特許第5992988号(P5992988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992988
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20160901BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   G06F3/12 311
   G06F3/12 324
   G06F3/12 392
   H04M1/00 U
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-260153(P2014-260153)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-122240(P2016-122240A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2016年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】新谷 典久
【審査官】 宮下 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−21905(JP,A)
【文献】 特開2006−82240(JP,A)
【文献】 特開2007−87046(JP,A)
【文献】 特開2014−37094(JP,A)
【文献】 特開2014−187575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04M 1/00
G06F 1/26
B41J 21/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を電源とし、印刷設定とドキュメントとからなる印刷データを送信する携帯端末と、前記携帯端末から前記印刷データを受信し、前記印刷設定に基づいて前記ドキュメントを印刷する画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、
前記携帯端末は、
前記電池の電池残量を検出する電池残量検出手段と、
前記電池残量検出手段によって検出された前記電池残量と前記ドキュメントのデータ量とに基づいて、前記電池残量が十分ではないと判断した場合には、ドキュメント優先送信リクエストを送信し、前記ドキュメントを前記印刷設定に先立って前記画像形成装置に送信する印刷操作処理手段を具備し、
前記画像形成装置は、
前記ドキュメント優先送信リクエストを受信すると、他の送信リクエストに基づく未受信データの受信に優先して、前記ドキュメントを受信する遠隔操作受付手段を具備することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成装置の遠隔操作受付手段は、前記未受信データの送信元に対して、受信した前記ドキュメント優先送信リクエストを優先することを知らせる割り込み通知を送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記携帯端末の印刷操作処理手段は、前記ドキュメントと、当該ドキュメントを特定するドキュメント特定情報とを送信し、
前記画像形成装置は、
受信した前記ドキュメントと前記ドキュメント特定情報とを記憶する記憶手段を具備することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記携帯端末の印刷操作処理手段は、前記印刷設定と前記ドキュメント特定情報とを送信し、
前記画像形成装置の遠隔操作受付手段は、前記印刷設定と前記ドキュメント特定情報とを受信すると、受信した前記ドキュメント特定情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記ドキュメントを特定し、特定したドキュメントを受信した前記印刷設定で印刷することを特徴とする請求項3記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末と携帯端末から操作可能な画像形成装置とを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末を用いて、画像形成装置を操作可能な技術が知られている。ユーザーは、携帯端末から画像形成装置に画質やサイズ等の印刷設定と文書データや画像データ等のドキュメントとからなる印刷データを送信することで、画像形成装置から印刷設定に基づいたドキュメントを印刷させることができ、利便性が向上する。
【0003】
