(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
〔画像形成装置1の全体の構成〕
まず、
図6を参照して、画像形成装置1の全体の構成について説明する。
【0011】
画像形成装置1は、画像処理部11、原稿読取部12、原稿給送部13、ネットワーク送受信部15、操作パネル部16、画像形成部17、記憶部19、搬送部20、タイマー部100、センサー群180等が、制御部10に接続されている。各部は、制御部10によって動作制御される。
【0012】
制御部10は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理部である。
制御部10は、記憶部19のROMやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、後述する機能ブロックの各部として動作させられる。また、制御部10は、図示しない外部の端末や操作パネル部16から入力された所定の指示情報に応じて、装置全体の制御を行う。
【0013】
画像処理部11は、DSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)等の制御演算部である。画像処理部11は、画像データに対して所定の画像処理を行う。画像処理部11は、例えば、拡大縮小、濃度調整、階調調整、画像改善のような各種画像処理を行う。
画像処理部11は、原稿読取部12で読み取られた画像を、記憶部19に印刷データとして記憶する。この際、画像処理部11は、印刷データをPDFやTIFF等のフォーマットのファイル単位に変換することも可能である。
【0014】
原稿読取部12は、セットされた原稿を読み取り(スキャン)する。
原稿給送部13は、原稿読取部12で読み取られる原稿を搬送する。
画像形成部17は、ユーザーの出力指示により、記憶部19に記憶され、原稿読取部12で読み取られ、又は外部の端末から取得されたデータに基づいて記録紙への画像形成を行う。
搬送部20は、給紙カセット42a(
図7)から記録紙を搬送し、画像形成部17で画像形成させ、その後にスタックトレイ50へ搬送する。
なお、原稿読取部12、原稿給送部13、画像形成部17、搬送部20の動作については後述する。
【0015】
ネットワーク送受信部15は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網のような外部ネットワークに接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部である。
ネットワーク送受信部15は、データ通信用の回線ではデータを送受信し、音声電話回線では音声信号を送受信する。
【0016】
操作パネル部16は、LCD等の表示部と、テンキー、スタート、キャンセル、複写やFAX送信やスキャナーのような動作モードを切り換えるためのボタン、選択された文書の印刷や送信や保存や記録等に関するジョブの実行に係る指示を行うためのボタンやタッチパネルのような入力部とを備えている。
操作パネル部16は、ユーザーによる画像形成装置1の各種ジョブの指示を取得する。また、制御部10は、操作パネル部16から取得したユーザーの指示により、画像形成装置1の機器設定210や各ユーザーの情報を記憶部19に入力したり、あるいは記憶部19に記憶されている情報を変更することも可能である。
【0017】
記憶部19は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体を用いた記憶部である。
記憶部19のRAMは、省電力状態であっても、セルフリフレッシュ等の機能により、記憶内容が保持される。また、記憶部19の半導体メモリーは、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory, FeRAM)、ReRAM、MRAM、NAND型又はNOR型フラッシュメモリー等の電源がオフにされても記憶内容を保持する記憶媒体が備えられている。
記憶部19のROMやHDDには画像形成装置1の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。これに加えて、記憶部19は、ユーザーのアカウント設定も記憶している。また、記憶部19には、ユーザー毎の保存フォルダーの領域が含まれていてもよい。
【0018】
タイマー部100は、バッテリーバックアップ機能付きのリアルタイムクロック(Real-Time Clock)及び制御部10のクロック等のカウントにより時間を計測する回路等である。タイマー部100は、例えば、制御部10用とは別に備えられた図示しない水晶発振回路等により供給されるクロックにより、例えば、一秒以下の時刻を測定可能である。
