特許第5993024号(P5993024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トムソン ライセンシングの特許一覧

<>
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000021
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000022
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000023
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000024
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000025
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000026
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000027
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000028
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000029
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000030
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000031
  • 特許5993024-重複点を伴う空間木に基づく位置符号化 図000032
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993024
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】重複点を伴う空間木に基づく位置符号化
(51)【国際特許分類】
   G06T 17/20 20060101AFI20160901BHJP
【FI】
   G06T17/20
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-542665(P2014-542665)
(86)(22)【出願日】2011年11月25日
(65)【公表番号】特表2015-505389(P2015-505389A)
(43)【公表日】2015年2月19日
(86)【国際出願番号】CN2011082951
(87)【国際公開番号】WO2013075334
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2014年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルオ タオ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン ウェンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ カンイン
【審査官】 千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−126980(JP,A)
【文献】 特開平1−174172(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/149492(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0202160(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 17/00,17/10−17/30
G06T 1/00,19/00−19/20
H04N 1/41−1/419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域に対応する空間木データ構造を構築する方法であって、
前記領域内の区域を選択するステップと、
前記区域が重複点を含むかどうかを決定するステップであって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、前記決定するステップと、
前記区域が重複点を含む場合、前記区域に対する前記重複点の存在を示す区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止するステップと、
を含み、
前記決定するステップは、
前記区域内の前記点を包囲する区域のサイズを計算するステップと、
前記サイズを予め定められた閾値サイズと比較するステップと、
前記比較に応答して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するステップと、
を含み、
前記決定するステップは、
分解された区域内に含まれる点の数を決定するステップと、
前記区域内に含まれる点の前記数が閾値数よりも小さい場合、前記区域内における各々の点の前記サイズに関して前記計算するステップおよび前記比較するステップを実行して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するステップと、
をさらに含む、前記方法。
【請求項2】
前記区域が重複点を含むかどうかを決定する前記ステップは、前記区域は点、重複点、または複数の非重複点を含むかどうかを決定するステップを含み、前記方法は、
前記区域が複数の非重複点を含む場合、
前記区域を複数の細分割された区域に細分割するステップと、
前記細分割された区域が点、重複点、または複数の点の1つを含むかどうかを決定するステップと、
前記細分割された区域、または引き続き細分割された区域のすべてが、点または重複点のみを含むまで、該細分割するステップおよび該決定するステップを反復するステップと、
前記区域、前記細分割された区域、または引き続き細分割された区域に対する、前記点または前記重複点の前記存在を示す前記区域情報を記録するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記領域を複数の区域に分割するステップと、
前記領域が点または重複点のみを含む区域に分解されるまで、前記細分割するステップ、前記決定するステップ、および前記反復するステップを実行するステップと、
前記領域の前記分解された区域の各々に対する前記区域情報を記録するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
