特許第5992786号(P5992786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5992786-加湿器及び加湿空気清浄機、除湿器 図000002
  • 特許5992786-加湿器及び加湿空気清浄機、除湿器 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992786
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】加湿器及び加湿空気清浄機、除湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20160901BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   F24F11/02 102V
   F24F6/00 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-206408(P2012-206408)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-62650(P2014-62650A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早川 直
(72)【発明者】
【氏名】堀江 淳
(72)【発明者】
【氏名】草▲なぎ▼ 明彦
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−098630(JP,A)
【文献】 特開平10−253127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿空気を発生させる加湿部と、室内空気を取り入れ、前記加湿部を通過させて加湿空気とし室内に吹き出す送風機と、室内湿度を検知する湿度センサと、前記湿度センサで検知された検知湿度と予め設定した設定湿度の差により加湿運転を制御し、前記送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとに切り換える制御部を備えた加湿器において、前記制御部は、間欠運転モード中に前記送風機を駆動した後、前記湿度センサ周辺の温度が室内空気よりも高い間は検知湿度を加湿運転に反映させないことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
請求項1に記載の加湿器を有することを特徴とする空気清浄機。
【請求項3】
空気中の水分を除去する除湿部と、室内空気を取り入れ、前記除湿部を通過させて除湿空気とし室内に吹き出す送風機と、室内湿度を検知する湿度センサと、前記湿度センサで検知された検知湿度と予め設定した設定湿度の差により除湿運転を制御し、前記送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとに切り換える制御部を備えた除湿器において、前記制御部は、間欠運転モード中に前記送風機を駆動した後、前記湿度センサ周辺の温度が室内空気よりも高い間は検知湿度を除湿運転に反映させないことを特徴とする除湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿度センサの検知湿度と設定湿度をもとに、送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとを切り換えて制御する加湿器及びこの加湿器を備えた空気清浄機、または除湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加湿器では、湿度センサにより室内湿度を検知して予め設定した湿度との差により加湿量を制御して加湿運転を行っている。また、加湿運転中に検知湿度が設定湿度に達すると、過加湿の状態になることを防ぐために送風機を停止させる制御が一般的に行なわれている。
【0003】
しかし、送風機が停止しても加湿部に残存する水が気化するため、高湿度の加湿空気が本体の外部に放出されることなく本体内部に滞留する。そして、湿度センサがこの加湿空気を検知することにより検知湿度が実際の室内湿度よりも高く表示され適切な加湿制御ができないという問題があった。
【0004】