【0019】
なお、画像形成装置1において、制御部10及び画像処理部11は、GPU内蔵CPU等やチップ・オン・モジュールパッケージのように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部10及び画像処理部11は、RAMやROMやフラッシュメモリー等を内蔵していてもよい。
また、画像形成装置1は、ファクシミリの送受信を行うFAX送受信部を備えていてもよい。
【0020】
〔画像形成装置1の動作〕
次に、
図7を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の動作について説明する。画像形成装置1は、原稿読取部12、原稿給送部13、及び本体部14等を有している。
原稿読取部12は、本体部14の上方に配設され、原稿給送部13は、原稿読取部12の上方に配設されている。操作パネル部16は、画像形成装置1の本体部14のフロント側に配設されている。また、本体部14には、側面に記録紙の排出口41が形成されている。また、本体部14の排出口41側には、スタックトレイ50が配設されている。
【0021】
原稿読取部12は、スキャナー12aと、プラテンガラス12bと、原稿読取スリット12cとを備えている。スキャナー12aは、露光ランプ、及びCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像センサー等から構成され、原稿給送部13による原稿の搬送方向に移動可能である。
プラテンガラス12bは、ガラスのような透明部材により構成された原稿台である。原稿読取スリット12cは、原稿給送部13による原稿の搬送方向と直交方向に形成されたスリットを有する。
【0022】
プラテンガラス12bに載置された原稿を読み取る場合には、スキャナー12aは、プラテンガラス12bに対向する位置に移動され、プラテンガラス12bに載置された原稿を走査しながら原稿を読み取って画像データを取得して、取得した画像データを本体部14に出力する。
また、原稿給送部13により搬送された原稿を読み取る場合には、スキャナー12aは、原稿読取スリット12cと対向する位置に移動され、原稿読取スリット12cを介し、原稿給送部13による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取って画像データを取得し、取得した画像データを本体部14に出力する。
【0023】
原稿給送部13は、原稿載置部13aと、原稿排出部13bと、原稿搬送機構13cとを備えている。原稿載置部13aに載置された原稿は、原稿搬送機構13cによって、1枚ずつ順に繰り出されて原稿読取スリット12cに対向する位置へ搬送され、その後、原稿排出部13bに排出される。
なお、原稿給送部13は、可倒式に構成され、原稿給送部13を上方に持ち上げることで、プラテンガラス12bの上面を開放させることができる。
【0024】
本体部14は、画像形成部17を備えると共に、給紙部42と、用紙搬送路43と、センサー群18と、搬送部20とを備えている。
給紙部42は、それぞれサイズ又は向きが異なる記録紙を収納する複数の給紙カセット42aと、給紙カセット42aから記録紙を1枚ずつ用紙搬送路43に繰り出す給紙ローラー42bとを備えている。搬送部20により、用紙搬送路43内に搬送された記録紙は、画像形成部17に搬送される。
搬送部20の詳細な構成については後述する。
【0025】
画像形成部17は、感光体ドラム17aと、露光部17bと、現像部17cと、転写部17dと、定着部17eとを備えている。
露光部17bは、レーザー装置やミラーやレンズやLEDアレイ等を備えた光学ユニットであり、画像データに基づいて光等を出力して感光体ドラム17aを露光し、感光体ドラム17aの表面に静電潜像を形成する。現像部17cは、トナーを用いて感光体ドラム17aに形成された静電潜像を現像する現像ユニットであり、静電潜像に基づいたトナー像を感光体ドラム17a上に形成させる。転写部17dは、現像部17cによって感光体ドラム17a上に形成されたトナー像を記録紙に転写させる。定着部17eは、転写部17dによってトナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる。
【0026】
センサー群18は、搬送部により搬送される記録紙の位置や紙詰まり等の状態を検知する光学センサーや接触センサーやスイッチ等である。
センサー群18は、給紙センサー18a、レジストセンサー18b、定着センサー18c、排出センサー18d、及び開閉センサー18eを含んでいる。
