特許第5992873号(P5992873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992873
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20160901BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   A63F5/04 512C
   A63F5/04ZAB
   A63F7/02 326C
【請求項の数】1
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-136957(P2013-136957)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-23880(P2015-23880A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-127954(P2013-127954)
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598098526
【氏名又は名称】株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】雪村 達祝
(72)【発明者】
【氏名】柴山 均
【審査官】 岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−104537(JP,A)
【文献】 特開2001−170262(JP,A)
【文献】 特開2004−250573(JP,A)
【文献】 特開平06−107984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントドア部を有する遊技機本体と、
前記フロントドア部に対して着脱可能なリユース可能部材と、を備え、
前記リユース可能部材は、樹脂製のベース部材と、該ベース部材上に形成され、水酸化カリウム、有機アルカリ、グリコールエーテル、プロパノール、界面活性剤、キレート剤及び水を含むアルカリ性の剥離液により設定温度約50℃び剥離時間約30分の条件で剥離されないクロムメッキ膜と、該クロムメッキ膜上に形成され、その上部に複数回塗装可能であり、前記剥離液により前記設定温度及び前記剥離時間の条件で剥離可能な塗装膜とを有する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の図柄がそれぞれの表面に配列された複数のリールと、スタートスイッチと、ストップスイッチと、各リールに対応して設けられたステッピングモータと、制御部とを備えた、「パチスロ」と呼ばれる遊技機が知られている。スタートスイッチは、メダルやコインなどの遊技媒体が遊技機に投入された後、スタートレバーが遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出し、全てのリールの回転の開始を要求する信号を出力する。ストップスイッチは、各リールに対応して設けられたストップボタンが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出し、該当するリールの回転の停止を要求する信号を出力する。ステッピングモータは、その駆動力を対応するリールに伝達する。また、制御部は、スタートスイッチ及びストップスイッチにより出力された信号に基づいて、ステッピングモータの動作を制御し、各リールの回転動作及び停止動作を行う。
【0003】
このような遊技機において、開始操作が検出されると、プログラム上で乱数を用いた抽籤処理(内部抽籤処理)が行われ、その抽籤の結果(内部当籤役)と停止操作のタイミングとに基づいてリールの回転が停止制御される。そして、全てのリールの回転が停止され、入賞の成立に係る図柄の組合せが表示されると、その図柄の組合せに対応する特典が遊技者に付与される。なお、遊技者に付与される特典の例としては、遊技媒体(メダル等)の払い出し、遊技媒体を消費することなく再度、内部抽籤処理を行う再遊技の作動、遊技媒体の払い出し機会が増加するボーナスゲームの作動等を挙げることができる。
【0004】
なお、遊技機は、通常、例えばリール等が内蔵されたキャビネットと、例えば各種スイッチが設けられたフロントドア(メインドア)とを備え、フロントドアは、キャビネットに対して開閉可能に取り付けられている。そして、従来、このような構成の遊技機では、遊技機筐体のリサイクル及びリユースに関する技術が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、遊技機のフロントドアに取り付けられる各種パネル(以下、フロントパネルという)を一体化し、この遊技機が回収された際には、一体化されたフロントパネルのユニットをそのままの状態で再利用する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−22144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来、遊技機筐体に対して種々のリユース技術が提案されている。しかしながら、上記特許文献1に記載されているようなリユース技術では、例えば、遊技機の企画や仕様の変化に対応してリユース可能部材の色を変えることができない、擦り傷程度の傷が存在するリユース可能部材もリユースの対象外になる等の課題がある。それゆえ、このようなリユース技術では、遊技機のリユース可能部材のリユース率の向上を図ることができないという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、遊技機のリユース可能部材のリユース率を高めることが可能な構成の遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、以下のような構成の遊技機を提供する。
【0009】
フロントドア部(例えば、後述のフロントドア2b)を有する遊技機本体と、
前記フロントドア部に対して着脱可能なリユース可能部材(例えば、後述の上パネル枠22の枠本体22a、左サイドパネルユニット30L及び右サイドパネルユニット30Rの各基板取付ベース31、並びに、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42)と、を備え、
前記リユース可能部材は、樹脂製のベース部材と、該ベース部材上に形成され、水酸化カリウム、有機アルカリ、グリコールエーテル、プロパノール、界面活性剤、キレート剤及び水を含むアルカリ性の剥離液により設定温度約50℃び剥離時間約30分の条件で剥離されないクロムメッキ膜と、該クロムメッキ膜上に形成され、その上部に複数回塗装可能であり、前記剥離液により前記設定温度及び前記剥離時間の条件で剥離可能な塗装膜とを有する
ことを特徴とする遊技機。
【0010】
なお、本明細書でいう「アルカリ性」とは、「弱アルカリ性」や「強アルカリ性」と呼ばれるものも含む意味である。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、本発明の遊技機は、リユース可能部材が遊技機体のフロントドア部に取り付けられた遊技機であり、リユース可能部材は、遊技機体に対して着脱可能である
【0016】
それゆえ、本発明の遊技機の構成によれば、リユース可能部材のリユース率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態における遊技機の外観構造を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態における遊技機の上パネルユニットの分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態における遊技機の左サイドパネルユニットの分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態における遊技機の腰部パネルユニットの外観斜視図である。