そこで、この問題を解決するため、特許文献1のように検知湿度が設定湿度よりも高くなったときに、送風機を連続駆動させる連続運転モードから間欠駆動させる間欠運転モードに切り換える制御が行なわれている。つまり、送風機を間欠駆動することにより加湿量を抑えることができると同時に、本体内部に滞留する高湿度の加湿空気を本体の外部に放出し、新たに室内空気を取り入れることができるので、この送風機の駆動中に湿度センサにより湿度を検知すれば検知湿度と実際の室内湿度との差を低減することができ、適切な加湿制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−98630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、加湿運転を制御する制御部を構成する制御基板には、発熱性の電子部品が設けられており、その一部は加湿器の運転・停止に関わらず通電されて発熱している。そのため、間欠運転モードにおいて送風機の駆動が停止していると、室内の空気が本体内に流入しなくなり、電子部品から発せられる熱がこもって制御基板周辺の温度が上昇する。
【0007】
そして、送風機の駆動が停止した状態から送風機の駆動を開始すると、今度は送風機の回転により制御基板周辺の温度の高い空気が本体内に拡散するため、湿度センサ周辺の温度も室内の温度より上昇することとなる。空気中の水分量が同じであっても温度が高くなれば相対湿度が低下するため、湿度センサは実際の室内湿度よりも低い値を検知してしまう。
【0008】
すると、制御部では湿度が低くなったと判断して間欠運転モードを解除し、送風機を連続運転モードに切り換えてしまい、これにより過加湿の状態となったり、加湿量を増やすために送風機の回転数を上げてしまうことで使用者には耳障りに聞こえてしまうおそれがある。
【0009】
また、同様の制御を行う除湿器においては、湿度センサが検知する湿度が実際の室内湿度よりも低くなることにより、設定湿度よりも室内湿度が高くなっているのに除湿運転が行われないことになる。
【0010】
この問題は、本体の小型化のために制御基板上の発熱性の部品と湿度センサを近くに配置したり、また加湿(除湿)性能を向上させるために本体内部の気密を高くすることにより起こりやすくなる。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、送風機を間欠駆動する間欠運転モードで送風機を駆動する際に、制御基板からの発熱の影響を受けることなく、正確に湿度を検知することのできる加湿器及びこの加湿器を備えた空気清浄機、除湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、加湿空気を発生させる加湿部と、室内空気を取り入れ、前記加湿部を通過させて加湿空気とし室内に吹き出す送風機と、室内湿度を検知する湿度センサと、前記湿度センサで検知された検知湿度と予め設定した設定湿度の差により加湿運転を制御し、前記送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとに切り換える制御部を備えた加湿器において、前記制御部は、間欠運転モード中に前記送風機を駆動した後、前記湿度センサ周辺の温度が室内空気よりも高い間は検知湿度を加湿運転に反映させないことを特徴とする加湿器である。
【0014】
また、請求項1に記載の加湿器を有することを特徴とする空気清浄機である。
【0015】
また、空気中の水分を除去する除湿部と、室内空気を取り入れ、前記除湿部を通過させて除湿空気とし室内に吹き出す送風機と、室内湿度を検知する湿度センサと、前記湿度センサで検知された検知湿度と予め設定した設定湿度の差により除湿運転を制御し、前記送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとに切り換える制御部を備えた除湿器において、前記制御部は、間欠運転モード中に前記送風機を駆動した後、前記湿度センサ周辺の温度が室内空気よりも高い間は検知湿度を除湿運転に反映させないことを特徴とする除湿器である。
【発明の効果】
【0017】
上述のように構成することにより、加湿器およびこの加湿器を備えた空気清浄機においては、間欠運転モードで送風機を駆動した際にも湿度センサは正確に湿度を検知することができるので、過加湿や送風機の回転数の上昇が原因となる不快感を抑えることができる。
【0018】
また、除湿器においては、間欠運転モードで送風機を駆動した際にも湿度センサは正確に湿度を検知することができるので、室内湿度が設定湿度より高くなった際には速やかに除湿運転を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の加湿器の外観斜視図である。
図2】本発明の加湿器の断面構成図である。