区域内の点の数が(pl,k,0、pl,k,1、…、pl,k,m、…)に対応する場合、前記点の中心は、
【数1】
に対応し、前記サイズは、
【数2】
に対応し、前記区域は、
【数3】
に対応する前記予め定められた閾値サイズより前記計算されたサイズが小さい場合に重複点を含むと決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
領域に対応する空間木データ構造を構築する方法であって、
前記領域内の区域を選択するステップと、
前記区域が重複点を含むかどうかを決定するステップであって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、前記決定するステップと、
前記区域が重複点を含む場合、前記区域に対する前記重複点の存在を示す区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止するステップと、
を含み、
前記記録するステップは、重複点の数フィールド、位置フィールド、および、セル内の点の数フィールドの少なくとも1つを含むデータフィールドを生成するステップを含む、前記方法。
【請求項6】
前記空間木データ構造は、四分木タイプ区分化および八分木タイプ区分化の1つに対応し、前記区域は、前記四分木タイプ区分化および前記八分木タイプ区分化のセルおよびサブセルに対応する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記空間木データ構造は、3Dメッシュ符号化を実行するために使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
領域に対応する空間木データ構造を構築するための装置であって、
前記領域内の区域を選択する手段と、
前記区域が重複点を含むかどうかを決定する手段であって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、前記決定する手段と、
前記区域が重複点を含む場合、前記区域に対する前記重複点の存在を示す区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止する手段と、
を備え、
前記決定する手段は、前記区域内の前記点を包囲する区域のサイズを計算し、前記サイズを予め定められた閾値サイズと比較し、および、前記比較に応答して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するように適合され、
前記決定する手段は、分解された区域内に含まれる点の数を決定し、前記区域内に含まれる点の前記数は閾値数よりも小さい場合、前記区域内における各々の点の前記サイズに関して前記計算および前記比較を実行して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するようにさらに適合される、前記装置。
【請求項9】
前記決定する手段は、前記区域が点、重複点、または複数の非重複点を含むかどうかを決定するようにさらに適合され、前記装置は、
前記区域が複数の非重複点を含む場合、
前記区域を複数の細分割された区域に細分割し、
前記細分割された区域が点、重複点、または複数の点の1つを含むかどうかを決定し、
前記細分割された区域、または引き続き細分割された区域のすべてが、点または重複点のみを含むまで、該細分割および該決定を反復し、
前記区域、前記細分割された区域、または前記引き続き細分割された区域に対する、前記点または前記重複点の前記存在を示す前記区域情報を記録する
ようにさらに適合される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記領域を複数の区域に分割する手段と、前記領域が点または重複点のみを含む区域に分解されるまで、前記細分割、前記決定、および前記反復を実行する手段と、前記領域の前記分解された区域の各々に対する前記区域情報を記録する手段と、をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記決定する手段は、以下の手順、すなわち、
区域内の点の前記数は(pl,k,0、pl,k,1、…、pl,k,m、…)に対応する場合、前記点の中心は、
【数4】
に対応し、前記サイズは、
【数5】
に対応し、前記区域は、
【数6】
に対応する前記予め定められた閾値サイズより前記計算されたサイズが小さい場合に重複点を含むと決定される、
という手順により重複点の前記存在を決定するように適合される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
領域に対応する空間木データ構造を構築するための装置であって、
前記領域内の区域を選択する手段と、
前記区域が重複点を含むかどうかを決定する手段であって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、前記決定する手段と、
前記区域が重複点を含む場合、前記区域に対する前記重複点の存在を示す区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止する手段と、
を備え、
前記記録する手段は、重複点の数フィールド、位置フィールド、および、セル内の点の数フィールドの少なくとも1つを含むデータフィールドを生成するように適合される、前記装置。
【請求項13】
前記空間木データ構造は、四分木タイプ区分化および八分木タイプ区分化の1つに対応し、前記区域は、前記四分木タイプ区分化および前記八分木タイプ区分化のセルおよびサブセルに対応する、請求項8から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記空間木データ構造は、3Dメッシュ符号化を実行するために使用される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