図5】本発明の一実施形態におけるリユース時の遊技機の製造方法及び遊技機筐体の塗装剥離方法の手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態における左サイドパネルユニットの塗装剥離処理例の評価結果を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における右サイドパネルユニットの塗装剥離処理例の評価結果を示す図である。
図8】本発明の一実施形態における上パネルユニットの塗装剥離処理例の評価結果を示す図である。
図9】本発明の一実施形態における腰部パネルユニットの塗装剥離処理例の評価結果を示す図である。
図10】パチンコの一外観構造例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明に係る遊技機のフロントパネル部材の塗装剥離手法及びそれを含む遊技機の製造手法(リユース手法)、並びに、その製造手法により製造された遊技機の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、遊技機として「パチスロ」を例に挙げ説明する。
【0019】
<パチスロの外観構造>
[全体構造]
まず、図1を参照しながら、本実施形態のパチスロの全体構造について説明する。図1は、本実施形態で作製するパチスロの外部構造を示す斜視図である。
【0020】
パチスロ1は、図1に示すように、遊技機筐体2を備える。そして、遊技機筐体2は、リールや回路基板等を収容したキャビネット2a(キャビネット部)と、キャビネット2aに対して開閉可能に取り付けられたフロントドア2b(フロントドア部)とで構成される。
【0021】
キャビネット2aの内部には、3つのリール3L,3C,3Rが設けられ、該3つのリール3L,3C,3Rは横方向(リールの回転方向と直交する方向)に一列に配置される。各リールは、円筒状のリール本体と、リール本体の周面に装着された透光性のシート材とを有する。シート材の表面には、複数(例えば21個)の図柄がリール本体の周方向に沿って連続的に配列される。なお、以下では、リール3L,3C,3Rを、それぞれ左リール3L、中リール3C、右リール3Rともいう。
【0022】
フロントドア2bの中央には、3つのリール3L,3C,3Rに描かれた図柄を表示するリール表示窓4と、遊技者の操作対象となる各種操作装置が設けられた台座部5とが設けられる。
【0023】
リール表示窓4は、図1に示すように、台座部5に設けられた枠部材6により画成され、パチスロ1の正面(遊技者側)から見て、3つのリールの配置領域と重畳する位置に設けられ、かつ、3つのリールより手前(遊技者側)に位置するように設けられる。それゆえ、遊技者は、リール表示窓4の背後に設けられた3つのリールに描かれた図柄を、リール表示窓4を介して目視することができる。なお、本実施形態では、リール表示窓4は、その背後に設けられたリールの回転が停止したとき、各リールに描かれた複数の図柄のうち、連続して配置された3つの図柄を表示できるように構成される。すなわち、リール表示窓4の枠内には、リール毎に上段、中段及び下段の各図柄表示領域が設けられ、各領域に1個の図柄を表示することができる。そして、左リール3L、中リール3C及び右リール3Rの図柄表示領域に渡って、入賞か否かの判定を行う所定のライン(入賞判定ライン)が設定される。
【0024】
また、枠部材6には、情報表示窓7及び3つのストップボタン8L,8C,8Rが設けられる。情報表示窓7は、リール表示窓4の下部に配置され、3つのストップボタン8L,8C,8Rは、情報表示窓7の下部に配置される。なお、情報表示窓7及びリール表示窓4は、ともに透明のカバー部材(窓部材)により覆われる。また、3つのストップボタン8L,8C,8Rは、それぞれ、左リール3L、中リール3C、右リール3Rに対応づけて設けられ、各ストップボタンは対応するリールの回転を停止するために設けられる。
【0025】
台座部5には、遊技者の操作対象となる各種操作装置として、ストップボタン以外に、メダル投入口9、BETボタン10及びスタートレバー11が設けられる。なお、BETボタン10及びスタートレバー11は、枠部材6の一方の側部(図1では左側)に配置され、メダル投入口9は、枠部材6の他方の側部(図1では右側)に配置される。
【0026】
メダル投入口9は、遊技者によって外部からパチスロ1に投入されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口9を介して受け入れられたメダルは、所定枚数(例えば3枚)を上限として1回の遊技に投入され、所定枚数を超えた分は、パチスロ1の内部に預けることができる(いわゆるクレジット機能)。
【0027】
BETボタン10は、パチスロ1の内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。スタートレバー11は、全てのリール(3L,3C,3R)の回転を開始するために設けられる。
【0028】
また、本実施形態では、フロントドア2bに、遊技者の操作対象となる操作装置として、精算ボタン12が設けられる。精算ボタン12は後述の左サイドパネルユニット30Lの下部(スタートレバー11の左側)に配置される。精算ボタン12は、パチスロ1の内部に預けられているメダルを外部に引き出すために設けられる。
【0029】
フロントドア2bには、BETボタン10の上部に、7セグメントLED(Light Emitting Diode)からなる7セグ表示器13が設けられる。7セグ表示器13は、今回の遊技に投入されたメダルの枚数、特典として遊技者に払い出されるメダルの枚数、パチスロ1の内部に預けられているメダルの枚数等の情報をデジタル表示する。
【0030】
また、本実施形態では、フロントドア2bにおいて、台座部5の上部に液晶表示装置14が設けられ、該液晶表示装置14は、映像表示による演出を実行する。
【0031】
さらに、本実施形態のパチスロ1では、図1に示すように、フロントドア2bに、上パネルユニット20、2つのサイドパネルユニット30L,30R、腰部パネルユニット40等の各種フロントパネルユニットが設けられる。これらのフロントパネルユニットは、フロントドア2bに対してそれぞれ個別に着脱可能である。
【0032】
上パネルユニット20は、フロントドア2bにおいて、液晶表示装置14の上部(フロントドア2bの上端部)に設けられる。上パネルユニット20は、光源を有しており、光源から射出される光による演出を実行する。なお、上パネルユニット20のより詳細な構成は、後で図面を参照しながら説明する。
【0033】
一方のサイドパネルユニット30L(以下、左サイドパネルユニット30Lという)は、フロントドア2bにおいて、台座部5及び液晶表示装置14の一方の側部(図1では左側)に配置され、他方のサイドパネルユニット30R(以下、右サイドパネルユニット30Rという)は、台座部5及び液晶表示装置14の他方の側部(図1では右側)に配置される。各サイドパネルユニットは、光源を有しており、光源から射出される光による演出を実行する。なお、各サイドパネルユニットのより詳細な構成は、後で図面を参照しながら説明する。
【0034】
また、腰部パネルユニット40は、フロントドア2bにおいて、台座部5の下部に設けられる。腰部パネルユニット40は、任意の画像が描かれた装飾パネルと、この装飾パネルを背面側から照明するための光を射出する光源とを有する。なお、腰部パネルユニット40のより詳細な構成は、後で図面を参照しながら説明する。
