特許第5993149号(P5993149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993149
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20160901BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20160901BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   B32B27/30 A
   B32B27/16
   E04F13/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-3033(P2012-3033)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-141789(P2013-141789A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋
(72)【発明者】
【氏名】中澤 繁
(72)【発明者】
【氏名】谷 信宏
(72)【発明者】
【氏名】小國 裕康
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−315272(JP,A)
【文献】 特開2005−119167(JP,A)
【文献】 特開2004−225456(JP,A)
【文献】 特開2008−080804(JP,A)
【文献】 特開2008−238444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
E04F 13/00−13/26
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、最下層、中間層、及び、電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化したトップコート層で構成される3層構造の積層体であって、各層が下記特徴を有する積層体。

トップコート層の前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールとを含有し、電離放射線硬化型樹脂組成物中の電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールの混合比率が80/20〜50/50(重量比)であり、
電離放射線硬化型樹脂が、重量平均分子量1000〜15000、平均官能基数2〜10である無黄変ウレタンアクリレートであり、且つ、前記アクリルポリオールのガラス転移温度(Tg)が80℃以上である。

中間層が、アクリルポリオール、ウレタン樹脂、及び、イソシアネート化合物を含有する組成物であって、該組成物中のアクリルポリオールとウレタン樹脂の混合比率が80/20〜50/50(重量比)である。

最下層が、アクリルポリオール、ウレタン樹脂、及び、イソシアネート化合物を含有する組成物であって、該組成物中のアクリルポリオールとウレタン樹脂の混合比率が40/60〜10/90(重量比)である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に、最下層、中間層、及び、電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化したトップコート層で構成される3層構造の積層体であって、各層の塗膜の硬度を変えることにより、耐傷性と耐衝撃性の相反する性能が両立できる内装用化粧シート向け積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅内装用途の化粧フィルムは、室内内装や収納家具との調和のための多種多様なデザイン・コーディネイトや、天然木枯渇の防御のための環境対応の利点があり、天然木からの置き換えが進み、大きな成長が見込める。
【0003】
一方で、天然木に対して化粧フィルムは、一般的に表面の耐傷性が不十分である。そのため、化粧フィルムのトップコート剤に求められる、鉛筆硬度、ホフマンスクラッチ、コインスクラッチのレベルアップが不可欠である。
【0004】
そして近年、化粧シートのトップコート剤は熱硬化樹脂から電離放射線硬化樹脂に移行しつつある。熱硬化樹脂はフィルムの加工性が良好であるが、耐傷性などの性能が必要とする塗膜の硬度が得られない傾向がある。一方で、電離放射線硬化樹脂単体で樹脂の架橋密度と塗膜の塗布量を上げ塗膜を形成すれば硬度は得られるが、フィルム加工性や施工後の耐衝撃性が著しく劣ってしまう。
更に、電離放射線硬化樹脂に熱硬化型樹脂を混合する手法も試みられているが、結果的に充分な表面硬度を得られないことが多かった。(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−117925号公報
【特許文献2】特開2002−028904号公報
【特許文献3】特開2005−119022号公報
【特許文献4】特開2006−076001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、基材上に、最下層、中間層、及び、電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化したトップコート層で構成される3層構造の積層体であって、各層の塗膜の硬度を変えることにより、耐傷性と耐衝撃性の相反する性能が両立できる内装用化粧シート向け積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、基材上に、最下層、中間層、及び、電離放射線硬化型樹脂組成物を硬化したトップコート層で構成される3層構造の積層体であって、前記電離放射線硬化型樹脂組成物が、電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールとを含有することを特徴とする積層体を見出し本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、基材の上に、最下層に比較的柔軟なプライマー層/中硬質の中間層/硬質のトップコート層の3層構造を有する積層体において、塗膜組成を原反に近いプライマー側から徐々に硬くしていき、耐傷性と耐衝撃性を両立すべく、そのトップコート層である電離放射線硬化型樹脂組成物が、電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールとを含有する積層体を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、耐傷性と耐衝撃性の相反する両方の性能を持ち合わせた床材(水平材)、面材(垂直材)、ドア材、枠材等の建築内装材に用いられる化粧シート用コート剤向け積層体を得ることができる。