給紙センサー18aは、給紙ローラー42bから記録紙が搬送されたことを検出するセンサーである。
レジストセンサー18bは、レジストローラー対45の手前に記録紙が到達したことを検出するセンサーである。
定着センサー18cは、定着部17eの手前に記録紙が到達したことを検出するセンサーである。
排出センサー18dは、排出された記録紙がスタックトレイ50上に存在するか否かを検出するセンサーである。
開閉センサー18eは、本体部14のカバーが開閉されたことを検出するセンサーである。
【0027】
次に、
図8を参照して、搬送部20の詳細な構成について説明する。
搬送部20は、給紙ローラー42bと、搬送ローラー対44と、レジストローラー対45と、排出ローラー対46と、両面ローラー対47a、47bとを備えている。
給紙ローラー42bによって用紙搬送路43に記録紙が繰り出された場合、給紙センサー18aで検出される。
その後、搬送ローラー対44により搬送された記録紙は、画像形成部17内に搬送される前に、レジストローラー対45で一旦停止される。この際に、レジストセンサー18bで検出される。
レジストローラー対45に到達したことが検出された記録紙は、制御部10の制御による所定のタイミングで、位置決めや用紙先端余白幅の調整がされた後、画像形成部17内に搬送される。
片面印刷の場合、画像形成部17によって記録が施された記録紙は、排出ローラー対46が通常の搬送方向に回転(以下、「正転」という。)し、スタックトレイ50へ排出される。
両面印刷の場合、画像形成部17によって片面に記録が施された記録紙は、排出ローラー対46が通常の搬送方向とは逆方向に回転(以下、「逆転」という。)し、画像形成部17により記録が施された記録紙が、両面ローラー対47aの方向に押し出される。排出ローラー対46が正転から逆転に反転する際の記録紙の位置が「両面停止位置」となる。この両面停止位置は、排出ローラー対46から記録紙が進行方向に所定距離進められた位置である。後述する計算では、この両面停止位置の記録紙の進行方向先端の位置を基準として、距離等を算出してもよい。両面ローラー対47aにより搬送された用紙は、両面ローラー対47bによりレジストローラー対45まで搬送されて、一旦停止される。画像形成装置1では、両面ローラー対47aと、両面ローラー対47bと、この間の用紙搬送路43との間の部分が両面ユニットとなる。なお、この両面ユニットには、センサー群18のセンサーが備えられていなくてもよい。両面ユニットにより裏返されてレジストローラー対45まで再度搬送された記録紙は、先に画像形成部17により記録が施された面(表面)の反対側の面(裏面)に記録が施される。その後、両面に印刷が施された記録紙は、正転する排出ローラー対46により、スタックトレイ50へ排出される。
【0028】
図8の各ローラー内に記載された矢印は、当該ローラーの正転の方向を示している。
図8に示すように、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとは正転の向きが逆になっている。このため、排出ローラー対46と、レジストローラー対45以外の各ローラーとは、それぞれ別々に正転又は逆転するモーター等(図示せず)により駆動される。
【0029】
〔画像形成装置1のシステム構成〕
図1を参照し、画像形成装置1のシステム構成について説明する。
画像形成装置1は、タイマー部100、紙詰まり検知部110、紙詰まり位置推定部120、駆動制御部130を備えている。
また、記憶部19は、保存値200、機器設定210、ジョブデータ300を記憶している。
【0030】
タイマー部100は、記録紙の搬送に関する時間を測定するために、制御部10により制御される。タイマー部100は、両面印刷時の排出ローラーの逆転時間201を測定する。
【0031】
紙詰まり検知部110は、記録紙の紙詰まりを検知した場合、タイマーにより測定された時間を記憶部19に保存する。
紙詰まり検知部110は、両面印刷の場合、排出ローラー対46が反転した際に、時間の計測を始めるよう制御される。
【0032】
紙詰まり位置推定部120は、紙詰まり検知部110により保存された時間により、記録紙の紙詰まりの位置を推定する。
また、紙詰まり位置推定部120は、タイマーにより測定された両面印刷時の排出ローラー対46の逆転時間201、逆転速度202、及び記録紙の用紙サイズ203により、紙詰まりの位置を推定する。
【0033】