【0035】
さらに、フロントドア2bには、腰部パネルユニット40の下部に、メダル払出口15、スピーカ用孔16L,16R及びメダルトレイユニット17が設けられる。メダル払出口15は、図示しないメダル払出装置の駆動により排出されるメダルを外部に導く。メダル払出口15から排出されたメダルは、メダルトレイユニット17に貯められる。また、スピーカ用孔16L,16Rは、演出内容に対応する効果音や楽曲等の音声を出力するために設けられる。
【0036】
[上パネルユニットの構成]
次に、図2を参照しながら、本実施形態のパチスロ1における上パネルユニット20の構成について説明する。図2は、パチスロ1の前面側(遊技者側)から見た上パネルユニット20の分解斜視図である。
【0037】
上パネルユニット20は、スピーカ取付ベース21と、上パネル枠22と、2枚の光学シート23L,23Rと、2枚の装飾カバー24L,24Rとを備える。
【0038】
スピーカ取付ベース21は、ベース部材21aと、このベース部材21aに取り付けられたセンタースピーカ21b及び複数のLED21cとを有する。ベース部材21aは、センタースピーカ21b及び複数のLED21cの実装面(上パネル枠112に対向する面)が横長の略長方形である板状部材である。また、センタースピーカ21bは、ベース部材21aの実装面上において、その中央部に配置され、複数のLED21cは、センタースピーカ21bの周囲に配置される。そして、スピーカ取付ベース21は、上パネル枠22の内側に取り付けられる。
【0039】
上パネル枠22は、スピーカ取付ベース21を覆う大きさに設定された枠本体22aと、枠本体22aに取り付けられた3つの上部電飾カバー22b,22c,22dとで構成される。また、枠本体22aには、センタースピーカ21bを上パネル枠22から露出させるためのスピーカ用孔22eと、2枚の装飾カバー24L,24Rがそれぞれ取り付けられる2つのカバー用孔22f,22gとが形成される。
【0040】
枠本体22aは、図示しないが、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂からなるベース部材と、ベース部材の表面にメッキ処理により形成されたクロムメッキ膜と、クロムメッキ膜上に塗装された所定色の半透明塗料からなる半透明塗装膜とで構成される。なお、本明細書でいう「半透明」とは、透明(光透過率100%)と不透明(光透過率0%)との間の状態(光透過率が0%より大きくかつ100%より小さい状態)を意味するものであり、光透過率が50%である状態に限定されるものではない。
【0041】
本実施形態のように、銀色のクロムメッキ膜上に所定色の半透明塗装膜を形成することにより、光沢色を出すことができ、パチスロ1の外観に高級感を付与することができる。例えば、銀色のクロムメッキ膜上に黄色の半透明塗装膜を形成した場合には、黄金色のような色彩を得ることができる。
【0042】
本実施形態では、上パネル枠22の枠本体22aをリユースの対象部材(フロントパネル部材)とする。そして、リユース時には、後述のように、枠本体22aから半透明塗装膜のみを剥離し、その後、クロムメッキ膜上に所定色の半透明塗料を再塗装する。それゆえ、本実施形態のパチスロ1がリユースされた製品である場合には、枠本体22aは、このようなリユース処理(半透明塗装膜の剥離処理後に再塗装処理を行う処理)が施された部材となる。
【0043】
上部電飾カバー22bは、スピーカ用孔22eの上方に設けられ、残りの2つの上部電飾カバー22c,22dはそれぞれ、2つのカバー用孔22f,22gの上方に設けられる。なお、図示しないが、枠本体22aには、3つの上部電飾カバー22b,22c,22dの各取り付け位置に上部電飾カバー用孔が形成されており、各上部電飾カバーは、対応する上部電飾カバー用孔に嵌め込むことにより枠本体22aに取り付けられる。3つの上部電飾カバー22b,22c,22dは、それぞれ透明又は半透明の樹脂材料により形成されており、各上部電飾カバーに対応してスピーカ取付ベース21に配置されたLED85からの出射光を透過させる。
【0044】
2枚の光学シート23L,23Rはともに、板状の光学部材であり、例えば、拡散板や偏光板などで構成される。各光学シートの面形状は、図2に示すように、対応する装飾カバーの面形状と略同じである。また、各光学シートは、枠本体22aの組み立て時に、対応する装飾カバーのスピーカ取付ベース21と対向する面に取り付けられる。それゆえ、組み立て後の上パネルユニット20では、各光学シートは、対応する装飾カバーと、該装飾カバーと対向する位置に配置された複数のLED21cとの間に配置される。
【0045】
2枚の装飾カバー24L,24Rはともに、透明又は半透明の樹脂材料により形成された略板状部材であり、各装飾カバーに対応してスピーカ取付ベース21に配置されたLED85からの出射光を透過させる。各装飾カバーの面形状は、図2に示すように、対応する(取り付けられる)カバー用孔(22f又は22g)の開口形状と略同じであり、2枚の装飾カバー24L,24Rは、それぞれカバー用孔22f,22gに嵌め込むことにより、枠本体22aに取り付けられる。
【0046】
[サイドパネルユニットの構成]
次に、図3を参照しながら、本実施形態のパチスロ1における左サイドパネルユニット30L及び右サイドパネルユニット30Rの構成について説明する。図3は、パチスロ1の内部側から見た左サイドパネルユニット30Lの分解斜視図である。なお、本実施形態では、右サイドパネルユニット30Rの構成は、左サイドパネルユニット30Lの構成と同じであるので、ここでは、左サイドパネルユニット30Lの構成についてのみ説明し、右サイドパネルユニット30Rの構成の説明は省略する。
【0047】
左サイドパネルユニット30は、図3に示すように、基板取付ベース31と、パネルカバー32と、LED基板33と、押え部材34とを備える。
【0048】
基板取付ベース31は、LED基板33が当接される板状の当接部31aと、この当接部31aの周縁を囲う筒状の周壁部31bとで構成される。
【0049】
当接部31aは、パチスロ1の高さ方向に延在した板状部材であり、当接部31aの一方の表面にLED基板33が当接して配置される。また、当接部31aには、LED基板33に実装された複数のLED33aをパチスロ1の前面側(遊技者側)に露出させるための複数の貫通孔31cが形成される。
【0050】
周壁部31bは、当接部31aの表面に対して略垂直な壁面を有する筒状部材であり、当接部31aの表面からパネルカバー32に向かって(パチスロ1の前面側に向かって)突出している。そして、周壁部31bの突出方向の端部により画成された開口部に、パネルカバー32が嵌め込まれる。
【0051】
本実施形態では、各サイドパネルユニットの基板取付ベース31は、図示しないが、上パネル枠22の枠本体22aと同様に、ABS樹脂からなるベース部材と、ベース部材の表面にメッキ処理により形成されたクロムメッキ膜と、クロムメッキ膜上に塗装された所定色の半透明塗料からなる半透明塗装膜とで構成される。そして、本実施形態では、基板取付ベース31も、上パネル枠22の枠本体22aと同様に、リユースの対象部材とする。それゆえ、本実施形態のパチスロ1がリユースされた製品である場合には、基板取付ベース31は、リユース処理が施された部材となる。
【0052】
パネルカバー32は、パチスロ1の高さ方向に延在した板状部材であり、その表面形状は、基板取付ベース31の周壁部31bの開口形状及び周壁部31bの突出端面の凹凸形状に対応した形状を有する。図3に示す例では、パネルカバー32の表面形状は、板状部材をその延在方向に沿って略螺旋形状に湾曲させた形状を有する。
【0053】