一方、携帯端末は、電池を電源としているため、携帯端末の電池消耗に起因する突発的かつ極端な利便性の低下等を回避する必要がある。例えば、電池が消耗すると、携帯端末と本体機との通信方法を双方向通信制御から単方向通信制御へ切り替える技術や、携帯端末の電池が動作限界電圧近くまで消耗していることの通知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−47839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術でも、印刷データの送信が完了する前に携帯端末が電池切れになると、ドキュメントの印刷までに時間がかかってしまったり、煩雑な操作が必要になってしまったりするという問題点があった。携帯端末で再操作を行う場合には、少なくとも印刷データの送信に必要な電池残量に達するまで携帯端末を充電しなければならず、再操作まで時間がかかってしまう。また、再操作を画像形成装置まで行って実行する場合には、印刷設定を入力し直さなければならないと共に、ドキュメントを再度用意して画像形成装置に読み込ませなければならず、煩雑な操作が必要になってしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯端末が電池切れになっても、簡単な操作で、ドキュメントの印刷を素早く行うことができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成システムは、電池を電源とし、印刷設定とドキュメントとからなる印刷データを送信する携帯端末と、前記携帯端末から前記印刷データを受信し、前記印刷設定に基づいて前記ドキュメントを印刷する画像形成装置とを備えた画像形成システムであって、前記携帯端末は、前記電池の電池残量を検出する電池残量検出手段と、前記電池残量検出手段によって検出された前記電池残量と前記ドキュメントのデータ量とに基づいて、前記電池残量が十分ではないと判断した場合には、ドキュメント優先送信リクエストを送信し、前記ドキュメントを前記印刷設定に先立って前記画像形成装置に送信する印刷操作処理手段を具備し、前記画像形成装置は、前記ドキュメント優先送信リクエストを受信すると、他の送信リクエストに基づく未受信データの受信に優先して、前記ドキュメントを受信する遠隔操作受付手段を具備することを特徴とする画像形成システム。
さらに、本発明の画像形成システムにおいて、前記画像形成装置の遠隔操作受付手段は、前記未受信データの送信元に対して、受信した前記ドキュメント優先送信リクエストを優先することを知らせる割り込み通知を送信しても良い。
さらに、本発明の画像形成システムにおいて、前記携帯端末の印刷操作処理手段は、前記ドキュメントと、当該ドキュメントを特定するドキュメント特定情報とを送信し、前記画像形成装置は、受信した前記ドキュメントと前記ドキュメント特定情報とを記憶する記憶手段を具備しても良い。
さらに、本発明の画像形成システムにおいて、前記携帯端末の印刷操作処理手段は、前記印刷設定と前記ドキュメント特定情報とを送信し、前記画像形成装置の遠隔操作受付手段は、前記印刷設定と前記ドキュメント特定情報とを受信すると、受信した前記ドキュメント特定情報に基づいて前記記憶手段に記憶された前記ドキュメントを特定し、特定したドキュメントを受信した前記印刷設定で印刷しても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電池残量が十分でない場合に、ドキュメントが印刷設定に先立って画像形成装置に送信されるため、画像形成装置に対して印刷設定を送信もしくは入力するだけで、ドキュメントを印刷することができ、携帯端末が電池切れになっても、簡単な操作で、ドキュメントの印刷を素早く行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る実施形態の画像形成システムのシステム構成図である。
図2図1に示す携帯端末の構成を示すブロック図である。
図3図1に示す画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図4図2に示す携帯端末の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図2に示す携帯端末の表示例を示す図である。
図6図3に示す画像形成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【0011】
図1に示すように、画像形成システムは、携帯端末1と、携帯端末1に無線等のネットワークで接続された画像形成装置2とを備えている。画像形成装置2は、プリンター、複写機、MFP(Multifunction Peripheral/Printer/Product)等の印刷機能を有する装置であり、携帯端末1から操作可能であると共に、操作パネル21からの操作も可能に構成されている。
【0012】
携帯端末1は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)等の電池を電源とするポータブルデバイスである。図2に示すように、携帯端末1は、操作部11と、電池残量検出部12と、記憶部13と、通信部14と、制御部15とを備えている。
【0013】
操作部11は、各種情報を表示する表示部と各種操作キーを備えたユーザーインターフェースである。表示部は、表示パネルの表面に透明の感圧センサーが設けられた表示手段及び入力手段として機能するタッチパネルであってもよい。
【0014】