駆動制御部130は、紙詰まり位置推定部120により推定された紙詰まりの位置が、紙詰まりした記録紙を装置外に排出する場合に、反対方向に記録紙を搬送する2組のローラー対に記録紙が挟持されていることを示す位置であった場合には、いずれかのローラーの駆動を先に行って記録紙の引っ張り合いを防ぐ。つまり、駆動制御部130は、記録紙を搬送するローラー同士が記録紙をそれぞれ反対方向に搬送する位置であった場合、いずれかのローラーの駆動を先に行い、記録紙の引っ張り合いを防ぐ。
また、駆動制御部130は、紙詰まり位置推定部120により、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとの間の位置に記録紙が紙詰まりしていると推定された場合、排出ローラー対46を先に駆動させて記録紙を排出させ、それ以外の場合、排出ローラー対46以外のローラーも駆動させて記録紙をセンサーまで搬送させる。
【0034】
保存値200は、タイマー部100により測定された時間の値、当該時間の値と機器設定210とジョブデータ300とから推定された紙詰まり位置に関するデータである。
保存値200は、逆転時間201、逆転速度202、用紙サイズ203、及び位置情報204を含んでいる。
逆転時間201は、タイマー部100により測定された両面印刷時の排出ローラーの逆転時間201の値である。
逆転速度202は、機器設定210又はジョブデータ300から取得された排出ローラーの逆転時の速度である。この逆転速度202は、記録紙の搬送速度になる。
用紙サイズ203は、機器設定210又はジョブデータ300から取得された記録紙の搬送方向における用紙サイズ203の値である。
位置情報204は、上述の逆転時間201、逆転速度202、用紙サイズ203から、紙詰まり位置推定部120が推定した紙詰まり位置の情報である。位置情報204は、逆転時間201と逆転速度202から算出された用紙の両面停止位置からの距離である逆転距離の値と、記録紙の用紙サイズ203における搬送方向の長さから両面停止位置から排出ローラー対46までの距離を減算して算出された反対駆動区間距離の値と、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとがそれぞれ反対方向に搬送する位置であるか否かが特定された値とを含むデータである。
【0035】
機器設定210は、画像形成装置1の用紙カセットの数とセットされた用紙サイズ203や向きや種別、片面印刷や両面印刷や省電力や高速印刷といった動作モードの情報、用紙搬送路43における各ローラーまでの動作モード別の搬送時間、両面印刷時に排出ローラー対46の逆転の際に必要な駆動時間、排出ローラー対46の逆転の際の速度等の駆動に関する情報を含んでいる。また、機器設定210は、機種ID(Identification)、固有IDの情報を含んでいてもよい。
【0036】
ジョブデータ300は、ジョブの種類、機能を実行させるコマンド、ジョブID、ユーザーID、印刷の種類、用紙サイズ203や向き、使用する用紙カセット、動作モードの指定、PDL(Page Description Language)等の印刷データや画像データ等を含む各種データ等から構成されている。このうち、印刷の種類としては、片面印刷/両面印刷、カラー/白黒の種別、ページ集約印刷等のデータを含んでいる。また、ジョブデータ300は、透かし等の有無や課金情報等についても含んでいてもよい。
【0037】
ここで、画像形成装置1の制御部10は、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行することで、紙詰まり検知部110、紙詰まり位置推定部120、及び駆動制御部130として機能する。
また、上述の画像形成装置1の各部は、本発明の画像形成方法を実行するハードウェア資源となる。
【0038】
〔画像形成装置1による紙詰まり時駆動制御処理〕
次に、
図2〜
図5を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1による紙詰まり時駆動制御処理の説明を行う。
本実施形態の紙詰まり時駆動制御処理は、排出ローラー対46が逆転駆動された際の時間から、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとの間で記録紙P(
図3)の引っ張り合いになるか否か、両面ユニット内に記録紙が滞留している(
図4)か否かを推定する。この上で、引っ張り合いになる各ローラー間での駆動の制御を行い、推定された記録紙の位置に適した制御により、紙詰まりを解消する処理を行う。
本実施形態の紙詰まり時駆動制御処理は、主に制御部10が、記憶部19に記憶されたプログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図2のフローチャートを参照して、紙詰まり時駆動制御処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0039】
