特許第5993005号(P5993005)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼットティーイー コーポレイションの特許一覧 ▶ ゼットティーイー (ユーエスエー) インコーポレイテッドの特許一覧

特許5993005アンテナおよびベースバンドプロセッサ間のアナログ信号の無線伝送方法およびそのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993005
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】アンテナおよびベースバンドプロセッサ間のアナログ信号の無線伝送方法およびそのシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/2575 20130101AFI20160901BHJP
   H04J 14/00 20060101ALI20160901BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   H04B9/00 267
   H04B9/00 E
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-519005(P2014-519005)
(86)(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公表番号】特表2015-501554(P2015-501554A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】US2012044587
(87)【国際公開番号】WO2013009483
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2014年3月5日
(31)【優先権主張番号】61/505,769
(32)【優先日】2011年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511207729
【氏名又は名称】ゼットティーイー コーポレイション
(73)【特許権者】
【識別番号】510279365
【氏名又は名称】ゼットティーイー (ユーエスエー) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フォ, デヴィッド
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−228579(JP,A)
【文献】 特開2005−094263(JP,A)
【文献】 特開2002−319903(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0149908(US,A1)
【文献】 特開2010−087921(JP,A)
【文献】 特開2007−060311(JP,A)
【文献】 特開2003−198487(JP,A)
【文献】 特表2009−522839(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/087031(WO,A1)
【文献】 特開2001−168802(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0045211(US,A1)
【文献】 特開2011−193172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のRRUおよび一つのBBU間における、ファイバーを通じた光伝送方法であって、
レーザー光源によって、波長区分においてX個の波長を生成する生成ステップと、
X個の波長をX/2個のアップリンク波長およびX/2個のダウンリンク波長に分割する分割ステップと、
(i)アップリンク波長をBBUに、(ii)ダウンリンク波長を少なくとも一つのRRUに、光伝送する光伝送ステップと、
を含み、
前記生成ステップにおいて、各波長には、MIMOに用いるために前記ファイバーで多重化される信号を処理するRRUが割り当てられ、前記Xは、30以下であり、
前記分割ステップにおいて、前記アップリンク波長および前記ダウンリンク波長帯域分離によ分離されない、光伝送方法。
【請求項2】
Xは30であり、X/2は15である請求項1に記載の光伝送方法。
【請求項3】
前記BBUから前記RRUに光伝送するとき、または前記RRUから前記BBUに光伝送するときに、GSM信号をUMTSまたはLTEに多重化するステップをさらに含む請求項1に記載の光伝送方法。
