(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(真空チャンバの構成)
まず、
図1〜
図4を用いて、本実施形態のアレイアンテナ式(誘導結合型)プラズマCVD装置の真空チャンバの構造について説明する。
図1は、真空チャンバの正面側を示す斜視図、
図2は、真空チャンバの背面側を示す斜視図である。
【0018】
図1および
図2に示すように、真空チャンバ1は、筐体2を備えて構成されている。この筐体2は、図中y方向に対面配置された天井部2aおよび底面部2bと、図中x方向に対面配置された右側面部2cおよび左側面部2dと、図中z方向に対面配置された正面部2eおよび背面部2fと、を備えている。以下では、天井部2a側を真空チャンバ1の上方または上面とし、右側面部2c側を真空チャンバ1の右方または右側面とし、左側面部2d側を真空チャンバ1の左方または左側面として説明する。
【0019】
正面部2eおよび背面部2fには、それぞれフロント開口部3およびリヤ開口部4が形成されており、これらフロント開口部3およびリヤ開口部4を開閉するフロント開閉扉5およびリヤ開閉扉6がそれぞれ設けられている。また、右側面部2cにも右開口部7が形成されており、この右開口部7を開閉する開閉扉8が設けられている。さらに、左側面部2dにも左開口部9が形成されているが、この左開口部9には、後述するゲートバルブ110(
図15参照)が設けられており、このゲートバルブ110を介して真空チャンバ1と後述の基板搬送チャンバ100とを真空状態を維持したまま接続したり、あるいはその接続状態を遮断したりすることが可能となっている。そして、このゲートバルブ110を閉じるとともに、フロント開閉扉5、リヤ開閉扉6および開閉扉8を閉じることにより、筐体2の内部に、外部から完全に密閉された内部空間10が形成されることとなる。
【0020】
また、天井部2aには、3列のコネクタ群11a、11b、11cが設けられている。これらコネクタ群11a、11b、11cは、複数のコネクタが図中x方向に沿って直列配置されたものであり、図中z方向に所定の間隔を維持している。
【0021】
図3は、真空チャンバ1の正面側の断面を模式的に示す図である。この図に示すように、コネクタ群11aは、高周波電力を供給する高周波電源12の供給側(非接地側)に電気的に接続された第1天井側コネクタ13と、高周波電源12の接地側に電気的に接続された第2天井側コネクタ14と、が所定の間隔を維持して交互に設けられている。これら第1天井側コネクタ13および第2天井側コネクタ14は、その接続部が鉛直方向下方(底面部2b)に向けられており、後述するアレイアンテナユニットの電極棒が、鉛直方向下方から上方に向かって接続可能なように配置されている。
【0022】
また、詳しくは後述するが、第2天井側コネクタ14にはガス供給源15が接続されており、このガス供給源15から供給される材料ガスが、第2天井側コネクタ14に接続されたアレイアンテナユニットの電極棒から真空チャンバ1内に噴出可能となっている。なお、ここではコネクタ群11aについて説明したが、コネクタ群11b、11cも上記と同様の構成となっている。さらに、筐体2の天井部2aには真空ポンプ16が接続されており、内部空間10を密閉した状態で真空ポンプ16を駆動することにより、真空チャンバ1内が真空状態に減圧可能となっている。
【0023】
また、筐体2の底面部2bには、右側面部2cから左側面部2dまで図中x方向に沿って延在するガイドレール17が設けられている。
図4は、真空チャンバ1の右側面図であるが、この図に示すように、ガイドレール17は、正面部2e近傍と背面部2f近傍とにそれぞれ設けられており、したがって、図中z方向に間隔を維持して一対配置されることとなる。これら一対のガイドレール17は、後述する基板やアレイアンテナユニットを真空チャンバ1内に搬入したり、あるいは真空チャンバ1内から搬出したりする際の案内として機能するものである。
【0024】
(アレイアンテナユニットの構成)
次に、
図5〜