(ステップS101)
まず、制御部10が、紙詰まり検知部110により、両面印刷開始処理を行う。
制御部10は、操作パネル部16によるユーザーの指示や図示しない端末からネットワーク送受信部15を経由してジョブデータ300が取得され、両面印刷が設定されていた場合、各部の初期化を行い、両面印刷を開始する。
制御部10は、給紙カセット42aから用紙を用紙搬送路43へ搬出し、センサー群18と各ローターの回転とを監視して、紙詰まりの検知を開始する。なお、各ローターのトルクや回転をロータリーエンコーダー等により監視してもよい。
【0040】
(ステップS102)
次に、制御部10が、紙詰まり検知部110により、排出ローラー反転処理を行う。
制御部10は、両面印刷において、片面に画像形成が終了し、排出ローラー対46まで記録紙が到達した場合、両面停止位置にて、排出ローラー対46を反転して、逆転による駆動(以下、「逆転駆動」という。)を開始させる。制御部10は、この際に、排出センサー18dで実際に記録紙を検知してから、排出ローラー対46の反転を開始させてもよい。
これにより、排出ローラー対46から両面ユニット内に向けての記録紙の搬送である両面搬送が開始される。
【0041】
(ステップS103)
次に、制御部10が、紙詰まり検知部110により、タイマー起動処理を行う。
制御部10は、タイマー部100により時間の測定を開始する。これにより、制御部10は、両面印刷時の排出ローラー対46の逆転時間201を測定を行う。
【0042】
(ステップS104)
次に、制御部10が、紙詰まり検知部110により、紙詰まりを検知したか否かを判定する。制御部10は、機器設定210及びジョブデータ300に設定された動作モードにおける搬送時間を所定時間過ぎても、センサー群18の各センサーを通過する記録紙が検知されない場合、紙詰まりであるとして、Yesと判定する。また、制御部10は、排出ローラー対46又はその他の各ローターが回転しない等の駆動の異常が発生した場合にもYesと判定する。制御部10は、それ以外の場合には、正常に搬送され紙詰まりが発生していないとして、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS107に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS105に進める。
【0043】
(ステップS105)
紙詰まりが発生していない場合、制御部10が、紙詰まり検知部110により、レジストセンサー検出処理を行う。
制御部10は、記録紙が両面ユニット内の両面ローラー対47a、47bにより搬送され、レジストセンサー18bに検出されるまで待機する。
【0044】
(ステップS106)
次に、制御部10が、紙詰まり検知部110により、タイマー停止処理を行う。
制御部10は、逆転時間201を測定していたタイマー部100をストップして、タイマーの値をクリアする。記録紙は、画像形成部17により裏面に記録が施され、正転した排出ローラー対46により、スタックトレイ50に排出される。
その後、制御部10は、紙詰まり時駆動制御処理を終了する。
【0045】
(ステップS107)
紙詰まりを検知した場合、制御部10が、紙詰まり検知部110により、タイマー値保存処理を行う。
制御部10は、タイマー部100を停止し、測定された排出ローラー対46の逆転時間201を取得する。制御部10は、取得した逆転時間201を保存値200に加えて保存する。また、制御部10は、機器設定210及びジョブデータ300を読み出して、保存値200として、排出ローラー対46の逆転速度202、記録紙の用紙サイズ203を保存する。また、制御部10は紙詰まり検出前の実際の排出ローラー対46の速度を、排出ローラー対46の逆転速度202として保存してもよい。
制御部10は、この保存値200を、記憶部19のFeRAM等の不揮発性の記憶媒体に記憶しておく。
【0046】
(ステップS108)
次に、制御部10が、紙詰まり位置推定部120により、紙詰まり位置特定処理を行う。
制御部10は、紙詰まり検知部110により保存された保存値200により、紙詰まり位置を特定する。
具体的には、制御部10は、タイマー部100により測定された排出ローラー対46の逆転時間201を読み出し、紙詰まり位置の情報として、以下の式(1)により記録紙の位置に係る逆転してからの移動距離Daを算出し、式(2)により両面停止位置からの移動距離Dbを計算する:
Da = 排出ローラー対46の逆転時間201 × 逆転速度202 …… 式(1)