【請求項4】
前記BBUから前記RRUに光伝送するとき、または前記RRUから前記BBUに光伝送するときに、マイクロ波周波数コンバータによって、アンテナポートからのアンテナインターフェースの信号を、システムキャリア周波数より大きくて隣接する同質の周波数帯域に変換するステップをさらに含む請求項1に記載の光伝送方法。
【請求項5】
前記BBUから前記RRUに光伝送するとき、または前記RRUから前記BBUに光伝送するときに、異なる光キャリアにアンテナポートを割り当て、単一の光源によって、当該異なる光キャリアをコヒーレントに生成するステップをさらに含む請求項1に記載の光伝送方法。
【請求項6】
異なるRRUアンテナポートからの信号を異なる光キャリアに多重化するステップをさらに含む請求項5に記載の光伝送方法。
【請求項7】
前記光伝送ステップは、レーザー光源によって行われる請求項1に記載の光伝送方法。
【請求項8】
複数のRRUは、環状の単一のファイバーを介して接続される請求項1に記載の光伝送方法。
【請求項9】
前記光伝送ステップは、光強度変調器によって行われる請求項8に記載の光伝送方法。
【請求項10】
複数のRRUのために制御チャネルを伝送するステップをさらに含む請求項1に記載の光伝送方法。
【請求項11】
複数のRRUおよび一つのBBU間における、ファイバーを通じた光伝送システムであって、
波長区分においてX個の波長を生成する生成手段と、
X個の波長をX/2個のアップリンク波長およびX/2個のダウンリンク波長に分割する分割手段と、
(i)アップリンク波長をBBUに、(ii)ダウンリンク波長を少なくとも一つのRRUに、光伝送する光伝送手段と、
を有し、
前記生成手段が生成する各波長には、MIMOに用いるために前記ファイバーで多重化される信号を処理するRRUが割り当てられ、前記Xは、30以下であり、
記アップリンク波長および前記ダウンリンク波長帯域分離によ分離されない、光伝送システム。
【請求項12】
Xは30であり、X/2は15である請求項11に記載の光伝送システム。
【請求項13】
前記BBUから前記RRUに光伝送するとき、または前記RRUから前記BBUに光伝送するときに、GSM信号をUMTSまたはLTEに多重化する手段をさらに有する請求項11に記載の光伝送システム。
【請求項14】
前記BBUから前記RRUに光伝送するとき、または前記RRUから前記BBUに光伝送するときに、アンテナポートからのアンテナインターフェースの信号を、システムキャリア周波数より大きくて隣接する同質の周波数帯域に変換する手段をさらに有する請求項11に記載の光伝送システム。
【請求項15】
前記BBUから前記RRUに光伝送するとき、または前記RRUから前記BBUに光伝送するときに、異なる光キャリアにアンテナポートを割り当てる手段と、当該異なる光キャリアをコヒーレントに生成する手段とをさらに有する請求項11に記載の光伝送システム。
【請求項16】
異なるRRUアンテナポートからの信号を異なる光キャリアに多重化する手段をさらに有する請求項15に記載の光伝送システム。
【請求項17】
複数のRRUは、環状の単一のファイバーを介して接続される請求項11に記載の光伝送システム。
【請求項18】
複数のRRUのために制御チャネルを伝送する手段をさらに有する請求項11に記載の光伝送システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、無線通信に関し、特に、アンテナおよびベースバンドプロセッサ間のファイバーを通じたアナログ信号の光伝送に関する。
【背景技術】
【0002】
第2世代(2G)セルラー方式無線ネットワークは、基地局(BTS)、基地局制御装置(BSC)および移動交換局(MSC)の三つの展開レイヤーからなる。BSC、BTSおよびアンテナを含む部分を基地局サブシステム(BSS)と呼ぶ。BSSの進歩は、スペシャルモバイルグループ5(SMG5)および後の第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって標準化された無線アクセスネットワーク(RAN)を大きな焦点としてきた。
【0003】