図8を用いてアレイアンテナユニットの構成について説明する。
図5は、アレイアンテナユニット30の斜視図であり、
図6は、
図5の部分拡大図である。これらの図に示すように、アレイアンテナユニット30は、アンテナ支持部材31を備えており、このアンテナ支持部材31に複数本の誘導結合型電極50が支持されている。
【0025】
この誘導結合型電極50は、第1電極棒51と第2電極棒52とが、接続金具53によって電気的に接続されたアンテナ素子であり、アンテナ支持部材31の長手方向に沿って複数本支持されている。具体的には、両電極棒51、52は、その長手方向に直交する方向に所定の間隔を維持して交互に直列配置された状態で、その上端部がアンテナ支持部材31に支持されている。これにより、両電極棒51、52は、それらの長手方向を鉛直方向に沿わせた状態で、アンテナ支持部材31に垂下支持されることとなる。
【0026】
図7(a)は、
図6のVII(a)−VII(a)線断面図であり、
図7(b)は、
図6のVII(b)−VII(b)線断面図である。これらの図に示すように、アンテナ支持部材31は、断面U字形の部材によって構成されており、その開口を鉛直方向下方に臨ませている。このアンテナ支持部材31は、
図7(b)からも明らかなように、その幅方向中央にアンテナ支持孔32が形成されている。このアンテナ支持孔32は、
図7(a)および
図8(a)に示すとおり、アンテナ支持部材31の長手方向に沿って形成される長孔形状をなしており、このアンテナ支持孔32に、第1電極棒51および第2電極棒52が交互に垂下支持されている。
【0027】
より詳細に説明すると、第1電極棒51の上端部には、真空チャンバ1の天井部2aに設けられた第1天井側コネクタ13に接続可能な第1アンテナ側コネクタ54が固定されている。また、第2電極棒52の上端部には、真空チャンバ1の天井部2aに設けられた第2天井側コネクタ14に接続可能な第2アンテナ側コネクタ55が固定されている。
【0028】
図8(a)は、
図6の上面図であり、
図8(b)は、第1アンテナ側コネクタ54の斜視図である。ただし、
図8(a)においては、後述するカバー部材33を取り外した状態を示している。この図に示すとおり、第1アンテナ側コネクタ54は、円筒状の本体54aを備えており、この本体54aの底面部54bに、第1電極棒51が貫通した状態で固定されている。また、本体54aの開口側には、当該本体54aよりも大径のフランジ部54cが設けられている。このフランジ部54cは、アンテナ支持部材31に形成されたアンテナ支持孔32の幅よりも大径となる寸法関係を維持している。また、本体54aには、円筒状の外周面の対向する一部を面取りした一対の平面部54d、54dが形成されている。これら平面部54d、54dは、その対向間隔がアンテナ支持孔32の幅よりも僅かに小さくなる寸法関係を維持している。
【0029】
したがって、アンテナ支持孔32の上方から第1アンテナ側コネクタ54を挿入すると、本体54aがアンテナ支持孔32を挿通するとともに、フランジ部54cがアンテナ支持部材31の上面に接触して掛け止められ、これによって第1電極棒51がアンテナ支持部材31に垂下支持されることとなる。
【0030】
また、このとき、平面部54d、54d間の幅は、アンテナ支持部材31の幅方向に対する第1アンテナ側コネクタ54の移動を、第1天井側コネクタ13に接続可能な範囲内に制限する寸法関係を維持している。しかも、アンテナ支持部材31に支持された第1アンテナ側コネクタ54に回転応力が作用したとしても、平面部54d、54dがアンテナ支持孔32の内周縁に接触し、第1アンテナ側コネクタ54の回転が制限される。このようにして、第1電極棒51は、アンテナ支持部材31の幅方向の位置決めがなされて直列配置されるとともに、全ての第1電極棒51が同一方向を向いて垂下支持されることとなる。
【0031】
なお、ここでは第1アンテナ側コネクタ54について説明したが、第2アンテナ側コネクタ55の構成も上記第1アンテナ側コネクタ54と同様である。つまり、第2アンテナ側コネクタ55は、本体55aと、底面部55bと、フランジ部55cと、一対の平面部55d、55dと、を備えており、底面部55bに第2電極棒52が貫通した状態で固定されている。
