路166aを含んでおり、積層DRAM18の各メモリチップ18−1,18−2に対して時間的に交互にチップセレクト信号を供給する。これにより、メモリチップ18−1,18−2に交互にアクセスが可能となる。制御部166では、メモリチップ18−1にチップセレクト信号を供給する際には、アドレス変換回路163からメモリアクセス要求、すなわちアドレス変換後のアドレス信号、データ幅変換後のデータ信号(ライト時)、制御信号を受け取り、これを、バス20を介してメモリチップ18−1に供給する。リード時には、メモリチップ18−1からデータを読み出してデータ幅逆変換部164に供給する。同様に、制御部166では、メモリチップ18−2にチップセレクト信号を供給する際には、アドレス変換回路165からメモリアクセス要求、すなわちアドレス変換後のアドレス信号、データ信号(ライト時)、制御信号を受け取り、これを、バス20を介してメモリチップ18−2に供給する。リード時には、メモリチップ18−2からデータを読み出してサブシステムバス14bに供給する。
【0023】
こうして、メモリコントローラ16は、CPU12a又はサブプロセッサ14aから出力されるアドレス信号を、チップセレクト信号及びアドレス信号の組に変換することにより、CPU12a又はサブプロセッサ14aと積層DRAM18との間のデータ入出力を中継している。
【0024】
図4は、図3に示されるメモリコントローラ16によるメモリアクセスを説明するタイミング図である。同図において#1はメモリチップ18−1を示し、#2はメモリチップ18−2を示す。また、最上段はサブシステムバス14bからのメモリアクセス要求を示し、二段目はメインシステムバス12bからのメモリアクセス要求を示す。また、三段目はデータ幅変換部162から出力されるメモリアクセス要求を示し、最下段は積層DRAM18に対するメモリアクセスを示す。図3に示されるメモリコントローラ16によれば、メモリチップ18−1とメモリチップ18−2には交互にアクセスがなされる。最下部に示すように、積層DRAM18へのアクセス期間に対して、メモリアクセス期間A及びBの名前を交互に時間順に付すとすると、メモリアクセス期間Aにはメモリチップ18−1に対するアクセスのみが行われ、メモリアクセス期間Bにはメモリチップ18−2に対するアクセスのみが行われる。メモリチップ18−1に対するアクセス期間Aには、その開始タイミングにて既に得られている信号(変換後データ信号及び変換後アドレス信号)を用いて、メモリアクセスがなされる。同様に、メモリチップ18−2に対するアクセス期間Bには、その開始タイミングにて既に得られている信号(データ信号及び変換後アドレス信号)を用いて、メモリアクセスがなされる。第1の構成例によれば、メインシステム12及びサブシステム14のいずれも、アクセス機会が保障されることになる。
【0025】
図5は、メモリコントローラの第2の構成例を示すブロック図である。同図に示すメモリコントローラ16aは、図3のメモリコントローラ16と比べて、制御部167にアドレス変換部165に接続されたアクセス検知部167aが設けられている点が異なる。アクセス検知部167aはチップセレクト信号を出力する機能を備えており、原則として、アクセス期間Aにはメモリチップ18−1を選択するチップセレクト信号を出力し、アクセス期間Bにはメモリチップ18−2を選択するチップセレクト信号を出力する。ただし、このアクセス検知部167aはアドレス変換部165からアクセス要求が出力されているか否かを監視しており、アクセス期間Bの開始タイミングにてアドレス変換部165からアクセス要求が出力されていなければ、アクセス期間Bにもメモリチップ18−1を選択するチップセレクト信号を出力する。
【0026】
図6は、図5に示されるメモリコントローラ16aによるメモリアクセスを説明するタイミング図である。同図に示すように、メモリコントローラ16aによれば、アクセス期間Aでは、メインシステム12からメモリチップ18−1へのアクセスのみが行われる。一方、アクセス期間Bでは、原則としてサブシステム14からメモリチップ18−2へのアクセスが行われるが、サブシステム14からのアクセス要求がなければ、メインシステム12からメモリチップ18−1へのアクセスが行われる。つまり、アクセス期間Aはメインシステム12からのアクセス要求の処理だけに用い、アクセス期間Bはメインシステム12からのアクセス要求の処理とサブシステム14からのアクセス要求の処理とで共用する。なお、アクセス期間Bにおいてメモリチップ18−1へのアクセスをする場合、データ幅変換部162におけるデータ幅変換は行われず、既に到着しているアクセス要求のみがメモリチップ18−1に供給される。第2の構成例によれば、サブシステム14からのアクセス要求がない場合に、メインシステム12からのアクセス要求を処理することができ、メモリアクセスの効率化を図ることができる。
【0027】
図7は、メモリコントローラの第3の構成例を示すブロック図である。同図に示すメモリコントローラ16bは、図5のメモリコントローラ16と比べて、制御部168に、アドレス変換部163に接続されたアクセス検知部168aが設けられている点が異なる。アクセス検知部168aはチップセレクト信号を出力する機能を備えており、原則として、アクセス期間Aにはメモリチップ18−1を選択するチップセレクト信号を出力し、アクセス期間Bにはメモリチップ18−2を選択するチップセレクト信号を出力する。ただし、このアクセス検知部168aはアドレス変換部163からアクセス要求が出力されているか否かを監視しており、アクセス期間Aの開始タイミングにてアドレス変換部163からアクセス要求が出力されていなければ、アクセス期間Aにもメモリチップ18−2を選択するチップセレクト信号を出力する。なお、第3の構成例では、サブシステム14のメモリアクセスレートは、第2の構成例に比べて、2倍に高速化されているものとする。つまり、メインシステム12によるメモリアクセスのレートを1とすると、サブシステム14のメモリアクセスのレートも1であるものとする。
