特許第5993152号(P5993152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993152
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】長さ調節可能な船舶エンジン用タイバー
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/00 20060101AFI20160901BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20160901BHJP
   B63H 5/08 20060101ALI20160901BHJP
   F16B 7/06 20060101ALI20160901BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20160901BHJP
   B63H 20/02 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   B63H20/00 100
   B63H25/42 B
   B63H5/08
   F16B7/06 A
   F16J15/10 C
   B63H20/02 100
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-7474(P2012-7474)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2012-148767(P2012-148767A)
(43)【公開日】2012年8月9日
【審査請求日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】13/008,683
(32)【優先日】2011年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512013765
【氏名又は名称】マリーン カナダ アクイジション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Marine Canada Acquisition Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ジェームズ ダドラ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード タイラー レッドファーン
(72)【発明者】
【氏名】ノーム ディーン ダビッドソン
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0005824(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0086594(US,A1)
【文献】 米国特許第7207854(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/00−20/36,25/42
F16B 7/06
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶推進装置に連結可能である端部と、該端部から動作可能に延伸する外管と、前記端部に連結し、前記外管内に配置され、少なくとも部分的に前記外管に沿って延伸する第1ネジ部材とを有する第1部分組立体と、
更なる船舶推進装置と連結可能である端部と、該端部から延伸する内管とを有する第2部分組立体であって、前記内管は穴を有する管体を含み、前記内管は第2ネジ部材を含み、該第2ネジ部材は、前記管体の前記穴を囲む前記管体の部分内に嵌まって係合するように成形した第1部分を有し、前記外管内に摺動可能に配置可能であり、密封可能である第2部分を有し、前記第1ネジ部材と螺合するネジ切りした内側開口部を有し、前記端部間の離間距離を該部材により選択的に調節可能にする前記第2部分組立体と
を備える、タイバー。
【請求項2】
ボールジョイントが、前記タイバーの前記端部を前記船舶推進装置に連結する、請求項1に記載の組合せ
【請求項3】
二重ピンジョイントが、前記タイバーの前記端部を前記船舶推進装置に連結する、請求項1に記載の組合せ
【請求項4】
前記第2ネジ部材は、前記管体の一端に連結される雌雄型コネクタである、請求項1に記載のタイバー。
【請求項5】
