【実施例1】
【0027】
以下本発明の一実施例としての加湿器を図面により説明する。
【0028】
図1は加湿器の外観斜視図である。加湿器の本体1の上面には、加湿器の動作を指示するための多数のスイッチが設けられた操作部2、湿度を表示するための湿度表示部3、加湿空気を吹き出す吹出口4が設けられている。本体の側面には室内の空気を本体1に取り入れるための吸込口5が設けられ、さらに吸込口5の上部には後述する湿度センサ16に連通する通気口6が形成されている。また、加湿空気を発生させる加湿部8に水を供給する水タンク7が本体1に着脱自在に設けられる。
【0029】
図2は加湿器の縦断面構成図である。本体1の底部には水タンク7から水が供給されて一定量の水を貯える水槽部9と、この水槽部9内に吸水性を有する気化フィルタ10が配置されていて、水槽部9と気化フィルタ10により加湿空気を発生させる加湿部8が構成される。気化フィルタ10は一部が水槽部9内の水に浸漬されており、この水を吸い上げることにより湿潤している。
【0030】
そして、気化フィルタ10の上部にはモータ12とシロッコファン13からなる送風機11が設けられており、この送風機11の駆動により吸込口5から吹出口4にいたる通風路に送風が行われる。また、通風路中の気化フィルタ10の上流には、吸込口5から導入された空気を加熱して温風とするための温風用ヒータ14が設けられている。
【0031】
送風機11が駆動されると、シロッコファン13が回転することにより室内の空気が吸込口5から取り込まれ、取り込まれた空気は温風用ヒータ14を通過する間に温風となって、さらに温風は気化フィルタ10を通過することで加湿空気となり、加湿空気が吹出口4より室内に放出される。
【0032】
さらに、送風機11の上部には、加湿器の動作を制御するための制御部15を構成する制御基板が設けられ、この制御基板15には種々の電子部品や湿度センサ16が配置されていて、電子部品の取り付け面を下にして本体に固定されている。
【0033】
制御基板15は、AC−DCコンバータ、ダイオード、リセットIC、マイコン、レギュレータ、コンデンサ等の電子部品が配置され、一部の電子部品は発熱性を有しており、通電されることにより発熱する。また、これら発熱性の電子部品のうち、特にAC−DCコンバータやレギュレータなどは電源が投入されると加湿器の運転・停止に関わらず通電されて発熱する。
【0034】
次に、上述の構成における加湿器の動作について説明する。
【0035】
操作部2の運転スイッチを操作して運転開始の指示を行い、さらに湿度設定スイッチで目標とする湿度を選択すると送風機11が駆動されるので、室内の空気は吸込口5から本体1内に取り入れられ、取り入れられた空気は気化フィルタ10を通過する際に加湿空気となって吹出口4から排出されて加湿運転が行われる。また、送風機11が駆動してシロッコファン13が回転することにより本体1内が負圧となることから、制御基板15に設けられた湿度センサ16周辺には通気口6から室内の空気が取り込まれて湿度センサ16は室内の湿度を検知する。そして、湿度センサ16の検知湿度は湿度表示部3に表示される。
【0036】
このようにして加湿運転が開始されると、湿度設定スイッチにより設定された設定湿度と、湿度センサ16の検知湿度の差に応じて、制御部15は温風用ヒータ14への通電や送風機11の回転数を制御して設定湿度に近づけるよう加湿運転が行われる。さらに送風機11は、回転数を変えながら連続駆動させる連続運転モードと、所定の駆動停止時間を挟んで間欠駆動させる間欠運転モードに切り換えて制御される。
【0037】
例えば送風機11を連続駆動させる連続運転モードでは、運転開始初期など湿度センサ16の検知湿度と設定湿度の差が大きいときは、送風機11の回転数を最大にするとともに温風用ヒータ14への通電を行うことで加湿量を多くして短時間で設定湿度に近づけるよう制御する。一方で、検知湿度と設定湿度の差が少なくなってくると、徐々に送風機11の回転数を下げるとともに、温風用ヒータ14への通電を停止することで加湿量を少なくして室内の湿度を設定湿度に維持するよう加湿運転が制御される。
【0038】
そして、加湿量を最低にしても検知湿度が設定湿度を超えた場合は、このまま送風機11を連続駆動させる連続運転モードを実行すると室内湿度が上昇し続ける過加湿の状態となってしまうため、送風機11の駆動を一旦停止して加湿運転を中断させる必要がある。ところが、加湿運転を中断しても加湿部8には水が残っていて、この残った水が蒸発するため、本体1内部では加湿空気が発生する。そのため、送風機11を完全に停止してしまうと加湿空気が本体1内に滞留することとなり、本体1内の湿度が上昇して湿度センサ16の検知湿度が実際の室内湿度より高くなってしまう。そこで、送風機11を間欠駆動する間欠運転モードに移行する。間欠運転モードを実行することにより、送風機11を駆動した際に本体1内に滞留した加湿空気が排出されて、室内の空気が湿度センサ16に流入するため湿度センサ16が正しい湿度を検知できるようになる。
【0039】
具体的には、湿度センサ16が設定湿度より数%高い値である第一の所定値をT1秒連続して検知した場合には湿度過多状態であると判断し、連続運転モードから間欠運転モードに移行する。
【0040】
そして、間欠運転モードを実行することで室内湿度が低下し、湿度センサ16の検知湿度が設定湿度を下回った場合には、間欠運転モードから連続運転モードへ復帰する。具体的には、湿度センサ16が第一の所定値より低い第二の所定値をT2秒連続して検知した場合には湿度が低下してきているので加湿運転が必要と判断し、間欠運転モードから連続運転モードに復帰する。
【0041】
