(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した特許文献2の魚釣用電動リールに用いられる操作部材は、親指一つで回動操作することができるので操作性に優れる。
一方、魚釣用電動リールに用いられる駆動モータは、近年、より高性能化しており、この高性能化した駆動モータの出力を調節する操作部材においても回動操作性のさらなる向上が求められている。
【0006】
本発明は、操作部材の回動操作性に優れた魚釣用電動リールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明の魚釣用電動リールは、リール本体の左右側板間に設けられ、釣糸が巻回されるスプールと、前記リール本体に設けられ、スプールを回転駆動する駆動モータと、前記左右側板間に配設された制御ケースと、前記駆動モータの出力を調節する略円筒形状の操作部材と、を有する魚釣用電動リールにおいて、前記操作部材は、前記制御ケースの後部において、前記制御ケースに固定された支持部によって回動可能に支持されており、前記操作部材の回動軸周りには、
凹部と凸部とを有する係合手段が設けられており、前記係合手段は、前記操作部材の回動の際に部材の弾力性を利用した抵抗力を付与し、
前記係合手段は、外部空間から仕切られた空間内に配置されている。
【0008】
この魚釣用電動リールによれば、操作部材を回動操作して駆動モータの出力を調節する際に、部材の弾力性を利用した抵抗力(節度感のある抵抗力)を付与することができる。これにより操作する指を通じて操作部材の調節具合(回動操作位置)を認識することができ、駆動モータの出力状態を把握することができる。
【0009】
前記操作部材の操作角度に応じて操作位置信号を出力する角度センサ
を備え、前記角度センサは、前記支持部に支持されて前記操作部材に向って開口する有底筒状のケース本体と、一端側が前記操作部材に固定され、他端側が前記ケース本体に回動自在に支持されて前記ケース本体の開口を閉塞する軸部材と、を備え、前記係合手段は、前記ケース本体内に配置されていることを特徴とする。
【0010】
この魚釣用電動リールによれば、係合手段が角度センサに備わるので、係合手段を有する構造において省スペース化を図ることができる。
【0011】
また、本発明は、
前記支持部材は、前記操作部材内に挿通されて前記操作部材を回転自在に支持する支軸と、前記支軸に装着されて前記操作部材の一端側開口をシールするOリングと、を備え、前記操作部材は、他端側開口を閉塞する仕切壁を備え、前記係合手段は、前記支持部と前記操作部材との間
であって前記Oリングと前記仕切壁との間に位置し、前記係合手段は、前記支持部と前記操作部材との対向部において、その一方に
前記凹部を設けるとともに、他方に前記凹部に弾性係合する
前記凸部を設けてなることを特徴とする。
【0012】
この魚釣用電動リールによれば、支持部と操作部材との対向部に、凹部と凸部とを設けるという簡単な構成にて係合手段を容易に設けることができる。
【0013】
また、本発明は、前記凹部は、複数設けられていることを特徴とする。
【0014】
この魚釣用電動リールによれば、操作部材を回動操作して駆動モータの出力を調節する際に、操作部材の回動に節度感のある抵抗力を複数付与することができる。これにより操作部材の調節具合(回動操作位置)を指の操作感覚を通じてより細かく認識できるようになり、駆動モータの出力状態がより把握し易くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、係合手段の作用によって操作部材の回動の際に節度感のある抵抗力を付与することができるので、操作する指を通じて操作部材の調節具合(回動操作位置)を認識することができ、駆動モータの出力状態を把握し易い。したがって、操作部材の回動操作性に優れた魚釣用電動リールが得られる。
また、操作部材には、係合手段により回動方向へ回動し難くなっているので、係合手段を利用して操作部材を所定の節度位置(回動位置)に留め置くことができる。これにより、例えば、衣服や指等の予期しない接触によって操作部材が誤回動することを抑制することができる。
【0016】
また、係合手段が角度センサに備わる構成では、係合手段を有する構造において省スペース化を図ることができるので、操作部材周りのコンパクト化が可能である。これにより、操作部材の回動操作性を向上することができる。また、コンパクト化により、軽量化、コスト低減を図ることができる。
【0017】