Db = 記録紙の用紙サイズ203における搬送方向の長さ − 両面停止位置の記録紙の先端位置から排出ローラー対46までの距離 …… 式(2)
図3を参照すると、DaがDb以下の場合、記録紙が排出ローラー対46と両面ローラー対47aの両方に位置して、これらのローラーが正転すると用紙Pが引っ張り合われる状態になっている。つまり、DaがDb以下の場合、制御部10は、正転ではローラー同士が反対方向に搬送される位置であると特定する。
図4を参照すると、DaがDbより大きい場合、制御部10は、搬送中の記録紙Pが両面ユニット内にある状態になっている。この場合は、ローラー同士が反対方向に搬送する位置ではないと特定する。
制御部10は、これらの特定した紙詰まり位置の情報についても、保存値200の位置情報204として記憶部19に保存する。
【0047】
また、制御部10は、片面印刷、又は両面印刷の排出ローラー対46が正転から逆転に反転する前に紙詰まりを検知した場合には、センサー群18による記録紙の検知と、タイマー部100により測定された記録紙の搬送開始からの時間とから、紙詰まりの位置を推定してもよい。
【0048】
(ステップS109)
ここで、制御部10が、紙詰まり位置推定部120により紙詰まり表示処理を行う。
制御部10は、推定された紙詰まりの位置を、操作パネル部16に表示させる。また、制御部10は、図示しない端末へ、ネットワーク送受信部15を介して、紙詰まり位置の情報を送信してもよい。
【0049】
(ステップS110)
次に、制御部10が、紙詰まり位置推定部120により、印刷再開指示取得処理を行う。
制御部10は、開閉センサー18eにより、本体部14のカバーの開け閉めが検知された、又は、電源スイッチのオフ/オンや再起動を検知した場合、ユーザーが紙詰まりした記録紙を取り除いて画像形成を再開する印刷再開指示があったものと判断する。また、制御部10は、操作パネル部16からのユーザーの印刷再開指示を取得してもよい。
【0050】
(ステップS111)
次に、制御部10が、紙詰まり位置推定部120により、センサー群18が記録紙を検知しているか否かを判定する。制御部10は、センサー群18の各センサーのいずれかが記録紙を検知した場合に、その位置に記録紙が紙詰まりしているとして、Yesと判定する。制御部10は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS109に戻して、紙詰まりの表示を続ける。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS112に進める。
【0051】
(ステップS112)
次に、制御部10が、紙詰まり位置推定部120により、両面搬送中に紙詰まり検知したか否かを判定する。制御部10は、両面印刷が行われており、排出ローラー対46が逆転している間に紙詰まり検知した場合に、Yesと判定する。制御部10は、それ以外の場合には、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS113に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS119に進める。
【0052】
(ステップS113)
両面搬送中に紙詰まりが検知された場合、制御部10が、駆動制御部130により、紙詰まり位置はローラー同士が記録紙をそれぞれ反対方向に搬送する位置となっていたか否かを判定する。つまり、制御部10は、紙詰まり位置が、反対方向に記録紙を搬送する2組のローラー対に記録紙が挟持されていることを示す位置であるか否かを判定する。本実施形態では、制御部10は、排出ローラー対46と両面ローラー対47aにより記録紙が引っ張り合いの状態になっているか、又は記録紙が既に両面ユニット内にあるか否かを判定する。
すなわち、制御部10は、上述のステップS108の紙詰まり位置特定処理で特定した位置情報204を記憶部19から読み出し、排出ローラー対46にまだ記録紙がかかっており、正転では排出ローラー対46と両面ローラー対47aとが反対方向に搬送される位置であった場合、Yesと判定する。逆に、制御部10は、排出ローラー対46にまだ記録紙がかかっておらず、記録紙が両面ユニット内に滞留したまま紙詰まりを検知していた場合、Noと判定する。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS117に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS114に進める。
【0053】
(ステップS114)
反対方向に搬送される位置ではなかった場合には、制御部10が、駆動制御部130により、保存値消去処理を行う。