コンピュータ可読媒体であって、請求項1から7のいずれかに記載の前記方法を実行するための命令が前記コンピュータ可読媒体上に記憶される、前記コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元(3D)モデルに関し、より詳細には、空間木データ構造に関連する一連のシンボルを生成するための方法および装置、ならびに、符号化されたシーケンスを処理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dメッシュ符号化において、幾何学的データは通常、空間木分解ベースの手法、例えば八分木ベースの方法により圧縮される。プログレッシブ符号化の支援に加えて、それらは相当な圧縮利得を達成する。八分木ベースの方法では符号器は、所与の3Dモデルの最小の軸平行境界ボックスを8つの子セルに再帰的に細分割する。セルは、各々の空でない(nonempty)セルが、ただ1つの頂点を包含し、頂点位置の充分に精密な再構築をイネーブルにするのに十分に小さくなるまで再帰的に細分割される。各々のセル細分割に関しては、各々の子セルが空であるか否かはシンボルにより示される。トラバーサルシンボルシーケンス(traversal symbol sequence)と呼ばれる八分木を記述するシンボルシーケンスは、ノードの細分割を表すシンボルを最初にトラバースし収集することにより生成される。次いでエントロピーコーデックが、そのシンボルシーケンスを圧縮するために利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】PCT/CN2009/001143
【発明の概要】
【0004】
本発明の原理によると、領域に対応する空間木データ構造を構築する方法であって、前記領域内部の区域を選択するステップと、前記区域は重複点を含むかどうかを決定するステップであって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、決定するステップと、前記区域は重複点を含むならば、前記区域に対する前記重複点の存在を指示する区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止するステップと、を含む、前記方法の実現が説明される。
【0005】
前記領域は、再帰的に細分割される区域に、前記最終的に細分割された区域の各々が点または重複点のみを含むようにさらに分割され得る。重複点の前記存在の前記決定は、以下でさらに論考されるように前記点のサイズに基づいて遂行され得る。前記本発明の原理は有利には、3Dメッシュ符号化に関連して木データ構造を生成する際に使用され得る。
【0006】
前記本発明の原理によると、領域に対応する空間木データ構造を構築するための装置であって、前記領域内部の区域を選択するための手段と、前記区域は重複点を含むかどうかを決定するための手段であって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、決定するための手段と、前記区域は重複点を含むならば、前記区域に対する前記重複点の前記存在を指示する区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止するための手段と、を備える、前記装置の別の実現が説明される。
【0007】
前記領域は、再帰的に細分割される区域に、前記最終的に細分割された区域の各々が点または重複点のみを含むようにさらに分割され得る。重複点の前記存在の前記決定は、以下でさらに論考されるように前記点のサイズに基づいて遂行され得る。前記本発明の原理は有利には、3Dメッシュ符号化に関連して木データ構造を生成する際に使用され得る。
【0008】
前記本発明の原理は、コンピュータ可読媒体であって、上記で説明された前記ステップを遂行するための命令が前記コンピュータ可読媒体上に記憶される、前記コンピュータ可読媒体もまた提供する。
【0009】
前記本発明の原理は、コンピュータ可読媒体であって、上記で説明された前記ステップにより生成されるシンボルシーケンスが前記コンピュータ可読媒体上に記憶される、前記コンピュータ可読媒体もまた提供する。
【0010】
1または複数の実現の詳細は、付随する図面および下記の説明において提示されている。1つの特定の様式で説明される場合でも、実現が様々な様式で構成または実施され得ることは明白であるはずである。例えば実現は、方法として遂行され得るものであり、または、例えば一組の動作を遂行するように構成される装置、もしくは一組の動作を遂行するための命令を記憶する装置などの装置として実施され得るものであり、または、信号の形で実施され得るものである。他の特徴および特色が、付随する図面および特許請求の範囲に連関して考察される以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】セル内の点の存在を決定するために細分割されトラバースされる領域の例示的なセルまたは区域を示す図である。
図2】各々のセルが1つの点を含むように繰り返し分割される、点を有する例示的な領域を示す図である。
図3図2の領域に基づく例示的な四分木表現を示す図である。
図4】木データ構造を生成する際にセルまたは区域を細分割するための従来の方法を示す図である。
図5】セルとともに一組の重複点を有する例示的な領域を示す図である。
図6図5の領域にセルを細分割するための従来方法を適用した結果として生じる四分木表現を示す図である。
図7】クラスタによる入力データセットの隔離を示す図である。
図8】本発明の原理によるセルまたは区域を細分割するためのステップを含む例示的な方法を示す図である。
図9】本発明の原理による図5の領域の四分木表現を示す図である。
図10】本発明の原理による重複点に対して生成される例示的なデータユニットを示す図である。
図11】1または複数の実現とともに使用され得るデータ処理システムの例を図示するブロック図である。
図12】1または複数の実現とともに使用され得るデータ処理システムの別の例を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
空間木ベースの手法は、隙間のない(watertight)3Dモデルのランダムな点位置および頂点位置などの幾何学的データを圧縮するために使用され得る。それらは、八分木またはk−d木により入力空間点を組織化する。木はトラバースされ、木復元のために必要とされる情報が記憶される。
【0013】
初めに、境界ボックスが3Dモデルのすべての点の周囲に構築される。すべての3D点の境界ボックスが、始めにおいての単一のセルとみなされる。空間木を築造するためにセルは、各々の空でないセルが、ただ1つの頂点を包含し、頂点位置の充分に精密な再構築をイネーブルにするのに十分に小さくなるまで再帰的に細分割される。頂点位置は対応するセルの中心座標から復元され得るので、空間木ベースのアルゴリズムは、単一の解像度圧縮アルゴリズムと同じ圧縮比によって多解像度圧縮を達成することが可能である。
【0014】
八分木ベースの手法は、各々の繰り返しにおいて、空でないセルを8つの子セルに細分割する。例示を簡単にするために、四分木を説明する2D例が図1に示される。トラバーサル順序が矢印により示される。符号化のために現在の親セルは、予め規定された順序でトラバースされる4つの子セルに分離され、子セルごとに単一のビットが、子セル内部に点が存在するか否かを指示する。例えば図1では、親セル100が矢印で示されるようにトラバースされる。子セル101、102、104、および103がトラバースされ、単一のビットが、トラバースされたセルの各々の内部に点が存在するかどうかを指示する。