前記第2ネジ部材の前記第1部分及び前記第2部分は外壁を有し、環状肩部が、前記第2ネジ部材の前記第1部分の前記外壁から前記第2ネジ部材の前記第2部分の前記外壁まで径方向外方に延伸し、前記肩部は、前記管体の内側端に当接するように成形される、請求項に記載のタイバー。
【請求項6】
前記第2ネジ部材の前記第2部分は環状溝を有し、第1環状シールが前記溝内に配置され、前記シールは前記外管に摺動可能且つ密封可能に当接する、
請求項に記載のタイバー。
【請求項7】
前記第2ネジ部材は環状溝を有し、第1環状シールが前記溝内に配置され、前記シールは前記外管に摺動可能且つ密封可能に当接するように位置決めされる、
請求項1に記載のタイバー。
【請求項8】
前記第2ネジ部材は、前記管体内に配置される第1端、前記管体から離間する第2端、及び、該第2ネジ部材の前記第2端から該第2ネジ部材の前記第1端に向かい延設する、一対の離間した、軸方向にオフセットした、横断方向に延設する細長い溝を有し、該溝は、前記第2ネジ部材を前記管体内に螺合可能に固定するように把持することができる突出部を形成する、請求項に記載のタイバー。
【請求項9】
前記管体は横断方向に延伸する通路を有し、前記第2ネジ部材の前記第1部分は環状溝を有し、該環状溝は、前記第2ネジ部材の前記第1部分が前記管体内に配置されると、該管体の前記通路と位置合わせし、前記タイバーは、前記通路に挿入可能であり、前記環状溝に部分的に挿入可能である保持ピンを更に含み、該保持ピンは、前記第2ネジ部材が前記管体に対して回転することを防ぐように位置決めされ、前記第2ネジ部材を所定の位置に固定するように働く、請求項1に記載のタイバー。
【請求項10】
前記外管及び前記内管は伸縮式であり、前記外管は前記内管を受容するように成形され、前記第1ネジ部材はネジ棒であり、前記タイバーは、前記外管と前記管体との間に少なくとも部分的に介挿して配置される第2環状シールを更に含む、
請求項に記載のタイバー。
【請求項11】
前記シールは、前記第1ネジ部材が水と接触するのを防ぎ、且つ制振器として前記船舶推進装置の振動から発生する前記タイバーの振動を軽減する役割を果たすように位置決めされる、請求項10に記載のタイバー。
【請求項12】
前記外管と前記管体との間に少なくとも部分的に介挿して配置される環状シールを更に含み、前記タイバーは、完全に収縮した位置から完全に伸長した位置まで変動でき、前記シールを、前記タイバーが前記完全に収縮した位置から前記完全に伸長した位置より手前までの範囲の何処かの位置にあると、前記外管によって隠れた状態になり、前記タイバーが前記完全に伸長した位置にあると、前記外管に対して露出するように配置し、前記シールにより、どの時点で前記タイバーが完全に伸長した位置になるかを示す、請求項に記載のタイバー。
【請求項13】
前記第1部分組立体の前記端部は穴を含み、前記第1ネジ部材を、前記穴内に部分的に配置し、前記端部に固定的に連結し、前記第1部分組立体は、前記第1ネジ部材に螺着するネジ切りした内穴を有する回り止めナットを更に含み、前記回り止めナットは、前記第1部分組立体の前記端部に当接するように配置され、前記回り止めナットは、前記外管と螺着するネジ切りした外壁を更に含む、請求項1に記載のタイバー。
【請求項14】
前記第1部分組立体の前記端部は、接着剤を介して前記第1ネジ部材に固定的に連結されている、請求項13に記載のタイバー。
【請求項15】
前記第2部分組立体の前記端部は穴を含み、前記第2部分組立体は連結部材を更に含み、該連結部材は、前記第2部分組立体の前記端部の前記穴内に部分的に配置されて、該穴に固定的に連結し、前記管体内に部分的に配置されて、前記管体に固定的に連結し、前記連結部材は、前記第2部分組立体の前記端部に、接着剤を介して固定的に連結し、且つ前記管体に、接着剤を介して固定的に連結する、請求項13に記載のタイバー。
【請求項16】
前記第1端部は前記外管に枢動可能に連結し、前記第2端部は前記管体に枢動可能に連結する、請求項1のタイバー。
【請求項17】
前記第1端部は前記外管に螺着し、前記第2端部は前記管体に螺着する、請求項1のタイバー。
【請求項18】
第1船舶推進装置、第2船舶推進装置及びタイバーの組合せであって、前記タイバーは:
前記第1船舶推進装置に連結される端部、該端部から動作可能に延伸する外管、及び、前記端部に連結され、前記外管内に配置されて該外管に沿って少なくとも部分的に延伸する第1ネジ部材を有する第1部分組立体と、
