(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
腰回りのフィット性を高めるために、ズボン(スラックス、パンツ等)の身頃の上端部に帯状のウエストバンドを縫着する場合がある。
そのようなウエストバンドを縫着する身頃に対してベルトループを縫い付ける方法としては、ベルトループの上端部をウエストバンドの上縁部に閂止めで縫着し、ベルトループの下端部をウエストバンドの下縁部より下側に閂止めで縫着することが一般的である。
しかし、いわゆるクラシック仕様の場合には、
図33に示すように、ベルトループBの一端部B1は大きく上方に向かって折り返されて、身頃生地である布地CとウエストバンドWとの間に入り込んだ状態で縫い目K1により布地Cに縫着される。
【0003】
図34はベルトループBの縫着状態を示した説明図、
図35〜
図37は上記クラシック仕様のベルトループBを手作業で縫着する手順を示している。なお、これらの図では、ベルトループBの上端部が図の左側、下端部が右側を向いた状態で図示している。
まず、ベルトループBは一端部(布地CとウエストバンドWとの間に入り込んだ状態で縫着される端部)が布地Cに対して例えば閂止めミシンなどによって第一閂止めK1が施されることで縫着され(
図35)、同様に複数のベルトループBが幅方向に所定間隔を置いて縫着されたその上からウエストバンドWが重ねられ、ウエストバンドWの下縁部となる一方の端縁部に沿って直線縫いミシンなどにより縫い目K2が施され当該ウエストバンドWの縫い付けが行われる(
図36)。
そして、ウエストバンドWはその縫い付けが行われた縫い目K2に沿って上方に折り返される。さらに、ウエストバンドWの折り返された他方の端部は布地Cの裏側で図示しない縫い目によりその側縁部の縫い付けが行われる。
次いで、縫い目K2より下側(図右方)となる位置において、ベルトループBは布地Cに対し再び閂止めミシンなどによって第二閂止めK3が施され縫い付けられる(
図37)。さらに、このベルトループBの下端側(図右方側)が作業者の手作業などによりこの第二閂止めK3に沿って上方(図左方)に折り返され、その上方に折り返された側の端部を布地C側に更に折り返した状態で第三閂止めK4によりウエストバンドWに縫着される(
図34)。これにより、ベルトループBの縫着が完成する。
【0004】
一方、ベルトループBの縫着を特許文献1に示すような従来のベルトループ付けミシンで行う場合には、当該ベルトループBに対する閂止め縫製を連続して行う方が効率が良いので、
図38、
図39に示すように、先に布地Cに対するベルトループBの第一閂止めK1と第二閂止めK3とが不図示の縫製物搬送装置と閂止めミシンなどの協働により施される。そして、同様にベルトループBが幅方向に所定間隔を置いて複数縫着された後に、複数並ぶベルトループBの配列方向に対して平行にウエストバンドWを布地Cに縫着されたベルトループBの上に載置し、前記第二閂止めK3から所定距離Aの間隔を空けてウエストバンドW上に縫い目K2が形成され
て当該ウエストバンドWの縫い付けが行われる。そして、ウエストバンドWはその縫い付けが行われた縫い目K2に沿って上方に折り返され、ウエストバンドWの折り返された他方の端部は布地Cの裏側で図示しない縫い目によりその側縁部の縫い付けが行われる(
図37)。この後、このベルトループBの下端側(図右方側)が作業者の手作業などによりこの第二閂止めK3に沿って上方(図左方)に折り返され、その上方に折り返された側の端部を布地C側に更に折り返した状態で第三閂止めK4によりウエストバンドWに縫着される(
図34)。これにより、ベルトループBの縫着が完成する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係るベルトループ付けミシンの全体を示す斜視図である。
【
図2】ベルトループ付けミシンの制御系を示すブロック図である。
【
図4】クラシック仕様によるベルトループの縫着状態を生地平面に沿った方向から見た側面図である。
【
図5】クラシック仕様によるベルトループの縫着状態を生地平面のほぼ垂直方向から見た平面図である。
【
図6】セミクラシック仕様によるベルトループの縫着状態を生地平面に沿った方向からみた側面図である。
【
図7】ベルトループの縫着縫製におけるメインの設定画面の表示例である。
【
図8】縫着前のベルトループを引き延ばした状態の斜視図である。
【
図10】閂止めパラメータ設定画面の表示例である。
【
図11】ベルトループの縫着縫製における詳細なパラメータ選択画面の表示例である。
【
図12】位置決め用縫い目の形成の実行の選択画面の表示例である。
【
図13】位置決め用縫い目を形成する縫着縫製の設定画面の表示例である。
【
図14】位置決め用縫い目が形成された縫着前のベルトループを引き延ばした状態の斜視図である。
【
図15】セミクラシック仕様のベルトループの折り返し端部をウエストバンドと生地との間に挿入しない縫着縫製に関するメイン設定画面の表示例である。
【
図16】縫着前のベルトループの下端部側を折り返した状態の平面図である。
【
図17】セミクラシック仕様のベルトループの折り返し端部をウエストバンドと生地との間に挿入する縫着縫製に関するメイン設定画面の表示例である。
【
図18】縫着前のベルトループの下端部側を折り返した状態の平面図である。
【
