(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学監視システム(36)が、前記各領域(108、112)の画像(114)を前記構成要素(56)の3次元モデル上にマッピングするように構成されたコントローラ(46)を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシステム(10)。
前記光学監視システム(36)が、前記回転機械(18)のケーシング内の検査ポート(76)を介して前記回転機械(18)の内部と光学的に連絡するように構成されている、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシステム(10)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つ又はそれ以上の特定の実施形態を以下で説明する。これらの実施形態の説明を簡潔にする目的で、実際の実施形態の全ての特徴について本明細書で説明するとは限らない。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実装の開発において、システム及びビジネスに関連した制約への準拠など、実装毎に異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装時固有の決定を行う必要がある点は理解されたい。更に、このような開発の取り組みは、複雑で時間を要する可能性があるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な業務である点を理解されたい。
【0011】
本発明の種々の実施形態の要素を導入する際に、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素の1つ又はそれ以上が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的なものであり、記載した要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0012】
本明細書で開示される実施形態は、各タービン構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向することができる光学監視システムを提供することによってタービン構成要素のオンライン監視を強化することができる。1つの実施形態において、光学監視システムは、タービンの内部と光学的に連通するよう構成される。光学監視システムは、タービンが作動している間、タービンの内部の構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向するよう構成された光再配向装置を含む。光学監視システムはまた、光再配向装置と光学的に連通した検出器アレイを含む。検出器アレイは、各領域の画像を取り込むよう構成されている。特定の実施形態において、光学監視システムは、回転軸の周りに光再配向装置を回転させるよう構成された回転機構を含む。このような実施形態において、光学監視システムは、光再配向装置を回転させることによって構成要素の異なる領域の画像を取り込むことができる。別の実施形態において、光学監視システムは、構成要素に対して光再配向装置を移動させるよう構成された並進機構を含む。このような実施形態は、光再配向装置が構成要素から離れて位置するときには拡張視野を提供し、構成要素に近接して位置するときにはより狭い視野を提供することができる。加えて、並進機構は、光再配向装置を観測ポートの内部に完全に格納して外面上への粒子蓄積を大幅に低減し、及び/又は光再配向装置を高温ガスストリームから取り外すよう構成することができる。その結果、光再配向装置の有効動作寿命を大幅に延長することができる。
【0013】
光学監視システムはまた、各領域の画像を構成要素の3次元モデルにマッピングするよう構成されたコントローラを含むことができる。表面マッピングした3次元モデルを観測することによって、オペレータは、画像の要素をタービン構成要素上の位置と容易に関連付けることができる。そのため、オペレータは、タービンブレード内で閉塞された冷却孔を識別し、タービン構成要素の残りの寿命を推定し、及び/又は望ましい検査間隔を決定することができる。結果として、タービンシステムの信頼性及び/又は可用性を有意に高めることができる。
【0014】
ここで各図面において、