制御部10は、記憶部19の保存値200を消去する。具体的には、制御部10は、保存値200の逆転時間201、逆転速度202、用紙サイズ203を消去する。
【0054】
(ステップS115)
次に、制御部10が、駆動制御部130により、通常駆動処理を行う。
制御部10は、排出ローラー対46と両面ローラー対47a、47bとを正転させて、両面ユニット内の記録紙を、通常の搬送方向に搬送する。
また、制御部10は、両面ユニット内にはセンサー群18のセンサーがないため、レジストセンサー18bの監視を行う。
【0055】
(ステップS116)
次に、制御部10が、駆動制御部130により、レジストセンサー18bに記録紙を検知したか否かを判定する。
図5を参照すると、制御部10は、通常の搬送方向の搬送により、記録紙Pが両面ユニット内を搬送されてレジストセンサー18bで検知された場合に、Yesと判定する。制御部10はそれ以外の場合、すなわち所定時間待っても記録紙がレジストセンサー18bで検知されない場合には、両面ユニット内でまだ紙詰まりが起こっているため、Noと判定する。つまり、排出ローラー対46に記録紙がない場合は両面ユニット内の用紙を一番近くのセンサーまで搬送することで、紙詰まりを検知させることができる。
Yesの場合、制御部10は、処理をステップS119に進める。
Noの場合、制御部10は、処理をステップS109に戻して、両面ユニットを紙詰まり位置として紙詰まり表示する。つまり、排出ローラー対46により搬送されていない状態の記録紙に関しては、両面ユニットから一番近いセンサーで検知した時点で、紙詰まり表示させる。
【0056】
(ステップS117)
反対方向に搬送される位置の場合、制御部10が、駆動制御部130により、排出距離分正転処理を行う。
制御部10は、記録紙の用紙サイズ203の搬送方向の長さと、排出ローラー対46から排出する距離とを足した分の距離になるよう、排出ローラー対46を正転させる。つまり、記録紙の後端が排出ローラー対46にある状態で紙詰まりを検知した場合、制御部10は、記憶部19に記憶されていた用紙サイズ203に応じて排出可能な時間だけ排出ローラー対46を正転駆動させて、用紙を排出させる。
この際に、制御部10は、両面ローラー対47aは正転させない。これは、両面ローラー対47aを駆動すると、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとの記録紙の引っ張り合いになるためである。
これにより、
図3のように、排出ローラー対46と両面ローラー対47aに記録紙Pがまたがった状態で紙詰まりしている場合でも、排出ローラー対46を正転させ、先に排出を完了させることが可能となる。
なお、制御部10は、更に所定距離分長く、排出ローラー対46を正転させてもよい。また、制御部10は、給紙カセット42aに載置可能な最大の大きさの記録紙の搬送方向の長さと、排出ローラー対46から排出する距離を足した分の距離になるよう排出ローラー対46を正転させてもよい。また、制御部10は、両面ローラー対47aを反転させて逆転駆動させてもよい。
【0057】
(ステップS118)
次に、制御部10が、駆動制御部130により、保存値消去処理を行う。
制御部10は、記憶部19の保存値200を消去する。制御部10は、この処理を、ステップS114と同様に行う。
【0058】
(ステップS119)
ここで、制御部10が、駆動制御部130により、ウォームアップ処理を行う。
制御部10は、排出ローラー対46及び両面ローラー対47aを含む各ローラーを正転させ、各部を初期化するウォームアップ動作をさせる。
この際、上述したように、両面搬送中の記録紙は、既にスタックトレイ50上又は用紙搬送路43上で通常の搬送が可能な状態となっているため、排出ローラー対と両面ローラー対47aとで記録紙が引っ張り合いの状態にならず、紙詰まりを解消できる。
その後、制御部10は、記録紙の搬送を再開し、搬送された記録紙をセンサー群18により検知して、画像形成を再開する。
以上により、本発明の実施の形態に係る紙詰まり時駆動制御処理を終了する。