図3】間欠運転モードにおける加湿器の動作を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用効果を示して簡単に説明する。
【0021】
本発明は、湿度センサの検知湿度と設定湿度をもとに、送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとを切り換えて制御する加湿器であって、間欠運転モード中に送風機を駆動したときには、駆動開始から湿度センサ周辺の温度が室内空気よりも高い間は湿度センサの検知湿度を加湿運転に反映させないように構成した。
【0022】
間欠運転モードでは送風機の駆動と駆動停止を繰り返していて、送風機の駆動が停止していると、室内の空気が本体内に流入しなくなるため、電子部品から発せられる熱がこもって制御基板周辺の温度が上昇する。そして、この状態から送風機の駆動を開始すると、制御基板周辺の温度の高い空気が本体内に拡散して湿度センサ周辺の温度が室内の温度より上昇することになる。温度が上昇すると相対湿度が低下するため、湿度センサは実際の室内湿度よりも低い値を検知してしまい、連続運転モードに復帰してしまうおそれがある。
【0023】
そこで、間欠運転モード中において、送風機の駆動開始から湿度センサ周辺の温度が室内空気よりも高い間、つまり本体内にこもった温度の高い空気と室内空気を入れ替えている間は、湿度センサの検知湿度を加湿運転に反映させないようにして、実際よりも低く検知された湿度に基づいて加湿制御が行われてしまうことを防止する。これにより、過加湿や送風機の回転数の上昇が原因となる不快感を抑えることができる。
【0025】
また、本発明の加湿器は、空気清浄機に適用しても同様の効果を有するものである。
【0026】
また、湿度センサの検知湿度と設定湿度をもとに、送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとを切り換えて制御する除湿器においても、間欠運転モード中は送風機の駆動開始から湿度センサ周辺の温度が室内空気よりも高い間は湿度センサの検知湿度を除湿運転に反映させないようにすることで、実際よりも低く検知された湿度に基づいて除湿制御が行われてしまうことが防止される。これにより、実際の室内湿度が設定湿度よりも高くなっているのに、除湿運転が行われない状態を回避し、速やかに除湿運転を行うことができる。

【実施例1】
【0027】
以下本発明の一実施例としての加湿器を図面により説明する。
【0028】
図1は加湿器の外観斜視図である。加湿器の本体1の上面には、加湿器の動作を指示するための多数のスイッチが設けられた操作部2、湿度を表示するための湿度表示部3、加湿空気を吹き出す吹出口4が設けられている。本体の側面には室内の空気を本体1に取り入れるための吸込口5が設けられ、さらに吸込口5の上部には後述する湿度センサ16に連通する通気口6が形成されている。また、加湿空気を発生させる加湿部8に水を供給する水タンク7が本体1に着脱自在に設けられる。
【0029】
図2は加湿器の縦断面構成図である。本体1の底部には水タンク7から水が供給されて一定量の水を貯える水槽部9と、この水槽部9内に吸水性を有する気化フィルタ10が配置されていて、水槽部9と気化フィルタ10により加湿空気を発生させる加湿部8が構成される。気化フィルタ10は一部が水槽部9内の水に浸漬されており、この水を吸い上げることにより湿潤している。
【0030】
そして、気化フィルタ10の上部にはモータ12とシロッコファン13からなる送風機11が設けられており、この送風機11の駆動により吸込口5から吹出口4にいたる通風路に送風が行われる。また、通風路中の気化フィルタ10の上流には、吸込口5から導入された空気を加熱して温風とするための温風用ヒータ14が設けられている。
【0031】
送風機11が駆動されると、シロッコファン13が回転することにより室内の空気が吸込口5から取り込まれ、取り込まれた空気は温風用ヒータ14を通過する間に温風となって、さらに温風は気化フィルタ10を通過することで加湿空気となり、加湿空気が吹出口4より室内に放出される。
【0032】
さらに、送風機11の上部には、加湿器の動作を制御するための制御部15を構成する制御基板が設けられ、この制御基板15には種々の電子部品や湿度センサ16が配置されていて、電子部品の取り付け面を下にして本体に固定されている。
【0033】
制御基板15は、AC−DCコンバータ、ダイオード、リセットIC、マイコン、レギュレータ、コンデンサ等の電子部品が配置され、一部の電子部品は発熱性を有しており、通電されることにより発熱する。また、これら発熱性の電子部品のうち、特にAC−DCコンバータやレギュレータなどは電源が投入されると加湿器の運転・停止に関わらず通電されて発熱する。