図1は、タービン構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向し、各領域の画像を取り込むよう構成されたタービンシステムの1つの実施形態のブロック図である。以下ではタービンシステムを説明しているが、光学監視システムを利用して、例えば、圧縮機、ジェットエンジン、ポンプ、又は蒸気タービンなどの他の回転機械又はターボ機械内の構成要素を監視することができる点は理解されたい。図示のタービンシステム10は、燃料噴射器12、供給燃料源14、及び燃焼器16を含む。図示のように、供給燃料源14は、液体燃料及び/又は天然ガスなどのガス燃料をガスタービンシステム10に送り、燃料噴射器12を通じて燃焼器16に流入させる。以下で検討するように、燃料噴射器12は、燃料を噴射して加圧空気と混合するよう構成される。燃焼器16は、燃料空気混合気を点火して燃焼させ、次いで、高温の加圧ガスをタービン18に流す。理解されるように、タービン18は、固定ベーン又はブレードを有する1つ又はそれ以上のステータと、ステータに対して回転するブレードを有する1つ又はそれ以上のロータとを含む。高温のガスストリームは、タービンロータブレードを通過し、これによりタービンロータを回転駆動する。タービンロータとシャフト19との間の結合により、シャフト19の回転が生じることになり、該シャフトはまた、図示のようにガスタービンシステム10全体にわたり複数の構成部品に結合される。最終的に、ガスストリームは、排気出口20を介してガスタービンシステム10から出ることができる。
【0015】
圧縮機22は、ロータに堅固に装着されるブレードを含み、該ロータは、シャフト19により回転駆動される。空気が回転ブレードを通過すると空気圧が増大し、これにより適正な燃焼のための十分な空気が燃焼器16に提供される。圧縮機22は、吸気口24を介してガスタービンシステム10に空気を吸い込むことができる。更に、シャフト19は、負荷26に結合することができ、該負荷には、シャフト19の回転によって動力を供給することができる。理解されるように、負荷26は、発電プラント又は外部の機械的負荷など、ガスタービンシステム10の回転出力の動力を用いることが可能な何らかの好適な装置とすることができる。例えば、負荷26は、発電機、航空機のプロペラ、その他を含むことができる。吸気口24は、低温吸気口などの好適な機構を介してガスタービンシステム10に空気30を引き込む。次いで、空気30は、燃焼器16に加圧空気32を提供する圧縮機22のブレードを通って流れる。詳細には、燃料噴射器12は、加圧空気32及び燃料14を燃料空気混合気34として燃焼器16に噴射することができる。或いは、加圧空気32及び燃料14は、混合及び燃焼用に燃焼器に直接噴射することができる。
【0016】
図示のように、タービンシステム10は、タービン18に光学的に結合された光学監視システム36を含む。図示の実施形態において、光学監視システム36は、検出器アレイ40からタービン18に延びる光学的接続部38(例えば、ボアスコープ、内視鏡、ファイバースコープ、その他)を含む。以下で詳細に検討するように、光再配向装置(例えば、プリズム、ミラー、その他)は、光学的接続部38の端部に結合され、タービンが作動中の間にタービン18の内部の構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向するよう構成される。結果として、検出器アレイ40は、タービン構成要素の各領域の画像を取り込むことができる。例えば、図示の実施形態において、光学監視システム36は、回転機構42及び並進機構44を含む。回転機構42は、光再配向装置を回転させて構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向するよう構成される。加えて、並進機構44は、光再配向装置を構成要素と相対移動させ、視野を拡大するか、又は狭めるよう構成される。更に、並進機構44は、光学監視システム36が使用中でないときには、タービン18内の高温ガスストリームから離れて光再配向装置を移動させ、これにより光再配向装置の動作寿命を大幅に増大させるよう構成することができる。タービン構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向することによって、狭い視野を有する構成要素表面の大部分を監視し、これにより高空間分解能画像を生成することができる。その結果、オペレータは、閉鎖冷却孔、熱障壁コーティング(TBC)の欠損、及び/又はタービン構成要素内の亀裂など、タービン構成要素内の微小欠陥の識別を可能にすることができる。
【0017】
図示の実施形態において、検出器アレイ40は、コントローラ46に通信可能に結合される。特定の実施形態において、コントローラ46は、各領域の画像を構成要素の3次元モデル上にマッピングするよう構成される。例えば、コントローラ46は、構成要素の所望の領域に向けて光再配向装置を配向し、各所望の領域の結果として得られる画像を構成要素の3次元モデル上にマッピングするよう回転機構42に指示することができる。オペレータは、3次元モデル上にマッピングされた2次元画像を見ることができるので、タービン構成要素上の位置と画像の要素を容易に関連付けることができる。その結果として、オペレータは、タービンブレード内で閉塞された冷却孔を識別し、タービン構成要素の残りの寿命を推定し、及び/又は望ましい検査間隔を決定することができる。