図19】折り返し端部をウエストバンドと生地との間に挿入することを予定するクラシック仕様のベルトループの縫着縫製動作を示すフローチャートである。
【
図20】クラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図21】
図20に続くクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図22】
図21に続くクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図23】
図22に続くクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図24】
図23に続くクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図25】
図24に続くクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図26】
図25に続くクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図27】
図26に続くクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図28】セミクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図29】
図28に続くセミクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図30】
図29に続くセミクラシック仕様のベルトループの縫着縫製の動作説明図である。
【
図31】ベルトループ縫着後の生地にウエストバンドを縫い付ける際の側面視による動作説明図である。
【
図32】ベルトループ縫着後の生地にウエストバンドを縫い付ける際の平面視による動作説明図である。
【
図33】クラシック仕様のベルトループの縫着状態を示した斜視図である。
【
図34】クラシック仕様のベルトループの縫着状態を示した側面図である。
【
図35】クラシック仕様のベルトループの縫着工程を示した説明図である。
【
図36】
図35に続くクラシック仕様のベルトループの縫着工程を示した説明図である。
【
図37】
図36に続くクラシック仕様のベルトループの縫着工程を示した説明図である。
【
図38】従来のミシンによるクラシック仕様のベルトループの縫着状態を示した斜視図である。
【
図39】従来のミシンによるクラシック仕様のベルトループの縫着状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[縫製装置の概要]
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本実施の形態に係るベルトループ付けミシン10の全体を示す斜視図、
図2は制御系を示すブロック図、
図3は縫い針周辺の斜視図である。
ベルトループ付けミシン10は、縫い針11を上下動させる図示しない針上下動機構と、所定方向に向けられたベルトループBを挟持するループクランプ31を備えるクランプ機構30と、ベルトループBをクランプ機構30に供給するループ供給機構60と、ベルトループBの縫着が行われる布地Cが載置される載置台51と当該載置台51への下降動作によりベルトループBを押さえつけるループ押さえ52とを備えるループ押さえ機構50と、ベルトループBのループを緩める緩め部材66を備える緩め機構65と、布地Cを保持する布押さえ71を備える布押さえ機構70と、ミシンフレーム2と、図示しない釜機構と、上記各構成を制御する制御部としての制御手段80とを備えている。
なお、上記ループ押さえ機構50と布押さえ機構70とにより「保持手段」を構成している。
【0016】
[ミシンフレーム]
ミシンフレーム2は、釜機構を内蔵したミシンベッド部2aと、ミシンベッド部2aの一端部から立設した縦胴部2bと、針上下動機構を内蔵したミシンアーム部2cとを備えている。そして、ミシンアーム部2cはミシンベッド部2aと同じ方向に延出されている。
以下の説明において、水平であってミシンベッド部2a及びミシンアーム部2cの長手方向に平行な方向をY軸方向、水平であってY軸方向に直交する方向をX軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向とし、説明の必要に応じて、Y軸方向における一端部側であってミシンアーム部2cの面部側を「手前側」、Y軸方向における他端部側であって縦胴部2b側を「奥側」というものとする。
【0017】
[針上下動機構及び釜機構]
針上下動機構は、ミシンアーム部2cの手前側端部の内部で上下動可能に支持されると共に縫い針を下端部に保持する針棒と、針棒の上下動の駆動源となるミシンモータ13と、ミシンモータ13により回転駆動を行う主軸と、主軸の回転駆動を上下動に変換して針棒に伝えるクランク機構とから構成されており、周知のものと同様である。
釜機構は、いわゆる半回転釜を用いた釜機構であり、ミシンベッド部2aの手前側端部の内側であって針落ち位置下部において回転可能に支持された半回転釜と、主軸に設けられた偏心カムと、偏心カムを一端部で支持するクランクロッドと、クランクロッドの他端部に連結されたアーム部により往復回動が付与される釜軸と、釜軸に支持されたドライバとを備え、周知のものと同様である。
【0018】