また、係合手段は、支持部と操作部材との間に設けられている構成では、支持部と操作部材との対向部に、凹部と凸部とを設けるという簡単な構成にて係合手段を容易に設けることができるので、コスト低減を図ることができる。
また、操作部材の調節具合(回動操作位置)が操作部材から指にダイレクトに伝わるので、駆動モータの出力状態をより把握し易い。
【0018】
また、凹部を複数設けることで、操作部材の回動の際に節度感のある抵抗力を複数付与することができるので、駆動モータの出力状態をより把握し易い。したがって、操作部材の回動操作性に優れた魚釣用電動リールが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る魚釣用電動リールの実施形態について図面を参照して説明する。ここで、以下の説明において、「前後」「左右」を言うときは、
図1に示した方向を基準とする。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の魚釣用電動リール1は、左右のフレーム3a,3bに左右カバー4a,4bを取着して構成される左右側板5A,5Bを具備したリール本体5を有している。リール本体5を構成する一方の側板(右側板5B)側には、巻き取り操作される手動ハンドル6が設けられている。左右側板5A,5B間には、釣糸が巻回されるスプール7が軸心7a(
図4(a)参照)を中心に回転可能に支持されている。
本実施形態では、スプール7の前方側における左右側板5A,5B間に駆動モータ8を保持しており、スプール7は、手動ハンドル6の巻き取り操作および駆動モータ8の回転駆動によって、動力伝達機構10を介して釣糸巻き取り方向に回転駆動される。
【0022】
なお、駆動モータ8については、スプール7の内部に設置する構成であってもよいが、本実施形態のように、スプール7の前方に設置することで、スプール7の糸巻き量を確保しつつ、リール本体5を可及的にコンパクト化することが可能となる。
また、動力伝達機構10については、駆動モータ8の回転駆動力を減速してスプール7側に伝達する機能(減速機構102および伝達ベルト103などによって構成される)、駆動モータ8が回転駆動しても手動ハンドル6を連れ回しさせない機能や手動ハンドル6の逆回転を防止する機能(ラチェット104を含む)などを備えた公知のものによって構成することが可能である。
また、そのような動力伝達機構10については、左側板5A側に配設されていてもよいし、右側板5B側に配設されていてもよく、または、左右側板5A,5Bのそれぞれに振り分けて配設されていてもよい。
なお、手動ハンドル6はハンドル軸116に固定されており、ハンドル軸116にドライブギヤ118が回転可能に支持されている。ドライブギヤ118にはピニオン120が噛合しており、これらのハンドル軸116、ドライブギヤ118、ピニオン120は、動力伝達機構10を構成している。また、ハンドル軸116には、魚釣時にスプール7から釣糸が繰り出された際にスプール7の回転にドラグ力を付与する公知のドラグ機構125が設けられている。リール本体5と手動ハンドル6との間には、ドラグ機構125によるドラグ力の調整を行うための星型のドラグ調整ノブ(スタードラグ)139が設けられている。
【0023】
また、スプール7の前方の左右側板5A,5B間には、スプール7に対して均等に釣糸を巻回する機能を備えた公知のレベルワインド機構145(
図4(a)参照)が設置されている。さらに、リール本体5を構成する左右側板5A,5B間のスプール7の上方には、駆動モータ8を制御する制御部100(
図3(a)参照)を具備する制御ケース15が配設されている。この制御ケース15は、その表面が左右側板5A,5Bの表面と面一状に構成されている。
そして、制御ケース15の後端部には、操作部材25が配設されている。操作部材25の詳細は後記する。
【0024】
リール本体5内には、
図1に示すように、ピニオン120を軸方向に移動させてスプール7を釣糸巻き取り状態またはフリー回転状態に切り換える公知のクラッチ機構17が配置されている。このクラッチ機構17は、動力伝達機構10に介在されて手動ハンドル6および駆動モータ8からの動力伝達を継脱する機能を備え、右側板5B側に設置されている。このクラッチ機構17を構成する図示しないクラッチプレートには、動力伝達をON状態からOFF状態に切り換えるクラッチレバー18と、動力伝達をOFF状態からON状態に切り換える切り換え部材19が係合している。
【0025】