【0032】
そして、本体55aの開口側には、当該本体55aよりも大径のフランジ部55cが設けられている。このように、この第2アンテナ側コネクタ55も、上記第1アンテナ側コネクタ54と同様に、回転およびアンテナ支持部材31の幅方向に対する移動が制限され、第2電極棒52も直列配置されるとともに、全ての第2電極棒52が同一方向を向いて垂下支持されることとなる。
【0033】
また、
図7(a)に示すように、各第1電極棒51は、その外周にセラミックスまたは樹脂などの誘電体からなる外筒56を備えている。一方、各第2電極棒52は円筒形状をなしており、その長手方向に延在するガス供給路52aが内部に形成されている。また、各第2電極棒52は、ガス供給路52aに垂直に連通する噴出孔52bを備えている。この第2電極棒52は、上述したように、アレイアンテナユニット30が真空チャンバ1内に掛け止められたときに、第2天井側コネクタ14に接続されて、上記したガス供給源15とガス供給路52aとが連通する関係をなしている。
【0034】
したがって、アレイアンテナユニット30が真空チャンバ1内に掛け止められた状態で、ガス供給源15から材料ガスが供給されることにより、噴出孔52bから真空チャンバ1の内部空間10に向けて材料ガスが噴出することとなる。
【0035】
なお、
図5〜
図8に示すように、アンテナ支持部材31には、両アンテナ側コネクタ54、55を被覆する断面U字形のカバー部材33が固定されている。このカバー部材33には、両アンテナ側コネクタ54、55の本体54a、55aに一致する円形の貫通孔33aが複数設けられている。これにより、各アンテナ側コネクタ54、55の本体54a、55aの開口、すなわち、両電極棒51、52の上端は、カバー部材33の貫通孔33aを介して上方に臨むこととなる。
【0036】
また、アンテナ支持部材31の幅方向両側面には防着パネル34が設けられており、また、アンテナ支持部材31の上面には、上方に垂直に起立し、先端にテーパが形成された位置決めピン35が設けられている。この位置決めピン35は、複数本の第1電極棒51および第2電極棒52のうち、もっとも外側に位置する電極棒よりもさらにアンテナ支持部材31の長手方向外方に設けられている。さらに、アンテナ支持部材31の長手方向両端部近傍には、掛止孔36が貫通形成されている。この掛止孔36は、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1に掛け止めるためのものである。
【0037】
図9は、アレイアンテナユニット30が掛け止められた状態の真空チャンバ1の正面側断面図である。この図に示すように、真空チャンバ1の天井部2aには、右側面部2cおよび左側面部2d近傍それぞれに、鉛直方向に貫通するとともに鉛直方向下方にテーパが形成された位置決め孔18が設けられている。また、この位置決め孔18よりも図中x方向外方には、下方に垂下する掛止ピン19が固定されている。上記の位置決め孔18は、アレイアンテナユニットの位置決めピン35に対応しており、上記の掛止ピン19は、アレイアンテナユニット30の掛止孔36に対応している。
【0038】
アレイアンテナユニット30の取り付け方法の詳細については後述するが、アレイアンテナユニット30を真空チャンバ1内に掛け止める際には、位置決め孔18に位置決めピン35を挿通させるように、アレイアンテナユニット30を天井部2aの下方から上方に持ち上げる。すると、掛止ピン19にアレイアンテナユニット30の掛止孔36が挿通するとともに、このとき、天井部2aに設けられた第1天井側コネクタ13および第2天井側コネクタ14のそれぞれが、アレイアンテナユニット30の第1アンテナ側コネクタ54および第2アンテナ側コネクタ55のそれぞれに嵌合する。この状態で、掛止ピン19の下方からボルト等の固定手段を固定することにより、図示のように、アレイアンテナユニット30が真空チャンバ1の天井部2aに掛け止められることとなる。