[ループ供給機構]
ループ供給機構60は、クランプ機構30の手前側に配置されており、当該ループ供給機構60の手前側端部には、無端ベルト状の未切断ベルトループが取り込み口(図示略)を備えており、当該取り込み口から取り込まれた無端のベルトループを奥側に設けられた繰り出し口まで搬送する搬送ローラ61を回転駆動する繰り出しモータ62と、所定の長さで無端のベルトループを切断するカッタ63を駆動する切断用エアシリンダ64とを備えている。無端のベルトループが切り分けられてなる個々のベルトループBの長さは、繰り出しモータ62の駆動量を制御手段80が制御することにより決定される。
なお、クランプ機構30は、その手前側にベルトループBの図示しない受け取り口とX、Y軸方向への移動を行うための構成が設けられており、ループ供給機構60の繰り出し口に対して受け取り口が近接するよう移動を行い、ベルトループBの受け取りが行われる。
【0019】
[クランプ機構]
クランプ機構30は、ミシンフレーム2に対して右側に配置されている。以下の説明において、「右」というときには、X軸方向に平行な方向であって手前側(面部側)から奥側を向いた状態で見て右となる方向を示すものとし、単に「左」というときには、X軸方向に平行な方向であって手前側(面部側)から奥側を向いた状態で見て左となる方向を示すものとする。
クランプ機構30は、ベルトループBを挟持する上側クランプ31a及び下側クランプ31bからなるループクランプ31と、ループクランプ31を保持する保持ブロック32と、上側クランプに昇降動作を付与してベルトループBの挟持状態と解放状態とを切り換えるクランプ用エアシリンダ33と、保持ブロック32をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向について移動可能に支持する支持台34と、保持ブロック32を介してループクランプ31にX軸方向に沿った移動動作を付与する駆動源としてのクランプ用X軸モータ35と、保持ブロック32を介してループクランプ31にY軸方向に沿った移動動作を付与する駆動源としてのクランプ用Y軸モータ36と、保持ブロック32にZ軸方向に沿った移動動作を付与するクランプ用Z軸エアシリンダ37とを備えている。
【0020】
図3に示すように、ループクランプ31は、保持ブロック32の左端に設けられ、下側クランプ31bは保持ブロック32に固定装備され、上側クランプ31aは下側クランプ31bの真上において上下動可能に支持されている。また、上側クランプ31aはその先端部下面に凹状の保持部が形成されており、この保持部に嵌合するようにベルトループBの保持が行われる。ベルトループBは、保持部に嵌合保持されることにより、その長手方向をY軸方向に沿わせた状態で保持が行われる。
クランプ用エアシリンダ33は、保持ブロック32上に装備されており、そのプランジャの進退動作により上側クランプ31aの上昇解放動作と下降保持動作とを切り換えることを可能としている。なお、クランプ用エアシリンダ33によりベルトループBの保持圧は、ベルトループBがY軸方向に沿ったある程度の張力を受けると引き抜くことが可能な程度に調節されている。
【0021】
保持ブロック32は、例えば、X、Y、Z軸方向の各方向に沿った滑動を可能とするスライドガイドを組み合わせて支持台34に支持されており、これらの方向への移動を可能としている。そして、クランプ用X、Y軸モータ35,36及びクランプ用Z軸エアシリンダ37の協働により、X−Y平面に沿った任意の位置にループクランプ31を移動させることができ、例えば、ベルトループBの受け取り位置から縫製の実行位置への搬送や、ベルトループBの複数箇所に縫着縫製が行われる場合に各縫製間でのベルトループBのY軸方向に沿った移動動作の付与等が行われる。即ち、クランプ機構30は、「クランプ移動機構」として機能することとなる。
【0022】
また、保持ブロック32には、ループクランプ31に対してY軸方向に沿って隣接してフォーク部材38(
図3では図示略)が併設されている。
フォーク部材38は、X軸方向に沿って延出された基部の先端部(左端部)からさらに二本の棒状体が左方に延出されて二叉状に形成されており、当該二本の棒状体の間にベルトループBを通して基部をY軸回りに回転させることにより、ベルトループBの端部を折り返すことを可能としている。かかるフォーク部材38は、X軸方向に沿って進退移動可能に保持ブロック32に支持されており、前進時にループクランプ31と並ぶ位置となり、後退時にはループクランプ31より右方に退避するようにフォーク用エアシリンダ40によって進退動作が付与される。また、フォーク部材38のY軸回りの回転動作はロータリーアクチュエータ41により付与される。これらフォーク部材38、フォーク用エアシリンダ40、ロータリーアクチュエータ41は「折曲機構」を構成している。
【0023】
[緩め機構]
緩め機構65は、ミシンベッド部2a上に設置されたベース65aと、ベース65aからY軸方向に進退移動する送り軸65bと、送り軸65bの先端部に保持された移動ベース65cと、緩め部材66とを備える。緩め部材66は移動ベース65cの右端部にZ軸回りの所定角度範囲で回動可能に取り付けられている。ベース65aに緩めモータ68が搭載されており、緩めモータ68の作動により、送り軸65bがその軸方向、すなわち、Y軸方向に進退移動し、これに伴い送り軸65bに支持された移動ベース65c及び緩め部材66がY軸方向に進退移動する。移動ベース65cに、緩め部材用エアシリンダ67が搭載されており、緩め部材用エアシリンダ67の作動により、緩め部材66がZ軸回りの所定角度範囲で回動する。緩め部材66がその回動により、ベルトループBから離れた待機領域と、ベルトループBに接触し押し込んでベルトループBを緩める作業領域とに亘って動作可能である。