【0018】
図2は、例示的なタービンセクションの断面図であり、光学監視システム36の1つの実施形態によって監視することができる種々のタービン構成要素を示している。図示のように、燃焼器16からの高温ガスストリーム48は、軸方向50及び/又は円周方向52でタービン18内に流れる。図示のタービン18は、少なくとも2つの段を含み、
図2には第1の2つの段が図示されている。他のタービン構成は、これよりも多い又は少ないタービン段を含むことができる。例えば、タービンは、1、2、3、4、5、6、又はそれ以上のタービン段を含むことができる。第1のタービン段は、タービン18の周りを円周方向52で実質的に等間隔に配置されたベーン54及びブレード56を含む。第1段ベーン54は、タービン18に堅固に装着され、燃焼ガスをブレード56に配向するよう構成される。第1段ブレード56は、ロータ58に装着され、ブレード56を流れる高温ガスストリーム48により回転駆動される。ロータ58はシャフト19に結合され、該シャフト19が圧縮機22及び負荷26を駆動する。次いで、高温ガス48は、第2段ベーン60及び第2段ブレード62を通って流れる。第2段ブレード62はまた、ロータ58に結合される。排出ガス48が各段を流れると、ガスからのエネルギーがロータ58の回転エネルギーに変換される。各タービン段を通過した後、排出ガス48が軸方向50でタービン18から流出する。
【0019】
図示の実施形態において、各第1段ベーン54は、半径方向66で端壁64から外向きに延びる。端壁64は、高温のガス48がロータ58に流入するのを阻止するよう構成される。同様の端壁が、第2段ベーン60及び後続の下流側ベーン(存在する場合)に隣接して存在することができる。同様に、各第1段ブレード56が、半径方向66でプラットフォーム68から外向きに延びる。理解されるように、プラットフォーム68は、ブレード56をロータ58に結合するシャンク70の一部である。シャンク70はまた、高温のガス48がロータ58に流入するのを阻止するよう構成されたシール又はエンジェルウィング72を含む。同様のプラットフォーム及びエンジェルウィングは、第2段ベーンブレード62及び後続の下流側ブレード(存在する場合)に隣接して存在することができる。更に、シュラウド74は、第1段ブレード56から外向きに半径方向に位置付けられる。シュラウド74は、ブレード56をバイパスする排出ガス48の量を最小限にするよう構成される。ガスバイパスは、バイパスガスからのエネルギーがブレード56により取り込まれて回転エネルギーに変換されることがないので、望ましいものではない。光学監視システム36の実施形態は、ガスタービンエンジン10のタービン18内での構成要素の監視に関して以下で説明しているが、光学監視システム36は、例えば、ジェットエンジン、蒸気タービン、又は圧縮機などの他の回転機械内の構成要素を監視するのに利用できる点は理解されたい。
【0020】
図示のように、光学的接続部38は、検査下流側ポート76を通ってタービン18の内部に延びている。理解されるように、検査ポートは、タービンが非作動状態である間にタービン構成要素の検査を容易にするような、タービンケーシングに沿った種々の位置に位置付けることができる。図示の実施形態では、光学監視システム36は、タービン18の作動中にタービン構成要素を監視し、オペレータ又は自動化システムがタービンの作動中の構成要素内の欠陥(例えば、閉塞冷却孔、TBCの欠損、亀裂形成、クリープ、その他)を検出できるように構成される。図示の実施形態は、第1段ブレード56に向けた単一の光学的接続部38を含むが、代替の実施形態は、より多くの光学的接続部38を含むことができる点に理解されたい。例えば、特定の実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上の光学的接続部38を利用して、各ブレード56の画像を検出器アレイ40に送ることができる。理解されるように、利用される光学的接続部38がより多いほど、監視できるブレード56の領域がより多くなる。更に、光学的接続部38は、例えば、ボアスコープ、内視鏡、ファイバースコープなどのイメージング光学システムを含むことができる。
【0021】
図示の実施形態では、光学的接続部38は第1段ブレード56に向けられているが、代替の実施形態では、光学的接続部38は他のタービン構成要素に向けることができる点を理解されたい。例えば、1つ又はそれ以上の光学的接続部38は、第1段ベーン54、第2段ベーン60、第2段ブレード62、端壁64、プラットフォーム68、エンジェルウィング72、シュラウド74、又はタービン18内の他の構成要素に向けることができる。別の実施形態は、タービン18内の複数の構成要素に向けられた光学的接続部38を含むことができる。第1段ブレード56と同様に、光学監視システム36は、各構成要素の異なる領域の画像を取り込み、これによりオペレータがタービン構成要素内の欠陥(例えば、過剰温度、亀裂、閉塞冷却孔、その他)を容易に識別できるようにすることができる。加えて、光学監視システム36は、圧縮機22の内部(例えば、ブレード、ベーン、その他)及び/又は燃焼器16の内部(例えば、ライナ、燃料ノズル、その他)内の構成要素を監視するよう構成することができる。