本実施形態におけるクラッチレバー18は、スプール7をサミングしながら操作が可能となるように、スプール7の後方側の左右側板5A,5B間に設けられている。クラッチレバー18を押し下げ操作することで、クラッチ機構17をON状態からOFF状態に切り換えることができる。クラッチレバー18は、図示しない振り分け保持バネによって、
図4(a)に示すクラッチON位置とクラッチOFF位置(図示せず)との間で振り分け保持されている。
【0026】
また、本実施形態における切り換え部材19は、右側板5B側に設置されており、振り分け保持バネ(不図示)によって、クラッチON位置とクラッチOFF位置との間で揺動可能となるよう振り分け保持されている。
【0027】
図1において、リール本体5には、駆動モータ8に対して電力を供給するための給電部20が設けられている。この給電部20は、左側板5Aの前方側の下面領域に形成されている(
図3(a)参照)。給電部20に対しては、着脱可能な図示しない携帯用小型バッテリ22(
図5参照)や汎用のバッテリ、さらには、釣り船に設備されている給電コード等が装着可能である。
【0028】
制御ケース15は、スプール7の前方側に設けられている。具体的には、制御ケース15は、スプール7の上方前方において、スプール7の軸心O2の近傍からレベルワインド機構145(
図4(a)参照)および駆動モータ8を覆う大きさを備えており、その後端部分に、駆動モータ8の出力を調節する操作部材25が配置されている。
操作部材25は、スプール7の上方に位置して、前後方向(釣竿方向)に回動操作可能に支持されている。本実施形態では、スプール7に釣糸が巻回された状態において、釣糸をサミング操作しながら親指で操作部材25を回動操作することが可能となるように、平面視で、操作部材25の回動軸O1がスプール7の軸心O2よりも前方にオフセットする状態に配置されている。
これにより、操作部材25は、リール本体5を、リール脚取付け部5a(
図4(a)参照)を介して、
図5に示すように、釣竿Rに装着した際に、釣竿Rとともにリール本体5を把持した手の親指Tで回動操作が可能となっている。
つまり、釣竿Rとリール本体5を保持した姿勢で片手操作を行うことが可能となる。
【0029】
操作部材25は、略円筒形状を呈している。操作部材25は、その外表面が、左右側板5A,5B間でスプール7を露出させる開口領域に面しており、回動する方向が前後方向(後方側から見ると上下方向)となるように、回動軸O1が左右方向(水平面内においてリール本体5の前後方向に直交する方向)に支持されている。
これにより、親指でサミングしながら、親指の指先で操作部材25に触れていることが可能となる。したがって、サミングによるアタリを感知しながら、即座にモータ駆動による巻き取りが可能となる。さらに、操作部材25は、略前後方向に移動可能となっていることから、同時にサミングしたり離したりする(接触させたり離す)指の動きと同一方向となり、操作性が良好となる。
【0030】
操作部材25は、
図3(a)に示すように、その両端部が支持部材(支持部)220,230を介して制御ケース15の後端部に回動可能に支持(両軸支持)されている。これにより、操作部材25に対する糸絡みが防止されている。また、操作部材25は、左右側板5A,5Bの中央領域に位置しており、リール本体5の重心(不図示)に対する把持位置のバランスが良好となっている。したがって、操作性がよく、疲れ難く、さらに、右手、左手のどちらの手で把持しても共通の操作感覚が得られる。なお、
図3(a)では、図面下側が上方、図面上側が下方を示している。
【0031】
なお、制御ケース15の後方部位には、後方から親指Tでサミングしたまま指先で操作部材25に触れることができるように開放部210(
図2参照)が設けられ、この開放部210内に操作部材25が配置されている。ここで、
図2に示すように、開放部210は、スプール7側(後方側)に向かって開放幅が広がる「ハ」の字形状を呈しており、制御ケース15の後端縁で開口形成されている。したがって、スプール7上のどの位置においてもサミング操作から操作部材25の回動操作への移行がスムーズに行える。
【0032】
操作部材25は、
図3(a)に示すように、中間部分が膨出して大径部25aとされ、左右両側部が大径部25aよりも細い小径部25bとされており、回動軸O1方向に段付き円筒状とされた外周面を有している。大径部25aの周面には、ローレット加工が施されており、その一部に突起254(
図4(a)参照)が設けられている。