次に、間欠運転モードにおける送風機11の駆動制御と検知湿度の判定について
図3のタイムチャートに基づき説明する。
【0042】
連続運転モードを実行中に、湿度センサ16の検知湿度が第一の所定値を越えたことをT1秒検知すると、連続運転モードから間欠モードへ移行する(図中A点)。間欠運転モードでは、送風機11は最小回転数Loで駆動されるようになっている。この最小回転数Loとは、連続運転モードにおける最小回転数と同じでも良いし、さらに低い回転数としてもよい。
【0043】
間欠運転モード中は、所定の駆動停止時間を挟んで送風機11が駆動され、例えば本実施例では、送風機11がTa分の駆動停止とTb分の駆動を繰り返すよう制御されている。ただし、間欠運転モードに移行した際の最初の送風機11の駆動時間はTb分よりも短いTb’分としている。
【0044】
なお、間欠運転モード中も連続運転モードと同様に常時湿度センサ16により室内の湿度の検知を行っていて、検知湿度が第二の所定値以下となったことをT2秒検知すると、間欠運転モードから連続運転モードに復帰する。
【0045】
ところで、制御基板15上の電子部品には、送風機11の駆動が停止していても電源が投入されているだけで通電されて発熱する部品があるため、間欠運転モード中であっても制御基板15周辺の温度は室内と比べて高い状態となっている。さらに、送風機11の駆動が停止していることにより、本体1内部には空気が流入しないため、制御基板15が発する熱は本体1内部にこもってしまう。
【0046】
そして、このように内部に熱がこもった状態で送風機11の駆動停止時間が経過して送風機11の間欠駆動を開始すると、制御基板15周辺の熱が拡散して湿度センサ16周辺の温度を上昇させることになる。空気中に含まれる水分量が同じであっても、温度が高ければ相対湿度が低下してしまうため、湿度センサ16の検知湿度は低下する。つまり、湿度センサ16に正確な湿度を検知させるために、送風機11を間欠駆動させて室内の空気を本体1内に流入させたにもかかわらず、送風機11を駆動した直後は相対湿度の低下により湿度センサ16の検知湿度が実際の室内湿度よりも低くなってしまう。もし、検知湿度が第二の所定値よりも低い状態がT2秒連続すると、間欠運転モードが解除されて連続運転モードに復帰してしまうが、連続運転モードに復帰すると過加湿になったり、送風機11の回転数が上がることで使用者に不快感を与えてしまうおそれがある。
【0047】
そこで、間欠運転モードで送風機11の間欠駆動を開始した際には、送風機11の駆動開始から所定時間は湿度センサ16の検知湿度を加湿制御には反映させないようにする。具体的には、間欠運転モードで送風機11を駆動するTb分のうち最初のTm分(図中網掛け部分)は、判定マスク区間として湿度センサ16は湿度を検知するものの、第二の所定値との比較を行わない。そして、判定マスク区間のTm分が経過した後は検知湿度と第二の所定値とを比較して、検知湿度が第二の所定値以下となったことをT2秒検知した場合には、実際の室内の湿度が低下していると判断して間欠運転モードを解除し、連続運転モードへ復帰する。
【0048】
つまり、送風機11が間欠駆動を開始してからのTm分で本体1内に滞留した空気と室内空気を入れ替えており、この入れ替えの間は湿度センサ16周辺の温度が室内空気の温度よりも高く正しい湿度が検知できない可能性があるため、第二の所定値との比較を行わず加湿制御に反映させない。そして、Tm分経過し湿度センサ16周辺と室内空気の温度が同程度となったときに湿度センサ16が正しい湿度を検知することができると判断して、湿度センサ16の検知湿度と第二の所定値とを比較して加湿制御に反映させる。
【0049】
この判定マスク区間では、湿度表示部3に表示する湿度も更新せず、判定マスク区間の前に表示させた値をそのまま引き継ぐ。
【0050】
ところで、間欠運転モードに移行した後、最初の送風機11の駆動時間をTb’分としたのは、直前まで連続運転モードで送風機11が駆動していたので、本体1内の空気と室内空気を入れ替える時間が必要ないためである。また、間欠運転モードは送風機11の駆動停止から開始するようにしてもよい。
【0051】
なお、本実施例では検知湿度を加湿運転に反映させない時間をTm分としたが、この時間は送風機11の駆動を開始してから湿度センサ16周辺の温度と室内空気の温度が同程度となるまでの時間であり、送風機11の駆動が停止することによる本体1内部の温度の上昇値や、本体1内での空気の対流条件などによって適宜設定する必要がある。
【0052】
また、送風機11の駆動開始から所定時間は湿度センサ16で湿度を検知するものの、検知湿度と第二の所定値との比較を行わないこととしているが、この間の湿度が加湿運転に反映されなければよいので、所定時間の間は湿度センサ16の検知自体を行わないようにしてもよい。
【0053】
なおこの発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、加湿方式としては温風用ヒータを用いた温風気化式に限らず、気化式やスチーム式などを用いてもよい。
【0054】
また、上述の加湿器を備えた空気清浄機においても、同様の効果を得ることができる。
【0055】
さらに、空気中の水分を除去する除湿部を備え、湿度センサの検知湿度と設定湿度をもとに、送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとを切り換えて制御する除湿器においては、湿度センサが検知する湿度が実際の室内湿度よりも低くなることにより、設定湿度よりも室内湿度が高くなっているのに除湿されないという不具合を防止する効果を得ることができる。