【0034】
次に、上述の構成における加湿器の動作について説明する。
【0035】
操作部2の運転スイッチを操作して運転開始の指示を行い、さらに湿度設定スイッチで目標とする湿度を選択すると送風機11が駆動されるので、室内の空気は吸込口5から本体1内に取り入れられ、取り入れられた空気は気化フィルタ10を通過する際に加湿空気となって吹出口4から排出されて加湿運転が行われる。また、送風機11が駆動してシロッコファン13が回転することにより本体1内が負圧となることから、制御基板15に設けられた湿度センサ16周辺には通気口6から室内の空気が取り込まれて湿度センサ16は室内の湿度を検知する。そして、湿度センサ16の検知湿度は湿度表示部3に表示される。
【0036】
このようにして加湿運転が開始されると、湿度設定スイッチにより設定された設定湿度と、湿度センサ16の検知湿度の差に応じて、制御部15は温風用ヒータ14への通電や送風機11の回転数を制御して設定湿度に近づけるよう加湿運転が行われる。さらに送風機11は、回転数を変えながら連続駆動させる連続運転モードと、所定の駆動停止時間を挟んで間欠駆動させる間欠運転モードに切り換えて制御される。
【0037】
例えば送風機11を連続駆動させる連続運転モードでは、運転開始初期など湿度センサ16の検知湿度と設定湿度の差が大きいときは、送風機11の回転数を最大にするとともに温風用ヒータ14への通電を行うことで加湿量を多くして短時間で設定湿度に近づけるよう制御する。一方で、検知湿度と設定湿度の差が少なくなってくると、徐々に送風機11の回転数を下げるとともに、温風用ヒータ14への通電を停止することで加湿量を少なくして室内の湿度を設定湿度に維持するよう加湿運転が制御される。
【0038】
そして、加湿量を最低にしても検知湿度が設定湿度を超えた場合は、このまま送風機11を連続駆動させる連続運転モードを実行すると室内湿度が上昇し続ける過加湿の状態となってしまうため、送風機11の駆動を一旦停止して加湿運転を中断させる必要がある。ところが、加湿運転を中断しても加湿部8には水が残っていて、この残った水が蒸発するため、本体1内部では加湿空気が発生する。そのため、送風機11を完全に停止してしまうと加湿空気が本体1内に滞留することとなり、本体1内の湿度が上昇して湿度センサ16の検知湿度が実際の室内湿度より高くなってしまう。そこで、送風機11を間欠駆動する間欠運転モードに移行する。間欠運転モードを実行することにより、送風機11を駆動した際に本体1内に滞留した加湿空気が排出されて、室内の空気が湿度センサ16に流入するため湿度センサ16が正しい湿度を検知できるようになる。
【0039】
具体的には、湿度センサ16が設定湿度より数%高い値である第一の所定値をT1秒連続して検知した場合には湿度過多状態であると判断し、連続運転モードから間欠運転モードに移行する。
【0040】
そして、間欠運転モードを実行することで室内湿度が低下し、湿度センサ16の検知湿度が設定湿度を下回った場合には、間欠運転モードから連続運転モードへ復帰する。具体的には、湿度センサ16が第一の所定値より低い第二の所定値をT2秒連続して検知した場合には湿度が低下してきているので加湿運転が必要と判断し、間欠運転モードから連続運転モードに復帰する。
【0041】
次に、間欠運転モードにおける送風機11の駆動制御と検知湿度の判定について図3のタイムチャートに基づき説明する。
【0042】
連続運転モードを実行中に、湿度センサ16の検知湿度が第一の所定値を越えたことをT1秒検知すると、連続運転モードから間欠モードへ移行する(図中A点)。間欠運転モードでは、送風機11は最小回転数Loで駆動されるようになっている。この最小回転数Loとは、連続運転モードにおける最小回転数と同じでも良いし、さらに低い回転数としてもよい。
【0043】
間欠運転モード中は、所定の駆動停止時間を挟んで送風機11が駆動され、例えば本実施例では、送風機11がTa分の駆動停止とTb分の駆動を繰り返すよう制御されている。ただし、間欠運転モードに移行した際の最初の送風機11の駆動時間はTb分よりも短いTb’分としている。
【0044】
なお、間欠運転モード中も連続運転モードと同様に常時湿度センサ16により室内の湿度の検知を行っていて、検知湿度が第二の所定値以下となったことをT2秒検知すると、間欠運転モードから連続運転モードに復帰する。
【0045】