本実施形態では、左サイドパネルユニット30Lの組み立て時に、パネルカバー32を、基板取付ベース31の周壁部31bにより画成された開口部に嵌め込むことにより、基板取付ベース31に取り付ける。なお、パネルカバー32は、透明又は半透明の樹脂により形成され、基板取付ベース31を介してLED基板33のLED33aから入射される光を透過させる。
【0054】
LED基板33は、パチスロ1の高さ方向に延在した基板であり、その表面形状は、組み立て時に接触する基板取付ベース31の当接部31aの一方の表面の形状と略同じ形状を有する。LED基板33の基板取付ベース31の当接部31aと接触する面(パネルカバー32と対向する面)には、複数のLED33aが実装される。なお、各LED33aは、左サイドパネルユニット30Lの組み立て時に、当接部31aに形成された対応する貫通孔31cに挿入されるような位置に配置される。また、LED基板33のLED33aの実装面とは反対側の面には、接続端子(コネクタ)33bが実装される。
【0055】
押え部材34は、LED基板33を基板取付ベース31の当接部31aに固定するための板状部材であり、その一部には、組み立て時に、LED基板33の接続端子33bを貫通させるための端子窓(開口部)34aが形成される。そして、左サイドパネルユニット30Lの組み立て時には、間にLED基板33を挟んで、押え部材34を基板取付ベース31の当接部31aに機械的に取り付けることにより、LED基板33が左サイドパネルユニット30L内に固定される。
【0056】
[腰部パネルユニットの構成]
次に、図4(a)及び図4(b)を参照しながら、本実施形態のパチスロ1における腰部パネルユニット40の構成について説明する。なお、図4(a)は、パチスロ1の前面側(遊技者側)から見た腰部パネルユニット40の外観斜視図であり、図4(b)は、パチスロ1の内部側から見た腰部パネルユニット40の外観斜視図である。
【0057】
腰部パネルユニット40は、図4(a)及び図4(b)に示すように、装飾パネル41と、装飾パネル41を保持する腰部パネル枠42と、2つのリアカバー43L,43Rと、複数のLED基板44,45,46,47と、腰部駆動基板48と、腰部ベース50とを備える。
【0058】
装飾パネル41は、表面が横長の略長方形状である平板部材で構成され、任意の画像、文字、記号等が描かれている。装飾パネル41は、透明又は半透明の樹脂により形成されており、腰部パネルユニット40に設けられたLED(光源)からの出射光を透過させる。そして、腰部パネルユニット40の組み立て時には、装飾パネル41は、腰部パネル枠42内に画成される後述の開口部42eに嵌め込まれる。
【0059】
また、図示しないが、装飾パネル41の裏面側(遊技機筐体2の内部側の表面)には、拡散板や偏光板などの光学フィルムと、LED(光源)から射出された光を装飾パネル41に導く導光板とが配置される。この光学フィルムや導光板は、装飾パネル41と腰部ベース50との間に配置される。
【0060】
腰部パネル枠42は、装飾パネル41を保持するための枠部材である。腰部パネル枠42は、装飾パネル41の上辺部を保持する上枠部42aと、装飾パネル41の下辺部を保持する下枠部42bと、装飾パネル41の一方の側辺部(図4(a)では左辺部)を保持する左枠部42cと、装飾パネル41の他方の側辺部(図4(a)では右辺部)を保持する右枠部42dとを有し、これらの各枠部が一体的に構成される。
【0061】
また、腰部パネル枠42の各枠部は、装飾パネル41の平面に対して略垂直な壁面部と、装飾パネル41の平面に対して略平行な前面部とを有する。そして、図4(a)に示すように、下枠部42b、下枠部42b、左枠部42c及び右枠部42dの各前面部により、装飾パネル41を保持するための開口部42eが画成される。
【0062】
本実施形態では、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42は、図示しないが、上パネル枠22の枠本体22aや各サイドパネルユニットの基板取付ベース31と同様に、ABS樹脂からなるベース部材と、ベース部材の表面にメッキ処理により形成されたクロムメッキ膜と、クロムメッキ膜上に塗装された所定色の半透明塗料からなる半透明塗装膜とで構成される。そして、本実施形態では、腰部パネル枠42も、上パネル枠22の枠本体22aや各サイドパネルユニットの基板取付ベース31と同様に、リユースの対象部材とする。それゆえ、本実施形態のパチスロ1がリユースされた製品である場合には、腰部パネル枠42は、リユース処理が施された部材となる。
【0063】
リアカバー43L,43Rは、それぞれ腰部パネル枠42の左枠部42c及び右枠部42dの裏面側の端部に接合して設けられる。
【0064】
複数のLED基板44,45,46,47のそれぞれには、複数のLED49が実装される。また、腰部駆動基板48は、各LED基板の駆動を制御するための回路基板である。そして、複数のLED基板44,45,46,47、及び、腰部駆動基板48は、腰部ベース50に実装される。
【0065】
腰部ベース50は、腰部パネル枠42の開口部42eを閉じるための板状部材であり、装飾パネル41の裏面側において、腰部パネル枠42に取り付けられる。
【0066】
<リユース時の遊技機の製造手法及び塗装剥離手法>
本実施形態のリユース時におけるパチスロ1の製造手法では、フロントドア2bに対して個別に着脱可能なABS製の各種フロントパネル部材(フロントパネル)をリユースする。具体的には、上述のように、上パネル枠22の枠本体22a、左サイドパネルユニット30L及び右サイドパネルユニット30Rの各基板取付ベース31、並びに、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42をリユースする。
【0067】
[剥離液]
まず、本実施形態の塗装剥離処理で用いる剥離液について説明する。本実施形態では、半透明塗装膜のみを剥離してフロントパネル部材をリユースする。それゆえ、本実施形態の塗装剥離処理では、フロントパネル部材のABS樹脂からなるベース部材及びクロムメッキ膜に対して、できる限り悪影響を与えないような剥離液を用いる。
【0068】
本実施形態では、アルカリ性の塗料専用剥離液を用いる。より具体的には、塗料専用の剥離剤(原液)として、株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(商品名)を用い、その原液を希釈率80%の割合で希釈した薬液を剥離液(以下、この剥離液をPK−SK101(希釈率80%)と記す)として用いる。なお、この剥離液には、水酸化カリウム、有機アルカリ、グリコールエーテル、プロパノール、界面活性剤、キレート剤及び水が含まれ、その水素イオン指数(以下、「pH」と記す)は13.8である。また、この剥離液に含まれる各種成分の作用は、次の通りである。
【0069】
水酸化カリウムは、半透明塗装膜のケン化作用を有する。有機アルカリは、水酸化カリウムとの相乗効果により、半透明塗装膜のケン化作用をさらに向上させる作用を有する。グリコールエーテルは、薬剤による溶解性及び薬剤の浸透性を向上させる作用を有する。プロパノールは、グリコールエーテルとの相乗効果により、薬剤による溶解性及び薬剤の浸透性をさらに向上させる作用を有する。また、界面活性剤は、薬剤の浸透性及び製品安定性の向上作用を有し、キレート剤は、剥離された塗装膜の母材(クロムメッキ膜及びベース部材)への再付着を防止する作用を有する。
【0070】