【0039】
図10は、アレイアンテナユニット30が掛け止められた状態の真空チャンバ1の右側面図である。上記したとおり、天井部2aには、コネクタ群11a、11b、11cが3列設けられており、これらコネクタ群11a、11b、11cに、アレイアンテナユニット30が接続可能となっている。したがって、全てのコネクタ群11a、11b、11cにアレイアンテナユニット30が接続されると、図示のように、3体のアレイアンテナユニット30が、図中z方向に所定の間隔を維持して位置することとなる。
【0040】
そして、上記のようにアレイアンテナユニット30が掛け止められた真空チャンバ1内には、基板を保持する基板搬送体が搬入される。この基板搬送体について、
図11〜
図13を用いて説明する。
【0041】
(基板搬送体の構成)
図11は基板搬送体60の斜視図、
図12は基板搬送体60の上面図、
図13は基板搬送体60の右側面図である。これらの図に示すように、基板搬送体60は、基台61を備えており、この基台61の幅方向(図中z方向)両端に車輪62が複数設けられている。この車輪62は、基板搬送体60が図中x方向に一直線上に移動可能となるように設けられており、真空チャンバ1内において、上記したガイドレール17上を転動することにより、基板搬送体60の真空チャンバ1内での移動を可能としている。
【0042】
また、基台61には、当該基台61から上方に起立する薄板状の基板保持部材63が設けられている。この基板保持部材63は、非結晶シリコン膜または微結晶シリコン膜を付着させる対象となる基板Wを着脱自在に保持することが可能となっており、基板搬送体60の搬送方向に直交する方向(図中z方向)に所定の間隔を維持して6つ設けられている。
【0043】
そして、基台61の下面には、当該基台61の幅方向中央位置に固定されたラック64が設けられている。このラック64は、基板搬送体60の搬送方向に沿って設けられており、
図2に示すように、真空チャンバ1の底部に設けられ、駆動モータ20によって回転駆動する駆動ピニオン21に噛み合うようになっている。したがって、駆動モータ20を駆動して駆動ピニオン21を回転駆動すると、駆動ピニオン21の回転動力がラック64の直線運動に変換され、これによって基板搬送体60が、真空チャンバ1内を移動することとなる。
【0044】
図14は、基板搬送体60が搬入された状態の真空チャンバ1の右側面図である。この図に示すように、基板搬送体60が真空チャンバ1内に搬入された状態では、1体のアレイアンテナユニット30に対して、その幅方向(図中z方向)両側に基板Wが所定の間隔を維持して対面する。以下に、成膜処理の手順について説明する。
【0045】
(成膜処理)
まず、真空チャンバ1の内部空間10を密閉するとともに、真空ポンプ16を駆動して内部空間10を真空状態に減圧する。この状態で、ゲートバルブを介して真空チャンバ1に接続され、内部が真空状態に維持された基板搬送チャンバから真空チャンバ1内に基板搬送体60を搬入する。そして、ガス供給源15から第2電極棒52に材料ガスを供給して、噴出孔52bから真空チャンバ1内に材料ガスを噴出させる。この状態で、高周波電源12によって誘導結合型電極50に高周波電力を供給すると、アレイアンテナユニット30の周辺にプラズマが発生し、このプラズマによって分解された材料ガスの成分が基板Wの表面に付着する。このようにして、基板Wの表面に、非結晶シリコン膜または微結晶シリコン膜などの薄膜が成膜されることとなる。
【0046】
そして、上記のようにして成膜処理が終了したら、真空チャンバ1から基板搬送体60を搬出するとともに、新たな基板Wが保持された基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入し、以後、上記の各工程が繰り返し行われることとなる。以下では、基板搬送体60の真空チャンバ1内への搬入過程について詳細に説明する。
【0047】
(基板搬送体の搬入過程)