【0010】
次に、本発明の積層体で使用する塗膜組成に関して説明する。
【0011】
本発明の積層体で使用する塗膜組成物は、基材の上に、最下層に基材との密着性を上げる比較的柔軟なプライマー層/中硬質の中間層/最も硬質のトップコート層の3層構造を有する積層体において、樹脂組成を原反に近いプライマー側から徐々に硬くしていき、且つ中間層とトップコート層の膜厚を自在に変える事で、耐傷性と耐衝撃性の相反する物性を両立させることに特徴を持つ。
【0012】
まず、3層の中でも最も硬質である事を要求されるトップコート層は、電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールの混合物で形成される。
【0013】
本発明の積層体における電離放射線硬化型樹脂組成物は、電子線、紫外線、あるいはγ線等の電離放射線等を照射して硬化させる。
紫外線で硬化させる場合、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。硬化の際の紫外線照射量は、好ましくは30〜1000mJ/cmである。照射量が30mJ/cm未満では硬化が十分ではなく、1000mJ/cmを超えると塗膜の黄変、熱による基材の損傷などが起こる可能性がある。
【0014】
電子線で硬化させる場合、公知の電子線照射装置を使用することができる。硬化の際の電子線照射量は、好ましくは10〜100kGyである。照射量が10kGy未満では硬化が十分ではなく、100kGyを超えると塗膜、基材の損傷などが起こる可能性がある。
【0015】
紫外線を照射して硬化させる場合には、必要に応じて、紫外線の照射によりラジカルや酸を発生する光(重合)開始剤を活性エネルギー線硬化性化合物100重量部に対して0.1〜20重量部程度添加することが好ましい。
【0016】
ラジカル発生型の光(重合)開始剤としては、ベンジル、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等の水素引き抜きタイプや、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルフェニルケトン等の光開裂タイプが挙げられる。これらの中から単独あるいは複数のものを組み合わせて使用することが出来る。
【0017】
本発明の積層体において、トップコート層で使用する電離放射線硬化型樹脂としては、重量平均分子量が1000〜15000の2〜10官能基を有するウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。分子量が1000未満ではウレタン(メタ)アクリレートの持つ柔軟性を充分発揮できない。また分子量が15000を超えると耐候性、耐汚染性等の特性が低下する。ウレタン(メタ)アクリレートは重量平均分子量が2000〜5000で、官能基数が3〜6が好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートのウレタン骨格部のジイソシアネートとしては、黄変タイプと無黄変タイプが存在する。耐久消費財として用いられるので無黄変タイプの脂肪族または脂環式ジイソシアネートが好ましく、例えばイソホロンジイソシアネート、2,2,4(2,4,4)トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,6ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0018】
本発明の積層体において、トップコート層で使用する熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が70℃〜150℃の範囲にあるインキおよび塗料に使用されている一般的な公知のアクリルポリオール樹脂が挙げられる。ガラス転移温度が70℃以下では耐傷性が低下する。ガラス転移温度は80〜105℃が望ましい。
【0019】
電離放射線硬化樹脂単体で耐傷性を上げるには樹脂の架橋密度と塗膜の塗布量を上げる方法が考えられるが、その場合、耐衝撃性が著しく低下してしまう。そこで電離放射線硬化樹脂と熱硬化型樹脂のブレンドによるハイブリット化で、電離放射線硬化樹脂単体の硬くて脆い塗膜から靭性を有する塗膜に改質すべく、電離放射線硬化樹脂と熱硬化型樹脂であるアクリルポリオールの混合比が、重量比率で80:20〜50:50であり、より好ましくは70:30〜60:40を含有する。
【0020】
まず、本発明の積層体の3層の中でも最も硬質である事を要求されるトップコート層が、電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオール樹脂の混合物であり、その含有量が重量%比で80:20〜50:50であり、より好ましくは70:30〜60:40を含有する。
【0021】