【0015】
図2は四分木を築造する処理を例示し、小さな黒い正方形が符号化されるべき点を指示する。これは、少なくとも1つの点を含むセルが、各々のセルが1つの点を含むだけとなるまでさらに細分割され得る、再帰的な処理である。最初の繰り返しにおいては平面が、4つのセル201、201、203、および204に分割され、図1で指示されるようにトラバースされる。各々のサブセルは少なくとも1つの点を包含するので、対応する空でないセル構成は1111である。点を含むセルの各々は、ブロック220に示されるように4つの等しいサイズのセルにさらに細分割される。次いでブロック220内のサブセルは、4つのセルブロック内部でトラバースされる。例がセルブロック221に関して例示され、ブロック内の各々のセルが図1に示される順序でトラバースされ、0010の対応する空でない子セル構成という結果になる。ブロック220内の残りの4つのセルブロックもまたトラバースされ、構成0010 1111 0100および1101という結果になる。
【0016】
再び、点を含む各々のセルは、各々4つのセルを有する等しいサイズブロックにさらに細分割され、各々のセルは、対応する空でない子セル構成を決定するためにトラバースされる。この場合においての結果は、− − 0010 0001、等であり、四分木表現が図3に示される。
【0017】
上記の説明は四分木構築に関して提供されているが、同様の方法は八分木体系に適用され得るものであり、3次元での親セルが8つの子セルに分離され得るとともに、子セルの各々が、どのセルが点を含むかを決定するための予め定められる様式でトラバースされ得る。点を含む各々のセルは、8つのセルにさらに分離され、どのセルが点を含むかを決定するための予め定められる様式で再びトラバースされる。この処理は、上記で説明された処理と同様に、各々のセルが単一の点を含むまで継続する。
【0018】
親セル内部の子セルの特定のトラバーサル順序は、本実施形態に関してはあまり関連性がないことに留意されたい。原則として任意のトラバーサル順序が、本実施形態に関して使用され得る。
【0019】
上記の手法は、隙間のない3Dモデルの頂点位置を表すために提案されるものである。予測方法は、ランダムな分散された点を表すときには無効になる。したがって我々は、複雑性およびロバスト性を考慮して、空間木の基本的な方法を用いて位置符号化を行うことを好む。例えば四分木を取り上げると、空でない子セル構成は、全部で15個の組み合わせをカバーする4ビットバイナリーにより示される。そして空でない子セルの数Tは、結果としてこれ以上は必要とされない。
【0020】
図4は、四分木を築造するための上記で説明された方法のステップのフローチャートを示し、thは許される最大誤差である。Cl,kはl層での第kのセルを示し、cl,kはCl,kの中心点である。細分割が完了されるときは常に、符号化器は以下の2つの条件をチェックする。
(a)最も深い層でのあらゆるサブセルが多くても1つの点を包含する。
(b)サブセルの中心と内側の点との間の距離が最大誤差より小さい。
【0021】
上記の機構は、均等に分散された点に関しては良好に作動する。しかしながらそれは、点が不均等に分散されているときは効率的でない場合がある。図5においての場合を考えてみる。ここでは要求される最大誤差は0.125であるものとし、したがって2回の細分割が大部分の点に対しては十分である。しかしながら点502および504は極端に近く、停止条件(a)は満たされ得ない。したがって細分割処理は継続し、セルをさらに細分割しなければならず、図6に示される四分木構築をもたらす。その結果、各々の点は最終的に1つのセルを占有する。しかしながら、図6で囲み610内に示される結果を生成するための追加的なステップは無用のものであり、そのため圧縮は非効率的である。さらに、不均等に分散された点状況では、点の一部の対は、さらに細分割される必要のない重複点とみなされるのに十分に近い。圧縮の効率のために本発明は、ある条件のもとで最も深い層でのセルが1つよりも多い点を包含し得るように、空間木構築中の停止条件が緩和または調整され得るということを提供する。
【0022】
特に本発明は、不均等に分散された点を有するセルに対して空間木を構築するための改善された方法および装置を提供する。従前の方法では、あらゆる点は最も深い層でのセルを占有すべきである。しかしながら本発明者らは、重複点とみなされ得る一部の近い対の点が存在することを認識している。これらの種類の点を細分割することが、圧縮を非効率的にする。したがって空間木構築の制約が、各々のセル内の1つよりも多い点を許すように緩和され得る。本発明によれば、不均等に分散された点に対する圧縮効率を改善するために、1つのセル内の重複点が検出され、この種類のセルに対する仕様がコーデックモジュールにおいて用いられる。
【0023】
実施形態では重複点が、従来の空間木の制約を緩和するように1つのセル内に規定される。1つのセル内の不均等に分散された点に関しては、点のサイズは、それらの外接球の半径として算出され得る。点の数およびサイズに関する2つの閾値が、これらの点が重複点であるか否かを決定するために用いられる。
【0024】
本発明の原理によると、重複点を包含するセルはさらには細分割されない。コーデックモジュールにおいては、この種類のセルに対する仕様が、圧縮のための関連性のある情報を記録するために提案される。
【0025】
重複点を考慮する空間木構築
図8は、本発明の原理による重複点を考慮する空間木構築のフローチャートを示す。例えば、K. Cai、Y. Jin、およびZ. Chenによる「Cluster Based Compression Algorithm for 3D Mesh Models Using Multiple KD−Trees」という名称のPCT出願(特許文献1)において提案された方法を使用して、入力点がそれらの空間位置によって最初にクラスタ化される。各々のクラスタは、空間的に集約される一組の点を包含する。次いで各々のクラスタは、その中で、図7に示されるように八分木によってすべての点を組織化することにより圧縮される。
【0026】
各々の八分木に関しては、従来の構築する方法にしたがうと、不均等に分散された点は異なるレベルでセルに細分割される。これに対して圧縮効率を改善するために、最も深いレベルでのセルは、我々の想定においては1つよりも多い点を包含し得る。実施形態では、重複点は以下のように規定され得る。
【0027】