電池残量検出部12は、携帯端末1の電池残量を検出し、検出した電池残量を制御部15に通知する。なお、電池残量の検出の電池の端子間電圧や内部抵抗を測定に基づいて行っても良く、電池に流入出した電流の測定に基づいて行うこともできる。また、電池残量は、フル充電を100とするパーセント、電力量[Wh]等の任意の単位で検出することができる。本実施の形態の電池残量検出部12は、電池残量をパーセントで検出する。
【0015】
記憶部13は、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段であり、ユーザーによって蓄積された文書データや画像データ等の各種ドキュメントが記憶されていると共に、操作APP131が記憶されている。操作APP131は、画像形成装置2を遠隔操作するためのアプリケーションプログラムであり、携帯端末1にインストールされている。ユーザーは、通信部14を介してインターネットなどから操作APP131をダウンロードして、携帯端末1にインストールすることができる。
【0016】
通信部14は、無線ネットワークを介して、画像形成装置2と各種データを送受信する機能を有する。
【0017】
制御部15は、操作部11、電池残量検出部12、記憶部13及び通信部14にそれぞれ接続され、操作部11から入力された所定の指示情報に応じて携帯端末1全体の動作制御を実行する。制御部15は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには携帯端末1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部15は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、操作部11から入力された所定の指示情報に応じて端末全体の制御を行う。
【0018】
また、操作部11を介して操作APP131の起動操作が行われると、制御部15は、記憶部13に記憶された操作APP131を読み出して、RAMに展開させて、操作APP131を起動させる。これにより、制御部15は、操作APP131の機能を実現する印刷操作処理部151として機能する。
【0019】
印刷操作処理部151は、電池残量検出部12によって検出された電池残量とドキュメントのデータ量とに基づいて、電池残量が十分ではないと判断した場合には、ドキュメント優先送信リクエストを送信し、ドキュメントを印刷設定に先立って画像形成装置2に送信する。
【0020】
次に、図3を参照して、画像形成装置2について説明する。画像形成装置2は、MFP(Multifunction Printer)であり、操作パネル21と原稿読取部22と記憶部23と画像処理部24と印刷部25と通信部26とファクシミリ部27と制御部28とを備えている。
【0021】
操作パネル21は、タッチパネルと操作ボタンとを備えている。タッチパネルは、各種操作キーや画像形成状況を表示する表示部の表面に透明の感圧センサーが設けられており、表示手段及び入力手段として機能する。タッチパネルは、表示面へのタッチ操作を検知して、タッチ操作が検知された位置に対応する信号を出力することで、表示部に表示した操作キーへの操作を受け付ける。また、操作ボタンは、印刷枚数等の数値を入力するためのテンキー、設定情報を初期化させる指示を入力するためのリセットキー、複写動作を停止させるためのストップキー、印刷動作を開始させる出力指示を入力するためのスタートキー等の各種操作キーを備えている。
【0022】
原稿読取部22は、図示しない原稿給紙装置により給紙されてきた原稿や、ユーザーによってプラテンガラスに載置された原稿に対して光を照射し、その反射光等を受光して原稿画像を読み取るスキャナーである。
【0023】
記憶部23は、半導体メモリやHDD等の記憶手段であり、原稿読取部22によって読み取られた画像データや、通信部26、ファクシミリ部27によって受信された印刷データ等が蓄積される記憶手段である。
【0024】
画像処理部24は、画像データに対して所定の画像処理を行う手段である。画像処理部24では、例えば、拡大縮小処理や、濃度調整、階調調整等の画像改善処理が行われる。
【0025】
印刷部25は、記憶部23に記憶された画像データを印刷する印刷手段である。印刷部25は、例えば、記憶部23から読み出した画像データに基づき感光体ドラムの表面に潜像を形成し、トナーによってその潜像をトナー像とする画像形成を行い、その感光体ドラムから記録紙にトナー像を転写させ、そのトナー像を記録紙に定着させて排紙する。
【0026】
通信部26は、無線ネットワークを介して携帯端末1と各種データを送受信する機能を有する。他にも、通信部26は、LAN(Local Area Network)ケーブルを介して外部端末と各種データを送受信する機能を有してもよい。
【0027】
ファクシミリ部27は、モデムを有し、原稿読取部22によって読み取られた画像データや、記憶部23に記憶されている画像データからファクシミリ信号を生成し、生成したファクシミリ信号を公衆回線網経由で送信するファクシミリ送信機能と、公衆回線網経由でファクシミリ信号を受信するファクシミリ受信機能とを備えている。