操作部材25の内側には、仕切壁25eにより回動軸O1方向に仕切られる2つ内孔25c,25dが形成されている。仕切壁25eは、操作部材25の右側(角度センサ130が配置される側)に偏倚した位置に(右側の小径部25bの略内側に)形成されており、左側の内孔25cの容積が右側の内孔25dの容積よりも大きなものとなっている。仕切壁25eには、角度センサ130の軸部133が挿通される支持孔25fが形成されている。
【0033】
なお、操作部材25は、内部が中実であってもよいし、全体あるいは部分的に空洞部があってもよい。また、その外形状についても種々の形態を採り得る。本実施形態のように、中間部分が膨出した形状は勿論、周囲に凹凸が形成されていたり、指でつまんだり、当て付けることが可能な突起部が形成されたものであってもよい。あるいは、回動軸O1方向の中間部分が窪んでいるなど、親指Tの腹部が当接できて回動操作ができるような外形状を備えたものであればよい。さらに、制御ケース15の表面から突出していてもよいし、操作部材25の大径部25a等が制御ケース15(リール本体5)との間で略面一状にされていてもよい。
【0034】
支持部材220は、固定部221と支軸222とを備える。固定部221は、制御ケース15の左後端の内面に対応する外形状を有しており、制御ケース15の左後端の内側に収容されて固定される。支軸222は、略円柱状を呈しており、回動軸O1方向に延出して、操作部材25の内孔25cの略全体に挿入される大きさを有している。支軸222の先端外周面には、周溝224が形成されており、周溝224にOリング225が装着されている。周溝224は、支軸222が内孔25cに挿入された状態で、操作部材25の回動軸O1方向の略中央部に位置するようになっており、Oリング225は、この略中央部において、操作部材25と支軸222との間に介設されている。つまり、支軸222は、筒状の操作部材25の内孔25cにOリング225を介してシール状態で挿通されている。
【0035】
支持部材230は、
図3(a)に示すように、その内側に角度センサ130を収容している。角度センサ130は、ケース131と、蓋部材132と、軸部133と、回動部材134と、を備える。ケース131は、操作部材25側に向けて段状に縮径しており、内側に回動部材134が回動可能に収容されている。また、ケース131は、軸部133を回動可能に支持している。ケース131の端部外面には、カラー229が装着され、このカラー229を介して操作部材25の右端が支持されている。蓋部材132は、ケース131の開口に装着されて開口を塞いでいる。なお、回動部材134と蓋部材132との間には、図示しない電気的接点が設けられている。
軸部133は、ケース131に回動可能に支持され、操作部材25に向けて延出している。軸部133の先端部は、操作部材25の仕切壁25eの支持孔25fに挿通されている。軸部133の先端部には、ナット136が締結され、ナット136の締結により、軸部133が仕切壁25eに固定されている。
【0036】
回動部材134は、軸部133の右端に一体的に固定されている。これにより、軸部133が回動すると回動部材134が一体に回動する。
回動部材134の右側部には、係合手段140の一方をなす凸部141が設けられている。凸部141は、回動部材134に一体的に形成されており、蓋部材132に向けて突出している。蓋部材132には、係合手段140の他方をなす凹部142が形成されている。凹部142は、凸部141の形成位置に対応する位置に形成されており、凸部141が係合可能である。
図3(c)に示すように、凹部142(二点鎖線で図示、凸部141に重なる部分は実線で図示)は、凸部141の回動方向に沿って蓋部材132に3箇所形成されている。3つの凹部142は、隣同士が約60度間隔で配置されている。したがって、両端の凹部142,142同士は、120度の間隔を空けて配置されている。
【0037】
なお、蓋部材132は、若干の弾力性を有する材料で形成されており、この弾力性を利用して凹部142に対して凸部141が係脱可能となっている。この蓋部材132の弾力性を利用して、操作部材25の回転の際に節度感のある抵抗力が付与されるようになっている。
この場合、凸部141を回動部材134に対して出没自在に設け、バネ等の付勢手段によって、凹部142と凸部141とで操作部材25の回動の際に節度感のある抵抗力が付与されるように構成してもよい。また、凸部141自体を弾力性を有する部材で形成して凹部142に係脱可能に係合させてもよい。
【0038】