第2部分組立体であって、更なる船舶推進装置に連結可能な端部、該第2部分組立体の該端部から延伸する内管であって、穴を有する管体を含み、第2ネジ部材を含む、前記内管を有し、前記第2ネジ部材は、前記管体の前記穴を囲む前記管体の部分内に嵌まって係合するように成形した第1部分を有し、前記外管内に摺動可能に配置可能であり、密封可能である第2部分を有し、前記第1ネジ部材と螺合するネジ切りした内側開口部を有し、前記端部間の離間距離を該部材により選択的に調節可能にする前記第2部分組立体と
を備える、組合せ。
【請求項19】
前記船舶推進装置は船外機である、請求項18に記載の組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイバーに関する。特に、本発明は、長さ調節可能な船舶エンジン用タイバーに関する。
【背景技術】
【0002】
タイバーは、船外機同士を連結するもので、長さ調節可能なタイバーは、それ自体周知である。
【0003】
しかしながら、従来のタイバーでは、水や屑等を含む環境に比較的露出するネジ調節機構となる構造となってしまう。そのために、特に塩水条件下で、腐食、及び/又は摩耗、破断によって、タイバーの早期損傷を齎すことがある。
【0004】
こうした問題は、タイバーにかかる可能性がある比較的過酷で多様な力によって、悪化するかも知れない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明による幾つかの実施形態は、上記短所の幾つかを解消できるタイバーを提供する。本発明の目的は、改良したタイバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、第1部分組立体と第2部分組立体を有するタイバーを提供する。第1部分組立体は、推進装置に連結するように構成した端部と、該端部から延伸する第1管と、該端部に動作可能に連結し、第1管内に配置され、少なくとも部分的に第1管に沿って延伸するネジ部材とを含む。第2部分組立体は、更なる推進装置と連結するように構成した端部と、第2部分組立体の端部から延伸する第2管とを含む。第2部分組立体を、ネジ部材と螺合するように構成する。端部間の離間距離を該部材より選択的に調節可能にする。
【0007】
別の実施形態では、一対の推進装置に連結するように構成した一対の離間した端部を有するタイバーを設けてもよい。タイバーは、該一対の端部に動作可能に連結し、該一対の端部から延伸する一対の伸縮管を有する。ネジ部材を、管内に完全に配置する。ネジ部材を、第1端部付近で一方の管に固定的に連結する。ネジ部材は、第1端部から離隔した第2端部付近で他方の管に動作可能に螺合する。
【0008】
他の実施形態では、上記タイバーを推進装置と組合せて提供してもよい。
【0009】
本発明による特定の例示的な実施形態が、添付図を参照して、以下の説明から一層容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】複数の推進装置及び改良した操舵組立体を備えた船舶の上後面斜視図である。
図2】推進装置、及びタイバーを含む改良した操舵組立体の上前面斜視図である。
図3】改良した操舵組立体及び推進装置の別の斜視図である。
図4】改良した操舵組立体の中央の操舵用油圧アクチュエータの、部分的に分解した斜視図である。
図5】改良した操舵組立体の中央アクチュエータの、部分的に分解した、部分図である。
図6図2に示したタイバーの1本に関する組立分解等角図である。
図7図6に示したタイバーを完全に組立てて示した側面図であり、タイバーを伸長位置で示している。
図8】タイバーを完全に収縮位置にした、図7に示したタイバーの断面側面図である。
図9図7に示したタイバーの上面平面図であり、タイバーを中間位置で示している。
図10図9に示したタイバーの端面図である。
図11図10で示したタイバーの、図10の線11−11に沿った断面図であり、雄雌コネクタを示している。
図12図11に示したタイバーの拡大断面図であり、雄雌コネクタをより詳細に示している。
図13図9で示したタイバーの、図9の線13−13に沿った断面図である。
図14】タイバーを完全な伸長位置にした、図7で示したタイバーの側面断面図である。
図15】本発明の別の実施例によるタイバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照するが、まず図1について、同図では、3台の船外機12、14、16の形で複数の推進装置を備えた船舶20を示している。しかしながら、他の実施例では、船舶20には、適当な数の船内機及び/又は船外機を備えてもよい。2台のエンジンが見られるのが一般的で、娯楽用船舶では最大4台のエンジンが見られる。また、船舶20は、船舶20を操舵する操舵輪19を含む操舵室18を備える。操舵輪19は、油圧ポンプ(図示せず)に動作可能に接続されており、船舶を操舵するのに使用する油圧操舵組立体の一部である。