第3世代(3G)セルラー方式無線ネットワークは、BSCが省略され(すなわち、機能がMSCおよびBTSに分配され)、BTSが直接コアネットワークのゲートウェイに接続される点で簡素化されているものの、このアーキテクチャを引き継ぐ。実際には、遠隔無線ユニット(RRU)およびベースバンド部(BBU)は分離される(すなわち、機能的に二つの製品に分離される)。そのようにして、ベースバンドデータの集中的なソフトウェア処理は、高周波(HF)信号受信から分離される。RRUおよびBBU間で最も使用されるインターフェースは、一般的な公衆無線インターフェースまたはIrである。2Gシステムでは、RRUは、ほとんどBBUを有して構成される。しかし、3Gシステムでは、RRUは分離して位置される(すなわち、RRUが送信タワーの頂上に設置される一方、BBUはタワーの足元の設備室に設置される)。このようにして、一つのBBUは、複数のRRUをサポートでき、デジタル信号処理設備が集中可能となる。図1は、3G無線ネットワークアーキテクチャの概観を示し、図2は3G RANアーキテクチャの概観を示す。いずれの図面も、3GPP標準規格に従って示される。第4世代(4G)セルラー方式無線ネットワークは、アーキテクチャをさらにフラットにすることによって、この傾向を継続する。たとえば、エボルブドノードB(evolved node B:eNB)は、移動管理体(mobility management entity:MME)(コアネットワーク)に直接接続され、異なる位置の複数のアンテナがeNBに接続可能である。図3は、4G RANアーキテクチャを示す図である。この傾向はクラウド−RANコンセプトによって継続されており、BBU資源をさらに集中するために、大規模な光ファイバーが配設されている。そのようにして、より多くのRRUが単一のBBUによってサポート可能であり、それは、クラウドコンピューティングのインターネットプロトコル(IP)技術の処理力および処理柔軟性の向上を可能とする。この結果、電力消費を低減し、セルラー方式ネットワークにおける動的な資源配分をもたらす。
【0004】
図5に示すように、C−RANは、光ファイバーおよび集中型のベースバンド処理による、複数のセルサイト(基地局)の集約を特徴とする。C−RANアーキテクチャは、構造、電力およびセルサイトにおけるメンテナンスを低減し、同時に、内部のセル/セクターの協働およびコンピューター設備をより良くする。新たなレイヤー0(すなわち、物理レイヤーよりも下のレイヤー(国際標準組織(ISO)によると通信プロトコルモデル))を利用するという、技術的解決法が提供される。レイヤー0は3GPPの範囲の一部ではないので、C−RANは非標準の解法である。
【0005】
図5にさらに示すように、RRUは、アンテナシステムに直接接続され、そのようにして、RRUの入力が未加工(raw)のHF信号となる。BBUの出力は、eNodeB/BSCにより必要とされるベースバンドデータであり、それゆえ、メディアアクセス管理(MAC)レイヤーまたはそれより上層に属する。RRUおよびBBU間のデータは、機能的定義およびBBUおよびRRU間の分離によって、異なる形式を採用する。図6は、3GPPのプロトコルスタックアーキテクチャおよびRANプロトコルスタックにおけるC−RANインターフェースの位置を示す。
【0006】
当該インターフェースは、HFにまたはHFから、そして、ベースバンド(I−Q)ディジットにまたはベースバンド(I−Q)ディジットからの変換を含む。処理のつながりは、本質的に四つの操作、(i)RF−IMF/IMF−RF(ここで中間周波数IMFは、デジタル中間周波数信号である)、(ii)変調/復調、(iii)サンプリング、および(iv)アナログデジタル変換/デジタルアナログ変換(ADC/DAC)を含む。四つの操作は、RRUまたはBBUの一方に配置され、その配置基準は、実現可能性および効率的な情報伝送である。現在のインターフェースの取り組みは、いわゆるCPRIインターフェースを介するものである。CPRI標準は、無線装置(RE)として知られるローカルまたは遠隔無線ユニットに、標準の無線装置コントローラー(REC)間の基地局のインターフェースを定義する。
【0007】
CPRIインターフェース(1)による機能的分離は、(1)RRU:RF−IMF/IMF−RF、サンプリング、ADC/DAC、および(2)BBU:I−Qデータストリームである。このスキームによって、アップリンクにおいて、アンテナ給電線から来て変調されたRFデータは、固定のサンプルレートによりデジタル化されるところで、ベースバンドにまずダウンコンバートされる。デジタル信号(degit)は、それから、CPRIプロトコルに従ってパケット化される。ファイバーは、CPRIパケットを中央処理位置に伝送するために用いられる。図7は、CPRIの機能およびプロトコルスタックを示し、図8は、デジタルRRU−BBUリンクを示す。
【0008】