Num_DP_Maxは、セルが収容し得る点の最大数を示す。その値は実施形態では16である。空間木を構築する一方で、各々のセル内の点の数Num_P_Cellがチェックされる。1<Num_P_Cell<=Num_DP_Maxであるならば、このセル内の点は、それらが重複点であるか否かを決定するためにチェックされる。そうではないならばこのセルは、そのサブセル内の点が重複点であるまで、またはそのサブセルがただ1つの点を包含するまで、点が重複点でないならばさらに細分割されることになる。
【0028】
重複点を規定するために、1つのセル内の収容される点を包囲するサイズが、外接球の最小半径として算出される。サイズが、ある閾値より小さいならば、離散的な点は重複点であると決定される。
【0029】
セルCl,k内に、Num_P_Cell個の点(pl,k,0、pl,k,1、…、pl,k,m、…)が存在する。したがってこれらの点の中心は、次式のように計算され得る。
【0030】
【数1】
【0031】
さらにx、y、およびzの最大値は、xmax、ymax、zmaxと表現される。したがってこのセル内の収容される点のサイズは、次式のように計算される。
【0032】
【数2】
【0033】
サイズが閾値DP_thより小さいならば、このセル内の点は重複点であると決定される。その結果、このセルはもはや細分割されず、その関連性のある情報がコーデックにおいて記録されることになる。ここではDP_thは、点の中心と次のレベルでのサブセルの中心との間の最小距離として規定され、すなわち次式となる。
【0034】
【数3】
【0035】
重複点を包含するセルに関する仕様
例えば、図5においての場合を取り上げる。提案される空間木構築を使用すると、四分木構造が図9に示されるように生成される。セル520、530、および540の各々は、端末符号の以前の方法を使用して処理されるただ1つの点を包含する。セル510は、重複点の提案される規定を使用して検証される2つの点を包含する。それらが重複点と決定されるならば、セル510はさらに細分割される必要はない。この種類のセルに関する関連性のある情報は、コーデックにおいて仕様が定められ得る。
【0036】
構築される空間木に対して我々は、コーデックモジュールにおいての重複点を包含するセルの仕様を提案する。1つの実施形態では、これらのセルの符号化の間、最大数は入力点の数の5パーセントである、すなわち、Num_DPCell_Max=0.05*Num_Pointであると想定される。この数は所望に応じて調整され得る。結果として、重複点を伴うセルの数Num_DPCellは、フィールド1010内の[logNum_DPCell_Max]ビットの範囲内で最初に符号化される。
【0037】
次いで、これらのセルの位置k、および各々のセル内の重複点の数Num_P_Cellが、フィールド1030および1040内に連続的に符号化される。Num_P_Cellの値によって位置値kは、フィールド1020内に符号ビットが割り当てられ、このことは次式のように表現される。
【0038】
【数4】
【0039】
ここでは位置kは、2つのオプションを使用して符号化され得る。それは、ヘッダビットが符号を指示する、
【0040】
【数5】
【0041】
ビットの範囲内で符号化される。さらに、算術コーデックもまた用いられ得る。したがって重複点の数を符号化することは、4ビットの範囲内で(Num_P_Cell−3)を符号化することにより実現され得る。図10は、ビットストリーム内の規定を例示する。
【0042】
点位置の復号の間、空間木は1層ずつ再構築される。重複点を包含するセルに関しては、
【0043】
【数6】
【0044】
ビットが、これらのセルの数Num_DPCellを復号するために最初に読み出される。次いで各々のセルに関して、
【0045】
【数7】
【0046】
ビットが、位置kを復号するために次に読み出される。ヘッダビットが0であるならば、これ以上のビットは読み出されず、セル内の収容される点の数Num_P_Cellは2と記録される。ヘッダビットが0でないならば、別の4ビットが数を復号するために読み出され、その数に3を加えたものが復号されたNum_P_Cellである。このようにして復号手順が完了されると、Num_DPCell個のセルが連続的に復号されている。従来の復号方法と同様に、点は最終的に再構築され得る。
【0047】
本実施形態では、セル内の点を包囲するサイズは、セル内の点の数をセル内で許される重複セルの最大数と比較した後に決定される。しかしながら本発明の原理が、セル内の点の数の前に、またはセル内の点の数に関係なく、サイズを決定することを可能にするものでもあり得ることは明白である。
【0048】
次に図11を参照すると、上記で説明された特色および原理が適用され得る、データ送信システムまたは装置1100が示されている。データ送信システムまたは装置1100は例えば、例えば衛星、ケーブル、電話ライン、または地上波放送などの、種々の媒体のいずれかを使用して信号を送信するためのヘッドエンドまたは送信システムであり得る。データ送信システムまたは装置1100はさらに、または代わりに、例えば記憶のための信号を提供するために使用され得る。送信は、インターネットまたは何らかの他のネットワークを介して提供され得る。データ送信システムまたは装置1100は例えば、例えば3Dメッシュモデルなどのビデオコンテンツおよび他のコンテンツを、生成および配信することが可能である。
【0049】
データ送信システムまたは装置1100は、処理されたデータおよび他の情報をプロセッサー1101から受信する。1つの実現ではプロセッサー1101は、3Dメッシュモデルの幾何学図形的配列データを処理して、上記で説明されたようなシンボルのシーケンスを生成する。
【0050】
データ送信システムまたは装置1100は、符号化器1102、および符号化された信号を送信することが可能な送信機1104を含む。符号化器1102は、データ情報をプロセッサー1101から受信する。符号化器1102は、符号化された信号を生成する。符号化器1102のエントロピー符号化エンジンは、例えば算術符号化またはハフマン符号化であり得る。
【0051】
符号化器1102は、例えば、様々な断片の情報を受信し、それらの情報を記憶または送信のための構造化されたフォーマットに組み立てるための組み立てユニットを含む、サブモジュールを含み得る。様々な断片の情報は例えば、符号化された、または符号化されないビデオ、ならびに、例えばサブストリーム長さインジケータおよびシンタックス要素などの、符号化された、または符号化されない要素を含み得る。一部の実現では符号化器1102は、プロセッサー1101を含み、したがってプロセッサー1101の動作を遂行する。
【0052】