【0028】
図8は、図7に示されるメモリコントローラ16bによるメモリアクセスを説明するタイミング図である。同図に示すように、メモリコントローラ16bによれば、アクセス期間Bでは、サブシステム14からメモリチップ18−2へのアクセスのみが行われる。一方、アクセス期間Aでは、原則としてメインシステム12からメモリチップ18−1へのアクセスが行われるが、メインシステム12からのアクセス要求がなければ、サブシステム14からメモリチップ18−2へのアクセスが行われる。つまり、アクセス期間Bはサブシステム14からのアクセス要求の処理だけに用い、アクセス期間Aはメインシステム12からのアクセス要求の処理とサブシステム14からのアクセス要求の処理とで共用する。第3の構成例によれば、メインシステム12からのアクセス要求がない場合に、サブシステム14からのアクセス要求を処理することができ、サブシステム14の動作速度を向上させることができる。
【0029】
図9は、メインコントローラの第4の構成例を示す図であり、図10はその動作を示すタイミング図である。ここでは、メインシステム12によるメモリアクセスのレートを1とすると、サブシステム14のメモリアクセスのレートも1であるものとする。一方、メインシステム12によるメモリアクセス時のデータ幅を1とすると、サブシステム14のメモリアクセス時のデータ幅も1であるものとする。また、積層DRAM18の動作レートはメインシステム12によるメモリアクセスのレートと等しく、そのデータ幅もメインシステム12のデータ幅と等しいものとする。
【0030】
同図に示すメモリコントローラ16cは、アドレス変換部170,171及び制御部172を含む。アドレス変換部170は、メインシステムバス12bから受け取ったアドレス信号を、メモリチップ18−1のアドレス空間によるアドレス信号に変換する回路である。この変換後のアドレス信号は、チャネル切替信号、バンク切替信号、ロウアドレス信号、カラムアドレス信号を含む。同様に、アドレス変換回路171は、サブシステムバス14bから受け取ったアドレス信号を、メモリチップ18−2のアドレス空間によるアドレス信号に変換する回路である。この変換後のアドレス信号も、チャネル切替信号、バンク切替信号、ロウアドレス信号、カラムアドレス信号を含む。制御部172は、アドレス変換部170から順次供給されるアクセス要求及びアドレス変換部171から順次供給されるアクセス要求を、予め定められた規則に従って積層DRAM18に順次供給する。例えば、単純のために所謂ラウンドロビン方式を採用して、アドレス変換部170からのアクセス要求と、アドレス変換部171からのアクセス要求と、を交互に積層DRAM18に供給してよい。また、アドレス変換部170,171のいずれか一方からのアクセス要求が無い場合には、他方のアクセス要求を積層DRAM18に供給してよい。また、アドレス変換部170からのアクセス要求を順次保持するFIFO式のバッファと、アドレス変換部171からのアクセス要求を順次保持するFIFO式のバッファを制御部172に内蔵するようにしておき、各バッファへの蓄積数に基づいてメインシステム12及びサブシステム14に優先度をリアルタイムに設定し、その設定された優先度に従って各バッファに保持されたアクセス要求を積層DRAM18に供給してよい。具体的には、バッファにおけるアクセス要求の蓄積数が高いほど、そのバッファに対応するメインシステム12又はサブシステム14の優先度を高くし、優先度の高いシステムからのアクセス要求から順に積層DRAM18に供給してよい。その他、制御部172は様々な規則に従ってアクセス要求を積層DRAM18に供給してよい。なお、メインシステム12からのアクセス要求を積層DRAM18に供給する場合には、メモリコントローラ172は、メモリチップ18−1を選択するチップセレクト信号を出力する。また、サブシステム14からのアクセス要求を積層DRAM18に供給する場合には、メモリコントローラ172は、メモリチップ18−2を選択するチップセレクト信号を出力する。第4の構成例によれば、積層DRAM18へのアクセスの最大効率化を図ることができる。
【0031】
以上説明した情報処理装置1によれば、メインシステム12とサブシステム14とで共通の積層DRAM18を用いるので、部品コストの削減が容易となる。また、ロジックチップ10と積層DRAM18との結線は、主として貫通電極によるので、結線作業を容易化して製造コストを下げることができる。
【0032】
なお、本発明は種々の変形実施が可能である。例えば、本発明は、上記第1乃至第4の構成例のうち複数を実装した情報処理装置として構成してよい。この場合、ユーザのモード設定により、いずれかの構成例による動作を行うようにすればよい。こうすれば、ユーザのニーズに応じて様々なメモリアクセスを提供できる。
【符号の説明】
【0033】
1 情報処理装置、10 ロジックチップ、12 メインシステム、14 サブシステム、16 メモリコントローラ、18 積層DRAM、20 バス(アドレスバス、データバス及び制御バスを含む。)、22 チップセレクト信号線、24 パッケージインターポーザ。
図1
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図9
図10
図11