特許第5992972号(P5992972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5992972水平積層シールドを備えるデータ読取装置およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992972
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】水平積層シールドを備えるデータ読取装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/39 20060101AFI20160901BHJP
   G11B 5/31 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   G11B5/39
   G11B5/31 Q
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-159283(P2014-159283)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-32344(P2015-32344A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年3月10日
(31)【優先権主張番号】13/960,394
(32)【優先日】2013年8月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500373758
【氏名又は名称】シーゲイト テクノロジー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Seagate Technology LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マクニール
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・マクジーヒン
(72)【発明者】
【氏名】マーカス・オームストン
(72)【発明者】
【氏名】エイダン・ゴッギン
【審査官】 斎藤 眞
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−260687(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/146357(WO,A1)
【文献】 特開平08−221720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 5/31−5/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドと接触する磁気スタックを備える装置であって、前記シールドが、第1の非磁性層から、第2の非磁性層によって水平方向に分離されるとともに、前記磁気スタックに垂直方向に接触する磁性層の水平積層体を備え、前記磁性層が第1のアスペクト比を規定する空気軸受面(ABS)における第1の幅と前記ABSからの第1の長さとを有し、前記ABSの遠位で異なった第2のアスペクト比を規定する異なった第2の幅および第1の長さを有する、装置。
【請求項2】
前記磁性層が前記ABSから前記ABSに対して遠位の平面まで連続的に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の非磁性層および前記第2の非磁性層は、前記ABSに平行な軸に沿って、前記磁性層に位置合わせされる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の非磁性層がアルミナを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記磁性層は、前記第1の非磁性層と、第3の非磁性層との間に配置され、前記第1の非磁性層と前記第3の非磁性層とは各々第1の物質を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記磁性層は、前記ABS上の前記磁気スタックに中心を合わせられる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記磁性層が第1の幅に沿って連続的に延在し、前記磁気スタックが第2の幅に沿って延在し、前記第1の幅が前記第2の幅よりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記磁性層が前記ABS上の前記磁気スタックから垂直にオフセットされる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各非磁性層が前記ABS上の前記磁性層から水平にオフセットされる、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記磁性層および前記非磁性層それぞれが、共通の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