送信機1104は、符号化された信号を符号化器1102から受信し、1または複数の出力信号の形で符号化された信号を送信する。送信機1104は、例えば、符号化されたピクチャを表す1もしくは複数のビットストリーム、および/または、それらのビットストリームに関係付けられた情報を有する、プログラム信号を送信するように適合され得る。典型的な送信機は、例えば、誤り訂正符号化を提供すること、信号内のデータをインターリーブすること、信号内のエネルギーをランダマイズすること、および、変調器1106を使用して1または複数の搬送波上に信号を変調することの、1または複数などの機能を遂行する。送信機1104は、アンテナ(図示せず)を含み得る、またはアンテナ(図示せず)とインターフェース接続し得る。さらに送信機1104の実現は、変調器1106に制限される場合がある。
【0053】
データ送信システムまたは装置1100はさらに、記憶ユニット1108に通信可能に結合される。1つの実現では、記憶ユニット1108は、符号化器1102に結合され、符号化器1102からの符号化されたビットストリームを記憶する。別の実現では、記憶ユニット1108は、送信機1104に結合され、送信機1104からのビットストリームを記憶する。送信機1104からのビットストリームは、例えば、送信機1104によりさらに処理されている1または複数の符号化されたビットストリームを含み得る。記憶ユニット1108は、異なる実現では、標準的なDVD、Blu−Ray disc、ハードドライブ、または何らかの他の記憶デバイスの、1または複数である。
【0054】
次に図12を参照すると、上記で説明された特色および原理が適用され得る、データ受信システムまたは装置1200が示されている。データ受信システムまたは装置1200は、例えば記憶デバイス、衛星、ケーブル、電話ライン、または地上波放送などの、種々の媒体を介して信号を受信するように構成され得る。信号は、インターネットまたは何らかの他のネットワークを介して受信され得る。
【0055】
データ受信システムまたは装置1200は例えば、セル電話、コンピュータ、セットトップボックス、テレビ、または、符号化されたビデオを受信し、例えば、ディスプレイ(例えばユーザに対するディスプレイ)のために、処理のために、もしくは記憶のために、復号されたビデオ信号を提供する他のデバイスであり得る。このようにしてデータ受信システムまたは装置1200は、その出力信号を、例えばテレビのスクリーン、コンピュータモニター、(記憶、処理、またはディスプレイのための)コンピュータ、または、何らかの他の記憶、処理、もしくはディスプレイデバイスに提供することが可能である。
【0056】
データ受信システムまたは装置1200は、データ情報を受信し処理することが可能であり、データ情報は、例えば3Dメッシュモデルを含み得る。データ受信システムまたは装置1200は、例えば本出願の実現で説明された信号などの、符号化された信号を受信するための受信機1202を含む。受信機1202は、例えば、3Dメッシュモデルおよび/もしくはテクスチャ画像の、1もしくは複数を提供する信号、または、図11のデータ送信システム1100から出力される信号を受信することが可能である。
【0057】
受信機1202は、例えば、符号化されたピクチャを表す複数のビットストリームを有するプログラム信号を受信するように適合され得る。典型的な受信機は、例えば、変調され符号化されたデータ信号を受信すること、復調器1204を使用して1または複数の搬送波からデータ信号を復調すること、信号内のエネルギーをデランダマイズすること、信号内のデータをデインターリーブすること、および、信号を誤り訂正復号することの、1または複数などの機能を遂行する。受信機1202は、アンテナ(図示せず)を含み得る、またはアンテナ(図示せず)とインターフェース接続し得る。受信機1202の実現は、復調器1204に制限される場合がある。
【0058】
データ受信システムまたは装置1200は、復号器1206を含む。受信機1202は、受信された信号を復号器1206に提供する。受信機1202により復号器1206に提供される信号は、1または複数の符号化されたビットストリームを含み得る。復号器1206は、例えばビデオ情報を含む復号された出力信号などの、復号された信号を出力する。
【0059】
データ受信システムまたは装置1200はさらに、記憶ユニット1207に通信可能に結合される。1つの実現では、記憶ユニット1207は、受信機1202に結合され、受信機1202は、記憶ユニット1207からのビットストリームにアクセスする。別の実現では、記憶ユニット1207は、復号器1206に結合され、復号器1206は、記憶ユニット1207からのビットストリームにアクセスする。記憶ユニット1207からのアクセスされるビットストリームは、異なる実現では、1または複数の符号化されたビットストリームを含む。記憶ユニット1207は、異なる実現では、標準的なDVD、Blu−Ray disc、ハードドライブ、または何らかの他の記憶デバイスの、1または複数である。
【0060】
復号器1206からの出力信号は、1つの実現ではプロセッサー1208に提供される。プロセッサー1208は、1つの実現では、3Dメッシュモデル再構築を遂行するように構成されるプロセッサーである。一部の実現では復号器1206は、プロセッサー1208を含み、したがってプロセッサー1208の動作を遂行する。他の実現ではプロセッサー1208は、例えばセットトップボックスまたはテレビなどの、ダウンストリームデバイスの一部である。
【0061】
本明細書で説明された実現は、例えば方法、または処理、装置、ソフトウェアプログラム、データストリーム、または信号の形で実現され得る。単一の形式の実現の背景状況において論考されるのみである(例えば、方法としてのみ論考される)場合でも、論考される特色の実現は、他の形式(例えば、装置またはプログラム)の形でもまた実現され得る。装置は、例えば適切なハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアの形で実現され得る。方法は、例えばコンピュータ、マイクロプロセッサー、集積回路、またはプログラマブル論理デバイスを含む、一般に処理デバイスを指す、例えばプロセッサーなどの、例えば装置の形で実現され得る。プロセッサーは、例えばコンピュータ、セル電話、ポータブル/パーソナルディジタルアシスタント(「PDA」)、およびエンドユーザ間の情報の通信を容易にする他のデバイスなどの通信デバイスもまた含む。
【0062】
本発明の原理の「1つの実施形態」または「実施形態」または「1つの実現」または「実現」、ならびにそれらの他の変形への言及は、実施形態に関連して説明された、特定の特色、構造、特性等々が、本発明の原理の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通して様々な場所に出現する、語句「1つの実施形態で」または「実施形態で」または「1つの実現で」または「実現で」、および任意の他の変形の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0063】