重要な問題は、異なるRRU位置からのCPRIパケットのタイミングと、BBUおよび接続されたRRU間の同期である。これは、CPRIを伴う取り組み(アプローチ)にとって、あるいは他のパケットベースの伝送プロトコルにとって、特に難しい。なぜなら、データは、デジタル化されたベースバンドアナログ信号サンプル(IQデータ)からなり、これは、とても高い伝送容量および時間正確性を要求するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術は、光学インターフェースにおいて、電気的サンプルデータを光データに変換するために、small form−factor pluggable(SFP)を用いる。このように、単一のファイバーに各RRUが必要である。効率を向上するために、波長分割多重方式(WDM)が配置されており、異なるRRU間の単一のファイバーの光学的な容量の共有を許容する。しかし、そのような事情に関わらず、CPRIベース集約の取り組みには欠点がある。第一に、HFデータはRRUにおいてデジタル化される必要があり、ファイバー上に伝送される莫大な量の未処理のサンプルを生成してしまう。その結果、帰路のためのA−インターフェースのような上位層からのデータとは逆に、生データが伝送されるので、ファイバー容量は、非効率的に利用される(あるいは、即座に消耗される)。第二に、高いデータ速度のため、同期における不均衡を吸収するための遅延吸収量をより多く持つ上層データよりも同期が厳しい。第三に、アナログ信号はデジタルに変換され、そしてデジタルが光学的アナログ信号に変換され、それから光学的アナログ信号が再び電気的デジタルに変換されるので、伝送の連鎖は、余剰な要素を含む。伝送の連鎖の中間においてデジタルデータの高容量は、伝送システムに不利に働いてしまう。
【0010】
加えて、オペレーターは、CPRIデータを運ぶために、ギガビットの能力があるパッシブ光ネットワーク(GPON)を利用することに関心があるが、GPONの容量を需要に遅らせずについていかせ、fiber to the x(FTTx)のように、他のサービスと共有する余地を持たせるのは困難であるという問題が発生する。最後に、同じインフラにおいてデジタルチャネルを共有することは、オペレーターにとってセキュリティの懸念もある。このような、また他の環境の問題および障害は、下記のシステムおよび方法によって克服できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ファイバーを介するアンテナおよびベースバンドプロセッサ間のアナログ信号の光伝送に関する無線通信方法およびシステムに関する。また、単一のBBUに対するRRUデータの効率的な伝送および集約を促進する。
【0012】
一つのシステムおよび方法の態様として、MIMOアップリンクおよびダウンリンクチャネルが多重化され(各チャネルの保護周波数帯を含む)、ファイバーを通じて光伝送される。アップリンク信号は第1キャリア上で伝送され、ダウンリンク信号は第2キャリア上で伝送される。アップリンク信号およびダウンリンク信号間で、帯域分離が含まれる。
【0013】
他の態様は、より具体的に、複数のRRUおよびBBU間における、ファイバーを介した光伝送方法(およびシステム)である。当該方法は、レーザー光源によって複数の波長を生成する工程を含み、ここで各波長が少なくとも一つのRRUに割り当てられている。そして、異なるアンテナポートからのキャリアを変換し、異なるアンテナポートに向けられる他のキャリアを変換するために、キャリアコンバータが使用される。キャリアは、帯域分離により分離される。RRUおよびBBUを接続するファイバーを介して、光線がキャリアを伝送する。
【0014】
上述の方法(およびシステム)のある態様では、30個の波長が生成され、キャリアが各ポートに対応する保護周波数帯を含む。選択的に、方法は、アンテナポートからのアンテナインターフェースを、システムキャリア周波数より大きくて隣接する同質の周波数帯域に変換するためにマイクロ波周波数コンバータを使用するステップ、異なるキャリアにアンテナポートを割り当てるステップ、単一の光源によって異なるキャリアをコヒーレントに生成するステップを含む。異なるRRUからのアンテナポートを異なるキャリアに多重化することは、本発明のさらなる光学的な態様である。他に、複数のRRUは、環状の単一のファイバーを通じて接続され、光強度変調器が光伝送のために使用される。
【0015】