シールドと接触する磁気スタックを備えるデータ読取装置であって、前記シールドが、第1の非磁性積層体と第2の非磁性積層体との間に配置されるとともに前記磁気スタックに垂直方向に接触する磁性層の水平積層体を備え、前記第1の非磁性積層体は、第1の非磁性層を有し、前記第1の非磁性層は、第2の非磁性層を前記磁性層から分離し、前記第2の非磁性積層体は、第3の非磁性層を有し、前記第3の非磁性層は、前記磁性層を第4の非磁性層から分離し、前記磁性層が第1のアスペクト比を規定する空気軸受面(ABS)における第1の幅と前記ABSからの第1の長さとを有するとともに、前記ABSに対して遠位で異なった第2のアスペクト比を規定する異なった第2の幅および第1の長さを有し、少なくとも1の非磁性層が電気接点に接触する、データ読取装置。
【請求項12】
前記電気接点が前記少なくとも1つの非磁性層と排他的に接触する、請求項11に記載のデータ読取装置。
【請求項13】
前記第1のアスペクト比および前記第2のアスペクト比が、それぞれ5:1未満である、請求項11に記載のデータ読取装置。
【請求項14】
前記磁気スタックが、固定磁化を有さない二重の磁気自由層を備える、請求項11に記載のデータ読取装置。
【請求項15】
少なくとも1つの非磁性層がニッケル合金を含む、請求項11に記載のデータ読取装置。
【請求項16】
前記磁性層が前記非磁性層の領域範囲内に存在する、請求項11に記載のデータ読取装置。
【請求項17】
前記磁性層がパーマロイを含む、請求項11に記載のデータ読取装置。
【請求項18】
第1のシールドであって、第1の非磁性層から、第2の非磁性層によって水平方向に分離されるとともに、磁気スタックに垂直方向に接触する磁性層の水平積層体を備える、第1のシールドを前記磁気スタックに接触させることと、
第1のアスペクト比を規定する空気軸受面(ABS)における第1の幅および前記ABSからの第1の長さと、前記ABSに対して遠位で異なった第2のアスペクト比を規定する異なった第2の幅および第1の長さとを有するように、前記磁性層を構成することと、を含む、方法。
【請求項19】
第2のシールドを前記磁気スタックに接触させることをさらに含み、前記第2のシールドが磁性層および非磁性層の水平積層体を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のシールドおよび前記第2のシールドの前記磁性層および前記非磁性層が、それぞれ垂直に整列される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平積層シールドを備えるデータ読取装置およびその製造方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
データビット間を一般的に識別できるデータ記憶装置が、本明細書で様々な実施形態で一般的に列挙される。
【0003】
様々な非限定的実施形態に従って、磁気スタックは磁性層および非磁性層の水平積層体として構成されるシールドに接触し得、そこで磁性層は、第1のアスペクト比を規定する空気軸受面(ABS)における第1の幅を有し、ABSの遠位で異なった第2のアスペクト比を規定する第2の幅を有する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】様々な実施形態に従って構成および動作される事例的なデータ記憶システムのブロック図を表示する。
図2図1のデータ記憶システムに使用される可能性のあるデータ記憶装置の事例的な部分の等軸測視図である。
図3】様々な実施形態に従って構成される事例的なデータ読取装置の一部の上面ブロック図を示す。
図4】様々な実施形態に従って構成および動作される事例的なデータ読取装置の一部をABSから見たブロック図を提供する。
図5A】様々な実施形態に従って実行される事例的なシールド製造手順をそれぞれ対応付けして例示する。
図5B】様々な実施形態に従って実行される事例的なシールド製造手順をそれぞれ対応付けして例示する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
データ記憶装置およびそれらの構成部品の最小化は、データ記憶容量およびデータアクセス時間を増大させるために、装置の動作能力および信頼性を強調してきた。データビットが回転するデータ記憶媒体上でより密接に連携して記憶されることによって、データ記憶装置の磁気シールドの堅牢性がデータの検知およびプログラミングの速度および正確性に対応し得る。しかしながら、データ読取装置、磁気シールド、およびデータ書込装置のような構成要素の物理的な寸法を縮小させることが、装置の性能を低下させ、そしてより小型の物理的サイズに向けたデータ記憶装置の利点を阻害する可能性のある、磁気的不安定性および不測の静磁気相互作用のような熱機械的な影響を誘発し得る。それ故に、業界の継続的な目標は、特に縮小されたフォームファクタで構築される記憶装置の構成要素の安定性および堅牢性を増大することにある。