【0012】
図2で最も良く示すように、エンジン12、14、16を、部分的に示した船舶20の船尾22に取付ける。中央のエンジン14を、船尾22の中心に配設した凹部分に取付ける。他の実施形態では、凹んでいない船尾に組込むことができる。右舷エンジン12及び左舷エンジン16を、凹部24の外側で船尾22の両側に取付ける。中央のエンジン14をそれに応じて、右舷エンジン12と左舷エンジン16に対して上下にオフセットする。概して参照番号26で示した操舵組立体により、各エンジンを機械的に結合する。これにより、エンジンを同時に操舵できる。図3で更に良く示した操舵組立体26は、アクチュエータを互いに連結する部材、本実施例では隣接する操舵用アクチュエータを連結するタイバー34及び36と共に、複数の操舵用アクチュエータ28、30、32を含む。操舵用アクチュエータは、略同じ構造、及び略同じ機能を有する。
【0013】
図4では、中央の操舵用アクチュエータ30について更に詳細に示している。中央操舵用アクチュエータ30は、油圧シリンダ38を含み、ピストンロッド40を該シリンダ内で往復動自在に取付けて、ピストンロッド軸91に沿ってシリンダ38の相対運動を可能にする。シリンダは、シリンダ38の径方向外方に延伸する1対の離間したシリンダアーム42及び44を有する。枢動プレート46を、枢動ピン48及び50によってそれぞれ、各シリンダアーム42及び44に枢動可能に連結する。1対のネジ86及び88により、枢動ピン48及び50に対して圧縮力を作用させて、枢動ピンを所定の位置に維持する。枢動プレート46は、シリンダアーム42とシリンダアーム44の間に延在し、両シリンダアームは、枢動プレート周りに枢動できる。支持アーム52及び54は、ピストンロッド40の両端部で、図1図3で示した中央のエンジン14のチルト管(図示せず)のチルトロッド56に連結する。支持アーム52及び54により、船舶20に対するピストンロッド40の軸方向運動を制限する。また、支持アーム52及び54により、シリンダ38とピストンロッド40のチルト軸105周りの円弧運動を、ピストンロッド軸91をチルト軸105に平行に保ちながら、可能にする。
【0014】
油圧導管58及び60により、シリンダ38の両端部をヘルムポンプ(図示せず)に油圧的に連結する。ヘルムポンプから圧送する作動油により、シリンダ38を作動させて、当該技術分野で周知のように、ピストンロッド40に対して直線的に往復運動させる。特に、ピストンロッド40は、シリンダ38が船舶20に対して往復運動する間、図1で示した船舶20に対して軸方向に静止状態のままとなる。
【0015】
図2を参照すると、中央エンジン14の舵柄62の形をした操舵部材を、中央操舵用アクチュエータ30の枢動プレート46に、枢動可能に連結する。その結果、図4に示したシリンダ38の相対的な直線運動は、舵柄62に伝達される。これにより、舵柄62が操舵軸110周りに枢動して、中央エンジン14を操舵する。右舷エンジン12及び左舷エンジン16も同様な方法で、右舷側操舵用アクチュエータ28及び左舷側操舵用アクチュエータ32によって、操舵する。更に、何れか1つの操舵用アクチュエータによる運動を、タイバー34及び36によって、他の操舵用アクチュエータに伝達し、それによりエンジンを同時に操舵可能にする。これまで説明したように、操舵組立体26及び操舵用アクチュエータ28、30、32は、従来のものとする。
【0016】
しかしながら、図4に示したように、中央操舵用アクチュエータ30は、非対称なタイバー取付部64及び66を備える。タイバー取付部64及び66はそれぞれ、開口部68及び70を備える。開口部68及び70は、ピストンロッド軸91に略直交する方向に、軸方向に延設する。図2を参照すると、アクチュエータ28は、タイバー取付部67を有し、アクチュエータ32は、タイバー取付部69を有する。タイバー取付部64、66、67、69を略同じにし、タイバー取付部の1つ66について、図5で更に詳細に示す。タイバー取付部66は、第1部分72と、該第1部分72から、ピストンロッド軸91に対して上方向に角度的に延伸する第2部分74とを含む。この実施例では、タイバー取付部66の第1部分72は、略四辺形をしており、タイバー取付部66の第2部分74は、略非対称の準楕円形をしている。破線115は、タイバー取付部66の第1部分72と、タイバー取付部66の第2部分74との間の境界を表す。
【0017】