また、緩めモータ68によりY軸方向への移動動作を付与されると、ベルトループの長手方向への緩め量が制御されるようになっている。
【0024】
[ループ押さえ機構]
ループ押さえ機構50の載置台51は、ミシンベッド部2aの上部にX軸方向及びY軸方向に移動可能に支持されている。そして、載置台51の上面はX−Y平面に平行な水平面であり、縫製時には布地Cが載置される。また、載置台51は、針棒12の真下に位置し、針落ち位置には縫い針11が挿入される針穴が形成されている。
そして、ループ押さえ機構50は、載置台51をX軸方向に任意に移動させる駆動源としての生地用X軸モータ53と、載置台51をY軸方向に任意に移動させる駆動源としての生地用Y軸モータ54とを備えており、これら各モータ53,54はいずれもパルスモータであり、各々の出力軸にはエンコーダ55,56が装備されている。生地用X軸モータ53及びY軸モータ54は、毎針の針落ちに同期して、縫製パターンに定められた所定の針落ち位置に針落ちが行われるようにベルトループB及び布地Cの位置決めを行うために、各エンコーダ55,56の出力に基づくフィードバック制御が行われる。
また、生地用X軸モータ53は、制御手段80により、針上下動機構のミシンモータ13と共に制御され、ベルトループBの幅方向に沿って閂止めの縫製を行う。
【0025】
また、載置台51の奥側の端部には、ループ押さえ52を上下動可能に支持する昇降フレーム58が立設されており、載置台51とループ押さえ52とは、X軸及びY軸方向について、一体的に移動を行うこととなる。また、ループ押さえ52の昇降は、ループ押さえ用エアシリンダ57により行われ、下降によりベルトループB及び布地Cを上方から下方に押圧保持し、上昇によりベルトループB及び布地Cを解放する。
ループ押さえ52は、その下部には一般的なベルトループBの幅より若干幅の広い略矩形状の枠体52aを備えている。ベルトループ付けミシン10では、ベルトループBの縫着縫製において、ベルトループBの幅方向に沿った縫いが一乃至複数回実施されるので、ループ押さえ52の枠体52aは、ベルトループBの幅方向に沿った一回分の縫いが網羅できる大きさに設定されている。
ループ押さえ機構50は、上記構成により、載置台51上でループ押さえ52が保持したベルトループB及び布地CをX−Y平面に沿った任意の位置に移動位置決めすることができ、「第一の移動機構」として機能することとなる。
【0026】
[布押さえ機構]
布押さえ機構70の布押さえ71は、平面視略C字状の枠体であり、載置台51より小さく、ループ押さえ52の枠体52aよりも大きく設定されている。この布押さえ71は、載置台51の上面においてループ押さえ52の枠体52aの周囲を囲むように配置されているが、載置台51とは別に支持体72によってミシンベッド部2aにY軸方向に沿って移動可能且つ昇降可能に支持されている。布押さえ71の昇降動作は、布押さえ用エアシリンダ73により行われ、下降により布地Cを上方から下方に押圧保持し、上昇により布地Cを解放する。
また、布押さえ71のY軸方向移動は、第二の生地用Y軸モータ74を駆動源として行われる。この第二の生地用Y軸モータ74は、パルスモータであり、布押さえ71による布地CのY軸方向移動量は任意に制御することが可能である。
布押さえ機構70は、上記構成により、載置台51上で布押さえ71が保持した布地CをベルトループBの向けられた方向(Y軸方向)に沿った任意の位置に移動位置決めすることができ、「第二の移動機構」として機能することとなる。また、前述した第二の生地用Y軸モータ74は「布送りモータ」として機能することとなる。
【0027】
[ベルトループ付けミシンの制御系]
制御手段80は、各種の処理及び制御を行うCPU81と、ベルトループ付けミシン10の動作制御を実行する動作制御プログラム及び設定情報が書き込まれているROM82と、CPU81の処理において各種データを格納するワークエリアとしてのRAM83と、各種の設定データを記録するEEPROM84(登録商標)とを備えている。
また、制御手段80は、各種の制御対象及びエンコーダ55,56とCPU81とを接続するためのI/Oインターフェイス85を備えている。即ち、かかるI/Oインターフェイス85を介してミシンモータ13,クランプ用エアシリンダ33,クランプ用X軸モータ35,クランプ用Y軸モータ36,クランプ用Z軸エアシリンダ37,ロータリーアクチュエータ41,フォーク用エアシリンダ40,緩めエアシリンダ67,緩めモータ68,布押さえ用エアシリンダ73,第二の生地用Y軸モータ74,切断用エアシリンダ64,繰り出しモータ62,生地用X軸モータ53,生地用Y軸モータ54,ループ押さえ用エアシリンダ57,エンコーダ55及び56がCPU81に接続される。なお、各エアシリンダ33,37,40,42,57,64,73は、いずれも当該各エアシリンダに対する吸排気を行う図示しない電磁バルブを介してその作動が制御されている。
【0028】