【0022】
上記で検討したように、光学的接続部は、タービン18からの画像を検出器アレイ40に送ることができる。検出器アレイ40は、ある時間期間にわたって複数の画像を取り込むよう構成することができる。理解されるように、上述の第1段ブレード56のような特定のタービン構成要素は、タービン18の円周方向52に沿って高速で回転することができる。その結果として、このような構成要素の画像を取り込むために、検出器アレイ40は、各構成要素の高空間分解能の画像をコントローラ46に提供するのに十分な積分時間で動作するよう構成することができる。例えば、特定の実施形態において検出器アレイ40は、タービン構成要素の画像を示す信号を約10、5、3、2、1、又は0.5マイクロ秒、又はそれ未満の短い積分時間で出力するよう構成することができる。複数の光学的接続部を利用する実施形態において、光学的接続部38は、検出器アレイ40内のマルチプレクサに結合され、各観測点からの画像の監視を可能にすることができる。理解されるように、各光学的接続部38からの画像は、空間、時間、又は波長的に多重化することができる。例えば、マルチプレクサが画像を空間多重するよう構成されている場合、各画像は、検出器アレイ40内の画像検知装置(例えば、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、焦点面アレイ(FPA)、その他)の異なる部分に投影することができる。この構成において、例えば、第1の光学的接続部からの画像は、画像検知装置の上部に配向することができ、第2の光学的接続部からの画像は、画像検知装置の中心部に配向することができ、第3の光学的接続部からの画像は、画像検知装置の下部に配向することができる。結果として、画像検知装置は、3分の1の解像度で各画像をスキャンすることができる。換言すると、スキャン解像度は、空間多重信号の数に反比例する。理解されるように、より低い解像度スキャンは、より高い解像度スキャンに比べ、コントローラ46に提供するタービン構成要素についての情報がより少なくなる。従って、空間多重信号の数は、最低要求解像度によって制限される場合がある。
【0023】
或いは、複数の光学的接続部によって提供される画像は、時間的に多重化することもできる。例えば、検出器アレイ40は、画像検知装置の全解像度を用いて各光学的接続部38からの画像を交互にスキャンすることができる。この技術を用いると、画像検知装置の最大解像度を利用できるが、スキャン周波数は、スキャンした観測点の数に対して比例的に低下する可能性がある。例えば、2つの観測点がスキャンされ、画像検知装置の周波数が100Hzであった場合、検出器アレイ40は、各観測点からの画像を50Hzでしかスキャンすることができない。従って、時間多重信号の数は、要求スキャン周波数によって制限される場合がある。
【0024】
加えて、複数の光学的接続部によって提供される画像は、波長多重化することができる。例えば、第1の光学的接続部からの画像は、第1の狭波長帯域内のスペクトル情報を含むことができ、第2の光学的接続部からの画像は、第1の狭波長帯域とは異なる第2の狭波長帯域内のスペクトル情報を含むことができる。このような構成において、マルチスペクトル検出器アレイ40は、画像検知装置の全解像度を用いて両方の画像を同時にスキャンすることができる。理解されるように、異なる波長帯域を有するタービン構成要素の2つの画像を受け取ることにより、光学監視システム36が高温ガスストリーム48からの干渉をフィルタリングすることができ、これによりコントローラ46が構成要素によって放出される放射線を正確に測定できるようにすることができる。この技術を用いると、画像検知装置の最大解像度を利用することができるが、信号強度は、スキャンされる波長範囲の数に比例的に低下する可能性がある。換言すると、信号強度は、波長範囲の数に反比例する。従って、波長範囲の数は、検出器アレイの感度によって制限される可能性がある。
【0025】