ボルト76の形をした連結部材で、タイバー取付部66を中央操舵用アクチュエータ30のシリンダ38に固定する。ボルト76は、ピストンロッド軸91に略垂直な方向に延伸し、シリンダ38の端部グランド80で溝78に係合できる。ボルト76により、グランド80は所定位置に維持され、油圧式操舵組立体の動作中に摩擦力や振動力に反応して、グランド80がシリンダ38から外れないようにする。
【0018】
この実施例では、ボルト82は、タイバー取付部66の開口部70とタイバー36のボールジョイント84を通して延伸する。ボルト82により、タイバー取付部66をタイバー36に連結し、該タイバー36を、略同様な方法で、図2で見られるように連結して、それにより中央操舵用アクチュエータ30を左舷側操舵用アクチュエータ32に連結できる。図5を参照すると、ボルト82は、ピストンロッド軸91と略直交する方向に延伸しており、それによりボルト82に沿って略水平軸111周りにタイバー36を枢動可能にするように、タイバー36を、タイバー取付部66と垂直面上に連結可能にする。ボールジョイント84で、タイバー取付部66とタイバー36とを連節する。連節することで、エンジン12、14、16を、船舶を操舵しながら前後に移動すると、タイバー36がその長手方向軸に沿って往復運動できる。図2で見られるように、中央操舵用アクチュエータ30を、タイバー取付部64、タイバー34、タイバー取付部67によって、同様な方法で右舷側操舵用アクチュエータ28に連結する。ボールジョイントを、一例としてのみ提供するが、他の種類のジョイントコネクタ、例えば、ユニバーサルジョイント、二重ピン部材、又は図15に示し、以下で更に記述するものと同様なジョイント等も、使用できる。
【0019】
図6図14では、タイバーについて示すが、この実施例では、タイバー36について更に詳細に示す。図6は、タイバー36の展開図で、タイバーの様々な構成要素を示しており、図7では、組立てた形でタイバーを示している。
【0020】
図6で最も良く示すように、タイバー36は、第1部分組立体114と第2部分組立体116を含む。第1部分組立体114は、端部92、この実施例ではネジ棒160とするネジ部材、回り止めナット168、この実施例では外管182とする第1管を含む。
【0021】
図8に示すように、端部92は、ボール104を内部に配置する球状凹部100の円形突出部96を含む。ボール104と球状凹部100との間に介挿する図8で示したブッシング101を用いて、ボール104を凹部100内で枢軸回転可能にする。ボール104は、ボルト(図示せず)を受容するように成形した凹部108を有する。図2及び図5で示したのと同様な方法で、端部92を、図3で見られるように、取付板71、従って操舵用アクチュエータ32と連節状態にする。図8に示したように、端部92は、円形突出部96と連結し、該円形突出部96から長尺部分156の端部159へと延伸する該長尺部分156と、端部159から、図8の視点から右方向に延伸するネジ穴158を有する。
【0022】
ネジ棒160は、この実施例では端部92のネジ穴158内に螺着させることによって、端部92に固定的に連結する第1端部162を有する。この連結を、ネジ棒及び端部のどちらか又は両方にトルクをかけて達成する。この螺合を、ネジ棒160を端部92に連結する第一保持手段と見なしてもよい。この実施例では、穴内に配置した上記ネジ切りの少なくとも一部分に沿って、この実施例ではLoctite243(登録商標)とする接着剤層165も設ける。接着剤は、ネジ棒160を端部92に連結する補助的な又は二次的な保持手段としての機能を果たす。任意の適当な接着剤を使用してもよい。ネジ棒160は、第1端部162と反対側の第2端部164に向かい延伸する。
【0023】
回り止めナット168は、端部92の端159と当接する第1端部172と、第1端部172から離隔した第2端部178とを有する。図11で示すように、この実施例の回り止めナット168は、複数のピンホール、この実施例では4個の離隔したピンホール179を有するが、該ピンホール179は、第2端部178から第1端部172に向けて内方に延伸し、回り止めナットにトルクをかけるためのものである。回り止めナットは、第1端部172から第2端部178に回り止めナットを通して延在するネジ切りした内側開口部180を含む。開口部180を、ネジ棒160を受容し、また、この実施例ではネジ棒160と螺合させるように成形する。この螺着を、ピンホール179に係合し、端部172が長尺部分156の端と当接するまで回り止めナット168にトルクをかけて、達成してもよい。図8に見られるように、この実施例の回り止めナット168はテーパ壁170を含み、該テーパ170は、回り止めナットが端部92から離れて、回り止めナットの第2端部178へ延伸するにつれて、ネジ棒160から外方に延在する。テーパ壁170により、長尺部分156と外管182との間のスムーズな遷移を提供する。