また、上述したように、制御手段80には、各種の設定を入力するためのタッチパネル87と設定情報の表示を行う表示パネル88を備える操作手段86と、縫製の開始を入力するスタートスイッチ89とがI/Oインターフェイス85を介して接続されている。
【0029】
ベルトループ付けミシン10では、ベルトループBの縫着の形状として、両端部を互いに内側に折り返す最も基本形状の他に、端部を折り返さずに延ばしたままとする縫着形状、ベルトループBの一端部を略Z字状に折りたたんで縫いつける縫着形状等によって縫着縫製を行う。
ベルトループBの一端部は、当該一端部近傍にその幅方向に沿って閂縫いを行い、ループクランプ31によりベルトループBをその一端部側に移動することにより、当該閂縫いの縫い目を折り目として折り返すことができる。また、ベルトループBの他端部は、当該他端部を二叉状のフォーク部材38の間に介挿し、当該フォーク部材38を半回転させることで折り返すことが可能である。
また、ベルトループBの一端部は、閂縫い後のループクランプ31による折り返し動作を二回繰り返すことでZ字状に折り畳むことが可能である。
また、ベルトループBのループに余裕を持たせる場合には、ベルトループBの一端部を縫着後、緩め部材66をベルトループBの一端部と他端部との間に介挿させて他端部を縫着することで実現可能である。
【0030】
さらに、ベルトループBは、
図4及び
図5に示すように、その下端部(着衣時において下側となる端部)を上方に向けて大きく折り返すと共に折り返された先端部に第一閂止めK1を施し、折り返し位置に第二閂止めK3を施し、その上端部に第三閂止めK4を施して布地Cに縫着を行うクラシック仕様の縫着方法がある。
また、
図6に示すように、ベルトループBの折り返された先端部に第一閂止めK1を施し、折り返し位置に折り返された上から第二閂止めK3を施し、その上端部に第三閂止めK4を施して布地Cに縫着を行うセミクラシック仕様の縫着方法もある。
クラシック仕様の縫着の場合には、第二閂止めK3を施してからベルトループBを折り返すので、第二閂止めK3の縫い目はループの内側となる。一方、セミクラシック仕様の縫着の場合には、ベルトループBを折り返してからその上に第二閂止めK3を施すので、第二閂止めK3の縫い目はループの外側となる点が相違する。
上記クラシック仕様及びセミクラシック仕様のベルトループBは、その折り返し端部の先端近傍に施される第一閂止めK1がズボン(スラックスやパンツ)のタックの端止めやポケットの端止め等の機能を兼ねることが多い。
なお、このベルトループ付けミシン10では、セミクラシック仕様の縫着縫製を行う場合には、装置の構造上の理由から、ベルトループBの折り返し位置において折り返し用の縫い目K6を形成する必要があり、当該縫い目K6を折り目として折り返した後にその上から第二閂止めK3を施している。
【0031】
また、ズボンの身頃生地である布地Cには、
図4〜
図6に示すように、その上縁部に沿って帯状のウエストバンドWを縫い付ける場合がある。ウエストバンドWの縫い付けを予定する布地Cに対して上述したクラシック仕様又はセミクラシック仕様で縫着する場合には、当該ベルトループBの折り返し端部を布地CとウエストバンドWの間に挿入しないで布地Cに直接縫着する場合と折り返し端部を挿入してベルトループBの縫い付けを行う場合とがある。
【0032】
上記クラシック仕様又はセミクラシック仕様のベルトループBについて、その折り返し端部を布地CとウエストバンドWの間に挿入しないで布地Cに縫着する場合には、布地CにウエストバンドWを縫い付けた後に第一〜第三閂止めK1,K3,K4を施す(セミクラシック仕様の場合には折り返し用の縫い目K6の形成も行う)ことで完了する。
【0033】
一方、ベルトループBの折り返し端部を布地CとウエストバンドWの間に挿入して布地Cに縫着する場合には、ベルトループBの第一及び第二閂止めK1,K3を布地Cの表側の面に縫着した後に(セミクラシック仕様の場合には折り返し用の縫い目K6の形成も行う)、ウエストバンドWの表側下縁部を閂止めK1,K3と平行に縫い目K2により縫い付けを行い、その後、各ベルトループBの上端部を第三の閂止めK4により縫着することで完了する。なお、ベルトループBを複数縫着する場合には全てのベルトループBについての第一及び第二閂止めK1,K3の縫着後、ウエストバンドWの縫い付けが行われる。
このように、ベルトループBの縫着作業の途中にウエストバンドWの縫い付け作業が介在するので、このベルトループ付けミシン10では、第一閂止めK1及び第二閂止めK3の形成のみを実施し(セミクラシック仕様の場合には折り返し用の縫い目K6も)、ウエストバンドWの縫い付けと第三閂止めK4はそれぞれを別のミシンで行う。
【0034】
そして、ベルトループBの折り返し端部を布地CとウエストバンドWの間に挿入して布地Cに縫着する仕様により縫製作業を行う場合には、ベルトループBの第二閂止めK3からウエストバンドWを縫い付ける縫い目K2までの長さAについて高い精度が要求される。この精度が低いとウエストバンドWが複数ある場合に、各々の下縁部に対する各ベルトループBの第二閂止めK3の位置が不揃いとなり、著しく見栄えを損なうからである。
【0035】
このため、ベルトループ付けミシン10では、ベルトループBの第一及び第二閂止めK1,K3の縫着(セミクラシック仕様の場合には縫い目K6も)に伴い、ウエストバンドWを縫い付けるための縫い目K2の目標位置に位置決め用縫い目K5を形成する縫着動作制御を行う。