上記各種成分を含む剥離液にフロントパネル部材を浸漬して塗装剥離処理を行うと、上述した水酸化カリウム及び有機アルカリによる半透明塗装膜のケン化作用、界面活性剤による薬剤の浸透性作用、並びに、グリコールエーテル及びプロパノールによる薬剤の溶解性及び浸透性作用により、半透明塗装膜が膨潤及びその一部が溶解し、半透明塗装膜のみがベース部材及びクロムメッキ膜上から剥離され、剥離液中に沈降する。すなわち、本実施形態で用いる剥離液による塗装膜の剥離形態は脱膜タイプである。なお、本実施形態で用いる剥離液には、上述のように、キレート剤が含まれるので、剥離された塗装膜(剥離膜)の母材への再付着も防止される。
【0071】
[パチスロの製造手法及び塗装剥離手法]
次に、図5を参照しながら、リユース時における本実施形態のパチスロ1の製造手法(リユース手法)及びその際に行う半透明塗装膜の剥離手法(塗装剥離手法)について説明する。なお、図5は、リユース時におけるパチスロ1の製造手法及びその際に行う塗装剥離手法の手順を示すフローチャートである。
【0072】
本実施形態では、まず、回収されたリユース対象のパチスロ1のフロントドア2bから各種フロントパネル部材(上パネル枠22の枠本体22a、左サイドパネルユニット30L及び右サイドパネルユニット30Rの各基板取付ベース31、並びに、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42)を取り外して、リユースすべき各種フロントパネル部材を個別に用意する(S1)。S1で用意されるフロントパネル部材は、初めてリユースされるフロントパネル部材であってもよいし、本実施形態のリユース手法又は他のリユース手法を用いて、1回以上、リユースされたフロントパネル部材であってもよい。
【0073】
次いで、S1で用意されたリユースすべきフロントパネル部材をアルカリ性の塗料専用剥離液に浸漬する(S2)。この処理により、フロントパネル部材のクロムメッキ膜上に形成された半透明塗装膜が剥離される。
【0074】
S2における具体的な塗装剥離処理の条件は、次の通りである。剥離液としては、上述した株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用いる。また、剥離処理中の剥離液(剥離槽内)の設定温度は50℃とし、剥離時間(フロントパネル部材の剥離液への浸漬時間)は30分とする。塗装剥離処理の条件をこのような条件に設定した理由は、後述の各種実施例で、より詳細に説明する。なお、本実施形態では、剥離処理中の剥離槽内の液温が常に50℃となるように温調制御を行うが、剥離処理中の剥離槽内の液温は、時間経過とともに、50℃付近で多少変動する(後述の図6図9中の温度推移の欄を参照)。
【0075】
次いで、半透明塗装膜が剥離されたフロントパネル部材に対して、高圧水洗処理を行う(S3)。なお、この水洗処理は、従来の塗装剥離処理で行われる一般的な水洗処理と同様にして行うことができる。例えば、高圧洗浄機を用い、100kgf/cm程度の水圧で、フロントパネル部材を水洗する。
【0076】
その後、フロントパネル部材を、水又はそれに洗剤を溶解させたリンス液が満たされたリンス槽に浸漬して、フロントパネル部材に対してリンス処理を行う(S4)。なお、リンス処理の条件(液温、浸漬時間等)は、使用するリンス液に応じて適宜設定される。
【0077】
そして、フロントパネル部材を、リンス槽から取り出した後、室内で自然乾燥(放置)する(S5)。本実施形態では、上記S2〜S5の処理により、各フロントパネル部材の塗料剥離処理を行う。上述したフロントパネル部材の塗装剥離処理では、クロムメッキ膜上の半透明塗装膜のみが剥離される。それゆえ、塗装剥離処理後、フロントパネル部材の状態は、ABS樹脂からなるベース部材上にクロムメッキ膜のみが残った状態となる。
【0078】
なお、上記S2で行う半透明塗装膜の剥離処理は、フロントパネル部材毎又はフロントパネル部材の種別毎に個別に行ってもよいし、全てのフロントパネル部材をまとめて一緒に行ってもよい。前者の手法では、上記S2の処理がフロントパネル部材毎又はフロントパネル部材の種別毎に繰り返されるが、後者の手法では、上記S2の処理を一回行えばよい。
【0079】
次いで、塗装剥離処理が完了した各フロントパネル部材に対して、再塗装処理を行う(S6)。具体的には、各フロントパネル部材のクロムメッキ膜上に所定色の半透明塗料からなる半透明塗装膜を形成する。なお、半透明塗装膜の色は、例えば、パチスロ1の機種(企画)、フロントパネル部材の種別等の条件を考慮して適宜選択される。また、S6における再塗装処理の手法は、従来利用されている塗装手法と同様の手法を用いることができる。
【0080】
そして、S6の処理後、再塗装された各種フロントパネル部材をフロントドア2bの所定位置に適宜取り付けて、再度、パチスロ1を組み立てる(S7)。本実施形態では、パチスロ1のリユース時に、上述のようにして、パチスロ1を製造する。なお、本実施形態では、例えば、ベース部材に達するような傷やヒビが発生するまで、又は、剥離処理によりクロムメッキ膜にクラックが発生するまで、すなわち、クロムメッキ膜上に半透明塗装膜が形成できないような傷、ヒビ、クラック等が発生するまで、上記リユース手法を用いてフロントパネル部材を再利用する。
【0081】
上述したリユース時における本実施形態のパチスロ1の製造手法及び塗装剥離手法では、フロントパネル部材に対して別個(単体の状態で)に塗装剥離理処理及び再塗装処理がこの順で施される(リユース処理が実施される)。それゆえ、本実施形態では、パチスロ1の企画や仕様の変化に対応してフロントパネル部材の色を容易に変えることができるとともに、フロントパネル部材に擦り傷程度の傷が存在しても再塗装によりその傷をカバーすることができる。すなわち、本実施形態では、パチスロ1及びその各種フロントパネル部材のリユース率を向上させることができる。
【0082】
<塗装剥離処理例及びその評価結果>
以下に、上述したリユース対象の各種フロントパネル部材(左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31、右サイドパネルユニット30Rの基板取付ベース31、上パネル枠22の枠本体22a、及び、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42)のそれぞれに対して実際に行った半透明塗装膜の剥離処理例(実施例1〜4)について説明する。
【0083】
[実施例1]
実施例1では、左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31に対して上記手法に従い塗装剥離処理を行った。具体的には、アルカリ性の剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分とする条件において、左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31の塗装剥離処理を行った。なお、実施例1では、種々の周囲環境の条件において塗装剥離処理を行った(実施例1−1及び1−2)。
【0084】
(1)実施例1−1及び1−2
実施例1−1では、室温16℃及び湿度40%の環境条件において、左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31の塗装剥離処理を行った。また、実施例1−2では、室温16℃及び湿度41%の環境条件において、左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31の塗装剥離処理を行った。そして、実施例1では、剥離処理後のサンプル(基板取付ベース31)において、クロムメッキ膜のクラック発生の有無、及び、半透明塗装膜の残留の有無を目視で判定し、不良判定を行った。
【0085】
また、実施例1−1及び1−2ではともに、14個のサンプル(基板取付ベース31)に対して塗装剥離処理を行った。さらに、実施例1−1及び1−2では、全てのサンプル(基板取付ベース31)に対してタップ加工処理を行わなかった。