【0006】
これらの問題および業界の目標により、少なくとも磁気スタックが、磁性層が第1のアスペクト比を規定する空気軸受面(ABS)における第1の幅とABSに対して遠位で異なった第2のアスペクト比を規定する異なった第2の幅とを有する磁性層および非磁性層の水平な積層体として構成されるシールドに接触する事例的なデータ記憶装置となった。この合成シールドは、データ記憶装置の熱機械的な性能を低下させることなく、磁性層がサイズ、材料、形状に適した調整を可能ならしめることによって、磁場の堅牢性を増大させ得る。水平積層シールドの磁性層および非磁性層を多様で異なった構成で構築する能力はさらに、磁気スタックに接触する磁性層が、電気リードおよびバイアス磁石などの磁性揮発素子形体からの可能性のある妨害なしで磁気スタックの型式、構成、動作に特に適合することを可能にする。
【0007】
図1は、様々な実施形態に従って、クラウドネットワークおよび携帯電子機器のような多様なコンピューティング環境において使用され得る事例的なデータ記憶システム100のブロック図を提供する。データ記憶装置100は、磁気記憶媒体112のデータトラック110上に存在するプログラム化されたデータビット108上に変換ヘッド106の位置決めをするために、プロセッサ104により制御される少なくとも1つ以上のアクチュエータ102を有し得る。プロセッサ104は同時に、データ媒体112を回転させるためのスピンドルモータ114を制御し得、そして空気軸受面(ABS)を形成して、その上で変換ヘッド106がデータビット108と相互作用するために浮上する。
【0008】
変換ヘッド104は、それぞれにデータ媒体112に対してデータをプログラムするために動作し、かつデータ媒体112からデータビット108を読み取る、磁気書込装置および磁気反応性読取装置のような1つ以上の変換構成要素を備えて構築されてもよい。このような手法において、アクチュエータ102およびスピンドルモータ114の制御された作動が、データを選択的に書き込み、読み取り、および再書き込みするために空気軸受のサイズで計測されるときに、変換ヘッド106の位置をデータトラック110に水平に沿っておよび垂直に調節し得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ104は、有線または無線ネットワークを通じてローカルまたは遠隔に位置決めされ得る少なくとも1つのキャッシュメモリ116と通信する。このようなキャッシュメモリ116は速いデータ出力能力を提供し、ハイブリッドデータ記憶装置としてデータ媒体112の長期の記憶と呼応して機能するソリッドステートメモリアレイとして構成され得る。
【0009】
データ記憶システム100はデータビット108を書き込みおよび読み取りするための特定の機構に制限されないが、分類された実施形態は、物理的に非常に小さいサイズのデータビットに迅速かつ正確にアクセスし得る磁性抵抗構成要素を利用する。図2は、一般的に、図1のシステム100のようなデータ記憶システムに実装され得るデータ読取装置120の一部の等軸ブロック図を表示する。データ読取装置120は、磁気スタック128の一部として空気軸受面上(ABS)で非磁性バリア層126の両側で接触する第1の磁気的自由層122および第2の磁気的自由層124により、三層センサとして特徴づけられ得る。
【0010】
データ読取装置120を、反強磁性層または永久磁石などの二重の磁気的自由層および固定されない磁化参照構造を備える構成にすることによって、トレーリングシールド132とリーディングシールド134との間のシールド間間隙130を最小化できる。各自由層122および124に近接してかつ分離したバイアス磁石136の配置により、相対するデータビットに対する一定の信頼性のある磁気的応答を提供するそれぞれの自由層122および124において、デフォルトの磁化方向138および140を誘導し得る。自由層が外部のデータビットに応答できるようにする一方で、十分に強力なバイアス磁化142が自由層のデフォルトの磁化を設定できるようにするために、バイアス磁石136は、ABSに対して遠位で、トレーリング132およびリーディング134のノッチにまで連続的に延在することにより、磁気スタック128よりもY軸に沿ってより大きな厚さを持つように構成され得る。
【0011】
自由層122および124のデフォルトの磁化138および140は、第1の自由層122と第2の自由層124との間の静磁気的結合および層間結合により、所定の強さに設定し得る。静磁気的結合は、磁性材料の形状異方性に関連し、上部自由層および底部自由層のアスペクト比にそれぞれ依存する。デフォルトの磁化138および140の所定の方向および強さにより、自由層は、データ信号を生成するために相対するデータビットに応答して、それぞれ回転または挟むことができる。シールド間間隙130のような磁気スタック128の物理的なサイズが低減されることにより、自由層の磁化138および140が不規則な磁場を検知することで変動に対してより敏感になり、このことが高面密度のデータ記憶装置において増々普及し、強勢になり得る。