制御手段80は、予め、タッチパネル87により、第二閂止めK3からウエストバンドWを縫い付ける縫い目K2までの長さAの設定値が入力され、これをRAM83に記憶する。そして、ベルトループBの縫着の際には、第一閂止めK1を行った後に、RAM83を参照して、第二閂止めK3の予定位置から第一閂止めK1側に長さAとなる位置に各閂止めK1,K3と平行に位置決め用縫い目K5を形成する。この位置決め用縫い目K5は、閂縫いでも良いが、位置指標用なので、一般的な本縫いと同じ一本の直線状の縫い目でも十分である。そして、位置決め用縫い目K5の形成後、第二閂止め3を形成し(セミクラシック仕様の場合には縫い目K6も形成する)、ベルトループ付けミシン10におけるベルトループBの縫着動作制御が終了する。
【0036】
ここで、制御手段80におけるベルトループBの縫着縫製制御における各種パラメータの設定作業を
図7〜
図14に基づいて説明する。
図7は操作手段86のタッチパネル87において表示される、クラシック仕様のベルトループBの折り返し端部をウエストバンドWと布地Cとの間に挿入しない縫着縫製に関するメイン設定画面G1の表示例である。また、
図8は縫着前のベルトループBを引き延ばした状態の斜視図であり、図示におけるベルトループBの右下側が縫着後、上側となる。
このメインの設定画面G1において符号T1はベルトループBの長さ設定ボタン、符号T2は引き延ばした状態におけるベルトループBの下端部から第一閂止めK1までの長手方向における長さ(
図8の長さa)の設定ボタン、符号T3は第一閂止めK1から第二閂止めK3までの長さ(
図8の長さb)の設定ボタン、符号T4は第二閂止めK3から引き延ばした状態におけるベルトループBの上端部までの長さ(
図8の長さc)の設定ボタン、符号T5はベルトループBの幅の設定ボタンであり、これらのボタン上には既に設定されている数値が表示される。
また、符号T6は第一閂止めK1のパラメータの設定ボタン、符号T7は第二閂止めK3のパラメータの設定ボタンであり、これらのボタンの上には閂止めを行う針数が表示される。
また、符号T8は縫製パラメータ切り換えボタンである。
【0037】
設定ボタンT1〜T5をタッチすると、
図9に示す数値入力画面G2が表示され、数値入力ボタンと数値増減ボタンからなるボタン群T9により任意の数値入力を行うことが可能となる。符号T10は入力設定値の決定ボタン、符号T11はキャンセルボタンである。なお、
図9は、第一閂止めK1から第二閂止めK3までの長さを設定する数値画面を例示している。
また、設定ボタンT6,T7をタッチすると、
図10に示す閂止めパラメータ設定画面G3に表示が切り替わり、閂止め幅設定ボタンT12、糸張力設定ボタンT13、縫い速度設定ボタンT14等が表示される。これらをタッチした場合には、前述した数値入力画面G2と同様の画面が表示され、各パラメータの数値を設定することができる。
【0038】
メインの設定画面G1における縫製パラメータ切り換えボタンT8をタッチすると、
図11に示すベルトループBの縫着縫製における詳細なパラメータ選択画面G4が表示され、画面内のパラメータ選択ボタン群T15から設定を行うパラメータを選択することが可能となる。
そして、パラメータ選択ボタン群T15の中の位置決め用縫い目K5の形成の実行の有無を選択する選択ボタンT16をタッチすると、
図12に示す位置決め用縫い目K5の形成の実行の選択画面G5が表示され、実行ボタンT18と停止ボタンT19のいずれかをタッチすることで実行の有無を確定することができる。
【0039】
また、位置決め用縫い目K5の形成の実行の選択画面G5において、実行ボタンT18をタッチすると、
図13に示す位置決め用縫い目K5を形成する縫着縫製の設定画面G6が表示される。この設定画面G6は、前述したメインの設定画面G1と同様に、設定ボタンT1〜T7及び縫製パラメータ切り換えボタンT8を備え、これらについてはメインの設定画面G1と同様に設定を行うことができる。
さらに、この位置決め用縫い目K5を形成する縫着縫製の設定画面G6は、位置決め用縫い目K5のパラメータ設定ボタンT20を備えており、これをタッチすると、位置決め用縫い目パラメータ設定画面G7(
図10参照)に表示が切り替わる。この位置決め用縫い目パラメータ設定画面G7は前述した閂止めパラメータ設定画面G3と設定項目が同一となっている。
【0040】
また、パラメータ選択画面G4は、
図14に示すベルトループBの第二閂止めK3から位置決め用縫い目までの長さAを設定する長さ設定ボタンT17を備えており、これをタッチすると、数値入力画面G2(
図9参照)が表示され、長さAを数値で設定することができる。
【0041】
上述のように、各種画面G1〜G6により設定された確定情報は全てEEPROM84に登録される。また、縫製時には、RAM83に読み込まれてCPU81により設定情報に基づくベルトループBの縫着縫製制御が実行される。
即ち、上記EEPROM84及びRAM83は、「第一閂止めの縫い位置から第二閂止めの縫い位置までの長さと、第二閂止めの縫い位置からウエストバンドの下縁部の目標縫い位置(位置決め用縫い目K5の位置)までの長さとを記憶する記憶部」として機能するものである。