【0028】
制御部28は、操作パネル21、原稿読取部22、記憶部23、画像処理部24、印刷部25、通信部26及びファクシミリ部27にそれぞれ接続されている。制御部28は、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMには画像形成装置2の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部28は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、装置全体の制御を行う。また、制御部28は、通信部26を介して携帯端末1から印刷データを受信すると、遠隔操作受付部281として機能し、受信した印刷データを印刷部25によって印刷する。
【0029】
次に、本実施の形態の携帯端末1の動作について図4及び図5を参照して詳細に説明する。
まず、携帯端末1において操作APP131が起動されると、制御部15は印刷操作処理部151として機能し、操作部11に印刷操作画面を表示させる(ステップA1)。印刷操作画面には、図5(a)に示すように、記憶部13に記憶されているドキュメントの印刷を行う「通常印刷キー」と画像形成装置2に送信済みのドキュメントの印刷を行う「印刷設定キー」とが配設されている。ユーザーは、印刷操作画面において、「通常印刷キー」と「印刷設定キー」とのいずれかを操作する。
【0030】
遠隔操作受付部281は、印刷操作画面において「通常印刷キー」が操作されたか否かを判断するし(ステップA2)。ステップA2で「通常印刷キー」が操作された場合には、遠隔操作受付部281は、記憶部13に記憶されているドキュメントの一覧を操作部11に表示させ、印刷するドキュメントの指定を受け付ける(ステップA3)。
【0031】
次に、印刷操作処理部151は、指定されたドキュメントの送信に必要な電池使用量を算出する(ステップA4)。ドキュメントのデータ量が大きいほど、通信時間も長くなり、電池使用量も増加する。印刷操作処理部151には、単位印刷データ量:Xバイト当たりの電池使用量:Y%が予め設定されており、印刷操作処理部151は、カラー印刷データのデータ量に(Y/X)を乗算することで電池使用量を算出する。
【0032】
次に、印刷操作処理部151は、電池残量検出部12によって検出された電池残量と、ステップA4で算出した電池使用量とを比較し(ステップA5)、電池残量が電池使用量以上か否かを判断する(ステップA6)。そして、ステップA6において電池残量が電池使用量以上でない場合には、印刷操作処理部151は、図5(b)に示すように、電池残量が少なく、印刷を行うことができないことを示す印刷不可画面を操作部11に表示させ、印刷不可をユーザーに通知し(ステップA7)、処理を終了する。
【0033】
ステップA6において電池残量が電池使用量以上である場合には、印刷操作処理部151は、さらに、電池残量が電池使用量の2倍以上か否かを判断する(ステップA8)。そして、ステップA8において電池残量が電池使用量の2倍以上である場合には、印刷操作処理部151は、操作部11に印刷設定画面を表示させて、ユーザーによる印刷設定を受け付ける(ステップA9)。次に、印刷操作処理部151は、通信部14を用いて画像形成装置2に印刷データ送信リクエストを送信し、画像形成装置2からの送信許可通知の受信を待機する。印刷操作処理部151は、画像形成装置2から送信許可通知を受信すると、ステップA9で受け付けた印刷設定と、ステップA3で指定を受け付けたドキュメントとを印刷データとして通信部14を用いて画像形成装置2に送信し(ステップA10)、処理を終了する。
【0034】
ステップA8では、電池残量が電池使用量の2倍(印刷データのデータ量に応じて決まる送信基準)以上か否かを判断することで、電池切れになることなく確実に印刷データの送信を完了させることができるか否か、すなわち電池残量が十分ではあるか否かを判断している。電池残量が電池使用量以上であっても、電池残量検出部12による電池残量の検出誤差や、通信状況等の外部要因に起因する通信時間の増加によって、送信途中で電池切れになってしまうリスクがある。そこで、ステップA8では、余裕をもって電池残量が十分ではあるか否かを判断している。なお、電池使用量に乗算する係数は2倍に限らず、1を超える値であればよい。また、電池使用量に所定の値を加算するようにしても良い。また、電池残量を予め設定された閾値と比較することで、電池残量が十分ではあるか否かを判断することもできる。この場合には、データ量に応じた正確な判断を行うことができないが、電池使用量を算出する必要がないため、判断処理を簡略化することができる。
【0035】