ここで、操作部材25が前後方向の一番後側に回動操作されると、凸部141が二点鎖線で示した凹部142(G1の位置)に回動してきて、この凹部142に係合する状態となる。つまり、操作部材25は駆動モータ8の出力がゼロとなる初期位置において、節度感のある抵抗力をもって保持される。
なお、
図4(b)に示すように、操作部材25が初期位置にあるときには、操作部材25の外面に設けられたストッパ部251が制御ケース15に設けられた第1の規制部151に当接した状態となり、後側に向けた操作部材25の回動が規制される。
【0039】
また、操作部材25が前後方向の略中間位置に回動操作されると、
図3(c)に示すように、凸部141が二点鎖線で示した凹部142(G2の位置)に回動してきて、この凹部142に係合する状態となる。つまり、操作部材25は駆動モータ8の出力が約半分となる中間位置において、節度感のある抵抗力をもって保持可能となる。
なお、
図4(c)に示すように、中間位置に操作部材25が位置しているときには、操作部材25の外面のストッパ部251が周囲に当接することがないので、操作部材25の回動が規制されることはない。
【0040】
さらに、操作部材25が前後方向の一番前側に回動操作されると、凸部141が二点鎖線で示した凹部142(G3の位置)に回動してきて、この凹部142に係合する状態となる。つまり、操作部材25は駆動モータ8の出力が最大となる前側位置において、節度感のある抵抗力をもって保持される。
なお、
図4(d)に示すように、前側位置に操作部材25が位置しているときには、操作部材25のストッパ部251が制御ケース15の後端に設けられた第2の規制部152に当接した状態となり、前側に向けた操作部材25の回動が規制される。
【0041】
なお、
図3(a)に示すように、回動軸O1から凸部141と凹部142とが係合する位置までの半径をD1とし、回動軸O1から操作部材25の小径部25bの外面までの半径をD2とすると、これらの関係は、D1<D2となっている。つまり、回動軸O1の径方向において、凸部141と凹部142とが係合する位置は、小径部25bの外面よりも内側に位置していることとなり、これによって、比較的小さな回動操作力を加えることで、凸部141と凹部142との係合を容易に解除することが可能である。したがって、操作部材25の回動操作性に優れる。
【0042】
なお、角度センサ130は操作部材25の回動軸O1上にあり、この角度センサ130を利用して配置される係合手段140は、回動軸O1の延長上において回動軸O1の周りに設けられているので、操作部材25の側方の離れた位置において操作部材25の回動の際に節度感のある抵抗力を好適に付与することができる。したがって、操作部材25の大型化を回避しつつ、制御ケース15の大型も好適に回避することができる。また、係合手段140が操作部材25から離れていても、1本の回動軸O1上に操作部材25と係合手段140とが配置されているので、操作する指を通じて操作部材25の調節具合(回動操作位置)を認識し易い。
【0043】
図4(a)を再び参照して説明すると、制御ケース15には、駆動モータ8の駆動を制御する制御部100(制御基板120A,120B)が収容されており、操作部材25の回転操作量に応じて駆動モータ8の出力を調整するようになっている。この場合、制御部100は、前記のように操作部材25を前方に向けて回転操作することで、駆動モータ8の出力が上昇するように設定されている。すなわち、釣糸の巻き取りをする際、サミングしている親指Tをそのまま前方に延ばして、操作部材25を押し上げるような操作をすることで釣糸の巻き取り操作が行えるため、操作性の向上が図れる。
【0044】
なお、操作部材25の回転操作量と駆動モータ8の出力との関係については任意であるが、本実施形態では、操作部材25の初期位置をモータの出力値0として、120°前方に回転操作した際に、前記のようにモータ出力が最大となるように設定されている。すなわち、前方方向に向けて操作した際に増速とすることで、釣竿Rとリール本体5を持つ手に負荷がかかる高速巻き取り時に、より前方を把持できるので、把持保持性が高くなり、操作性がよくなる。したがって疲れ難くなる。
もちろん、操作部材25については、後方に向けて回転操作した際に、駆動モータ8の出力が上昇するように設定してもよい。このような操作部材の構成によれば、スプール7をサミングしている親指Tの第一関節を折り曲げる動作をするだけで、サミング操作をONからOFFにすると同時に、操作部材を手前側に回転操作(駆動モータ8の増速回転)することができ操作性のよい構成となる。
【0045】