本発明のさらに他の態様では、複数のRRUおよびBBU間でファイバーを介した光伝送方法(およびシステム)を提供する。当該方法は、レーザー光源によって一定量の波長を生成するステップを含む。そして、波長は、アップリンク波長およびダウンリンク波長に分離される。それから、アップリンク波長はBBUに光伝送され、ダウンリンク波長はRRUに光伝送される。この実施形態では、帯域分離は、アップリンク波長およびダウンリンク波長を分離するためには使用されない。上述の方法(およびシステム)の一態様では、30個の波長が生成され、15個のアップリンク波長および15個のダウンリンク波長に分離される。選択的に、当該方法は、GSM(登録商標)信号をUMTSまたはLTEに多重化するステップを含む。または、アンテナポートからのアンテナインターフェースを、システムキャリア周波数より大きくて隣接する同質の周波数帯域に変換するためにマイクロ波周波数コンバータを使用する。選択的に、本発明は、異なる光キャリアにアンテナポートを割り当て、そして、単一の光源によって、異なる光キャリアをコヒーレントに生成するステップを含む。異なるRRUからのアンテナポートは、さらに異なる光キャリアに多重化されてもよい。他の態様では、複数のRRUは、環状の単一のファイバーを通じて接続されてもよく、当該ファイバーを通じた光伝送に光強度変調器が用いられる。本発明のさらに別の態様では、RRUおよびBBUネットワークを開示する。当該ネットワークは、複数のRRUを含み、各RRUは、無線信号を受信するアンテナと、当該無線信号を対応する光信号に変換する電気−光コンバータとを有する。当該ネットワークは、BBUも含み、BBUは、上記対応する光信号を対応する電気信号を変換する光−電気コンバータを含む。最後に、複数のRRUおよび一つのBBUを接続するファイバーがある。選択的に、複数のRRUおよびBBUを接続するファイバーは、環状に形成される。改良の更なる態様および利点は、実施の形態の詳細な説明に示される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】3GPP標準による3G無線アーキテクチャの概観を示す図である。
図2】3GPP標準による3G RANアーキテクチャを示す図である。
図3】4G RANアーキテクチャを示す図である。
図4】C−RANアーキテクチャを示す図である。
図5】C−RANアーキテクチャおよびインターフェースを示す図である。
図6】3GPPのプロトコルスタックアーキテクチャにおけるC−RANインターフェースの位置と、RANプロトコルスタックを示す図である。
図7】CPRI機能およびプロトコルスタックを示す図である。
図8】デジタルRRU−BBUリンクを示す図である。
図9】アンテナから基地局へのリンクの骨格を示し、図中左はCPRIを伴う供給、右は直接の供給を示す図である。
図10A】アナログRRU−BBUのリンクを示す図である。
図10B】L帯域レーザースペクトルグリッドを示す図である。
図11】可多重入力多重出力(MIMO)可能な用なロング−ターム エボリューション(LTE)のRF信号のためのキャリアスペクトルを示す図である。
図12】C帯域レーザーの使用のスペクトルを示す図である。
図13】BBUからRRU(ダウンリンク)の光伝送のための回路を示す図である。
図14A】現実的な多重化を示す図である。
図14B】(2.6GHz帯域およびLTE使用帯域を変調するのに伴って30のλが生成された場合の)ファイバーごとに異なる構造および容量を示す図である。
図15A】全てのRRUを関連する単一のBBUにリンクさせる単一のリング状のファンバーを示す図である。
図15B】可用なWDM−RANに対する技術を示す図である。
図16】HFコンバータを示す図である。
図17】CPRI伝送能力を示す図である。
図18】伝送能力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、上記の背景技術における問題を解決し、単一のBBUのためのRRUデータの効率的な伝送および集約を促進するための方法およびシステムの実施形態を示す。
【0018】
効率的な集約を促進するために、異なる場所での伝送媒体がデータ転送量の需要にあっているか否かを知ることが重要である。なぜなら、中央処理がBBUに位置し(そして、単一のBBUに接続されうるRRUの数が限られ)ており、ファイバーのインフラとしての観点からどれだけ多くのRRUをBBUに接続できるか知ることが重大だからである。それは、たとえば、CPRIの取り組みにおいては、非常に限定される。他の地上システムとインフラを共有することによって、復旧力および保守力が重要になる。最初に、CPRIベースのC−RANの問題について言及する。CPRIバージョンのRRU−BBU間リンクを用いることによって、CPRIペイロードを生成するためにまずHF信号がデジタル化され、そして、光線による伝送を可能とするために、電気信号が光信号に変換される。受信側では、光信号がアナログ信号として受信され、電気的にデジタルに変調される。図9はRRUおよびBBU間の信号受信/送信の比較を示す。図示されるように、HF信号が単に一つのADCを通過する代わりに、ADC、DAC、ADCを通過する。ここで、追加的に通過するDAC、ADC(光伝送経路に対応する)は、他のものの間で遅延を起こすような、構成、オーバーヘッドおよび保護機構を有する。