【0086】
なお、後述するように、実施例3及び4の塗装剥離処理(上パネル枠22の枠本体22a、及び、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42の塗装剥離処理)では、一部のサンプルに対してタップ加工処理を施し、サンプルの塗装面にクロムメッキ膜が存在しない領域を意図的に形成した。これは、次の理由によるものである。
【0087】
通常、フロントパネル部材を構成するABS樹脂製のベース部材は、射出成型等の手法により作製され、この際、複数のベース部材が一体的に繋がった成型体として作製される。そして、その後、成型体全体に渡ってメッキ処理を施した後、成型体において隣り合う2つのベース部材間の繋がった部分を切断することにより、各ベース部材を分離する。それゆえ、通常、フロントパネル部材のこのような切断面にはメッキ膜は形成されない。そこで、後述の実施例3及び4では、このようなメッキ膜が形成されていない部分における、塗装剥離処理の影響(近傍のメッキ膜への悪影響(膜剥がれ等))を調べるために、一部のサンプル(フロントパネル部材)には、タップ加工を施して、サンプルの塗装面にメッキ膜の形成されていない部分を意図的に形成した。
【0088】
(2)比較例1−1〜1−3
また、ここでは、実施例1と比較するため、実施例1と異なる条件(剥離処理条件及び環境条件)において、左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31の塗装剥離処理を行った(比較例1−1〜比較例1−3)。なお、比較例1−1〜1−3では、上記実施例1−1及び1−2と同様に、株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を剥離液として用いた。また、比較例1−1〜1−3ではそれぞれ、14個のサンプル(基板取付ベース31)に対して塗装剥離処理を行った。なお、比較例1−1〜1−3では、全てのサンプル(基板取付ベース31)に対してタップ加工処理を行わなかった。
【0089】
比較例1−1の剥離処理条件では、剥離液の設定温度を60℃とし、剥離時間(浸漬時間)を1時間30分とした。また、比較例1−1の環境条件は、室温14℃及び湿度38%であった。
【0090】
比較例1−2の剥離処理条件では、剥離液の設定温度を60℃とし、剥離時間(浸漬時間)を1時間とした。また、比較例1−2の環境条件は、室温15℃及び湿度39%であった。
【0091】
比較例1−3の剥離処理条件では、剥離液の設定温度を40℃とし、剥離時間(浸漬時間)を30分とした。また、比較例1−3の環境条件は、室温18℃及び湿度43%であった。
【0092】
(3)評価結果
上記実施例1−1及び1−2、並びに、上記比較例1−1〜1−3において行った左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31の塗装剥離処理の評価結果を、図6を参照しながら説明する。図6は、上記実施例1−1及び1−2、並びに、上記比較例1−1〜1−3において行った塗装剥離処理の各種条件及び不良判定の評価結果(不良率及び不良内容)をまとめた表である。なお、図6には、各実施例又は各比較例の剥離処理中における30分(0.5h:hは時間)毎の剥離液の温度推移(温度変化)、タップ処理加工の有無、及び、サンプルの数量も合わせて記載した。
【0093】
図6に示す評価結果から明らかなように、左サイドパネルユニット30Lの基板取付ベース31に対しては、実施例1−1及び1−2のように、剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分(0.5h)とした場合には、環境条件に関係なく、不良品が発生しないこと(不良率=0%)が分かった。
【0094】
一方、比較例1−1〜1−3の各剥離条件では、非常に高い確率で不良品が発生することが分かった。具体的には、比較例1−1及び1−2の各剥離条件では、不良率は100%となり、その不良の内容はクロムメッキ膜のクラック発生であった。また、比較例1−3の剥離条件では、不良率は80%となり、その不良の内容は半透明塗装膜の残留であった。
【0095】
[実施例2]
実施例2では、右サイドパネルユニット30Rの基板取付ベース31に対して上記手法に従い塗装剥離処理を行った。
【0096】
(1)実施例2
実施例2では、上記実施例1と同様に、アルカリ性の剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分とする条件において、右サイドパネルユニット30Rの基板取付ベース31の塗装剥離処理を行った。なお、この塗装剥離処理における環境条件は、室温16℃及び湿度39%であった。
【0097】
そして、実施例2においても、実施例1と同様に、剥離処理後のサンプル(基板取付ベース31)において、クロムメッキ膜のクラック発生の有無、及び、半透明塗装膜の残留の有無を目視で判定し、不良判定を行った。なお、実施例2では、14個のサンプル(基板取付ベース31)に対して塗装剥離処理を行った。また、実施例2では、全てのサンプル(基板取付ベース31)に対してタップ加工処理を行わなかった。
【0098】
(2)比較例2−1〜2−3
また、ここでは、実施例2と比較するため、実施例2と異なる条件(剥離処理条件及び環境条件)において、右サイドパネルユニット30Rの基板取付ベース31の塗装剥離処理を行った(比較例2−1〜比較例2−3)。なお、比較例2−1〜2−3では、上記実施例2と同様に、株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を剥離液として用いた。また、比較例2−1〜2−3ではそれぞれ、14個のサンプル(基板取付ベース31)に対して塗装剥離処理を行った。さらに、比較例2−1〜2−3では、全てのサンプル(基板取付ベース31)に対してタップ加工処理を行わなかった。
【0099】
比較例2−1の剥離処理条件では、剥離液の設定温度を60℃とし、剥離時間(浸漬時間)を1時間30分とした。また、比較例2−1の環境条件は、室温12℃及び湿度43%であった。
【0100】
比較例2−2の剥離処理条件では、剥離液の設定温度を60℃とし、剥離時間(浸漬時間)を1時間とした。また、比較例2−2の環境条件は、室温13℃及び湿度42%であった。
【0101】
比較例2−3の剥離処理条件では、剥離液の設定温度を60℃とし、剥離時間(浸漬時間)を30分とした。また、比較例2−3の環境条件は、室温15℃及び湿度38%であった。
【0102】
(3)評価結果
上記実施例2及び上記比較例2−1〜2−3において行った右サイドパネルユニット30Rの基板取付ベース31の塗装剥離処理の評価結果を、図7を参照しながら説明する。なお、図7は、上記実施例2及び上記比較例2−1〜2−3において行った塗装剥離処理の各種条件及び不良判定の評価結果をまとめた表である。
【0103】
図7中の実施例2の評価結果から明らかなように、右サイドパネルユニット30Rの基板取付ベース31に対しても、上記実施例1と同様に、剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分(0.5h)とした場合には、不良品が発生しないこと(不良率=0%)が分かった。
【0104】
一方、比較例2−1〜2−3の各剥離条件では、不良率は100%となり、その不良の内容はクロムメッキ膜のクラック発生であった。
【0105】
[実施例3]
実施例3では、上パネル枠22の枠本体22aに対して上記手法に従い塗装剥離処理を行った。具体的には、実施例3においても、アルカリ性の剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分とする条件において、上パネル枠22の枠本体22aの塗装剥離処理を行った。なお、実施例3では、種々の周囲環境の条件において塗装剥離処理を行った(実施例3−1〜3−3)。