【0024】
回り止めナット168は、この実施例では、第2端部178から少なくとも部分的に第1端部172に向かい延伸するネジ切りした外壁174を有する。外壁174は、テーパ壁170に隣接する箇所に対して若干内側に入れる(inset)。環状肩部176は、外壁174からテーパ壁170へ径方向外側に延伸する。
【0025】
外管182は、第1端部184と、該第1端部と反対側の第2端部186と、第1端部から第2端部に延伸する円筒形をした内部188とを有する。この管は、第1端部184に、ネジ切りした内面175を含む。面175は、内部188と対向し、回り止めナット168の外壁174と螺合する。外管182は、第2端部186付近に、第2端部186から少なくとも部分的に第1端部184へ向かい外方に延伸するテーパ壁187を含む。ネジ棒160を、管182の内部188内に完全に配置し、この実施例では、管182と平行に延伸している。
【0026】
図6を再び参照すると、タイバーの第2部分組立体116は、端部90、連結部材124、この実施例では内管122とする第2管を備える。内管122は、この実施例では管体131である第1部品と、この実施例では更なるネジ部材、つまり雄雌コネクタ142である第2部品とを含む。
【0027】
端部90は、端部92と略同じであり、図8に示したように、円形突出部94、ボール102をその中に配置する球状凹部98、ボール102と凹部98との間に介挿するブッシング99を含む。ボール102は、図5で示したボルト82を受容するよう成形した凹部106を有する。端部90は、円形突出部94と連結し、該円形突出部94から長尺部分118の端部103へと延伸する該長尺部分118と、端部103から図8の視点から左方向に延伸するネジ穴120を有する。
【0028】
連結部材124は、この実施例ではネジ切りした第1筒状部分126を有する。部分126を、ネジ穴120内に配置可能で、ネジ穴120と螺合可能で、ネジ穴120に固定的に連結するように成形する。この連結を、連結部材124と端部90のどちらか又は両方にトルクをかけて達成する。この螺合を、連結部材124を端部90に連結する第一保持手段と見なしてもよい。この実施例では、穴内に配設した上記ネジ切りの少なくとも一部分に沿って、この実施例ではLoctite243(登録商標)とする接着剤層165も設ける。他の接着剤を使用してもよい。接着剤は、連結部材124を端部90に連結する補助的な又は二次的な保持手段としての機能を果たす。
【0029】
連結部材124は、第1筒状部分126に連結する第2筒状部分128を含む。 この実施例では、第2筒状部分128にもネジ切りし、第1筒状部分126に対して直径を大きくする。環状肩部130は、部分126と繋がり、そこから径方向外方に部分128へと延伸する。
【0030】
管体131は、第1端部123と、該第1端部の反対側の第2端部125と、内部137を有し、該内部137は、第1端部123から第2端部125に延設する穴134と、この実施例では、第2端部125から第1端部123に延設する更なる穴140を含む。管体131はその第1端部123に、この実施例ではネジ切りした内面136を含む。管体131は、内面136を介して、連結部材124の第2筒状部分128と螺合し、該第2筒状部分128に固定的に連結される。例えば、この螺着を、端部90と管体131のどちらか又は両方にトルクをかけて達成する。この螺合を第一保持手段と見なしてもよい。連結部材124をこのように配置することで、管体131の端123が、端部90の端103と当接可能になる。この実施例では、ネジ切りの少なくとも一部分に沿って、この実施例ではLoctite243(登録商標)とする接着剤層135も設け、これは、連結部材124を管体131に連結する補助的な又は二次的な保持手段としての機能を果たす。他の接着剤を使用してもよい。
【0031】
この実施例の管体131は、第1端部123に連結し、そこから図8の視点から右方向に、端部90から離れて外方に延伸するテーパ壁132を含む。テーパ壁132により、長尺部分118と管体131の外壁133との間のスムーズな遷移を提供する。管体131を有する内管122を、外管182内に配置可能となるように成形する。外管182のテーパ壁187により、管体131の外壁133と外管182の外壁185との間のスムーズな遷移を提供する。