【0019】
しかしながら、そのような通信ネットワークには、信頼性および最小限の遅延という、重要な技術的要求がある。最小限の遅延が要求されるのは、たとえば、(i)物理レイヤーの下層では、標準規格により決められている厳しい遅延量があり、(ii)集約サイズに相関関係がある距離に遅延が比例し、(iii)異なる位置間の同期が困難であるからである。特に、最小限のフレームヘッダー(または全くフレームなし)、インターリービングなし、および時分割多重なしが要求される。
【0020】
信頼性が要求されるのは、たとえば、(i)物理レイヤーの下層では、途切れない可能性がゼロであるアンテナ給電線がエミュレートされ、(ii)民間のインフラ、復旧力および保守力からなる現在のRANアーキテクチャがRANオペレーターによる制御下にあるからである。特に、C−RANに使用されるチャネルが同じファイバーを共有する他のチャネルから分離され、保守が孤立されることが要求される。
【0021】
本発明の実施形態は、アナログ光チャネルを用いるWDM−RANを実装する。ファイバーは、データが完全に使い切れないその莫大なキャパシティのため、光伝送に望ましい。たとえば、100GHzグリッドのITU標準規格によれば、C帯域ウィンドウは、74−38=36のスペクトル光線が生成され、単一モードの光ファイバー(SMF)で伝送される。現在の光システムは、通常、WDMでさえ、それらの一つしか使わない。確かに、10以上のスペクトル光線の使用は、仮にそうなったとしても、滅多に起こらない。一方、伝送される無線信号は、一般的に20MHz帯域幅を有する。極端な例でも、キャリアごとの帯域幅は100MHzより大きくない。たとえば、LTEのためのキャリア周波数は、700、800、900、2100MHzとなりうる。それゆえ、キャリア信号を有する光線を直接変調することが可能である。100GHzのチャネル間隔とLTE2.6GHzのRF周波数とを比較すれば、単一のファイバーにおいて単一のλ(あるいはそれ以上)を使用する多くのアナログRFチャネルの伝送が理論上可能であることが明らかである。
【0022】
さらに、近年の無線技術は、空気界面において複雑な設計を有する。たとえば、アンテナ給電線から来るアナログ信号は、複数のポートを含む。そのため、複数のMIMOポートが考慮されなくてはならない。LTEの典型的な構造は4×4のMIMOであるが、標準規格においては8×8も定義され、サポートされる。8つのポートを基本的構成と考えるなら、単一のキャリアに要求される帯域は、8×Wであり、ここで、Wは帯域(W=20MHz、40MHzおよび100MHz、あるいは、UMTS用に、W=5MHz、10MHz、15MHzおよび20MHz、あるいは、GSM(登録商標)用にW=25MHz、あるいはWiFi用にW=22MHz)である。
【0023】
「チャネル」が周波数多重化される場合、保護周波数帯が必要となる。したがって、20MHz保護周波数が各Wに加えられ、8×(G+W)となる。S=45MHzから190MHzであり、ここでSはアップリンクおよびダウンリンク間の帯域分離である。したがって、アップリンクおよびダウンリンクが同じキャリアに伝送されるとき、合計で8×(G+W)+S+8×(G+W)となる。このような場合、たとえば、S=100MHzで十分である。
【0024】
図10AはアナログRRU−BBU間リンクを示し、図10BはL帯域スペクトルレーザーグリッドを示し、図11はMIMO可能なLTEのRF信号のためのキャリアスペクトルを示す。図12は、C帯域レーザーを使用するスペクトルを示す。図13は、BBUからRRU(ダウンリング)の光伝送のための回路を示す図である。
【0025】
方法は、次の光変調、すなわち、波長区分、キャリア置換区分、波長キャリア置換区分および波長アンテナ区分としてまとめられる。
【0026】
波長区分において、光源は、100GHzの間隔を有する30個までの波長(すなわちλ)を生成する。ある実施形態では、100GHzまでの可能な帯域により、各λは少なくとも一つのRRUに割り当てられる。このようにして、複数のRRUの周波数多重化をすることなく、30のRRUが接続されうる。しかしながら、同じλの光で複数のキャリアを変調可能である。
【0027】
キャリア置換区分では、異なるアンテナポートからのキャリアを高/低周波数に変換するために、RRUおよびBBUの両方にキャリアコンバータが用いられる。その結果、アップリンクおよびダウンリンク間でSの分離を伴い、8×(G+W)がBBUで生成され、8×(G+W)がRRUで生成される。二つの光線が異なるキャリアで(十分な保護周波数帯Sで)、両者から送信される。