【0106】
(1)実施例3−1〜3−3
実施例3−1では、室温18℃及び湿度42%の環境条件において、上パネル枠22の枠本体22aの塗装剥離処理を行った。また、実施例3−2では、室温18℃及び湿度47%の環境条件において、上パネル枠22の枠本体22aの塗装剥離処理を行った。さらに、実施例3−3では、室温17℃及び湿度52%の環境条件において、上パネル枠22の枠本体22aの塗装剥離処理を行った。そして、実施例3では、剥離処理後のサンプル(枠本体22a)において、クロムメッキ膜のクラック発生の有無、及び、半透明塗装膜の残留の有無を目視で判定し、不良判定を行った。
【0107】
また、実施例3−1〜3−3では、それぞれ20個のサンプル(枠本体22a)に対して塗装剥離処理を行った。なお、実施例3−1では、全てのサンプルに対してタップ加工処理を施さなかったが、実施例3−2では、全てのサンプルに対してタップ加工処理を施した。さらに、実施例3−3では、20個のサンプルのうち、10個のサンプルに対してタップ加工処理を施し、残りの10個のサンプルに対してはタップ加工処理を施さなかった。
【0108】
(2)比較例3
また、ここでは、実施例3と比較するため、実施例3と異なる条件(剥離処理条件及び環境条件)において、上パネル枠22の枠本体22aの塗装剥離処理を行った(比較例3)。なお、比較例3では、株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を剥離液として用い、剥離処理条件は、剥離液の設定温度を50℃とし、剥離時間(浸漬時間)を1時間30分とした。また、比較例3の環境条件は、室温17℃及び湿度45%であった。
【0109】
なお、比較例3では、20個のサンプル(枠本体22a)に対して塗装剥離処理を行った。また、比較例3では、全てのサンプル(枠本体22a)に対してタップ加工処理を行わなかった。
【0110】
(3)評価結果
上記実施例3−1〜3−3及び上記比較例3において行った上パネル枠22の枠本体22aの塗装剥離処理の評価結果を、図8を参照しながら説明する。図8は、上記実施例3−1〜3−3及び上記比較例3において行った塗装剥離処理の各種条件及び不良判定の評価結果をまとめた表である。
【0111】
図8中の実施例3−1〜3−3の評価結果から明らかなように、上パネル枠22の枠本体22aに対しても、上記実施例1及び2と同様に、剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分(0.5h)とした場合には、環境条件に関係なく、不良品が発生しないこと(不良率=0%)が分かった。
【0112】
また、実施例3−2及び3−3の評価結果から明らかなように、実施例3の剥離処理条件では、フロントパネル部材に対するタップ加工処理の有無に関係なく、不良品が発生しないこと(不良率=0%)が分かった。すなわち、実施例3の剥離処理条件では、クロムメッキ膜が形成されていない領域においても剥離処理による悪影響(クロムメッキ膜の剥がれ等)が発生しないことが分かった。
【0113】
一方、比較例3の剥離条件では、不良率は100%となり、その不良の内容はクロムメッキ膜のクラック発生であった。
【0114】
[実施例4]
実施例4では、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42に対して上記手法に従い塗装剥離処理を行った。具体的には、実施例4においても、アルカリ性の剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分とする条件において、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42の塗装剥離処理を行った。なお、実施例4では、種々の周囲環境の条件において塗装剥離処理を行った(実施例4−1〜4−3)。
【0115】
(1)実施例4−1〜4−3
実施例4−1では、室温18℃及び湿度46%の環境条件において、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42の塗装剥離処理を行った。また、実施例4−2では、室温11℃及び湿度38%の環境条件において、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42の塗装剥離処理を行った。また、実施例4−3では、室温13℃及び湿度34%の環境条件において、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42の塗装剥離処理を行った。そして、実施例4では、剥離処理後のサンプル(腰部パネル枠42)において、クロムメッキ膜のクラック発生の有無、及び、半透明塗装膜の残留の有無を目視で判定し、不良判定を行った。
【0116】
また、実施例4−1〜4−3では、それぞれ12個のサンプル(腰部パネル枠42)に対して塗装剥離処理を行った。なお、実施例4−1では、全てのサンプルに対してタップ加工処理を施さなかったが、実施例4−2では、全てのサンプルに対してタップ加工処理を施した。さらに、実施例4−3では、12個のサンプルのうち、6個のサンプルに対してタップ加工処理を施し、残りの6個のサンプルに対してはタップ加工処理を施さなかった。
【0117】
(2)比較例4
また、ここでは、実施例4と比較するため、実施例4と異なる条件(剥離処理条件及び環境条件)において、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42の塗装剥離処理を行った(比較例4)。なお、比較例4では、株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を剥離液として用い、剥離処理条件は、剥離液の設定温度を50℃とし、剥離時間(浸漬時間)を1時間とした。また、比較例4の環境条件は、室温17℃及び湿度44%であった。
【0118】
なお、比較例4では、12個のサンプル(腰部パネル枠42)に対して塗装剥離処理を行った。また、比較例4では、全てのサンプル(腰部パネル枠42)に対してタップ加工処理を行わなかった。
【0119】
(3)評価結果
上記実施例4−1〜4−3及び上記比較例4において行った腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42の塗装剥離処理の評価結果を、図9を参照しながら説明する。図9は、上記実施例4−1〜4−3及び上記比較例4において行った塗装剥離処理の各種条件及び不良判定の評価結果をまとめた表である。
【0120】
図9中の実施例4−1〜4−3の評価結果から明らかなように、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42に対しても、上記実施例1〜3と同様に、剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分(0.5h)とした場合には、環境条件に関係なく、不良品が発生しないこと(不良率=0%)が分かった。
【0121】
また、実施例4−2及び4−3の評価結果から明らかなように、実施例4の剥離処理条件では、フロントパネル部材に対するタップ加工処理の有無に関係なく、不良品が発生しないこと(不良率=0%)が分かった。すなわち、実施例4の剥離処理条件では、クロムメッキ膜が形成されていない領域においても剥離処理による悪影響(クロムメッキ膜の剥がれ等)が発生しないことが分かった。
【0122】
一方、比較例4の剥離条件では、不良率は80%となり、その不良の内容はクロムメッキ膜のクラック発生であった。