図15は、基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入する際の搬入過程を説明する図である。この図に示すように、基板搬送体60は、真空チャンバ1と同様に内部を真空状態に減圧可能な基板搬送チャンバ100に収容された状態で、基板搬送チャンバ100とともに真空チャンバ1まで搬送される。この基板搬送チャンバ100は、真空チャンバ1の左開口部9に接続可能な接続開口部101を備えている。また、真空チャンバ1の左開口部9にはゲートバルブ110が設けられており、このゲートバルブ110によって、基板搬送チャンバ100と真空チャンバ1とが、真空状態を維持したまま接続されるようになっている。
【0048】
また、基板搬送チャンバ100には、基板搬送体60の車輪62をガイドするガイドレール102が設けられている。このガイドレール102は、真空チャンバ1に設けられたガイドレール17と同様に、基板搬送体60の搬送方向に直交する水平方向に一対設けられている。また、この一対のガイドレール102は、真空チャンバ1と基板搬送チャンバ100とが接続されたときに、真空チャンバ1のガイドレール17と同一直線上に位置するように設けられている。
【0049】
さらに、基板搬送チャンバ100の底部には、真空チャンバ1の底部に設けられた駆動ピニオン21と同一の駆動ピニオン103が設けられている。この駆動ピニオン103は、基板搬送チャンバ100に収容された基板搬送体60のラック64に噛み合うように配置されており、真空チャンバ1に設けられた駆動モータ20と同一の駆動モータ104(
図16および
図17参照)によって回転駆動する。
【0050】
図16は、両駆動モータ20、104の取り付け状態を説明する模式図である。本実施形態においては、両駆動モータ20、104に真空用ダイレクトドライブモータが用いられているが、以下では、両モータ20、104を明確に区別して説明するため、駆動モータ20を真空チャンバ側駆動モータとよび、駆動モータ104を搬送チャンバ側駆動モータとよぶ。
【0051】
真空チャンバ側駆動モータ20の本体20aは、真空チャンバ1の背面部2fに、その外部から取り付けられており、出力軸20bを真空チャンバ1内に突出させている。そして、出力軸20bの先端には、基板搬送体60のラック64に噛み合う駆動ピニオン21が設けられている。
【0052】
また、搬送チャンバ側駆動モータ104の本体104aは、真空チャンバ1の背面部2fと同一面上に位置する背面部100fの外部から取り付けられており、出力軸104bを搬送チャンバ100内に突出させている。そして、出力軸104bの先端には、基板搬送体60のラック64に噛み合う駆動ピニオン103が設けられている。
【0053】
したがって、搬送チャンバ100を真空チャンバ1に接続した状態で、両駆動モータ104、20を駆動すれば、両駆動ピニオン103、21の回転動力がラック64の直線運動に変換され、
図15に示すように、基板搬送体60が、基板搬送チャンバ100から真空チャンバ1内に搬入されることとなる。以下では、基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入する際の両駆動モータ20、104の制御について、詳細に説明する。
【0054】
(駆動モータの制御)
図17は、両駆動モータ20、104の駆動を制御する制御手段の構成を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態のプラズマCVD装置は、各種センサや操作部などからの信号が入力される制御手段201を備えている。この制御手段201には、基板搬送体60の位置を検出するフォトセンサからなる第1センサ25、第2センサ26、第3センサ27、第4センサ28から検出信号が入力されるようになっている。制御手段201は、各センサ25〜28から信号が入力されることにより、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して種々の処理を実行して、両駆動モータ20、104の駆動を制御することとなる。なお、ここでは、各センサ25〜28をフォトセンサとしたが、基板搬送体60の位置を検出することができればセンサの種類は特に問わない。