ステップA8において電池残量が電池使用量の2倍以上でない場合には、印刷操作処理部151は、図5(c)に示すようなパスワード入力画面を表示させ、ユーザーによるパスワードの入力を受け付ける(ステップA11)。パスワード入力画面には、実行キーが配設されている。パスワード入力画面において実行キーが操作されると、印刷操作処理部151は、通信部14を用いて画像形成装置2にドキュメント優先送信リクエストを送信し、画像形成装置2からの送信許可通知の受信を待機する。印刷操作処理部151は、画像形成装置2から送信許可通知を受信すると、ステップA11で受け付けたパスワードと、ステップA3で指定を受け付けたドキュメントとを通信部14を用いて画像形成装置2に送信する(ステップA12)。このように、ステップA8において電池残量が電池使用量の2倍以上でない場合には、送信途中で電池切れになってしまうリスクがあるため、ドキュメントの送信を優先する。ステップA11で受け付けるパスワードは、送信するドキュメントを特定するためのドキュメント特定情報である。パスワードは事前に受け付けておくようにしても良く、また、パスワードの代わりに携帯端末1に設定されている電話番号やメールアドレス等のユーザーが把握している文字数字列をドキュメント特定情報として用いるようにしても良い。この場合には、ユーザーによるドキュメント特定情報の入力が必要ないため、ユーザー操作(許可)を求めることなく、ドキュメントの送信を行うようにしても良い。
【0036】
印刷操作処理部151は、パスワードとドキュメントとの送信の終了を待機し(ステップA13)、送信が終了すると、図5(d)に示すように、送信が終了したことを示す送信終了画面を表示させ、送信終了をユーザーに通知する(ステップA14)。送信終了通知画面には、印刷設定キーが配設されている。送信終了通知画面において印刷設定キーが操作されると、印刷操作処理部151は、操作部11に印刷設定画面を表示させて、ユーザーによる印刷設定を受け付ける(ステップA15)。次に、印刷操作処理部151は、通信部14を用いて画像形成装置2に印刷設定送信リクエストを送信し、画像形成装置2からの送信許可通知の受信を待機する。印刷操作処理部151は、画像形成装置2から送信許可通知を受信すると、ステップA11で受け付けたパスワードと、ステップA15で受け付けた印刷設定とを通信部14を用いて画像形成装置2に送信し(ステップA16)、処理を終了する。
【0037】
なお、ステップA15における印刷設定の受け付けと、ステップA16におけるパスワード及び印刷設定の送信とは、すでにドキュメントを送信しているため、継続して行う必要はない。例えば、充電後の携帯端末1や他の携帯端末1を用いて行うことができる。この場合、ユーザーは、印刷操作画面において「印刷設定キー」を操作する。ステップA2で操作されたキーが「通常印刷キー」でなく、「印刷設定キー」であった場合には、印刷操作処理部151は、図5(c)に示すようなパスワード入力画面を表示させ、ユーザーによるパスワードの入力を受け付ける(ステップA17)。このパスワード入力画面において実行キーが操作されると、印刷操作処理部151は、ステップA15において、操作部11に印刷設定画面を表示させてユーザーによる印刷設定を受け付ける。そして、印刷操作処理部151は、ステップA16において、ステップA17で受け付けたパスワードと、ステップA15で受け付けたドキュメント印刷設定とを通信部14を用いて画像形成装置2に送信し、処理を終了する。なお、ドキュメントが画像形成装置2に送信されているため、印刷設定とパスワードとは、画像形成装置2の操作パネル21から入力し、印刷をさせることもできる。
【0038】
次に、本実施の形態の画像形成装置2の動作について図6を参照して詳細に説明する。
画像形成装置2において、遠隔操作受付部281は、印刷データ送信リクエストの受信と(ステップB1)、ドキュメント優先送信リクエストの受信と(ステップB2)、印刷設定送信リクエストの受信と(ステップB3)、を待機している。
【0039】
ステップB1で印刷データ送信リクエストを受信すると、遠隔操作受付部281は、先に受信した送信リクエストに基づく未受信データがあるか否かを判断し(ステップB4)、未受信データがない場合には、ステップB1で印刷データ送信リクエストを受信した携帯端末1に送信許可通知を送信する(ステップB5)。ステップB4で未受信データがある場合には、遠隔操作受付部281は、未受信データの受信完了を待機し(ステップB6)、未受信データの受信が完了すると、ステップB5で送信許可通知を送信する。そして、遠隔操作受付部281は、印刷データを受信し(ステップB7)、受信した印刷データを印刷部25によって印刷して(ステップB8)、処理を終了する。
【0040】
ステップB2でドキュメント優先送信リクエストを受信すると、遠隔操作受付部281は、先に受信した送信リクエストに基づく未受信データがあるか否かを判断し(ステップB9)、未受信データがない場合には、ステップB2でドキュメント優先送信リクエストを受信した携帯端末1に送信許可通知を送信する(ステップB10)。ステップB9で未受信データがある場合には、遠隔操作受付部281は、未受信データの送信元の携帯端末1に対し、ステップB2で受信したドキュメント優先送信リクエストを優先することを通知する割り込み通知を送信し(ステップB11)、ステップB10で送信許可通知を送信する。そして、遠隔操作受付部281は、パスワードとドキュメントとを受信し(ステップB12)、受信したパスワードとドキュメントとを記憶部23に記憶させ(ステップB13)、処理を終了する。ドキュメント優先送信リクエストを優先させ、ドキュメントを先に受信することで、ドキュメントを送信する携帯端末1の電池切れリスクを軽減することができる。なお、ステップB10で送信する送信許可通知に、ステップB11で割り込み通知を送信した携帯端末1の情報を付加するようにしても良い。この場合には、送信許可通知を受信した携帯端末1において、印刷を待ってもらった携帯端末1を把握することができ、謝意を表すことが可能になる。