特定の実施形態において、光学監視システム36は、構成要素によって放出される放射線の強度に基づき、タービン構成要素の温度を決定するよう構成することができる。例えば、ブレード56は、ブレードの温度が高くなると、広範囲な波長にわたり放射線を放出することになる。加えて、水蒸気及び二酸化炭素などの特定の燃焼生成種は、温度上昇に反応して広範囲な波長にわたり放射線を吸収及び放出する。結果として、ガスタービンエンジン10の作動中に、ブレード56により放出される波長のごく一部だけが正確な強度測定のために十分な強度と無視できる干渉で光学監視システム36に到達する。その結果として、光学監視システム36は、ブレード56の温度を求めるのに有意な吸収又は干渉がなく高温ガスストリーム48を通過する可能性が高い特定波長の強度を測定するよう構成することができる。例えば、可視スペクトルの赤色部分及び/又は近赤外スペクトル内の波長は、多の周波数範囲よりも吸収が少ない状態で高温ガスストリーム48を通過することができる。従って、特定の実施形態は、ブレード56の温度を求めるのにこのような周波数範囲を利用することができる。例えば、特定の光学監視システム36は、ブレード温度を求めるために、約0.5から1.4ミクロン、1.5から1.7ミクロン、及び/又は2.1から2.4ミクロンの範囲内の波長の強度を測定するよう構成することができる。しかしながら、代替の実施形態は、他の可視部分、赤外及び/又は紫外スペクトル内の電磁放射線の強度を測定することができる点を理解されたい。
【0026】
図示の実施形態において、光再配向装置78(例えば、プリズム、ミラー、その他)は、検出器アレイ40とは反対側にある光学的接続部の端部に結合される。光再配向装置78は、タービン構成要素(例えば、第1段ブレード56)の異なる領域に向けて視野を再配向するよう構成される。以下で詳細に検討するように、光再配向装置78は、各ブレード56の正圧面に向けて視野を配向することができる。ブレード56が円周方向52で回転すると、各ブレードは、視野を通過し、これにより光学監視システム36が正圧面の画像を取り込むことが可能となる。次いで、回転機構42は、各ブレード56の負圧面に向けて光再配向装置78を回転させることができる。ブレード56が円周方向52で回転すると、各ブレードは、視野を通過し、これにより光学監視システム36が負圧面の画像を取り込むことが可能となる。次いで、回転機構42は、各ブレード56の表面の大部分が監視されるように、ブレード56の他の領域に向けて光反射装置78を回転させることができる。各画像に関連する視野が狭いことに起因して、各ブレード56の表面全体にわたって微少欠陥(例えば、約500ミクロン又はそれ未満よりも小さい)を検出可能にすることができる。加えて、ブレード表面の大部分を覆う画像が取り込まれるので、画像をブレードの3次元モデルにマッピングし、表面欠陥のオンライン監視を強化することができる。
【0027】
上記で検討したように、光学監視システム36はまた、タービン構成要素(例えば、第1段ブレード56)に対して光再配向装置78を相対的に移動させるよう構成された並進機構44を含む。理解されるように、光再配向装置78を構成要素に近接して移動させると視野が狭くなり、光再配向装置78が構成要素から離れて移動すると視野が拡張することになる。結果として、視野は、構成要素から所望の距離まで光再配向装置78を移動させることにより、少なくとも部分的に調整することができる。加えて、並進機構44は、光学監視システム36が作動中でないときに、光再配向装置78を高温ガスストリーム48から離れて移動させるよう構成することができる。その結果、光再配向装置78及び/又は光学的接続部の有効動作寿命を大幅に延長することができる。
【0028】
図3は、回転軸の周りで視野を回転方向に再配向するよう構成された例示的な光再配向装置の概略図である。図示の実施形態において、光再配向装置78は、30度、60度、及び90度の角度を含む三角プリズムである。このタイプのプリズムは、Littrowプリズムとして説明することができる。図示のように、プリズム78は、方向82で軸線80の周りを回転し、これにより図示の第1段ブレード56のような、タービン構成要素の異なる領域に向けて視野を配向するよう構成される。図示の実施形態では、Littrowプリズム78は、第1の角度84及び第2の角度86を含む。第1の角度84は約60度であり、第2の角度86は約30度である。プリズム78はまた、第1の角84とは反対側の側部上に配置された反射コーティング88を含む。この構成において、角度92でプリズム78に入射する例示的な光線90は、
図3に示すようにプリズム78の表面により反射され、検出器アレイ40に入射することになる。上述のLittrowプリズムの幾何形状に基づき、角度92は約60度である。従って、プリズム78が回転すると、検出器アレイ40は、軸線80から約60度に位置付けられる領域の画像を取り込むことができる。更に、視野は、例示的な光線90に対して視野角94によって定めることができる。視野角94は、検出器アレイ構成及び/又はプリズム78と検出器アレイ40との間に位置付けられる光学系に基づいて変えることができる。例えば、視野角94は、0度よりも大きく且つ90度よりも小さくすることができる。特定の実施形態において、視野角94は、約0から90度、約0から60度、約0から45度、約0から30度、又は約0から15度の範囲にわたることができる。別の実施形態では、異なる幾何形状構成を有する部リズム78を利用して、例示的な光線90と回転軸80との間に異なる角度を提供することができる。加えて、上記ではプリズムが説明されたが、代替の実施形態では、例えば、ミラー又は角度付き光ガイドなどの他の光再配向装置を利用してもよい点は理解されたい。