【0012】
このような高面密度装置においては、リーディングシールド134およびトレーリングシールド132は、望ましくない磁場が磁気スタック128の検知精度に及んで影響を及ぼすのを妨げる役割を担っている。しかしながら、ABSからのシールド長さ144がシールド幅146よりも小さい5:1のような大きなアスペクト比を持つシールドは、Y軸に沿ったダウントラック方向の磁場に対して堅牢な遮蔽を提供するかもしれないが、脆弱なクロストラック方向の遮蔽に苦しむことになるかもしれない。シールドアスペクト比の低減がクロストラック方向の遮蔽能力を増大させ得る一方で、そのような低減はダウントラック方向の遮蔽堅牢性を縮減させ得る。したがって、複合的で異なったアスペクト比で調整され得るシールドは、高面密度データ記憶環境に関連してフォームファクタ寸法が縮小された場合でも、クロストラック方向およびダウントラック方向の不規則な磁場に対して堅牢になり得る。
【0013】
3層の磁気スタック128が図2に例示されている一方で、隣接境界のようなその他の型式の磁気抵抗積層体は、単一の高アスペクト比の磁場により、性能を減退させ得ることに注意されたい。用語「スタック」は本開示の中では非限定用語であり、磁気的な読み取りおよび書き込みが可能な磁性材料および非磁性材料で構築される1つ以上の垂直または水平に整列される層体となり得ることに注意されたい。本出願全体を通じて、用語「スタック」は、任意の動作環境における外部データビットに対するアクセスを提供するために外部データビットに応答するように構築される構成要素を意味することを理解されたい。例えば、しかし一切の制限をせず、磁気スタックは、複数のデータビット間を識別し得るデータ読取または書込構成となり得る。
【0014】
図3は、クロストラック方向の浮遊磁場およびダウントラック方向の浮遊磁場の両方に対して複合的なアスペクト比および堅牢性を提供するよう調整され得る水平積層シールド152を利用するために、いくつかの実施形態にしたがって構成される事例的なデータ読取装置150の上面ブロック図を表示する。合成シールド152は、ABSにおけるABSの幅160によって画定される狭い領域158およびABSに対して遠位で位置決めされる広い領域162を有するように成形されるシールドの全体構成において非磁性層156間に配置される磁気シールド層154を備えて構築される。示されているとおり、トランジション形体164は、ABSの幅160をABSに対する所定の角度θ1で延在する曲面を介してX軸に沿ってより広い幅に変化させるが、トランジション形体がいくつもの手法で成形されてもよいことから、このような構成は制限の必要がない。
【0015】
磁気シールド層154を非磁性層156の間に配置することで、磁場が任意の電気接点166から分離され、磁気領域構成をより複雑にすることによりシールド152に磁気的不安定性を誘発する可能性のある磁気シールド層154からトポグラフィを除去する。電気接点166がリーディングシールドおよびトレーリングシールドのような対向する磁場上の非磁性層156に接触することで、遮蔽能力の任意の電気的崩壊を最小化するために、データ読取装置150を通過する電気経路ができる限り磁気シールド層154を通過しないようにし得る。様々な実施形態において、非磁性層156は、約14.5ppm/℃の熱膨張率(CTE)係数およびおおよそ250MPaの引張り強さ係数を有するNiPまたはNi50Cu50のようなニッケル合金でそれぞれ構築され、一方で、磁気シールド層154は、約11.5ppm/℃の熱膨張率(CTE)および250MPaの引張り強さを有するパーマロイであるが、このような材料構成は必要とされず、または制限するものでもない。
【0016】
非磁性層156の領域範囲内での磁気シールド層154の位置が、示されているとおり、第1の幅168がABSに存在し、第2のより広い幅170がABSに対して遠位で位置する場所で、アスペクト比の調整を可能にする。幅のそれぞれの長さ172および174と組み合わされるこれらの異なる幅168および170を調整することが、コンカレントで補足的なシールド特性を提供し得る異なるアスペクト比を提供する。すなわち、より幅の広い磁場の幅174は幅168によって規定されるシールド154の部分より大きなアスペクト比に対応して、ダウントラック方向の浮遊磁場を効率的に遮蔽し、一方で、シールド154のより小さなアスペクト比の部分がクロストラック方向の浮遊磁場を効率よく遮蔽する。
【0017】