【0028】
複数のRRUが単一のλに多重化される場合、計算は、M×16×(G+W)+S+Fとなる。たとえば、M×16×(100+100)+420+2600=M×3200+3000MHz<100GHzとなる。G、S、Fの値を与えることによって、Fが制御チャネルのために確保される帯域であるので、単一のλにより対応できるRRUの数が計算できる。たとえば、RRUのためのアップリンク、ダウンリンクおよび制御チャネルを含んで、単一のファイバー用に30×M個までのRRUがある。
【0029】
波長キャリア置換区分では、30個のλをアップリンクのための15個のλとダウンリンクのための15個のλに分離する他のアプローチがある。そのようにして、アップリンクおよびダウンリンクを分離するために必要な15×Sの帯域分離を省略できる。それから、M×8×(G+W)+F<100GHzのように、単一のλがM個のRRUを支援する。そして、単一のファイバーごとの15×M個までのRRUが調整されうる。この配置では保護周波数帯が省略されるので、単一のファイバーがより多くのRRUをサポートできる。上記の実施形態では、M×1600+2600MHz<100GHzが期待されているので、M=[(100−2.6)/1.6]=60である。この結果、合計で15×60=900という最小限の数のRRUが単一のファイバーによりサポート可能となる。この構成において、(あるとするならば)唯一のボトルネックがBBUのパワーである。この構成は、単一のファイバーを通じて、異なる信号の多重化の柔軟性を可能とする。そのようにして、UMTSまたはLTEを伴うGSM(登録商標)(グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ)の信号の多重化が簡単に実装される。
【0030】
波長アンテナ区分は次の通りである。上記方法では、光変調の実行前に、(管理チャネルに加えて)、8つのアンテナインターフェースを、システムキャリア周波数より大きい隣接する同質の8つの周波数帯域に変換するために、典型的にマイクロ波周波数コンバータが使用される。しかしながら、これらの9つのチャネルが異なる光キャリアに割り当てられる場合、マイクロ波周波数コンバータが省略される。したがって、各RRUにとって、単一のレーザー光源によってコヒーレントに生成される光キャリアが、A+1=9つある。Lが与えられたλの光チャネルの数である場合、L/(A+1)=4であって、A=8の場合L=36(サポートできるλの数)である。そのようにして、最も悪い場合でも、3から4つのRRUがマイクロ波周波数コンバータなしで搬送される。同じRRUの異なるアンテナが異なる光チャネルに割り当てられる一方で、周波数がよくロックされ同期されている限り、異なるRRUのアンテナは同じ光キャリアに多重化されることができる。RRUの数がM’である場合、(W+G)×M’MHz<100GHzから、M’=[100/(W+G)]=[100/(0.1+0.1)]=500が導かれる。これは、Mの合計を、悪くても、3×500<2×M<4×500、すなわち、750<M<1000とする。計数の“2”は、アップリンクおよびダウンリンクの分であり、Gは異なるRRUからの信号間の保護周波数帯である。異なるRRUの可変アンテナ数が異なる場合、数Mが増加する。
【0031】
本願発明の利点は、(a)各RRUのマイクロ波周波数コンバータがただ一つの固有の目標周波数を変換目標として有し、これにより設計を簡単にし、コストを低減する、(b)アップリンクおよびダウンリンク間に帯域分離の必要がない、(c)LTE、GSM(登録商標)、UMTSおよびWiFi信号に対して単一の構成である(唯一異なるのはBBU)、(d)異なる数のアンテナが実装されるので、帯域を省略し、適用範囲を拡大し、配置の柔軟性を増加することである。
【0032】
実際には、構成の限定が考慮される。そのような限定は、たとえば、電気−光変調帯域がレーザーのコストおよび電力消費を制限することや、位相干渉(クロストーク)や、マイクロ波周波数コンバータの複雑性や、マイクロ波構成品質などを含む。ある実施形態では、ダイレクトレーザー生成器が変調帯域2.6GHzを有する。光周波数が関連する(すなわち、DCに対応している)場合、RF信号の搬送に、ただ2.6GHzが使用される。第一に、内部変調ノイズをまとめるために帯域の低い部分を取っておく必要があるので、同時にGPONタイプのサービスを適用する一方、1GHzが取っておかれる。したがって、8つのアンテナからのRF信号を搬送するのに、1.6GHzが使用可能である。保護周波数帯が信号帯域と同じ場合(すなわち、G=W)、追加の20MHzの帯域に、同期および管理配当である20+8×(G+W)=20+16×W=340MHz、660MHz、1620MHzを加える。そのように、帯域幅が20MHzである場合、各RRUは340MHzが必要であり、この波長が3つのRRUを支援できる。帯域幅が40MHzである場合、2つのRRUだけを支援できる。100MHzの帯域幅では、たった一つのRRUだけを支援できる。アップリンクを支援する15個の波長およびダウンリンクを支援する別の15個の波長を伴い、単一のファイバーが15から45個のRRUを支援できる。