前記制御ケース15の表面には、繰り出された釣糸の長さ(糸長情報)などを表示する表示部(液晶表示部)16が設けられており、また、その周囲には、各種の情報が設定可能な複数の操作ボタン216が配設されている。なお、本実施形態において、操作ボタン216は、
図5に明確に示されるように、制御ケース15の上面において、表示部16と操作部材25との間で且つ釣竿Rとともにリール本体5を把持した状態で親指Tが届く位置とされている。
なお、制御ケース15の前部には前板15Aが装着される(
図2参照)。
【0046】
以上説明した本実施形態の魚釣用電動リール1によれば、係合手段140の作用によって操作部材25の回動の際に節度感のある抵抗力を付与することができるので、操作する指を通じて操作部材25の調節具合(回動操作位置)を認識することができ、駆動モータ8の出力状態を把握し易い。したがって、操作部材25の回動操作性に優れた魚釣用電動リール1が得られる。
なお、操作部材25が親指Tで隠れてしまっても、節度感により操作部材25の調節具合(回動操作位置)を容易に認識することができる。
また、操作部材25には、係合手段140により回動方向へ回動し難くなっているので、係合手段140を利用して操作部材25を所定の節度位置(回動位置)に留め置くことができる。これにより、例えば、衣服や指等の予期しない接触によって操作部材25が誤回動することを抑制することができる。
【0047】
また、係合手段140が角度センサ130に備わるので、係合手段140を有する構造において省スペース化を図ることができ、操作部材25周りのコンパクト化が可能である。これにより、操作部材25の回動操作性を向上することができる。また、コンパクト化により、軽量化、コスト低減を図ることができる。
【0048】
(第2実施形態)
図6を参照して第2実施形態の魚釣用電動リールについて説明する。
本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、係合手段140が、角度センサ130内に配置されたリーフ型のスプリング部材50と、ケース131の内面に形成した凹部135とで構成した点にある。
【0049】
スプリング部材50は、固定部材52によって回動部材134の側面に固定されており、先端部51がケース131の内面に向けて突出している。
凹部135には、スプリング部材50の先端部51が係合可能であり、この係合によって、操作部材25の回動の際に節度感のある抵抗力が付与されるようになっている。
【0050】
このような係合手段140によっても操作部材25の回動の際に節度感のある抵抗力が付与されるので、操作する指を通じて操作部材25の調節具合(回動操作位置)を認識することができ、駆動モータ8の出力状態を把握し易い。したがって、操作部材25の回動操作性に優れた魚釣用電動リール1が得られる。
【0051】
(第3実施形態)
図7を参照して第3実施形態の魚釣用電動リールについて説明する。
本実施形態が前記第1,2実施形態と異なるところは、係合手段300が操作部材25の内孔25cに構成されており、操作部材25と支持部材220の支軸222との間で節度感をもたせた点にある。
【0052】
係合手段300は、支軸222の外周面に設けられた溝部301と、溝部301内に配置されたスプリング302と、溝部301に出没可能に配置されスプリング302により操作部材25へ向けて付勢された係合部材(凸部)303と、操作部材25の内面に形成され係合部材303が係合可能な凹部304と、を有する。
【0053】
このような係合手段300によっても操作部材25の回動の際に節度感のある抵抗力を付与することができるので、操作する指を通じて操作部材25の調節具合(回動操作位置)を認識することができ、駆動モータ8の出力状態を把握し易い。したがって、操作部材25の回動操作性に優れた魚釣用電動リール1が得られる。
【0054】
また、支持部材220の支軸222と操作部材25との対向部に、係合部材303や凹部304を設けるという簡単な構成にて係合手段300を容易に設けることができる。
また、操作部材25の調節具合(回動操作位置)が操作部材25から指にダイレクトに伝わるので、駆動モータ8の出力状態をより把握し易い。
【0055】
なお、係合手段300は、支持部材220の固定部221と、操作部材25の小径部25bとの対向部に設けてもよいし、支持部材230と、操作部材25の小径部25b(右側の小径部25b)との対向部に設けてもよい。
なお、これらの対向部において、他の凸部と凹部とからなる他の係合手段を用いて節度感をもたせてもよい。