単一の連続する磁気シールド層154における異なったアスペクト比の組合せは、非磁性層156がシールド152全体に影響を及ぼしながら、熱機械的な性能を維持することによって、データ読取装置150に確実な動作能力を提供する。異なる磁場の長さ172および174は、それぞれのシールド幅168および170がそれぞれの長さ172および174の大部分に対して一様で連続となるように、変換形体176を介して接続される。磁気シールド層154の様々な部分からなる実質的に四角形の構成は同時に異なったアスペクト比を提供し得るが、このような構成は、無制限に多様な磁気シールド層の側壁の形状が利用し得ることから、必要とされず、または制限するものでもない。
【0018】
例えば、磁気シールド層154は、ABSに対して所定の角度で勾配する直線側壁178、または連続した曲線側壁180を有し得る。磁気シールド側壁の形状と方向に関係なく、ABSにおいておよびABSに対して遠位で異なる幅168および170を有するために側壁を調整することにより、磁気シールド層154において複合的なアスペクト比を提供することで、最適なシールド性能に対応し得る。このようなシールド調整は、いくつかの実施形態において、異なったアスペクト比、磁性層側壁形状、および磁性層幅を持つリーディングシールドおよびトレーリングシールドのようなデータ読取装置の分離したシールドを構築することを含み得る。
【0019】
図4は、分類された実施形態に従って構成され、様々な実施形態を利用して構築される実際の変換ヘッドのいかなる縮尺または寸法をも反映しない視覚的な図として例示される事例的な変換ヘッド190の一部のABSから見たブロック図である。ヘッド190は、非磁性スペーサ層196によってデータ読取装置194と物理的には接続されるが磁気的には分離され得るデータ書込装置の書込極192部分を有する。データ読取装置194は、ABSを横断してデータビットを検知するためにバリア層202によって分離される固定磁化構造198と自由磁化構造200の両方を利用される磁気スタック196を有している。磁気スタックは、X軸に沿って側部シールド204の間に水平に配置され、かつY軸に沿ってリーディングシールド206とトレーリングシールド208との間に垂直に配置される。
【0020】
リーディングシールド206およびトレーリングシールド208それぞれは、磁気スタック196の両側に接触する磁気シールド層210を持つ合成水平積層体として構築される。磁気シールド層210は、上記で検討されているのと同種のまたは異種であり得る複合的な異なったアスペクト比を持つように個々に構成され得る。各磁気シールド層210は、磁気シールド層210の緩衝物となり、かつ熱機体的な劣化を軽減することに供する非磁性層212によって水平的に囲まれる。リーディングシールド206およびトレーリングシールド208それぞれは、磁性材料または非磁性材料として構築され得、かつ磁気シールド層210に近接するが、非磁性層212によって分離されて、水平に位置決めされる追加的なシールド層214をさらに有し得る。追加的なシールド層214の追加は、いくつかの実施形態において、補足的な遮蔽を提供するために、形状、サイズ、位置に関して調整され得る。しかしながら、その他の実施形態は、非磁性層212の表面積の増大を可能にするために、リーディングシールド206およびトレーリングシールド208それぞれから、1つまたは両方の追加的な磁気シールド層214を割愛し得る。
【0021】
非限定的な実施形態で例示されているとおり、リーディングシールド206およびトレーリングシールド208の組成層の幅は異なり、分類された実施形態に従ってABSにおけるY軸に沿った多様なダウントラック方向の遮蔽を提供するために調整され得る。さらに、いくつかの実施形態は、層体の材料、数量、層体の幅、および層体の位置に適合するリーディングシールド206およびトレーリングシールド208を構成する。そのような多様な調整の可能性によって、ビットパターン媒体環境および高データビット密度のデータ記憶環境のような分類された浮遊磁場状態がもたらされる広範囲のデータ記憶環境に順応するように、変換ヘッド190が構成されることが可能となる。
【0022】
図5Aおよび5Bは、いくつかの実施形態に従って実施される事例的なシールド製造手順のフローチャートおよび関連する事例的なブロック図をそれぞれ提供する。磁気シールドシード層を堆積させることによって図5のステップ222が始まり、それは磁性シード244が基板246の頂上に位置決めされる図5Bの積層体240に対応する。シード層244は、側部シールドのような任意の基礎をなす表面の頂上に形成されてもよく、特定の基板材の上に堆積される必要はないことに注意されたい。しかるが故に、磁性シード層244は、データ変換要素であるリーディングシールドおよびトレーリングシールドを形成するために使用され得る。
【0023】
ステップ224は、次に、磁気シールド層を画定するために、典型的な積層体250のフォトレジストマスク252のようなマスクを成形する。ステップ224は、成形されるシールド側壁と共に複数の異なったアスペクト比の領域を形成することを少なくとも伴い得、それは図13の側壁178および180と同種または異種でもよい。積層体260は、ステップ226における既存のマスクの内側にめっきされる単一で連続的な磁気シールド層262を例示する。様々な実施形態が、ステップ226を介して層体262がその一部となる異種の磁性層の垂直積層体を形成し得る。