【0055】
図18は、基板搬送体60の位置と、両駆動モータ20、104の駆動タイミングと、を説明する図である。この図に示すように、真空チャンバ1には、上記した第1センサ25、第2センサ26、第3センサ27、第4センサ28が、ガイドレール17の長手方向に沿って順次設けられている。
図18(b)からも明らかなように、第1センサ25は、基板搬送体60が真空チャンバ1内に進入したことを検出可能な位置に配置されている。また、第2センサ26は、基板搬送体60の搬入過程で、ラック64が駆動ピニオン21に噛み合った直後の基板搬送体60を検出可能な位置に配置されている。また、第3センサ27は、基板搬送体60が、成膜処理を行う際に停止すべき位置の直前まで搬入されたことを検出可能な位置に配置されている。なお、第4センサ28は、基板搬送体60がオーバーランしたことを検出するためのもので、第3センサ27よりもさらに基板搬送体60の搬入方向前方側に配置されている。
【0056】
図19は、両駆動モータ20、104を駆動するための処理を示すフローチャートである。ここでは、
図18を参照しながら、
図19に示す処理にしたがって、両駆動モータ20、104の駆動制御について説明する。
【0057】
(ステップS1)
制御手段201は、
図18(a)に示すように、基板搬送チャンバ100と真空チャンバ1とが接続された状態で、基板搬送体60の搬入開始を示す信号が入力されるのを待機している。そして、搬入開始を示す信号が入力されると、CPUはステップS2に処理を移す。
【0058】
(ステップS2)
搬入開始を示す信号が入力されると、CPUは、搬送チャンバ側駆動モータ104を所定の出力トルクで駆動する。これにより、基板搬送体60は、基板搬送チャンバ100側から真空チャンバ1側に移動する。
【0059】
(ステップS3)
次に、CPUは、第1センサ25から検出信号が入力されるのを待機する。そして、
図18(b)に示すように、基板搬送体60が真空チャンバ1内に進入して第1センサ25から検出信号が入力されると、CPUはステップS4に処理を移す。
【0060】
(ステップS4)
第1センサ25から検出信号が入力されると、CPUは、搬送チャンバ側駆動モータ104を減速するように制御する。
【0061】
(ステップS5)
また、CPUは、真空チャンバ側駆動モータ20を制御し、駆動ピニオン21の位相合わせを行う。本実施形態の真空チャンバ側駆動モータ20は、ダイレクトドライブ式のモータであるため、回転量や回転角度を高精度に制御可能となっており、また、減速機を介さないことからも、駆動ピニオン21を所定角度に高精度に停止させることができる。そこで、制御手段201は、
図20に示すように、駆動ピニオン21の噛み合わせ面が、ラック64の噛み合わせ面に接触する角度、つまり、駆動ピニオン21がラック64に円滑に噛み合う角度になるように、真空チャンバ側駆動モータ20を制御して位相合わせを行う。
【0062】
(ステップS6)
上記ステップS5において位相合わせを行ったら、CPUは、真空チャンバ側駆動モータ20の出力トルクを最小にする。このように、ラック64と駆動ピニオン21とが噛み合う際に、両者の噛み合わせ面が最適な角度に維持され、しかも、駆動ピニオン21の出力トルクが最小となることから、両者が円滑に噛合することができ、基板搬送体60の搬入時における衝撃を最小限に低減することができる。
【0063】
(ステップS7)
次に、CPUは、第2センサ26から検出信号が入力されるのを待機する。そして、
図18(c)に示すように、ラック64と駆動ピニオン21とが噛合した直後の位置まで基板搬送体60が移動し、第2センサ26から検出信号が入力されると、CPUはステップS8に処理を移す。
【0064】
(ステップS8)
第2センサ26から検出信号が入力されると、CPUは、真空チャンバ側駆動モータ20を所定の出力トルクで駆動する。
【0065】
(ステップS9)