【0029】
上記で検討したように、回転機構42(例えば、電気モータ)は、光学的接続部38に結合され、光再配向装置78を回転させてタービン構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向するよう構成される。同様に、並進機構44(例えば、電気モータ)は、光学的接続部38に結合され、構成要素に対して光再配向装置78を移動させるよう構成される。理解されるように、光再配向装置78とタービン構成要素との間の距離を調整することにより、検出器アレイ40に入射する光の焦点が影響を受ける。そのため、図示の実施形態は、光学的接続部38と検出器アレイ40との間に位置付けられる焦点調整機構96を含む。焦点調整機構96は、光再配向装置78とタービン構成要素との間の距離の変動を補正するよう焦点を自動的に調整するよう構成することができる。結果として、検出器アレイは、高空間分解能を有する画像を取り込み、これによりタービン構成要素内の微少欠陥(例えば、500ミクロン未満)の検出を可能にする。
【0030】
光学監視システム36はまた、タービンブレード56によって放出及び/又は反射された光を光学的接続部38上に合焦するよう構成された対物レンズを含むことができる。特定の実施形態において、対物レンズは、プリズム78の外面に隣接して位置付けられ、レンズが視野を広げ又は狭めるようにすることができる。或いは、対物レンズは、プリズム78と光学的接続部38との間に位置付けることができる。別の実施形態では、対物レンズは、プリズム78と一体化され、タービン構成要素からの光を合焦するための別個のレンズを排除することができる。
【0031】
上述のように、特定の実施形態は、例示的な光線90と回転軸80との間に異なる角度を提供するように異なる幾何形状構成を有するプリズム78を利用してもよい。例えば、図示の実施形態では三面体プリズムが利用されているが、代替の実施形態において4、5、6、又はそれ以上の面を有するプリズムを利用してもよい点を理解されたい。加えて、角度、反射コーティング、反射防止コーティングの種々の組み合わせを利用して、例示的な光線90と回転軸80との間に所望の角度を確立することができる点を理解されたい。代替の実施形態では、ミラーを利用して、例示的な光線90の所望の角度を確立することができる。例えば、ミラーは、光学的接続部38の端部に隣接して位置付けられ、タービンブレード56から光学的接続部に光を反射するような角度にすることができる。このような実施形態において、対物レンズは、ミラーとタービン構成要素との間、又は光学的接続部とミラーとの間に位置付けることができる。
【0032】
図示の実施形態において、光学的接続部は、内側コア97と外層99とを含む。内側コア97と外層99の両方は、光学的接続部38の光の通過を可能にするよう構成された光透過性材料(例えば、光ファイバー、光ガイド、その他)を含む。図示の実施形態において、外層99は、光源101からの光をプリズム78に伝送するよう構成され、内側コア97は、プリズム98からの光を検出器アレイ40に伝送するよう構成される。この構成において、光源101は、光をタービンブレード56上に投射し、検出器アレイ40がブレード56から反射された光の画像を取り込むようにすることができる。理解されるように、光源101は、所望の波長で放射線を放出するように構成されたあらゆる好適な装置(例えば、光発光ダイオード、アーク灯、ストロボ、その他)を含むことができる。例えば、光源101は、可視、赤外、又は紫外スペクトル内の光を放出するよう構成することができ、これは、検出器アレイ40の波長範囲に実質的に一致する。特定の実施形態において、光源101は、高周波のパルスを発生し、検出器アレイ40が回転しているタービンブレード56の高空間分解能の画像を取り込むことを可能にするように構成することができる。別の実施形態において、光源は、2次検査ポート76からタービン構成要素に向けて配向され、これにより光学的接続部38の外層99を排除することができる。代替の実施形態において、検出器アレイ40は、高温タービンブレード56から放出される放射線(例えば、赤外波長)を取り込むよう構成することができる。このような実施形態において、光源101及び外層99は省略してもよい。
【0033】