【0024】
磁気シールド層262の形成が手順220をステップ228に進ませ、そこで既存のマスクが剥離され、シールドシード244の部分が圧延され、そして非磁気シールド材料が堆積され、これが非磁性シード272による積層体270において示される。非磁性シード材料は磁性シード層244と同種または異種でもよいが、分類される実施形態は、異方性の強さおよび方向のような異なった動作特性を導入するために、磁性シード層および非磁性シード層それぞれにおいて異種の材料および表面粗さを用いている。積層体270に示されているとおり、非磁性シード層272は、非磁性シードが磁気シールド層262の両方の側部間で連続するように少なくとも所定の厚さを伴って、磁気シールド層262の垂直な側壁を含む下の層体を連続的に被覆するように堆積され得る。
【0025】
形成された非磁性シード層272に関して、図5のステップ230は、層体282として積層体280に示される非磁性層を形成するためのステップ232においてその後にめっきされる非磁性体の範囲を画定するための別のマスクを成形する。マスクがステップ230で必要とされるが、いくつかの実施形態はマスクなしで非磁性層を形成する。非磁性シード層272のように、非磁性層282は、あらゆるマスクが剥離される前に、磁性シード層262の両側まで連続的に延在し得、そして非磁性層および非磁性シードは所定の形状に圧延され、そして除去された部分はその後、アルミナのような非磁性材料で埋め戻される。
【0026】
積層体290は、磁気シールド層の上部表面が非磁性層282および埋め戻されたアルミナ292の両方と平面状になるステップ234の後で、一例のシールド構成を提供する。積層体290に例示される水平積層シールドの平面状の上部表面は、合成シールドがトレーリングシールドとなる場合には、非磁性スペーサおよび書込極のような任意の数の補足的な層体を形成するために利用され得る。図5Bの積層体300および手順220のステップ236に関して、合成シールドは、磁気側部シールド304の間に配置される磁気スタック302のアップトラックに位置決めされるリーディングシールドとして位置決めされる。ステップ236は磁気スタックの特定の型式またはサイズに制限されないが、いくつかの実施形態における三重のデータ検知スタックとして、およびその他の実施形態における隣接境界の検知スタックを含む固定磁化として構成され得る。
【0027】
積層体300に関して、合成リーディングシールドは、図4に示されている構成のような別の合成トレーリングシールドで補足され得ることを理解されたい。別の水平積層シールドの追加は、磁気スタック302および側部シールド304の平面状の上部表面の頂上に磁性シード層を堆積させるステップ222と共に新たに手順220を開始し得る。手順220のステップの各々に立ち戻って、様々な組成の層体の様々な材料、形状、および位置は積層体300に例示される合成リーディングシールドとは異なって変更され得る。例えば、トレーリング合成シールドは、磁気シールド262から非磁性層282を分離する非磁性シード層272の部分を除去する1つのステップを手順220に追加してもよい。しかるが故に、手順220および積層体300は制限せず、そして異なって調整されるシールドおよびデータ読取装置の多様な構成を作り出す意志に応じて改良され得る。
【0028】
データ変換構成要素における1つ以上のシールドの調整が、合成水平積層シールドに、クロストラック方向およびダウントラック方向の堅牢な磁場遮蔽を提供し得る磁性層および非磁性層の両方を提供し得る。合成シールドにおける磁性層の両側に非磁性材料を位置決めすることにより、シールドの磁気シールド層部分に磁性領域の複雑性を増すことなく、シールドの非磁性部分に接続するための電気接点のような形体が可能となり得る。合成シールドの様々な層体は、磁気スタックに関して複数の平面全体の最適な磁気遮蔽を提供するために同時に作用する複合的な異なったアスペクト比を提供するための形状および材料に関して調整され得る。
【0029】
様々な実施形態が磁気的感知のためのシールドに向けられているが、実施形態がデータ書込用途のようないくつかのその他の用途に利用され得ることを理解されたい。本開示についての多くの特性および構成が上段に記述されているが、様々な実施形態の構成および機能についての説明と相まって、この詳細な説明は例示的なものに過ぎず、特に、追記される請求項が表現されるところの用語の広範囲で一般的な意味によって最大限の範囲で示される本発明の原則の範囲内での部品の構成および配置の面で、詳細において変更され得る。例えば、特定の構成要素は、本発明技術の精神および範囲を逸脱することなく、特定の用途に応じて、変動し得る。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B