なお、このベルトループ付けミシン10は、操作手段86のタッチパネル87から各種のパラメータを設定可能とする場合を例示しているが、これに限らず、例えば、パーソナルコンピュータのような外部の入力装置により上述した設定入力された各種のパラメータを記録可能な記録メディアの読み取り装置をミシン10に設け、ここからRAM83に読み込んで縫製制御を実行する構成としても良いし、上記操作手段86と記録メディアの読み取り装置の双方を搭載して併用しても良い。その場合、記録メディアも上述の「記憶部」として機能することになる。
【0042】
また、セミクラシック仕様のベルトループBの縫着縫製制御における各種パラメータの設定作業について
図15〜
図17に基づいて説明する。
図15は操作手段86のタッチパネル87において表示される、セミクラシック仕様のベルトループBの折り返し端部をウエストバンドWと布地Cとの間に挿入しない縫着縫製に関するメイン設定画面G8の表示例である。また、
図16は縫着前のベルトループBの下端部側を折り返した状態の平面図である。
このメインの設定画面G8における設定項目は前述した設定画面G1とほぼ同一であるため、異なる点のみを説明する。
セミクラシック仕様のベルトループBは、ベルトループBの折り返し位置において折り返し用の縫い目K6を形成し、その上から第二閂止めK3を施すので、設定画面G8には、折り返し端部から第二閂止めK3(折り返し用の縫い目K6)までの長さ(
図16における長さd)の設定ボタンT21と、折り返し用の縫い目K6のパラメータの設定ボタンT22とを備えている。
設定ボタンT21をタッチすると、数値入力画面G2(
図9参照)が表示され、折り返し端部から第二閂止めK3までの長さdの入力を行うことができる。また、設定ボタンT22をタッチすると、閂止めパラメータ設定画面G3(
図10参照)に表示が切り替わり、閂止め幅、糸張力、縫い速度を設定することができる。
【0043】
また、メイン設定画面G8において縫製パラメータ切り換えボタンT8をタッチすると、ベルトループBの縫着縫製における詳細なパラメータ選択画面G4(
図11参照)が表示され、当該画面G4の選択ボタンT16をタッチすると、位置決め用縫い目K5の形成の実行の選択画面G5(
図12)が表示される。当該画面G5の実行ボタンT18をタッチすると、
図17に示す、位置決め用縫い目K5を形成する縫着縫製の設定画面G9が表示される。
この設定画面G9は、前述したメインの設定画面G8と同様のボタンに加えて位置決め用縫い目K5のパラメータ設定ボタンT20を備えている。そして、これをタッチすると、位置決め用縫い目パラメータ設定画面G7(
図10参照)に表示が切り替わる。これにより、位置決め用縫い目K5について閂止め幅、糸張力、縫い速度を設定することができる。
また、詳細なパラメータ選択画面G4において
図18に示すベルトループBの第二閂止めK3(折り返し用の縫い目K6)から位置決め用縫い目までの長さAを設定する長さ設定ボタンT17をタッチすると、数値入力画面G2(
図9参照)が表示され、長さAを数値で設定することができる。
【0044】
[ベルトループ付けミシンにおけるベルトループの縫着縫製動作]
ここでは、折り返し端部をウエストバンドWと布地Cとの間に挿入することを予定するクラシック仕様のベルトループBの縫着縫製動作について
図19のフローチャート及び
図20〜
図27の動作説明図に従って説明する。
まず、ループ押さえ機構50の載置台51に布地Cを載置し、スタートスイッチ89をONする(ステップS1)。
これにより、布押さえ用エアシリンダ73が作動して布押さえ71が下降し、布地Cを保持する(ステップS3)。
そして、ループ供給機構60から設定長さのベルトループBを受け取ったループクランプ31は、ベルトループBの第一閂止めの縫い開始位置が縫製位置に位置決めされるようにクランプ用X軸モータ35及びY軸モータ36が駆動制御されて移動を行う(ステップS5)。この時、前述した設定長さa(
図14)の値が参照され、クランプ用Y軸モータ36の動作量が決定される。
【0045】
そして、クランプ用Z軸エアシリンダ37を作動させてループクランプ31を下降させる(ステップS7:
図20)。
さらに、ループ押さえ52を下降させて、第一閂止めK1の形成予定位置を保持する(ステップS9:
図21)。
これにより、ベルトループBの一端部をループ押さえ52が保持し、その状態でループクランプ31を上昇させると共にクランプ用Y軸モータ36を駆動してY軸方向手前側に移動させる(ステップS11)。その結果、ループクランプ31のみがベルトループBに対して摺動しながら手前側に移動する。
そして、ミシンモータ13を駆動し、同時に、生地用X軸モータ53及びY軸モータ54を駆動して、第一閂止めK1の縫い目をベルトループBの幅方向に沿って形成する(ステップS13)。
【0046】
次に、第二の生地用Y軸モータ74及びクランプ用Y軸モータ35の駆動により、布押さえ71とループクランプ31とをY軸方向奥側に移動する(ステップS15:
図22)。これにより、ベルトループBが奥側に移動する。この時の移動量は、前述した設定長さbから設定長さAを減じた長さである(
図14)。これにより、ベルトループBの位置決め用縫い目K5の形成予定位置が縫製位置に位置決めされる。
【0047】
そして、クランプ用Z軸エアシリンダ37を作動させてループクランプ31を下降させると共に(ステップS17)、ループ押さえ52を下降させて、位置決め用縫い目K5の形成予定位置を保持する(ステップS19:
図23)。