加えて本出願またはその特許請求の範囲は、様々な断片の情報を「決定すること」に言及する場合がある。情報を決定することは、例えば情報を推定すること、情報を算出すること、情報を予測すること、またはメモリから情報を索出することの、1または複数を含み得る。
【0064】
例えば「A/B」、「Aおよび/またはB」、および「AおよびBの少なくとも1つ」の場合での、以下の「/」、「および/または」、および「の少なくとも1つ」のいずれかの使用は、第1の列挙された選択肢(A)のみの選択、または第2の列挙された選択肢(B)のみの選択、または両方の選択肢(AおよびB)の選択を網羅することが意図されるということが十分認識されるべきである。さらなる例として、「A、B、および/またはC」、および「A、B、およびCの少なくとも1つ」、および「A、B、またはCの少なくとも1つ」の場合では、そのような言い回しは、第1の列挙された選択肢(A)のみの選択、または第2の列挙された選択肢(B)のみの選択、または第3の列挙された選択肢(C)のみの選択、または第1および第2の列挙された選択肢(AおよびB)のみの選択、または第1および第3の列挙された選択肢(AおよびC)のみの選択、または第2および第3の列挙された選択肢(BおよびC)のみの選択、またはすべての3つの選択肢(AおよびBおよびC)の選択を網羅することが意図される。これは、当技術分野および関係する技術分野の当業者であれば容易に明らかであるように、同じように多くの列挙される項目に対して拡張され得る。
【0065】
加えて多くの実現が、符号化器(例えば符号化器1102)、復号器(例えば復号器1206)、復号器からの出力を処理するポストプロセッサー(例えばプロセッサー1208)、または、符号化器への入力を提供するプリプロセッサー(例えばプロセッサー1101)の、1または複数の形で実現され得る。さらに、他の実現が本開示により企図される。
【0066】
本明細書で説明される様々な処理および特色の実現は、種々の異なる機器またはアプリケーション、特に例えば、データ符号化、データ復号、3Dモデリング、3D再構築、および3Dコンピュータグラフィックスの他の処理に関連する機器またはアプリケーションの形で具現化され得る。そのような機器の例は、符号化器、復号器、復号器からの出力を処理するポストプロセッサー、符号化器への入力を提供するプリプロセッサー、ビデオ符号器、ビデオ復号器、ビデオコーデック、ウェブサーバー、セットトップボックス、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、セル電話、PDA、ゲーム機、および他の通信デバイスを含む。明白であるはずであるように機器は、移動性である場合があり、移動性の車両に装着される場合さえある。
【0067】
加えて方法は、プロセッサーにより遂行される命令により実現され得るものであり、そのような命令(および/または、実現により生成されるデータ値)は、例えば、集積回路、ソフトウェア搬送波、または、例えばハードディスク、コンパクトディスケット(「CD」)、光ディスク(例えば、ディジタルバーサタイルディスクまたはディジタルビデオディスクと呼ばれることが多いDVDなど)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、もしくは読み出し専用メモリ(「ROM」)などの他の記憶デバイスなどのプロセッサー可読媒体上に記憶され得る。命令は、プロセッサー可読媒体上で有形に具現化されるアプリケーションプログラムを形成し得る。命令は、例えばハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、または組み合わせの形であり得る。命令は、例えばオペレーティングシステム、別個のアプリケーション、または2つの組み合わせの中に見出され得る。したがってプロセッサーは、例えば、処理を実行するように構成されるデバイス、および、処理を実行するための命令を有する(記憶デバイスなどの)プロセッサー可読媒体を含むデバイスの両方として特徴付けられ得る。さらにプロセッサー可読媒体は、命令に加えて、または命令の代わりに、実現により生成されるデータ値を記憶することが可能である。
【0068】
当業者には明瞭となるように、実現は、例えば記憶または送信され得る情報を搬送するためにフォーマットされる種々の信号を生成し得る。情報は例えば、方法を遂行するための命令、または、説明された実現の1つにより生成されるデータを含み得る。例えば信号は、説明された実施形態のシンタックスを書き込む、もしくは読み出すための規則をデータとして搬送するために、または、説明された実施形態により書き込まれる実際のシンタックス値をデータとして搬送するためにフォーマットされ得る。そのような信号は例えば、(例えば、スペクトルの無線周波数部を使用する)電磁波として、または、ベースバンド信号としてフォーマットされ得る。フォーマットすることは例えば、データストリームを符号化し、符号化されたデータストリームによって搬送波を変調することを含み得る。信号が搬送する情報は、例えばアナログまたはディジタル情報であり得る。信号は、知られているように、種々の異なる有線またはワイヤレスのリンクを介して送信され得る。信号は、プロセッサー可読媒体上に記憶され得る。
【0069】
いくつかの実現が説明された。それでも、様々な修正が行われ得ることが理解されよう。例えば異なる実現の要素が、他の実現を生成するために組み合わされる、補完される、修正される、または除去される場合がある。加えて当業者であれば、他の構造および処理が、開示されたそれらのものの代わりに使われる場合があり、その結果得られる実現が、開示された実現と少なくとも実質的に同じ機能を、少なくとも実質的に同じ方途で遂行して、少なくとも実質的に同じ結果を達成することになるということを理解するであろう。したがって、これらおよび他の実現が本出願により企図される。
[付記1]
領域に対応する空間木データ構造を構築する方法であって、
前記領域内の区域を選択するステップと、
前記区域が重複点を含むかどうかを決定するステップであって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、前記決定するステップと、
前記区域が重複点を含む場合、前記区域に対する前記重複点の存在を示す区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止するステップと、
を含む、前記方法。
[付記2]
前記決定するステップは、
前記区域内の前記点を包囲する区域のサイズを計算するステップと、
前記サイズを予め定められた閾値サイズと比較するステップと、