【0041】
ステップB3で印刷設定送信リクエストを受信すると、遠隔操作受付部281は、先に受信した送信リクエストに基づく未受信データがあるか否かを判断し(ステップB14)、未受信データがない場合には、ステップB3で印刷設定送信リクエストを受信した携帯端末1に送信許可通知を送信する(ステップB15)。ステップB14で未受信データがある場合には、遠隔操作受付部281は、未受信データの受信完了を待機し(ステップB16)、未受信データの受信が完了すると、ステップB15で送信許可通知を送信する。そして、遠隔操作受付部281は、パスワードと印刷設定とを受信し(ステップB17)、ステップB17で受信したパスワードに基づいて記憶部23に記憶されているドキュメントを特定する(ステップB18)。次に、遠隔操作受付部281は、ステップB17で受信した印刷設定で、ステップB18で特定したドキュメントを印刷部25によって印刷して(ステップB19)、処理を終了する。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、電池を電源とし、印刷設定とドキュメントとからなる印刷データを送信する携帯端末1と、携帯端末1から印刷データを受信し、印刷設定に基づいてドキュメントを印刷する画像形成装置2とを備えた画像形成システムであって、携帯端末1は、電池の電池残量を検出する電池残量検出部12と、電池残量検出部12によって検出された電池残量とドキュメントのデータ量とに基づいて、電池残量が十分ではないと判断した場合には、ドキュメント優先送信リクエストを送信し、ドキュメントを印刷設定に先立って画像形成装置1に送信する印刷操作処理部151を備え、画像形成装置2は、ドキュメント優先送信リクエストを受信すると、他の送信リクエストに基づく未受信データの受信に優先して、ドキュメントを受信する遠隔操作受付部281を備えている。
この構成により、電池残量が十分でない場合に、ドキュメントが印刷設定に先立って画像形成装置2に送信されるため、画像形成装置2に対して印刷設定を送信もしくは入力するだけで、ドキュメントを印刷することができ、携帯端末1が電池切れになっても、簡単な操作で、ドキュメントの印刷を素早く行うことができる。画像形成装置2に対して印刷設定を携帯端末1から送信する場合には、少なくとも印刷設定の送信に必要な電池残量に携帯端末1を充電すれば良く、再操作までの時間が短くてすむ。また、画像形成装置まで行って印刷設定を入力する場合には、ドキュメントを再度用意する必要がないため、簡単な操作でドキュメントを印刷することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態は、画像形成装置2の遠隔操作受付部281は、未受信データの送信元に対して、受信したドキュメント優先送信リクエストを優先することを知らせる割り込み通知を送信する。
この構成により、未受信データの送信元は、優先するユーザーがいる旨を知ることができ、ユーザービリティーが向上する。
【0044】
さらに、本実施の形態は、携帯端末1の印刷操作処理部151は、前記ドキュメントと、当該ドキュメントを特定するドキュメント特定情報であるパスワードとを送信し、画像形成装置2は、受信したドキュメントとパスワードとを記憶する記憶部23を備えている。
この構成により、画像形成装置まで行って印刷設定を入力する場合に、印刷するドキュメントを簡単に特定することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態は、携帯端末1の印刷操作処理部151は、印刷設定とパスワードとを送信し、画像形成装置2の遠隔操作受付部281は、印刷設定とパスワードとを受信すると、受信したパスワードに基づいて記憶部23に記憶されたドキュメントを特定し、特定したドキュメントを受信した印刷設定で印刷する。
この構成により、携帯端末1から印刷するドキュメントを簡単に特定することができ、他の携帯端末1を用いもドキュメントを印刷させることが可能になる。
【0046】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯端末
2 画像形成装置
11 操作部
12 電池残量検出部
13 記憶部
14 通信部
15 制御部
21 操作パネル
22 原稿読取部
23 記憶部
24 画像処理部
25 印刷部
26 通信部
27 ファクシミリ部
28 制御部
131 操作APP
151 印刷操作処理部
281 遠隔操作受付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6