また、CPUは、搬送チャンバ側駆動モータ104の出力トルクが最小となるように制御する。これにより、基板搬送体60は、真空チャンバ側駆動モータ20の駆動力によって、真空チャンバ1内を移動することとなる。また、このとき、搬送チャンバ側駆動モータ104の出力トルクが最小となるように制御されるので、搬送チャンバ100の駆動ピニオン103が抵抗となることもなく、基板搬送体60の円滑な移動が実現可能となる。
【0066】
(ステップS10)
次に、CPUは、第3センサ27から検出信号が入力されるのを待機する。そして、
図18(d)に示すように、基板搬送体60が、成膜処理を行う際に停止すべき位置の直前まで搬入されたことを第3センサ27が検出すると、CPUはステップS11に処理を移す。
【0067】
(ステップS11)
第3センサ27から検出信号が入力されると、CPUは、真空チャンバ側駆動モータ20および搬送チャンバ側駆動モータ104の駆動を停止させ、モータの駆動処理を終了する。
【0068】
以上のように、本実施形態によれば、基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入する際に、基板搬送体60に設けられたラック64を、真空チャンバ1内に設けられた駆動ピニオン21に円滑に噛合させることができるので、基板搬送体60を搬入する際の衝撃が緩和され、種々の部品の損傷を防止することが可能となる。また、特に本実施形態においては、真空チャンバ側駆動モータ20を、ダイレクトドライブ式のモータによって構成したので、駆動ピニオン21の位相合わせを一層高精度にすることができ、基板搬送体60の搬入時の衝撃を最小限に抑制することができる。
【0069】
なお、ここでは、基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入する場合について説明したが、上記と同様に、搬送チャンバ100の駆動ピニオン103についても位相合わせを行うことにより、基板搬送体60の円滑な搬出を実現可能である。また、例えば、真空チャンバ1内に複数の駆動ピニオンを設け、基板搬送体60の移動過程において、ラックが駆動ピニオン間を乗り移る場合には、基板搬送体60の移動方向前方に位置する駆動ピニオンの位相合わせを行えばよい。このようにすれば、搬入、搬出の場合に限らず、真空チャンバ内における基板搬送体の移動すべてを円滑にすることができる。
【0070】
また、上記実施形態においては、両駆動モータ20、104を真空用ダイレクトドライブモータによって構成することとしたが、基板搬送体60を搬送するための駆動モータはこれに限らない。例えば、一般的な電動モータの出力軸に減速機を接続するとともに、この減速機の回転軸に駆動ピニオンを設けるようにしてもよい。いずれにしても、基板搬送体に設けられたラックに対して駆動ピニオンが円滑に噛み合うように、駆動ピニオンの位相合わせを行うようにすればよい。したがって、基板搬送体を搬送するための搬送手段を、以下に説明する変形例のように構成することも可能である。
【0071】
図21は、変形例の駆動モータの取り付け状態を説明する模式図である。なお、この変形例において、上記実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。この変形例では、真空チャンバ1の外部に、電動モータまたは油圧モータからなる駆動モータ150が設けられている。この駆動モータ150には減速機151が設けられており、駆動モータ150の駆動力が減速機151によって減速されて出力軸152に出力される。この出力軸152は、クラッチ153を介して伝達軸154に接続可能となっている。
【0072】
伝達軸154は、背面部2fを貫通して真空チャンバ1内に突出しており、真空チャンバ1内に位置する先端部に上記した駆動ピニオン21が設けられている。なお、伝達軸154には、真空チャンバ1の外方において位相合わせ用ギヤ155が設けられている。また、伝達軸154には、背面部2fを貫通する部分に真空用軸シール部材156が設けられている。そして、位相合わせ用ギヤ155の歯面には、シリンダ157のロッド先端に固定された回転停止部材158が対面配置されている。