【0033】
図14Aは現実的な多重化を示し、図14Bはファイバーごとの異なる構成および容量を示す(2.6GHzおよびLTE使用帯域の変調に伴って30個のλが生成されるとする)。最も代表的な構成は、太字で示している。この全ては、市場において手に入る構成の下限である2.6GHzの動作帯域幅に基づき動作する。
【0034】
本発明では、一定の低い電力の実施形態が可能である。上記の実装は、ダウンリンクおよびアップリンクのそれぞれに光源を提供するために、各RRUにレーザー生成器があり、対応して、BBUにもレーザー生成器があることを意味する。レーザー生成器はマイクロ波構成よりも大きな電力を必要とするので、光強度変調器(IM)によってレーザー生成器を置き換えることによって、電力消費(同様に構成の費用も)を低減するように、実装を修正できる。この構成を有効にするために、BBUに接続されるすべてのRRUは、環状の単一のファイバーを通じて接続される。品質要求により課される範囲内の距離である限り、レーザー光源が一つ必要なだけである。
【0035】
図15は、たとえば、単一のBBUに関連する全てのRRUを結ぶ単一の環状のファイバーを示し、ここで、IMは送信機を示し、IMの後のボックスは受信側を示す。BBUにおいて、レーザーのバンクがあり(ECL)、そのそれぞれが、同じBBUにおいて処理が終わる環に沿って一方向に、単一λ光の連続波(CW)を生成する。アップリンクでは、各RRUのIMは、当該RRUにおいてアップリンクに指定されている対応する波長で、自身のRF信号を用いて、同じ光線を変調し、当該信号は各RRUのバンドパスフィルターによって抽出され、対応するRF信号に変換される。ダウンリンクでは、複数のIMがあり、そのそれぞれは、同じRRUに指定されている対応するRF信号を用いて、指定されたRRUに対応する一定の波長を変調する。無線アップリンクはファイバー上の光信号のアップストリームに対応し、ダウンリンクはファイバー上の光信号のダウンストリームに対応する。
【0036】
本発明の特定の実施形態を可能とするために必要な技術は、すでに成熟されている。確かに、工業用のレーザー生成器、変調器、循環器、フィルターおよびスイッチは全て入手可能である。たとえば、MITEQ Inc.のhttp://www.miteq.com/results.php?ID=27548100&rpp=&cs=&st=fo&sort=(FreqMaxMHz-FreqMinMHz)+descによると、2.2GHz(最も安価)から18GHz(最も高価)までの最大実効周波数のレーザー生成器を引用する。平均をとって、10GHzの上限帯域を有する成熟製品を評価できる。http://www.thorlabs.com/newgrouppage9.cfm?objectgroup_id=3918から提供されるThorlabs, Inc.の強度変調器によってもさらに確認できる。たとえば、図15Bに示す技術は、WDM−RANの本発明の実施形態を可能とする。
【0037】
HFアップコンバータおよびダウンコンバータがそれぞれRRUおよびBBUで使用される。その機能は、周波数帯域上でアンテナの異なるポートを分離するものであり、文字通り同じ帯域でのそれらの送信を可能とする。アップリンクでは、それらの各信号は、異なる周波数でBBUに受信されるので、ベースバンドにダウンコンバートされ、これにより、MIMO信号の空間分化を可能とする。ダウンリンクでは、異なるアンテナポートに供給するために、RRUにおいて各信号はキャリア周波数にダウンコンバートされる。これは、空間から周波数、および周波数から空間の両方向として理解されうる。図16はHFコンバータを示し、図17はCPRI伝送容量を示し、図18は伝送容量を示す。
【0038】
方法およびシステムの実施形態が示され説明される一方、本発明の思想から離れない範囲で、当業者にとって、多くの変更が可能であることは明らかである。したがって、本発明は、特許請求の範囲以外には限定されるものでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17
図18