【0032】
管体131は、端部123と125との間に介挿する環状溝138と、この実施例では該溝内に配置するOリング139とする環状シールとを有する。
【0033】
図12を参照すると、管体131は、第2端部125に隣接して位置する横断方向に延びる通路127を有する。通路127を、図13に示したように、管122の中心軸163に対して軸方向にオフセットする。
【0034】
内管122の第2部品、つまり雄雌コネクタ142についても、図12で最も良く示すが、雄雌コネクタ142は、第1端部153と、該第1端部153の反対側にある第2端部143と、第1端部から第2端部に延設するネジ切りした内穴154とを含む。ネジ切り穴154を、ネジ棒160を受容し、螺合するように成形する。雄雌コネクタ142は、第1端部153から第2端部143に向かい延伸する管体131と連結する第1部分150を含む。第1部分150を、管体131の穴140内に嵌合するように成形する。この実施例では、第1部分150は、穴140のネジ切りと螺合するようにネジ切りした外壁151を含む。この螺合を、管体131とコネクタ142とを互いに連結することにより、内管122に対する第一保持手段と見なすことができる。
【0035】
コネクタ142は第2部分155を含み、該第2部分155は、外管182内に摺動可能に配置でき、第2端部143から第1端部153に延伸するように成形する。環状肩部129は、部分150の外壁151から第2部分155の外壁157へと径方向外方に延伸する。部分155は環状溝146を含み、該溝146は、穴154に向かい径方向内方に延伸し、肩部129と端部143との間に配置する。溝146を、この実施例ではOリング148とする環状シールを受容するように成形し、該Oリング148を次に外管182と摺動可能且つ密封可能に当接するように配置する。第2部分155は、第2端部143から第1端部153に向かい延設する、一対の離間した、軸方向にオフセットした、横断方向に延設するL字型の長尺溝181及び183を含む。溝181及び183を有する端部143を、図6で最も良く示した少なくとも部分的に矩形突出部に形成して、レンチ等で把持できるようにすることも考えられる。
【0036】
コネクタ142は、端部153と肩部129との間の第1部分150に配設する環状溝152を更に含む。管体131の端部125とコネクタの肩部129が当接するように、雄雌コネクタ142を管体131内に完全に螺入すると、溝152が通路127と合致する。図6図12図13で示したように、保持ピン149を、管体131の開口部161から通路127に、また部分的に溝152内に挿入可能にする。ピン149をこのように位置決めすることで、コネクタ142が管体131に対して回転するのを防ぐため、コネクタを所定の位置に固定する役割を果たす。その結果、ピン149は、管体131とコネクタ142を互いに連結することにより、内管122に対する第2保持手段として機能する。
【0037】
運転中、図8及び図14を参照すると、タイバー36は、図8で示した完全に収縮したモードから、図14に示した完全に伸長したモードに、選択的に長さを調節可能である。タイバー36の長さを伸長するには、端部90と端部92の片方を、他方の端部を固定した状態に保ちながら、回転させてもよい。それにより、ネジ棒160をコネクタ142の穴154と螺合させ、ネジ棒(及び第1部分組立体114)を図8に対して右側に移動させる、及び/又はコネクタ142(及び第2部分組立体116)を図8に対して左側に移動させる。その結果、ユーザが管組立体114及び116の片方に対して他方の管組立体114及び116を回転させると、どちらに回転させるかに応じて、各組立体の中心間距離、別の言い方をすると、棒の端から端までの距離を増減するよう作用する。タイバーの長さは、図8の完全に収縮した位置でのボール102と104の中心間で延伸する長さLから、図14の完全に伸長した位置でのボール102と104の中心間で延伸する比較的大きな長さLまで変化できる。
【0038】
従って、管122及び182を伸縮自在にし、その結果タイバーを、管122及び182を用いて、ネジ棒160とコネクタ142から成るネジ機構を封入し、保護するように構成する。こうしたネジ機構の保護を、Oリング139と148を第1部分組立体と第2部分組立体との間に配置し、それにより管122と管182を互いに密封係合可能にすることで密封状態にして、強化できる。その結果、本明細書に開示したように、管を離隔した一対のシールと共に封入したタイバーにより、比較的広範囲に亘り、内部構成要素の損傷や腐食の原因となる水、屑等が内部188に入るのを防ぐ構造を提供する。従って、タイバーは、比較的より頑丈で、防水性、耐久性が高くなる可能性がある。