【0059】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、特許文献1の技術では、搬送路中でセンサーが存在しない区間に詰まった記録紙を検出できず、反対方向に搬送する位置に記録紙がある場合に引っ張り合いとなり正常に排出できなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、記録紙の搬送に関する時間を測定するタイマーと、記録紙の紙詰まりを検知した場合、タイマーにより測定された時間を記憶部に保存する紙詰まり検知部110と、紙詰まり検知部110により保存された時間により、記録紙の紙詰まりの位置を推定する紙詰まり位置推定部120と、紙詰まり位置推定部120により推定された紙詰まりの位置が、記録紙を搬送するローラー同士が記録紙をそれぞれ反対方向に搬送する位置であった場合、いずれかのローラーの駆動を先に行って引っ張り合いを防ぐ駆動制御部130とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、センサー群18の構成及び搬送部20の状態によらず、紙詰まりを検知することができる。つまり、両面ユニット内にセンサー群18のセンサーがなくても記録紙が残留している状態であることを検知することができる。また、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとの間に記録紙が位置する状態であっても正常に排出させることができる。
また、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとの間に記録紙が位置する状態では記録紙を排出させることで、当該記録紙の裏面部分に関しては再利用可能となり、コストを削減できる。
【0060】
また、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、紙詰まり位置推定部120が、タイマーにより測定された両面印刷時に排出ローラー対46の逆転時間201、逆転速度202、及び記録紙の用紙サイズ203により、紙詰まりの位置を推定することを特徴とする。
このように構成することで、両面印刷時における記録紙の紙詰まり発生時に、確実に駆動方向の違う排出ローラー対46と両面ローラー対47aとの間に記録紙が位置するか、両面ユニット内に記録紙が位置するかを区別することができ、紙詰まり位置を特定しやすくなる。よって、ユーザーに紙詰まりの起こった位置を精度高く示すことができ、ユーザーの利便性を向上させられる。
【0061】
また、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、記録紙を所定位置で検出するセンサーを備え、駆動制御部130は、紙詰まり位置推定部120により、排出ローラー対46と両面ローラー対47aとの間の位置に記録紙が紙詰まりしていると推定された場合、排出ローラー対46を先に駆動させて記録紙を排出させ、それ以外の場合には、排出ローラー対46以外のローラーも駆動させて記録紙をセンサーまで搬送させることを特徴とする。
このように構成することで、両面ユニット内に記録紙がある場合、通常の搬送方向への駆動を行うことでレジストローラー対45まで用紙を搬送させて、紙詰まりを検知させることができる。また、記録紙が反対方向に位置する場合でも正常に排出させることが可能になる。
また、本実施形態の画像形成装置1は、逆転時間201、逆転速度202、記録紙サイズを記憶部19のFeRAM等の不揮発性の記憶媒体に記憶させる。これにより、両面搬送中に紙詰まりが起こって電源がオフにされた場合でも、記録紙の位置を確実に特定可能となる。つまり、本体部14の電源をオフにした上で紙詰まりに対処したものの、詰まった紙が取り除ききれなかった場合でも、どこに紙詰まりが起こっているかを把握可能となる。これにより、ユーザーの利便性を向上させられる。
【0062】
なお、本発明の実施の形態においては、排出ローラー対46と両面ローラー対47aが記録紙をそれぞれ反対方向に搬送する位置であった場合の処理の例について記載した。しかしながら、本発明は、部分的にローラーの駆動方向が異なり、反対方向に搬送する位置に記録紙が留まるような構成がある画像形成装置にも適用することが可能である。たとえば、用紙搬送路43が分岐していたり、用紙サイズ203やカラー/白黒印刷の種別によりローラーの搬送方向を正転又は逆転させるような構成の画像形成装置にも適用できる。また、ローラーの反転と合わせて可動する仕切り板等を用いて、搬送方向を変化させるような画像形成装置においても適用可能である。
このように構成することで、両面ユニット以外にも、紙詰まりを検知するセンサーを削減でき、コストを削減することができる。
【0063】
また、本発明は、複合機以外の各種画像形成装置以外の、紙等のシート上の物体をローラーにより搬送し、詰まり等が起こるような各種機器にも適用できる。つまり、ドキュメントスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー、ファクシミリ装置等に用いる構成であってもよい。
【0064】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。