図4は、第1の位置及び第2の位置においてタービンブレードに向けて配向される例示的な光再配向装置の後方斜視図である。上記で検討したように、タービンブレード56は、円周方向52に回転するよう構成される。その結果として、光学監視システム36は、ブレードが回転すると各ブレードの異なる領域の画像を取り込むことができる。例えば、光学監視システム36は、ブレードが光再配向装置78に接近するときに各ブレードの第1の側面を取り込み、ブレードが光再配向装置78から離れて移動するときに各ブレードの第2の側面を取り込むことができる。図示の実施形態において、第1の視野98は、第1の位置100においてタービンブレード56に向けて配向され、第2の視野102は、第2の位置104においてタービンブレード56に向けて配向される。図示のように、第1の視野98は、ブレード56の負圧面106に向けて配向され、これにより光学監視システム36が負圧面106の第1の領域108の画像を取り込むことが可能になる。
【0034】
ブレード56は円周方向52に回転するので、光学監視システム36は、ブレードが第1の視野98に入ったときに各ブレード56の第1の領域108の画像を取り込むことができる。各ブレード56の第1の領域108の画像が取り込まれると、コントローラ46は、回転機構42に対し、第2のブレード位置104に向けて光再配向装置78を回転させるよう指示することができる。以下で詳細に検討するように、次に光学監視システム36は、ブレード56の異なる領域の画像を取り込むことができる。図示の実施形態では2つの視野が示されているが、追加の視野を利用して、例えば、先端及びプラットフォーム68などのブレード56の他の部分の画像を取り込むことができる点は理解されたい。加えて、光学監視システム36を利用して、他のタービン構成要素のなかでもとりわけ、シュラウド、エンジェルウィング、及びベーンなど、他のタービン構成要素の画像を取り込むことができる。
【0035】
図5は、
図4に示す例示的な光再配向装置の正面斜視図である。図示のように、第2の視野102は、ブレード56の正圧面110に向けて配向され、これにより光学監視システム36が正圧面110の第2の領域112の画像を取り込むことが可能になる。ブレード56は、円周方向52に回転するので、光学監視システム36は、ブレードが第2の視野102に入ったときに第2の領域112の画像を取り込むことができる。各ブレードの異なる領域に向けて視野を再配向することによって、ブレードの表面の大分部が高空間分解能で監視され、これによりブレード内の微少欠陥()の検出を可能にすることができる。加えて、各ブレードの表面の大部分を対象範囲とした画像が取り込まれると、画像は、ブレードの3次元モデルにマッピングされ、これによりブレード欠陥の検出を更に強化することができる。
【0036】
図6は、タービン構成要素の画像をタービン構成要素の3次元モデルにマッピングする例示的な技術を示す図である。2次元画像を3次元モデルに適用するプロセスは、2次元画像を3次元モデルの2次元投影にマッピングすることによる変換を決定する段階から始まる。図示の実施形態において、変換決定プロセスは、2次元画像上の複数の基準点を3次元モデルの2次元投影上の対応点と位置合わせし、この位置合わせに基づいて双1次変換を定める段階を含む。図示のように、タービンブレード56及びプラットフォーム68の2次元画像114の基準点は、監視される構成要素の3次元モデルの2次元投影116の対応点と整列される。図示の実施形態において、基準点は、プラットフォーム68のスラッシュ面118に沿って位置付けられる。しかしながら、代替の実施形態において、基準点は、タービン構成要素の他の領域内に位置付けることができる点は理解されたい。
【0037】
図示のように、2次元画像114は、プラットフォーム68の先端において第1のフラッシュ面118に沿って位置付けられる第1の基準点120と、プラットフォーム68の先端において第2のフラッシュ面118に沿って位置付けられる第2の基準点122と、プラットフォーム68の変曲部において第1のフラッシュ面118に沿って位置付けられる第3の基準点124と、プラットフォーム68の変曲部において第2のフラッシュ面118に沿って位置付けられる第4の基準点126と、を含む。双1次変換を定めるために、第1の基準点120は、2次元投影116上の第1の対応点128と整列することができ、第2の基準点122は、第2の対応点130と整列することができ、第3の基準点124は、第3の対応点132と整列することができ、第4の基準点126は、第4の対応点134と整列することができる。図示の実施形態では4つの点が整列されているが、代替の実施形態では、より多くの点を利用できることは理解されたい。例えば、特定の実施形態は、双1次変換の計算を容易にするために、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の点を含むことができる。
【0038】
2次元画像114上の各基準点及び3次元モデルの2次元投影116上の各対応点の2次元位置を測定することによって、双1次変換を計算することができる。理解されるように、双1次変換は、次式に基づいて算出することができる。