【0073】
この回転停止部材158は、シリンダ157が収縮状態にある場合には、図示のように、位相合わせ用ギヤ155の歯間から退避した位置(以下、「許容位置」という)にある。一方、シリンダ157が伸長すると、回転停止部材158は、位相合わせ用ギヤ155の歯間に進入して位相合わせ用ギヤ155の回転を制限する位置(以下、「制限位置」という)に変位する。そして、位相合わせ用ギヤ155の位相すなわち回転角度を検出する回転検出センサ159が設けられており、この回転検出センサ159から、駆動モータ150やシリンダ157を制御する制御手段に検出信号が入力されるようになっている。なお、ここでは説明を省略するが、上記と同様の構成が搬送チャンバ100にも設けられている。
【0074】
上記の構成からなる変形例によれば、制御手段が以下のような処理を実行することにより、基板搬送体60を搬入する際の衝撃を緩和することができる。すなわち、制御手段は、基板搬送体60を真空チャンバ1内に搬入する際に、真空チャンバ1に設けられた駆動モータ150を駆動するとともに、回転検出センサ159から検出信号が入力されたところで、当該駆動モータ150の駆動を停止する。これと同時に、シリンダ157を伸長させて回転停止部材158を制限位置に変位させ、位相合わせ用ギヤ155の回転を制限する。
【0075】
このように、位相合わせ用ギヤ155の回転が制限されれば、伝達軸154の回転も制限され、よって、駆動ピニオン21が所定の位置に停止する。このとき、駆動ピニオン21の停止角度を、上記実施形態と同様の停止角度に設定しておけば、上記実施形態と同様に、ラック64と駆動ピニオン21とを円滑に噛み合わせることができる。ただし、制御手段は、基板搬送体60が駆動ピニオン21に近づいたところで、回転停止部材158を退避位置に変位させるようにシリンダ157を制御することとなる。
【0076】
このように、上記した変形例によっても、基板搬送体60を円滑に真空チャンバ1内に搬入することができる。ただし、駆動モータと駆動ピニオンとの間に減速機が介在する場合には、ダイレクトドライブ式の駆動モータを採用した場合よりも、減速機に設けられたギヤ間の遊び分だけ精度が低下する。したがって、衝撃緩和の要請が強い場合には、ダイレクトドライブ式の駆動モータを採用することが望ましい。
【0077】
なお、上記実施形態においては、搬送チャンバ100と真空チャンバ1とで、同様の駆動モータを設けることとしたが、搬送チャンバと真空チャンバとで異なる駆動源を設けることとしてもよい。また、搬送チャンバにおいては、基板搬送体を移動させる手段として、必ずしもラックピニオン式の機構を採用する必要はない。つまり、基板搬送体に設けられるラックは、真空チャンバ内での基板搬送体の移動にのみ用いることとし、搬送チャンバ内での基板搬送体の移動は、まったく別の手段によって行うこととしてもよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、真空チャンバ1に設けられた各センサ25〜28の検出信号に基づいて駆動モータを制御することとした。しかしながら、上記実施形態のように、ダイレクトドライブ式の駆動モータのように、回転数や回転角度などを高精度に制御することができれば、駆動モータの回転数などに基づいて、当該駆動モータの駆動、停止、減速を制御しても構わない。
【0079】
また、上記実施形態においては、駆動モータ20の回転数および回転角度に基づいて駆動ピニオン21の位相を検出し、上記変形例においては、位相合わせ用ギヤ155の回転角度に基づいて駆動ピニオン21の位相を検出している。つまり、上記実施形態および変形例では、駆動ピニオン21の位相を間接的に検出することとした。しかしながら、駆動ピニオンの位相を検出するセンサを設けるなどして、直接的に駆動ピニオンの位相を検出するようにしても構わない。
【0080】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。