【0039】
Oリング139と148により、船舶やエンジンからの振動によってタイバーの様々な部品が振動するのを防ぐための制振器としての役割を果たす更なる機能を提供する。従って、Oリング139と148はそれにより、疲労応力等によって本来発生する摩耗や損傷を更に抑制するよう作用する。また、このように配置したOリング139と148は、タイバーを見た目に美しく、引き締まった印象にするかも知れない。
【0040】
Oリング139は、タイバーをもう伸長すべきでない限界を超えた際の標示としての役割を果たす機能を提供する。これについては、図14に最も良く示しており:ユーザはタイバー36を、外管182の端186とOリング139とが接し、合致する点まで、伸長してもよい。更に伸長可能かも知れないが、視認可能なOリング139の存在が、タイバーが推奨伸長限度にあり、それ以上伸長すべきでないというユーザへの視覚的な手掛かりとしての役割を果たす。
【0041】
当然ながら、多くの変更例が、本明細書に記載した本発明の範囲内で可能である。例えば、端部90、連結部材124、内管122を、変形例では、単一部品から構成してもよい。更なる変形例では、連結部材124は、例えば、端部90と内管122を直接互いに連結する、及び/又は単一部品として構成する必要はないかも知れない。
【0042】
端部92、回り止めナット168、外管182もまた、或いは単一部品で構成してもよい。或いは、端部92と外管182を互いに直接連結する、及び/又は単一部品から構成すると、回り止めナット168は不要になる。
【0043】
端部90と連結部材124と内管122との間、端部92とネジ棒160との間を固定的に連結する他の方法が多数存在することは、当業者であれば容易に理解できよう。例えば、螺合の代わりに、部品を圧入連結させるように構成することもできる。或いは、部品を連結するクロスピンを設けることもできる。上記変更例の何れかに対して、Loctite243(登録商標)等の接着剤、又は任意の他の適当な接着剤を、二次的な保持手段に更に提供することができる。しかしながら、接着剤自体は、何れの固定的な連結に対しても不要である。
【0044】
環状溝138及び146を、図1図15に記載した実施例では、内管122に配置する。しかしながら、変形例では、外管184が、内部188に対向する環状溝を有し、該溝内にOリングを配置してもよい。2個のOリング139と148について開示したが、変形例で、それほど好適でない態様のタイバーは、Oリング139と148の片方だけ用いて又はどちらも用いずに構成してもよい。
【0045】
上述したのと同様な別の実施形態について、図15で示す。図15では、既出の実施形態(例えば、図7)で示し、説明した幾つかの特徴を有する。第2実施形態について、タイバー236の内部の仕組みは、図1図14に記載した実施形態で示したものと同様なため、断面図で示さない。しかしながら、端部290及び292は、図1図14に記載した端部と比べて、図15に示した実施形態では僅かに異なっており、以下で詳しく追加説明する。
【0046】
図15を参照すると、タイバー236は、第1組立体214と第2組立体216を含む。第1組立体214には、回り止めナット268と長尺部分256を含む。長尺部分256を、端部292に、ヒンジ又は枢動ピン204で枢動可能に取着する。端部292は、図1図14の実施形態で示し、説明した凹部108と同様な機能を果たす凹部208を有する。
【0047】
第2組立体216は、長尺部分218に連結する内管222を含む。端部290を、ヒンジ又は枢動ピン202によって長尺部分218に連結する。そのため、2端部290と292は、長尺部分218及び256に対して、枢動又は動作できる。また、端部290は、上記で示し、説明した凹部106と同様の機能を果たす凹部206を含む。内管222は、外管282内で、図1図14の実施形態に対して上記で示し、説明した方法で、伸縮する。
【0048】
当業者は、以上説明した詳細の殆どについては、一例としてのみ示したもので、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に準拠して決められるということを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15