前記比較に応答して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するステップと、
を含む、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記決定するステップは、
分解された区域内に含まれる点の数を決定するステップと、
前記区域内に含まれる点の前記数が閾値数よりも小さい場合、前記区域内における各々の点の前記サイズに関して前記計算するステップおよび前記比較するステップを実行して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するステップと、
をさらに含む、付記2に記載の方法。
[付記4]
重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定する前記ステップは、前記区域は点、重複点、または複数の非重複点を含むかどうかを決定するステップを含み、前記方法は、
前記区域が複数の非重複点を含む場合、
前記区域を複数の細分割された区域に細分割するステップと、
前記細分割された区域が点、重複点、または複数の点の1つを含むかどうかを決定するステップと、
前記細分割された区域、または引き続き細分割された区域のすべてが、点または重複点のみを含むまで、該細分割するステップおよび該決定するステップを反復するステップと、
前記区域、前記細分割された区域、または引き続き分割されたサブ区域に対する、前記点または前記重複点の前記存在を示す前記区域情報を記録するステップと、
をさらに含む、付記3に記載の方法。
[付記5]
前記領域を複数の区域に分割するステップと、
前記領域が点または重複点のみを含む区域に分解されるまで、前記細分割するステップ、前記決定するステップ、および前記反復するステップを実行するステップと、
前記領域の前記分解された区域の各々に対する前記区域情報を記録するステップと、
をさらに含む、付記4に記載の方法。
[付記6]
区域内の点の数が(pl,k,0、pl,k,1、…、pl,k,m、…)に対応する場合、前記点の中心は、
【数8】
に対応し、前記サイズは、
【数9】
に対応し、前記区域は、
【数10】
に対応する前記予め定められた閾値サイズより前記計算されたサイズが小さい場合に重複点を含むと決定される、
付記5に記載の方法。
[付記7]
前記記録するステップは、重複点の数フィールド、位置フィールド、および、セル内の点の数フィールドの少なくとも1つを含むデータフィールドを生成するステップを含む、付記1に記載の方法。
[付記8]
前記空間木データ構造は、四分木タイプ区分化および八分木タイプ区分化の1つに対応し、前記区域は、前記四分木タイプ区分化および前記八分木タイプ区分化のセルおよびサブセルに対応する、付記1から6のいずれかに記載の方法。
[付記9]
前記空間木データ構造は、3Dメッシュ符号化を実行するために使用される、付記8に記載の方法。
[付記10]
領域に対応する空間木データ構造を構築するための装置であって、
前記領域内の区域を選択する手段と、
前記区域が重複点を含むかどうかを決定する手段であって、前記重複点は前記区域内の2つ以上の点を含む、前記決定する手段と、
前記区域が重複点を含む場合、前記区域に対する前記重複点の存在を示す区域情報を記録し、前記区域のさらなる細分割を停止する手段と、
を備える、前記装置。
[付記11]
前記決定する手段は、前記区域内の前記点を包囲する区域のサイズを計算し、前記サイズを予め定められた閾値サイズと比較し、および、前記比較に応答して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するように適合される、付記10に記載の装置。
[付記12]
前記決定する手段は、分解された区域内に含まれる点の数を決定し、前記区域内に含まれる点の前記数は閾値数よりも小さい場合、前記区域内における各々の点の前記サイズに関して前記計算および前記比較を実行して、重複点が前記区域内に含まれるかどうかを決定するようにさらに適合される、付記11に記載の装置。
[付記13]
前記決定する手段は、前記区域が点、重複点、または複数の非重複点を含むかどうかを決定するようにさらに適合され、前記装置は、
前記区域が複数の非重複点を含む場合、
前記区域を複数の細分割された区域に細分割し、
前記細分割された区域が点、重複点、または複数の点の1つを含むかどうかを決定し、
前記細分割された区域、または引き続き細分割された区域のすべてが、点または重複点のみを含むまで、該細分割および該決定を反復し、
前記区域、前記細分割された区域、または前記引き続き分割されたサブ区域に対する、前記点または前記重複点の前記存在を示す前記区域情報を記録する
ようにさらに適合される、付記12に記載の装置。
[付記14]
前記領域を複数の区域に分割する手段と、前記領域が点または重複点のみを含む区域に分解されるまで、前記細分割、前記決定、および前記反復を実行する手段と、前記領域の前記分解された区域の各々に対する前記区域情報を記録する手段と、をさらに備える、付記13に記載の装置。
[付記15]
前記決定する手段は、以下の手順、すなわち、
区域内の点の前記数は(pl,k,0、pl,k,1、…、pl,k,m、…)に対応する場合、前記点の中心は、
【数11】
に対応し、前記サイズは、
【数12】
に対応し、前記区域は、
【数13】
に対応する前記予め定められた閾値サイズより前記計算されたサイズが小さい場合に重複点を含むと決定される、
という手順により重複点の前記存在を決定するように適合される、付記14に記載の装置。
[付記16]
前記記録する手段は、重複点の数フィールド、位置フィールド、および、セル内の点の数フィールドの少なくとも1つを含むデータフィールドを生成するように適合される、付記10に記載の装置。
[付記17]
前記空間木データ構造は、四分木タイプ区分化および八分木タイプ区分化の1つに対応し、前記区域は、前記四分木タイプ区分化および前記八分木タイプ区分化のセルおよびサブセルに対応する、付記10から16のいずれかに記載の装置。
[付記18]
前記空間木データ構造は、3Dメッシュ符号化を実行するために使用される、付記17に記載の装置。
[付記19]
コンピュータ可読媒体であって、付記1から9のいずれかに記載の前記ステップを実行するための命令が前記コンピュータ可読媒体上に記憶される、前記コンピュータ可読媒体。
[付記20]
コンピュータ可読媒体であって、付記1から9のいずれかに記載の前記ステップにより生成されるシンボルシーケンスが前記コンピュータ可読媒体上に記憶される、前記コンピュータ可読媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12