さらに、ミシンモータ13を駆動し、同時に、生地用X軸モータ53及びY軸モータ54を駆動して、位置決め用縫い目K5をベルトループBの幅方向に沿って形成する(ステップS21)。
【0048】
次に、第二の生地用Y軸モータ74及びクランプ用Y軸モータ35の駆動により、布押さえ71とループクランプ31とをY軸方向奥側に移動する(ステップS23:
図24)。これにより、ベルトループBが奥側に移動する。この時の移動量は、前述した設定長さAである(
図14)。これにより、ベルトループBの第二閂止めK3の形成予定位置が縫製位置に位置決めされる。
【0049】
そして、クランプ用Z軸エアシリンダ37を作動させてループクランプ31を下降させると共に(ステップS25)、ループ押さえ52を下降させて、
第二閂止めK3の形成予定位置を保持する(ステップS27:
図25)。
この時点で、クランプ用Z軸エアシリンダ37の作動によりループクランプ31を上昇させると共にクランプ用エアシリンダ33の作動によりベルトループBのクランプ状態を解除する。クランプ用X軸モータ35によりループクランプ31をループ供給機構60側に退避させる(ステップS29:
図26)。
その後、ミシンモータ13を駆動し、同時に、生地用X軸モータ53及びY軸モータ54を駆動して、第二閂止めK3をベルトループBの幅方向に沿って形成する(ステップS31)。
そして、布押さえ用エアシリンダ73の作動により布押さえ71を上昇させて布地Cの保持状態から解放し、縫製を終了する(ステップS33:
図27)。
【0050】
なお、セミクラシック仕様のベルトループBの折り返し端部をウエストバンドWと布地Cとの間に挿入して縫着する場合には、上記クラシック仕様のベルトループBの縫着の場合のステップS27(
図25)まで同じ動作が行われる。
そして、
図25の状態でミシンモータ13を駆動させて同位置に折り返し用の縫い目K6を形成する。
次いで、
図28に示すように、ループクランプ31をY軸方向奥側に向かって移動させる。
そして、ループクランプ31を下降させると共に、ループ押さえ52を下降させてベルトループBの折り返し端部を押圧保持する。さらに、ミシンモータ13を駆動させて第二閂止めK3を形成する。
その後は、
図30に示すように、ループクランプ31によるベルトループBの解放と、ループ押さえ52の上昇と、布押さえ71の上昇を行い、布地Cを解放して縫製を終了する。
【0051】
[ベルトループミシンの効果]
上記のようにしてベルトループBの下端部側が布地Cに縫着されると、ウエストバンドWの下縁部の縫い付けが行われる。この場合、通常の本縫いミシンなどが使用される。
縫製の際には、
図31及び
図32に示すように、ウエストバンドWにおける縫い付けの縫い目K2の形成予定位置Kyをチャコペン等で視覚的に確認可能とする。
一方、布地Cにおいて複数のベルトループBが縫着されている場合に、各ベルトループBは位置決め用の縫い目K5が形成されているので、それぞれのベルトループBの位置決め用の縫い目K5に対してチャコペン等で示した縫い付けの縫い目K2の形成予定位置Kyが一致するように重ねた状態にセットする。このように、縫い目の形成予定位置Kyを複数の目印(縫い目K5)に重ねるだけでウエストバンドWのセットが可能となるので、生地の位置合わせ作業を非常に容易且つ迅速に行うことが可能である。
そして、位置決め用縫い目K5は、いずれも第二閂止めK3から一定の長さAとなる位置に形成されているので、ウエストバンドWの縫着完成後、その縫い目K2により折り返されてなるウエストバンドWの下縁部は、各ベルトループBの下端部(第二閂止め位置)に対していずれも均一の距離に揃えることができ、ズボンの正面視において各ベルトループBがバラつくことなくきれいに揃って並んでいる状態とすることができ、縫い品質の向上を図ることが可能となる。
【0052】
[その他]
なお、上記実施形態のベルトループ付けミシン10では、クラシック仕様のベルトループBの縫着において、第一閂止めK1、位置決め用縫い目K5、第二閂止めK3の順番で形成する場合を例示したが、これらの順番に限定されず、順番は任意に定めることが可能である。
また、セミクラシック仕様のベルトループBの場合も、第一閂止めK1、位置決め用縫い目K5、折り返し用の縫い目K6の順番で形成する場合を例示したが、順番は任意に定めることが可能である。
【0053】
また、位置決め用縫い目K5をベルトループBの幅方向(長手方向に直交する方向)に往復して縫いを繰り返す閂止めで形成する場合を例示したが、視覚的にウエストバンドWにおける縫い付けの縫い目K2の形成予定位置Kyを位置決めすることが可能であればどのような形態の縫い目であっても良い。また、針数も制限はなく、例えば1針のみとするなど、より少ない針数としても良い。
【0054】
また、上記実施形態ではベルトループ付けミシン10を例示したが、クラシック仕様のベルトループBの縫着の場合、第一閂止めK1、第二閂止めK3、位置決め用縫い目K5の形成を行うことが可能なミシン、例えば、X−Y送りが可能であって、布地Cと共にベルトループBを保持することが可能なミシンを使用しても良い。具体的には、布保持枠で布地Cと共にベルトループBを保持し、第一閂止めK1、第二閂止めK3、位置決め用縫い目K5の針落ち位置を縫製パターンデータとしてデータの記憶部に記憶した電子サイクル縫いミシンにより、ベルトループ付けミシン10と同様の効果を得ることが可能である。