ここで、(x、y)は2次元画像114上の各点の座標、(u,v)は3次元モデルの2次元投影116上の各対応点の座標、並びにa
0、a
1、a
2、a
3、b
0、b
1、b
2、及びb
3は、双1次変換を定めるパラメータである。図示の実施形態は、2次元画像114の4つの基準点を3次元モデルの2次元投影116上の4つの対応点にマッピングしているので、上記の一組の式に基づいて合計で8つの式(各点につき2つずつ)が生成されることになる。その結果、8つの式は、双1次変換を定める8つのパラメータ(a
0、a
1、a
2、a
3、b
0、b
1、b
2、及びb
3)について解くことができる。4つよりも多い点が利用される場合には、最小二乗法を利用して8つのパラメータを求めることができる。
【0039】
双1次変換が計算されると、2次元画像114に変換を適用し、変換画像を定めることができる。例えば、2次元画像114上の各点(例えば、画素)の位置(例えば、(x、y)座標)は、上式により変換画像上の対応点の位置(例えば、(u,v)座標)に変換することができる。図示の実施形態では双1次変換を利用しているが、代替の実施形態では、2次元画像114を3次元モデルの2次元投影116上にマッピングするために他の変換(例えば、アフィン、プロクラステス、透視、多項式、その他)を利用することができる点は理解されたい。
【0040】
次いで、変換画像は、3次元モデルに適用され、複合モデル(例えば、マッピング面を有するモデル)を定めることができる。例えば、図示の実施形態は、逆透視変換を利用して変換画像を3次元モデルにマッピングすることができる。理解されるように、3次元モデルは、タービン構成要素の形状を定める一連の頂点(vertex)又はノードを含む。3次元モデルの2次元投影116内の各ノードの位置は、投影116の位置、向き、及び視野に基づいて計算することができる。変換画像の座標は、2次元投影部116の座標に実質的に一致するので、変換画像のノードは、逆透視変換により3次元モデルのノードと整列させることができる。次いで、変換画像は、3次元モデルにマッピングされ、これにより複合モデル定めることができる。理解されるように、逆直交投影などの他の変換を利用して、変換画像を2次元モデルに適用することができる。
【0041】
光学監視システム36は、タービン構成要素の表面の大部分を対象範囲とした画像を取り込むよう構成されるので、各画像が3次元モデルにマッピングされると、実質的に完全な複合モデルを生成することができる。完全な複合モデルは、オペレータが閉塞した冷却孔及び/又は他の異常を2次元画像の観測に比べてより迅速に識別できるようにすることができる。結果として、オペレータは、構成要素の残りの動作寿命を効率的に推定し、及び/又は所望の検査間隔を定めることができる。
【0042】
図7は、タービン構成要素の異なる領域の画像を取り込む例示的な方法136のフローチャートである。最初に、ブロック138で示されるように、タービンの作動中にタービン構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向する。例えば、光再配向装置が回転軸の周りを回転し、タービン構成要素の異なる領域に向けて視野を再配向することができる。加えて、光再配向装置は、タービン構成要素に対して並進し、これにより、例えばより狭い視野又はより広い視野を提供することができる。次に、ブロック140で示されるように、各領域の画像を取り込む。上記で検討したように、焦点調整機構を利用して、各画像を検出器アレイ上に自動的に合焦し、これにより光再配向装置とタービン構成要素との間の距離の変動を補正することができる。タービン構成要素の異なる領域に向けて狭視野を配向することにより、構成要素の表面の大部分を高空間分解能で監視することができる。結果として、閉塞冷却孔、亀裂、TBCの欠損、及び/又は他の欠陥など、構成要素内の微小(例えば、約500ミクロン未満)欠陥を検出することができる。
【0043】
ブロック142で示されるように、特定の実施形態において、各領域の画像は、タービン構成要素の3次元モデル上にマッピングされる。例えば、コントローラは、構成要素の所望の領域に向けて光再配向装置を配向するよう回転機構に指示し、各所望の領域の結果として得られる画像を構成要素の3次元モデルにマッピングすることができる。オペレータは、3次元モデル上にマッピングされた2次元画像を見ることができるので、画像の要素をタービン構成要素上の位置に容易に関連付けることができる。結果として、オペレータは、タービンブレード内の閉塞冷却孔を識別し、タービン構成要素の残りの寿命を推定して、及び/又は所望の検査間隔を決定することができる。
【0044】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。