尚、前述の電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオール樹脂の混合物に硬化剤を用いることもできる。硬化剤として例えばイソシアネートを加えると、塗膜表面の耐亀裂性、耐汚染性、耐溶剤性がさらに向上する。使用可能なイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイシアネート(HDI)、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。なお、イソシアネートは上記イソシアネートの付加体又は多量体等であってもよい。その他、これらのイソシアネートをポリオールに付加した誘導体(アダクト体)の如きポリイソシアネートでもよい。また、前述の電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオール樹脂の混合物とイソシアネートとの重量固形分比は限定的でないが、電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオール樹脂の混合物100重量部に対して、イソシアネートは5〜40重量部であり、好ましくは10〜20重量部、より好ましくは10〜15重量部を含有する。
【0022】
尚、前述の電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールの混合物に塗膜表面の光沢調整のための艶消し剤を用いることもできる。艶消し剤として例えばシリカ、樹脂ビーズ、ガラスビーズが挙げられ、中でもシリカが好適である。また、前述の電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールの混合物とシリカとの重量固形分比は最終用途の化粧フィルムとしての要求光沢値によるので限定的でないが、電離放射線硬化型樹脂とアクリルポリオールの混合物100部に対し、シリカは5〜40重量部であり、好ましくは6〜25重量部、より好ましくは8〜16重量部を含有する。
【0023】
次に、トップコート層と最下層の間に位置し中硬質である中間層は、アクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の混合物で形成される。このアクリルポリオール樹脂は、前述のトップコート層に用いられるアクリルポリオール樹脂と共通のもので差支えない。
【0024】
中間層で用いるウレタン成分のポリオールとしては、限定的ではないが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートーポリオールなどが挙げられる。これらのポリオールの中でも耐候性、密着性、コストメリットのバランスを重視する場合はポリエステルオリオールが好ましい。
アクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の混合物が重量%比で80:20〜20:80であり、より好ましくは70:30〜30:70である。
【0025】
中間層となる塗膜組成物においては、硬化剤となるイソシアネートを含む事が必須である。このイソシアネートは、前述のトップコート層に用いられるイソシアネートと共通のもので差支えない。イソシアネートを添加する理由としては
トップコート層との密着性アップ、および耐溶剤性の向上のため必要である。
前述のアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の混合物100重量部に対し、イソシアネートは10〜70重量部であり、より好ましくは20〜60重量部を含有する。
【0026】
トップコート層同様、艶消し剤として例えばシリカを加えると、塗膜表面の微妙な光沢調整が可能となる。前述のアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の混合物100重量部に対し、シリカは10〜30重量部であり、より好ましくは10〜25重量部を含有する。
【0027】
次に各種基材との密着性を向上させる目的で設ける最下層は、前述の中間層と同様、アクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の混合物で形成される。このアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂は共に前述の中間層の塗膜組成物で用いるアクリルポリオール樹脂及びウレタン樹脂と共通のもので差支えない。
最下層は基材に直接塗布する事となる比較的柔軟なプライマー層とすべくアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の含有量が重量%比で50:50〜10:90であり、好ましくは40:60〜30:70である。
【0028】
最下層となる塗膜組成物においては、中間層と同様、硬化剤となるイソシアネートを含む事が必須である。このイソシアネートは、前述のトップコート層や中間層に用いられるイソシアネートと共通のもので差支えない。
前述のアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の混合物100重量部に対し、イソシアネートは10〜70重量部であり、より好ましくは20〜60重量部を含有する。
【0029】
トップコート層及び中間層と同様、艶消し剤として例えばシリカを加えると塗膜表面の微妙な光沢調整が可能となる。前述のアクリルポリオール樹脂とウレタン樹脂の混合物100重量部に対し、シリカは5〜40重量部であり、より好ましくは10〜25重量部を含有する。
【0030】
このようにして得られる本発明の積層体に、さらに必要に応じて、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、各種の機能を付与するため、着色剤、体質顔料、シリコーン、滑剤、可塑剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カップリング剤、界面活性剤、有機溶剤及びキレート剤、無機フィラー、有機フィラーなどの添加剤を添加することができる。
【0031】
本発明の積層体に用いる塗膜組成物の対象とする基材として特に限定は無く、例えば紙、金属、布、オレフィンフィルム、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ナイロン、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のフィルム又はシート、セロファン、アルミニウムフォイル、その他従来から使用されている各種基材を挙げることが出来る。