【0123】
上述した実施例1〜4の塗装剥離処理の評価結果から明らかなように、アルカリ性の剥離液として株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%)を用い、剥離処理中の剥離液の設定温度を50℃とし、かつ、剥離時間(浸漬時間)を30分とした場合には、フロントパネル部材のクロムメッキ膜に対して悪影響(クラック発生、膜剥がれ発生等)を与えることなく、半透明塗装膜のみを剥離できることが分かった。
【0124】
また、上記実施例1〜4に示すように、上記実施形態の塗装剥離手法では、フロントパネル部材の種別に関係なく、同じ剥離処理条件で塗装剥離処理を行うことができる。それゆえ、上記実施形態の塗装剥離手法では、低コストでかつ効率よくフロントパネル部材の塗装剥離処理を行うことができる。
【0125】
<各種変形例>
リユース時における本発明の遊技機の製造技術(リユース技術)及びフロントパネル部材の塗装剥離技術は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形例を含むことができる。
【0126】
例えば、上記実施形態では、本発明の遊技機のリユース手法及びフロントパネル部材の塗装剥離手法をABS樹脂からなるベース部材を有するフロントパネル部材に適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。ABS樹脂以外の材料で形成されたベース部材を有するフロントパネル部材にも本発明は適用可能であり、同様の効果が得られる。
【0127】
また、上記実施形態では、本発明のフロントパネル部材の塗装剥離手法を、塗装膜が半透明塗装膜であるフロントパネル部材に適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。塗装膜が透明塗装膜又は不透明塗装膜であるフロントパネル部材にも本発明は同様に適用可能であり、同様の効果が得られる。
【0128】
上記実施形態では、アルカリ性の剥離剤(原液)として、株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(商品名)を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。上記剥離処理条件(剥離液の設定温度が50℃であり、剥離時間が30分である条件)でクロムメッキ膜に影響を与えること無く、塗装膜を剥離できるアルカリ性の塗料専用剥離剤であれば任意の剥離剤を用いることができる。
【0129】
また、上記実施形態では、アルカリ性の剥離液として、株式会社パーカーコーポレーション製のPK−SK101(希釈率80%、pH=13.8)を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。塗装剥離処理において、フロントパネル部材のABS樹脂からなるベース部材及びクロムメッキ膜に対して悪影響を与えないアルカリ性の剥離液であれば、任意の剥離液を用いることができる。例えば、pHの値も13.8に限定されず、それ以外の値(例えば8以上)のpHを有するアルカリ性の剥離液を用いてもよい。また、例えば、希釈率も80%に限定されず、他の希釈率で調製されたアルカリ性の剥離液を用いてもよい。
【0130】
さらに、上記実施形態の剥離処理条件では、剥離液の設定温度を50℃とし、剥離時間を30分とする例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、用いる剥離剤の種別、剥離剤の希釈率、剥離液のpHなどの条件に応じて適宜変更可能である。例えば、剥離液の設定温度を50±5℃程度の範囲で変更することができる。なお、この場合には、剥離液の設定温度の変更に伴い剥離時間も適宜変更することができる。
【0131】
また、上記実施形態の塗装剥離手法では、フロントパネル部材を剥離液に浸漬して半透明塗装膜を剥離する処理例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フロントパネル部材を剥離液に浸漬した状態で、剥離液(剥離槽内)に超音波を印加してもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、上パネル枠22の枠本体22a、左サイドパネルユニット30L及び右サイドパネルユニット30Rの各基板取付ベース31、並びに、腰部パネルユニット40の腰部パネル枠42を全てリユースする例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、パチスロ1の企画等に応じて、これらの各種フロントパネル部材の中から適宜一部のフロントパネル部材を選択してリユースしてもよい。
【0133】
さらに、上記実施形態では、本発明の遊技機のリユース手法及びフロントパネル部材の塗装剥離手法をパチスロに適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の-遊技機のリユース手法及びフロントパネル部材の塗装剥離手法は、複数のフロントパネル部材がそれぞれ個別に遊技機のフロントドアに着脱可能である遊技機であれば、任意の遊技機に適用可能である。特に、本発明は、パチスロと同様に、遊技機のリユースサイクルが短い遊技機に好適であり、例えば「パチンコ」と呼ばれる遊技機にも好適である。
【0134】
ここで、図10に、パチンコの一構成例を示す。なお、図10は、パチンコの一外観構造例を示す斜視図である。
【0135】
パチンコ100は、ベースドア101(フロントドア部)と、ベースドア101に対して開閉可能に取り付けられたガラスドア102とを有する。また、パチンコ100は、ガラスドア102の下部に設けられた、例えば、皿ユニット103、演出ボタンユニット104、遊技球を発射する発射装置105等の各種装置を有する。なお、図示しないが、発射装置105により発射された遊技球が転動流下する遊技盤、及び、遊技に関する画像の表示を行う液晶表示装置等は、ガラスドア102の裏面側(遊技者側とは反対側)に設けられる。
【0136】
さらに、図10に示すパチンコ100では、ガラスドア102の上部に、所定の図柄(図10に示す例では「GOD」という文字図柄)が立体的に構成された装飾部106が設けられる。このような立体的な文字図柄からなる装飾部106が、ベースドア101に対して着脱可能であり、ABS樹脂製のベース部材上にクロムメッキ膜及び半透明塗装膜をこの順で形成して構成されたフロントパネル部材を含む場合にも、上述した本発明の遊技機のリユース手法及び塗装剥離手法を同様に適用することができ、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0137】
1…パチスロ、2…遊技機筐体、2a…キャビネット、2b…フロントドア、3L…左リール、3C…中リール、3R…右リール、4…リール表示窓、5…台座部、6…枠部材、7…情報表示窓、8L〜8R…ストップボタン、9…メダル投入口、10…BETボタン、11…スタートレバー、12…精算ボタン、13…7セグ表示器、14…液晶表示装置、15…メダル払出口、16L,16R…スピーカ用孔、17…メダルトレイユニット、20…上パネルユニット、21…スピーカ取付ベース、22…上パネル枠、22a…枠本体、23L,23R…光学シート、24L,24R…装飾カバー、30L…左サイドパネルユニット、30R…右サイドパネルユニット、31…基板取付ベース、32…パネルカバー、33…LED基板、34…押え部材、40…腰部パネルユニット、41…装飾パネル、42…腰部パネル枠、100…パチンコ、101…ベースドア、106…装飾部
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10