ところで、制御基板15上の電子部品には、送風機11の駆動が停止していても電源が投入されているだけで通電されて発熱する部品があるため、間欠運転モード中であっても制御基板15周辺の温度は室内と比べて高い状態となっている。さらに、送風機11の駆動が停止していることにより、本体1内部には空気が流入しないため、制御基板15が発する熱は本体1内部にこもってしまう。
【0046】
そして、このように内部に熱がこもった状態で送風機11の駆動停止時間が経過して送風機11の間欠駆動を開始すると、制御基板15周辺の熱が拡散して湿度センサ16周辺の温度を上昇させることになる。空気中に含まれる水分量が同じであっても、温度が高ければ相対湿度が低下してしまうため、湿度センサ16の検知湿度は低下する。つまり、湿度センサ16に正確な湿度を検知させるために、送風機11を間欠駆動させて室内の空気を本体1内に流入させたにもかかわらず、送風機11を駆動した直後は相対湿度の低下により湿度センサ16の検知湿度が実際の室内湿度よりも低くなってしまう。もし、検知湿度が第二の所定値よりも低い状態がT2秒連続すると、間欠運転モードが解除されて連続運転モードに復帰してしまうが、連続運転モードに復帰すると過加湿になったり、送風機11の回転数が上がることで使用者に不快感を与えてしまうおそれがある。
【0047】
そこで、間欠運転モードで送風機11の間欠駆動を開始した際には、送風機11の駆動開始から所定時間は湿度センサ16の検知湿度を加湿制御には反映させないようにする。具体的には、間欠運転モードで送風機11を駆動するTb分のうち最初のTm分(図中網掛け部分)は、判定マスク区間として湿度センサ16は湿度を検知するものの、第二の所定値との比較を行わない。そして、判定マスク区間のTm分が経過した後は検知湿度と第二の所定値とを比較して、検知湿度が第二の所定値以下となったことをT2秒検知した場合には、実際の室内の湿度が低下していると判断して間欠運転モードを解除し、連続運転モードへ復帰する。
【0048】
つまり、送風機11が間欠駆動を開始してからのTm分で本体1内に滞留した空気と室内空気を入れ替えており、この入れ替えの間は湿度センサ16周辺の温度が室内空気の温度よりも高く正しい湿度が検知できない可能性があるため、第二の所定値との比較を行わず加湿制御に反映させない。そして、Tm分経過し湿度センサ16周辺と室内空気の温度が同程度となったときに湿度センサ16が正しい湿度を検知することができると判断して、湿度センサ16の検知湿度と第二の所定値とを比較して加湿制御に反映させる。
【0049】
この判定マスク区間では、湿度表示部3に表示する湿度も更新せず、判定マスク区間の前に表示させた値をそのまま引き継ぐ。
【0050】
ところで、間欠運転モードに移行した後、最初の送風機11の駆動時間をTb’分としたのは、直前まで連続運転モードで送風機11が駆動していたので、本体1内の空気と室内空気を入れ替える時間が必要ないためである。また、間欠運転モードは送風機11の駆動停止から開始するようにしてもよい。
【0051】
なお、本実施例では検知湿度を加湿運転に反映させない時間をTm分としたが、この時間は送風機11の駆動を開始してから湿度センサ16周辺の温度と室内空気の温度が同程度となるまでの時間であり、送風機11の駆動が停止することによる本体1内部の温度の上昇値や、本体1内での空気の対流条件などによって適宜設定する必要がある。
【0052】
また、送風機11の駆動開始から所定時間は湿度センサ16で湿度を検知するものの、検知湿度と第二の所定値との比較を行わないこととしているが、この間の湿度が加湿運転に反映されなければよいので、所定時間の間は湿度センサ16の検知自体を行わないようにしてもよい。
【0053】
なおこの発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、加湿方式としては温風用ヒータを用いた温風気化式に限らず、気化式やスチーム式などを用いてもよい。
【0054】
また、上述の加湿器を備えた空気清浄機においても、同様の効果を得ることができる。
【0055】
さらに、空気中の水分を除去する除湿部を備え、湿度センサの検知湿度と設定湿度をもとに、送風機を連続駆動する連続運転モードと間欠駆動する間欠運転モードとを切り換えて制御する除湿器においては、湿度センサが検知する湿度が実際の室内湿度よりも低くなることにより、設定湿度よりも室内湿度が高くなっているのに除湿されないという不具合を防止する効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
8 加湿部
11 送風機
15 制御部(制御基板)
16 湿度センサ
図1
図2
図3