【0032】
本発明の積層体の塗膜組成物の塗布方法としては、オフセット印刷、フレキソ印刷、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、スピンナーコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等が挙げられるが、好ましいのはグラビアリバースコートである。
【実施例】
【0033】
次に実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは無い。
【0034】
(最下層/中間層/トップコート層 各層の調製)
<実施例1>
最下層はアクリルポリオール(大成ファインケミカル製 QT510−15ED Tg102℃ 水酸基価10、重量平均分子量65000)とポリエステル系ウレタン(DIC製バーノックL7−652)を固形分比40/60になるように混合し、更にイソシアネート(DICグラフィックス製FG700硬化剤)を固形分比で30%、シリカ(富士シリシア化学製 サイリシア350)を固形分比18%になるように添加したものを用いた。
中間層はアクリルポリオール(大成ファインケミカル製 QT510−15ED Tg102℃ 水酸基価10 重量平均分子量65000)とポリエステル系ウレタン(DIC製バーノックL7−652)を固形分比50/50になるように混合し、更にイソシアネート(DICグラフィックス製FG700硬化剤)を固形分比で30%、シリカ(富士シリシア化学製 サイリシア350)を固形分比18%になるように添加したものを用いた。
トップコート層はウレタンアクリレート(日本合成製 紫光UV7630B:重量平均分子量2200、官能基数6)とアクリルポリオール(大成ファインケミカル製アクリットQT510−15ED Tg102℃)を固形分比で70/30なるように混合し、更にイソシアネート(DICグラフィックス製FG700硬化剤)を固形分比で7.5%、シリカ(東ソーシリカ製 ニップジェルG−0105)を固形分比で8%添加したものを用いた。
【0035】
<実施例2>
最下層及び中間層は実施例1と同様とし、トップコート層はウレタンアクリレート(日本合成製 紫光UV7630B)とアクリルポリオール(大成ファインケミカル製アクリットQT510−15ED Tg102℃)を固形分比で70/30なるように混合したものを用いた。
【0036】
<比較例1>
トップコート層はウレタンアクリレート(日本合成製 紫光UV7630B)とアクリルポリオール(大成ファインケミカル製アクリットQT510−15ED Tg102℃)を固形分比で90/10なるように混合し、更にイソシアネート(DICグラフィックス製FG700硬化剤)を固形分比7.5%添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にして混合した。
【0037】
<比較例2>
トップコート層はウレタンアクリレート(日本合成製 紫光UV7630B)とアクリルポリオール(大成ファインケミカル製アクリット6AN−493 Tg70℃)を固形分比で70/30なるように混合し、更にイソシアネート(DICグラフィックス製FG700硬化剤)を固形分比7.5%添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にして混合した。
【0038】
<比較例3>
中間層はアクリルポリオール(大成ファインケミカル製 アクリットQT510−15ED)とポリエステル系ウレタン(DIC製 ノーバックL7−652)を固形分比で20/80になるように混合し、更にイソシアネート(DICグラフィックス製FG700硬化剤)を固形分比で30%、シリカ(富士シリシア化学製 サイリシア350)を固形分比18%になるように添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にして混合した。
【0039】
(積層体の塗工・乾燥)
実施例1,2及び比較例1〜3いずれも、コロナ処理されたオレフィンフィルムに、バーコーターで最下層プライマーを5g/m、中間層を8g/m、トップコートを13g/mで塗工した後、電子線(加速電圧125kv−50kGry)で硬化させ、60℃オーブンで24時間養生を行なった。作成した積層体フィルムを基材のMDF(中密度繊維板、木質パルプに接着剤(樹脂)を混ぜた熱圧成型板)に貼り合せて評価用化粧版を作成した。
【0040】
(評価方法1:鉛筆硬度)
鉛筆硬度試験機(東洋精機製)用いて、荷重750g、三菱鉛筆Hi−UNIを使用して評価を行ない、塗膜表面が裂けて白化した時の鉛筆の硬さを表記する。
【0041】
(価方法2:耐重量白化性)
ホフマンスクラッチ試験器(BYK Gardner製)を用いて、荷重300gから100gづつ重さを加えていき、塗膜表面が裂けて白化した時の荷重を表記する。
【0042】
(価方法3:コインスクラッチ性)
コインスクラッチ試験機を用いて、10円硬化を試験片に当てて、荷重5Kgから5Kgづつ重さを加えていき、塗膜表面に連続傷が発生するまで荷重を上げていき、連続傷が発生した時の荷重を表記する。
【0043】
(評価方法4:耐衝撃性)
デュポン衝撃試験機(東洋精機製)を用いて、1/2インチ衝撃圧子、荷重500g、高さ50cmから荷重を落とした時の塗膜の割れを目視観察する。N=5で試験を行ない、割れなかった回数を数える。
○:5回とも割れなかった
△:2〜3回割れなかった
×:5回全て割れた
【0044】
表1に実施例1、2及び比較例1、2に記載の化粧版シートの評価結果を示す。
【0045】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の積層体は、基材として紙、フィルム、プラスチック、布、金属等を用いた化粧ヒートとして好適に用いられる。この化粧シートは建築用床材や内装材、家具などの物品の表面等に用いられる。